特許第6247914号(P6247914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247914
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】貿易業務支援装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20171204BHJP
【FI】
   G06Q10/08 302
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-249949(P2013-249949)
(22)【出願日】2013年12月3日
(65)【公開番号】特開2015-106400(P2015-106400A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】513305870
【氏名又は名称】株式会社ウインテック
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 雅男
(74)【代理人】
【識別番号】100128864
【弁理士】
【氏名又は名称】川岡 秀男
(72)【発明者】
【氏名】菊地 正己
【審査官】 山本 雅士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−094927(JP,A)
【文献】 特開昭63−251238(JP,A)
【文献】 特開2002−183267(JP,A)
【文献】 特開2005−310037(JP,A)
【文献】 特開2009−060305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
NACCSから取得可能で、本船コードを含む本船情報及び船荷証券番号情報を含み、港湾貨物取引における前記本船及び積荷を特定可能な基礎的情報を蓄積する基礎情報格納手段、
前記基礎的情報入力後の港湾貨物取引において使用され、前記基礎的情報及び複数の港湾貨物取引における前段の港湾貨物取引に際して使用された蓄積情報と重複しない入力情報を港湾貨物取引の付加的情報として逐次蓄積する付加情報格納手段、
および港湾貨物取引単位での振り分けにより付加的情報を基礎的情報に関連付ける関連テーブルを備えた取引情報データベースと、
取引情報データベースにおける特定の本船情報を含む港湾貨物取引の所定項目を管理情報出力命令に従って管理情報として抽出する管理情報抽出手段と、
管理情報を出力する出力部と、
基礎的情報の入力後に該基礎的情報と対象の港湾貨物取引を共通にする付加的情報が逐次入力されるとともに、特定の本船情報を指定してなされる管理情報出力命令が入力される入力部と、
を有する貿易業務支援装置。
【請求項2】
貿易帳票における対象の港湾貨物取引に関する入力項目情報および項目表示位置を含む書式情報の複数種類を格納する書式情報格納手段と、
帳票作成命令に応じて作成対象の貿易帳票の書式情報を書式情報格納手段から取得するとともに、前記取引情報データベースの参照により対象の港湾貨物取引の入力項目情報を取得して貿易帳票データを作成する帳票作成手段とを有し、
前記入力部からの作成対象の貿易帳票を指定し、かつ、本船情報により絞り込みした上で特定の港湾貨物取引を選択してなされる帳票作成命令の入力により前記出力部から貿易帳票データを出力可能な請求項1記載の貿易業務支援装置。
【請求項3】
前記書式情報格納手段には貿易帳票の複数種類に加え、同一種類の貿易帳票において船会社毎に個別に設定された書式情報の複数も格納され、
前記帳票作成手段は、本船情報を介して船会社を特定した状態でなされる前記入力部からの帳票作成命令に応じて船会社毎に個別に設定された貿易帳票データを作成する請求項2記載の貿易業務支援装置。
【請求項4】
港湾貨物取引の船荷運賃の入金情報を取引情報データベースにおける取引特定情報に関連づけて格納する入金情報格納手段と、
会計情報出力命令に応じて入金情報格納手段を参照して対象の港湾貨物取引の入金情報を会計情報として抽出する会計情報抽出手段とを有し、
前記入力部からの対象の港湾貨物取引を指定してなされる会計情報出力命令の入力により前記出力部から会計情報を出力可能な請求項1ないし3のいずれかに記載の貿易業務支援装置。
【請求項5】
ユーザ認証および権限レベル判定する権限管理手段を有し、前記管理情報および会計情報へのアクセスを制限する請求項1ないし4のいずれかに記載の貿易業務支援装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貿易業務支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
港湾での輸出入貨物取引には、一般に、輸出者や輸入者に加え、船会社(海運会社)、船会社の代理店、海運貨物取扱業者(以下「海貨業者」という)、通関業者などの多数の業者が介在し、これらの間、さらには税関などとの間で他種類の貿易帳票の受け渡しが順次なされる。このような貿易帳票としては、例えば輸出の場合、代表的なものとして、送り状(Commercial Invoice:以下「I/V」という)、包装明細書(Packing List:以下「P/L」という)、船積指図書(Shipping Instruction:以下「S/I」という)、輸出申告書(Export Declaration:以下「E/D」という)、貨物受取証(Dock Receipt:以下「D/R」という)、積荷目録(Cargo Manifest:以下「M/F」という)、船荷証券(Bill of Loading:以下「B/L」という)が挙げられる。
【0003】
