特許第6247911号(P6247911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247911
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】健康管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20120101AFI20171204BHJP
【FI】
   G06Q50/22
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-245003(P2013-245003)
(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公開番号】特開2015-103154(P2015-103154A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100107205
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 秀一
(72)【発明者】
【氏名】恩田 智彦
【審査官】 渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−118149(JP,A)
【文献】 特開2010−272031(JP,A)
【文献】 特開2004−135698(JP,A)
【文献】 特開2001−070273(JP,A)
【文献】 特開2006−305218(JP,A)
【文献】 特開2003−024293(JP,A)
【文献】 特開2002−306439(JP,A)
【文献】 特開2009−219747(JP,A)
【文献】 特開2011−200291(JP,A)
【文献】 特開2002−369806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の健康管理データを入力するためのデータ入力手段と、
前記健康管理データを蓄積するデータ蓄積手段と、
前記データ蓄積手段に蓄積された健康管理データを表示するデータ出力手段と
前記健康管理データに基づき健康アドバイスを作成するコンテンツ作成手段とを備え、
前記健康管理データは電気インピーダンス値から求めた内臓脂肪面積と該内臓脂肪面積の管理日を含み、
前記データ入力手段は前記内臓脂肪面積と内臓脂肪面積の管理日を対にして追加的に入力可能であり、
前記データ出力手段は前記内臓脂肪面積の推移を時系列的に表示できるようになっており、
前記健康管理データはさらに腹囲と該腹囲の管理日を含み、
前記データ入力手段はさらに前記腹囲と腹囲の管理日を対にして追加的に入力可能であり、前記データ出力手段はさらに前記腹囲の推移を時系列的に表示できるようになっており、
前記コンテンツ作成手段は、前記腹囲の推移が減少傾向にあるときは、前記内臓脂肪面積の推移が増加傾向にあるか否かを判断し、内臓脂肪面積の推移が増加傾向にあると判断したときは運動習慣の改善を推奨する健康アドバイスを作成することを特徴とする健康管理システム。
【請求項2】
利用者の健康管理データを入力するためのデータ入力手段と、
前記健康管理データを蓄積するデータ蓄積手段と、
前記データ蓄積手段に蓄積された健康管理データを表示するデータ出力手段と、
前記健康管理データに基づき健康アドバイスを作成するコンテンツ作成手段とを備え、
前記健康管理データは電気インピーダンス値から求めた内臓脂肪面積と該内臓脂肪面積の管理日を含み、
前記データ入力手段は前記内臓脂肪面積と内臓脂肪面積の管理日を対にして追加的に入力可能であり、
前記データ出力手段は前記内臓脂肪面積の推移を時系列的に表示できるようになっており、
前記健康管理データはさらに腹囲と該腹囲の管理日を含み、
前記データ入力手段はさらに前記腹囲と腹囲の管理日を対にして追加的に入力可能であり、前記データ出力手段はさらに前記腹囲の推移を時系列的に表示できるようになっており、
前記コンテンツ作成手段は、前記腹囲の推移が増加傾向にあるときは、前記内臓脂肪面積の推移が減少傾向にあるか否かを判断し、内臓脂肪面積の推移が減少傾向にあると判断したときは運動習慣の継続を推奨する健康アドバイスを作成することを特徴とする健康管理システム。
