(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247961
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】保護粘着フィルム
(51)【国際特許分類】
C09J 133/00 20060101AFI20171204BHJP
C09J 7/02 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
C09J133/00
C09J7/02 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-41511(P2014-41511)
(22)【出願日】2014年3月4日
(65)【公開番号】特開2015-166430(P2015-166430A)
(43)【公開日】2015年9月24日
【審査請求日】2016年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226091
【氏名又は名称】日栄化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】檜垣 崇徳
【審査官】
田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−189605(JP,A)
【文献】
特開2010−168474(JP,A)
【文献】
特開平07−281420(JP,A)
【文献】
特開平09−230580(JP,A)
【文献】
特開2006−035270(JP,A)
【文献】
特開2013−185121(JP,A)
【文献】
特開2013−040323(JP,A)
【文献】
特開2006−306656(JP,A)
【文献】
特開2012−035431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板の表面を保護するための粘着フィルムであって、厚さ12μm以下のポリエチレンテレフタレートフィルム基材の一方の面に粘着剤層が形成されており、前記粘着剤層の厚さが10μm以下であること、前記粘着剤層を構成する粘着剤がアクリル系粘着剤であること、及び、前記粘着剤層の厚さA[μm]と前記ポリエチレンテレフタレートフィルム基材の厚さB[μm]との関係において、A/(A+B)2の値が1.95×10−2〜10.3×10−2の間にあることを特徴とする保護粘着フィルム。
【請求項2】
JIS Z0237:2000に準じて測定された前記粘着剤層の粘着力の20分経過後の値が2.0〜7.0N/25mmであることを特徴とする請求項1に記載の保護粘着フィルム。
【請求項3】
JIS Z0237:2000に準じて測定された前記粘着剤層の粘着力の24時間経過後の値が3.0〜10.0N/25mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護粘着フィルム。
【請求項4】
前記の保護粘着フィルムの全光線透過率が85%以上であり、HAZE値が5.0%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の保護粘着フィルム。
【請求項5】
前記粘着剤層が、当該粘着剤層を構成する樹脂成分100質量部に対して1質量部以下のシランカップリング剤を含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の保護粘着フィルム。
【請求項6】
前記ポリエチレンテレフタレートフィルム基材の表面に帯電防止処理が施されており、当該基材表面の表面抵抗値が106Ω/□〜1011Ω/□であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の保護粘着フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)用または液晶用またはプラズマ用の電気光学装置の表示ガラス基板の表面に貼着して使用され、切削・研磨工程ならびに洗浄工程時における表示ガラス基板の傷付きや汚れ付着を防止するための保護粘着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
被保護体表面の傷付きや汚染を防止するための保護粘着フィルムは、一般的に、プラスチックフィルム基材と、この基材の表面に設けられた粘着剤層とからなり、粘着剤層が被保護体の表面に対向するようにして貼着して使用される。
