(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記再剥離性シートを非印刷領域において前記感圧接着剤層同士が接触するように折り曲げ、対向する2個の金属ロールをロール面同志が非接触となるようにして備えたシール装置を用いて、折り曲げた前記再剥離性シートを、前記ロール面間を通過させることにより加圧して、加圧部位の加圧後の厚さが加圧前の厚さの80%となるように、前記シートの重ね合わせ面同士を接着した後、前記再剥離性シートを再剥離させたとき、前記シートの重ね合わせ面同士の接着力が70gf/25mm以上であり、かつシートの破れがないことを特徴とする請求項1に記載の再剥離性シート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る再剥離性シートは、シートの重ね合わせ面同士が感圧接着剤層(以下、単に「接着剤層」と略記することがある)で再剥離可能とされた再剥離性シートであって、前記接着剤層が、非剥離性接着剤、非晶質シリカ及びカチオン樹脂が配合されてなる感圧接着剤用組成物(以下、単に「組成物」と略記することがある)を用いて形成されたものであり、前記非晶質シリカは、沈降法合成シリカ及びゲル法合成シリカからなり、前記感圧接着剤用組成物において、前記非剥離性接着剤の配合量100質量部に対する、前記非晶質シリカの配合量が21〜48質量部であることを特徴とする。
前記組成物として、必須の配合成分が非剥離性接着剤、非晶質シリカ及びカチオン樹脂であり、非晶質シリカが沈降法合成シリカ及びゲル法合成シリカからなり、その配合量が特定範囲にあるものを選択することにより、形成される感圧接着剤層(以下、単に「接着剤層」と略記することがある)は、前記組成物をグラビア印刷法で塗工した場合であっても、シートの重ね合わせ面の接着性とインクジェット印刷適性に優れたものとなる。
【0014】
<感圧接着剤用組成物>
(非剥離性接着剤)
前記非剥離性接着剤は、接着剤基剤として公知のものでよいが、天然ゴム又は変性ゴムであることが好ましい。
前記変性ゴムとしては、天然ゴムを主成分とするラテックス(天然ゴムラテックス);酸性ラテックス、解重合ラテックス、加硫ラテックス、グラフト化した天然ゴムラテックス等の、前記天然ゴムを変性した変性ゴムを主成分とする変性ラテックス;前記天然ゴムラテックス又は変性ラテックスに対して、スチレンリッチSBRラテックス、ポリスチレンエマルジョン及びスチレン・アクリル共重合体エマルジョンからなる群から選択される一種以上を適当量配合した混合物等が例示できる。天然ゴムのグラフト化に用いるモノマー又はオリゴマーは、重合性基を有するものであれば、目的に応じて任意に選択でき、モノマーであれば、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、スチレン等の重合性不飽和二重結合(C=C)を有するものが例示できる。ここで、前記アルキルエステルは、メチルエステル又はエチルエステルであることが好ましい。
【0015】
なかでも、前記非剥離性接着剤は、耐ブロッキング性、耐熱性、耐摩耗性等の観点から、天然ゴムにメタクリル酸メチル(MMA)をグラフト重合させて得られた変性ゴムを主成分とする変性ラテックス、天然ゴムにスチレンとメタクリル酸メチルとをグラフト重合させて得られた変性ゴムを主成分とする変性ラテックスが好ましい。
天然ゴムにメタクリル酸メチルをグラフト重合させて得られた変性ゴムで好ましいものとしては、天然ゴム100質量部に対して、メタクリル酸メチルを10〜40質量部グラフト重合させたものが例示できる。
天然ゴムにスチレンとメタクリル酸メチルとをグラフト重合させて得られた変性ゴムで好ましいものとしては、天然ゴム100質量部に対して、スチレン及びメタクリル酸メチルを合計で30〜70質量部重合させたものが例示できる。
【0016】
非剥離性接着剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合には、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0017】
(非晶質シリカ)
前記非晶質シリカは、沈降法合成シリカ及びゲル法合成シリカからなり、これら沈降法合成シリカ及びゲル法合成シリカとしては、いずれも公知のものを用いることができる。
なお、非晶質シリカは、後述するアンチブロッキング剤としての機能も併せ持つ。
【0018】
沈降法合成シリカは、メディアン径(D
50)が1.5〜8μmであることが好ましい。沈降法合成シリカのメディアン径は、コールターカウンターを用いる方法等、公知の方法で測定できる。
また、沈降法合成シリカは、吸油量が150〜300mL/100gであることが好ましく、比表面積が100〜260m
2/gであることが好ましい。
【0019】