特にB/Lは、有価証券であるために取引上重要なものであるが、その発行元である船会社が輸出入地のいずれとも異なる国籍であることも一般的で、また、譲渡に際して裏書きを必要とすることもあるために、その書式は船会社毎に独自のものが採用され、世界基準、統一様式の取り決めにまでは至っておらず、電子化も実質的にはあまり進んではいないのが現状である。
【0004】
以上のような港湾での輸出入貨物取引における煩雑な手続の効率化を図るべく、例えば特許文献1には、金融機関が作成した信用状の電子データ、並びに輸出者が作成したI/V、P/L、およびS/Iの電子データを取り込み、これらの電子データを活用して船会社のためにB/Lを効率的に作成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-310037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来例は使い勝手が悪いという欠点がある。
【0007】
すなわち、港湾での取引関連業者は上述のように多数存在する上に、各業者の役割、業態も様々であり、例えば船会社が上述したB/LのみならずM/FやD/Rをも作成したり、船会社代理店が船会社に代わってこれらの貿易帳票を作成したり、D/Rを海貨業者が作成したり、船会社代理店や海貨業者が通関業者を兼務してE/Dを作成したり、さらには、輸出者が本来作成すべきI/V、P/L、およびS/Iを輸出者に代わって海貨業者などが作成する場合も珍しくはない。また、船会社が港湾毎に異なる船会社代理店や海貨業者、通関業者と取引することも珍しくはない。したがって従来例は、各業者が特定の役割、業態をとるような場合において、特定の貿易帳票の作成のみを効率的にするに過ぎず、汎用性に欠けるという欠点がある。
【0008】
本発明は以上の欠点を解消すべくなされたもので、港湾での各取引関連業者の役割、業態の多様性に適応してその取引の管理や取引に際して必要な手続の効率化を図ることのできる貿易業務支援装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、上記目的は、
NACCSから取得可能で、本船コードを含む本船情報1a及び船荷証券(B/L)番号情報を含み、港湾貨物取引における前記本船及び積荷を特定可能な基礎的情報1を蓄積する基礎情報格納手段2、
前記基礎的情報1入力後の港湾貨物取引において使用され、前記基礎的情報1及び複数の港湾貨物取引における前段の港湾貨物取引に際して使用された蓄積情報と重複しない入力情報を港湾貨物取引の付加的情報3として逐次蓄積する付加情報格納手段4、
および港湾貨物取引単位での振り分けにより付加的情報3を基礎的情報1に関連付ける関連テーブル5を備えた取引情報データベース6と、
取引情報データベース6における特定の本船情報1aを含む港湾貨物取引の所定項目を管理情報出力命令に従って管理情報7として抽出する管理情報抽出手段8と、
管理情報を出力する出力部9と、
基礎的情報1の入力後に該基礎的情報1と対象の港湾貨物取引を共通にする付加的情報3が逐次入力されるとともに、特定の本船情報1aを指定してなされる管理情報出力命令が入力される入力部10と、を有する貿易業務支援装置を提供することにより達成される。


【0010】
本発明によれば、貿易業務支援装置は、港湾貨物取引の基礎的情報1に加え、付加的情報3を港湾貨物取引単位で基礎的情報1に関連付けて逐次蓄積し、管理情報7として出力する。これにより、例えば港湾での輸出入貨物取引において特定の業者により先に手続された特定の貿易帳票等における記録情報を基礎的情報1として記憶させておいた上で、この後になされる他の業者の手続による他の貿易帳票の作成のための情報を、先の貿易帳票の記録情報とは重複しないものに限って付加的情報3として入力し、これを当該他の業者による新たな貿易帳票の作成に際して都度繰り返すことにより、当該他の業者による各種貿易帳票の作成を管理情報7の参照により効率的にすることができ、また、管理情報7を参照することによって前後の手続での情報の統一性をも容易に確保することができる。貿易帳票を作成せずに港湾貨物取引の管理のみをする場合には、管理のための情報を効率的にまとめ、把握することができる。
【0011】
また、貿易業務支援装置に多数蓄積される港湾貨物取引の情報は、取引対象の貨物を運搬する本船を基礎的情報1に含まれる本船情報1aにより特定することによって、適数にまで絞り込むことが可能であり、このように本船情報1aにより絞り込まれた中から特定の管理対象の港湾貨物取引を探し、その内容を把握するのはあまり難しくなく、さらに、このように本船情報1aにより港湾貨物取引の適数をまとめて抽出すれば、本船の入出港までのスケジュール管理などと並行して貨物取引管理を効率的に進めることが可能になる。
【0012】
上述した基礎的情報1は、先になされる貿易手続の範囲や、対象とする港湾貨物取引の管理範囲などを考慮して適宜のもので構成することが可能であり、例えば、I/V、P/L、S/Iの記録情報や、D/Rの記録情報、M/Fの記録情報などを採用することが可能である。貿易業務支援装置への入力は、当該帳票を見ながらキーボードで手入力などするほか、電子データとして取り込むことも可能であり、この場合、公的な入出港・輸出入手続管理システムであるNACCS(Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System)からのデータ出力や、輸出地の船会社等の貿易業務管理装置とのEDI(Electronic Data Interchange)を利用することができる。
【0013】
