(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6247789
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】表示体及び表示体の取付構造
(51)【国際特許分類】
G09F 7/00 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
G09F7/00 N
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-179927(P2017-179927)
(22)【出願日】2017年9月20日
【審査請求日】2017年10月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516154657
【氏名又は名称】田中 佐和子
(74)【代理人】
【識別番号】100063842
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118119
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 大典
(72)【発明者】
【氏名】田中 佐和子
【審査官】
吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−15802(JP,A)
【文献】
特開2009−75227(JP,A)
【文献】
特開2006−28716(JP,A)
【文献】
特開2005−189647(JP,A)
【文献】
特開2003−150063(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3202752(JP,U)
【文献】
米国特許第5581815(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 7/00
A41D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体の表面には表示部が設けられ、基体の裏面には、衣服に設けられた1対の挿入孔に夫々挿入可能な1対の突出片を備えて構成される固定部が複数設置され、前記1対の突出片を重ねた際に対向する対向部には、前記1対の突出片同士を結合させる結合部材が設置されていることを特徴とする表示体。
【請求項2】
基体の表面には表示部が設けられ、基体の裏面には、衣服に設けられた1対の挿入孔に夫々挿入可能な1対の突出片を備えて構成される固定部が複数設置され、前記1対の突出片を重ねた際に対向する対向部には、前記1対の突出片同士を結合させる結合部材が設置されている表示体の前記1対の突出片が衣服に設けられた1対の挿入孔に夫々挿入され、前記1対の突出片同士を重ねて、前記結合部材で前記1対の突出片同士を固定し、表示体の衣服への固定が行われていることを特徴とする表示体の衣服への固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人を特定するための各種文字、記号、数字等或いは衣服を装飾する模様等の表示部が設けられた表示体及び当該表示体の衣服への取付構造に関し、具体的には、主に、表示体たるゼッケン及びゼッケンの衣服たる運動用ユニフォーム(以下「ユニフォーム」という。)への取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
各種スポーツの大会において、競技者はユニフォームに背番号を付けてプレーを行っている。背番号の表示は、数字がユニフォームに直接プリントされたものや数字形状の布体をユニフォームに直接縫付けたものの他に、ユニフォームとは別個の基体に数字がプリントされ或いは数字形状の布体が縫付けられたゼッケンが用いられている。
【0003】
このゼッケンには、数字等が表示された基体をユニフォームに固定するものと、肩紐等によって体に着装させるものがある。そして、数字が表示された基体をユニフォームに固定するゼッケンの固定方法として、従来基体をユニフォームに縫付けることが行われている。又、名前、学年、クラス等が記載されたゼッケンを体操着に縫付けることも行われている。
【0004】
しかし、ゼッケンをユニフォームや体操着に縫付けることは、縫製作業のみでも作業が煩雑で手間がかかり充分に面倒であるのに、更に、縫製作業のほかに正確な位置合わせが必要なこともあり、極めて面倒であり、又、ゼッケンをユニフォームや体操着から取り外す作業も容易ではなかった。従って、ゼッケンに表示する内容の変更が必要となった場合には、表示内容の変更が容易ではなかった。
