(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る鉱山用運搬車両を用いた前方車両検出システムを実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0018】
[第1実施形態]
本第1実施形態は、鉱山用運搬車両であるダンプトラック1に、検出方向を固定させて取り付けられた複数、例えば2台のミリ波センサ2a,2bにて他のダンプトラック1等の先行して走行する前方車両αを検出する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るダンプトラック1が用いられる鉱山を示す概略図である。
図2は、ダンプトラック1を示す概略図である。
図3は、ダンプトラック1の走行駆動装置3を示す概略図である。
【0019】
ダンプトラック1は、
図1に示すように、鉱山に予め設けられた走行路である搬送エリアAを自律走行可能な無人走行式とされている。鉱山には、例えばショベルβ等でダンプトラック1に土砂等の積荷γを積み込むための積込エリアBと、積込エリアBにて積み込まれた積荷γを放土する放土エリアCと、メンテナンス等の際にダンプトラック1を駐機させる駐機エリアDとが設けられている。これらエリアB〜Dは、搬送エリアAにてつながっている。鉱山には、ダンプトラック1との間で所定の情報を送受信し、複数のダンプトラック1の走行等の交通管制を行う管制センタ11が設置されている。
【0020】
ダンプトラック1は、
図2に示すように、車両本体1aと、車両本体1aの前側上方に設けられたキャビンである運転席1bと、車両本体1a上に起伏可能に設けられた荷台1cと、荷台1cを上下動させるホイストシリンダ(図示せず)と、車両本体1aを走行可能に支持する左右の前輪1dおよび後輪1eとを備えている。
【0021】
図3に示すように、ダンプトラック1は、走行駆動装置3を備えている。走行駆動装置3は、エンジン3aと、エンジン3aにて駆動される発電機3bと、発電機3bにて発電された電力が供給される電力制御装置3cと、後輪1eを駆動させるための走行モータ3dとを有している。走行モータ3dへの供給電力は、電力制御装置3cにて制御される。電力制御装置3cは、コントローラ4に接続され、コントローラ4にて制御される。コントローラ4は、
図4に示すように、電力制御装置3cを介して、車両本体1aを操舵するための操舵装置のステアリングモータ3eや、車両本体1aを制動させるための制動装置であるブレーキ装置3f等の駆動も制御する。
【0022】
車両本体1aの前側には、車両本体1aの周囲、特に走行方向前方を認識するための外界認識装置2が取り付けられている。外界認識装置2は、認識した搬送エリアA上の障害物、特に前方車両αを検出するもので、
図2に示すように、高さ方向(上下方向)の異なる位置に取り付けられた複数、例えば2台のミリ波センサ2a,2bを備えている。
【0023】
ミリ波センサ2a,2bは、ミリ波を照射し反射するミリ波に基づき前方車両α等の障害物を検出する障害物検出部であり、ミリ波の照射方向、すなわち検出方向が水平方向に角度固定されて取り付けられている。ミリ波センサ2a,2bは、例えば水平方向から上下方向のそれぞれに約3°〜5°程度の照射範囲に亘ってミリ波を照射する。ミリ波センサ2a,2bは、車両本体1aの前面の幅方向の中心位置であって、上下方向である鉛直方向に揃えた状態とされて取り付けられている。
【0024】
ミリ波センサ2aは、例えば地上から1.5m程度の高さ位置に取り付けられ、ミリ波センサ2bは、例えば地上から4m〜5m程度の高さ位置に取り付けられている。これらミリ波センサ2a,2bは、遠方の車両を検出する構成とされており、上側のミリ波センサ2bは、下側のミリ波センサ2aに比べ、車両本体1aに近い位置が検出範囲外となっている。
【0025】
車両本体1aには、
