(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
(構成)
図1は、本実施形態に係る可搬式代替熱交換器設備50の使用時における、原子力発電プラント100と可搬式代替熱交換器設備50との関係を示す図である。一般的に、可搬式代替熱交換器設備50は、不使用時は待機位置に配置され、使用時に所定の位置まで搬送される。なお、「待機位置」とは、例えば、可搬式代替熱交換器設備50を所定の位置に搬送して起動を開始するまでの所要時間が48時間以内となる位置を言い、原子力発電プラント100付近の高台などである。また、「所定の位置」とは、原子力発電プラント100に対して可搬式代替熱交換器設備50を接続ホース等で接続可能な範囲の位置を言う。可搬式代替熱交換器設備50は、必要時には、
図1に示すように原子力発電プラント100に接続し、原子力発電プラント100の熱交換器機能を代替する。
【0010】
図2は、可搬式代替熱交換器設備50の構成図である。
図2に示すように、可搬式代替熱交換器設備50は、熱交換器6A,6B、配管系統、淡水ポンプ3、分岐配管15,16、仮設配管及び設備本体52等を備えている。以下、これらの構成要素について説明していく。
【0011】
1.熱交換器
熱交換器6A,6Bは、原子力発電プラント100から導入された被冷却流体を、冷却流体との熱交換によって冷却する機能を有する。熱交換器6A,6Bには、被冷却流体を導入する熱交換器入口側配管、被冷却流体を放出する熱交換器出口側配管7、冷却流体を導入する熱交換器上流側配管及び冷却流体を放出する熱交換器下流側配管13等の配管系統が接続している。これら配管系統については後述する。熱交換器6A,6Bの内部には被冷却流体が流れる管路が設けられている。この管路の一端側は熱交換器入口側配管に接続し、他端側は熱交換器出口側配管7に接続している。
【0012】
2.配管系統
配管系統は、熱交換器入口側配管、熱交換器出口側配管7、熱交換器上流側配管、及び熱交換器下流側配管等の複数の配管で構成されている。各構成要素について説明していく。
【0013】
2−1.熱交換器入口側配管
熱交換器入口側配管は、淡水ポンプ入口配管1と淡水ポンプ出口配管5とで構成されている。すなわち、本実施形態では、淡水ポンプ入口配管1と淡水ポンプ出口配管5とを纏めて熱交換器入口側配管という。
【0014】
淡水ポンプ入口配管1は、一端側が接続ホースを介して、原子力発電プラント100の壁面に設けた冷却系統(例えば、原子炉補機冷却系統)の被冷却流体排出口と接続し、他端側が淡水ポンプ3と接続している。淡水ポンプ入口配管1には、動力又は人力で開閉可能な淡水ポンプ入口止弁2が設けられている。淡水ポンプ入口止弁2を開状態にすると淡水ポンプ入口配管1が開通する。一方、淡水ポンプ入口止弁2を閉状態にすると淡水ポンプ入口配管1が遮断される。
【0015】
淡水ポンプ出口配管5は、一端が淡水ポンプ3に接続し、他端が分岐して各熱交換器6A,6Bに接続している。淡水ポンプ出口配管5は、淡水ポンプ3から吐出された被冷却流体を各熱交換器6A,6Bに導く。淡水ポンプ出口配管5には、動力又は人力で開閉可能な淡水ポンプ出口止弁4が設けられている。淡水ポンプ出口止弁4を開状態にすると淡水ポンプ出口配管5が開通する。一方、淡水ポンプ出口止弁4を閉状態にすると淡水ポンプ出口配管5が遮断される。
【0016】
2−2.熱交換器出口側配管
熱交換器出口側配管7は、一端が各熱交換器6A,6Bに接続し、他端が合流して、接続ホースを介して、原子力発電プラント100の壁面に設けた冷却系統の被冷却流体供給口に接続している。熱交換器出口側配管7には、動力又は人力で開閉可能な熱交換器出口弁8が設けられている。熱交換器出口弁8を開状態にすると、熱交換器出口側配管7が開通し、各熱交換器6A,6Bからの被冷却流体が熱交換器出口側配管7を流れる。一方、熱交換器出口弁8を閉状態にすると、熱交換器出口側配管7が遮断され、熱交換器出口側配管7における被冷却流体の流れが遮断される。
【0017】
2−3.熱交換器上流側配管