【0005】
そこで、ゼッケンの裏面に粘着剤層や接着剤層を設けて、ゼッケンをユニフォームに接着して固定する構成が提案されている(特許文献1及び特許文献2)。又、フレキシブルな透明シートを重ねて1辺にファスナーを設けた袋状のホルダーを衣服に縫い付けて、ホルダー内に数字等が記載された識別体を挿入する構成が提案されている(特許文献3)。
【0006】
更に、ゼッケンに雌型ホックが形成された表面ホックを固定し、体操服の裏側から、雄型ホックが形成された裏面ホックを表面ホックに嵌め合わせて、体操服にゼッケンを固定する構成(特許文献4)や、ゼッケンと体操服を重ねて、ピン体部が突設された取付部材と挿入孔が形成された止め具で、挿入孔にピン体部を挿入させてゼッケン及び体操服を挟持させ、体操服にゼッケンを固定する構成(特許文献5)が提案されている。
【0007】
又、運動着のゼッケンを取付ける部分に紐もしくは布をループ状に取り付け、該ループにゼッケンに取り付けた安全ピンを通し又は該ループとゼッケンをクリップで挟み、運動着にゼッケンを固定する構成が提案されている(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3202752号公報
【特許文献2】特開2009−75227号公報
【特許文献3】特開2013−15802号公報
【特許文献4】特開2003−150063号公報
【特許文献5】特許第4038175号公報
【特許文献6】特開2006−28716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1及び特許文献2の構成は、粘着剤や接着剤の布製品同士を接着させる強度が弱いことや劣化が早いこと、又、ゼッケンとユニフォームの間に砂等の塵芥が固定されてしまうことから、ゼッケンが剥がれ易いという問題点があった。又、特許文献3の構成は、激しい動きをするスポーツではホルダーが邪魔であると共にホルダーで着用者又は相手選手を傷つけてしまう危険があり、又、布同士の縫付けと異なって、透明シートのホルダーを布に縫い付けるため、透明シートの破損や糸の切断が生じやすく、ホルダー及び識別体の固定が確実ではないという問題点があった。
【0010】
特許文献4及び特許文献5の構成は、ホック、取付部材及び止め具がゼッケン及び被服の表面に露出し、肌に接触する構成であるので、着用者が違和感や不快感を感じるという問題点や、着用者又は相手選手を傷つけてしまう危険があり、又、ホック、取付部材及び止め具がゼッケン及び被服の表面に露出すると共にゼッケンと体操服を重ねて挟持する構成であるので、ホック、取付部材及び止め具がはずれ易く、ゼッケンがはずれ易いという問題点があった。又、特許文献6の構成は、安全ピンやクリップが着用者又は相手選手を傷つけてしまう危険があるという問題点があった。
【0011】
そこで、本発明は、ゼッケン等の表示体をユニフォームや体操着等の衣服に容易に着脱することが出来ると共に、確実に固定することを目的とする。又、本発明は、激しい動きをするスポーツで使用しても邪魔にならないと共に着用者又は相手選手を傷つけることなくゼッケン等の表示体をユニフォームや体操着等の衣服へ固定することを目的とする。更に、着用者が違和感や不快感を感じることなく、ゼッケン等の表示体をユニフォームや体操着等の衣服へ固定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上のような課題を解決するための手段としての本発明は、基体の表面には表示部が設けられ、基体の裏面には、衣服に設けられた1対の挿入孔に夫々挿入可能な1対の突出片を備えて構成される固定部が複数設置され、前記1対の突出片を重ねた際に対向する対向部には、前記1対の突出片同士を結合させる結合部材が設置されていることを特徴とする表示体である。
【0013】
又、基体の表面には表示部が設けられ、基体の裏面には、衣服に設けられた1対の挿入孔に夫々挿入可能な1対の突出片を備えて構成される固定部が複数設置され、前記1対の突出片を重ねた際に対向する対向部には、前記1対の突出片同士を結合させる結合部材が設置されている表示体の前記1対の突出片が衣服に設けられた1対の挿入孔に夫々挿入され、前記1対の突出片同士を重ねて、前記結合部材で前記1対の突出片同士を固定し、表示体の衣服への固定が行われていることを特徴とする表示体の衣服への固定構造である。
【発明の効果】
【0014】
