【実施例1】
【0015】
以下、本発明の一実施例を図面に沿って説明する。
A:全体構成
A−1.装置構成:
図1は、本実施例の現金自動取引装置101の側面および正面を示した外観図である。現金自動取引装置は、利用者10が現金取引装置101を操作する際に仕様する操作パネル部103、利用者10からカードの挿入や利用者10へのカード・明細票の排出を行う媒体入出口105、媒体入出口105から挿入された媒体(カード)の処理を行うカード明細票部104、利用者10から紙幣の挿入や利用者10への紙幣の排出を行う紙幣入出口108、紙幣の保管、搬送、鑑別等を紙幣の取扱いを行う紙幣部107、媒体または紙幣の挿入や受け取りの際に利用者10に紙幣や媒体の取扱いを促すフリッカランプ106とフリッカランプ109、取引の際に利用者10に対して指示音声を出力するスピーカ113、暗証番号や操作のために用いるキー入力部110、利用者10が視覚障がい者である場合や現金自動取引装置101が故障した際にセンタへの問い合わせに使用するガイダンスホン131、そのガイダンスホンを制御するガイダンスホン制御部121を備えている。
【0016】
また、ガイダンスホン131は、利用者10に現金自動取引装置101からの操作案内音声を出力するスピーカ133、利用者10の音声を入力するマイク134、暗証番号や操作のために用いるキー入力部132、利用者10によりキー入力部132の入力されたキーをガイダンスホン制御部121に入力するためにキー入力音を変換するキー入力音変換部135から構成されている。
【0017】
また、
図2に示すようにガイダンスホン131を利用する場合、利用者10は取引中や現金自動取引装置101の故障時等、任意のタイミングでガイダンスホン131を現金自動取引装置101から取外し(オフフックとも言う)して使用し、使用後は現金自動取引装置101にガイダンスホン131を戻す(オンフックとも言う)。
【0018】
次に、
図3を用いて本実施例の各装置の構成について説明する。
図3は、本発明の実施形態における現金自動取引装置101の制御部102とガイダンスホン制御部121との接続構成を示す図である。
【0019】
現金自動取引装置101の制御部102は、操作パネル部103、カード明細票部104、媒体入出口105、キー入力部110、フリッカランプ106、109、紙幣部107、紙幣入出口108、スピーカ113と接続し、制御信号を送受信し、各構成装置を制御する。また、ガイダンスホン制御部121とは、制御部102から出力される音声出力線112と通信手段111を介して接続される。
【0020】
ガイダンスホン131は、キー入力部132、スピーカ133、マイク134、キー入力音変換部135から構成されており、プッシュ信号を送信可能な電話線136を介して、ガイダンスホン制御部121と接続される。
【0021】
ガイダンスホン制御部121は電話線136を介して入力されたガイダンスホン131の入力からガイダンスホン131のどのキーが利用者に入力されたかを判定するキー入力判定部122、入力されたキー信号をデジタルデータに変換するキー入力変換部123、ガイダンスホン131の取外し/戻しを検知するフック検知部124と、ガイダンスホン131に操作音声を出力する音声再生部125とを備える。また、ガイダンスホン制御部121はキー入力変換部123にて変換した情報(アナログ情報をデジタル情報に変換する)を通信手段111を介して現金自動取引装置101の制御部102に入力する。なお、ガイダンスホン制御部121の動作については、後述する。
【0022】
現金自動取引装置101は通信回線301を介して銀行ホストコンピュータ201と接続される。銀行ホストコンピュータ201とは、利用者10の取引に必要な情報等の送受信を行う。なお、現金自動取引装置101が障害等によりダウンした場合であっても、ガイダンスホンは電話線136、音声出力線112、通信回線301を介して、銀行のホストコンピュータや図示しないコールセンタに接続し、会話をすることで障害対応をすることができる。
【0023】
ここで、
図4を用いてガイダンスホン131のキー音声入力について説明する。
図4は、ガイダンスホン131のキー入力音変換の概念図である。
【0024】
