特許第6247952号(P6247952)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247952
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20171204BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20171204BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20171204BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   G02B27/01
   B60K35/00 A
   G02F1/13 505
   G02F1/1335 510
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-25691(P2014-25691)
(22)【出願日】2014年2月13日
(65)【公開番号】特開2015-152732(P2015-152732A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】510208918
【氏名又は名称】株式会社 オルタステクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】代工 康宏
(72)【発明者】
【氏名】中村 やよい
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−070782(JP,A)
【文献】 特開2000−028957(JP,A)
【文献】 特開2015−007763(JP,A)
【文献】 特開2014−010321(JP,A)
【文献】 特開2000−131682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/00
G02F 1/13 505
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、
前記光源部側に設けられた第1偏光板と、前記第1偏光板と液晶層を介して対向配置された第2偏光板とを有する液晶表示素子と、
前記第2偏光板と対向配置され、反射軸と平行な光成分を反射する反射型偏光板と、
を具備し、
前記液晶表示素子の表示面は、前記光源部の光出射面と概略平行であり、
前記反射型偏光板は、前記液晶表示素子の表示面に対して傾いており、
前記反射型偏光板の透過軸は、前記第2偏光板の透過軸と概略平行であることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
前記反射型偏光板の傾き角度は、10度以上40度以下であることを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
前記第2偏光板に設けられた反射防止膜をさらに具備することを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項4】
光源部と、
前記光源部側に設けられた第1偏光板と、前記第1偏光板と液晶層を介して対向配置された第2偏光板とを有する液晶表示素子と、
前記第2偏光板と対向配置され、反射軸と平行な光成分を反射する反射型偏光板と、
前記液晶表示素子及び前記反射型偏光板間の間隔を埋めるように設けられ、前記反射型偏光板と概略同じ屈折率を有するスペーサーと、
を具備し、
前記液晶表示素子の表示面は、前記光源部の光出射面と概略平行であり、かつ外光の光路に垂直な平面に対して傾いており、
前記反射型偏光板は、前記液晶表示素子の表示面に対して傾いていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項5】
前記液晶表示素子の傾き角度α、前記反射型偏光板の傾き角度βとすると、
角度(α+β)は、10度以上40度以下であることを特徴とする請求項4に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項6】
前記反射型偏光板の透過軸は、前記第2偏光板の透過軸と概略平行であることを特徴とする請求項4又は5に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項7】
前記液晶表示素子により光変調された表示光を反射する反射鏡と、
前記反射鏡によって反射された反射光が投射される表示部材と、
をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドアップディスプレイ装置に係り、特に液晶表示素子を用いたヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフロントガラスなどに液晶表示素子からの表示光を投射して虚像(表示像)の表示を行うヘッドアップディスプレイ(HUD)装置が知られている。このヘッドアップディスプレイ装置では、例えば、バックライトからの照明光が液晶表示素子を透過した表示光を反射鏡(又は凹面鏡)で反射させ、この反射光をフロントガラス又はコンバイナーなどの表示部材に投射することで、運転者が表示部材に表示された虚像を視認するようになっている。これにより、運転者が運転状態からほとんど視野を動かすことなく情報を読み取ることができる。
【0003】
ヘッドアップディスプレイ装置では、その構造上、太陽光等の外部からの光(外光)の一部(特にバックライトの光路に平行で逆向きの光成分)が、ヘッドアップディスプレイ装置に用いられる液晶表示素子に照射されることがある。この場合、液晶表示素子の表示面で反射した外光に起因して、表示されるべきでない不要な像がフロントガラスに映し出される。これにより、液晶表示素子の表示特性が劣化してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−247997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、液晶表示素子のコントラストが低下するのを抑制するとともに、外光に起因して表示特性が劣化するのを抑制することが可能なヘッドアップディスプレイ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るヘッドアップディスプレイ装置は、光源部と、前記光源部側に設けられた第1偏光板と、前記第1偏光板と液晶層を介して対向配置された第2偏光板とを有する液晶表示素子と、前記第2偏光板と対向配置され、反射軸と平行な光成分を反射する反射型偏光板とを具備する。前記液晶表示素子の表示面は、前記光源部の光出射面と概略平行であり、前記反射型偏光板は、前記液晶表示素子の表示面に対して傾いており、前記反射型偏光板の透過軸は、前記第2偏光板の透過軸と概略平行であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様に係るヘッドアップディスプレイ装置は、光源部と、前記光源部側に設けられた第1偏光板と、前記第1偏光板と液晶層を介して対向配置された第2偏光板とを有する液晶表示素子と、前記第2偏光板と対向配置され、反射軸と平行な光成分を反射する反射型偏光板と、前記液晶表示素子及び前記反射型偏光板間の間隔を埋めるように設けられ、前記反射型偏光板と概略同じ屈折率を有するスペーサーとを具備する。前記液晶表示素子の表示面は、前記光源部の光出射面と概略平行であり、かつ外光の光路に垂直な平面に対して傾いており、前記反射型偏光板は、前記液晶表示素子の表示面に対して傾いていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液晶表示素子のコントラストが低下するのを抑制するとともに、外光に起因して表示特性が劣化するのを抑制することが可能なヘッドアップディスプレイ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の断面図。
図2図1に示した液晶表示素子及び反射型偏光板の断面図。
図3】液晶表示素子のより具体的な構成例を示す断面図。
図4】外光の光路を説明するためのヘッドアップディスプレイ装置の断面図。
図5】外光の光路を説明するための液晶表示素子及び反射型偏光板の断面図。
図6】本発明の第2実施形態に係る液晶表示素子及び反射型偏光板の断面図。
図7】本発明の第3実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の断面図。
図8図7に示した液晶表示素子及び反射型偏光板の断面図。
図9】外光の光路を説明するためのヘッドアップディスプレイ装置の断面図。
図10】外光の光路を説明するための液晶表示素子及び反射型偏光板の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法および比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らないことに留意すべきである。また、図面の相互間で同じ部分を表す場合においても、互いの寸法の関係や比率が異なって表される場合もある。特に、以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0011】
