(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0041】
[1]第1の実施の形態
以下、本発明の第1の実施の形態に係る除電装置について図面を参照しながら説明する。
【0042】
(1)除電装置の構成
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る除電装置の外観斜視図である。
図1に示すように、除電装置100は、除電ヘッド200および加湿空気生成部300により構成される。除電ヘッド200と加湿空気生成部300とが蛇腹状のホース101により接続される。
図1においては、ホース101の一端部および他端部のみが図示されている。加湿空気生成部300には、種々の除電ヘッド200を接続することができる。
図1には、後述する第1の例の除電ヘッド200が示される。
【0043】
図2は、
図1の除電装置の加湿空気生成部の内部構成を示す模式図である。
図2に示すように、加湿空気生成部300は、筺体310、ヒータ320、加湿フィルタ330、ターボファン340、電子基板350およびヒートシンク360を含む。本例においては、加湿空気生成部300は、ハイブリッド気化方式により加湿空気を生成する。ハイブリッド気化方式では、ヒータ320で空気を加熱することにより空気が気化方式の加湿フィルタ330から取得可能な水分量を増加させることができる。
【0044】
筺体310は、4つの側面部310a、底面部310bおよび上面部310cからなる略直方体状を有する。筺体310内にヒータ320、加湿フィルタ330、ターボファン340、電子基板350およびヒートシンク360が配置される。筺体310の1つの側面部310aの上部には、筺体310の内部に空気を流入させるための空気流入口311が形成される。筺体310の上面部310cには、筺体310の内部の空気を流出させるための空気流出口312が形成される。空気流出口312には
図1のホース101の一端が接続される。
【0045】
筺体310の上面部310cには、表示部313(
図1参照)が設けられている。表示部313は、例えばLED(発光ダイオード)パネルからなり、除電装置100の動作状態等を表示する。また、除電装置100の使用者は、表示部313を操作することにより、予め除電対象物の表面における相対湿度の設定値を入力または選択することができる。これにより、使用者の所望の設定値になるように除電対象物の表面の相対湿度を制御することができる。その結果、除電対象物を結露させることなく除電対象物を除電することが可能となる。詳細は後述する。
【0046】
筺体310の内部における空気の流路を
図2に太い点線の矢印で示す。空気流入口311から筺体310内に流入した空気は、水平方向に進行した後、下方に進行してヒータ320を通過する。これにより、空気が加熱される。ヒータ320を通過した空気は、筺体310内の下部において、水平方向に進行して加湿フィルタ330を通過する。
【0047】
加湿フィルタ330は、水が供給された加湿材を含む。加湿材は、例えば不織布である。加湿材は、例えば多孔質の透湿膜を用いた透湿膜式の加湿材であってもよい。加湿材は、空気との接触面積を増加させるためにコルゲート形状(段ボールの断面形状)またはプリーツ状(アコーディオンの形状)に織られている。
【0048】
本例においては、加湿材の一部が水に浸されることにより毛細管現象で加湿材の全体に水が供給される毛細管式が採用される。加湿材の上部から水が滴下されることにより加湿材の全体に水が供給される滴下浸透式が採用されてもよい。あるいは、加湿材の一部が水に浸された状態で加湿材が回転されることにより加湿材の全体に水が供給される回転式が採用されてもよい。
【0049】
空気が加湿フィルタ330の加湿材を通過することにより、加湿材から水分を取得する。これにより、空気の湿度が増加する。加湿フィルタ330を通過した空気は加湿空気として上方に進行し、ターボファン340により空気流出口312に接続されたホース101に送り出される。ターボファン340の付近には、加湿フィルタ330を通過した加湿空気の温度を測定するための温度測定部314が配置される。
【0050】
温度測定部314の近傍に加湿フィルタ330を通過した加湿空気の相対湿度を測定するための相対湿度測定部が設けられてもよい。あるいは、温度測定部314近傍における加湿フィルタ330を通過した加湿空気の相対湿度が90%〜95%程度になるように予め設計されていてもよい。温度および相対湿度に基づいて、加湿空気の絶対湿度または所定温度における加湿空気の相対湿度を推定することができる。ここで、本実施の形態における絶対湿度は、容積絶対湿度であり、大気の単位容積[m
3]当たりに含まれる水蒸気の質量[g]を意味する。
【0051】
電子基板350には、ヒータ320およびターボファン340の動作を制御するCPU(中央演算処理装置)等を含む制御部351が実装される。また、電子基板350には、ヒータ320、ターボファン340および制御部351等に電力を供給する電源装置352が実装される。ヒートシンク360は、電子基板350に配置される。ヒートシンク360は、電子基板350上の発熱部品を冷却する。
【0052】
(2)除電ヘッド
(a)第1の例
図3は、第1の例における除電ヘッド200を示す外観斜視図である。
図4は、
図3の除電ヘッド200の幅方向の縦断面図である。
図5は、
図3のA部の拡大図である。
図6は、
図3の除電ヘッド200の長手方向の断面図である。
図7は、
図3の除電ヘッド200の幅方向の断面斜視図である。
図8は、
図7のB部の拡大断面図である。以下、
図3の第1の例における除電ヘッド200を除電ヘッド200Aと呼ぶ。
【0053】
図3〜
図6に示すように、除電ヘッド200Aは、筺体210、複数の除電針220(
図6)、一対のグランド電極230(
図4)および複数の整流板240(
図4および
図6)を含む。一対のグランド電極230は互いに電気的に接続されている。除電ヘッド200Aの筺体210は、略矩形状の断面を有するとともに一方向(長手方向)に沿って長尺状に延びる。筺体210の長手方向における長さは、例えば400mmである。筺体210の長手方向における長さは、例えば700mmであってもよいし、1000mmであってもよい。あるいは、筺体210の長手方向における長さは、1000mmを超えてもよい。
【0054】
図3に示すように、筺体210の一端部には、筺体210の内部に加湿空気を流入させるための空気流入口211が形成される。筺体210の下面には、筺体210の内部の加湿空気を流出させるための一対の空気流出口212が形成される。空気流入口211は、筺体210の長手方向における一端面に設けられる。空気流入口211には
図1のホース101の他端が接続される。空気流入口211のホース101を通して加湿空気生成部300から筺体210に加湿空気が流入される。流入された加湿空気は、空気流出口212から除電対象物に噴出される。
【0055】
図6に示すように、筺体210の内部には、筺体210内の加湿空気の温度を測定する温度測定部214が設けられる。温度測定部214は、加湿空気に直接接触せず、筺体210の外部の空気に接触する位置に配置される。これにより、筺体210の外部の空気の温度を測定することが可能になる。
【0056】
また、筺体210の内部には、電源装置215が設けられる。筺体210の下面の幅方向における略中央部には、長手方向に沿って並ぶように複数(
図6の例では5個)の円形の開口部213が形成される。複数の除電針220が、下方(筺体210の外方)を向くように筺体210の内部に設けられる。
【0057】
図5に示すように、各開口部213から除電針220が突出する。開口部213の周囲には、複数(本例では4個)の突起部218が設けられる。複数の突起部218の下面は除電針220の先端よりも下方に位置する。これにより、複数の突起部218は、除電針220を保護する機能を有する。複数の突起部218により除電針220が除電対象物または他の物体に衝突した場合でも除電針220の針先が曲がることが防止される。
【0058】
図4および
