(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247946
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】害虫駆除装置
(51)【国際特許分類】
A01M 1/20 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
A01M1/20 C
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-19914(P2014-19914)
(22)【出願日】2014年2月5日
(65)【公開番号】特開2015-146742(P2015-146742A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2017年1月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】309035062
【氏名又は名称】日立エーアイシー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100211018
【弁理士】
【氏名又は名称】財部 俊正
(74)【代理人】
【識別番号】100139479
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 一泰
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 吉栄
(72)【発明者】
【氏名】武貞 道夫
(72)【発明者】
【氏名】梅田 旬宏
【審査官】
竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−072098(JP,A)
【文献】
特開昭52−003805(JP,A)
【文献】
実開昭54−135375(JP,U)
【文献】
特開2005−261301(JP,A)
【文献】
特開2007−195412(JP,A)
【文献】
特開2001−049728(JP,A)
【文献】
特開2001−333646(JP,A)
【文献】
特開平07−227151(JP,A)
【文献】
米国特許第05678352(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0298197(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝を有する溝部材と、その溝部材の溝形状に沿わせることによって環状のへこみ部を形成したベースシートと、そのベースシートのへこみ部内に設けた液体と、その液体内に差し込まれた底面側に開口端部を有する袋体と、その袋体内に充填される駆除用ガスとを有する害虫駆除装置にあって、前記溝部材は、その溝の長さ方向に分割された部品の集合体であることを特徴とした害虫駆除装置。
【請求項2】
前記溝部材が、U字溝の集合体であることを特徴とした請求項1の害虫駆除装置。
【請求項3】
前記溝部材の上縁端部断面が半円形であること、または前記溝部材の上縁端部のエッヂがテイパー状になっていることを特徴とした請求項1または2の害虫駆除装置。
【請求項4】
前記溝部材が、樹脂成形体であることを特徴とした請求項1、2または3の害虫駆除装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫駆除装置に関するもので、特に駆除用ガスを使用して、作物に対して薬剤を使用しないで害虫の駆除ができる害虫駆除装置に関するものある。
【背景技術】
【0002】
従来、栽培している作物に付着している害虫の駆除は、薬剤を作物に散布して行っていた。
【0003】
しかしながら、薬剤による散布は、害虫に薬剤耐性をもたらし、年々劇薬化しやすく、薬剤を散布する生産者にとって有害であり、また薬剤が作物に残留しやすいので消費者にとても有害となる。
そのため、作物に対して薬剤を使用しないで害虫の駆除をする方法として、特許文献1では、炭酸ガスを使用して、害虫を駆除する方法が記載されていて、具体的には、地面に植わっている作物の上面をビニールシート等のような被覆体で覆い、内部に炭酸ガス等のガスを導入することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−4880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、駆除用ガスを使用して害虫を窒息させる方法は、駆除用ガスが漏れないように、作物を被覆体で覆うことが、経済面からも必要であるが、同時に窒息させる作業が、繁雑にならないようにすることが必要である。作物が苗のような場合には特に必要となる。これらの点を改善させるために、被覆体の一部に開閉部分を設け、作物の取り出しを容易にするとともに、ガスを充填する場合には、開閉部分を確実に封止する必要がある。この封止する方法として、開閉部分を機械的に押さえつけるよりも、ろう付けのような方法が確実で、そのろうとして加熱の必要のない水のような液体を使用する方法が考えられる。