【請求項3】
前記健康管理データはさらに体重と該体重の管理日を含み、
前記データ入力手段はさらに前記体重と体重の管理日を対にして追加的に入力可能であり、前記データ出力手段はさらに前記体重の推移を時系列的に表示できることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の健康管理システム。
【請求項4】
前記コンテンツ作成手段は、前記体重の推移が減少傾向にあるときは、前記内臓脂肪面積の推移が増加傾向にあるか否かを判断し、内臓脂肪面積の推移が増加傾向にあると判断したときは運動習慣の改善を推奨する健康アドバイスを作成することを特徴とする請求項3記載の健康管理システム。
【請求項5】
前記コンテンツ作成手段は、前記体重の推移が増加傾向にあるときは、前記内臓脂肪面積の推移が減少傾向にあるか否かを判断し、内臓脂肪面積の推移が減少傾向にあると判断したときは運動習慣の継続を推奨する健康アドバイスを作成することを特徴とする請求項3又は請求項4記載の健康管理システム。
【請求項6】
利用者の健康管理データを入力するためのデータ入力手段と、
前記健康管理データを蓄積するデータ蓄積手段と、
前記データ蓄積手段に蓄積された健康管理データを表示するデータ出力手段と、
前記健康管理データに基づき健康アドバイスを作成するコンテンツ作成手段とを備え、
前記健康管理データは電気インピーダンス値から求めた内臓脂肪面積と該内臓脂肪面積の管理日を含み、
前記データ入力手段は前記内臓脂肪面積と内臓脂肪面積の管理日を対にして追加的に入力可能であり、
前記データ出力手段は前記内臓脂肪面積の推移を時系列的に表示できるようになっており、
前記健康管理データはさらに体重と該体重の管理日を含み、
前記データ入力手段はさらに前記体重と体重の管理日を対にして追加的に入力可能であり、前記データ出力手段はさらに前記体重の推移を時系列的に表示できるようになっており、
前記コンテンツ作成手段は、前記体重の推移が減少傾向にあるときは、前記内臓脂肪面積の推移が増加傾向にあるか否かを判断し、内臓脂肪面積の推移が増加傾向にあると判断したときは運動習慣の改善を推奨する健康アドバイスを作成することを特徴とする健康管理システム。
【請求項7】
利用者の健康管理データを入力するためのデータ入力手段と、
前記健康管理データを蓄積するデータ蓄積手段と、
前記データ蓄積手段に蓄積された健康管理データを表示するデータ出力手段と、
前記健康管理データに基づき健康アドバイスを作成するコンテンツ作成手段とを備え、
前記健康管理データは電気インピーダンス値から求めた内臓脂肪面積と該内臓脂肪面積の管理日を含み、
前記データ入力手段は前記内臓脂肪面積と内臓脂肪面積の管理日を対にして追加的に入力可能であり、
前記データ出力手段は前記内臓脂肪面積の推移を時系列的に表示できるようになっており、
前記健康管理データはさらに体重と該体重の管理日を含み、
前記データ入力手段はさらに前記体重と体重の管理日を対にして追加的に入力可能であり、前記データ出力手段はさらに前記体重の推移を時系列的に表示できるようになっており、
前記コンテンツ作成手段は、前記体重の推移が増加傾向にあるときは、前記内臓脂肪面積の推移が減少傾向にあるか否かを判断し、内臓脂肪面積の推移が減少傾向にあると判断したときは運動習慣の継続を推奨する健康アドバイスを作成することを特徴とする健康管理システム。
【請求項8】
前記健康管理データはさらに腹囲と該腹囲の管理日を含み、
前記データ入力手段はさらに前記腹囲と腹囲の管理日を対にして追加的に入力可能であり、前記データ出力手段はさらに前記腹囲の推移を時系列的に表示できることを特徴とする請求項6又は請求項7記載の健康管理システム。
【請求項9】
前記電気インピーダンス値は腹部の電気インピーダンス値である、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の健康管理システム。
【請求項10】
