(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247963
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】電池パッケージ及び電子時計
(51)【国際特許分類】
G04G 19/00 20060101AFI20171204BHJP
G04C 10/00 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
G04G19/00 M
G04C10/00 B
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-46088(P2014-46088)
(22)【出願日】2014年3月10日
(65)【公開番号】特開2015-169595(P2015-169595A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2016年11月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 和也
(72)【発明者】
【氏名】中原 孝典
【審査官】
藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−039347(JP,A)
【文献】
特表2000−506663(JP,A)
【文献】
特開2014−096220(JP,A)
【文献】
特開2014−002100(JP,A)
【文献】
実開昭50−022070(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0083497(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 19/00
G04C 10/00
H02M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボタン型の電池と、
前記電池を収容する凹部と、前記凹部の底の一部分に設けられた開口を有する枠と、
前記開口において前記電池の下面に接合され、上面が前記枠と突き当たるリード板と、
を有し、
前記リード板は、前記開口において前記電池の下面に溶接又はろう付けされる電池パッケージ。
【請求項2】
前記リード板は、前記枠に水平方向に挿入され、前記底の上面に位置するとともに、両端で前記枠と突き当たる請求項1に記載の電池パッケージ。
【請求項3】
前記枠は、前記リード板が挿入された際に、挿入方向に突き当たる付き当て部を有する請求項1又は2に記載の電池パッケージ。
【請求項4】
前記枠は、外周に凹凸を有する請求項1〜3のいずれかに記載の電池パッケージ。
【請求項5】
請求項4に記載の電池パッケージと、
前記電池パッケージを収容する電池パッケージ収容部を有し、
前記電池パッケージ収容部の内周は、前記枠の外周の凹凸に対応する形状であるムーブメントを備えた電子時計。
【請求項6】
前記電池パッケージに替えて、ボタン型の他の電池が前記電池パッケージ収容部に挿入された際に、前記他の電池の電極の少なくとも1の電極は前記ムーブメントと導通しない請求項5に記載の電子時計。
【請求項7】
請求項4に記載の電池パッケージと、
前記電池パッケージを収容する電池パッケージ収容部と、
前記枠の外周の凹凸を検出する凹凸検出部と、を有するムーブメントを備えた電子時計。
【請求項8】
ボタン型の電池と、
前記電池を収容する凹部と、前記凹部の底の一部分に設けられた開口を有する枠と、
前記開口において前記電池の下面に接合され、上面が前記枠と突き当たるリード板と、
を有する電池パッケージを備え、
前記枠は、外周に凹凸を有し、
前記電池パッケージを収容する電池パッケージ収容部と、
前記枠の外周の凹凸を検出する凹凸検出部と、を有するムーブメントを備えた電子時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パッケージ及び該電池パッケージを備えた電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
腕時計、懐中時計等の小型携帯式の電子時計の高機能化による消費電力の増大に伴い、リチウム二次電池等のエネルギー密度の高い電池がその電源として用いられる場合がある。
【0003】