一方、付加的情報3は、作成対象の貿易帳票などを考慮して適宜決定することが可能であり、例えば、B/LやD/R、M/F、荷渡指図書(Delivery Order:以下「D/O」という)、貨物到着案内書(Arrival Notice:以下「A/N」という)の記録情報を利用して構成することが可能である。
【0014】
貿易業務支援装置から出力される管理情報7は、管理情報抽出手段8により基礎的情報1や付加的情報3の中から所定の項目を抜粋して構成することにより、その把握が簡単になる。抜粋の対象は、作成対象の貿易帳票の記載項目に応じて、あるいは管理作業性を考慮して適宜決定することができる。また、管理情報7として複数種類を用意しておき、管理情報抽出手段8による抽出に際してその種類を指定しておくようにすれば、管理目的に応じた内容の管理情報7をより迅速に把握することも可能になる。
【0015】
したがって本発明によれば、貿易業務支援装置から出力される管理情報7を逐次利用することにより、港湾での各取引関連業者の役割、業態の多様性に適応してその取引の管理や取引に際して必要な手続の効率化を図ることができる。
【0016】
また、以上の貿易業務支援装置は、
貿易帳票における対象の港湾貨物取引に関する入力項目情報および項目表示位置を含む書式情報の複数種類を格納する書式情報格納手段11と、
帳票作成命令に応じて作成対象の貿易帳票の書式情報を書式情報格納手段11から取得するとともに、前記取引情報データベース6の参照により対象の港湾貨物取引の入力項目情報を取得して貿易帳票データ12を作成する帳票作成手段13とを有し、
前記入力部10からの作成対象の貿易帳票を指定し、かつ、本船情報1aにより絞り込みした上で特定の港湾貨物取引を選択してなされる帳票作成命令の入力により前記出力部9から貿易帳票データ12を出力可能に構成した場合には、出力部9からのプリンター等への出力により各種の貿易帳票自体を得ることができるために、港湾貨物取引に際して必要な手続を極めて簡単に進めることができる。また、各種貿易帳票の作成に際しても、貿易業務支援装置に蓄積された多数の港湾貨物取引を本船情報1aにより絞り込むことによって、貿易帳票の作成対象である港湾貨物取引を特定するのにあまり手間がかかることはないし、本船が共通である複数の港湾貨物取引に関する貿易帳票の作成を本船の入出港スケジュール等に合わせて効率的にできる。
【0017】
この場合において、
上記書式情報格納手段11には貿易帳票の複数種類に加え、同一種類の貿易帳票において船会社毎に個別に設定された書式情報の複数も格納され、
上記帳票作成手段13が、本船情報1aを介して船会社を特定した状態でなされる上記入力部10からの帳票作成命令に応じて船会社毎に個別に設定された貿易帳票データ12を作成可能に構成した場合には、船会社毎に異なる様式の貿易帳票をも簡単に得ることができる。また、上述のように港湾貨物取引を絞り込むための本船情報1aを活用することにより、貿易業務支援装置のソフトウェア構成が簡易にまとめられる。
【0018】
さらに、貿易業務支援装置について、
港湾貨物取引の船荷運賃の入金情報を取引情報データベース6における取引特定情報に関連づけて格納する入金情報格納手段15と、
会計情報出力命令に応じて入金情報格納手段15を参照して対象の港湾貨物取引の入金情報14aを会計情報14として抽出する会計情報抽出手段16とを有し、
上記入力部10からの対象の港湾貨物取引を指定してなされる会計情報出力命令の入力により上記出力部9から会計情報14を出力可能に構成した場合には、港湾貨物取引に際して必要な手続の効率化に加え、会計業務をも効率的にすることができる。
【0019】
加えて、以上の貿易業務支援装置において、
ユーザ認証および権限レベル判定する権限管理手段17を有し、前記管理情報7および会計情報14へのアクセスを制限すれば、管理情報7等の秘匿性を確保することができる上に、貿易業支援装置をサーバとして構成して複数の業者、あるいは同一業者の本支店の各々にクライアントを配置し、それぞれが異なる事業や業務範囲を担当しているような場合においても、業者毎の秘匿性を確保でき、あるいはデータ共有を確保しつつ、越権による誤操作を防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、港湾での各取引関連業者の役割、業態の多様性に適応してその取引の管理や取引に際して必要な手続の効率化を図ることのできる貿易業務支援装置を提供することができるために、専門知識や経験をあまり要することなく、手続の煩雑な港湾貨物取引を簡単に進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る貿易業務支援装置を含む貿易業務支援システムのハードウェア構成図である
図2】貿易業務支援装置のフローチャートである。
図3】貿易業務支援装置のフローチャートである。
図4】管理情報を表示する際の画面推移を示すもので、輸入貨物取引情報にアクセスした際の初期画面である。
図5】管理情報7表示する際の画面推移を示すもので、本船情報を指定することにより表示される表示画面である。
図6】貿易帳票の表示操作をする際の表示画面である。
図7】貿易帳票データの表示画面である。
図8】会計情報の表示画面である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1ないし図8に本発明の実施の形態を示す。図1に示すように、この実施の形態は、本発明に係る貿易業務支援装置Aをネットワーク21を通じて相互に交信が可能な貿易業務支援サーバ20とクライアント端末22からなるクライアントサーバシステムにおいて、貿易業務支援システムとして構築したものである。上記ネットワーク21はこの実施の形態においては公衆回線網であるが、公衆回線網に代えて専用回線を用いたり、さらには、貿易業務支援装置Aをクライアント側に集約してクライアント端末22に代わるスタンドアロンコンピュータとして構成することなども可能である。