前記内臓脂肪面積の測定に、臍近傍及び臍高位の背骨近傍に一つずつ配置する電流印加電極と臍高位の右側腹部に配置する二つの電圧測定電極とから構成されたベルト型内臓脂肪測定装置を使用することを特徴とする請求項9記載の健康管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内臓脂肪面積、腹囲等の健康管理データを取得し、取得した健康管理データに基づき、利用者の健康管理を支援するための健康管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
血圧や心電図、体脂肪量等の生体データは、疾病の診断や予防、治療効果の確認等に用いられる重要な健康指標である。このため、病院に行かなくても、家庭や企業内の診療所、スポーツクラブ等で日常的に血圧や心電図、体脂肪をチェックできる測定装置が提供されている。さらに、これらの測定装置で測定された生体データを保存したり、生体データに対するコメントやアドバイスを出力したりする機能を備えた健康管理システムが提供され(たとえば特許文献1〜3参照)、このような健康管理システムと測定装置を組み合わせることによって、より効果的に個人の健康を維持、管理できるようになってきている。
【0003】
一方、内臓脂肪の過剰蓄積が糖尿病、高脂血症、高血圧などの生活習慣病の主要な成因基盤となることが近年明らかになり、これらの疾病の一次予防のため、内臓脂肪蓄積量の管理の重要性が認識されている。この観点から、2005年にメタボリックシンドロームの診断基準が制定され、2008年からは特定健診、特定保健指導が開始された。現在、内臓脂肪面積(臍高位での内臓脂肪の断面積)の測定には腹部CT検査が標準的に行われているが、測定の簡便さから、腹囲も簡易指標として使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−129980号公報
【特許文献2】特開2004−283570号公報
【特許文献3】特開2006−230679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
腹部CT検査は最も信頼性のある内臓脂肪測定法だが、X線被曝の問題があるため多頻度の測定には限界があり、日々の健康を管理する健康管理システムの中で使用するには不向きである。一方、腹囲は測定が簡便で日々の管理に適しているが、内臓脂肪の推定精度が不十分である。また、腹囲のような体格指標に基づいて健康状態をアドバイスしても説得性に欠けるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、簡便で、安全かつ高精度に内臓脂肪量を測定できる測定装置に基づいて健康管理システムを構築することによって、日常的な生活習慣病の管理や予防に適した健康管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の健康管理システムは、利用者の健康管理データを入力するためのデータ入力手段と、前記健康管理データを蓄積するデータ蓄積手段と、前記データ蓄積手段に蓄積された健康管理データを表示するデータ出力手段とを備え、前記健康管理データは電気インピーダンス値から求めた内臓脂肪面積と該内臓脂肪面積の管理日を含み、前記データ入力手段は前記内臓脂肪面積と内臓脂肪面積の管理日を対にして追加的に入力可能であり、前記データ出力手段は前記内臓脂肪面積の推移を時系列的に表示できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の健康管理システムは、生活習慣病の成因となる内臓脂肪の蓄積量を電気インピーダンス値から非侵襲で求めているため、腹部CT検査よりもはるかに多頻度かつ安全に、そして腹囲よりも高精度に内臓脂肪面積を日常的に管理でき、生活習慣病の効果的な予防が可能となる。しかも内臓脂肪面積と内臓脂肪面積の管理日を追加的に入力可能であるため、利用者は減量等の健康増進活動の結果を随時、記録でき、しかもその成果を内臓脂肪面積の時間的推移として閲覧できるため、日々の健康改善に対する高いモーチベーションを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明における健康管理システムのブロック図の一例である。