本実施形態においてキー入力部132は、0キー〜9キー、*キー、#キーの12キーで構成される。通常、キー押下時に出力されるDTMF音は縦軸の音141〜143(以下、縦軸音141〜143とする)と、横軸の音144〜147(以下、横軸音144〜147とする)との音を合成して出力されている。具体的には、縦軸は周波数の高い3種類の音、横軸は周波数の低い4種類の音を示しており、各キーが入力された場合、縦軸と横軸に対応した高音と低音とを合成し、各キーに対応した合成音を出力する。
【0025】
本実施例では、キー入力音変換部135は横軸の音144〜147をランダムに切り替える機能を有している。即ち、本実施例のキー入力変換部135は
図4に示すように4つのキー入力パターン171〜174を含む複数のキー入力パターンを予め記憶し、そのキー入力パターンをランダムに切り替えている。例えば、横軸の音をキー入力パターン172に切り替えた場合、利用者10が「1キー」を押したとき、縦軸音141と横軸音145の合成音が出力されることとなり、合成音はキー入力パターン171で変換された「1キー」の合成音とは異なる合成音が出力される。
【0026】
キー入力パターン171を基準として考えると、利用者10は1キーを押しているにもかかわらず、キー入力音変換部135にて変換された合成音は「4キー」に相当する合成音であるため、スキミングにより電話回線を盗み聞きしている者は、切り替えられたキー入力パターンを知らないため利用者10が実際に押した正しいキーを知ることができない。従って、スキミング犯罪に対してセキュリティを高めることが可能となる。
【0027】
キー入力音変換部135により変換されて出力された合成音は、電話線136を介してガイダンスホン制御部121に入力される。ガイダンスホン制御部は、入力された音を判別するためにキー入力判定部122に合成音を入力する。キー入力判定部122は、予めキー入力音変換部が出力するキー入力パターンを図示しないメモリ等の記憶装置に記憶しているため、入力された音と記憶されているキー入力パターンとを比較することで、キー入力部132で入力されたキーがどのキーであるかを特定する事が出来る。また、出力された合成音は、利用者に操作音としてスピーカ133から出力される。
【0028】
なお、本実施例では横軸の音をランダムに変更する例について説明しているが、縦軸の音を変更する、または縦軸と横軸の両方を変更してもよいことは言うまでもない。また、後述するように本実施例ではガイドホン131をオフフックしたタイミングでキー入力パターンを切り替えているが、一つの取引が終了する毎に切り替える等の任意のタイミングで切り替えることができるとしてもよい。
A−2.スキミング防止処理:
次に、本実施例の装置を用いたキー入力について
図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態におけるスキミング防止処理の流れを示すフローチャートである。スキミング防止処理は、ガイダンスホン131がオフフックされ電源が供給された際に、キー入力音変換部135がキー入力音をランダムに切替処理を実施することにより実行される。ここでは、キー入力パターンがキー入力パターン172を選択された場合を例に挙げて説明する。
【0029】
ステップS300では、ガイダンスホン制御部121は、フック検知部124でガイダンスホン131が取られたこと(オフフック)を検知した後、電話線136に電源を供給する。
【0030】
ステップS301では、ガイダンスホン131が取られて電源が供給された際、キー入力音変換部135はキー入力音をランダムに切り替える切換処理を実施する。ステップS302では、ガイダンスホン131のスピーカ133に、処理の選択を促す音声ガイダンスを音声再生部125で再生して、1キー、2キー、3キーのいずれかのキーが押下されるのを待つ。処理の選択を促す音声とは、例えば、出金取引をする場合は1キーの押下を指示させる、入金取引をする場合は2キーの押下を指示させる等の音声である。
【0031】
ステップS303では、選択された1キー、2キー、3キーのキーからランダムに選択されたキー入力パターンの判定をキー入力判定部122で行う。例えば1キーが押下された場合は、1キーか、4キーか、7キーか、*キーのいずれかのキーに相当するDTMF音が選択されることから、選択されたキーのDTMF音からランダムに選択されたキー入力パターンの判定をキー入力判定部122で行う。
【0032】