一般的に、このような用途に使用される保護粘着フィルムの特性としては、温度や湿度などの環境変化や小さな応力を受けた程度では被保護体から容易に剥離しないが、剥離時には一定の力で剥離可能であることが要求される。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、アクリル系共重合体と可塑剤とを含有するアクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層と、フィルム基材とを有する保護粘着フィルムであって、可塑剤が、特定の化学構造を有し、かつ特定の溶解度パラメーターを有するエステル化合物であるものが開示されており、この特許文献1記載の保護粘着フィルムの初期接着力(180°引き剥がし接着力)は0.01〜1N/25mm程度である。
【0004】
ところで、有機EL用、液晶用またはプラズマ用の電気光学装置を製造する際には、表示ガラス基板を切削・研磨した後、洗浄する工程が実施され、この時にガラス基板の表面に傷が付いたり、汚れが付着するのを防止することが求められるが、例えば特許文献1記載の保護粘着フィルムをこの用途に用いた場合、接着力(粘着力)が弱く、しかも、基材のポリエチレンテレフタレートフィルムにコシがあるために、切削・研磨工程や洗浄工程を実施する間に保護粘着フィルムがガラス基板から剥がれ易いという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−248489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、有機EL用、液晶用またはプラズマ用の電気光学装置を製造する際の切削・研磨工程や洗浄工程を実施した場合にも剥がれが生じず、表示ガラス基板表面の傷付きや汚れ付着を有効に防止可能な保護粘着フィルムを提供することである。
本発明者は、剥がれが生じない保護粘着フィルムの層構成に関して鋭意検討した結果、粘着剤の厚みと、基材フィルムの厚みと、全体の総厚みをそれぞれ一定の厚み以下に制御することによって、適度な粘着力を有し、切削・研磨工程や洗浄工程時においても剥がれが生じず、上記の工程を実施した後には適度な力で剥離可能な保護粘着フィルムが得られることを見い出して、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決可能な本発明の保護粘着フィルムは、厚さ12μm以下のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材の一方の面に粘着剤層が形成されており、前記粘着剤層の厚さが10μm以下であること、
前記粘着剤層を構成する粘着剤がアクリル系粘着剤であること、及び、前記粘着剤層の厚さA
[μm]と前記ポリエチレンテレフタレートフィルム基材の厚さB
[μm]との関係において、A/(A+B)
2の値が1.95×10
−2〜10.3×10
−2の間にあることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記の特徴を有する保護粘着フィルムにおいて、JIS Z0237:2000に準じて測定された前記粘着剤層の粘着力の20分間経過後の値が2.0〜7.0N/25mmであることを特徴とするものである。
更に、本発明は、前記の特徴を有する保護粘着フィルムにおいて、JIS Z0237:2000に準じて測定された前記粘着剤層の粘着力の24時間経過後の値が3.0〜10.0N/25mmであることを特徴とするものでもある。
【0009】
また、本発明は、前記の特徴を有する保護粘着フィルムにおいて、保護粘着フィルムの全光線透過率が85%以上であり、HAZE値が5.0%以下であることを特徴とするものでもある。
【0010】
更に、本発明は、前記の特徴を有する保護粘着フィルムにおいて、粘着剤層が、当該粘着剤層を構成する樹脂成分100質量部に対して1質量部以下のシランカップリング剤を含有していることを特徴とするものでもある。
【0011】
また、本発明は、前記の特徴を有する保護粘着フィルムにおいて、PETフィルム基材の表面に帯電防止処理が施されており、当該基材表面の表面抵抗値が10
6Ω/□〜10
11Ω/□であることを特徴とするものでもある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、有機EL用または液晶用またはプラズマ用の電気光学装置の表示ガラス基板の切削工程時及び研磨工程時の割れや傷付きを防止することができ、洗浄工程時における保護粘着フィルムの剥がれも防止できる。