図4に示すように、ミリ波センサ2a,2bに加え、車両本体1a外部の状況を検出するためのステレオカメラ2c、レーザレーダ2d、車両本体1aの位置を検出するための位置検出部としてのGPS装置2e、車両本体1aの傾きを検出するための傾き検出部としてのIMU装置2f、車両本体1aの車速を検出するための車速センサ2g等が車載センサとして取り付けられている。
【0026】
コントローラ4には、車両本体1aの周囲(外環境)を認識するための環境認識部5と、車両本体1aの自己位置を推定するための自己位置推定部6と、荷台1cに積み込まれた積荷γの積載重量を検出するための積載重量検出部7とが接続されている。環境認識部5は、外界認識装置2にて検出された検出情報が入力され、この検出情報に基づいて、例えば前方車両α、路肩位置等の外界情報を取得する。すなわち、環境認識部5は、ミリ波センサ2a,2bを用いた前方車両α等の障害物検出に加え、例えばステレオカメラ2cでの撮影情報や、レーザレーダ2dでの検出情報に基づき、搬送エリアAの路肩や、搬送エリアA上の土埃の発生を検出する。
【0027】
環境認識部5は、GPS装置2eにて検出される走行位置情報に基づき自己位置推定部6にて推定した自己位置を、記憶部8に記憶させた地図情報にあてはめる等して、所定箇所の傾斜角を算出し、この算出した傾斜角に応じて、上側または下側のミリ波センサ2a,2bの検出情報を補正する検出情報補正部でもある。
【0028】
自己位置推定部6は、例えばGPS装置2e、IMU装置2fおよび車速センサ2g等にて検出された検出情報が入力され、この検出情報に基づいて、車両本体1aの搬送エリアAにおける検出時の自己位置を推定する。自己位置推定部6は、ダンプトラック1が走行する鉱山に関する地図情報が予め記憶された記憶部8に接続され、GPS装置2eによる走行位置情報を、記憶部8に記憶させた地図情報に対比して検出時の自己位置を推定する。記憶部8に記憶されている地図情報には、鉱山上のダンプトラック1が走行する搬送エリアA上の各箇所の傾斜角度に関する傾斜角情報も含まれている。記憶部8には、地図情報上の搬送エリアAにおいて、ミリ波センサ2a,2bによる検出を走行環境に応じて役割分担させるための情報も記憶されている。この情報としては、上側のミリ波センサ2bにて検出を行う上り坂手前位置情報および下り坂終端手前位置情報や、下側のミリ波センサ2aにて検出を行う上り坂終端手前位置情報および下り坂手前位置情報等がある。
【0029】
積載重量検出部7は、車体本体1aの所定箇所に設けられたロードセル(図示せず)にて検出されたひずみ量に基づき、例えばひずみ量に対応させて予め定めた積載重量テーブル等から、荷台1cに積まれた積荷γの積載重量を算出し、この算出した積載重量に応じた積載重量情報がコントローラ4へ出力される。環境認識部5は、積載重量検出部7から出力される積載重量情報に基づき、積載重量に対応させてダンプトラック1のしずみ量を定めたしずみ量テーブルを参照し、ダンプトラック1のしずみ量を算出し、この算出したしずみ量に応じて、ミリ波センサ2a,2bの検出情報を補正する。なお、積載重量検出部7としては、荷台1cに積まれた積荷γの積載重量に応じて変換するサスペンション(図示せず)の変位や油圧の変化から、積荷γの積載重量を検出する構成としてもよい。
【0030】
コントローラ4は、所定の情報を管制センタ11に送受信させるための通信部9に接続され、通信部9を介して、環境認識部5にて検出した外界情報や、自己位置推定部6にて推定した自己位置に関する位置情報を管制センタ11へ送信し、ダンプトラック1の自律走行情報等を管制センタ11から受信する。
【0031】
管制センタ11は、各ダンプトラック1が走行する搬送エリアA等の鉱山の地図情報が予め記憶された記憶部12と、記憶部12に記憶させた地図情報に基づき各ダンプトラック1の運行を管理する運行管理部13とを備えている。運行管理部13は、所定のダンプトラック1の通信部9に対し、そのダンプトラック1の目的地、走行経路、走行許可地区等の搬送情報を送信する通信部でもある。