図8に示すように、グランド電極230は、長手方向に延びるように筺体210の幅方向における両側面の下部に設けられる。空気流出口212は、長手方向に沿って延びるように筺体210の幅方向における両端部に設けられる。したがって、一方の空気流出口212は、一方のグランド電極230と複数の除電針220との間に位置し、他方の空気流出口212は、他方のグランド電極230と複数の除電針220との間に位置する。各空気流出口212には、複数の平面状の整流板240が配置される。
【0059】
除電針220とグランド電極230とを結ぶ直線上に隣り合う2つの突起部218間の間隙が位置する。この場合、除電針220の針先とグランド電極230との間に障害物が配置されないので、除電針220とグランド電極230との間で効率よくコロナ放電を発生させることができる。
【0060】
図6および
図7に矢印で示すように、空気流入口211から流入した加湿空気は、長手方向に進行し、整流板240により下方向に整流されつつ空気流出口212から流出される。整流板240は、空気流出口212から噴出される加湿空気が筺体210の周囲の空気中で拡散することを抑制する。これにより、除電ヘッド200はより遠方まで加湿空気を噴出することができる。
【0061】
図8に示すように、各除電針220は、加湿空気が流出する方向(本例においては下方向)において、各整流板240よりも距離Lだけ突出するように配置される。
図6の筺体210内の電源装置215により、複数の除電針220とグランド電極230との間に高電圧が印加される。これにより、複数の除電針220とグランド電極230との間でコロナ放電が発生する。コロナ放電によりイオンが生成される。発生されたイオンは、空気流出口212から流出する加湿空気により送り出され、除電対象物に噴出される。
【0062】
このように、除電ヘッド200Aにおいては、一方のグランド電極230と複数の除電針220との間で生成されるイオンが一方の空気流出口212から流出される加湿空気により送り出される。また、他方のグランド電極230と複数の除電針220との間で生成されるイオンが他方の空気流出口212から流出される加湿空気により送り出される。
【0063】
この構成によれば、複数の除電針220の両側に生成されるイオンが加湿空気で効率的に送り出される。これにより、広範囲に渡って除電が行われるので、除電ヘッド200Aは、例えば幅広の除電対象物またはライン状の除電対象物(例えば紙、フィルムまたはガラス)の除電に適する。
【0064】
(b)第2の例
図9は、第2の例における除電ヘッド200を示す外観斜視図である。
図10は、
図9の除電ヘッド200の縦断面図である。
図11は、
図9の除電ヘッド200の整流板ユニットの正面図である。
図12は、
図9のC部の拡大図である。以下、
図9の第2の例における除電ヘッド200を除電ヘッド200Bと呼ぶ。
【0065】
図9に示すように、除電ヘッド200Bの筺体210は略円盤形状を有する。筺体210の一面(背面)に空気流入口211が設けられる。他面(前面)に複数の空気流出口212が設けられる。
図10に示すように、筺体210の内部には、筺体210の外部の空気の温度を測定する温度測定部214が設けられる。温度測定部214は、加湿空気に直接接触せず、筺体210の外部の空気に接触する位置に配置される。これにより、筺体210の外部の空気の温度を測定することが可能になる。また、筺体210の内部には、電源装置215が設けられる。
【0066】
図9に示すように、複数の除電針220が、略等しい角度間隔でかつ前方を向くように筺体210の内部に設けられる。本例では、6個の除電針220が約60°の間隔で配置される。また、筺体210の前面にグランド電極230が配置される。グランド電極230は、内電極231、複数の接続電極232および外電極233を含む。
【0067】
内電極231は、筺体210の前面の略中心を取り囲む円環形状を有する電極である。外電極233は、内電極231と同心でかつ内電極231を取り囲む円環形状を有する電極である。複数の接続電極232は、内電極231と外電極233とを電気的に接続する。本例においては、6個の接続電極232は、約60°間隔で配置される。
【0068】
図11に示すように、除電ヘッド200Bには、複数の整流板240を含む整流板ユニット240Uが設けられる。整流板ユニット240Uは、複数の整流板240に加えて、保持部材241、複数の保持部材242、保持部材243,244,245および複数の隔壁246を含む。
【0069】
複数の整流板240および複数の隔壁246は一体的に形成される。複数の整流板240および複数の隔壁246は、複数の正六角形からなるハニカム構造を形成するように配置される。複数の隔壁246により形成される各正六角形の内部が開口部213となる。
【0070】
保持部材241,243〜245は、円環形状を有し、内側からこの順で同心に形成される。複数の保持部材242は、保持部材241と保持部材243とを接続する。本例においては、6個の保持部材242が約60°間隔で配置される。本例においては、複数の開口部213が、保持部材241、隣り合う2つの保持部材242および保持部材243により取り囲まれる複数の領域にそれぞれ配置される。
【0071】
保持部材244,245は
図9の筺体210に固定される。これにより、筺体210に整流板ユニット240Uが固定される。整流板ユニット240Uが筺体210に固定された状態において、
図9の内電極231が保持部材241上に位置する。
図9の複数の接続電極232は複数の保持部材242上にそれぞれ位置する。
図9の外電極233は保持部材243〜245上に位置する。
【0072】
この構成によれば、
図12に示すように、各除電針220が複数の隔壁246により取り囲まれる。これにより、複数の開口部213からそれぞれ複数の除電針220が突出する。また、各除電針220が内電極231、接続電極232および外電極233により取り囲まれる。
【0073】
図10に矢印で示すように、空気流入口211から流入した加湿空気が、整流板240により一方向に整流されつつ空気流出口212から流出される。本例においては、除電針220が存在する開口部213からも加湿空気が流出される。したがって、各除電針220は、空気流出口212から流出される加湿空気中に位置する。各除電針220は、加湿空気が流出する方向(本例においては前方)において、各整流板240よりも距離Lだけ突出するように配置される。
【0074】
筺体210内の電源装置215により、複数の除電針220とグランド電極230との間に高電圧が印加される。これにより、複数の除電針220とグランド電極230との間でコロナ放電が発生する。コロナ放電によりイオンが生成される。発生されたイオンは、複数の空気流出口212から流出する加湿空気により送り出され、除電対象物に噴出される。
【0075】
本例においては、各除電針220の針先とグランド電極230との間の障害物が削減されるように、各除電針220を取り囲む複数の隔壁246の一部に切り欠きが形成される。これにより、複数の隔壁246により除電針220を保護しつつ複数の除電針220とグランド電極230との間で効率よくコロナ放電を発生させることができる。
【0076】
このように、除電ヘッド200Bにおいては、複数の除電針220が空気流出口212から流出される加湿空気中に位置するように設けられる。それにより、各除電針220の周囲に生成されるイオンが加湿空気で効率的に送り出される。この構成によれば、筺体210に比較的多数の除電針220を設けることが可能である。これにより、広範囲に渡って除電が行われるので、除電ヘッド200Bは、例えば、セル生産における除電対象物またはパーツフィーダ上の小型部品の除電に適する。
【0077】
(c)第3の例
図13は、第3の例における除電ヘッド200を示す外観斜視図である。
図14は、
図13の除電ヘッド200の縦断面図である。以下、
図13の第3の例における除電ヘッド200を除電ヘッド200Cと呼ぶ。
【0078】
図13および
図14に示すように、除電ヘッド200Cの筺体210は略円筒形状を有する。筺体210の一端部(以下、後端部と呼ぶ)に空気流入口211が設けられ、他端部(以下、先端部と呼ぶ)に空気流出口212が設けられる。除電針220が先端を向くように筺体210の内部に設けられる。