キー入力判定部122では、上記したように予め記憶しておいたキー入力パターンとガイダンスホン制御部121に入力された音とを比較し、キー入力部132にて選択されたキーを判定する。本実施例では、キー入力判定部122は、縦軸音141と横軸音145の合成音(キー入力パターン171では4キーのDTMF音に相当する音)を検出した場合、その合成音から利用者10が押下したキーは1キーであると判定し、図示しない記憶装置に記憶されているキー入力パターンの中からガイダンスホン131のキー入力音変換部135が選択したパターンがキー入力パターン172であると判定する。
【0033】
しかし、この時点では利用者10がキー入力を誤入力した可能性がある、そのため、次のステップS304で、キー入力パターン172を基にキー入力変換部123で変換後の選択されたキーの処理内容を確認する音声ガイダンスを再生して、よろしければ#キー162をやり直す場合は0キー160を押してもらう音声を再生する。具体的には、「選択された取引は、『出金取引』である。正しい場合は♯キーを、誤っている場合は0キーを入力してください」という音声を再生する。
【0034】
ステップS305では、処理の選択時に押下されたキーと処理内容を確認する際に押下されたキーが、処理の選択時に押下されたキーからキー入力判定部122で判定したキー入力パターン172と一致した場合は、ステップS306に移行して、以降は確定したキー入力パターン172を基にキー入力変換部123で変換処理を行う。入力パターンと一致しなかった場合、または0キーが押下された場合は、ステップS302に戻って、再度入力からやり直す。このような処理を行うことで、キーの誤入力による誤検知を防止することができる。
【0035】
その後の処理としては、例えば、ガイダンスホン制御部121の音声再生部125から暗証番号入力を促す音声ガイダンスを再生し、キー入力部132から入力された暗証番号のキーデータを確定したキー入力パターン172を基にキー入力変換部123で変換処理を実施後に、通信手段103を介して現金自動取引装置101の制御部102に伝えられ、ネットワーク301を介して銀行ホスト201に暗号処理化した暗証番号を送信して、本人認証が行われる。
【0036】
このように本実施例で説明した構成を現金自動取引装置101が備える事により、ガイダンスホン131から実際に入力されたキーと異なるDTMF音が電話線を通して伝わっているため、電話線の信号をスキミングされた場合でも暗証番号が特定できなくすることができる。そのため、ガイダンスホン131の利用者のセキュリティを高めることができる。また、従来の電話機で使用しているDTMF音をそのまま使用することにより、新たなキー操作音認識部品等を必要としないため、ガイダンスホンを安価に製造することができる。
B:変形例
B−1:変形例1
次に、実施例1の変形例について説明する。本変形例は利用者10の入力が誤操作であるか否かをより正確に判断するためのものである。具体的な手法について以下で説明をする。
【0037】
実施例1では、
図5のフローチャートにて説明したように、利用者10に1キー〜3キーを入力させ、その後、♯キーまたは0キーを押下させることでキー入力判定部122はガイダンスホン131が選択したキー入力パターンを判定している。
【0038】
しかし、♯キーや0キーの入力を間違えた場合、例えば♯キーではなく7キーを押してしまった場合、キー入力判定部122は誤ったキー入力パターンを判定してしまう可能性がある。そのため、本変形例では、キー入力判定部122が誤った判定をしない構成について説明する。
【0039】
本変形例では、キー入力判定部122は、
図8に示すキー入力パターン701〜704を記憶している。このキー入力パターンは701〜704は、横軸音144と横軸音147に相当する音の組合せが1通りに決まるものである。例えば、
図5のフローチャートで1キーを押下し、その後♯キーを押下する場合、横軸音144と縦軸141との合成音が出力された後、横軸147と縦軸143の合成音が出力されるはずである。しかし、利用者10が♯キーではなく、誤って9キーを押した場合、横軸146と縦軸143の合成音が出力されるが、キー入力判定部122はキー入力パターン701〜704のみが入力されることを予め知っているため、記憶している以外の1キーの音と♯キーの音の組合せ音が来た場合、利用者10の入力が誤っていることを判断する事が出来る。