又、本発明の保護粘着フィルムは、全光線透過率が高く、HAZE値も小さいので、保護粘着フィルムを貼着した状態でそのまま検品を行なうことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の保護粘着フィルムの層構成を示す図であり、PETフィルム基材1に設けられた粘着剤層2の表面を保護する目的で剥離ライナー3が積層されている。
【
図2】
図1に例示した本発明の保護粘着フィルムを、有機発光ダイオード(OLED)のガラス基板表面に貼着した際の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の保護粘着フィルムの詳細を
図1を用いて説明する。
図1に示されるように、本発明の保護粘着フィルムは、透明性に優れたPETフィルム基材1と、このPETフィルム基材1の一方の面側に設けられた粘着剤層2から構成されており、PETフィルム基材1の厚みが12μm以下で、粘着剤層2の厚さが10μm以下であり、PETフィルム基材1と粘着剤層2の総厚は22μm以下である。この際、
図1のように、粘着剤層2の保護を目的として粘着剤層面に剥離ライナー3を積層するのが一般的であり、剥離ライナー3としては、表面に離型剤がコーティングされた離型処理PETフィルムが一般的である。
【0015】
本発明におけるPETフィルム基材1としては、厚みが12μm以下の市販品が使用できるが、厚みが2μm未満になると、フィルムとしてのコシや強度がなくなり、取り扱い難くなるので好ましくなく、逆に厚みが12μmを越えると、切削工程時にフィルム端部に反りが発生し易く、剥がれが生じ易くなる。このため、本発明におけるPETフィルム基材1の厚みは2〜12μmの範囲が好ましく、特に4〜12μmの範囲が好ましく、更に特に4〜6μmの範囲が好ましい。尚、このPETフィルム基材1の粘着剤層2側の表面は、粘着剤層2との接着力を高める目的で、コロナ処理もしくはアクリルなどの易接着コートが施されていてもよい。
本発明では、保護粘着フィルムの基材として、透明性に優れたPETが使用されているので、保護粘着フィルムを貼着したままの状態で光学検査を行なうことが可能であり、この際、保護粘着フィルムの全光線透過率が85%以上で、しかも、HAZE値が5.0%以下であることが好ましい。全光線透過率が85%未満であったり、HAZE値が5.0%を越えた場合には、光学検査を行なうことが難しくなる。
【0016】
又、本発明における上記PETフィルム基材1の表面に積層される粘着剤層2の厚みは10μm以下であり、粘着剤層2の厚みが10μmを越える場合には粘着力が強すぎるので好ましくない。逆に、この粘着剤層2の厚さが4.5μm未満になると粘着力が弱すぎて、保護粘着フィルムがガラス基板から剥がれ易くなる。また汎用的なコーティング方法による4.5μm以下の塗工は生産安定性を損ね品質低下の恐れがある。本発明において好ましい粘着剤層2の厚みは4.5〜10μmの範囲であり、特に5〜8μmの範囲が好ましい。
そして、本発明の保護粘着フィルムにおいては、PETフィルム基材1と粘着剤層2の総厚が22μm以下になっている。この理由は、粘着剤層2の厚みが上記の範囲内で、上記総厚が22μmを越えると、粘着フィルム総厚の増加に伴う端部面積の増加により端部側面に負荷がかかり、ガラス基板表面に対する粘着力が弱くなり、表示ガラス基板の切削・研磨工程や洗浄工程時に保護粘着フィルムの剥がれが生じるからである。
【0017】
また、本発明の保護粘着フィルムにあっては、粘着剤層2の厚さ(A
[μm])とPETフィルム基材1の厚さ(B
[μm])のA/(A+B)
2値が1.95×10
−2〜10.3×10
−2の間、好ましくは2.00×10
−2〜10.2×10
−2の間にあり、この際、上記の比率が1.95×10
−2未満になると、切削時、基材端部に反りが発生する、もしくは切削・研磨工程や洗浄工程時にガラス基板表面と粘着剤層との間の剥がれが生じ易くなる。上記の比率が10.3×10
−2を超えるとPET基材の強度や剛性と粘着剤単体の重量との相関的なバランスを失い、保護粘着フィルムの施工性を損なう、もしくは切削・研磨工程及び洗浄工程後に保護粘着フィルムを剥がす際、材破する傾向があるので好ましくない。
【0018】