【0032】
運行管理部13には、ダンプトラック1の配車管理を行う配車管理部14と、鉱山を走行するすべての車両の交通を管制する交通管制部15とが接続され、記憶部12に記憶させた地図情報と、配車管理部14から出力される配車管理情報と、交通管制部15から出力される交通管制情報とに基づき、予め定めた運行パターン等に対比させて、各ダンプトラック1等の運行管理データを作成し、この運行管理データに基づく各ダンプトラック1の搬送情報を、各ダンプトラック1へ無線送信する。各ダンプトラック1は、管制センタ11の運行管理部13から受信した搬送情報に基づいてコントローラ4にて電力制御装置3cが制御され、各ダンプトラック1が自律走行される。
【0033】
<検出方法>
次いで、上記第1実施形態に係るダンプトラック1のミリ波センサ2a,2bを用いた前方車両αの検出について、
図5ないし
図9を参照して説明する。
図5は、ダンプトラック1の平坦路での前方車両αの検出を示す説明図である。
図6は、ダンプトラック1の上り坂手前位置での前方車両αの検出を示す説明図である。
図7は、ダンプトラック1の上り坂終端手前位置での前方車両αの検出を示す説明図である。
図8は、ダンプトラック1の下り坂手前位置での前方車両αの検出を示す説明図である。
図9は、ダンプトラック1の下り坂終端手前位置での前方車両αの検出を示す説明図である。
【0034】
(平坦路)
搬送エリアA中の平坦路を走行している状態では、
図5に示すように、下側のミリ波センサ2aでのミリ波の照射範囲a1中、および上側のミリ波センサ2bでのミリ波の照射範囲b1中のそれぞれに、前方を走行する前方車両αが入っており、この前方車両αを検出できる。環境認識部5は、自己位置推定部6にて推定した自己位置に基づいて、記憶部8に記憶された地図情報から車両本体1aの傾きを算出し、この算出した傾きから、現在走行している搬送エリアAの路面が平坦路と判定した場合に、各ミリ波センサ2a,2bにて前方車両αを検出する。
【0035】
このとき、下側のミリ波センサ2aによる検出情報と、上側のミリ波センサ2bによる検出情報とをコントローラ4にて比較し、比較した検出情報の相違が、予め定めた所定の閾値以上の場合には誤検知とし、必要に応じ運転席1b等に設けられたエラーランプ(図示せず)を点灯させたり、より危険度の高い側の検出情報に基づいて前方車両aの検出を行ったり、各ミリ波センサ2a,2bによる前方車両αの検出を再度行ったりする。
【0036】
(上り坂手前)
搬送エリアA中の上り坂に差し掛かる手前位置を走行している状態では、
図6に示すように、搬送エリアAが前方で上側に傾斜しており、この傾斜した前方の搬送エリアAによって各ミリ波センサ2a,2bでのミリ波の照射範囲a2,b2が縮小化され狭くなる。具体的に、下側のミリ波センサ2aでのミリ波の照射範囲a2中には、上り坂を走行している前方車両αが入らず検出できない。
【0037】
一方、上側のミリ波センサ2bでのミリ波の照射範囲b2中には、上り坂を走行している前方車両αが入っており検出できる。環境認識部5は、自己位置推定部6にて推定した自己位置に基づいて、記憶部8に記憶された地図情報および上り坂手前位置情報から、現在走行している搬送エリアA上の走行位置が上り坂手前位置と判定した場合に、上側のミリ波センサ2bから出力される検出情報に基づいて前方車両αを検出する。
【0038】
同時に、環境認識部5は、自己位置推定部6にて推定した自己位置を、記憶部8に記憶させた地図情報にあてはめる等して、上り坂の傾斜角を算出し、この算出した傾斜角に応じて、上側のミリ波センサ2bの検出情報を補正する。具体的には、自己位置から上り坂始端までの距離と、上り坂の傾斜角に応じた上り坂の走行距離との足し合せた距離を、前方車両αまでの距離とする。
【0039】