熱交換器上流側配管は、ストレーナ入口配管20とストレーナ出口配管12とで構成されている。すなわち、本実施形態では、ストレーナ入口配管20とストレーナ出口配管12とを纏めて熱交換器上流側配管という。
【0018】
ストレーナ入口配管20は、一端側が取付部(例えば、フランジ)を介して冷却流体供給配管21に接続し、他端側がストレーナ11(後述する)に接続している。冷却流体供給配管21は、
図1に示すように、冷却流体源(例えば、取水槽又は放水槽)中に設置されたポンプ22(
図1参照)の吐出口に接続している。ポンプ22は吸込口を介して冷却流体を吸い込み、吐出口を介して冷却流体供給配管21に吐出する。冷却流体としては、熱交換器6A,6Bにおいて熱交換によって被冷却流体を冷却できるものであればよく、例えば、海水や河川水等がある。
【0019】
ストレーナ出口配管12は、一端がストレーナ11に接続し、他端が熱交換器6A,6Bに接続している。
【0020】
ストレーナ11は、例えば、網状部を備える円筒状の容器であり、ストレーナ入口配管20から導出された冷却流体中に混在する固形成分(例えば、藻やゴミなど)を取り除く機能を有する。ストレーナ11で固形成分が取り除かれた冷却流体がストレーナ出口配管12を介して熱交換器6A,6Bに導かれる。
【0021】
2−4.熱交換器下流側配管
熱交換器下流側配管13は、一端が熱交換器6A,6Bに接続し、他端が合流して、取付部(例えば、フランジ部)を介して冷却流体排出配管23に接続している。冷却流体排出配管23は、
図1に示すように、他端側が冷却流体源中に設置され、熱交換器下流側配管13から導かれた冷却流体を冷却流体源中に放出する。熱交換器下流側配管13には、動力又は人力で開閉可能な熱交換器下流側配管止弁14が設けられている。熱交換器下流側配管止弁14を開状態にすると熱交換器下流側配管13が開通する。一方、熱交換器下流側配管止弁14を閉状態にすると熱交換器下流側配管13が遮断される。
【0022】
3.淡水ポンプ
淡水ポンプ3は、淡水ポンプ入口配管1に接続する吸込口と、淡水ポンプ出口配管5に接続する吐出口とを備えている。淡水ポンプ3は、吸込口から原子力発電プラント100に導かれて淡水ポンプ入口配管1を流れる被冷却流体を吸い込み、吐出口から被冷却流体を淡水ポンプ出口配管5に吐出して熱交換器6A,6Bに送り込む。
【0023】
4.分岐配管
分岐配管(第1の分岐配管)15及び分岐配管(第2の分岐配管)16は、試験用接続配管17(後述する)を接続するためのものである。特に図示されていないが、分岐配管15,16には開閉弁、もしくは試験用接続配管17の非接続時に被冷却流体の漏洩を防止する機構が備わっている。
【0024】
分岐配管15は、淡水ポンプ入口配管1の淡水ポンプ入口止弁2と淡水ポンプ3との間から分岐している。分岐配管15の開放端には取付部(例えば、フランジ)が設けられている。
【0025】
分岐配管16は、熱交換器出口側配管7の熱交換器6A,6Bと熱交換器出口弁8との間から分岐している。分岐配管16の開放端には取付部(例えば、フランジ)が設けられている。
【0026】
5.仮設配管
仮設配管は、分岐配管15,16に接続して熱交換器入口側配管及び熱交換器出口側配管7とともに熱交換器6A,6Bを含む循環系統を構築するものであり、試験用接続配管17と給水配管18とを備えている。
【0027】
可搬式代替熱交換設備50の系統試験を行う際には、
図2に示したように、試験用接続配管17の一端側を取付部を介して分岐配管15に接続し、他端側を取付部を介して分岐配管16に接続する。試験用接続配管17には、流量計26及びアキュームレータ27が設けられている。流量計26は、試験用接続配管17を流れる流体の流量を計測する。また、アキュームレータ27は、循環系統(後述する)を流れる流体を蓄える機能を有する。アキュームレータ27の内部にはゴム膜等に封入された気体が充填されている。なお、アキュームレータ27は不要であれば省略することができる。
【0028】