沈降法合成シリカは、一次粒子径が大きく、多孔質で緩やかな凝集構造を有しているため、前記組成物においては、非剥離性接着剤が前記凝集構造の外側で存在でき、非剥離性接着剤が前記凝集構造の外側に占める比率が高いほど前記接着剤層の接着力が高くなる。また、一次粒子の凝集力が弱いため、外圧によって前記凝集構造が潰され、前記接着剤層は優れた緩衝作用及び接着力を有する。その一方で、沈降法合成シリカは、インクジェットインクの定着に好適な細孔が少ないために、インクジェット印刷を行ったときには、非晶質シリカに占める比率が高いほど発色濃度、インク乾燥性、耐擦過性、耐水性等のインクジェット印刷適性が不十分になることがある。
【0020】
ゲル法合成シリカは、メディアン径(D
50)が4〜10μmであることが好ましい。ゲル法合成シリカのメディアン径は、コールターカウンターを用いる方法等、公知の方法で測定できる。
また、ゲル法合成シリカは、吸油量が200〜300mL/100gであることが好ましく、比表面積が200〜450m
2/gであることが好ましい。
【0021】
ゲル法合成シリカは、一次粒子径が小さく、密な凝集構造を有しているため、前記組成物においては、非剥離性接着剤が前記凝集構造の内側に取り込まれ易く、非剥離性接着剤が前記凝集構造の外側に占める比率が低いほど前記接着剤層の接着力が低くなる。また、一次粒子の凝集力が強いため、外圧が加えられた場合には緩衝作用が小さく、前記接着剤層は接着力が低下する。その一方で、ゲル法合成シリカは、インクジェットインクの定着に好適な細孔が多いために、インクジェット印刷を行ったときには、非晶質シリカに占める比率が高いほど発色濃度、インク乾燥性、耐擦過性、耐水性等のインクジェット印刷適性が向上する。
【0022】
前記組成物において、非剥離性接着剤の配合量100質量部に対する、非晶質シリカの配合量(沈降法合成シリカ及びゲル法合成シリカの総配合量)は、21〜48質量部であり、25〜43質量部であることが好ましく、28〜38質量部であることがより好ましい。非晶質シリカの前記配合量が前記下限値以上であることで、前記接着剤層はインクジェット印刷適性に優れたものとなる。また、非晶質シリカの前記配合量が前記上限値以下であることで、前記接着剤層は接着性に優れたものとなる。
【0023】
前記組成物において、沈降法合成シリカ:ゲル法合成シリカの配合質量比は、3:7〜7:3であることが好ましく、3:7〜6:4であることがより好ましく、4:6〜6:4であることが特に好ましい。このような配合比とすることで、沈降法合成シリカ及びゲル法合成シリカを併用したことによる効果がさらにバランスよく得られ、前記接着剤層は、接着性及びインクジェット印刷適性に共により優れたものとなる。
【0024】
前記カチオン樹脂は、インクジェットインクの定着剤として好適なものであり、水に溶解したときに解離してカチオン性を呈するものが好ましい。
なかでも前記カチオン樹脂は、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン若しくは第4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴマー又はポリマーであることが好ましく、前記オリゴマー又はポリマーであることがより好ましい。
前記カチオン樹脂でさらに好ましいものとしては、アルキルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合物、ポリビニルアミン共重合物、ジシアンジアミド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドをモノマーとするオリゴマー又はポリマーが例示でき、アルキルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物であることが特に好ましく、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物であることが最も好ましい。
【0025】
カチオン樹脂は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合には、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0026】
前記組成物において、非剥離性接着剤の配合量100質量部に対する、カチオン樹脂の配合量は、5〜40質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。カチオン樹脂の前記配合量が前記下限値以上であることで、前記接着剤層はインクジェットインクの定着性がより向上する。また、カチオン樹脂の前記配合量が前記上限値以下であることで、前記接着剤層はインクジェットインクの定着性、その他のインクジェット印刷適性及び接着力のバランスが向上する。
【0027】
(その他の成分)
前記組成物は、非剥離性接着剤、非晶質シリカ及びカチオン樹脂以外に、本発明の効果を損なわない範囲内において、さらにこれらに該当しないその他の成分が配合されてなるものでもよい。
前記その他の成分としては、感圧接着剤分野で公知のものが挙げられ、好ましいものとしてはバインダー、密着剤、アンチブロッキング剤、安定剤、溶媒等が例示できる。
【0028】