特許文献1には、そのような高エネルギー密度型の電池の個別管理の利便性を損なうことなく取り扱い時の安全性を高めるべく、底面に開口を有する電池収容部を有する絶縁性のホルダーにボタン型の電池を収容し、導電性の押えにより電池の上面の周縁部において電池をホルダーとの間に挟み込み固定した電池パッケージが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−211893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、エネルギー密度の高いボタン型電池の個別管理の利便性と取り扱い時の安全性を損なうことなく、小型で低コストとなる電池パッケージ、及び、該電池パッケージを備えた電子時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく本出願において開示される発明は種々の側面を有しており、それら側面の代表的なものの概要は以下のとおりである。
【0007】
(1)ボタン型の電池と、前記電池を収容する凹部と、前記凹部の底の一部分に設けられた開口を有する枠と、前記開口において前記電池の下面に接合され、上面が前記枠と突き当たるリード板と、を有する電池パッケージ。
【0008】
(2)(1)において、前記リード板は、前記開口において前記電池の下面に溶接される電池パッケージ。
【0009】
(3)(1)又は(2)において、前記リード板は、前記枠に水平方向に挿入され、前記底の上面に位置するとともに、両端で前記枠と突き当たる電池パッケージ。
【0010】
(4)(3)において、前記枠は、前記リード板が挿入された際に、挿入方向に突き当たる付き当て部を有する電池パッケージ。
【0011】
(5)(1)〜(4)のいずれかにおいて、前記枠は、外周に凹凸を有する電池パッケージ。
【0012】
(6)(5)の電池パッケージと、前記電池パッケージを収容する電池パッケージ収容部を有し、前記電池パッケージ収容部の内周は、前記枠の外周の凹凸に対応する形状であるムーブメントを備えた電子時計。
【0013】
(7)(6)において、前記電池パッケージに替えて、ボタン型の他の電池が前記電池パッケージ収容部に挿入された際に、前記他の電池の電極の少なくとも1の電極は前記ムーブメントと導通しない電子時計。
【0014】
(8)(5)の電池パッケージと、前記電池パッケージを収容する電池パッケージ収容部と、前記枠の外周の凹凸を検出する凹凸検出部と、を有するムーブメントを備えた電子時計。
【発明の効果】
【0015】
上記(1)の側面によれば、エネルギー密度の高いボタン型電池の個別管理の利便性と取り扱い時の安全性を損なうことなく、電池パッケージを小型で低コストとすることができる。
【0016】
上記(2)の側面によれば、電池の枠からの脱離を抑制することができる。
【0017】
上記(3)の側面によれば、電池パッケージの組み立ての際に、リード板が枠から分離しづらく、組立作業が容易となる。
【0018】
上記(4)の側面によれば、リード板が枠に対し位置決めされ、リード板の位置がずれる不良が防止される。
【0019】
上記(5)の側面によれば、枠の外周の凹凸を利用して、ムーブメントにおいて、枠を有しないボタン型電池が誤って挿入されることを防止したり、枠を有しないボタン型電池が挿入されたことを検出したりできる。
【0020】
上記(6)の側面によれば、枠を有しないボタン型電池が誤って挿入されることを防止できる。
【0021】
上記(7)の側面によれば、誤って挿入された電池に対して充電電圧が印加されるのを防止できる。
【0022】
上記(8)の側面によれば、電池パッケージが挿入されたのか、枠を有しないボタン型電池が挿入されたのかを検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る電子時計の平面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る電子時計のムーブメントの斜視図である。
【
図5】電池パッケージの組み立て方法を示す図である。
【
図8】ムーブメントの電池パッケージを含む断面による断面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る電池パッケージの一つの変形例を示す下面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る電子時計1の平面図である。この実施形態では、電子時計1を腕時計として示したが、小型携帯式のものであれば他の形式、例えば懐中時計であっても差し支えない。
【0025】
図中符号2は外装ケースであり、その12時位置と6時位置にはバンド取付部3が設けられている。また、電子時計1の3時側側面には、竜頭4が設けられている。なお、同図中において、電子時計1の12時方向は図中上方向であり、6時方向は図中下方向となっている。
【0026】