給水配管18は、試験用接続配管17から分岐している。給水配管18は、他端側が取付部(例えば、フランジ)を介して流体供給源配管24に接続している。流体供給源配管24は給水タンク等の流体供給源25に接続した配管である。流体供給源25から供給される流体としては、配管の腐食が生じ難いものが好ましく、例えば、工場敷地内に確保された貯蔵池の水、消火用水及び試験用水等を利用することができる。試験用水は、原子力発電プラントの建屋で行われる各種試験のために予め確保されているもので、例えば、水道水や給水タンクに貯えられた淡水、真水及び純水等がある。
【0029】
給水配管18には、動力又は人力で開閉可能な給水配管止弁19が設けられている。給水配管止弁19を開状態にすると給水配管18が開通する。一方、給水配管止弁19を閉状態にすると給水配管18が遮断される。
【0030】
6.設備本体
設備本体52は可搬式代替熱交換器設備50の外枠或いは外壁をなすものであり、上述した熱交換器6A,6B、配管系統、淡水ポンプ3及び分岐配管15,16等を収容する。試験用接続配管17は空間的余裕があれば設備本体52に収容しておいても良いが、設備本体52とは別に保管しておいても良い。設備本体52としては、40フィート海上コンテナ等を用いることができるが、設備本体52は可搬式代替熱交換設備50をユニットとして載置台51に載置して牽引できるものであればよい。載置台51は、設備本体52を所定の位置まで搬送する可動性と、可搬式代替熱交換設備50の重さに耐え得る強度を有している。載置台51としては、トレーラーの荷台等を用いることができる。なお、本実施形態では可動性を有する載置台51に設備本体52を載置した構成を例示したが、載置台51と設備本体52とを一体とする、設備本体52に車輪を付ける等、設備本体52自体が可動性を有していてもよい。
【0031】
(動作)
可搬式代替熱交換器設備50の動作について、代替熱交換器として機能する場合及び系統試験を行う場合をそれぞれ説明する。
【0032】
代替熱交換器として使用する場合
まず、トレーラー等の牽引車両で牽引して可搬式代替熱交換器設備50を所定の位置へ移動させる。そして、可搬式代替熱交換器設備50の淡水ポンプ入口配管1の上流側に設けられた取付部及び熱交換器出口弁8の下流側に設けられた取付部と、原子力発電プラント100の壁面に設けられた、冷却系統の2つの取合い部とを接続ホースで繋ぐ。また、可搬式代替熱交換器設備50のストレーナ入口配管20の上流側に設けられた取付部に冷却流体供給配管21を接続する。なお、試験用接続配管17は必ずしも接続する必要はない。そして、淡水ポンプ入口止弁2、淡水ポンプ出口止弁4、熱交換器出口弁8、熱交換器下流側配管止弁14を操作して開状態にし、淡水ポンプ3及びポンプ22を駆動させる。すると、原子力発電プラント100の一方の取合い部側の配管から導出された被冷却流体が、可搬式代替熱交換器設備50の淡水ポンプ入口配管1、淡水ポンプ3、淡水ポンプ出口配管5の順に流れて熱交換器6A,6Bに導かれ、ポンプ22、ポンプ出口配管21、ストレーナ11、ストレーナ出口配管12の順に流れて熱交換器6A,6Bに導かれた冷却流体との熱交換によって冷却される。熱交換器6A,6Bで冷却された被冷却流体は熱交換器出口側配管7を流れ、原子力発電プラント100の他方の取合い部側の配管から原子力発電プラント100の冷却系統へ戻される。熱交換器6A、6Bで被冷却流体を冷却した冷却流体は、熱交換器出口配管13、冷却流体排出配管23の順に流れて冷却流体源中へ放出される。
【0033】
系統試験を行う場合
まず、流体供給源25の場所により、必要に応じてトレーラー等の牽引車両で牽引して可搬式代替熱交換器設備50を流体供給源25の付近へ移動させる。待機位置が流体供給源25の付近である場合には移動は不要である。そして、分岐配管15の取付部に試験用接続配管17の一端側を取り付け、分岐配管16の取付部に試験用接続配管17の他端側を取り付ける。また、試験用接続配管17から分岐する給水配管18の開放端に流体供給源配管24の一端側を接続し、流体供給源配管24の他端側を流体供給源25に接続する。次に、給水配管止弁19及び淡水ポンプ出口止弁4を開状態にし、淡水ポンプ入口止弁2及び熱交換器出口弁8を閉状態にする。また、必要に応じて、熱交換器下流側配管止弁14を閉状態にし、ストレーナ入口配管20の取付部を閉じる。この状態で、淡水ポンプ3を駆動させると、流体供給源25から流体が吸い上げられる。流体供給源25から吸い上げられた流体は給水配管18を介して試験用接続配管17に流れる。