更に、本発明では、粘着剤層2の粘着力の20分経過後の値が2.0〜7.0N/25mmであることが好ましく、より好ましくは2.2〜5.1N/25mmである。粘着力の24時間経過後の値では3.0〜10.0N/25mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは3.2〜7.3N/25mmである。このような粘着力とすることにより、切削・研磨工程や洗浄工程時において保護粘着フィルムに剥がれが生じず、上記工程を行った後に適度な力で剥離できる。この際、20分後の粘着力が2.0N/25mm未満になると保護粘着フィルムを仮留めする際に接着不良のため剥がれ易くなって作業性が低下し、逆に7.0N/25mm以上になると粘着力が強すぎて保護粘着フィルムの貼り直し作業が困難になる。24時間後の粘着力が3.0N/25mm未満になると、ガラス基板と貼着した際に充分な粘着力が得られず、切削・研磨工程や洗浄工程時にガラス基板表面と粘着剤層との間に剥がれが生じ易くなり、逆に10.0N/25mmを超えると、粘着力が大きすぎて、上記工程を行なった後にガラス基板から保護粘着フィルムを剥がす際、PETフィルム基材の破壊が生じることもあるので好ましくない。
尚、本発明における粘着剤層2の粘着力は、JIS Z0237:2000に準じて測定された値であり、粘着力を測定する際には、まず、試料を25mm×150mmの大きさに切り、被着体(耐水研磨紙#360で表面を研磨したステンレス板)に貼り合わせて、2kgゴムローラーで一往復圧着し、引張試験機を用いて接着力を測定する(単位:N/25mm)。この時の測定条件は、180°剥離、23℃・50%RH、剥離速度300mm/分である。
【0019】
本発明の保護粘着フィルムにおける粘着剤層2は、PETフィルム基材の表面に粘着剤を塗布することによって形成されるが、粘着剤層2を形成させるための粘着剤としては、市販されている(メタ)アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタ
ン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤などの各種粘着剤を使用することができる。その中でも、透明性や耐久性の点において、アクリル系粘着剤を用いることが好ましい。本発明に適したアクリル系粘着剤としては、炭素数1〜18のアルキル基を有するアクリル酸エステル共重合体がいずれも使用でき、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは、単独で使用されても2種以上を混合して使用されてもよい。
上記の粘着剤層2を形成させる際のコーティング方法は特に限定されるものではなく、公知の各種コーティング方法が利用でき、例えば、ダイコーター、コンマコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、ロールコーター等が使用できる。
【0020】
尚、本発明では、必要に応じて、当該粘着剤層を構成する樹脂成分100質量部に対して1質量部以下、好ましくは0.01〜1質量部のシランカップリング剤、例えばエポキシ系シラン化合物を添加してもよく、この場合には、ガラス基板に対する濡れ性が向上して密着性が高まる。この際、シランカップリング剤の添加量が1質量部を越えると、表面にブリードが起こり、密着力が低下するので好ましくない。
【0021】
又、本発明では、PETフィルム基材1の表面に帯電防止処理が施され、帯電防止層が設けられた構成とすることが好ましく、市販の帯電防止剤をコーティングして帯電防止層を設けることにより、前記工程時の静電気による埃・異物等の付着を防止することができる。この際、基材表面の表面抵抗値は10
6Ω/□〜10
11Ω/□であることが好ましく(未処理の場合は10
12Ω/□以上)、本発明では、粘着剤層2を形成する際に使用される粘着剤自体に帯電防止効果を付与しても良い。
【0022】
図2は、本発明の保護粘着フィルムを、有機発光ダイオード(OLED)のガラス基板表面に貼着した際の状態を示す図であり、このような積層状態にて切削・研磨工程、洗浄工程が行なわれ、工程終了後に積層状態のままで検査(検品)を行うことができる。
図2において、符号4は、本発明の保護粘着フィルムが貼着されるOLEDのガラス基板であり、符号5はTFT/ELアレイ基板、符号6は偏光板、符号7はOLED素子、符号8は画素回路である。
【実施例】
【0023】
実施例1:本発明の保護粘着フィルムの製造例
まず、粘着剤層を形成するための粘着剤として、市販のアクリル系粘着剤(日本カーバイド工業株式会社製KP−2254)を準備し、これに架橋剤(日本カーバイド工業株式会社製CK−117)を粘着剤コーティング液100質量部に対して0.4質量部添加した後、酢酸エチル、トルエンなどの溶剤にて希釈、十分に撹拌して粘着剤層形成用のコーティング液を得た。一方、PETフィルム基材としては、厚み6μmの市販のPETフィルムを準備した。そして、上記のコーティング液を、乾燥後の粘着剤層厚みが7μmとなるようにしてコーティングを行い、90〜110℃で30〜120秒間乾燥して粘着剤層を形成させ、本発明の保護粘着フィルムを得た。