図2】本発明の実施の形態における健康管理システムで内臓脂肪面積の測定に使用するベルト型内臓脂肪測定装置の一例を示す図である。
図3】本発明の実施の形態における健康管理システムの一例の動作説明のためのフローチャートである。
図4】本発明の実施の形態における健康管理システムのメニュー選択画面の一例を示す図である。
図5】本発明の実施の形態における健康管理システムのデータ入力画面の一例を示す図である。
図6】本発明の実施の形態における健康管理システムのデータ表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態の一例(以下、本実施例と称する)における健康管理システムのブロック図である。図1において、本実施例の健康管理システムは、利用者の健康管理データ1を入力するためのデータ入力部(データ入力手段)2と、入力された健康管理データ1を蓄積するデータ蓄積部3(データ蓄積手段)と、データ蓄積部3に蓄積された健康管理データ1を表示するデータ出力部(データ出力手段)4とを有している。また必要に応じて、健康管理データ1に対するアドバイスやコメントを作成するコンテンツ作成部(コンテンツ作成手段)5を有していてもよく、作成されたアドバイスやコメントはデータ出力部4に表示される。
【0012】
健康管理データ1は、たとえば利用者の氏名、性別、生年月日等で構成される利用者識別データ、定期健康診断や人間ドックの受診結果などの定期健康データ、ならびに腹部の電気インピーダンス値から求めた内臓脂肪面積11、腹囲12、体重13等の日常の健康状態を記録した日常健康データから構成される。定期健康データは、年に1〜2回の頻度で追加・更新されるのに対し、日常健康データはもっと多頻度(日々、毎週、毎月など)で追加・更新される。利用者によっては、定期健康診断や人間ドックの受診結果に電気インピーダンス値から求めた内臓脂肪面積や腹部CT検査で測定した内臓脂肪面積が含まれることもある。これらの内臓脂肪面積のデータは定期健康データに分類して扱う。
【0013】
内臓脂肪面積11、腹囲12、体重13には、それらの時間的推移(履歴)を観察できるように、管理日を付随させる。たとえば内臓脂肪面積の管理日とは内臓脂肪面積を測定した時間的順番を表す指標である。典型的には内臓脂肪面積の測定日を管理日とするのが便利であるが、週ごと又は月ごとに測定を行う場合はたとえば週初めや月初めを管理日と定めてもよい。また、日にち単位ではなく時刻単位で管理日を定めてもよいし、あるいはまた、日時などではなく何度目の測定かを表す順序数としてもよい。利用者または健康管理システムの運用者が便利なように管理日を定めればよい。腹囲の管理日や体重の管理日も同様である。内臓脂肪面積11、腹囲12、体重13の推移を比較する場合には、これらの管理日を同一日とするのが便利である。本実施例では内臓脂肪面積は後述するベルト型内臓脂肪測定装置で測定する。また腹囲12と体重13はそれぞれ通常の巻尺と体重計で測定することができる。
【0014】
データ入力部2は健康管理システムに健康管理データ1を入力する機能を有し、パーソナルコンピュータなどの端末装置から構成される。健康管理データ1の入力は、たとえば、利用者または健康管理システムの運用者がキーボードやマウスを使って端末装置に入力することによって行う。データ入力部2から入力されるデータには、原則的に追加・更新のない利用者識別データと年に1〜2回の頻度で追加・更新される定期健康データと多頻度(日々、毎週、毎月など)で追加・更新される日常健康データがある。内臓脂肪面積11、腹囲12、体重13などの日常健康データはそれらの管理日と対にして、利用者識別データや定期健康データとは独立に、追加的に入力可能となっている。
【0015】
データ蓄積部3はデータ入力部2から入力された健康管理データ1を蓄積する機能を有し、半導体メモリー、光ディスクメモリー、磁気ディスクメモリーなどの記憶装置を中心に構成される。本実施例では、健康管理システムに、健康管理データ1への健康上のアドバイスやコメント(以下、健康アドバイスという)を利用者に提供する機能を持たせるため、データ蓄積部3は健康アドバイス作成のもととなるサンプル情報(定期健康データや日常健康データのサンプルデータ、健康アドバイスのサンプル文など)ならびに作成した健康アドバイスを保管する機能も有する。