図14に示すように、筺体210の内部には、筺体210の外部の空気の温度を測定する温度測定部214が設けられる。温度測定部214は、加湿空気に直接接触せず、筺体210の外部の空気に接触する位置に配置される。これにより、筺体210の外部の空気の温度を測定することが可能になる。なお、本例においては、筺体210の内部に電源装置が設けられない。
【0079】
筺体210の先端部には、複数の整流板240を含む整流板ユニット240Uが設けられる。整流板ユニット240Uは、複数の整流板240に加えて、筐体247および隔壁248を含む。
【0080】
複数の整流板240および隔壁248は一体的に形成される。隔壁248は円筒形状を有する。隔壁248の内部が開口部213となる。複数の整流板240は、隔壁248を取り囲み、かつハニカム構造を形成するように配置される。筐体247は円筒形状を有する。複数の整流板240および隔壁248は、筐体247の内部に保持される。
【0081】
筐体247は筺体210に固定される。これにより、筺体210に整流板ユニット240Uが固定される。整流板ユニット240Uが筺体210に固定された状態において、除電針220が隔壁248により取り囲まれる。これにより、開口部213から除電針220が突出する。整流板ユニット240Uの筐体247の外周面に円筒形状を有するグランド電極230が嵌め込まれる。空気流出口212は隔壁248とグランド電極230との間の円環状の領域に位置する。
【0082】
図14に矢印で示すように、空気流入口211から流入した加湿空気が、整流板240により一方向に整流されつつ空気流出口212から流出される。除電針220は、加湿空気が流出する方向(本例においては先端方向)において、各整流板240よりも距離Lだけ突出するように配置される。
【0083】
除電ヘッド200Cにおいては、
図2の加湿空気生成部300の図示しない高電圧電源により、除電針220とグランド電極230との間に高電圧が印加される。これにより、除電針220とグランド電極230との間でコロナ放電が発生する。コロナ放電によりイオンが生成される。発生されたイオンは、複数の空気流出口212から流出する加湿空気により送り出され、除電対象物に噴出される。
【0084】
このように、除電ヘッド200Cにおいては、グランド電極230が除電針220の周囲を環状に取り囲むように形成され、空気流出口212は除電針220とグランド電極230との間の環状の領域に加湿空気を流出させる。それにより、除電針220の周囲に生成されるイオンが加湿空気で効率的に送り出される。この構成によれば、筺体210が細く形成される。これにより、狭い範囲に限定して除電が行われるので、除電ヘッド200Cは、例えば、出射成型された部品または電子部品等の小型部品の除電に適する。
【0085】
(3)加湿空気の温度制御処理
図2の加湿空気生成部300の制御部351は、除電ヘッド200から噴出される加湿空気により除電対象物が結露しないように、加湿空気の温度制御処理を実行する。
図15は、制御部351による加湿空気の温度制御処理を示すフローチャートである。
【0086】
制御部351は、
図2の温度測定部314から加湿空気生成部300の筺体310内の加湿空気の温度を取得する(ステップS1)。なお、温度測定部314は、ターボファン340の付近に設けられている。したがって、温度測定部314により取得される温度は、ターボファン340の付近の加湿空気の温度である。
【0087】
本例においては、
図2の加湿フィルタ330を通過した加湿空気の相対湿度は予め90〜95%程度になるように設定されている。制御部351は、予め設定された相対湿度および温度測定部314から取得した温度に基づいて、加湿空気生成部300の筺体310内の加湿空気の絶対湿度を算出する(ステップS2)。
【0088】
次に、制御部351は、
図6、
図10または
図14の温度測定部214から除電ヘッド200の周囲の空気の温度を取得する(ステップS3)。表示部313は、使用者により除電ヘッド200の周囲の温度を入力可能に構成されていてもよい。この場合、除電ヘッド200に温度測定部214が設けられなくてもよい。制御部351は、入力された除電ヘッド200の周囲の温度を表示部313から取得することができる。続いて、制御部351は、温度測定部214または表示部313から取得した温度に基づいて、除電ヘッド200の周囲の空気の飽和水蒸気量を算出する(ステップS4)。
【0089】
その後、制御部351は、算出された除電ヘッド200の筺体210内の加湿空気の絶対湿度が除電ヘッド200の周囲の空気の飽和水蒸気量以下であるか否か判定する(ステップS5)。ステップS5において、除電ヘッド200の筺体210内の加湿空気の絶対湿度が除電ヘッド200の周囲の空気の飽和水蒸気量以下である場合、制御部351はヒータ320の出力を増加させる(ステップS6)。その後、制御部351はステップS1の処理に戻る。
【0090】
一方、ステップS5において、除電ヘッド200の筺体210内の加湿空気の絶対湿度が除電ヘッド200の周囲の空気の飽和水蒸気量を超える場合、制御部351はヒータ320の出力を減少させる(ステップS7)。その後、制御部351はステップS1の処理に戻る。以上の手順を繰り返すことにより、除電対象物を結露させることなく除電対象物を除電することが可能となる。
【0091】
図16は、制御部351による加湿空気の温度制御処理の他の例を示すフローチャートである。
図16のステップS11〜S13の処理は、
図15のステップS1〜S3の処理と同様である。
【0092】
ステップS13の処理の後、制御部351は、目標相対湿度を
図1の表示部313から取得する(ステップS14)。目標相対湿度は、対象物の周囲の空気の相対湿度の目標値であってもよいし、簡易的には、除電ヘッド200から噴出される加湿空気が除電ヘッド200の周囲の空気の温度となったときの相対湿度の目標値としてもよい。あるいは、目標相対湿度は、
図2の電子基板350に実装された図示しないメモリに予め記憶されていてもよい。次に、制御部351は、温度測定部214または表示部313から取得した温度に基づいて、目標相対湿度を絶対湿度に換算する(ステップS15)。
【0093】
その後、制御部351は、算出された除電ヘッド200の筺体210内の加湿空気の絶対湿度が換算された絶対湿度以下であるか否か判定する(ステップS16)。ステップS16において、除電ヘッド200の筺体210内の加湿空気の絶対湿度が換算された絶対湿度以下である場合、制御部351はヒータ320の出力を増加させる(ステップS17)。その後、制御部351はステップS11の処理に戻る。
【0094】
一方、ステップS16において、除電ヘッド200の筺体210内の加湿空気の絶対湿度が換算された絶対湿度を超える場合、制御部351はヒータ320の出力を減少させる(ステップS18)。その後、制御部351はステップS11の処理に戻る。以上の手順を繰り返すことにより、除電対象物を結露させることなく除電対象物を除電することが可能となる。
【0095】
ステップS15の処理に代えて、加湿空気生成部300の筺体310内の加湿空気の絶対湿度、および温度測定部214または表示部313により取得された温度に基づいて、除電ヘッド200の周囲の空気の相対湿度が算出されてもよい。この場合、ステップS16の処理において、算出された除電対象物の周囲の空気の相対湿度が目標相対湿度以下であるか否かが判定される。
【0096】
算出された除電対象物の周囲の空気の相対湿度が目標相対湿度以下である場合、ヒータ320の出力が増加される。一方、算出された除電対象物の周囲の空気の相対湿度が目標相対湿度を超える場合、ヒータ320の出力が減少される。
【0097】
制御部351の他の機能として、制御部351は、温度測定部314により測定される温度が温度測定部214または表示部313により取得される温度となるようにヒータ320を制御する。当該処理におけるヒータ320の制御、
図15の処理におけるヒータ320の制御および
図16の処理におけるヒータ320の制御は、単一の制御部351により行われてもよいし、それぞれ別個の制御部により行われてもよい。
【0098】