【0023】
上記クライアント端末22は、この実施の形態においては船会社代理店や船会社に設置されるコンピュータである。なお、以下の説明においては発明の理解を容易にするために、船会社代理店に設置したクライアント端末22と貿易業務支援サーバ20との関係を例としてシステム構成やその情報処理を説明する。
【0024】
このクライアント端末22への船会社代理店のオペレータによる操作により、貿易業務支援システムは、例えば輸出業務においてB/LやM/F、フレートマニフェストを、輸入業務においてA/NやD/O、フリータイムリストを作成し、また輸出入の両業務においてさらにフレイトリストやコンテナリストを作成等する。なお、上述のようにクライアント端末22を船会社代理店ではなく、例えば通関業者で運用した場合には、E/Dなど通関業者の業務内容に応じた貿易帳票を作成することも可能である。
【0025】
上述した各種の貿易帳票をクライアント端末22と協働して作成等する貿易業務支援サーバ20は、図1に示すようにバスライン23を介して記憶部24、演算部25、および入出力部26を制御部27に接続し、これらを制御部27により制御して構成される。上記記憶部24は、取引情報データベース6、書式情報格納手段11、入金情報格納手段15、マスタデータ格納手段28、および権限情報格納手段29を有する。
【0026】
上記取引情報データベース6は、港湾貨物取引の基礎的情報1を蓄積する基礎情報格納手段2と、港湾貨物取引の付加的情報3を蓄積する付加情報格納手段4と、基礎的情報1と付加的情報3を港湾貨物取引単位で相互に関連付ける関連テーブル5とを有し、複数の港湾貨物取引に関する様々な情報を蓄積する。この取引情報データベース6はリレーショナルデータベースであり、この実施の形態においては、例えば本船動静情報データベースや、B/L用主要情報データベース、B/L用コンテナ情報データベース、B/L用荷主情報データベース、B/L用危険品情報データベースなど、管理のしやすさ等を考慮した適宜単位で各情報項目のデータベースが構成される。
【0027】
上述のように基礎情報格納手段2に格納される基礎的情報1は、具体的には例えば、B/L番号、ブッキング番号、荷主名、荷受人名、船会社コード、本船コード(本船情報1a)、本船名、本船名、海貨業者名、海貨業者コード、船積港名、船積港コード、荷揚港名、荷揚港コード、コンテナタイプ、コンテナサイズ、コンテナ番号、シール番号、品名、荷姿名、個数、グロス重量、グロス容積、ネット重量、ネット容積、重量単位、容積単位などで構成される。この基礎的情報1は、後述するように輸出に関してはNACCSサーバ30のACL(船積確認事項登録)情報に、また、輸入に関しては輸出地側貿易業務管理装置31のM/F情報等に基づいて構成されており、これらACL情報等に含まれる個々の情報項目に応じた内容からなる。
【0028】
また、上記付加的情報3は、具体的には例えば、船長名、航路、寄港回数、代理店コード、ターミナルコード、ETA(Estimated Time of Arrival)、ETD(Estimated Time of Departure)、B/L作成種別、リファレンス番号、荷主コード、荷受人コード、現地代理店名、現地代理店コード、最終更新年月日、A/N送付先FAX番号、検疫申告種別コードなどで構成される。なお、以上の基礎的情報1や付加的情報3の内容は、クライアント端末22を設置する船会社代理店の業務に応じたものであり、上述のように例えば通関業者にクライアント端末22を設置した場合には通関業者の業務内容に応じたやや異なるものとなる。
【0029】
上記関連テーブル5は、以上の基礎的情報1と付加的情報3の個々の情報項目をキーにより港湾取引単位で相互に関連付ける。
【0030】
また、上記書式情報格納手段11は、上述したB/LやM/Fなどの各種貿易帳票の書式情報を格納するもので、各書式情報には当該貿易帳票における荷主名などの各種の入力項目情報や、これらの入力項目情報の当該貿易帳票における項目表示位置が設定される。また、特にB/Lに関しては船会社毎に異なる書式情報が格納される。
【0031】
上記入金情報格納手段15は、船荷運賃の入金情報14a、すなわち入金の有無に関する情報を格納する。各入金情報14aは、取引情報データベース6における対応する港湾貨物取引に関する適宜の項目情報に関連付けられる。この入金情報14aは具体的には例えば船荷運賃の入金日として構成することが可能であり、この場合、入金日に関する情報が格納されていないことで入金のないことを示すことができる。
【0032】
上記マスタデータ格納手段28は、上述した基礎的情報1や付加的情報3に含まれる各情報項目のうちの適数に関する項目情報のマスタデータを格納する。具体的には例えば、船会社コードや代理店コード、本船コード、荷姿名、航路などに関するマスタデータを格納することが可能である。
【0033】
上記権限情報格納手段29は、クライアント端末22が記憶部24にアクセスするための各種のユーザID、各ユーザIDに応じたパスワードおよび権限レベルに関する設定情報を格納する。権限レベルの設定により、船会社代理店の複数が各々のクライアント端末22を通じて記憶部24にアクセスしても、上述した取引情報データベース6に蓄積される港湾貨物取引に関する情報へのアクセスを各ユーザIDに対応して予め設定された特定の船会社代理店の取り扱いに関するものに制限する。
【0034】
また、以上のように記憶部24に格納される港湾貨物取引に関連する様々な情報を管理するために、上述した演算部25には記憶部管理手段34が設けられる。この記憶部管理手段34は、取引情報データベース6へのアクセス用のオブジェクトの生成、トランザクション管理等を行う。