(上り坂終端)
搬送エリアA中の上り坂終端の手前位置を走行している状態では、
図7に示すように、搬送エリアAが前方で下方に傾斜した状態となり、この傾斜した前方の搬送エリアAを走行する前方車両αが、上側のミリ波センサ2bでのミリ波の照射範囲b3中に入らず検出できない。
【0040】
一方、下側のミリ波センサ2aでのミリ波の照射範囲a3中には、上り坂を通過し平坦路を走行する前方車両αが入っており検出できる。環境認識部5は、自己位置推定部6にて推定した自己位置に基づいて、記憶部8に記憶された地図情報および上り坂終端手前位置情報から、現在走行している搬送エリアA上の走行位置が上り坂終端手前位置と判定した場合に、下側のミリ波センサ2aから出力される検出情報に基づいて前方車両αを検出する。
【0041】
同時に、環境認識部5は、自己位置推定部6にて推定した自己位置を、記憶部8に記憶させた地図情報にあてはめる等して、上り坂の傾斜角を算出し、この算出した傾斜角に応じて、下側のミリ波センサ2aの検出情報を補正する。具体的には、上り坂の傾斜角に応じた自己位置から上り坂終端までの距離と、平坦な路面の走行距離とを足し合せた距離を、前方車両αまでの距離とする。
【0042】
(下り坂手前)
搬送エリアA中の下り坂に差し掛かる手前位置を走行している状態では、
図8に示すように、搬送エリアAが前方で下方に傾斜しており、この傾斜した前方の搬送エリアAを走行する前方車両αが、上側のミリ波センサ2bでのミリ波の照射範囲b4中に入らず検出できない。
【0043】
一方、下側のミリ波センサ2aでのミリ波の照射範囲a4中には、下り坂を走行している前方車両αが入っており検出できる。環境認識部5は、自己位置推定部6にて推定した自己位置に基づいて、記憶部8に記憶された地図情報および下り坂手前位置情報から、現在走行している搬送エリアA上の走行位置が下り坂手前位置と判定した場合に、下側のミリ波センサ2aから出力される検出情報に基づいて前方車両αを検出する。
【0044】
同時に、環境認識部5は、自己位置推定部6にて推定した自己位置を、記憶部8に記憶させた地図情報にあてはめる等して、下り坂の傾斜角を算出し、この算出した傾斜角に応じて、下側のミリ波センサ2aの検出情報を補正する。具体的には、自己位置から下り坂始端までの距離と、下り坂の傾斜角に応じた下り坂の走行距離とを足し合せた距離を、前方車両αまでの距離とする。
【0045】
(下り坂終端)
搬送エリアA中の下り坂終端の手前位置を走行している状態では、
図9に示すように、搬送エリアAが前方で上側に傾斜した状態となり、この傾斜した前方の搬送エリアAによって各ミリ波センサ2a,2bでのミリ波の照射範囲a5,b5が縮小化され狭くなる。すなわち、下側のミリ波センサ2aでのミリ波の照射範囲a5中には、下り坂を通過し平坦路を走行する前方車両αが入らず検出できない。
【0046】
一方、上側のミリ波センサ2bでのミリ波の照射範囲b5中には、下り坂を通過し平坦路を走行する前方車両αが入っており検出できる。環境認識部5は、自己位置推定部6にて推定した自己位置に基づいて、記憶部8に記憶された地図情報および下り坂終端手前位置情報から、現在走行している搬送エリアA上の走行位置が下り坂終端手前位置と判定した場合に、上側のミリ波センサ2bから出力される検出情報に基づいて前方車両αを検出する。
【0047】
同時に、環境認識部5は、自己位置推定部6にて推定した自己位置を、記憶部8に記憶させた地図情報にあてはめる等して、下り坂の傾斜角を算出し、この算出した傾斜角に応じて、上側のミリ波センサ2bの検出情報を補正する。具体的には、下り坂の傾斜角に応じた自己位置から下り坂終端までの距離と、平坦な路面の走行距離とを足し合せた距離を、前方車両αまでの距離とする。
【0048】
(走行制御)
