(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247832
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】パターヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20171204BHJP
A63B 53/02 20150101ALI20171204BHJP
A63B 53/06 20150101ALI20171204BHJP
【FI】
A63B53/04 H
A63B53/02
A63B53/06 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-87429(P2013-87429)
(22)【出願日】2013年4月18日
(65)【公開番号】特開2014-210028(P2014-210028A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2016年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】592014104
【氏名又は名称】ブリヂストンスポーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081282
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 俊輔
(74)【代理人】
【識別番号】100085084
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高英
(74)【代理人】
【識別番号】100095326
【弁理士】
【氏名又は名称】畑中 芳実
(74)【代理人】
【識別番号】100115314
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 奈緒子
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【弁理士】
【氏名又は名称】前野 房枝
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 雅也
(72)【発明者】
【氏名】北川 知憲
(72)【発明者】
【氏名】和田 梢
(72)【発明者】
【氏名】鴫原 健
【審査官】
古屋野 浩志
(56)【参考文献】
【文献】
実開平06−011759(JP,U)
【文献】
特開2000−107330(JP,A)
【文献】
特開平06−277314(JP,A)
【文献】
特開2009−136638(JP,A)
【文献】
実開平03−024163(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0154740(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0279786(US,A1)
【文献】
米国特許第07172513(US,B1)
【文献】
米国特許第07976400(US,B1)
【文献】
米国特許第05533730(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04
A63B 53/02
A63B 53/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド本体と、前記ヘッド本体から上方に延びるネック部と、前記ネック部の上端部に連結される単数または複数のオフセット調整部材と、前記ネック部の上端部に連結された前記単数または複数のオフセット調整部材または前記ネック部の上端部に連結されるホゼル部材とを具備し、前記ホゼル部材を前記単数または複数のオフセット調整部材を介して前記ネック部の上端部に連結すること、または、前記ホゼル部材を前記ネック部の上端部に直接連結することにより、前記ヘッド本体のオフセット量を調整することを特徴とするパターヘッド。
【請求項2】
ヘッド本体と、前記ヘッド本体から上方に延びるネック部と、前記ネック部の上端部に連結される複数のオフセット調整部材と、前記ネック部の上端部に連結された前記複数のオフセット調整部材または前記ネック部の上端部に連結されるホゼル部材とを具備し、前記複数のオフセット調整部材は、前記ネック部の軸線と前記ホゼル部材の軸線との連結角度を異ならせる複数種のオフセット調整部材とされていることを特徴とするパターヘッド。
【請求項3】
前記複数種のオフセット調整部材を使い分けることにより、パターのライ角を調整することを特徴とする請求項2に記載のパターヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブシャフトの先端に装着されるパターヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ライ角を変更することができるパターヘッドとして、特許文献1のものが提案されている。特許文献1のパターヘッドは、上部から底部に貫通形成されたホゼル孔を有するヘッド本体と、一端側に、上記底部に至る長さであって、ホゼル孔に挿入・固定された固定軸を備え、他端側にヘッド本体のソール面に対して所定角度で傾斜され、かつ、シャフトを挿入・固定可能なシャフト挿入孔を備えたホゼル部材とを有するものである(請求項2)。特許文献1のパターヘッドは、ホゼル部材の前記所定角度を選択することにより、ゴルフパターの使用者に合わせてライ角を変更することができる(段落0015)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のパターヘッドは、ライ角を変更することはできるが、ヘッドのオフセット量、すなわちフェース面とシャフト軸線との間の距離を調整することはできなかった