[第1実施形態]
[1.ヘッドアップディスプレイ装置10の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置10の断面図である。ヘッドアップディスプレイ装置10は、光源部11、液晶表示素子12、反射型偏光板13、反射鏡14、ケース15、及び表示部材16を備える。
【0012】
光源部11は、例えば面形状を持つ光源(面光源)から構成され、液晶表示素子12に照明光を供給する。光源部11は、基板20、発光素子21、ヒートシンク(熱吸収板)22、支持部材23、光源光学系24、及び支持部材(レンズホルダー)25を備える。基板20上には、1個又は複数個の発光素子21が設けられる。発光素子21としては、例えば白色の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられる。基板20は、発光素子21に電源を供給するための配線が設けられた回路基板から構成される。基板20の底面には、光源部11の熱を吸収又は放射するためのヒートシンク22が設けられる。
【0013】
基板20の上方には、光源光学系24が設けられる。光源光学系24は、例えば、平凸レンズL1、及び凸レンズ(両凸レンズ)L2から構成される。平凸レンズL1は、基板20上に設けられた支持部材23によって支持され、凸レンズL2は、ヒートシンク22上に設けられた支持部材25によって支持される。光源光学系24は、発光素子21からの照明光を集光して一定方向に出射する。光源光学系24から液晶表示素子12側へ出射される照明光は、面光源となる。
【0014】
光源部11の光路上には、液晶表示素子12、及び反射型偏光板13が設けられる。液晶表示素子12、及び反射型偏光板13は、ケース15に設けられた支持部材15bによって支持される。液晶表示素子12は、光源部11からの照明光を透過して光変調を行う。そして、液晶表示素子12は、車速等の運転情報を示す画像を表示する。
【0015】
反射鏡(反射部材)14は、平面鏡、又は凹面鏡などから構成される。反射鏡14は、液晶表示素子12からの表示光を表示部材16に向けて反射する。反射鏡14として凹面鏡を用いた場合、凹面鏡は、液晶表示素子12からの表示光を所定の拡大率で拡大することが可能である。
【0016】
表示部材16は、液晶表示素子12からの表示光を投射するために使用され、表示光を運転者17へ反射することで、表示光を虚像18として表示させる。虚像18として運転者17に視認される情報としては、車速、エンジン回転数、走行距離、ナビゲーション情報、及び外気温などが挙げられる。
【0017】
表示部材16は、例えば車両のフロントガラスである。また、表示部材16は、ヘッドアップディスプレイ装置10専用に設けられた半透明なスクリーン(コンバイナー)であってもよい。コンバイナーは、例えば、車両のダッシュボード上に配置されたり、運転者17の前方に配置されたルームミラーに装着されたり、フロントガラスの上部に設置されたサンバイザーに装着されて使用される。コンバイナーは、例えば、曲面を有する板状の合成樹脂製の基材からなり、その基材の表面には酸化チタン、酸化シリコンなどからなる蒸着膜が施され、この蒸着膜によって半透過の機能を備える。
【0018】
ケース15は、光源部11、液晶表示素子12、反射型偏光板13、及び反射鏡14を収容する。ケース15は、反射鏡14によって反射された表示光が通過する開口部15aを備える。開口部15aに替えては、透光性部材を用いてもよい。ケース15は、例えば、ダッシュボード内に収容される。
【0019】
図2は、図1に示した液晶表示素子12及び反射型偏光板13の断面図である。液晶表示素子12は、一対の基板30、31と、液晶層32と、基板30及び基板31間に液晶層32を封止するためのシール材33と、一対の位相差板(λ/4板)40、42と、一対の偏光板41、43とを備える。
【0020】
図3は、液晶表示素子12のより具体的な構成例を示す断面図である。
液晶表示素子12は、スイッチング素子及び画素電極等が形成されるTFT基板30と、カラーフィルター及び共通電極等が形成されかつTFT基板30に対向配置されるカラーフィルター基板(CF基板)31と、TFT基板30及びCF基板31間に挟持された液晶層32とを備える。TFT基板30及びCF基板31の各々は、透明基板(例えば、ガラス基板)から構成される。CF基板31は、光源部11側に配置され、光源部11からの照明光は、CF基板31側から液晶層32に入射する。