前記バインダーは、前記接着剤層の強度を向上させるものであり、好ましいものとしては水溶性高分子が例示でき、より具体的には、完全ケン化型ポリビニルアルコール、部分ケン化型ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール;カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール:酸化デンプン;リン酸エステル化デンプン;ローコンス;カゼイン;カルボキシメチルセルロース(CMC)等が例示できる。
これらの中でも、前記接着剤層での印刷濃度の低下が少なく、耐オフセット性も良好である点から、前記バインダーはポリビニルアルコールであることが好ましい。
【0029】
前記密着剤は、非剥離性接着剤と、前記組成物を塗工する後述するシートとの密着性を向上させるものであり、より具体的には、スチレンブタジエンラテックス、ポリイソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリウレタンゴム等が例示できる。
【0030】
前記アンチブロッキング剤としては、天然ゴムとの親和性が小さい微粒子が好ましい。この様なものとしては、前記非晶質シリカに該当しないシリカ微粒子、デンプン(スターチ)、合成ゼオライト、微球状アクリル樹脂、微球状ポリエチレン、アルミナ、酸化チタン、カオリン、タルク等が例示できる。
これらの中でも、前記アンチブロッキング剤は、天然ゴムとの親和性がより小さく、より高いアンチブロッキング効果を実現できることから、デンプンが好ましい。
【0031】
前記安定剤は、天然ゴムラテックスを分散安定化させるためのものであり、具体的にはカルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤や、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルグリコシド等のノニオン性界面活性剤が例示できる。
【0032】
前記溶媒は、前記組成物の粘度を調節したり、配合成分が高い均一性で混合されるようにするために用いるものとして好適である。
前記溶媒としては、水、各種有機溶媒が例示できる。
前記水としては、イオン交換水が好ましい。
前記有機溶媒は、配合成分を劣化させないものであれば特に限定されないが、高極性の有機溶媒が好ましく、具体的には、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の鎖状又は環状ケトン;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の鎖状又は環状エーテル等が例示できる。
【0033】
前記溶媒は水、又は水と高極性の有機溶媒との混合溶媒であることが好ましく、前記混合溶媒は、水の比率が高いほど好ましい。そして、前記溶媒としては、水が特に好ましい。
【0034】
前記その他の成分は、それぞれ一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合には、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0035】
前記組成物における、前記その他の成分の配合量は、その種類や目的に応じて任意に調節できる。例えば、前記溶媒の配合量は、組成物の粘度や撹拌性を考慮して調節すればよく、特に限定されない。
一方、非剥離性接着剤の配合量100質量部に対する、前記溶媒以外のその他の成分の総配合量は、1〜100質量部であることが好ましく、2〜85質量部であることがより好ましい。前記総配合量が前記下限値以上であることで、前記溶媒以外のその他の成分を用いたことによる効果がより高くなり、前記総配合量が前記上限値以下であることで、前記接着剤層は、接着性及びインクジェット印刷適性により優れたものとなる。
【0036】
<感圧接着剤用組成物の製造方法>
前記組成物は、前記非剥離性接着剤、非晶質シリカ、カチオン樹脂、及び必要に応じてその他の成分を配合することで製造できる。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。また、固形の成分は、少なくともその一部を溶媒に溶解させた溶液、又は少なくともその一部を溶媒に分散させた分散物として添加してもよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法、ミキサーを用いて混合する方法、超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。そして、溶解していない成分が溶解又は均一に分散するまで撹拌することが好ましい。
【0037】
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、15〜30℃であることが好ましい。また、配合時間は、配合成分の種類や配合時の温度に応じて適宜調節すればよいが、例えば、0.5〜24時間であることが好ましい。
【0038】
<再剥離性シート>
本発明に係る再剥離性シートは、シートの重ね合わせ面同士が、前記組成物を用いて形成された前記接着剤層で、再剥離可能とされたものであり、シートの重ね合わせ面同士が、前記接着剤層で接着された状態であってもよいし、前記接着剤層で接着される前の剥離した状態であってもよい。