。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ヘッドのオフセット量を調整することができるパターヘッドを提供することを第1の目的とし、ヘッドのオフセット量に加えパターのライ角を調整することも可能なパターヘッドを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記第1の目的を達成するため、ヘッド本体と、前記ヘッド本体から上方に延びるネック部と、前記ネック部の上端部に連結される単数または複数のオフセット調整部材と、前記ネック部の上端部に連結された前記単数または複数のオフセット調整部材または前記ネック部の上端部に連結されるホゼル部材とを具備
し、前記ホゼル部材を前記単数または複数のオフセット調整部材を介して前記ネック部の上端部に連結すること、または、前記ホゼル部材を前記ネック部の上端部に直接連結することにより、前記ヘッド本体のオフセット量を調整することを特徴とするパターヘッド(第1発明)を提供する。
【0007】
本発明は、前記第2の目的を達成するため、
ヘッド本体と、前記ヘッド本体から上方に延びるネック部と、前記ネック部の上端部に連結される複数のオフセット調整部材と、前記ネック部の上端部に連結された前記複数のオフセット調整部材または前記ネック部の上端部に連結されるホゼル部材とを具備し、前記複数のオフセット調整部材は、前記ネック部の軸線と前記ホゼル部材の軸線との連結角度を異ならせる複数種のオフセット調整部材とされていることを特徴とするパターヘッド(第2発明)を提供する。
【0008】
第1発明では、ホゼル部材を、オフセット調整部材を介してネック部の上端部に連結したり、ネック部の上端部に直接連結したりすることにより、フェース面とシャフト軸線との間の距離を変更して、ヘッド本体のオフセット量を調整することができる。また、前者の場合、ネック部の上端部とホゼル部材との間に介在させるオフセット調整部材の個数を変更することにより、フェース面とシャフト軸線との間の距離を変更して、ヘッド本体のオフセット量を調整することができる。
【0009】
第2発明では、前記連結角度を異ならせる複数種のオフセット調整部材を使い分けることにより、ネック部の軸線とホゼル部材の軸線との連結角度を変更して、ライ角、すなわちソールの中心が地面に接するように構えたときにシャフトと地面とがなす角度を調整することができる。
【発明の効果】
【0011】
第1発明のパターヘッドは、ヘッド本体のオフセット量を調整することができる。第2発明のパターヘッドは、ヘッド本体のオフセット量およびパターのライ角を調整することができる。したがって、第1発明および第2発明のパターヘッドは、上記オフセット量やライ角を個々のゴルファーに合わせて調整することにより、個々のゴルファーの身体的特徴に適したパターを提供することができ、パッティングの安定性の向上に寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るパターヘッドの一実施形態を示す図であり、(a)〜(c)はオフセット量が異なるパターヘッドを示している。(a)〜(c)図において、左側の図はヒール側から見た図、中央の図はバック側から見た図、右側の図は上方から見た図である。
【
図2】
図1のパターヘッドのネック部を示す模式図であり、(a)はヒール側から見た図、(b)はバック側から見た図、(c)はフェース側から見た図である。
【
図3】
図1のパターヘッドのオフセット調整部材を示す模式図であり、(a)はトゥ側から見た図、(b)はバック側から見た図、(c)はフェース側から見た図、(d)はトゥ側から見た図である。
【
図4】
図1のパターヘッドのホゼル部材を示す模式図であり、(a)はトゥ側から見た図、(b)はフェース側から見た図、(c)は上方から見た図、(d)はトゥ側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を詳しく説明する。図
1は本発明に係るパターヘッドの一実施形態を示す図であり、(a)〜(c)はオフセット量が異なるパターヘッドを示している。
【0014】
本例のパターヘッド10は、ヘッド本体12、ヘッド本体12から上方に延びるネック部14、第1オフセット調整部材16、第2オフセット調整部材18、ホゼル部材20および雄ネジ24により構成されている。なお、本例のヘッド本体12の形状はいわゆるピンタイプであるが、ヘッド本体12の形状に限定はない。
【0015】
ネック部14は、全体的に略四角棒状のもので、
図2の模式図に示すように、上端部に、いずれも上向きの第1段部143および第2段部144を有するオフセット調整部材取付部145が設けられている。また、オフセット調整部材取付部145には、雄ネジ24の頭部が挿入される雄ネジ頭部挿入孔146、雄ネジ24の軸部が挿入される雄ネジ軸部挿入孔147が形成されている。
【0016】
なお、ネック部14をヘッド本体12に着脱可能に構成し、ネック部14の長さを変えたり、ネック部14のヘッド本体12への取付角度を変えたりすることにより、パターの重心アングル(シャフトを水平な台に置いてヘッドを浮かせたときにフェース面と垂線とがなす角度)を調整することが可能である。
【0017】
オフセット調整部材16、18は、同形の略四角ブロック状のもので、
図3の模式図に示すように、フェース側に上向きの第1段部161、バック側に下向きの第2段部162を有する。また、オフセット調整部材16、18には、雄ネジ24の軸部が挿入される雄ネジ軸部挿入孔163が形成されている。後述するパターヘッドの作製時には、
図3(a)に示すように、第1オフセット調整部材16の底面がネック部14の第1段部143と当接し、第2段部162がネック部14の第2段部144と当接することにより、第1オフセット調整部材16とネック部14とが隙間なく接触するようになっている。また、
図3(d)に示すように、第1オフセット調整部材16の第1段部161が第2オフセット調整部材18の第2段部162と当接することにより、第1オフセット調整部材16と第2オフセット調整部材18とが隙間なく接触するようになっている。
【0018】
ホゼル部材20は、略有底円筒状のもので、