以上のような本発明によれば、ゼッケン等の表示体をユニフォームや体操着等の衣服に容易に着脱することが出来ると共に、確実に固定することが出来た。又、本発明によれば、激しい動きをするスポーツで使用しても邪魔にならないと共に着用者又は相手選手を傷つけることなくゼッケン等の表示体をユニフォームや体操着等の衣服へ固定することが出来た。更に、着用者が違和感や不快感を感じることなく、ゼッケン等の表示体をユニフォームや体操着等の衣服へ固定することが出来た。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図を参照して説明する。本発明の表示体は、基体の表面には表示部が設けられ、基体の裏面には、衣服に設けられた1対の挿入孔に夫々挿入可能な1対の突出片で構成される固定部が複数設置され、前記1対の突出片を折り畳んで重ねた際に対向する対向部には、前記1対の突出片同士を結合させる結合部材が設置されている。
【0017】
衣服にはユニフォーム、体操着のほか、制服、通常の衣服等が含まれ、表示部には個人を特定するための各種文字、記号、数字等或いは衣服を装飾する模様等が含まれ、表示体にはゼッケンのほか衣服を修飾するワッペン、名札等が含まれる。以下、衣服としてユニフォーム、表示体としてゼッケンを例に説明する。
【0018】
図1に示すように、四角形のゼッケン1の布製の基体10の表面12には、表示部としての背番号18が基体10とは別個の布を縫製することにより固定されて設けられている。背番号は、印刷、基体とは別個の布の接着剤による固定、基体とは別個の不織布や合成樹脂シートの接着剤や縫製による固定、刺繍、油性ペンを用いた手書き等により表示されて設けられる構成としてもよい。又、本発明において、ゼッケン1はユニフォーム5へ着脱自在に構成されている。
【0019】
図2によく示すように、ゼッケン1の基体10の裏面11には1対の突出片31、32を備えて構成される固定部3が複数設置されている。固定部3は、ゼッケン1をユニフォーム5に固定するための部材であり、少なくともゼッケン1の両側上端部に設ければよいが、ゼッケンのめくれを防止するために、ゼッケン1の四隅に設けることが好ましい。更に、固定部3は、ゼッケン1のヨレやユニフォーム5との離間を防止するために、ゼッケン1の四隅及び外周端部に設けることがより好ましい。尚、図示はしないが、固定部3は、ゼッケン1の外周端部以外の部分に設けることとしてもよい。
図1及び
図2に示す実施の形態において、固定部3はゼッケン1の縦辺に4個、横辺に4個設けられた構成が図示されているが、ゼッケン1の縦辺及び横辺夫々に設ける固定部3の数は限定されず、ゼッケン1の外周端部に設ける固定部3同士の間隔は特に限定されない。
【0020】
図4に示すように、1対の突出片31、32は突出片の平面部分の平面部30が対向可能に設置され、1対の突出片31、32の長さL、N及び間隔Wは、1対の突出片31、32の長さL、Nの合計が突出片31、32の間隔Wより長く構成されていれば特に限定されない。このように構成することで、対の突出片31、32が折り畳まれた際に対向して重なる平面部30が生じる。そして、1対の突出片31、32が重なるように折り畳まれた際に対向する平面部30となる対向部310、320には、突出片31、32同士を結合させる結合部材4が設置されている。尚、1対の突出片31、32の長さL、Nは同一でもよいが、異なる構成としてもよい。又、結合部材4としては特に限定されないが、スナップボタンや面ファスナーを用いることが出来る。
【0021】
図4に示すように、結合部材4としてスナップボタン41を用いる場合には、一方の対向部310又は対向部320に雄型ボタン411を、他方の対向部320又は対向部310に雌型ボタン412を縫着により固定して結合部材4が構成されている。
【0022】
又、
図5に示すように、結合部材4として面ファスナー42を用いる場合には、一方の対向部310又は対向部320にフック部材を備えたフック片421を、他方の対向部320又は対向部310にループ部材を備えたループ片422を縫着により固定して結合部材4が構成されている。
【0023】
図1及び
図2に示す実施の形態においては、全ての固定部3は、1対の突出片31、32が水平方向(図で左右方向)に並列して設置されているが、固定部3は、
図3に示すように、1対の突出片31、32がゼッケン1の側端部では垂直方向(図で上下方向)に並列して設置され、上下端部では水平方向に並列して設置された構成のように、1対の突出片31、32が、一部の固定部3は水平方向、他の固定部3は垂直方向に並列して設置されてもよい。更に、図示はしないが、全ての固定部3において、1対の突出片が垂直方向に並列して設置された構成としてもよい。