制御部351のさらに他の機能として、制御部351は、イオン電流を測定することによりイオンバランスのフィードバック制御を行う機能を有してもよい。さらに、制御部351は、イオンの量を検出する機能または異常放電が発生した場合に警報を出力する機能を有してもよい。
【0099】
(4)効果
本実施の形態に係る除電装置100においては、加湿空気生成部300により生成された加湿空気が、除電ヘッド200の空気流出口212から流出される。除電ヘッド200には、1または複数の除電針220およびグランド電極230が保持される。1または複数の除電針220とグランド電極230との間には、コロナ放電を発生させるための高電圧が印加される。
【0100】
1または複数の除電針220は、コロナ放電により生成されるイオンが加湿空気により送り出されるように除電ヘッド200に配置される。この構成によれば、加湿空気が除電対象物に供給されることにより除電対象物が除電されるとともに、イオンが除電対象物に供給されることにより除電対象物がさらに除電される。また、湿度が低い空気によりイオンが送り出される場合よりも除電効果が向上する。さらに、湿度が低い環境下でも一定以上の除電効果が得られる。その結果、周囲の環境によらず十分に除電対象物の除電を行うことが可能になる。
【0101】
また、本実施の形態においては、加湿空気生成部300により生成された加湿空気がホース101により除電ヘッド200に導かれる。そのため、除電ヘッド200と加湿空気生成部300とを離間させることができる。これにより、除電ヘッド200の1または複数の除電針220を除電対象物の付近に配置することが容易になる。その結果、除電効率を向上させることができる。
【0102】
さらに、本実施の形態においては、用途および除電対象物の形状に応じて加湿空気生成部300に接続する除電ヘッド200A〜200Cを選択することができる。除電ヘッド200Cの除電針220は、除電ヘッド200A,200Bの除電針220よりも少ない。また、除電ヘッド200Cは、内部に電源装置を含まなくてもよいので、除電ヘッド200A,200Bよりも小型化される。
【0103】
したがって、除電ヘッド200A,200Bを用いることにより比較的広い範囲または比較的大型の除電対象物を容易に除電することができ、除電ヘッド200Cを用いることにより比較的狭い範囲または比較的小型の除電対象物を容易に除電することができる。
【0104】
本実施の形態においては、複数の除電ヘッド200のいずれかが着脱自在に加湿空気生成部300に取り付けられるように構成されるが、これに限定されない。2つ以上の除電ヘッド200が湿空気生成部300に取り付けられるように構成されてもよい。
【0105】
[2]第2の実施の形態
(1)除電装置の構成
第2の実施の形態に係る除電装置について、第1の実施の形態に係る除電装置100と異なる点を説明する。
図17は、第2の実施の形態に係る除電装置の模式的な外観斜視図である。
図18は、
図17のD部の拡大図である。
【0106】
図17および
図18に示すように、本実施の形態に係る除電装置100は、筺体110、除電針120、グランド電極130、整流板140および水供給部150を含む。除電針120,グランド電極130および整流板140は、それぞれ
図13の除電針220、グランド電極230および整流板240と同様の構成および機能を有する。
【0107】
筺体110は、略直方体状を有する。筺体110内には、
図2のヒータ320、加湿フィルタ330および電子基板350とそれぞれ同様のヒータ、加湿フィルタおよび電子基板が設けられる。また、筺体110内には、図示しない温度測定部が設けられる。筺体110内の電子基板に実装された制御部は、温度測定部により取得される温度に基づいて、
図15と同様の加湿空気の温度制御処理を実行することができる。
【0108】
筺体110に一方の端面に隣接するように水供給部150が配置される。水供給部150は、例えば貯水タンクであり、容器151および蓋部152を含む。水供給部150は、例えばペットボトルであってもよい。あるいは、水供給部150は、水配管に直接接続される構成であってもよい。
【0109】
容器151には注入口153および排出口154が形成される。注入口153から容器151の内部に水が注入され、容器151内に水が収容される。蓋部152は、容器151の注入口153を閉塞可能に容器151に取り付けられる。容器151内に収容された水は、排出口154から隣接する筺体110の内部に供給される。
【0110】
筺体110の上面には、
図1の表示部313と同様の表示部113が設けられる。また、筺体110の上面には、筺体110の内部に圧縮空気を供給するための空気流入口111が形成される。空気流入口111には、圧縮空気配管102が接続される。なお、筺体110の内部に空気を取り込むための小型ファンが設けられる場合には、空気流入口111に圧縮空気配管102が接続されなくてもよい。
【0111】
図18に示すように、筺体110の他方の端面から突出するように円筒形状を有する整流板ユニット140Uが設けられる。整流板ユニット140Uの一端部には空気流出口112が設けられる。整流板ユニット140Uは、複数の整流板140、筐体141および隔壁142を含む。
【0112】
複数の整流板140および隔壁142は一体的に形成される。隔壁142は円筒形状を有する。隔壁142の内部に開口部114が形成される。複数の整流板140は、隔壁142を取り囲み、かつハニカム構造を形成するように配置される。筐体141は円筒形状を有する。複数の整流板140および隔壁142は、筐体141の内部に保持される。
【0113】
筐体141は筺体110に固定される。これにより、筺体110に整流板ユニット140Uが固定される。整流板ユニット140Uが筺体110に固定された状態において、除電針120が隔壁142により取り囲まれる。これにより、開口部114から除電針120が突出する。筐体141の外周面上に円筒形状を有するグランド電極130が嵌め込まれる。空気流出口212は隔壁142とグランド電極230との間の円環状の領域に位置する。
【0114】
空気流入口111から流入した空気が筺体110内で加湿され、加湿空気として整流板140により一方向に整流されつつ空気流出口112から流出される。除電針120は、加湿空気が流出する方向において、各整流板140よりも距離Lだけ突出するように配置される。
【0115】
筺体110内の図示しない電子基板に実装された電源装置により、除電針120とグランド電極130との間に高電圧が印加される。これにより、除電針120とグランド電極130との間でコロナ放電が発生する。コロナ放電によりイオンが生成される。発生されたイオンは、複数の空気流出口112から流出する加湿空気により送り出され、除電対象物に噴出される。
【0116】
電源装置は、高周波交流電源装置であることが好ましい。この場合、除電装置100を小型化することができる。あるいは、筺体110に正極用の除電針120と負極用の除電針120とが設けられる場合、電源装置は直流電源装置であってもよい。この場合でもイオンバランスを良好に保ちつつ除電装置100を小型化することができる。
【0117】
第1の実施の形態と同様に、筺体110内の図示しない電子基板に実装された制御部は、イオン電流を測定することによりイオンバランスのフィードバック制御を行う機能を有してもよい。また、制御部は、イオンの量を検出する機能または異常放電が発生した場合に警報を出力する機能を有してもよい。
【0118】
(2)効果
本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、加湿空気が除電対象物に供給されることにより除電対象物が除電されるとともに、イオンが除電対象物に供給されることにより除電対象物がさらに除電される。また、湿度が低い空気によりイオンが送り出される場合よりも除電効果が向上する。さらに、湿度が低い環境下でも一定以上の除電効果が得られる。その結果、周囲の環境によらず十分に除電対象物の除電を行うことが可能になる。
【0119】
また、本実施の形態においては、空気流出口112、1または複数の除電針120の少なくとも一部および加湿フィルタ330が一体的に筺体110,141に設けられる。これにより、除電装置100の構成を単純にし、かつ除電装置100をコンパクト化および軽量化することができる。