このようにして得られた本発明の保護粘着フィルムの全光線透過率(JIS K7361−1に準じて測定)は89.5%であり、HAZE値(JIS K7136に準じて測定)は2.8%であった。
同様に、以下の表1に記載される厚み(2μm、4μm、6μm、12μm)のPETフィルム基材上に、表1に記載されるコーティング厚み(5μm、7μm、8μm、10μm)にて上記粘着剤をコーティングして本発明の保護粘着フィルムを作製した。
更に、比較例として、同様の方法を用いて、以下の表1に記載される厚みのPETフィルム基材(12〜50μm)上に、表1に記載されるコーティング厚み(5μm〜20μm)にて上記粘着剤をコーティングして比較品を作製した。
【0024】
上記で得られた本発明品及び比較品についてそれぞれ、JIS Z0237:2000に準じて粘着力(20分経過後の値と24時間経過後の値)を測定した。又、上記で得られた本発明品及び比較品をそれぞれ、有機発光ダイオードのガラス基板表面に貼着した後、切削・研磨工程及び洗浄工程を行い、ガラス基板と保護粘着フィルムの間に剥離が生じているか否かを目視により評価した。
その結果を、以下の表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
上記表1に示されるように、本発明の保護粘着フィルムは、ステンレス板に対する20分間経過後の粘着力がいずれも2.0〜7.0N/25mm、24時間経過後が3.0〜10.0N/25mmの範囲内であり、粘着剤層2の厚さ(A
[μm])とPETフィルム基材1の厚さ(B
[μm])のA/(A+B)
2値が1.95×10
−2〜10.3×10
−2の間にあり、PET基材と粘着剤の各層の厚みが適切な範囲に調節され、かつ、粘着フィルム総厚の増加に伴う端部面積の増加による端部側面にかかる負荷を抑制して有機発光ダイオードのガラス基板表面に貼着した後、切削・研磨工程及び洗浄工程を行った場合においても、ガラス基板と保護粘着フィルムの間に剥がれが生じず、工程後の剥離性にも問題がないことが確認された。これに対して、比較品の保護粘着フィルムの場合には、切削・研磨工程及び洗浄工程を行った際に剥がれが生じた。
【0027】
実施例2:シランカップリング剤を添加した場合の濡れ性改良効果
前記実施例1記載の粘着剤層形成用のコーティング液中に、アクリレート成分100質量部に対して0.1質量部の市販のシランカップリング剤(エポキシ系シラン化合物)を添加し、コーティング液を調製した。
そして、このコーティング液を用いて、実施例1の場合と同様に、厚み6μmのPETフィルム基材の表面に、乾燥後の粘着剤層厚みがそれぞれ7μmとなるようにしてコーティングを行い、粘着剤層を形成させ、本発明の保護粘着フィルムを作製した。
このようにして得られた保護粘着フィルムは、シランカップリング剤を添加していないものと比べて、粘着力及び光学的特性(全光線透過率、HAZE値)の点では同等であるが、ガラス基板の表面に貼着する際の濡れ性が優れ、ガラス基板との密着性が改良されることが確認された。
【0028】
実施例3:帯電防止層を設けることによる埃付着防止効果
実施例1で得られた本発明の保護粘着フィルムのPETフィルム基材の表面(粘着剤層が設けられていない方の面)に、市販の帯電防止剤(イオン伝導型帯電防止コーティング剤)をコーティングし(厚さ約2μm)、帯電防止処理を行ったものと、行なっていないものについてそれぞれ、PETフィルム基材表面の表面抵抗値を測定した。この表面抵抗値の測定においては、測定装置として東亜ディーケーケー社製SM−8200超絶縁計を使用し、温度23℃、相対湿度50%RHの雰囲気下にて測定を行った。
その結果、帯電防止処理を行っていない保護粘着フィルムの表面抵抗値が10
12Ω/□以上であるのに対して、帯電防止処理を行った保護粘着フィルムの表面抵抗値は10
8Ω/□〜10
9Ω/□であり、静電気による埃・異物等が付着しにくいものであることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の保護粘着フィルムは、有機EL用または液晶用またはプラズマ用の電気光学装置の表示ガラス基板を製造する際の切削・研磨工程や洗浄工程時において剥がれが生じ難く、各工程を実施する際の傷付きや汚れ付着が防止でき、保護粘着フィルムを貼着した状態のままで検品を行なうこともできるため、これら電気光学装置の表示ガラス基板の製造分野において有用である。
【符号の説明】
【0030】
1 PETフィルム基材
2 粘着剤層
3 剥離ライナー
4 ガラス基板
5 TFT/ELアレイ基板
6 偏光板
7 有機物質(OLED素子)
8 画素回路(poly−Si TFT)