図4の模式図に示すように、シャフトの先端部が挿入されるシャフト挿入孔201が内部に形成されている。また、ホゼル部材20外周面のフェース側には、下向きの段部202を有する四角凸部203が突設されている。さらに、ホゼル部材20の下部には、雄ネジ24の軸部が螺合される雌ネジ部204が形成されている。後述するパターヘッドの作製時には、
図4(a)に示すように、ホゼル部材20の段部202が第1オフセット調整部材16または第2オフセット調整部材18の第1段部161と当接することにより、ホゼル部材20と第1オフセット調整部材16または第2オフセット調整部材18とが隙間なく接触するようになっている。また、ホゼル部材20をネック部14に直接連結する場合には、
図4(d)に示すように、ホゼル部材20の底面がネック部14の第1段部143と当接し、段部202がネック部14の第2段部144と当接することにより、ホゼル部材20とネック部14とが隙間なく接触するようになっている。なお、ホゼル部材20は、シャフトの径に応じてシャフト挿入孔201の内径が異なる複数種のものを用意することができる。
【0019】
本例のパターヘッド10において、各構成部材の材質に限定はないが、ヘッド本体12、ネック部14の材質としては、例えば、アルミニウム合金、銅合金、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、マルエージング鋼などの鋼類や軟鉄等が挙げられ、第1オフセット調整部材16、第2オフセット調整部材18、ホゼル部材20の材質としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅合金、チタン、チタン合金、ステンレス鋼等が挙げられ、雄ネジ24の材質としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、鋼にメッキを施したもの等が挙げられる。
【0020】
本例のパターヘッド10の作製時にネック部14とホゼル部材20とを直接または間接的に連結する場合、例えば、下記作業(1)、(2)または(3)を行う。
(1)まず、ネック部14のオフセット調整部材取付部145に第1オフセット調整部材16を係合させ、第1オフセット調整部材16に第2オフセット調整部材18を係合させ、第2オフセット調整部材18にホゼル部材20を係合させる。この場合のネック部14、第1オフセット調整部材16、第2オフセット調整部材18およびホゼル部材20の接触態様は前述したとおりである。その後、雄ネジ24の軸部を、バック側からネック部14の雄ネジ頭部挿入孔146、ネック部14の雄ネジ軸部挿入孔147、第1オフセット調整部材16の雄ネジ軸部挿入孔163、第2オフセット調整部材18の雄ネジ軸部挿入孔163に順次通し、さらにホゼル部材20の雌ネジ部204に螺合して雄ネジ24を締め付けることにより、ネック部14とホゼル部材20とをそれらの間に第1オフセット調整部材16および第2オフセット調整部材18を介在させた状態で連結する(
図1(a)参照)。
(2)まず、ネック部14のオフセット調整部材取付部145に第1オフセット調整部材16を係合させ、第1オフセット調整部材16にホゼル部材20を係合させる。この場合のネック部14、第1オフセット調整部材16およびホゼル部材20の接触態様は前述したとおりである。その後、雄ネジ24の軸部を、バック側からネック部14の雄ネジ頭部挿入孔146、ネック部14の雄ネジ軸部挿入孔147、第1オフセット調整部材16の雄ネジ軸部挿入孔163に順次通し、さらにホゼル部材20の雌ネジ部204に螺合して雄ネジ24を締め付けることにより、ネック部14とホゼル部材20とをそれらの間に第1オフセット調整部材16を介在させた状態で連結する(
図1(b)参照)。
(3)まず、ネック部14のオフセット調整部材取付部145にホゼル部材20を係合させる。この場合のネック部14およびホゼル部材20の接触態様は前述したとおりである。その後、雄ネジ24の軸部を、バック側からネック部14の雄ネジ頭部挿入孔146、ネック部14の雄ネジ軸部挿入孔147に順次通し、さらにホゼル部材20の雌ネジ部204に螺合して雄ネジ24を締め付けることにより、ネック部14とホゼル部材20とを直接連結する(
図1(c)参照)。
【0021】
ただし、パターヘッド10の作製作業は上記作業に限定されるものではなく、例えば、先にネック部14に雄ネジ24を取り付けた後、雄ネジ24に各部材を取り付けてもよい。
【0022】
本例のパターヘッド10は、下記(A)〜(C)に示す効果を奏する。
(A)
図1に示すように、ネック部14とホゼル部材20との間に介在させるオフセット調整部材の個数を変えたり、ネック部14とホゼル部材20とを直接連結したりすることにより、オフセット量(フェース面とシャフト軸線の間の距離)を調整することができる。
(B)ネック部14の軸線とホゼル部材20の軸線(シャフト軸線)との連結角度を異ならせる複数種のオフセット調整部材および/またはネック部を用意することにより、ライ角(ソールの中心が地面に接するように構えたときにシャフトと地面とがなす角度)を調整することができる。
(C)ネック部14とホゼル部材20との直接または間接的な連結を着脱可能なネジ24で行うようにしたので、オフセット調整部材の交換を簡単に行うことができ、オフセット量、ライ角を簡単に変更することができる。
【0023】
なお、本発明のパターヘッドは上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態ではオフセット調整部材を2個用いたが、オフセット調整部材は1個でもよく、3個以上でもよい。また、ネック部とオフセット調整部材との間、オフセット調整部材同士の間、オフセット調整部材同士とホゼル部材との間に、ヘッドのガタツキ防止のために弾性シートを介在させてもよい。
【符号の説明】
【0024】
10 パターヘッド
12 ヘッド本体
14 ネック部
16 第1オフセット調整部材
18 第2オフセット調整部材
20 ホゼル部材
24 雄ネジ