電子時計1は図示のとおり指針式であり、時針、分針、秒針が電子時計1の中央位置を回転中心として、同軸に設けられている。なお、本実施形態では秒針が時針と同軸となっているが、クロノグラフ型の時計のように、秒針をいわゆるクロノ針に置き換え、秒針を副針として任意の位置に配置してもよい。また、文字板の6時位置には、日窓が設けられ、日車上に表示された日付表示が視認されるようになっている。なお、本実施形態の電子時計1はいわゆる電波時計であり、外装ケース2の文字板の外側の位置には、ユーザに受信状態を知らせるための表示5が刻印又は印刷されている。時刻情報を含んだ電波、本実施形態では、全地球測位システムにおける人工衛星からの電波の受信中及びその前後には、秒針がこれらの表示5のいずれかを指し示す。
【0027】
図2は、本実施形態に係る電子時計1のムーブメント6の斜視図である。ムーブメント6は、ムーブメント本体7と、電池パッケージ8とからなっている。ここで、ムーブメント本体7とは、電子時計1のムーブメント6から、電源関連部品、すなわち、後述する電池パッケージ8を取り除いたものであり、時計回路を含む電子回路基板、モータ、輪列やそれらを保持する地板と呼ばれる枠を含む。電池パッケージ8とは、電池9、電池9を収容する枠10、およびそれらと一体に構成した部材を意味しており、本実施形態では、電池9と枠10の他、後述するリード板を含む3点の部材により電池パッケージ8が構成される。電池パッケージ8は、正極電極を兼ねる電池パッケージ押え11をネジ12によりムーブメント本体7に取り付けることにより固定される。
図2では、電池パッケージ押え11はムーブメント6から分離された状態で示されている。
【0028】
図3は、電池パッケージ8の上面斜視図である。電池9は図示の通りボタン型であり、本実施形態ではリチウム二次電池である。図に見えている電池9の上面及び側面が正極電極となっており、図では隠れている下面が負極電極となっている。これは一般的なボタン型の電池の形式に倣ったものであるが、極性には特に限定はなく、これを逆にしてもよい。便宜上、以降では上面側の極性を持つ電極を上面電極、下面側の電極をもつ電極を下面電極と呼ぶこととする。
【0029】
電池9は、絶縁性の枠10に収容されており、電池9の側面と下面は概ね覆われて露出が少なくなっている一方、電池9の上面は枠に覆われず、ほぼ全面(この実施形態では、全面)が露出している。一般に電池9の上面にはその製造に関する情報、例えば製造番号、製造ロット番号、製造日等が印刷、刻印又はレーザマーキング等の方法により表示されているが、本実施形態に係る電池パッケージ8では、電池9の上面のほぼ全面が露出するため、かかる製造に関する情報の視認が妨げられることが無い。
【0030】
枠10は外周に凹凸が形成されている。これは、後述するように、電池パッケージ8を電子時計1の所定の位置に挿入する際に、電池パッケージ8の向きや位置を一意に定めるためと、電池パッケージ8でない任意の市販のボタン型電池の誤挿入を防止するためである。なお、枠10の材質や製法は特に限定するものではないが、例えば、合成樹脂材料による射出成形により製造することができる。
【0031】
図4は、電池パッケージ8の下面斜視図である。枠10の電池9の下面を覆う底13には、部分的に開口が設けられている。本実施形態では、開口として、2つの第1の開口14と第2の開口15が設けられている。また、枠10の底13の上面には銅やステンレス鋼などの適宜の金属製の板状部材であるリード板16が配置されている。なお、同図では、リード板16が底13に隠されて見えない部分を破線で示した。リード板16は、その全長が概ね枠10の直径と等しいかやや短い短冊状の部材であり、枠10の底と側壁に跨るように設けられた開口であるリード板挿入口17から水平方向に挿入され、枠10のリード板挿入口17の反対側に形成された突起である突き当て部18に突き当たっている。
【0032】
そのため、リード板16は第1の開口14において電池パッケージ8の下面側に露出している。また、リード板16にはリード板開口19が設けられており、このリード板開口19の位置はリード板16を枠10に挿入した際に第2の開口15と一致する位置とされているため、第2の開口15において、電池9の下面が露出している。
【0033】
そして、第1の開口14の位置において、リード板16と電池9の下面、すなわち下面電極とが接合される。この接合は、強固で、且つ、電気的に導通するような方法によりなされることが好ましい。そのため、本実施形態では、両者をスポット溶接の手法により溶接接合している。
図4中、溶接がなされた個所は、溶接痕を網掛けで示すことにより示されている。なお、第2の開口15は、スポット溶接を行う際に、電池9の下面に溶接用の電極を接触させるために使用される。なお、強度の点で溶接には劣るものの、リード板16と電池9の負極電極とを他の手法、例えばろう付けや半田により接合することも可能である。
【0034】