コントローラ4は、環境認識部5にて検出した前方車両αに関する前方車両情報、および自己位置推定部6にて推定した自己位置情報を、位置情報として通信部9を介して管制センタ11の運行管理部13へ送信する。このとき、コントローラ4は、ミリ波センサ2a,2bでの検出情報に基づいて算出した前方車両αまでの距離情報を、ダンプトラック1のしずみ量に応じて補正する。
【0049】
管制センタ11は、各ダンプトラック1から送信されてくる位置情報に基づき、記憶部12に記憶させた地図情報、配車管理部14から出力される配車管理情報、および交通管制部15から出力される交通管制情報を考慮した各ダンプトラック1の搬送情報を運行管理部13にて作成し、この作成した搬送情報を各ダンプトラック1の通信部9へ無線送信する。各ダンプトラック1は、管制センタ11の運行管理部13から受信した搬送情報に基づいてコントローラ4にて電力制御装置3cが制御され、前方車両αの位置および走行速度が考慮された自律走行とされる。
【0050】
特に、管制センタ11の運行管理部13は、環境認識部5で検出した障害物の位置情報を、運行管理部13の情報と照らし合わせ、検出した障害物の車両を特定してダンプトラック1へ無線送信する。或いは、運行管理部13は、その障害物が識別不能と判断した場合に、サービスカー等の車両を出動させて障害物を確認させ、必要に応じてグレーダ等のメンテナンスカーを出動させて除去させる。同時に、解析した障害物に応じた走行・停止・回避制御を含む搬送情報を各ダンプトラック1へ無線送信し、各ダンプトラック1の自律走行を制御して、所定のダンプトラック1の障害物への衝突を回避させる。
【0051】
<作用効果>
以上により、上記第1実施形態に係るダンプトラック1においては、複数、例えば2台の固定式のミリ波センサ2a,2bを車両本体1aの高さ方向の異なる位置に取り付けた構成としている。この構成により、ダンプトラック1が走行する搬送エリアAの勾配が変化している場合においても、ミリ波センサ2a,2bでのミリ波の照射範囲a1,b1が上下方向にずれるため、いずれか一方のミリ波センサ2a,2bにて検出できない前方車両αを、いずれか他方のミリ波センサ2b,2aにて検出することが可能となる。
【0052】
特に、
図6に示す上り坂手前位置や、
図9に示す下り坂終端手前位置において、下側のミリ波センサ2aでのミリ波の照射範囲a2,a5に入らず検出できない前方車両αが、上側のミリ波センサBでのミリ波の照射範囲b2,b5に入り検出できる。また、
図7に示す上り坂終端手前位置や、
図8に示す下り坂手前位置において、上側のミリ波センサ2bでのミリ波の照射範囲b3,b4に入らず検出できない前方車両αが、下側のミリ波センサ2aでのミリ波の照射範囲a3,a4に入り検出できる。よって、勾配が変化する搬送エリアAにおいても、前方車両αを適切に検出でき、ダンプトラック1での前方車両αの検出範囲を拡大できる。
【0053】
さらに、ミリ波センサ2a,2bの検出情報は、荷台1cの積荷γの積載重量に応じたダンプトラック1のしずみ量に応じて変化する。このため、積載重量検出部7にて検出した積載重量情報に基づき、環境認識部5にてミリ波センサ2a,2bの検出情報を補正する。この結果、ダンプトラック1の積荷γの積載重量の変化に伴う前方車両αまでの距離等の算出誤差を少なくでき、管制センタ11に送信する位置情報をより正確にできるため、管制センタ11による複数のダンプトラック1の運行管理をより正確にできる。
【0054】
[第2実施形態]
図10は、本発明の第2実施形態に係るダンプトラック1Aを示す概略図である。
図11は、ダンプトラック1Aと管制センタ11との関係を示す概略構成図である。本第2実施形態が前述した第1実施形態と異なるのは、第1実施形態は、高さ方向が異なる位置に取り付けられた2台の固定式のミリ波センサ2a,2bにて前方車両αを検出したのに対し、第2実施形態は、検出方向が可変とされた1台の可変式のミリ波センサ21にて前方車両αを検出する。なお、本第2実施形態において、第1実施形態と同一又は対応する部分には同一符号を付している。