【0021】
液晶層32は、TFT基板30及びCF基板31間を貼り合わせるシール材33によって封入された液晶材料により構成される。液晶材料は、TFT基板30及びCF基板31間に印加された電界に応じて液晶分子の配向が操作されて光学特性が変化する。液晶モードとしては、例えばVA(Vertical Alignment)モードが用いられるが、勿論、TN(Twisted Nematic)モードやホモジニアスモードなど他の液晶モードであってもよい。
【0022】
液晶層32側のTFT基板30上には、複数のスイッチング素子34が設けられる。スイッチング素子34としては、例えば薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が用いられる。TFTは、走査線(図示せず)に電気的に接続されるゲート電極と、ゲート電極上に設けられたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に設けられた半導体層(例えばアモルファスシリコン層)と、半導体層上に離間して設けられたソース電極及びドレイン電極とを備える。ソース電極は、信号線(図示せず)に電気的に接続される。
【0023】
スイッチング素子34上には、絶縁層35が設けられる。絶縁層35上には、複数の画素電極36が設けられる。絶縁層35内かつスイッチング素子34のドレイン電極上には、画素電極36に電気的に接続されたコンタクトプラグ37が設けられる。
【0024】
液晶層32側のCF基板31上には、カラーフィルター38が設けられる。カラーフィルター38は、複数の着色フィルター(着色部材)を備え、具体的には、複数の赤フィルター38−R、複数の緑フィルター38−G、及び複数の青フィルター38−Bを備える。一般的なカラーフィルターは光の三原色である赤(R)、緑(G)、青(B)で構成される。隣接したR、G、Bの三色のセットが表示の単位(ピクセル、又は画素と呼ぶ)となっており、1つの画素中のR、G、Bのいずれか単色の部分はサブピクセル(サブ画素)と呼ばれる最小駆動単位である。スイッチング素子34及び画素電極36は、サブピクセルごとに設けられる。
【0025】
赤フィルター38−R、緑フィルター38−G、及び青フィルター38−Bの境界部分、及び画素(サブピクセル)の境界部分には、遮光用のブラックマトリクス(遮光膜)BMが設けられる。すなわち、ブラックマトリクスBMは、網目状に形成される。ブラックマトリクスBMは、着色部材間の不要な光を遮蔽し、コントラストを向上させるために設けられる。
【0026】
カラーフィルター38及びブラックマトリクスBM上には、共通電極39が設けられる。共通電極39は、液晶表示素子12の表示領域全体に平面状に形成される。
【0027】
光源部11側のTFT基板30上には、位相差板40、及び偏光板41が設けられる。液晶層32と反対側のCF基板31上には、位相差板42、及び偏光板43が設けられる。
【0028】
偏光板41、43は、光の進行方向に直交する平面内において、互いに直交する透過軸及び吸収軸を有する。偏光板41、43は、ランダムな方向の振動面を有する光のうち、透過軸に平行な振動面を有する直線偏光(直線偏光した光成分)を透過し、吸収軸に平行な振動面を有する直線偏光(直線偏光した光成分)を吸収する。偏光板41、43は、互いの透過軸が直交するように、すなわち直交ニコル状態で配置される。図2に示すように、偏光板43の透過軸は、水平方向に対して任意の角度φに設定される。
【0029】
位相差板40、42は、屈折率異方性を有しており、光の進行方向に直交する平面内において、互いに直交する遅相軸及び進相軸を有する。位相差板40、42は、遅相軸と進相軸とをそれぞれ透過する所定波長の光の間に所定のリタデーション(λを透過する光の波長としたとき、λ/4の位相差)を与える機能を有している。すなわち、位相差板40、42は、λ/4板から構成される。位相差板40の遅相軸は、偏光板41の透過軸に対して45°の角度をなすように設定される。位相差板42の遅相軸は、偏光板43の透過軸に対して45°の角度をなすように設定される。
【0030】
画素電極36、コンタクトプラグ37、及び共通電極39は、透明電極から構成され、例えばITO(インジウム錫酸化物)が用いられる。絶縁層35としては、透明な絶縁材料が用いられ、例えば、シリコン窒化物(SiN)が用いられる。
【0031】