【0034】
上述のように、淡水ポンプ入口止弁2及び熱交換器出口弁8を閉状態にしているため、流体供給源25から吸い上げられた流体は、試験用接続配管17、分岐配管15、淡水ポンプ入口配管1、淡水ポンプ出口配管5、熱交換器出口側配管7及び分岐配管16で構成される循環系統を満たしていく。循環系統が流体供給源25からの流体で満たされると、熱交換器入口側配管から熱交換器6A,6Bを経由して熱交換器出口側配管7に向かう方向に循環系統を満たしている流体が循環する。このように、流体供給源25から吸い上げられた流体を淡水ポンプ3を駆動させて循環系統を循環させて、可搬式代替熱交換器設備50の系統試験を行う。なお、系統試験を行っている間も給水配管止弁19は開状態にあるため、循環系統内の水量が減少した場合でも流体供給源25から継続的に流体が供給される。若しくは、試験用接続配管17に設けられたアキュームレータ27により抑制された圧力で安定した流体が供給される。
【0035】
系統試験は、例えば、試験用接続配管17を流れる流体の流量が所定流量(例えば、600リューベ/時間)を満たす場合に、その試験結果を合格と判定することができる。試験用接続配管17を流れる流体の流量を計測する手段としては、例えば、試験用接続配管17を流れる流体の所定時間の流量を流量計26で計測し、得られた計測値を1時間当たりの流量に換算すればよい。
【0036】
(効果)
(1)系統試験の実施容易性
本実施形態の可搬式代替熱交換器設備50は、系統試験に配慮して仮設配管とこれを接続するための分岐配管15,16とを備えている。そのため、可搬式代替熱交換器設備50の系統試験に要する労力や時間を軽減することができ、配管系統や淡水ポンプ3、熱交換器6A,6Bの健全性を維持するのに大きく貢献し得る。これにより、必要時に満足な機能を発揮することができる、信頼性の高い可搬式代替熱交換器設備を提供することができる。
【0037】
(2)配管系統の冷却等容易性
また、本実施形態の可搬式代替熱交換器設備50は、分岐配管15,16の取付部に試験用接続配管17を取り付けることで配管系統に流体供給源25を容易に接続することができる。そのため、例えば、原子力発電プラント100に接続して代替熱交換器として使用する場合には、原子力発電プラント100からの被冷却流体に対しより低温の流体を注入することができ、被冷却流体の温度をより短時間で下げることができる。
【0038】
<第2実施形態>
(構成)
図3は本実施形態に係る可搬式代替熱交換器設備60の構成図である。
図3において、上記第1実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0039】
本実施形態は、分岐配管28,29を更に備え、試験用接続配管17に替えて試験用接続配管30,31を備える点で第1実施形態と異なる。第1実施形態との相違点を中心に順次説明していく。
【0040】
1.分岐配管
分岐配管(第3の分岐配管)28は、分岐配管(第2の分岐配管)16との間で試験用接続配管(第2の仮設配管)30を接続するためのものである。分岐配管(第4の分岐配管)29は、分岐配管(第1の分岐配管)15との間で試験用接続配管(第1の仮設配管)31を接続するものである。
【0041】
分岐配管28は、ストレーナ入口配管20のストレーナ11とストレーナ入口配管20の取付部の間から分岐している。分岐配管29は、熱交換器出口配管13の熱交換器下流側配管止弁14と熱交換器6A,6Bの間から分岐している。分岐配管28,29の構造は分岐配管15,16と同様である。
【0042】
2.仮設配管
試験用接続配管30,31は、被冷却水を流す配管系統、冷却水を流す配管系統及び熱交換器6A,6Bを含めた循環系統を構築するためのものである。
【0043】
系統試験を行う場合には、