【0016】
コンテンツ作成部5は、データ蓄積部3に保管された健康管理データ1を読み出し、健康管理データ1に対する健康上のアドバイスやコメント、すなわち健康アドバイスを作成し、作成した健康アドバイスをデータ蓄積部3に保管する機能を有する。
【0017】
健康アドバイスの作成は次のようにしてシステム内で自動的に行うこともできる。すなわちコンテンツ作成部5において、データ蓄積部3に保管されたサンプルデータと利用者の健康管理データ1を比較、分析し、その結果にもとづき、用意されたサンプル文の中から適切な健康アドバイスを選択する。あるいはまた、次のようにして、医師などの専門家が健康アドバイスを作成してもよい。すなわち、コンテンツ作成部5に専門家用データ入力部(図示せず)と専門家用データ出力部(図示せず)を接続し、専門家が専門家用データ出力部に表示された健康管理データ1を閲覧して、専門家用データ入力部から適切な健康アドバイスを入力する。あるいは、コンテンツ作成部5にデータ送受信装置(図示せず)を接続し、通信ネットワーク(図示せず)を介して医療機関の端末装置(図示せず)に健康管理データ1を送信する。そして、当該医療機関の医師等が当該端末装置上で健康管理データ1を閲覧し、健康アドバイスを作成してコンテンツ作成部5のデータ送受信装置に返信する。
【0018】
本実施例の健康管理システムでは、多頻度(日々、毎週、毎月など)に測定された内臓脂肪面積11、腹囲12、体重13とそれらの管理日が対となってデータ蓄積部3に保管されているので、内臓脂肪面積11、腹囲12、体重13の時間的推移をもとにして健康状態をより適切に判断でき、かつ、より適切な健康アドバイスを作成することができる。
【0019】
すなわち、生活習慣病の予防や改善には食事(食生活)と運動(運動習慣)の管理が重要であるが、内臓脂肪面積11の推移と腹囲12の推移が逆相関すると判断される場合および内臓脂肪面積11の推移と体重13の推移が逆相関すると判断される場合は、食事よりもむしろ運動を重視した健康アドバイスをコンテンツ作成部5で作成するのが好ましい。
【0020】
より詳細に説明すると、腹囲12や体重13の推移が減少傾向にあるとき、利用者の食事量または摂取カロリーは抑制されていると予想されるが、それにも関わらず内臓脂肪面積11の推移が増加傾向にあると判断されるならば運動不足である可能性が高い。したがって、このようなときは運動習慣の改善を推奨する健康アドバイスを作成することが好ましい。逆に腹囲12や体重13の推移が増加傾向にあるとき、利用者の食事量すなわち摂取カロリーは充分であると予想されるが、それにも関わらず内臓脂肪面積11が減少傾向にあると判断されるのであれば適切な運動習慣が維持されていると考えられる。したがって、このようなときは運動習慣の継続を推奨する健康アドバイスを作成することが好ましい。
【0021】
内臓脂肪面積11の推移が増加傾向にあるか、減少傾向にあるかの判断はたとえば次のようにして行うことができる。データ蓄積部3に保管された内臓脂肪面積11とその管理日のデータのうち、健康アドバイスの対象となる期間のデータを読み出し、回帰分析によって、内臓脂肪面積11の時間的推移の回帰直線を作成する。そしてその直線の傾きの符号が正であれば内臓脂肪面積11が増加傾向にあると判断し、負であれば減少傾向にあると判断する。腹囲12や体重13に関する判断も同様である。
【0022】
また、内臓脂肪面積11の時間的推移の変化率に応じて健康アドバイスの内容を変更することが好ましく、たとえば推移の変化率が大きいときは運動習慣の改善または継続を強く推奨する内容の健康アドバイスとする。このような健康アドバイスは、内臓脂肪面積11、腹囲12、体重13の推移の方向(増加または減少)と変化率をもとに、用意されたサンプル文の中から適切な文を選択すればよい。この選択作業はコンピュータシステムで自動的に行うことができる。
【0023】