【0040】
従って、キー入力判定部122は、横軸音144と横軸147との組合せについて一意に定まるパターン(他のパターンと重複しない組み合わせ)とすることで、利用者10が誤入力をした場合であっても、誤入力を検知することができる。
B−2:変形例2
次に、他の変形例について説明する。本変形例は実施例1とは異なり、ガイダンスホン131は電話線136ではなく、USBケーブル138にて現金自動取引装置101のガイダンスホン制御部121と接続する構成である。本変形例を
図6、
図7を用いて説明する。
【0041】
図6は本変形例2の構成を示したブロック図である。実施例1との違いは、ガイダンスホン131には、キー入力認識変換部137とキー入力音再生部139を備えている点である。キー入力認識変換部137はキー入力部132から入力されたキー情報を直接デジタルデータに変換して、USBケーブル138を介してガイダンスホン制御部121に入力し、通信手段111を介して制御部102に直接出力可能なように変換する変換部である。
【0042】
図7に示すようにキー入力音再生部139は、キー入力認識変換部137でキー入力を認識するとキーに対応したキー押下音(例えば1〜9の数字を同一の入力音で出力)をスピーカ133に出力する。また、制御部102から音声出力線112を介して出力される音声ガイダンスもガイダンスホン制御部121からUSBケーブル138を介してガイダンスホン131のスピーカ133から出力される。
【0043】
このように、本変形例で説明したように、ガイダンスホン131をUSBケーブルで接続する事により、DTMF音を盗み聞きしてキー入力情報を盗まれることを防止するといった効果を有する事が出来る。また、キー入力認識変換部137によってキー入力部132から入力されたキー情報を直接デジタルデータに変換する際にデータを暗号化するとしてもよい。この場合、より高いセキュリティを確保することができる。
【0044】
さらに、キー入力音再生部139がスピーカ133に出力する音を操作毎に変更するとしてもよい。具体的にはキー入力部132が押下された際の音をDTMF音とまったく異なる音とする。また、全て同じ音を出力する構成や全て異なる音を出力する構成とすれば、盗聴を試みている者はどのキーが入力されたかを判断することができないためセキュリティを高める事が出来る。
B−3:変形例3
次に他の変形例について説明する。キー入力音変換部135により、ガイダンスホン131のキー入力部132を押下した場合、通常のキー入力をした際のDTMF音とは異なる音が利用者10に出力される。そのため、利用者10が視覚障がい者である場合、正しくキー入力をしたことを通常のキー入力時に発せられるDTMF音を記憶し、確認していることもあり、違和感を覚える場合がある。
【0045】
そのため、ガイダンスホン131がオフフックし、利用者10がキー入力をする前に、「セキュリティ確保のため、通常のキー操作とは異なる音が出る」旨の操作説明音声を予め出力する構成とする。本変形例の構成とする事で、利用者10に違和感を生じさせることなく操作を継続してもらうことができる。
B−4:変形例4
次に他の変形例について説明する。本変形例は実施例1とは異なり、ガイダンスホン131は電話線136ではなく、キー入力音出力線136Aと電話線136Bにて現金自動取引装置101のガイダンスホン制御部121と接続する構成である。本変形例を
図9を用いて説明する。
【0046】
図9は本変形例4の構成を示したブロック図である。実施例1との違いは、ガイダンスホン131には、キー入力認識変換部137を介して出力するキー入力音出力線136Aとを備えている。キー入力認識変換部137により、ガイダンスホン131のキー入力部132を押下した際のDTMF音は、専用のキー入力出力線136Aを介してガイダンスホン制御部121に入力される。この時、ガイダンスホン131のスピーカ132には、キー入力音再生部139を介して異なる音が利用者10に出力される。
【0047】
本変形例の構成とすることで、DTMF音を盗み聞きしてキー入力情報を盗まれることを防止するといった効果を有する。
【0048】
本発明は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。