図2に戻り、液晶表示素子12は、液晶表示素子12の表示面(基板30又は基板31の面)が光源部11の光路に対して概略垂直になるように配置される。換言すると、液晶表示素子12の表示面は、光源部11の光出射面と概略平行に配置される。液晶表示素子12の表示面は、液晶表示素子12により光変調された画像が表示される面であり、図3の構成例では、CF基板31又は偏光板43の面に対応する。液晶表示素子12の表示面は、TFT基板30又はCF基板31の面(基板面)と平行である。液晶表示素子12の配置や傾きを表現する場合は、表示面と基板面とは同意である。また、図1の構成例では、光源部11の光出射面は、レンズL2の主面に対応し、また、光源部11の光出射面は、基板20の面と平行である。
【0032】
液晶表示素子12の表示面側には、液晶表示素子12に離間して反射型偏光板13が設けられる。反射型偏光板13は、液晶表示素子12の表示面に対して角度θだけ傾いて配置される。角度θは、外光の反射に起因する表示特性の劣化を低減できるように設定され、例えば、10度以上40度以下である。反射型偏光板13は、光の進行方向に直交する平面内において、互いに直交する透過軸及び反射軸を有する。反射型偏光板13は、ランダムな方向の振動面を有する光のうち、透過軸に平行な振動面を有する直線偏光(直線偏光した光成分)を透過し、反射軸に平行な振動面を有する直線偏光(直線偏光した光成分)を反射する。反射型偏光板13の透過軸は、偏光板43の透過軸と平行に設定される。反射型偏光板13としては、例えば、3M社のDBEF(Dual Brightness Enhancement Film)、又は旭化成のワイヤグリッド偏光板などがある。
【0033】
[2.動作]
次に、上記のように構成されたヘッドアップディスプレイ装置10の動作について説明する。
【0034】
図1及び図2の矢印で示すように、光源部11から出射された照明光は、液晶表示素子12を透過するとともに光変調される。液晶表示素子12を透過した表示光は、反射型偏光板13に入射する。ここで、反射型偏光板13の透過軸は、液晶表示素子12の偏光板43の透過軸と概略平行である。このため、液晶表示素子12を透過した表示光は、反射型偏光板13を透過する。反射型偏光板13を透過した表示光は、反射鏡14によって反射され、表示部材16に投射される。この表示部材16への表示光の投射によって得られる虚像(表示像)18が運転者17に視認される。これにより、運転者17は、運転席の正面前方に表示される虚像18を風景と重畳させて観察することができる。
【0035】
また、液晶表示素子12は、その表示面が光源部11の光路に対して垂直に配置される。このため、液晶層32を透過する光は、基板面に対して概略垂直になる。これにより、液晶表示素子12のコントラストが低下するのを防ぐことができる。
【0036】
次に、ヘッドアップディスプレイ装置10に入射する外光の光路について説明する。外光とは、表示部材16の外側(液晶表示素子12が配置される側と反対側)から入射する種々の光であり、例えば太陽光等の外部からの光である。
【0037】
図4は、外光の光路を説明するためのヘッドアップディスプレイ装置10の断面図である。図5は、外光の光路を説明するための液晶表示素子12及び反射型偏光板13の断面図である。
【0038】
図4及び図5の矢印で示すように、外光は、表示部材16を透過して反射鏡14によって反射され、反射型偏光板13に入射する。この時、反射型偏光板13は、外光の光路に垂直な平面に対して角度θだけ傾いて配置される。このため、反射型偏光板13に入射した外光のうち反射軸と平行な光成分は、液晶表示素子12の表示光と同じ方向(又は反射型偏光板13に入射した外光と反対方向)には反射されず、角度2θの方向に反射される(反射角θで反射される)。つまり、外光の半分程度は、液晶表示素子12に到達しない。この結果、外光が液晶表示素子12の表示面で反射された反射光に起因してヘッドアップディスプレイ装置10の表示特性が劣化するのを抑制できる。
【0039】
例えば、反射型偏光板13を設けない場合、外光の光路と液晶表示素子12の表示面とが垂直であるため、液晶表示素子12により反射された光は、外光と逆の光路を辿り、表示部材16に投射される。このため、本来、表示されるべきでない不要な像が発生し、運転者17が視認する表示像の表示品質が低下する。
【0040】
[3.効果]
以上詳述したように、第1実施形態のヘッドアップディスプレイ装置10では、光源部11の光出射面と液晶表示素子12の表示面とは概略平行に配置される。また、液晶表示素子12の表示面側には、液晶表示素子12から離間して反射型偏光板13が設けられる。反射型偏光板13は、液晶表示素子12の表示面に対して角度θだけ傾いており、反射型偏光板13の透過軸は、液晶表示素子12の偏光板43の透過軸と概略平行である。