【0035】
以上の貿易業務支援サーバ20は、上記入出力部26を経由してネットワーク21と、さらにこのネットワーク21を通じてクライアント端末22と接続可能であり、このクライアント端末22は、図1に示すようにバスライン35を介して演算部36、および入出力部37を制御部38に接続し、これらを制御部38により制御して構成される。上記入出力部37は入力部10と出力部9を有する。
【0036】
また、上述のように記憶部24に格納される港湾貨物取引に関連する様々な情報を用いて船会社代理店としての管理業務や、各種の貿易帳票に関する業務の遂行を補助するために、クライアント端末22には貿易業務支援システムのクライアント用アプリケーションソフトウェアがインストールされ、これにより上記演算部36には、管理情報抽出手段8、会計情報抽出手段16、帳票作成手段13、登録・編集手段32、および権限管理手段17が設けられる。
【0037】
上記管理情報抽出手段8は、上記入力部10に接続される図外のマウス、キーボード等の入力手段を用いてオペレータにより入力部10に入力される管理情報出力命令に応じ、出力部9を通じて貿易業務支援サーバ20にアクセスし、取引情報データベース6に蓄積される膨大な港湾貨物取引に関する情報の中から管理業務に適した適数の情報項目を記憶部管理手段34を利用して管理情報7として抽出した上で、この管理情報7をクライアント端末22に入力部9を通じて取り込む。抽出される情報項目は、具体的には、特定の本船コードを条件にして港湾貨物取引を絞り込みした上での各種の貨物取引単位での取引主要情報や、このような貨物取引単位に代えてコンテナ単位でまとめた取引詳細情報、あるいは船荷運賃単位でまとめた取引詳細情報など管理のしやすさを考慮した他種類が設定されており、本船コード1aを基準に取引情報データベース6内の港湾貨物取引の情報を絞り込みした上で、上述した管理情報出力命令において対象として指定される情報項目に応じたものが選択される。
【0038】
また、以上に加えて管理情報抽出手段8は、後述するユーザ認証成立を経た初期ログイン段階でなされる特段の情報項目を特定しない管理情報出力命令に対し、認証成立したユーザ、すなわち特定の船会社代理店に個別の初期管理情報7’を記憶部管理手段34を利用して取引情報データベース6から抽出し、クライアント端末22に取り込む。この初期管理情報7’は、認証成立ユーザIDに応じた特定の船会社代理店が担当していることを条件にして取引情報データベース6を絞り込みすることにより抽出されるもので、具体的な情報項目は、当該代理店が担当する本船に関する情報を中心とした港湾貨物取引の本船単位での取引主要情報からなる。
【0039】
上記会計情報抽出手段16は、上述と同様にしてオペレータにより入力部10に入力される会計情報出力命令に応じて、入金情報格納手段15に格納される特定の港湾貨物取引における入金情報14aと、取引情報データベース6における対応する港湾貨物取引に関する適宜の主要情報項目を記憶部管理手段34を利用して会計情報14として抽出した上で、これをクライアント端末22に取り込む。入金情報格納手段15から抽出される入金情報14aは、会計情報出力命令において対象として指定される特定の港湾貨物取引に応じたものが選択される。なお、この会計情報抽出手段16による会計情報14の抽出は、各入金情報14aが関連付けられる適宜の情報項目を利用して取引情報データベース6を参照することにより、以上のように港湾貨物取引単位以外にも、例えば船会社単位など適宜の範囲を対象にしても足りる。
【0040】
また、以上の会計情報抽出手段16は、上述した管理情報抽出手段8と同様に、後述するユーザ認証成立を経た初期ログイン段階でなされる対象の港湾貨物取引を特定しない会計情報出力命令に対し、認証成立した船会社代理店に個別の初期会計向け情報を取引情報データベース6から抽出する。この初期会計向け情報は、認証成立ユーザIDに応じた特定の船会社代理店が担当していることを条件にして取引情報データベース6を絞り込みすることにより抽出されるものであり、具体的な情報項目は、当該船会社代理店が担当する港湾貨物取引単位での取引主要情報からなる。なお、この初期会計向け情報として上述した初期管理情報7’のように本船単位での取引主要情報を採用することも可能であり、この場合、以上の初期会計向け情報の抽出後に続いてなされる本船を指定した会計情報出力命令に対し、当該本船を条件として港湾貨物取引を絞り込みした各種の貨物取引単位での取引主要情報を2次的会計向け情報として抽出すれば足りる。
【0041】
上記帳票作成手段13は、上述同様に入力部10に入力される帳票作成命令に応じて貿易業務支援サーバ20にアクセスし、書式情報格納手段11に格納される書式情報を取得し、この書式情報に含まれる入力項目情報を取引情報データベース6の参照により取得し、当該入力項目情報を上記書式情報に含まれる項目表示位置に従って配置して貿易帳票データ12の各種を作成する。書式情報格納手段11から取得される書式情報は、帳票作成命令において対象として指定される特定の書式に応じたものが選択される。また、特にB/Lに関しては、帳票作成命令において対象として指定された特定の港湾貨物取引と取引情報データベース6において関連付けられる船会社に応じたものが選択される。一方、取引情報データベース6から取得される入力項目情報は、帳票作成命令において対象として指定される特定の港湾貨物取引に応じたものが選択される。
【0042】