前記シートは、接着剤層を形成する基材であり、接着剤層は、例えば、シートの所定箇所に前記組成物を塗工し、乾燥させることで形成できる。
【0039】
前記シートは、再剥離性シートの使用目的に応じて任意に選択できる。例えば、好ましい再剥離性シートとしては、前記シート(基材)として紙を用いた場合の感圧圧着ハガキ等の感圧圧着紙が例示できる。
【0040】
前記シートの材質は、前記組成物が塗工可能なものであれば特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。前記シートの好ましい材質として、具体的には、原紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、レジンコート紙、合成紙等の紙類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン、ポリイミド等の合成樹脂等が例示できる。
【0041】
シートは、単層からなるものでもよいし、二層以上の複数層からなるもの(複数層が積層されたもの)でもよい。そして、複数層からなる場合、これら複数層の材質は一種のみでもよいし、二種以上でもよく、二種以上である場合、これら材質の組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0042】
シートの材質が前記合成樹脂である場合、シートの表面はマット処理、コロナ処理等の表面処理が施されていることが好ましい。
本発明において、シートは、少なくとも前記組成物の塗布面の材質が紙類であるものが好ましい。
【0043】
シートの厚さは特に限定されないが、通常は50〜200μmであることが好ましく、80〜150μmであることがより好ましい。シートが複数層からなるものである場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲であることが好ましい。
【0044】
前記組成物のシートへの塗工方法は特に限定されず、公知の方法が適宜利用可能であり、好ましい方法としては、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターを用いて塗布する方法が例示できる。
前記組成物は、これを用いて形成された前記接着剤層の表面が、後述する凸部を有するように塗工(塗布)するのに適しており、特にグラビアコーターを用いて塗布するのに好適なものである。そして前記組成物は、他の組成物とは異なり、このような塗工方法によって、シートの重ね合わせ面の接着性とインクジェット印刷適性に優れた感圧接着剤層を形成できる点で、特に優れたものである。
【0045】
グラビアコーターを用いる場合、グラビアロールの形状としては、格子型、ピラミッド型、斜線型、ハニカム型、オープンセル型等が例示でき、格子型であることが好ましい。
また、グラビアロールの線数は、50〜180線/インチ(2.0〜7.1線/mm)であることが好ましく、80〜160線/インチ(3.1〜6.3線/mm)であることがより好ましく、110〜130線/インチ(4.3〜5.1線/mm)であることが特に好ましい。
【0046】
前記組成物が、他の組成物とは異なり、グラビアコーターでの塗工(塗布)に適している理由は、以下のように推測される。
すなわち、グラビアコーターで前記組成物が塗工され、形成された前記接着剤層は、通常、その表面に凸部を有する。凸部は非晶質シリカ、デンプン等の、当該分野における所謂填料(充填剤)の凝集により主に形成される。一方、凹部(凸部ではない部分)は、主に填料及び非剥離性接着剤等により形成される。そして、この凹凸構造を有することにより、前記接着剤層は耐ブロッキング性に優れると推測される。
さらに、前記シートが紙類等の繊維状のものから形成されたものである場合には、凹部には、繊維の隙間が露出しており、インクジェット印刷を行ったときに、この隙間にインクが吸収されるために、インク乾燥性に優れると推測される。
インクの乾燥性が、ゲル法合成シリカの配合によっても向上すること、並びに発色濃度、耐擦過性及び耐水性等のその他のインクジェット印刷適性も、ゲル法合成シリカの配合によって向上することは、先に述べたとおりである。
【0047】
本発明において、前記組成物が塗工され、形成された前記接着剤層は、走査型電子顕微鏡(SEM)等の撮像手段により取得した表面の撮像データにおいて、凸部を識別(マーキング)し、画像解析によって算出した凸部:凹部の面積比が、3:7〜4:6であることが好ましい。前記面積比がこのような範囲であることにより、シートの重ね合わせ面の接着性及びインクジェット印刷適性により優れたものとなる。画像解析時には、例えば、PHOTSHOP等の市販の画像加工ソフトを用いて、撮像データにおける凸部及び凹部を識別し、2値化を行い、2値化したこのデータにおいて、Image pro plus等の市販の画像解析ソフトを用いることで、凸部:凹部の面積比を算出できる。ただし、画像解析の方法は、これに限定されるものではない。
凸部及び凹部の比率は、塗工条件で調節でき、例えば、グラビアコーターでの塗工の場合には、上記のグラビアロールの線数を大きくすることで、凸部の比率が小さくなる。