しかし、処理する作物の量に合わせて、最小の被覆体空間で、害虫を駆除する必要がある。
【0006】
本発明は、駆除用ガスを使用して作物に付着している害虫を窒息させる害虫駆除装置において、上記の課題を解決させるためになされたもので、処理する作物の量に合わせて、無駄を抑えた被覆体空間で、害虫を駆除することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、下記の害虫駆除装置を提供するものである。
(1)溝を有する溝部材と、その溝部材の溝形状に沿わせることによって環状のへこみ部を形成したベースシートと、そのベースシートのへこみ部内に設けた液体と、その液体内に差し込まれた底面側に開口端部を有する袋体と、その袋体内に充填される駆除用ガスとを有する害虫駆除装置にあって、前記溝部材は、その溝の長さ方向に分割された部品の集合体であることを特徴とした害虫駆除装置。
(2)前記溝部材が、U字溝の集合体であることを特徴とした(1)の害虫駆除装置。
(3)前記溝部材の上縁端部断面が半円形であること、または前記溝部材の上縁端部のエッヂがテイパー状になっていることを特徴とした(1)または(2)の害虫駆除装置。
(4)前記溝部材が、樹脂成形体であることを特徴とした(1)、(2)または(3)の害虫駆除装置。
【発明の効果】
【0008】
ガスを使用して作物に付着している害虫を窒息させる害虫駆除装置を得る場合において、上記の課題を解決するためになされたもので、処理する作物の量に合わせて、溝部材の数を調整することで、無駄を抑えた被覆体空間で、害虫を駆除する害虫駆除装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の害虫駆除装置の分解図を示している。
【
図2】本発明の害虫駆除装置の断面図を示している。
【
図3】本発明の溝部材のU字溝の斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の溝部材は、溝を有しその溝に沿わせることによって、ベースシートに環状のへこみ部を形成させることができる部材で、その環状のへこみ部の長さ方向に分割された部品の集合体となっている。溝部材にU字溝を使用すると丈夫で水圧に耐えられ破壊する危険性がないので好ましい。溝部材の材質は、コンクリート、樹脂、木材など特に限定はないは、成型が容易で、比較的軽量な点で樹脂製が好ましい。溝部材の大きさは、幅が10cmから30cm、長さが50cmから150cm、高さが10cmから30cm程度で、長さ方向に必要な数だけ複数並べて使用する。
また、溝部材の形状に沿って、下記のベースシートの周辺部が挿入されることから、ベースシートの引き裂き強度が弱いと、溝部材の上縁端部のエッヂ部分で、ベースシートに亀裂がはいりやすく、袋体内部側でベースシートに亀裂がはいると、駆除用ガスがもれてしまう。そのため、溝部材の上縁端部断面が半円形またはであること、または溝部材の上縁端部のエッヂがテイパー状(円錐状に加工した状態)にすることにより、ベースシートに亀裂がはいりにくくすることができる。また、この亀裂防止の点で、溝部材の材質としてコンクリートまたは荒削りの木材よりも、樹脂材のほうが好ましい。
【0011】
本発明のベースシートは、袋体の底面開口部分を封口するシートで、樹脂材を主体とした柔軟な形状のもので、袋体と同様なものが使用できる。特に小石等の凹凸のある地面に直接接触する場合には、織布、不織布等のクロスを張り合わせるとシートに強度が得られ、またウレタン等のゴム層を設けると凹凸が緩和されるので、穴あき防止の点で好ましい。
【0012】
本発明の液体は、ベースシートのへこみ部内を入り口近くまで満たす液状物質で、溶剤または油が使用できる。腐食性が少なく、安価で、土壌汚染のない水が最も好ましい。また、気温が高く水が蒸発しやすい場合には、水面表面に油や蒸発抑制材を設けてもよい。
【0013】
本発明の袋体は、作物と駆除用ガスを入れる柔軟なシートで作られた容器で、内容物の無いときは折りたたむなどして小さくまとめることができる。
袋体の形状は、上面と側面とからなり、底面部分が開口部分となる。また、一時的に開口し、作物を入れ替え、再び閉口する部分を設けてもよい。