上記登録・編集手段32は、上述同様に入力部10に入力される登録命令や編集命令に応じて貿易業務支援サーバ20にアクセスし、取引情報データベース6や入金情報格納手段15に新規の取引情報等を登録し、あるいは既登録の取引情報等を編集または削除する。取引情報等の新規登録、編集は、登録・編集命令に含まれる登録内容や編集内容を利用してなされる。また、この登録・編集手段32は、登録・編集命令に先立ってオペレータにより入力部10に入力されるこれらの準備命令に応じてマスタデータ格納手段28内のマスタデータを抽出する。このようなマスタデータの抽出は、準備命令において指定される取引情報データベース6等における対象の情報項目等に応じてなされ、対象の情報項目等に応じたマスタデータがマスタデータ格納手段28内に存在しない場合には、抽出処理をすることなくその後の登録・編集命令を待つ。以上のようにマスタデータを抽出することにより、登録・編集手段32は、クライアント端末22からの登録・編集命令に含まれる登録内容、編集内容についてのマスタデータを利用した入力を可能とする。
【0043】
また、以上の登録・編集手段32は、入力部10に入力されるマスタ登録命令やマスタ編集命令に応じて、マスタデータの新規登録や、編集、削除をも行う。これらの新規登録等はマスタ登録命令等に含まれる登録対象のマスタデータの内容、あるいは編集内容を利用してなされる。さらに、登録・編集手段32は、入力部10に入力されるデータ取り込み命令に応じて、あるいは上述したNACCSサーバ30や輸出地側貿易業務管理装置31からの出力を受けることにより、ACL情報や輸出地側で作成されたM/F情報等を受信すると、記憶部管理手段34を利用して基礎情報格納手段2に格納する。
【0044】
上記権限管理手段17は、オペレータによって入力部10に入力される貿易業務支援サーバ20へのアクセス要求に応じてユーザIDおよびパスワードの入力をオペレータに要求し、貿易業務支援サーバ20にアクセスした上で、この求めに応じて入力されるユーザID等が権限情報格納手段29内に格納されるものと一致するか否かにより当該クライアント端末22のアクセス権限を判定する。また、ユーザID等の一致により認証が成立した後には、上述のように初期ログイン段階でなされる種類を特定しない管理・会計情報出力命令を受けた管理・会計情報抽出手段16に対し、権限情報格納手段29内に格納される権限レベルの設定情報を提供することにより、初期管理情報7や初期会計向け情報を当該ユーザIDに応じた、すなわち特定の船会社代理店が担当する港湾貨物取引に関するもののみに制限する。
【0045】
以上のようにして管理情報抽出手段8や会計情報抽出手段16により貿易業務支援サーバ20からクライアント端末22に取り込まれた管理情報7等や、帳票作成手段13により作成された貿易帳票データ12、さらには、登録・編集手段32や権限管理手段17による処理に際して貿易業務支援サーバ20からクライアント端末22に取り込まれるマスタデータや、クライアント端末22自身によるオペレータに対するユーザIDの要求は、オペレータのマウス等への操作に応じ、出力部9に接続される図外のディスプレイ等の表示手段に出力されることでオペレータに提供される。
【0046】
また、貿易帳票データ12のクライアント端末22への取り込みは、貿易帳票の種類に応じて予め設定される所定のファイル形式でなされる。さらに、クライアント端末22のオペレータは、出力部9に接続される図外のプリンタ等の印刷手段に対し、上述した貿易帳票データ12をマウス等への操作により出力させることで、印刷によって書類としての貿易帳票を得ることができる。
【0047】
一方、上述したネットワーク21には、図1に示すように、NACCSを提供する上述したNACCSサーバ30も接続される。このNACCSサーバ30は、船会社代理店等の港湾関連業者によるI/V、P/L、S/I、E/D、D/Rなどの作成や提出などを補助するもので、NACCSのクライアント用アプリケーションソフトをクライアント端末22にインストールすることにより演算部36に設けられる図外のNACCS処理手段等を通じて、クライアント端末22に上述の各種貿易帳票の作成補助データを出力等する。
【0048】
このNACCSサーバ30はACL情報を格納する基礎情報格納部33を備えており、上述のように、登録・編集手段32からの求めに応じるなどして、ALC情報をCSVファイル等のデータ交換可能な適宜ファイル形式で基礎的情報1としてクライアント端末22に出力する。クライアント端末22の登録・編集手段32は、受信したALC情報を基礎的情報1として貿易業務支援サーバ20に出力し、記憶部管理手段34は、ALC情報の各項目情報を予め設定された種類の情報項目に応じたキーに関連づけて基礎情報格納手段2に格納する。
【0049】
また、以上に加え、貿易業務支援システムは、輸出地側貿易業務管理装置31を備える。この輸出地側貿易業務管理装置31は、上述したクライアント端末22が貨物の輸入地に設置されるのに対して輸出地に設置されるもので、例えば船会社により管理されて当該船会社の輸出地での港湾貨物取引の管理等の業務を支援する。以上の輸出地側貿易業務管理装置31には、M/F情報等を格納する基礎情報格納部33’が設けられており、このM/F情報等が基礎的情報1として貿易業務支援サーバ20に取り込まれる。M/F情報等の取り込みは、登録・編集手段32からの求めに応じるなどして、インターネットを通じてCSVファイル等のデータ交換可能な適宜ファイル形式で電子的になされるが、適宜の記憶媒体を利用したり、クライアント端末22のキーボード等を利用した手入力によりクライアント端末22を介してすることも可能である。
【0050】
以上の貿易業務支援システムにおける処理手順を以下に説明する。図2および図3に示すように、まず最初に、権限管理手段17による権限情報格納手段29を利用した権限認証が行われた後(S1)、会計業務を行うのか(S2)、マスタデータの管理業務を行うのか(S3)、あるいは輸出あるいは輸入の取引管理業務を行うのかの問い合わせ処理がクライアント端末22においてそのオペレータを対象にしてなされる。