【0048】
前記組成物の塗工は、一回で行ってもよいし、複数回に分けて行ってもよい。複数回に分けて行う場合には、乾燥させた塗工面上にさらに塗布する方法、乾燥していない塗工面上にさらに塗布する方法のいずれでもよい。
【0049】
前記組成物の塗工量は、組成物の固形分濃度等を考慮して、適宜調節すればよい。通常は、固形分の塗工量が好ましくは3〜15g/m
2、より好ましくは4〜8g/m
2となるように、組成物の塗工量を調節するとよい。固形分の塗工量が前記下限値以上であることで、接着剤層の接着力がより向上し、固形分の塗工量が前記上限値以下であることで、再剥離性がより良好となる。
【0050】
塗工された前記組成物の乾燥は、例えば、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれでおこなってもよい。そして、乾燥温度も特に限定されず、加熱乾燥及び常温乾燥のいずれでもよい。そして、乾燥時間等、その他の乾燥条件は、乾燥方法に応じて適宜設定すればよい。
【0051】
前記接着剤層は、厚さが3〜30μmであることが好ましく、5〜15μmであることがより好ましい。このような範囲であることで、上記のように組成物の固形分の塗工量を限定した場合と同様の効果が得られる。
【0052】
再剥離性シートにおける、印刷が行われていない前記接着剤層の接着力、すなわち、印刷が行われていない前記接着剤層によって、シートの重ね合わせ面同士を互いに接触させて接着させた状態から剥離させたときの、前記シートの重ね合わせ面同士の接着力は、70gf/25mm(0.68N/25mm)以上であることが好ましく、100gf/25mm(0.98N/25mm)以上であることがより好ましく、130gf/25mm(1.27N/25mm)以上であることが特に好ましい。また、前記接着力の上限値は、280gf/25mm(2.75N/25mm)であることが好ましく、250gf/25mm(2.45N/25mm)であることがより好ましい。前記接着力は前記上限値以下であることで、高過ぎることがなく、シートの破れ等の破損が抑制される。ここで、「印刷」とは、文字等の情報記録のことを意味する。
【0053】
なお、ここでは単位「N/25mm」で表される接着力について説明しているが、接着力の測定対象部位が狭く、25mm幅の領域を確保できない場合等においては、25mm未満の幅(mm)の領域で上記と同様に接着力を測定し、25mmに対する幅の比率をこの接着力に乗じて、接着力を25mm幅相当に換算した換算接着力を、単位「N/25mm」で表される接着力として採用することができる。
【0054】
また、本明細書において「シートの破れ」とは、接着剤層で接着されたシートの重ね合わせ面同士を剥離させたときに、剥離強度がシートの表面強度を上回り、シートの一部が接着剤層とともに他方のシート側へ持っていかれ、シートが破損する現象を意味し、シートの材質が紙類である場合に典型的に見られる(この場合「紙破れ」ともいう)ものである。
【0055】
前記接着力は、例えば、再剥離性シートを非印刷領域において感圧接着剤層同士が接触するように折り曲げ、対向する2個の金属ロールをロール面同志が非接触となるようにして備えたシール装置を用いて、折り曲げた再剥離性シートを、前記ロール面間を通過させることにより加圧して、加圧部位の加圧後の厚さが加圧前の厚さの80%となるように、前記シートの重ね合わせ面同士を接着した後、前記再剥離性シートを再剥離させたときに、発現することが好ましい。
このときの再剥離性シートの折り曲げ方は、例えば、後述する実施例のように、Z字状の三つ折りでもよいし、二つ折り等、他の折り曲げ方でもよく、任意に選択でき、特に限定されない。
【0056】
シートの重ね合わせ面に文字等の情報を記録する場合、これら情報は、基材となるシート上に記録されていてもよいし、接着剤層上に記録されていてもよい。そして、情報記録工程は情報の記録部位に応じて適したタイミングで行えばよく、例えば、シート上に情報記録してから接着剤層を形成したり、シート上に接着剤層を形成してからその上に情報記録したりすればよい。
そして、本発明に係る再剥離性シートは、シート上に接着剤層を形成してからその上に、インクジェット印刷法により情報記録するのに特に好適なものである。
【0057】
前記接着剤層の色や透明度は、情報の記録部位を考慮して適宜調節すればよい。例えば、シート上に情報記録する場合には、接着剤層は色が薄いほど、透明度が高いほど好ましく、無色透明であることが特に好ましい。一方、接着剤層上に情報記録する場合には、この限りではない。接着剤層の色や透明度は、前記組成物の配合成分の種類や量等で適宜調節すればよい。
【0058】
前記再剥離性シートとして好ましい感圧圧着ハガキの具体例について、以下、図面を引用しながら説明する。
図1は本発明に係る三つ折りハガキの表面展開図、
図2は
図1に示すハガキの裏面展開図、
図3は
図1のX−X線における断面図、
図4は
図1に示すハガキを折り込む際の状態を説明する図である。また、
図5は本発明に係る二つ折りハガキの表面展開図、
図6は
図5に示すハガキの裏面展開図、
図7は
図5に示すハガキを折り込む際の状態を説明する図である。また、