袋体を形成するシートは、樹脂材を主体としたもので、厚さが0.05〜0.8mm程度で、好ましくは、0.1〜0.5mm程度の、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の連続製膜性に優れた透明なプラスチックフィルムが使用できる。特に、一軸配向または二軸配向フィルムは、寸法安定性、機械的性質、耐熱性、透明性、電気的性質などに優れた性質を有することから好ましい。また、必要に応じ本発明の趣旨を損なわない範囲で他の粒子、例えばカオリン、タルク、二酸化ケイ素、ゼオライト、酸化アルミニウム等を少量配合してもよい。また、耐光性という点では、紫外線吸収剤、光安定化剤がシートに含まれていることが好ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなどが使用できる。光安定化剤としては、ヒンダードアミンなどが使用できる。また、帯電防止剤、潤滑剤等を配合してもよい。
強度、保温性などの点から、複数の機能を有する層を積層した積層シートにしたり、機能物質を添加したりして用いることが好ましい。
シートに積層するものとしては、織布、不織布等のクロスを張り合わせるとシートに強度が得られ裂けにくくなり好ましい。クロスの原料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドなどが挙げられるが、成形性、廉価性などの点でポリオレフィンが好ましく、具体的には、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどが好ましい。
また、樹脂フィルムの表面に、アルミニウム等の金属を蒸着等により形成させ、直接またはラミ材を介してシートに圧着して張り合わせることで、太陽光を反射し袋体内の温度上昇を抑制したり、熱線を反射して袋体内から外に熱が逃げないようにしたりすることができる。張り合わせには、ドライラミネート、押出しラミネート、ホットメルトラミネート、サーマルラミネートなど通常の方法が利用できる。溶液、ホットメルト、溶融したポリエチレンなどの接着材をラミ材とする方法のほか、サーマルラミネートのようにラミ材なしで熱をかけて圧着する方法が利用できる。
添加する機能物質としては、硫酸バリウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、炭酸カルシウムなどの粒子を用いるとシートが白色化し、太陽光を反射し袋体内の温度上昇を抑制することができる。
【0014】
本発明の駆除用ガスは、害虫にたいして駆除効果のあるガスで、窒息させるガスまたは炭酸ガス等が使用できる。
窒息させるガスとしては、空気中の酸素と置換することで、酸素の濃度を致死濃度以下に下げる希釈気体で、窒素ガス、またはアルゴンガスなどの希ガスが使用される。窒素ガス、または希ガスの致死濃度のガス濃度としては、ほぼ100%空気と置換する必要とする場合が多い。
炭酸ガスの場合は、濃度が35%以上に高まると顕著な致死作用がみられる場合が多いし、処理する時間も短くてすむ場合が多いので好ましい。
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
本発明の害虫駆除装置の分解図を示している。
図1(a)は袋体1、
図1(b)はベースシート2、
図1(c)は溝部材3を示している。袋体1は、上面と側面を有する四角体の容器で、底面が開口部分となっている。ベースシート2は、もともと平面なものであるが、少なくとも溝部材3の溝にそわせることにより、環状のへこみ部2aを設ける。溝部材3は、袋体1の底面側の側面先端部分が、溝部材3の溝に入り込むような数で四辺形にならべる。角部分の溝部材3は内側の長さと外側の長さを調節して、角がとれるように加工する。各溝部材3は、ベースシート2の環状のへこみ部2aを維持できればよく、隣同士直接接触していなくともよい。
【0017】
図2は、本発明の害虫駆除装置の断面図を示している。
分解された
図1の袋体1とベースシート2と溝部材3とを重ね合わせた形となっている。また、溝部材3によりへこませたベースシート2の環状のへこみ部2a内部には、液体4がはられて、袋体1の底面側にある開口端部1aが液体4内に差し込まれることにより、袋体1の内部が密閉容器となり、その袋体1の内部に駆除用ガス5を充填することができるようになる。
【0018】
図3は、本発明の溝部材のU字溝の斜視図を示している。
図3(a)は上縁端部3aの断面が半円形、
図3(b)は上縁端部3aのエッヂがテイパー状(円錐状に加工した状態)であることを示している。
そのため、溝部材の上縁端部3aの断面が半円形にすること、または溝部材の上縁端部3aのエッヂがテイパー状(円錐状に加工した状態)にすることにより、ベースシートに亀裂がはいりにくくすることができる。これらの上縁端部3aの加工は、少なくとも袋体内部側でよいが、両方にあると、溝部材の設置が容易となり好ましい。
【符号の説明】
【0019】
1…袋体、2…ベースシート、2a…環状のへこみ部、3…溝部材、3a…上縁端部、4…液体、5…駆除用ガス