図5は、電池パッケージ8の組み立て方法を示す図である。まず、枠10に対し、リード板16を、図中白抜き矢印Aに示す水平方向に挿入する。このとき、リード板16は枠10のリード板挿入口17より挿入され、底13に設けられた溝20内に滑るように収容されながら、突き当て部18に突き当たる。この例では、リード板16の端部には、突き当て部18に対応した切欠き21が設けられており、リード板16が挿入された後、リード板16がぐらつくことなく枠10に保持されるようになっている。また、溝20の深さは、リード板16の厚みとおおむね等しいものとされており、リード板16の挿入後、リード板16の上面と底13の上面とがほぼ面一となるように設計されている。
【0035】
この状態で、続いて図中白抜き矢印Bに示すように、電池9を枠10の凹部22に収容する。凹部22は、ここでは、底13と、枠10の外周に設けられた側壁により区画される空間である。これにより、電池9の側面と下面の概ねが枠10により覆われることになる。
【0036】
最後に、下面側から、第1の開口14において、電池9とリード板16とを溶接し接合する。
【0037】
図6は、
図4のVI−VI線における断面図である。ここで、電池9とリード板16はとは溶接接合されているため、互いに分離することなく一体となっている。このとき、電池9に上向きの力が作用したとしても、リード板16の両端の上面が枠10と突き当たっているため、電池9が枠10から脱離することはない。また、電池9に下向きの力が作用した場合には、リードは16及び電池9は枠10の底13により支えられる(電池9が底13に支えられる点については、
図5を参照)ため、この場合にもやはり電池9が枠10から脱離することはない。このようにして、本実施形態では、電池9と枠10及びリード板16の3点のみの構成部品により、電池9が脱離することなく枠10に収容されており、電池パッケージ8を小型でかつ低コストなものとしている。そして、特に電池9の側面と下面の大部分は枠10に覆われており、また電池9の上面は視認可能に露出しているため、電池パッケージ8の取り扱い時の安全性と電池9の個別管理の利便性が担保されている。
【0038】
図7は、ムーブメント6の分解斜視図である。ムーブメント本体7には、電池パッケージ8を収容する凹部である電池パッケージ収容部23が設けられている。電池パッケージ収容部23の内周面には、電池パッケージ8の枠10の外周の凹凸と対応する形状の凹凸が設けられている。同図に示した例では、例えば、電池パッケージ収容部23の内側に突き出す3か所の凸部24や、電池パッケージ収容部23の内周面の一部に設けられた平面部25がかかる凹凸に該当する。
【0039】
このような凹凸が設けられることにより、電池パッケージ8が電池パッケージ収容部23に挿入される際に、その向きが定められたものとなり、ムーブメント本体7に設けられた接触端子(
図7では見えていない)と電池パッケージ8のリード板とが、互いの位置がずれることなく確実に接触する。また、電池パッケージ収容部23の内周面の凹凸により、電池パッケージ8と外形の等しい他のボタン電池や、形状の異なる他の電池パッケージが誤って電池パッケージ収容部23に挿入される事態が防止される。
【0040】
また、電池パッケージ収容部23に挿入された電池パッケージ8は、電池パッケージ押え11により固定される。さらに電池パッケージ押え11以外のムーブメント本体7の面は耐磁板26に覆われ、電池9の上面電極は電池パッケージ押え11及び耐磁板26を介して図示しない電子時計1の外装ケースと導通がとられている。
【0041】
図8は、ムーブメント6の電池パッケージ8を含む断面による断面図である。ここで、ムーブメント本体7は地板や回路基板、各種電子部品や輪列、モータ等の種々の部品からなる組立体であるが、ここではその詳細な構造を示すことはせず、外形のみを示した。
【0042】
図示の通り、電池パッケージ8は、ムーブメント本体7に設けられた電池パッケージ収容部23に収容され、電池パッケージ押え11により固定されている。そして、ムーブメント本体の電池パッケージ収容部23の上面側(同図上方向は電子時計1の裏蓋側、下方向は文字板等が配置される風防側となっているが、本明細書では、裏蓋側を向く面を上面、風防を向く面を下面と称している。)の外周部には、接触端子27が設けられており、電池パッケージ8のリード板16の端部と弾性的に接触し、導通が得られるようになっている。ムーブメント本体7は、この接触端子27を介して電池9より電力を得る。
【0043】
実用上は、この接触端子27の位置は、リード板16と接触し得る位置であればどの位置でもよいが、本実施形態では特に電池パッケージ収容部23の外周部に配置するようにしている。これは、電池パッケージ8に換えて、ボタン型の他の電池、例えば、電池パッケージ収容部23の外周の凸部24(