図8は本発明に係る部分二つ折りハガキの表面展開図、
図9は
図8に示すハガキの裏面展開図、
図10は
図8に示すハガキを折り込む際の状態を説明する図である。
【0059】
図1〜3に示す三つ折りハガキ1は、定型ハガキサイズの3倍のサイズを有する基体シート2から構成され、折り線3a、3bによって三つの領域に区画されるものである。左側区画領域Aの表面には、郵便番号、宛て名、住所等の宛て先情報印刷4が施されている。そして、基体シート2の中央区画領域B及び右側区画領域Cの表面全体と、左側区画領域A及び中央区画領域Bの裏面全体には、感圧接着剤用組成物が塗布及び乾燥され、再剥離可能な感圧接着剤層6が形成されている。そして、左側区画領域Aの裏面、中央区画領域Bの表裏面及び右側区画領域Cの表面の接着剤層6の上には、隠蔽情報印刷5が施されている。このように構成された三つ折りハガキ1は、
図4に示すように、折り線3a、3bにおいてZ型に折り込んで、各区画の重ね合わせ面の接着剤層6同士を対接させ、ドライシーラーで圧力を加えることにより、接着剤層6を介して各区画の重ね合わせ面同士が再剥離可能に接着される。
なお、ここでは表裏二区画ずつ、合計四区画に接着剤層を形成した場合について説明したが、接着剤層をいかなる区画(面)に形成するかは、目的に応じて任意に設定でき、例えば、表裏全区画(面)の六区画に接着剤層を形成してもよい。これは、以下に示すその他の実施形態においても同様である。
【0060】
図5及び6に示す二つ折りハガキ11は、定型ハガキサイズの2倍のサイズを有する基体シート2から構成され、中央部の折り線3によって二つの領域に区画されるものである。左側区画領域Dの表面には、郵便番号、宛て名、住所等の宛て先情報印刷4が施されている。そして、基体シート2の左側区画領域D及び右側区画領域Eの裏面全体に、感圧接着剤用組成物が塗布及び乾燥され、再剥離可能な感圧接着剤層6が形成されている。そして、左側区画領域D及び右側区画領域Eの裏面の接着剤層6の上には、隠蔽情報印刷5が施されている。このように構成された二つ折りハガキ11は、上記の三つ折りハガキと同様に、
図7に示すように、折り線3で折り込み、重ね合わせ面となる左側区画領域D及び右側区画領域E裏面の接着剤層6同士を対接させ、圧力を加えることにより、感圧接着剤層6を介して各区画の重ね合わせ面同士が再剥離可能に接着される。
【0061】
図8及び9に示す部分二つ折りハガキ21は、定型ハガキサイズの1.5倍のサイズを有する基体シート2から構成され、折り線3によってサイズが異なる左右2つの領域に区画されるものである。左側区画領域Fの表面には、郵便番号、宛て名、住所等の宛て先情報印刷4が施されている。そして、基体シート2の右側区画領域Gの裏面全体、及び区画領域Gを折り線3で折り込んだ際に重ね合わされる区画領域Fの一部裏面に、感圧接着剤用組成物が塗布及び乾燥され、再剥離可能な感圧接着剤層6が形成されている。そして、右側区画領域Gの裏面及び左側区画領域Fの前記一部裏面の感圧接着剤層6の上には、隠蔽情報印刷5が施されている。このように構成された部分二つ折りハガキ21は、上記の二つ折りハガキと同様に、
図10に示すように、折り線3で折り込み、重ね合わせ面となる右側区画領域Gの裏面及び左側区画領域Fの前記一部裏面の感圧接着剤層6同士を対接させ、圧力を加えることにより、接着剤層6を介して各区画の重ね合わせ面同士が再剥離可能に接着される。
【0062】
これら実施形態においては、感圧接着剤層6の上に隠蔽情報印刷5を施した例を示したが、隠蔽情報印刷5を基体シート2の対応箇所に直接施すことも可能であり、受取人が重ね合わせ面を再剥離させることにより、感圧接着剤層6の下に形成された隠蔽情報5を読み取ることができる。ただし、読み取りの容易さの観点からは、感圧接着剤層6の上に隠蔽情報印刷5を施すことが好ましい。
【0063】
本発明に係る再剥離性シートは、シートの重ね合わせ面に文字や画像等の各種情報を記録した秘匿情報記録シートとして好適である。また、ここでは、感圧圧着ハガキについて説明したが、基材となるシートの材質や形状、接着剤層の形成部位等、組成物以外の構成を適宜最適に選択することで、種々の用途に適用できる。
【実施例】
【0064】
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
【0065】
<再剥離性シートの製造、並びに感圧接着剤層の耐摩耗性及び接着力の評価>
[実施例1]
(感圧接着剤用組成物の製造)
天然ゴムにメタクリル酸メチルをグラフト重合させた変性ラテックス(非剥離性接着剤)100質量部、沈降法合成シリカ(以下、「沈降法Si」と略記することがある)(東ソーシリカ社製「E200」、D
50:3μm、吸油量:260mL/100g、比表面積:130m
2/g)15質量部、ゲル法合成シリカ(以下、「ゲル法Si」と略記することがある)(東ソーシリカ社製「AY−8A2」、D
50:8μm、吸油量:250mL/100g、比表面積:350m