図3に示したように、試験用接続配管30の一端側を取付部を介して分岐配管16に接続し、他端側を取付部を介して分岐配管28に接続することで、熱交換器出口配管7を熱交換器上流側配管に接続する。試験用接続配管30には、動力又は人力で開閉可能な接続配管止弁32が設けられている。接続配管止弁32を開状態にすると試験用接続配管30が開通する。一方、接続配管止弁32を閉状態にすると試験用接続配管30が遮断される。
【0044】
試験用接続配管31は、一端側を取付部を介して分岐配管15に接続し、他端側を取付部を介して分岐配管29に接続することで熱交換器下流側配管13を熱交換器入口側配管に接続する。試験用接続配管31には、動力又は人力で開閉可能な接続配管止弁33が設けられている。接続配管止弁33を開状態にすると試験用接続配管31が開通する。一方、接続配管止弁33を閉状態にすると試験用接続配管31が遮断される。試験用接続配管31には、流量計26及びアキュームレータ27が設けられている。流量計26は、試験用接続配管31を流れる流体の流量を計測する。なお、本実施形態においても、アキュームレータ27は不要であれば省略することができる。
【0045】
図3に示すように、本実施形態では、流体供給源25に接続した流体供給源配管24は、淡水ポンプ入口配管1の開放端に設けられた取付部を介して淡水ポンプ入口配管1に接続している。
【0046】
(動作)
可搬式代替熱交換器設備60の動作について、代替熱交換器として使用する場合は上記第1実施形態と同様であるため説明を省略する。なお、基本的に試験用接続配管30,31は接続しないが、接続して簡易的な熱交換器として使用することも可能である。この場合には接続配管止弁32,33を閉状態とする。以下、系統試験を行う場合について説明する。
【0047】
系統試験を行う場合
まず、流体供給源25の場所により、必要に応じてトレーラー等の牽引車両で牽引して可搬式代替熱交換器設備60を流体供給源25の付近へ移動させる。待機位置が流体供給源25の付近である場合には移動は不要である。そして、分岐配管15の取付部に試験用接続配管31の一端側を取り付け、分岐配管29の取付部に試験用接続配管31の他端側を取り付ける。また、分岐配管16の取付部に試験用接続配管30の一端側を取り付け、分岐配管28の取付部に試験用接続配管30の他端側を取り付ける。さらに、淡水ポンプ入口配管1の開放端に設けられた取付部に流体供給源配管24の一端側を接続し、流体供給源配管24の他端側を流体供給源25に接続する。次に、熱交換器出口弁8及び熱交換器下流側配管止弁14を閉状態にし、淡水ポンプ入口止弁2、淡水ポンプ出口止弁4、接続配管止弁32,33を開状態にする。また、ストレーナ入口配管20の取付部を閉じる。この状態で、淡水ポンプ3を駆動させると、流体供給源25から流体が吸い上げられる。流体供給源25から吸い上げられた流体は淡水ポンプ入口配管1に流れる。
【0048】
上述のように、熱交換器出口弁8及び熱交換器下流側配管止弁14を閉状態にしているため、流体供給源25から吸い上げられた流体は、淡水ポンプ入口配管1、淡水ポンプ出口配管5、熱交換器出口側配管7、分岐配管16、試験用接続配管30、ストレーナ入口配管20、ストレーナ出口配管12、熱交換器出口側配管13、分岐配管28、試験用接続配管31及び分岐配管15で構成される循環系統を満たしていく。循環系統が流体供給源25からの流体で満たされ、淡水ポンプ3を駆動させると熱交換器入口側配管から熱交換器6A,6Bを経由して熱交換器出口側配管7に向かい、試験用接続配管30を流れて再び熱交換器6A,6Bを経由して試験用接続配管31に向かう方向に循環系統を満たしている流体が循環する。このように、流体供給源25から吸い上げられた流体を、淡水ポンプ3を駆動させて循環系統を循環させて、可搬式代替熱交換器設備60の系統試験を行う。なお、系統試験を行っている間も淡水ポンプ入口止弁2は開状態にあるため、循環系統内の水量が減少した場合でも流体供給源25から継続的に流体が供給される。若しくは、試験用接続配管31に設けられたアキュームレータ27により抑制された圧力で安定した流体が供給される。
【0049】