一方、医師などの専門家が健康アドバイスを入力するときは、専門家用データ出力部に、好ましくは管理日と対になった内臓脂肪面積、腹囲、体重の推移を例えばグラフを用いて表示する。専門家は、この表示された健康管理データ1のみを参照して、健康アドバイスを入力してもよいが、上述のようにして作成した健康アドバイスの文案を専門家用データ出力部に表示し、専門家はその文案の内容を尊重して健康アドバイスを入力、作成することが、表現が統一されアドバイスが適切に伝達できるので好ましい。
【0024】
健康アドバイスは定期的または不定期に作成することができる。定期的に作成する例としては、定期健康データが更新されたときや毎月の月末などがあげられる。不定期に作成する例としては、日常健康データが一定数量蓄積したとき、日常健康データの数値(内臓脂肪面積11、腹囲12、体重13の測定値)が一定の基準値または利用者の設定した目標値を超えたとき、日常健康データの数値(内臓脂肪面積11、腹囲12、体重13の測定値)の時間的推移の変化率が一定値以上に大きくなったときなどがあげられ、これらの方が利用者の健康意識を有効に高められて好ましい。
【0025】
データ出力部4は、データ蓄積部3から健康管理データ1及び健康アドバイスを取り出し、健康管理データ1の推移をグラフ化したり、健康管理データ1及び健康アドバイスを表示する機能を有する。データ出力部4はパーソナルコンピュータなどの端末装置、データ送信装置などから構成される。端末装置はデータ入力部2を構成する端末装置と共用にしてもよい。利用者または健康管理システムの運用者は端末装置の画面に表示された出力を閲覧する。あるいは、データ送信装置から通信ネットワークを介して利用者側の端末装置に出力を送信し、利用者が利用者側の端末装置を用いて出力を閲覧する。
【0026】
本実施例の健康管理システムでは、内臓脂肪面積の測定に、腹部の電気インピーダンス値から内臓脂肪面積を求めるベルト型内臓脂肪測定装置(ベルトを腹部に巻いて使用する測定装置)を用いる。本測定装置は、ベルトを腹部に巻くことによって装着できるので、操作が簡便で日常の健康管理に適している。また、測定は非侵襲で安全であるため多頻度に測定でき、この点からも日々の健康管理に適している。さらに腹部の電気インピーダンス値から内臓脂肪面積を算出するので、腕や脚の電気インピーダンス値から内臓脂肪レベルを推定する従来の体成分分析装置などに比べて、高い精度で内臓脂肪面積を推定することができ好ましい。
【0027】
本実施例で使用するベルト型内臓脂肪測定装置20の構造を図2に示す。ベルト21を腹部に装着したときに、臍近傍及び臍高位の背骨近傍にそれぞれ電流印加電極22、23が配置され、臍高位の右側腹部に二つの電圧測定電極24が配置されるように、4つの電極がベルト21内面上に設けられている。
【0028】
臍近傍とは、臍の中心から電流印加電極までの最短距離が5cm以内の距離にある腹部表面上の位置のことである。臍高位とは、水平な床に直立した被測定者の臍を通る水平面上の位置のことであり、臍高位の背骨近傍とは、臍高位の背骨の中心と臍の中心とを結んだ線が背中表面と交差する点から電流印加電極までの最短距離が5cm以内の距離にある腹部(背中)表面上の位置のことである。
【0029】
ベルト21は臍位置マーカー25を臍位置にあわせながら腹部に巻き、バックル26、27で固定して使用する。配線コード28を通して、電流印加電極22、23は制御部29の中の定電流回路(図示せず)に接続され、電圧測定電極24は電圧測定回路(図示せず)に接続されている。
【0030】
制御部29は、定電流回路から電流印加電極22、23を通して腹部に電流を印加し、二つの電圧測定電極24間に発生した電圧(電気インピーダンス)を電圧測定回路によって検出する。制御部29の中にはさらに演算回路(図示せず)が組み込まれており、測定した電圧と被験者の性別情報、腹囲とから内臓脂肪面積を算出する。制御部29には、性別(男女)や腹囲を入力するための入力ボタン30や電圧測定の開始を指示する測定開始ボタン31、及び入力した情報や算出した内臓脂肪面積値を表示するための表示部32などが備わっている。
【0031】
ベルト21には、腹部に装着したときに自動的に腹囲を測定する計測機能を付加してある。測定した腹囲の値は制御部29に自動的に入力され、内臓脂肪面積の算出に使用される。ベルト型内臓脂肪測定装置20で測定した腹囲を、本発明の健康管理システムにおける健康管理データ(の腹囲の値)として用いることもできる。