【0120】
[3]他の実施の形態
(1)第1および第2の実施の形態において、加湿フィルタ330は気化方式の加湿フィルタであるが、これに限定されない。加湿フィルタ330は他の方式の加湿フィルタであってもよい。
図19は、他の方式における加湿フィルタ330の構成を示す模式的である。
【0121】
図19の加湿フィルタ330は、フィルタ部331および加湿部332を含む。フィルタ部331は、空気を透過させかつ水滴を除去可能なフィルタ材である。加湿部332は、例えばスプレーであり、フィルタ部331に水滴を供給する。
図19に矢印で示すように、空気はフィルタ部331を通過することにより加湿され、加湿空気となる。
【0122】
(2)第1の実施の形態において、除電ヘッド200A,200Bの筺体210の内部に電源装置215が設けられるが、これに限定されない。除電ヘッド200A,200Bの筺体210の内部に電源装置215が設けられなくてもよい。この場合、加湿空気生成部300の図示しない高電圧電源により、除電針220とグランド電極230との間に高電圧が印加される。
【0123】
また、除電ヘッド200Cの筺体210の内部に電源装置が設けられないが、これに限定されない。除電ヘッド200Cの筺体210の内部に十分なスペースがある場合には、筺体210の内部に電源装置が設けられてもよい。この場合、除電ヘッド200Cの筺体210の内部の電源装置により、除電針220とグランド電極230との間に高電圧が印加される。
【0124】
(3)第1の実施の形態において、除電ヘッド200Bの整流板ユニット240Uの複数の整流板240はハニカム構造を形成するように配置されるが、これに限定されない。複数の整流板240は、複数の他の形状からなる構造を形成するように配置されてもよい。
【0125】
図20は、除電ヘッド200Bの整流板ユニット240Uの第1の変形例を示す平面図である。
図20に示すように、整流板ユニット240Uの第1の変形例においては、複数の整流板240は、複数の正方形からなる構造を形成するように配置される。また、複数の隔壁246は、正方形を形成するように配置される。複数の隔壁246により形成される各正方形の内部が開口部213となる。
【0126】
図21は、除電ヘッド200Bの整流板ユニット240Uの第2の変形例を示す平面図である。
図21に示すように、整流板ユニット240Uの第2の変形例においては、複数の整流板240は、複数の円形からなる構造を形成するように配置される。また、複数の隔壁246は、円形を形成するように配置される。複数の隔壁246により形成される各円形の内部が開口部213となる。
【0127】
同様に、第1の実施の形態において、除電ヘッド200Cの整流板ユニット240Uの複数の整流板240は、複数の他の形状からなる構造を形成するように配置されてもよい。第2の実施の形態において、除電装置100の整流板ユニット140Uの複数の整流板140は、複数の他の形状からなる構造を形成するように配置されてもよい。
【0128】
(4)第1の実施の形態において、除電ヘッド200Aの筺体210の幅方向における略中央に除電針220が配置されるが、これに限定されない。実施例1の除電ヘッド200Aにおいては、筺体210の幅方向における中央とは異なる位置に除電針220が配置される。
【0129】
ここで、実施例1の除電ヘッド200Aを用いて除電対象物の除電を行った。
図22は、実施例1の除電ヘッド200Aおよびそれを用いた除電装置100の除電性能を示す図である。
【0130】
図22(a)は、実施例の除電ヘッド200Aの一部の模式的断面図を示す。
図22(a)の除電ヘッド200Aの筺体210は、50mmの幅を有する。筺体210の幅方向における中央から一方側に20mm変位した位置に除電針220が配置され、他方側に5mm変位した位置にグランド電極230が配置される。
【0131】
図22(b)は、
図22(a)の除電ヘッド200Aを用いた除電装置100の除電性能を示す。
図22(b)の縦軸は除電時間を示し、筺体210の幅方向における中央からの位置を示し、除電対象物の除電時間を示す。
図22(b)においては、筺体210の幅方向における中央から一方側に変位した位置を正の位置とし、他方側に変位した位置を負の位置としている。
【0132】
筺体210の幅方向における中央とは異なる位置に除電針220を配置した場合には、除電可能領域に僅かに偏りが生じる。そのため、
図22(b)に示すように、筺体210の幅方向における端部付近での除電対象物の除電時間が中央付近での除電対象物の除電時間よりも僅かに増加した。このような除電時間の増加を許容できる場合には、除電ヘッド200Aの筺体210の幅方向における中央とは異なる位置に除電針220が配置されてもよい。
【0133】
同様に、第1の実施の形態の除電ヘッド200Cにおいて、筺体210の略中央に除電針220が配置されるが、これに限定されない。除電時間の増加を許容できる場合には、除電ヘッド200Cの筺体210の中央とは異なる位置に除電針220が配置されてもよい。第1の実施の形態の除電ヘッド200Bにおいて、複数の除電針220が略等しい角度間隔で配置されるがこれに限定されない。除電時間の増加を許容できる場合には、複数の除電針220が略等しい角度間隔で配置されなくてもよい。
【0134】
第2の実施の形態の除電装置100において、筺体110の空気流出口112の略中央に除電針120が配置されるが、これに限定されない。除電時間の増加を許容できる場合には、筺体110の空気流入口111の中央とは異なる位置に除電針120が配置されてもよい。
【0135】
(5)第1の実施の形態において、除電ヘッド200Bのグランド電極230は内電極231および外電極233を含むが、これに限定されない。実施例2の除電ヘッド200Bにおいては、グランド電極230は内電極231および外電極233を含む。内電極231と外電極233とが1つの接続電極232により電気的に接続される。実施例3の除電ヘッド200Bにおいては、グランド電極230は内電極231を含み、接続電極232および外電極233を含まない。実施例4の除電ヘッド200Bにおいては、グランド電極230は外電極233を含み、内電極231および接続電極232を含まない。
【0136】
実施例2〜4の除電ヘッド200Bを用いて除電対象物の除電を行った。ここで、各除電針220に周波数33Hzの交流電圧を印加した。各除電針220に印加される正の電圧を5.3kVとし、負の電圧を−3.7kVとした。なお、正の電圧と負の電圧とが異なるのは、正の電圧を印加する期間と負の電圧を印加する期間との比(デューティ比)が異なるためである。各除電針220の針先と除電対象物との間の距離を300mmとし、空気流出口212から除電対象物に噴出される加湿空気の風速は1m/secとした。
【0137】
図23は、実施例2〜4の除電ヘッド200Bを用いた除電装置100の除電性能を示す図である。
図23の縦軸は除電対象物の除電時間を示す。
図23に示すように、実施例3,4における除電時間は、実施例2における除電時間よりも増加した。このような除電時間の増加を許容できる場合には、除電ヘッド200Bのグランド電極230は内電極231または外電極233を含まなくてもよい。さらに、除電ヘッド200にグランド電極230を配置しない場合でも、安定したコロナ放電を発生させることができる場合には、除電ヘッド200にグランド電極230を配置しなくてもよい。
【0138】
また、内電極231と各除電針220との間の距離を変化させた複数の除電ヘッド200Bを作製した。実施例5,6,7の除電ヘッド200Bにおいては、内電極231と各除電針220との間の距離をそれぞれ10mm、20mmおよび30mmとした。実施例5〜7の除電ヘッド200Bを用いて除電対象物の除電を行った。除電の条件は、実施例2〜4における除電の条件と同様である。
【0139】
図24は、実施例5〜7の除電ヘッド200Bを用いた除電装置100の除電性能を示す図である。
図24の縦軸は除電対象物の除電時間を示す。
図24に示すように、実施例6における除電時間は、実施例5における除電時間よりも短縮された。実施例7における除電時間は、実施例6における除電時間よりも短縮された。これらの結果から、内電極231と各除電針220との間の距離を大きくすることにより、除電対象物の除電時間を短縮することができることが確認された。