【0051】
クライアント端末22が会計業務やマスタデータ管理業務を行う旨の入力を受け付けると、これを準備命令などとして会計情報抽出手段16や登録・編集手段32により貿易業務支援サーバ20の取引情報データベース6や入金情報格納手段15、マスタデータ格納手段28が参照されて、初期会計向け情報として上述の権限認証を経たユーザIDの権限レベルに応じた会計業務対象の港湾貨物取引の選択(S19)、あるいはマスタ管理業務対象のマスタ項目の選択(S22)がクライアント端末22においてオペレータを対象にして求められ、この後、クライアント端末22による選択結果に応じた港湾貨物取引に関する会計情報14、マスタ管理情報7が会計情報抽出手段16等により取引情報データベース6等から抽出されて貿易業務支援サーバ20からクライアント端末22に送信されることにより(S20、S23)、会計情報14等がクライアント端末22のオペレータに会計業務用の資料などとして提供される。図8はこのときのクライアント端末22における表示手段の表示画面である。
【0052】
また、この会計情報14等は編集が可能であり、クライアント端末22においてキーボード等を利用して編集が加えられた場合には、その編集結果が登録・編集手段32を通じて入金情報格納手段15に格納されている入金情報14aなどに反映される。以上の会計業務等は、クライアント端末22において会計業務等を終了する旨の入力を受けると終了する(S21、S24)。
【0053】
一方、クライアント端末22において上述した輸出の取引管理業務、あるいは輸入の管理業務を行う旨の入力を受けると、管理情報抽出手段8により取引情報データベース6が参照されて、権限認証されたユーザIDの権限レベルに応じ、また、当該貿易形態に応じた港湾貨物取引に関する情報の一覧が管理情報抽出手段8により取引情報データベース6から抽出されて貿易業務支援サーバ20からクライアント端末22に送信される(S4)。この情報は上述した初期管理情報7’であり、クライアント端末22における表示画面である図4に示すように、本船に関する情報を中心とした港湾貨物取引の本船単位での取引主要情報により構成される。
【0054】
また、この情報は上述したクライアント端末22へのオペレータの入力操作時点において取引情報データベース6に既に格納されているものを反映したものであり、取引情報データベース6に未だ格納されていない港湾貨物取引を船会社代理人が新規に受注し、これを取引情報データベース6、すなわち上記一覧に反映させたい場合には、オペレータによるクライアント端末22への操作を通じて当該新規取引に関する情報を新たに追加することができる。新規取引の追加処理は、オペレータによるマウス等の操作を通じてクライアント端末22に新規取引の追加要求の入力を受けることにより開始され(S5)、新規取引の基礎的情報1は、NACCSサーバ30等からのACL情報等の受信を利用した基礎情報格納手段2への基礎的情報1の新規格納、あるいはクライアント端末22のキーボード等を用いた手入力による新たな基礎的情報1の基礎情報格納手段2へのアップロードにより登録・編集手段32を通じて取引情報データベース6に反映され、上述の一覧に反映される(S6)。
【0055】
また、上述のようにクライアント端末22に送信された本船単位の港湾貨物取引に関する情報の一覧の中からクライアント端末22において特定の本船が選択された場合には(S7)、管理情報抽出手段8により取引情報データベース6が参照されて、当該本船を運搬手段とする港湾貨物取引に関する情報の一覧が管理情報7として管理情報抽出手段8により取引情報データベース6から抽出されて貿易業務支援サーバ20からクライアント端末22に送信される(S8)。この情報は、クライアント端末22における表示画面である図5に示すように、港湾貨物取引単位での取引詳細情報により構成される。この後、例えばクライアント端末22において当該本船を運搬手段とする港湾貨物取引に関する他の取引詳細情報の一覧の表示を求められた場合には(S9)、この求めに応じた種別の取引詳細情報の一覧が管理情報抽出手段8により貿易業務支援サーバ20からクライアント端末22に送信され(S10)、以上のようにして取引詳細情報がクライアント端末22のオペレータに管理業務用の資料などとして提供される。
【0056】
また、この取引詳細情報の一覧もクライアント端末22へのオペレータの入力操作時点において取引情報データベース6に既に格納されているものを反映したものであり、港湾貨物取引の進捗に応じたクライアント端末22からの要求に応じてその内容を更新することができる。詳細情報の更新処理は、オペレータによるクライアント端末22のマウス等の操作を通じてクライアント端末22において更新の要求を受けることにより開始され(S11)、次いで、キーボードを用いた手入力等により新たな付加的情報3の入力をクライアント端末22において受け付けると、この新たな付加的情報3が登録・編集手段32によって付加情報格納手段4にアップロードされて取引情報データベース6が更新され、上述の一覧が更新される(S12)。以上の更新処理は、クライアント端末22において更新処理を終了する旨の入力を受けると終了する(S13)。
【0057】
なお、更新処理は、以上のような付加的情報3のみならず、基礎的情報1についても同様の手順を経ることで行うことが可能である。また、このような更新処理でのクライアント端末22における付加的情報3等の手入力に際しては、当該入力項目に応じた情報項目のマスタデータがマスタデータ格納手段28にある場合には、このマスタデータが登録・編集手段32により貿易業務支援サーバ20からクライアント端末22に送信され、当該マスタデータを利用したクライアント端末22での簡単な操作による入力が可能となる。