【0032】
電極22、23、24は金属や導電性ゲルなどからなり、特に、電圧測定電極24に導電性ゲルを用いることによって肌との接触抵抗が低減し、安定に電圧測定を行える。腹部に印加する電流は周波数90〜110kHzの交流とするのが好ましい。周波数が90kHzよりも大きいと電極と肌の間の接触抵抗が小さくでき、電圧(電気インピーダンス)の測定を安定して行える。周波数が110kHzよりも小さいほうが電気回路作成を容易に行える。
【0033】
以上のように構成された本発明の一実施例である健康管理システムについて、図3に示すフローチャートを用いて、使用方法や動作を説明する。
【0034】
なお、本実施例では、データ入力部2及びデータ出力部4がパーソナルコンピュータで実現される端末装置(不図示)から構成され、利用者が端末装置から自分の内臓脂肪面積11、腹囲12、体重13の日常健康データを入力するとともに、それらのデータの過去の履歴を閲覧可能とされている。
【0035】
まず、利用者は端末装置から健康管理システムを起動し、認証ID及びパスワードを入力して、メニュー選択画面(図4)を呼び出す。本システムにおける認証IDとパスワードの登録は通常のシステムと同様な方法でおこなうことができる。メニュー選択画面には、“1.利用者識別データ(性別、生年月日など)の閲覧”、“2.定期健康データ(定期健診、人間ドックの結果)の閲覧”、“3.日常健康データ(内臓脂肪面積、腹囲、体重)の入力”、“4.日常健康データ(内臓脂肪面積、腹囲、体重)の閲覧”、“5.システムの終了”などのメニューが表示され、マウスなどを用いて選択できるようになっている。
【0036】
利用者はメニューの中から“3.日常健康データ(内臓脂肪面積、腹囲、体重)の入力”を選択し、日常健康データの入力画面(図5)を呼び出す。そして、画面上半面にある入力欄に、事前に測定した内臓脂肪面積11、腹囲12、体重13のデータとそれらの測定日を対にして入力し、確定ボタンを押す。内臓脂肪面積11、腹囲12、体重13のうち未測定のデータがある場合は、該当する入力欄を空欄にしたまま確定ボタンを押せばよい。入力したデータは画面下半面にある表示欄に表示され、入力欄のデータはクリアされる。別の測定日に測定した複数のデータがあるときは、入力欄にデータを入力し、上記操作を繰り返す。
【0037】
こうして、内臓脂肪面積11、腹囲12、体重13などの日常健康データがそれらの測定日と対にして、利用者識別データや定期健康データとは独立に、過去の日常健康データに対して追加・更新される(追加的に入力される)。データの入力が完了したら、入力完了ボタンを押す。入力されたデータがデータ蓄積部3に蓄積されるとともに、画面はメニュー選択画面に戻る。なお入力したデータを修正または消去したいときは、表示欄中のデータの該当箇所にカーソルを合わせて数値を修正または消去することによりそれを行う。
【0038】
次に利用者はメニューの中から“4.日常健康データ(内臓脂肪面積、腹囲、体重)の閲覧”を選択する。これによって、データ蓄積部3に蓄積された日常健康データが読みだされ、データ出力部4によって端末装置の画面に内臓脂肪面積11、腹囲12、体重13の推移が時系列的に表示される(図6)。
【0039】
図6の例では過去10回分のデータが、横軸と縦軸をそれぞれ測定日と日常健康データの測定値にとったグラフとして表示されている。測定日のより古いデータが横軸のより左側に配置され、一番右端に最も新しい測定日のデータが表示される。したがってグラフの横軸を左から右へたどることにより、縦軸に表示された日常健康データの測定値の時間的推移を古いものから新しいものへ順に読み取ることができる。画面右上の数値「10」にカーソルを合わせて数値を変更することにより、過去何回分のデータを表示するかを変更できる。また、各グラフ上の「数値データ一覧」ボタンを押すことにより、当該グラフの数値データ(測定日と日常健康データの測定値)の一覧を表示した画面(図示せず)に移行し、数値データを閲覧することもできる。
【0040】