【0041】
従って第1実施形態によれば、反射型偏光板13に入射した外光の一部(反射型偏光板13の反射軸と平行な光成分)は、角度2θの方向に反射される。これにより、外光が液晶表示素子12の表示面で反射された反射光に起因してヘッドアップディスプレイ装置10の表示特性が劣化するのを抑制できる。
【0042】
また、光源部11の光出射面と液晶表示素子12の表示面とは概略平行に配置される。このため、液晶層32を透過する光は、基板面に対して概略垂直になる。これにより、液晶表示素子12のコントラストが低下するのを抑制することができる。発明者が実験した実施例では、光源部11からの照明光が液晶表示素子12に垂直に入射する場合、すなわち基板面に垂直方向の光が液晶層32を透過する場合、コントラストは1325程度である。入射角が大きくなるにつれてコントラストが低下し、例えば入射角が22度程度である場合、コントラストは183程度に低下し、垂直入射と比べてコントラストが86%程度低下してしまう。よって、第1実施形態の構成を採用することで、コントラストが低下するのを抑制することができる。
【0043】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態に係る液晶表示素子12及び反射型偏光板13の断面図である。図6以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0044】
液晶表示素子12は、反射型偏光板13に対向するように設けられた反射防止膜44を備える。すなわち、反射防止膜44は、偏光板43の反射型偏光板13と向き合う面に設けられる。反射防止膜(AR(Anti-Reflection)フィルム)44は、例えば光の干渉により反射を低減する。
【0045】
図6に示すように、反射型偏光板13に入射した外光のうち反射型偏光板13の透過軸と平行な光成分は、反射型偏光板13を透過して液晶表示素子12に到達する。反射防止膜44は、反射型偏光板13を透過した外光の反射を低減する。これにより、液晶表示素子12の表示面で反射される光成分を低減できるため、運転者17が視認する表示像の表示品質が低下するのを抑制できる。
【0046】
[第3実施形態]
第3実施形態は、光源部11の光出射面と液晶表示素子12の表示面とは概略平行に配置した状態で、液晶表示素子12の表示面及び反射型偏光板13をともに、外光の光路に垂直な平面に対して傾けるようにする。このようにしてヘッドアップディスプレイ装置10を構成することで、第1実施形態と同じ効果を得るようにしている。
【0047】
図7は、本発明の第3実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置10の断面図である。図8は、図7に示した液晶表示素子12及び反射型偏光板13の断面図である。
【0048】
液晶表示素子12は、液晶表示素子12の表示面が光源部11の光路に対して概略垂直になるように配置される。換言すると、液晶表示素子12の表示面は、光源部11の光出射面と概略平行に配置される。
【0049】
液晶表示素子12の表示面、及び光源部11の光出射面は、外光の光路に垂直な平面に対して角度αだけ傾いている。液晶表示素子12の表示面側には、反射型偏光板13が設けられる。反射型偏光板13は、液晶表示素子12の表示面に対して角度βだけ傾いて配置される。
【0050】
液晶表示素子12及び反射型偏光板13間には、これらの間隔を埋めるスペーサー45が設けられる。スペーサー45は、液晶表示素子12(具体的には偏光板43)、及び反射型偏光板13に接触している。すなわち、液晶表示素子12、スペーサー45、及び反射型偏光板13は一体で形成される。スペーサー45の形状は、例えば三角柱である。スペーサー45は、偏光板43及び反射型偏光板13と概略同じ屈折率を有する材料によって構成される。スペーサー45は、透光性を有する合成樹脂材料から構成され、例えばアクリル樹脂から構成される。また、偏光板43及び反射型偏光板13は、例えば、透光性を有する合成樹脂材料から構成される。
【0051】
(動作)
次に、上記のように構成されたヘッドアップディスプレイ装置10の動作について説明する。
【0052】
図7及び図8の矢印で示すように、光源部11から出射された照明光は、液晶表示素子12を透過するとともに光変調される。液晶表示素子12を透過した表示光は、反射型偏光板13に入射する。反射型偏光板13の透過軸は、液晶表示素子12の偏光板43の透過軸と平行である。このため、液晶表示素子12を透過した表示光は、反射型偏光板13を透過する。