【0055】
<構成>
本第2実施形態において、ミリ波センサ21は、
図10に示すように、上記第1実施形態に係るミリ波センサ2aと同様に、ダンプトラック1Aの車両本体1aの前面の幅方向の中心位置であって、例えば地上から1.5m程度の高さ位置に取り付けられている。ミリ波センサ21は、
図11に示すように、ミリ波センサ21でのミリ波の照射範囲aの中心方向、すなわち検出方向(照射方向)bを上下方向に角度調整可能とさせる検出方向調整部としての駆動部22に取り付けられている。駆動部22は、コントローラ4に接続され、コントローラ4にて駆動制御される。
【0056】
ミリ波センサ21は、コントローラ4による駆動部22の駆動制御によってミリ波の照射範囲aが変更される。ミリ波センサ21は、ダンプトラック1Aの自己位置が、搬送エリアA中の平坦路を走行しているとコントローラ4にて判断された場合に、ミリ波センサ21でのミリ波の検出方向bが水平方向に調整される。
【0057】
<検出方法>
次いで、上記第2実施形態に係るダンプトラック1Aのミリ波センサ21を用いた前方車両αの検出について、
図12および
図13を参照して説明する。
図12は、ダンプトラック1Aの上り坂手前位置での前方車両αの検出を示す説明図である。
図13は、ダンプトラック1Aの上り坂終端手前位置での前方車両αの検出を示す説明図である。
【0058】
ダンプトラック1Aの自己位置が、
図12に示すように、搬送エリアA中の予め定めた上り坂に差し掛かる手前の所定位置、または下り坂終端手前の所定位置とコントローラ4にて判断された場合は、ミリ波センサ21でのミリ波の検出方向bが、水平方向から上方に、所定角度θほど駆動部22にて駆動されて検出方向b´とされ、ミリ波センサ21のミリ波照射位置(目標注視点距離)cが上方に調整される。この場合には、記憶部8に記憶させた地図情報にダンプトラック1Aの自己位置をあてはめる等して算出した、前方の搬送エリアAによるミリ波センサ21でのミリ波の照射範囲の縮小化に対応させて、ミリ波センサ21でのミリ波の検出方向bを徐々に変化させても良い。
【0059】
また、ダンプトラック1Aの自己位置が、
図13に示すように、上り坂終端手前の所定位置とコントローラ4にて判断された場合は、ミリ波センサ21でのミリ波の検出方向bが、水平方向から下方に、所定角度θほど駆動部22にて駆動されて検出方向b´´とされ、ミリ波センサ21のミリ波照射位置(目標注視点距離)cが下方に調整される。この場合には、前方の平坦な搬送エリアAを走行する前方車両αが検出可能となる照射範囲に対応させて、ミリ波センサ21でのミリ波の検出方向bを徐々に変化させても良い。
【0060】
<作用効果>
以上により、上記第2実施形態に係るダンプトラック1Aにおいては、ミリ波の検出方向bを上下方向に調整可能とした1台のミリ波センサ21にて前方車両αを検出するようにし、ダンプトラック1Aの自己位置が、搬送エリアA中の予め定めた上り坂に差し掛かる手前の所定位置、または下り坂終端手前の所定位置とコントローラ4にて判断された場合に、ミリ波センサ21でのミリ波の検出方向bを上方へ調整する。また、搬送エリアA中の予め定めた下り坂に差し掛かる手前の所定位置、または上り坂終端手前の所定位置とコントローラ4にて判断された場合には、ミリ波センサ21でのミリ波の検出方向bを下方へ調整する構成にしている。
【0061】
この結果、搬送エリアAの勾配が変化する場合であっても、自己位置推定部6にて推定した自己位置を、記憶部8に記憶させた地図情報にあてはめて算出した傾斜情報に基づき、コントローラ4にてミリ波センサ21でのミリ波の検出方向bを上下方向に適宜調整することによって、勾配が変化する搬送エリアAにおいても1台の可変式のミリ波センサ21にて前方車両αを適切に検出できる。
【0062】
[第3実施形態]