図7参照)のさらに内側に収まる大きさのボタン電池が電池パッケージ収容部23に誤って収容された場合に、接触端子27がかかるボタン電池の少なくとも1の電極、この場合は下面電極と接触しないようにするためである。この構造により、他の電池として一次電池や、本実施形態で予定している電池9と異なる充電特性を有する二次電池が挿入された場合に、その両極間に充電電圧が印加されることに起因する液漏れや破裂等を防止するようにしている。
【0044】
また、ムーブメント本体7に、電池パッケージ8の枠10の外周の凹凸を検出する凹凸検出部を設けてもよい。この凹凸検出部を用いて正常に凹凸が検出された場合には、電池パッケージ8が挿入されていることがわかるので、太陽電池等を用いて電力を発生した場合にはその充電電圧を印加し、凹凸の検出に失敗した場合には電池パッケージでないボタン型の他の電池、一次電池や充電特性の異なる二次電池が挿入されている可能性があるので、充電電圧を印加しないようにする制御が可能である。このように、凹凸検出部を設けることにより、二次電池を有する電池パッケージ8と、一次電池あるいは二次電池であるボタン型の他の電池の両方を使用可能とすることもできる。凹凸検出部の具体的構造は特に限定されないが、例えば、接触式あるいは光学式センサにより枠10の外周の凹凸を検出するように構成することにより容易に実現できる。
【0045】
なお、以上説明した電池パッケージ8の構造及び形状は、その製造の容易さ、取り扱い時の強度、及び製造コスト等を総合的に勘案して選択されたものであり、必ずしも図示した通りのものでなくともよく、適宜の変形を施してもよい。
【0046】
例えば、
図9は、本実施形態に係る電池パッケージ8の一つの変形例を示す下面斜視図である。同図は、先の
図4に対応する図となっている。
【0047】
この変形例では、枠10の底13には、先の
図5に示したような溝20に替えて、リード板16と外形がほぼ等しいかやや大きい開口28が設けられている。したがって、リード板16を配置しない状態では、かかる開口28からは電池9の下面電極が帯状に見えることになる。その状態で短冊状のリード板16を開口28内に配置し、電池9の下面にあてがって、リード板開口19を用いて、リード板16と電池9の負極電極とをスポット溶接し固定する。
図9でも、
図4と同様に溶接がなされた個所は、溶接痕を網掛けで示すことにより示した。
【0048】
このようにしても、電池9に作用する上向きの力に対してはリード板16の両端の上面が枠10と突き当たり、電池9に作用する下向きの力に対しては電池9の下面が底13により支えられるから、やはり電池9が枠10から脱離することはない。
【0049】
この変形例では、電池パッケージ8の組み立て時、特に電池9とリード板16を溶接固定する際にリード板16の位置がずれることが無いよう留意する必要があるものの、枠10及びリード板16の形状は単純なもので済むことになる。
【0050】
なお、以上の変形例において、リード板16の形状は、必ずしもここで示した短冊状でなくともよく、電池9と固定された際にその上面が枠10に突き当たり、電池9の脱離を防ぐことができる形状であればどのようなものであってもよい。また、リード板開口19に替えて、枠10の底13の適宜の位置に開口を設けて電池9の下面に溶接用の電極を接触させるようにしてもよい。
【0051】
あるいは、さらなる変形例として、枠10を成形する際に、リード板16を成形用の金型内に組み込み、いわゆるインサート成形の方法により両者を一体として成形し、かかる成形品に電池9を収容し、溶接等の適宜の方法により電池9とリード板16とを固定するようにしてもよい。この場合には、電池パッケージ8の組み立て時に、枠10にリード板16を取り付ける工程を削減できる。
【0052】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、この実施形態に示した具体的な構成は一例として示したものであり、本発明の技術的範囲をこれに限定することは意図されていない。当業者は、これら開示された実施形態を適宜変形してもよく、本明細書にて開示される発明の技術的範囲は、そのようになされた変形をも含むものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0053】
1 電子時計、2 外装ケース、3 バンド取付部、4 竜頭、5 表示、6 ムーブメント、7 ムーブメント本体、8 電池パッケージ、9 電池、10 枠、11 電池パッケージ押え、12 ネジ、13 底、14 第1の開口、15 第2の開口、16 リード板、17 リード板挿入口、18 突き当て部、19 リード板開口、20 溝、21 切欠き、22 凹部、23 電池パッケージ収容部、24 凸部、25 平面部、26 耐磁板、27 接触端子、28 開口。