系統試験は、例えば、試験用接続配管31を流れる流体の流量が所定流量(例えば、600リューベ/時間)を満たす場合に、その試験結果を合格と判定することができる。試験用接続配管31を流れる流体の流量を計測する手段としては、例えば、試験用接続配管31を流れる流体の所定時間の流量を流量計26で計測し、得られた計測値を1時間当たりの流量に換算すればよい。
【0050】
(効果)
上記構成により、本実施形態では上述した第1実施形態で得られる各効果に加えて、次の効果が得られる。
【0051】
本実施形態の可搬式代替熱交換器設備60は、分岐配管15,29の取付部に試験用接続配管31を取り付け、分岐配管15,16,28,29及びこれらに接続可能な仮設配管30を備えることにより多数の配管についての系統試験を配慮した構成を備えている。そのため、必要時に満足な機能を発揮することができる、更に信頼性の高い可搬式代替熱交換器設備を提供することができる。
【0052】
<第3実施形態>
(構成)
図4は本実施形態に係る可搬式代替熱交換器設備70の構成図である。
図4において、上記第1実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0053】
本実施形態は、変圧器34を備える点で第1実施形態と異なる。より具体的には、変圧器34は可搬式代替熱交換器設備70の淡水ポンプ3に接続され、可搬式代替熱交換器設備70の外部に配置された電源からの出力電圧を降圧して淡水ポンプ3に出力する。
【0054】
(動作)
変圧器34を可搬式代替熱交換器設備70の外部電源、例えば、発電所の準備電源車に接続する。変圧器34は、この電源車からの出力された所定の電圧(例えば、6.6kV)を所定の電圧(例えば、440V)まで降圧し、淡水ポンプ3に出力する。淡水ポンプ3は、変圧器34からの出力電圧により駆動を開始する。他の動作は第1実施形態と同様である。
【0055】
(効果)
本実施形態においても、分岐配管15,16の取付部に試験用接続配管17を取り付けて系統試験を実施可能な循環系統を容易に形成することができるため、第1実施形態で得られる各効果が得られる。加えて、本実施形態においては次の効果が得られる。
【0056】
本実施形態可搬式代替熱交換器設備70は、可搬式代替熱交換器設備70の外部に配置された電源からの出力電圧を降圧し、淡水ポンプ3に出力する変圧器34を備えている。そのため、淡水ポンプ3の電源として商用電源が確保されていない場合であっても、例えば準備電源車等から供給される電力を降圧して淡水ポンプ3に出力し、淡水ポンプ3を駆動させることができる。従って、より適用性のある可搬式代替熱交換器設備を提供することができる。
【0057】
<その他>
本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除及び置換をすることも可能である。
【0058】
各実施形態において、流量計26及びアキュームレータ27を試験用接続配管に設置した場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明の本質的効果は、現地や工場で系統試験を容易に行うことができる、信頼性の高い可搬式代替熱交換器設備を提供することであり、この本質的効果を得る限りにおいては必ずしも試験用接続配管に設ける必要はない。例えば、流量計26及びアキュームレータ27の少なくとも一方を熱交換器入口側配管や熱交換器出口側配管7等の他の配管系統に設置してもよい。
【0059】
また、各実施形態において、可搬式代替熱交換器設備が2つの熱交換器6A,6Bを備えた場合を例に挙げて説明した。しかしながら、上述した本発明の本質的効果を得る限りにおいては、熱交換器の数量は2つに限定されるものではない。例えば、可搬式代替熱交換器設備が3つ以上又は1つの熱交換器を備えていてもよい。
【0060】
また、上記の実施形態では変圧器34を上述の第1実施形態と同様の構成の可搬式代替熱交換器70に適用した構成を例に挙げて説明したが、変圧器34は、例えば第2実施形態の可搬式代替熱交換器60に適用することもできる。
【0061】
また、本発明の可搬式代替熱交換器設備は、沸騰水型原子炉を利用した原子力発電プラントや加圧水型原子炉を利用した原子力発電プラント等の原子力発電プラント全てに適用可能である。