図14は、本発明の第3実施形態に係るダンプトラック1Bを示す概略図である。本第3実施形態が前述した第1実施形態と異なるのは、第1実施形態は、検出方向が固定された2台のミリ波センサ2a,2bにて前方車両αを検出したのに対し、第3実施形態は、検出方向が固定された1台のミリ波センサ2aと、検出方向が可変とされた1台のミリ波センサ21とにて前方車両αを検出する。なお、本第3実施形態において、第1および第2実施形態と同一又は対応する部分には同一符号を付している。
【0063】
<構成>
本第3実施形態において、ミリ波センサ2aは、
図14に示すように、上記第1実施形態と同様に、ダンプトラック1Bの車両本体1aの前面の幅方向の中心位置であって、例えば地上から1.5m程度の高さ位置に取り付けられている。ミリ波センサ21は、ミリ波センサ2aに対し高さ方向を異ならせた位置、すなわちミリ波センサ2aの上方に、上下方向を沿わせた状態とされて取り付けられている。ミリ波センサ21は、上記第2実施形態と同様に駆動部22に取り付けられ、駆動部22を介してコントローラ4にて駆動制御される。
【0064】
<検出方法>
ダンプトラック1Bの自己位置が、搬送エリアA中の予め定めた平坦路とコントローラ4にて判断されている場合には、固定式のミリ波センサ2aのみオンさせ、ミリ波センサ2aから出力される検出情報に基づいて環境認定部5により前方車両αを検出する。
【0065】
一方、ダンプトラック1Bの自己位置が、搬送エリアA中の予め定めた上り坂に差し掛かる手前の所定位置、または下り坂終端手前の所定位置であって、固定式のミリ波センサ2aでのミリ波の照射範囲aより上方に位置する前方車両αを検出する必要のある予め定めた所定位置とコントローラ4にて判断された場合には、可変式のミリ波センサ21をオンさせる。次いで、ミリ波センサ21の検出方向bを、所定角度θほど水平方向より上方に駆動部22にて駆動させ、可変式のミリ波センサ21から出力される検出情報に基づいて環境認定部5にて前方車両αを検出する。
【0066】
また、ダンプトラック1Bの自己位置が、搬送エリアA中の予め定めた下り坂に差し掛かる手前の所定位置、または上り坂終端手前の所定位置であって、固定式のミリ波センサ2aでのミリ波による照射範囲aより下方に位置する前方車両αを検出する必要のある予め定めた所定位置とコントローラ4にて判断された場合には、
図15に示すように、固定式のミリ波センサ2aの照射範囲aに前方車両αが入らず検出できない。この場合には、可変式のミリ波センサ21をオンさせ、ミリ波センサ21の検出方向bを、所定角度θほど水平方向より下方に駆動部22にて駆動させて検出方向b´とし、ミリ波センサ21から出力される検出情報に基づいて環境認定部5にて前方車両αを検出する。
【0067】
<作用効果>
以上により、上記第3実施形態に係るダンプトラック1Bにおいては、固定式のミリ波センサ2aと可変式のミリ波センサ21とを備え、搬送エリアAの勾配の変化により、固定式のミリ波センサ2aでのミリ波の照射範囲a外の前方車両αを検出する必要がある場合に、可変式のミリ波センサ21を駆動部22にて駆動させ、ミリ波センサ21でのミリ波の検出方向bを調整する構成としている。
【0068】
この結果、搬送エリアAの勾配が変化する場合であっても、自己位置推定部6にて推定した自己位置を地図情報にあてはめる等して算出した傾斜情報に基づいて、可変式のミリ波センサ21でのミリ波の照射方向bを調整することによって、固定式のミリ波センサ2aの照射範囲a外の前方車両αを検出でき、勾配が変化する搬送エリアAにおいて前方車両αを適切に検出できる。
【0069】
[第4実施形態]
図16は、本発明の第4実施形態に係るダンプトラック1Cを示す概略図である。本第4実施形態が前述した第3実施形態と異なるのは、第3実施形態は、高さ方向が異なる位置に固定式のミリ波センサ2aと可変式のミリ波センサ21とを取り付けているのに対し、第4実施形態は、固定式のミリ波センサ2aと可変式のミリ波センサ21とを水平に並べて取り付けている。なお、本第4実施形態において、第1ないし第3実施形態と同一又は対応する部分には同一符号を付している。