【0140】
しかしながら、内電極231と各除電針220との間の距離を30mmよりも大きくした場合の除電装置100の除電時間は、実施例7における除電時間よりも増加した。これは、外電極233と各除電針220との間の距離が小さくなることが原因であると考えられる。したがって、各除電針220を内電極231と外電極233との間における最適な位置に配置することにより、最適な除電性能を得ることができることが確認された。
【0141】
(6)第1の実施の形態において、除電ヘッド200Bの各除電針220を取り囲む複数の隔壁246の一部に切り欠きが形成されるが、これに限定されない。
図25〜
図28は、それぞれ実施例8〜11の除電ヘッド200Bの複数の隔壁246を示す図である。
図25(a)〜
図28(a)は複数の隔壁246の斜視図を示し、
図25(b)〜
図28(b)は複数の隔壁246の平面図を示す。
【0142】
実施例8〜11の除電ヘッド200Bにおいては、6個の隔壁246a〜246fが除電針220を取り囲みかつ正六角形を形成するように配置される。また、6個の隔壁246a〜246fは、この順で隣接するように配置される。したがって、隔壁246aと隔壁246dとが除電針220を挟んで対向する。隔壁246bと隔壁246eとが除電針220を挟んで対向する。隔壁246cと隔壁246fとが除電針220を挟んで対向する。
【0143】
実施例8の除電ヘッド200Bにおいては、
図25(a),(b)に示すように、いずれの隔壁246a〜246fにも切り欠きが形成されない。実施例9の除電ヘッド200Bにおいては、
図26(a),(b)に示すように、除電針220を挟んで対向する一対の隔壁246a,246dに略台形状の切り欠きが形成される。
【0144】
実施例10の除電ヘッド200Bにおいては、
図27(a),(b)に示すように、除電針220を挟んで対向する一対の隔壁246a,246dおよび他の2つの隔壁246c,246eに略台形状の切り欠きが形成される。実施例11の除電ヘッド200Bにおいては、
図28(a),(b)に示すように、全ての隔壁246a〜246fに略台形状の切り欠きが形成される。なお、
図25(b)〜
図28(b)においては、切り欠きが形成された隔壁246a〜246fの部分にハッチングパターンが付されている。
【0145】
実施例8〜11の除電ヘッド200Bを用いて除電対象物の除電を行った。除電の条件は、実施例2〜4における除電の条件と同様である。
図29は、実施例8〜11の除電ヘッド200Bを用いた除電装置100の除電性能を示す図である。
図29(a)の縦軸は、除電針220に正の電圧が印加されたときに発生するコロナ放電によるイオン電流を示す。
図29(b)の縦軸は、除電針220に負の電圧が印加されたときに発生するコロナ放電によるイオン電流を示す。
【0146】
図29(a),(b)に示すように、実施例9におけるイオン電流は、実施例8におけるイオン電流よりも増加した。実施例10におけるイオン電流は、実施例9におけるイオン電流よりも増加した。実施例11におけるイオン電流は、実施例10におけるイオン電流よりも増加した。これらの結果から、複数の隔壁246a〜246fに切り欠きを形成することによりイオン電流を増加させることができることが確認された。
【0147】
これは、除電針220の針先とグランド電極230との間の障害物が削減されることにより、除電針220とグランド電極230との間で効率よくコロナ放電が発生するためであると考えられる。したがって、十分に高い効率でコロナ放電を発生させることができる場合には、複数の隔壁246a〜246fの一部に切り欠きを形成しなくてもよい。
【0148】
本例においては、複数の隔壁246a〜246fに略台形状の切り欠きが形成されるので、複数の隔壁246a〜246fの境界部分(正六角形の角部)に複数の突出部246sが形成される。複数の突出部246sは、
図5の複数の突起部218と同様に、除電針220を保護する機能を有する。複数の突出部246sにより除電針220が除電対象物または他の物体に衝突した場合でも除電針220の針先が曲がることが防止される。
【0149】
除電針220を保護する機能が不要である場合には、突出部246sが形成されないように複数の隔壁246a〜246fの一部が除去されてもよい。あるいは、複数の隔壁246a〜246fが周囲の複数の整流板240と面一になるように複数の隔壁246a〜246fの一部が除去されてもよい。
【0150】
(7)第1の実施の形態において、加湿空気が流出する方向における整流板240の端部(以下、一方の端部と呼ぶ)から針先が突出するように除電針220が配置されるが、これに限定されない。同様に、第2の実施の形態において、整流板140の一方の端部から針先が突出するように除電針120が配置されるが、これに限定されない。
図30は、実施例12〜15の除電ヘッドを示す図である。
図30の除電ヘッドは、
図9の除電ヘッド200Bと同様の形状を有する。
図30(a)〜(d)は、それぞれ実施例12〜15の除電ヘッドの断面の一部を示す。
【0151】
実施例12の除電ヘッドにおいては、
図30(a)に示すように、除電針220の針先は整流板240の一方の端部から突出する。整流板240の一方の端部から除電針120の針先までの距離Lは10mmである。実施例13の除電ヘッドにおいては、
図30(b)に示すように、除電針220の針先は加湿空気が流出する方向における整流板240の中央に位置する。整流板240の一方の端部から除電針120の針先までの距離Lは−5mmである。
【0152】
実施例14の除電ヘッドにおいては、
図30(c)に示すように、除電針220の針先は整流板240の他方の端部と面一となる平面に位置する。整流板240の一方の端部から除電針120の針先までの距離Lは−10mmである。実施例15の除電ヘッドにおいては、
図30(d)に示すように、除電針220の針先は整流板240の上方に位置する。整流板240の一方の端部から除電針220の針先までの距離Lは−16mmである。
【0153】
実施例12〜15の除電ヘッドを用いて除電対象物の除電を行った。除電の条件は、実施例2〜4における除電の条件と同様である。
図31は、実施例12〜15の除電ヘッドを用いた除電装置の除電性能を示す図である。
図31の縦軸は除電対象物の除電時間を示す。
【0154】
図31に示すように、実施例13における除電時間は、実施例12における除電時間よりも僅かに増加した。実施例14における除電時間は、実施例13における除電時間よりも僅かに増加した。実施例15における除電時間は、実施例14における除電時間よりも増加した。これらの結果から、除電針220の針先をより加湿空気のより下流側の位置に配置することにより、除電対象物の除電時間を短縮することができることが確認された。これは、生成されたイオンが整流板240に付着(帯電)することが原因であると考えられる。
【0155】
一方で、このような除電時間の増加を許容できる場合には、第1の実施の形態において、整流板240の方の端部から針先が突出するように除電針220が配置されなくてもよい。同様に、第2の実施の形態において、整流板140の方の端部から針先が突出するように除電針120が配置されなくてもよい。
【0156】
(8)第1の実施の形態において、除電針220の針先の少なくとも一部を取り囲むようにグランド電極230が配置されるが、これに限定されない。同様に、第2の実施の形態において、除電針120の針先の少なくとも一部を取り囲むようにグランド電極130が配置されるが、これに限定されない。
【0157】
図32は、実施例16〜19の除電ヘッドを示す図である。
図32の除電ヘッドは、
図13の除電ヘッド200Cと同様の形状を有する。
図32(a)〜(d)は、それぞれ実施例16〜19の除電ヘッドにおける除電針220とグランド電極230と整流板240との位置関係を示す。なお、
図32(a)〜(d)においては、理解を容易にするため、グランド電極230にハッチングパターンが付され、整流板240にドットパターンが付されている。
【0158】
実施例16の除電ヘッドにおいては、