【0053】
ここで、反射型偏光板13を透過した表示光は、反射型偏光板13と空気層との界面で屈折する。表示光の入射角β、屈折角(α+β)となる。反射型偏光板13の屈折率n、空気の屈折率=1とすると、スネルの法則より、以下の関係式が得られる。
sin(α+β)=n・sinβ ・・・(1)
関係式(1)の左辺と右辺とが概略同じになるように、角度α、角度β、屈折率nが設定される。この条件を満たすことで、反射型偏光板13の界面で屈折した表示光は、概略水平方向に進み、反射鏡14に入射する。例えば、α=10°、β=19°、n=1.49である場合、反射型偏光板13を透過した表示光は、水平方向に進む。角度(α+β)は、外光の反射に起因する表示特性の劣化を低減できるように設定され、例えば10°≦(α+β)≦40°である。角度αは、3°≦α≦15°であることが望ましい。角度βは、6°≦β≦26°であることが望ましい。
【0054】
また、液晶表示素子12は、その表示面が光源部11の光路に対して垂直に配置される。このため、液晶層32を透過する光は、基板面に対して概略垂直になる。これにより、液晶表示素子12のコントラストが低下するのを抑制することができる。
【0055】
次に、ヘッドアップディスプレイ装置10に入射する外光の光路について説明する。図9は、外光の光路を説明するためのヘッドアップディスプレイ装置10の断面図である。図10は、外光の光路を説明するための液晶表示素子12及び反射型偏光板13の断面図である。
【0056】
図9及び図10の矢印で示すように、外光は、表示部材16を透過して反射鏡14によって反射され、反射型偏光板13に入射する。この時、反射型偏光板13は、外光の光路に垂直な平面に対して角度(α+β)だけ傾いて配置される。このため、反射型偏光板13に入射した外光のうち反射軸と平行な光成分は、液晶表示素子12の表示光と同じ方向(又は反射型偏光板13に入射した外光と反対方向)には反射されず、反射角(α+β)で反射される。つまり、外光の半分程度は、液晶表示素子12に到達しない。この結果、外光が液晶表示素子12の表示面で反射された反射光に起因してヘッドアップディスプレイ装置10の表示特性が劣化するのを抑制できる。
【0057】
(効果)
以上詳述したように、第3実施形態のヘッドアップディスプレイ装置10では、光源部11の光出射面と液晶表示素子12の表示面とは概略平行に配置される。また、液晶表示素子12の表示面には、スペーサー45を介して反射型偏光板13が設けられる。液晶表示素子12の表示面は、外光の光路に垂直な平面に対して角度αだけ傾いており、また、反射型偏光板13は、液晶表示素子12の表示面に対して角度βだけ傾いている。そして、反射型偏光板13の透過軸は、液晶表示素子12の偏光板43の透過軸と概略平行である。
【0058】
以上のようにしてヘッドアップディスプレイ装置10を構成した場合でも、第1実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0059】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、構成要素を変形して具体化することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、1つの実施形態に開示される複数の構成要素の適宜な組み合わせ、若しくは異なる実施形態に開示される構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を構成することができる。例えば、実施形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、これらの構成要素が削除された実施形態が発明として抽出されうる。
【符号の説明】
【0060】
10…ヘッドアップディスプレイ装置、11…光源部、12…液晶表示素子、13…反射型偏光板、14…反射鏡、15…ケース、16…表示部材、17…運転者、18…虚像、20…基板、21…発光素子、22…ヒートシンク、23…支持部材、24…光源光学系、25…支持部材、30,31…基板、32…液晶層、33…シール材、34…スイッチング素子、35…絶縁層、36…画素電極、37…コンタクトプラグ、38…カラーフィルター、39…共通電極、40,42…位相差板、41,43…偏光板、44…反射防止膜、45…スペーサー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10