図6の健康アドバイス欄には、日常健康データについてのアドバイスやコメントが表示される。図では簡単のために、アドバイスやコメントを点線で図示した。利用者はこれらのアドバイスやコメントを参考にして、食事や運動などの生活習慣を改善し、健康増進をはかることができる。閲覧を終了したら、図6の「メニューに戻る」ボタンを押し、メニュー選択画面(図4)に戻る。
【0041】
メニュー選択画面において、“1.利用者識別データ(性別、生年月日など)の閲覧”を選択すれば、利用者識別データが表示された画面(図示せず)に移行し、利用者識別データを閲覧することができる。“2.定期健康データ(定期健診、人間ドックの結果)の閲覧” を選択すれば、定期健康データが表示された画面(図示せず)に移行し、定期健康データや定期健康データに対する健康アドバイスを閲覧することができる。利用者識別データや定期健康データは原則として健康管理システムの運用者がデータ入力部2を使って入力する。“5.システムの終了”を選択すれば健康管理システムを終了する。
【0042】
本発明の実施の形態は、以上述べた実施例に限るものではなく、本発明の要旨を変えない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0043】
たとえば、上記の実施例では、健康管理データ1が日常健康データに加えて定期健康データを含む構成としているが、健康管理データ1が日常健康データのみからなる構成としてもよい。また、データ入力部2が端末装置から構成されるとし、健康管理データ1をキーボードやマウスを使って端末装置に入力する構成としたが、データ入力部2を有線または無線のデータ受信装置で構成し、通信ネットワークに接続した利用者側の端末装置から送られる、利用者の入力した健康管理データ1を受信する構成としてもよい。あるいは、内臓脂肪面積、腹囲、体重の測定装置に組み込まれた有線または無線のデータ送信装置から送られた日常健康データをデータ受信装置で受信する構成としてもよい。また、日常健康データの管理日として測定日を使用しているが、本発明ではこれに限定されるものではなく、日常健康データを測定した日の週初めや月初めの日にち等を使用する構成にしてもよい。また、日常健康データとして内臓脂肪面積、腹囲、体重の3つの推移をグラフ表示している(図6)が、内臓脂肪面積の推移のみあるいは内臓脂肪面積と腹囲の2つの推移をグラフ表示する構成にしてもよい。ベルト型内臓脂肪測定装置で測定した腹部の電気インピーダンスまたは電圧の測定値も日常健康データとして使用し、測定した内臓脂肪面積とともに入力、表示できるようにしてもよい。また、内臓脂肪面積の測定に使用する測定装置として図2に示す構造のベルト型内臓脂肪測定装置を使用したが、電気インピーダンス値を用いて内臓脂肪面積を測定する、すなわち体の電気インピーダンス、好ましくは腹部の電気インピーダンスを測定して内臓脂肪面積を推定するものであれば別の構造の装置を使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明の健康管理システムは、生活習慣病の成因となる内臓脂肪の蓄積量を電気インピーダンス値から非侵襲で求めているため内臓脂肪面積を日常的に管理でき、しかも内臓脂肪面積と内臓脂肪面積の管理日を追加的に入力可能であるため利用者は減量等の健康増進活動の結果を随時、記録でき、さらにその成果を内臓脂肪面積の時間的推移として閲覧できるため日々の健康改善に対する高いモーチベーションを得ることができる健康管理システムとして有用である。
【符号の説明】
【0045】
1 健康管理データ
2 データ入力部(データ入力手段)
3 データ蓄積部(データ蓄積手段)
4 データ出力部(データ出力手段)
5 コンテンツ作成部(コンテンツ作成手段)
11 内臓脂肪面積とその管理日のデータ
12 腹囲とその管理日のデータ
13 体重とその管理日のデータ
20 ベルト型内臓脂肪測定装置
21 ベルト
22,23 電流印加電極
24 電圧測定電極
25 臍位置マーカー
26,27 バックル
28 配線コード
29 制御部
30 入力ボタン
31 測定開始ボタン
32 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6