2/g)15質量部、カチオン樹脂(ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物)20質量部、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」と略記することがある)(クラレ社製「PVA117」)7質量部、スチレンブタジエンラテックス(以下、「SBR」と略記することがある)4質量部、スターチ(ロケット社製「アクチサイズ」)46質量部を添加し、25℃で2時間混合して、感圧接着剤用組成物を製造した。各成分の配合量を表1に示す。
【0066】
(再剥離性シートの製造)
厚さが135μmの紙製シート(日本製紙社製)の両面上に、得られた組成物を、グラビアコーターを用いて塗工し、100〜150℃で乾燥させ、厚さが12.5μmである感圧接着剤層を両面に形成して、再剥離性シートを得た。このときの固形分の塗工量は5g/m
2であった。なお、グラビアロールとしては、格子型で線数が120線/インチ(4.7線/mm)のものを用いた。
【0067】
(感圧接着剤層の接着力の評価)
得られた再剥離性シートを、23℃、相対湿度50%の環境下に置いて12時間調湿した後、感圧接着剤層同士が接触するようにこの再剥離性シートをZ字状に三つ折りして試験片とし、この試験片をロールシーラー(トッパン・フォームズ社製「プレッスルマルチ」)で加圧し、シートの重ね合わせ面同士を接着した。このときの加圧は、再剥離性シートの加圧部位の加圧後の厚さが加圧前の厚さの80%となるようにして行った。前記ロールシーラーは、対向する2個の金属ロールをロール面同志が非接触となるようにして備えたものであり、再剥離性シートは、このロール面間を通過させることにより加圧した。なお、加圧前後の再剥離性シートの厚さは、紙厚計(シチズン社製「MEI−11」を用いて測定した。
【0068】
さらに、この加圧後にロールシーラーから排出された試験片について、二組の重ね合わせ面(接着面)のうち、一方においてシート同士を剥離させ、残った他方の重ね合わせ面について、剥離試験機(島津製作所社製「オートグラフAGSH」)を用いて、剥離速度300mm/分でT型剥離を行い、このときの接着力を測定し、下記評価基準で評価した。結果を表2に示す。
接着力が70gf/25mm(0.68N/25mm)以上である:○
接着力が50gf/25mm(0.49N/25mm)以上、70gf/25mm未満である:△
接着力が50gf/25mm未満である、又はシートが破れた:×
【0069】
(感圧接着剤層のインクジェット印刷適性(発色濃度)の評価)
インクジェットプリンタ(キャノン社製「iP3100」)にサイテックス黒インクを充填し、得られた再剥離性シートの感圧接着剤層に対して2cm×2cmのサイズでべた印刷(単色印刷)を行い、反射濃度計(X−Rite)を用いて前記印刷部位の発色濃度を測定し、下記評価基準で評価した。結果を表2に示す。
発色濃度が1.1以上である:○
発色濃度が0.9以上、1.1未満である:△
発色濃度が0.9未満である:×
【0070】
(感圧接着剤層のインクジェット印刷適性(インク乾燥性)の評価)
インクジェットプリンタ(キャノン社製「iP3100」)にサイテックス黒インクを充填し、得られた再剥離性シートの感圧接着剤層に対して2cm×2cmのサイズでべた印刷(単色印刷)を行い、排紙直後のインクの乾燥性を下記評価基準で評価した。結果を表2に示す。
インクが直ちに吸収乾燥した:○
インクが直ちには吸収乾燥せず、感圧接着剤層の表面が僅かに濡れた状態であった:△
インクが直ちには吸収乾燥せず、感圧接着剤層の表面にしばらくの間残った:×
【0071】
(感圧接着剤層のインクジェット印刷適性(耐擦過性)の評価)
インクジェットプリンタ(キャノン社製「iP3100」)にサイテックス黒インクを充填し、得られた再剥離性シートの感圧接着剤層に対して幅2mmでライン印字(単色印刷)を行い、次いで10μLの水滴を含ませたキムワイプで前記ラインを擦り、インクの剥がれ具合(耐擦過性)を目視により下記評価基準で評価した。結果を表2に示す。
インクの剥がれがないか、又はインクの剥がれがほとんど目立たない:○
インクの剥がれが僅かに認められる:△
インクの剥がれがはっきりと認められる:×
【0072】
(感圧接着剤層のインクジェット印刷適性(耐水性)の評価)
インクジェットプリンタ(キャノン社製「iP3100」)にサイテックス黒インクを充填し、得られた再剥離性シートの感圧接着剤層に対して幅2mmでライン印字(単色印刷)を行い、次いで前記ライン上に10μLの水滴を滴下し、インクの溶出度合い(耐水性)を目視により下記評価基準で評価した。結果を表2に示す。
インクの溶出がない:○
インクの溶出が僅かに生じている:△
インクの溶出がはっきりと生じている:×
【0073】
(感圧接着剤層のインクジェット印刷適性(耐オフセット性)の評価)
インクジェットプリンタ(キャノン社製「iP3100」)にサイテックス黒インクを充填し、得られた再剥離性シートの感圧接着剤層に対して2cm×2cmのサイズでべた印刷(単色印刷)を行い、次いで再剥離性シートを折り曲げて、前記印刷面と、印刷を行っていない面とを、これらの感圧接着剤層同士が接触するように重ねて、接着力が150gf/25mmとなる条件で加圧した。次いでこの試験片を20分間養生した後、手で重ね合わせ面を再剥離させたときの、上記の印刷を行っていない面へのインクオフセット(耐オフセット性)を下記評価基準で評価した。結果を表2に示す。