【0058】
さらに、上述した特定の本船を運搬手段とする港湾貨物取引に関する情報の一覧が貿易業務支援サーバ20からクライアント端末22に出力された状態においては、クライアント端末22のマウス等の操作により貿易帳票データ12の作成、出力をすることもできる。貿易帳票データ12の作成は、クライアント端末22から一覧に含まれる特定の港湾貨物取引の指定を受けた上で、さらに対象の貿易帳票の指定を受けることによりなされる(S14)。図6はクライアント端末22でのこれらの指定操作をしている状態の表示画面を示すもので、一覧における最上段の情報が選択された後、画面右下のプルダウンメニュー状の領域において貿易帳票の種類の選択操作がなされる状態である。
【0059】
上述のように対象の港湾貨物取引、貿易帳票が指定されると、帳票作成手段13により書式情報格納手段11、取引情報データベース6が参照されて、指定された貿易帳票のデータが所定の書式に従って、その情報項目を取引情報データベース6内の格納情報を利用して埋めることによって生成され、貿易業務支援サーバ20からクライアント端末22に出力される(S15)。図7はこのようにして出力された表形式のデータからなるM/Fのクライアント端末22における画面表示である。この後クライアント端末22において印刷手段により印刷すれば、所望の貿易帳票を得ることができる。なお、帳票作成手段13は、以上のようにクライアント端末22に貿易業務支援サーバ20から貿易帳票データ12を送信してクライアント端末22側で印刷できるようにする以外に、例えばA/Nなどの貿易帳票データ12を電子データのまま所望の送信先に送信することも可能であり、この場合には、クライアント端末22のマウス等の操作により送信先のメールアドレスの入力を受け、当該指定に従ってメーラー等を利用して当該電子データをネットワーク21を通じて送信する。また、B/Lの作成に際しては、帳票作成手段13は、取引情報データベース6を参照して対象の港湾貨物取引における船会社に関する情報を取得し、この情報を利用して書式情報格納手段11を検索して船会社毎に異なる書式情報を特定する。
【0060】
加えて、上述した特定の本船を運搬手段とする港湾貨物取引に関する情報の一覧がクライアント端末22において表示された状態においては、登録・編集手段32により本船に関する情報項目を変更したり、複数の港湾貨物取引単位の取引情報を統合したりするといった特殊処理をすることもできる。このような特殊処理は、クライアント端末22のマウス等を利用して特殊処理の種類の指定がクライアント端末22に入力されることにより開始され(S16)、登録・編集手段32は、この後クライアント端末22に入力される特殊処理命令に含まれる処理内容に応じて取引情報データベース6を更新する(S17)。なお、以上の特殊処理は、上述した本船に関する情報を中心とした港湾貨物取引の本船単位での取引主要情報の一覧がクライアント端末22において表示された状態でも行うことができるようにしても足りる。
【0061】
以上において述べたようなクライアント端末22における管理情報7の閲覧や貿易帳票データ12の出力等は、特定の本船を運搬手段とする港湾貨物取引に関する情報の一覧が表示された状態でクライアント端末22において処理を終了する旨の入力を受けると終了する(S18)。
【0062】
したがって船会社代理店は、例えば輸入業務においてクライアント端末22を操作して本船の入港前のタイミングでM/F情報等を輸出地側貿易業務管理装置31から貿易業務支援サーバ20の取引情報データベース6に取り込むことにより基礎的情報1を入力した上で、この基礎的情報1に関連付けるように本船の入港のタイミングに合わせて付加的情報3をクライアント端末22において手入力し、これにより取引情報データベース6の格納情報を拡充した上でA/Nを作成し、さらに、本船からの貨物の積み卸しのタイミングに合わせてクライアント端末22における手入力を重ねて取引情報データベース6の格納情報をさらに拡充してD/O等を作成することができ、これによって基礎的情報1を流用して各種の貿易帳票が効率的に作成される。なお、船会社代理店が通関業者を兼ねるような場合には、以上に加えて税関への貨物輸入の申請のタイミングで付加的情報3をクライアント端末22により手入力して取引情報データベース6の格納情報を拡充しておき、輸入申告書(Import Declaration:I/D)やM/Fをも効率的に作成することが可能である。
【0063】
なお、以上においては帳票作成命令の入力に応じて帳票作成手段13が取引情報データベース6等を参照して貿易帳票データ12の作成を単に進める場合を示したが、例えば帳票作成命令の入力を受けた際に、作成対象の貿易帳票に応じた書式情報に含まれる情報項目の全てが取引情報データベース6に蓄積されているか否かを帳票作成手段13により判定し、判定結果が「否」である場合に貿易帳票データ12が作成できできない旨のメッセージを帳票作成手段13によりクライアント端末22に出力するようにしても足りる。
【符号の説明】
【0064】
1a 本船情報
1 基礎的情報
2 基礎情報格納手段
3 付加的情報
4 付加情報格納手段
5 関連テーブル
6 取引情報データベース
7 管理情報
8 管理情報抽出手段
9 出力部
10 入力部
11 書式情報格納手段
12 貿易帳票データ
13 帳票作成手段
14 会計情報
14a 入金情報
15 入金情報格納手段
16 会計情報抽出手段
17 権限管理手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8