【0024】
突出片31、32の材質は特に限定されず、織物、編物、不織布、柔軟性を備えた合成樹脂等を使用することが出来るが、ゼッケン1の基体10と同一の素材で構成することが好ましい。1対の突出片31、32は、
図6に示すように、1個の部材を用いて構成している(
図6(a))。具体的には1枚の突出片用部材300の中央部分39をゼッケン1の基体10の裏面11に縫製等により固定して構成している(
図6(a))が、別個の2枚の突出片用部材301の端部391を夫々ゼッケン1の基体10の裏面11に固定して構成してもよい(
図6(b))。突出片31、32のゼッケン1への固定は夫々の材質に応じて縫着、接着等により行う。
【0025】
ユニフォーム5のゼッケン1を固定する箇所として、これらには限定されないが、ユニフォーム5の背面、胸部、上腕部等があるが、ここでは背面を例にして説明する。
図7及び
図8に示すように、ユニフォーム5のゼッケン1を固定する箇所、ユニフォーム5の背面51には、突出片31、32を夫々挿入するための1対の挿入孔57、58が、ゼッケン1に設けられた突出片31、32の数、位置及び向きに対応して設けられている。挿入孔57、58は、突出片31、32を挿入した際に突出片31、32の挿入孔57、58内での移動を防止し、ゼッケン1のユニフォーム5への位置固定を確実にするために、突出片31、32の断面と同形状に構成することが好ましい。更には、より確実な移動防止のために、まちを構成せず、ユニフォーム5に入れた切れ目で構成することが好ましい。
【0026】
ゼッケン1のユニフォーム5への固定は、先ず、ユニフォーム5に設けられた一対の挿入孔57、58に、ユニフォーム5の背面51の表面511から裏面512に向けて固定部3を構成する一対の突出片31、32を挿入する。次いで、一対の突出片31、32をユニフォーム5の裏面512に重なるように折り畳み、突出片31、32同士を重ねて、対向部310、320を対向させ、結合部材4で結合させる。具体的には、結合部材4、
図7及び
図8で図示するスナップボタン41を用いた実施の形態においては、対向部310、320に固定された雄型ボタン411と雌型ボタン412を嵌め合わせて、或いは
図5に示す面ファスナー42を用いる場合には、フック片421とループ片422を結合させて、突出片31、32同士を結合させる。そして、突出片31、32同士が結合すると、一対の突出片31、32は挿入孔57、58から脱離することが出来なくなり、ゼッケン1をユニフォーム5へ固定する。
【0027】
ユニフォーム5からゼッケン1を外す際には、嵌め合わされた雄型ボタン411と雌型ボタン412を外して、或いはフック片421とループ片422を剥して、対向部310、320同士の固定を解き、全ての固定部3において、固定部3を構成する一対の突出片31、32の固定を解き、夫々の突出片31、32を挿入されている挿入孔57、58から抜いて行う。
【0028】
このような衣服への表示体の取付構造は、ユニフォームへの背番号が記載されたゼッケンの取付に限定されず、体操着への名前、学年、クラス等が記載されたゼッケンの取付、被服の模様を構成する着脱可能な表示体の衣服への取付等に用いることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のような本発明によれば、ゼッケン等の表示体のユニフォーム等の被服への着脱が容易に行えるので、ゼッケン等の表示体の着脱が不可欠な用途に適用することが出来る。そして、ユニフォーム等の被服の新たな需要を喚起することにより、被服産業において大いに利用可能性がある。
【符号の説明】
【0030】
1 ゼッケン
10 基体
18 背番号
3 固定部
31 突出片
310 対向部
32 突出片
320 対向部
4 結合部材
41 スナップボタン
42 面ファスナー
5 ユニフォーム
57 挿入孔
58 挿入孔
【要約】
【課題】ゼッケン等の表示体をユニフォームや体操着等の衣服に容易に着脱することが出来ると共に、確実に固定することを目的とする。
【解決手段】基体10の表面12には背番号18が設けられ、基体10の裏面11には、ユニフォーム5に設けられた1対の挿入孔57、58に夫々挿入可能な1対の突出片31、32を備えて構成される固定部3が複数設置され、前記1対の突出片31、32を重ねた際に対向する対向部310、320には、前記1対の突出片31、32同士を結合させる結合部材4が設置されているゼッケン1。
【選択図】
図1