インクオフセットがほとんどない:○
インクオフセットがわずかに見られる:△
インクオフセットが顕著に多く見られる:×
【0074】
[実施例2]
表1に示すように、沈降法合成シリカの配合量を15質量部に代えて12.4質量部とし、ゲル法合成シリカの配合量を15質量部に代えて18.6質量部とした点以外は、実施例1と同様の方法で再剥離性シートを製造し、感圧接着剤層を評価した。結果を表2に示す。
【0075】
[実施例3]
表1に示すように、沈降法合成シリカの配合量を15質量部に代えて18.6質量部とし、ゲル法合成シリカの配合量を15質量部に代えて12.4質量部とした点以外は、実施例1と同様の方法で再剥離性シートを製造し、感圧接着剤層を評価した。結果を表2に示す。
なお、このとき同時に、金属ロールのロール面間の距離を種々変化させ、加圧前後の再剥離性シートの厚さを測定した後、下記式によりシート厚潰れ率を算出し、シートの破れ、接着力との関係を調べた。結果を表3に示す。
シート厚潰れ率(%)=(加圧後の再剥離性シートの厚さ/加圧前の再剥離性シートの厚さ)×100
【0076】
[実施例4]
表1に示すように、沈降法合成シリカの配合量を15質量部に代えて17.5質量部とし、ゲル法合成シリカの配合量を15質量部に代えて17.5質量部とした点以外は、実施例1と同様の方法で再剥離性シートを製造し、感圧接着剤層を評価した。結果を表2に示す。
【0077】
なお、実施例1〜4において、形成した感圧接着剤層の表面について、上述の方法に従い、走査型電子顕微鏡(SEM)によって140倍の倍率で取得した撮像データを用い、凸部を識別(マーキング)して、画像解析によって凸部:凹部の面積比を求めたところ、いずれも3:7〜4:6の範囲内に含まれていた。
【0078】
[比較例1]
表1に示すように、沈降法合成シリカを配合せず、ゲル法合成シリカの配合量を15質量部に代えて30質量部とした点以外は、実施例1と同様の方法で再剥離性シートを製造し、感圧接着剤層を評価した。結果を表2に示す。
【0079】
[比較例2]
表1に示すように、沈降法合成シリカの配合量を15質量部に代えて30質量部とし、ゲル法合成シリカを配合しなかった点以外は、実施例1と同様の方法で再剥離性シートを製造し、感圧接着剤層を評価した。結果を表2に示す。
【0080】
[比較例3]
表1に示すように、沈降法合成シリカの配合量を15質量部に代えて10質量部とし、ゲル法合成シリカの配合量を15質量部に代えて10質量部とした点以外は、実施例1と同様の方法で再剥離性シートを製造し、感圧接着剤層を評価した。結果を表2に示す。
【0081】
[比較例4]
カチオン樹脂を配合しなかった点以外は、実施例1と同様の方法で再剥離性シートを製造し、感圧接着剤層を評価した。結果を表2に示す。
【0082】
[参考例1]
感圧接着剤用組成物の紙製シートへの塗工を、グラビアコーターを用いた方法(グラビア印刷法)に代えて、ワイヤーバーを用いた方法で行った点以外は、実施例1と同様の方法で再剥離性シートを製造し、感圧接着剤層を評価した。結果を表2に示す。また、各成分の配合量を表1に示す。
【0083】
なお、参考例1において、形成した感圧接着剤層の表面について、実施例1〜4の場合と同様の方法で撮像データを取得したところ、上記のような凸部及び凹部を明確に識別することはできず、表面は均質性が高かった。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
上記結果から明らかなように、非剥離性接着剤、非晶質シリカ及びカチオン樹脂が配合されてなり、非晶質シリカが沈降法合成シリカ及びゲル法合成シリカからなり、非晶質シリカの配合量が特定範囲にある感圧接着剤用組成物を用いた実施例1〜4では、グラビア印刷法で形成した感圧接着剤層が、シートが破れない範囲で接着力が大きく、優れたインクジェット印刷適性を有していた。
【0088】
これに対して、感圧接着剤用組成物として、沈降法合成シリカを配合しなかったものを用いた比較例1では、接着力が小さく、耐オフセット性も劣っていた。
一方、感圧接着剤用組成物として、ゲル法合成シリカを配合しなかったものを用いた比較例2では、耐擦過性が悪く、インク乾燥性も劣っていた。
感圧接着剤用組成物として、沈降法合成シリカ及びゲル法合成シリカの総配合量(非晶質シリカの配合量)が20質量部と少ないものを用いた比較例3では、インク乾燥性及び耐オフセット性が悪く、耐擦過性及び耐水性も劣っていた。
感圧接着剤用組成物として、カチオン樹脂を配合しなかったものを用いた比較例4では、インク乾燥性、耐擦過性及び耐水性が悪く、定着性が低かった。また、発色濃度及び耐オフセット性も劣っていた。
ワイヤーバーを用いて感圧接着剤用組成物を塗工した参考例1では、接着力が大き過ぎてシートが破れ、インク乾燥性も悪く、耐擦過性も劣っていた。
【0089】
なお、表3に示すように、実施例3では、シート厚潰れ率が74%以下ではシートの破れが生じ易く、シート厚潰れ率が88%以上では接着力が小さくなっていた。