【0070】
<構成>
本第4実施形態において、固定式のミリ波センサ2aと、可変式のミリ波センサ21とは、
図16に示すように、ダンプトラック1Cの車両本体1aの前面の幅方向の中心位置から水平方向(左右方向)に等間隔に離した位置であって、例えば地上から1.5m程度の高さ位置に取り付けられている。ミリ波センサ2a,21は、等しい高さ位置に取り付けられ、ミリ波センサ2a,21それぞれでのミリ波の検出方向bを、車両本体1aの幅方向の中心位置側に傾けた状態とされている。ミリ波センサ21は、駆動部22を介してコントローラ4にて駆動制御される。
【0071】
<検出方法>
固定式のミリ波センサ2aにて検出できない位置の前方車両αを検出する所定位置においては、可変式のミリ波センサ21をオンさせ、ミリ波センサ21の検出方向bを、所定角度θほど上方または下方に駆動部22にて駆動させる。そして、可変式のミリ波センサ21から出力される検出情報に基づいて環境認定部5により前方車両αを検出する。
【0072】
<作用効果>
以上により、上記第4実施形態に係るダンプトラック1Cにおいては、固定式のミリ波センサ2aと可変式のミリ波センサ21とを水平に並べた構成としている。この構成に基づき、搬送エリアAにおける勾配の変化に応じて、可変式のミリ波センサ21をオンさせ、ミリ波センサ21でのミリ波の照射範囲αを駆動部22にて変更させることにより、固定式のミリ波センサ2aでのミリ波の照射範囲a外の前方車両αを検出できる。よって、勾配が変化する搬送エリアAにおいて前方車両αを適切に検出できる。
【0073】
[その他]
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形態様が含まれる。例えば、前述した実施形態は、本発明を分りやすく説明するために説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0074】
上記各実施形態においては、無人走行式のダンプトラック1〜1Cを例として説明したが、本発明はこれに限定されず、オペレータによる走行操作が可能な有人走行式のダンプトラックであってもよい。また、他のダンプトラック1〜1C以外のパトロールカーやグレーダ等の先行車両αや、その他の搬送エリアA上の障害物等を検出するようにしてもよい。また、ダンプトラック1〜1Cの記憶部8に地図情報を記憶させ、この記憶部8に記憶させた地図情報に基づいてダンプトラック1〜1Cの自己位置や、傾斜状況等を検出する構成としたが、管制センタ11の記憶部12に記憶させた地図情報をダンプトラック1〜1Cにて受信し、この受信した地図情報に基づいてダンプトラック1〜1Cの自己位置等を検出するようにしてもよい。
【0075】
また、上記各実施形態においては、前方車両αを検出するための障害物検出部として、ミリ波センサ2a,2b,21を用いた構成について説明したが、例えばステレオカメラ等のミリ波センサ以外の障害物検出部であってもよい。特に、ステレオカメラは前方視界を覆う土埃による影響が少ないため、高さ方向が異なる上側にステレオカメラを取り付け、下側にミリ波センサ2a等を取り付けることにより、前方車両αの土埃による検出低下を防止することができる。
【0076】
また、上記第1実施形態においては、高さ方向の異なる位置に取り付けた2台の固定式のミリ波センサ2a,2bを用い、上記第2実施形態においては、1台の可変式のミリ波センサ21を用い、上記第3および第4実施形態においては、1台の固定式のミリ波センサ2aと1台の可変式のミリ波センサ21とを用いたが、ダンプトラック1〜1Cを走行させる搬送エリアAの勾配状況等に応じ、これら固定式のミリ波センサ2a,2bおよび可変式のミリ波センサ21を適宜組み合わせて用いてもよい。