図32(a)に示すように、グランド電極230が除電針220の針先に配置され、整流板240が除電針220の針先よりも加湿空気の下流側に配置される。実施例17の除電ヘッドにおいては、
図32(b)に示すように、グランド電極230および整流板240が除電針220の針先よりも加湿空気の下流側に配置される。
【0159】
実施例18の除電ヘッドにおいては、
図32(c)に示すように、グランド電極230が除電針220の針先よりも加湿空気の上流側に配置され、整流板240が除電針220の針先よりも加湿空気の下流側に配置される。実施例19の除電ヘッドにおいては、
図32(d)に示すように、グランド電極230が除電針220の針先に配置され、整流板240が除電針220の針先よりも加湿空気の上流側に配置される。
【0160】
実施例16〜19の除電ヘッドを用いて除電対象物の除電を行った。除電の条件は、実施例2〜4における除電の条件と同様である。
図33は、実施例16〜19の除電ヘッドを用いた除電装置の除電性能を示す図である。
図33の縦軸は除電対象物の除電時間を示す。
【0161】
図33に示すように、実施例16〜18における除電時間は、実施例19における除電時間よりも増加した。これらの結果から、グランド電極230を除電針220の針先に配置し、整流板240を除電針220の針先よりも加湿空気の上流側に配置することにより、除電対象物の除電時間を短縮することができることが確認された。
【0162】
これは、グランド電極230を除電針220に垂直でかつ除電針220の先端に位置する平面に交差するように配置することにより、コロナ放電の効率が向上するためであると考えられる。また、除電針220を加湿空気の流出方向において整流板240の先端よりも突出するように配置することにより、生成されたイオンが整流板240に帯電することが低減されるためであると考えられる。
【0163】
一方で、このような除電時間の増加を許容できる場合には、第1の実施の形態において、グランド電極230を除電針220の針先とは異なる位置に配置してもよい。また、整流板240を除電針220の針先よりも加湿空気の下流側に配置してもよい。同様に、第2の実施の形態において、グランド電極130を除電針120の針先とは異なる位置に配置してもよい。また、整流板140を除電針120の針先よりも加湿空気の下流側に配置してもよい。
【0164】
(9)第1の実施の形態において、除電ヘッド200に整流板240が設けられるが、これに限定されない。同様に、第2の実施の形態において、除電装置100に整流板140が設けられるが、これに限定されない。
図34は、整流板240が設けられない場合における除電ヘッドを示す外観斜視図である。
図34の除電ヘッドにおいては、整流板ユニット240Uに整流板240および隔壁248が設けられない。したがって、整流板ユニット240Uの筐体247の内部が開口部213となる。
【0165】
実施例20,21として、それぞれ
図13および
図34の除電ヘッドから0.3m
3/minの風量で、周囲温度25℃の環境に加湿空気を噴出させた。これらの場合において、各除電ヘッドから離間した位置における空気の相対湿度を測定した。
【0166】
図35は、除電ヘッドからの位置と空気の相対湿度との関係を示すグラフである。
図35の横軸は各除電ヘッドの空気流出口212からの位置を示し、縦軸は空気の相対湿度を示す。整流板240を有する
図13の除電ヘッドについての結果を黒丸で示し、整流板240を有しない
図34の除電ヘッドについての結果を黒い四角で示す。
【0167】
図35に示すように、
図13の除電ヘッドからの任意の位置における空気の相対湿度は、
図34の除電ヘッドからの同位置における空気の相対湿度よりも高くなった。これにより、整流板240を設けた除電ヘッド200は、整流板240を設けない除電ヘッド200よりも遠方まで加湿空気を噴出することができることが確認された。
【0168】
一方、除電ヘッド200の遠方まで加湿空気を噴出する必要がない場合には、除電ヘッド200に整流板240が設けられなくてもよい。同様に、除電装置100の空気流出口112の遠方まで加湿空気を噴出する必要がない場合には、除電装置100に整流板140が設けられなくてもよい。
【0169】
(10)上記実施の形態において、除電針120,220が除電電極として用いられるが、これに限定されない。除電針120,220に代えて、ワイヤ等の他の電極が除電電極として用いられてもよい。
【0170】
[4]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0171】
上記実施の形態においては、除電装置100が除電装置の例であり、電源装置352が電源装置の例であり、ヒータ320が温度調整部の例である。制御部351が第1および第2の制御部の例であり、温度測定部314が温度測定部の例であり、温度測定部214または表示部313が外部温度取得部の例である。
【0172】
第1の実施の形態においては、加湿空気生成部300が加湿空気生成部の例であり、空気流出口212が流出口の例であり、除電ヘッド200が保持体の例であり、除電針220が除電針の例であり、グランド電極230が電極の例である。電源装置215,352がそれぞれ第1および第2の電源装置の例であり、表示部313が入力部の例であり、空気流入口211が流入口の例であり、筺体210が筺体の例であり、ホース101が供給管の例であり、整流板240が整流板の例である。
【0173】
除電ヘッド200の第1の例においては、除電ヘッド200Aが第1の除電ヘッドの例であり、グランド電極230が第1および第2の対向電極の例または第1の電極の例である。空気流出口212が第1および第2の流出口の例であり、筺体210が第1の筺体の例であり、除電針220が第1の除電針の例である。
【0174】
除電ヘッド200の第2の例においては、除電ヘッド200Bが第1の除電ヘッドの例であり、筺体210が第1の筺体の例であり、除電針220が第1の除電針の例であり、グランド電極230が第1の電極の例である。除電ヘッド200の第3の例においては、除電ヘッド200Cが第2の除電ヘッドの例であり、筺体210が第2の筺体の例であり、除電針220が第2の除電針の例であり、グランド電極230が第2の電極の例である。
【0175】
第2の実施の形態においては、加湿フィルタ330が加湿空気生成部の例であり、空気流出口112が流出口の例であり、筺体110,141が保持体または筺体の例である。除電針120が除電針の例であり、グランド電極130が電極の例であり、表示部113が入力部の例であり、空気流入口111が流入口の例であり、整流板140が整流板の例である。
【0176】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
[5]参考形態
(1)第1の参考形態に係る除電装置は、対象物の除電を行う除電装置であって、空気を加湿して加湿空気を生成する加湿空気生成部と、加湿空気生成部により生成された加湿空気を流出させる流出口を有する保持体と、保持体に保持される1または複数の除電電極と、保持体に保持される電極と、コロナ放電を発生させるために1または複数の除電電極と電極との間に電圧を印加する電源装置とを備え、1または複数の除電電極は、コロナ放電により生成されるイオンが流出口から流出される加湿空気により送り出されるように保持体に配置される。
この除電装置においては、空気が加湿空気生成部により加湿されることにより、加湿空気が生成される。加湿空気は、保持体の流出口から流出される。また、保持体には、1または複数の除電電極および電極が保持される。1または複数の除電電極と電極との間には、電源装置によりコロナ放電を発生させるための電圧が印加される。
ここで、1または複数の除電電極は、コロナ放電により生成されるイオンが加湿空気により送り出されるように保持体に配置される。この構成によれば、加湿空気が対象物に供給されることにより対象物が除電されるとともに、イオンが対象物に供給されることにより対象物がさらに除電される。また、湿度が低い空気によりイオンが送り出される場合よりも除電効果が向上する。さらに、湿度が低い環境下でも一定以上の除電効果が得られる。その結果、周囲の環境によらず十分に除電を行うことが可能になる。
(2)除電装置は、空気を温度調整する温度調整部をさらに備え、加湿空気生成部は、温度調整部により温度調整された空気を加湿してもよい。
この場合、空気が温度調整されるので、空気が加湿空気生成部から取得可能な水分量を増加させることができる。これにより、除電効率をより向上させることができる。
(3)除電装置は、流出口から流出する加湿空気の絶対湿度が対象物の周囲の空気の飽和水蒸気量以下になるように温度調整部を制御する第1の制御部をさらに備えてもよい。
この場合、対象物に供給される加湿空気の絶対湿度は、対象物の周囲の空気の飽和水蒸気量以下になる。これにより、対象物の結露を防止することができる。
(4)除電装置は、加湿空気生成部により生成された加湿空気の温度を測定する温度測定部と、外部空気の温度を取得する外部温度取得部とをさらに備え、第1の制御部は、温度測定部により測定された加湿空気の温度が外部温度取得部により取得された外部空気の温度以下になるように温度調整部を制御してもよい。
この場合、温度測定部により測定された加湿空気の温度および外部温度取得部により取得された外部空気の温度に基づいて、対象物の結露を容易に防止することができる。また、この構成によれば、除電装置の内部および流出口の相対湿度を直接測定する必要がないので、除電装置の構成を簡単にすることができる。
(5)除電装置は、加湿空気生成部により生成された加湿空気の温度を測定する温度測定部と、外部空気の温度を取得する外部温度取得部と、目標相対湿度を入力するための入力部と、温度測定部により測定された加湿空気の温度に基づいて加湿空気の絶対湿度を推定し、絶対湿度に基づいて算出される外部温度取得部により取得された外部空気の温度における相対湿度が目標相対湿度となるように温度調整部を制御する第2の制御部とをさらに備えてもよい。
この場合、温度測定部により測定された加湿空気の温度および外部温度取得部により取得された外部空気の温度に基づいて、容易に湿度制御を行うことができる。また、この構成によれば、除電装置の内部および流出口の絶対湿度および相対湿度を直接測定する必要がないので、除電装置の構成を簡単にすることができる。
(6)電極は、互いに対向するように配置される第1および第2の対向電極を含み、1または複数の除電電極は、第1の対向電極と第2の対向電極との間に配置され、流出口は、第1の対向電極と1または複数の除電電極との間に加湿空気を流出させる第1の流出口と、第2の対向電極と1または複数の除電電極との間に加湿空気を流出させる第2の流出口とを含んでもよい。
この場合、第1の対向電極と1または複数の除電電極との間で生成されるイオンが第1の流出口から流出される加湿空気により送り出される。また、第2の対向電極と1または複数の除電電極との間で生成されるイオンが第2の流出口から流出される加湿空気により送り出される。この構成によれば、各除電電極の両側に生成されるイオンを加湿空気で効率的に送り出すことが可能である。したがって、対象物を効率よく除電することができる。
(7)1または複数の除電電極は、流出口から流出される加湿空気中に位置するように設けられてもよい。
この場合、各除電電極の周囲に生成されるイオンを加湿空気で効率的に送り出すことが可能になる。したがって、対象物を効率よく除電することが容易になる。
(8)電極は、各除電電極の周囲を環状に取り囲むように形成され、流出口は、各除電電極と電極との間の環状の領域に加湿空気を流出させてもよい。
この場合、各除電電極の周囲に生成されるイオンを加湿空気で効率的に送り出すことが可能になる。したがって、対象物を効率よく除電することが容易になる。
(9)保持体は、内部空間、流入口および流出口を有するとともに1または複数の除電電極の少なくとも一部を収容する筐体を含み、除電装置は、加湿空気生成部により生成された加湿空気を筐体の流入口に導く供給管をさらに備えてもよい。
この場合、加湿空気生成部により生成された加湿空気が供給管により筐体に導かれる。そのため、筐体と加湿空気生成部とを離間させることができる。これにより、筐体の1または複数の除電電極を対象物の付近に配置することが容易になる。その結果、除電効率を向上させることができる。
(10)筐体は第1および第2の筐体を含み、1または複数の除電電極は、第1の筐体に保持される第1の数の第1の除電電極と、第2の筐体に保持される第2の数の第2の除電電極とを含み、第1の数は第2の数よりも多く、電極は、第1の筐体に保持される第1の電極と、第2の筐体に保持される第2の電極とを含み、電源装置は、第1の除電電極と第1の電極との間に電圧を印加する第1の電源装置と、第2の除電電極と第2の電極との間に電圧を印加する第2の電源装置とを含み、第1の筐体、第1の除電電極、第1の電極および第1の電源装置が第1の除電ヘッドを構成し、第2の筐体、第2の除電電極および第2の電極が第2の除電ヘッドを構成し、第1および第2の除電ヘッドは、選択的に加湿空気生成部に接続および取り外し可能に構成されてもよい。
この場合、用途および対象物の形状に応じて加湿空気生成部に接続する除電ヘッドを選択することができる。第2の除電ヘッドの第2の除電電極は、第1の除電ヘッドの第1の除電電極よりも少ない。また、第2の除電ヘッドは第2の電源装置を含まなくてもよいので、第2の除電ヘッドは、第1の除電ヘッドよりも小型化することが容易になる。したがって、第1の除電ヘッドを用いることにより比較的広い範囲または比較的大型の対象物を容易に除電することができ、第2の除電ヘッドを用いることにより比較的狭い範囲または比較的小型の対象物を容易に除電することができる。
(11)保持体は、流出口を有するとともに1または複数の除電電極の少なくとも一部および加湿空気生成部を収容する筐体を含んでもよい。
この場合、流出口、1または複数の除電電極の少なくとも一部および加湿空気生成部が一体的に設けられる。これにより、除電装置の構成を単純にし、かつ除電装置をコンパクト化および軽量化することができる。
(12)電極は、各除電電極に垂直でかつ各除電電極の先端に位置する平面に交差するように配置されてもよい。
この場合、コロナ放電の効率が向上する。これにより、除電効率をより向上させることができる。
(13)除電装置は、保持体に保持される整流板をさらに備え、整流板は、流出口から流出される加湿空気を一定方向に整流するように設けられてもよい。
この場合、流出口から送り出される加湿空気が、流出口の周囲の空気中で拡散することが抑制される。これにより、遠方まで加湿空気が送り出される。その結果、除電効率をより向上させることができる。
(14)1または複数の除電電極は、加湿空気の流出方向において整流板の先端よりも突出するように配置されてもよい。
この場合、生成されたイオンが整流板に帯電することが低減される。これにより、除電効率をより向上させることができる。
(15)第2の参考形態に係る除電ヘッドは、空気を加湿して加湿空気を生成する加湿空気生成部に供給管により接続可能に構成され、対象物の除電を行う除電ヘッドであって、供給管により加湿空気生成部に接続可能に構成され、加湿空気生成部により生成された加湿空気を流出させる流出口を有する保持体と、コロナ放電を発生させるための電圧を印加可能に構成され、保持体に保持される1または複数の除電電極と、コロナ放電を発生させるための電圧を印加可能に構成され、保持体に保持される電極とを備え、1または複数の除電電極は、コロナ放電により生成されるイオンが流出口から流出される加湿空気により送り出されるように保持体に配置される。
この除電ヘッドにおいては、加湿空気生成部により生成された加湿空気が供給管を通して保持体に供給され、保持体の流出口から流出される。また、保持体には、1または複数の除電電極および電極が保持される。1または複数の除電電極と電極との間には、電源装置によりコロナ放電を発生させるための電圧が印加される。
ここで、1または複数の除電電極は、コロナ放電により生成されるイオンが加湿空気により送り出されるように保持体に配置される。この構成によれば、加湿空気が対象物に供給されることにより対象物が除電されるとともに、イオンが対象物に供給されることにより対象物がさらに除電される。また、湿度が低い空気によりイオンが送り出される場合よりも除電効果が向上する。さらに、湿度が低い環境下でも一定以上の除電効果が得られる。その結果、周囲の環境によらず十分に除電を行うことが可能になる。