特許第6247975号(P6247975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6247975-変速機のブリーザ装置 図000002
  • 特許6247975-変速機のブリーザ装置 図000003
  • 特許6247975-変速機のブリーザ装置 図000004
  • 特許6247975-変速機のブリーザ装置 図000005
  • 特許6247975-変速機のブリーザ装置 図000006
  • 特許6247975-変速機のブリーザ装置 図000007
  • 特許6247975-変速機のブリーザ装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247975
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】変速機のブリーザ装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/027 20120101AFI20171204BHJP
   F16H 57/031 20120101ALI20171204BHJP
【FI】
   F16H57/027
   F16H57/031
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-66878(P2014-66878)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-190520(P2015-190520A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2016年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122770
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】千田 博之
【審査官】 瀬川 裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−034065(JP,A)
【文献】 特開2008−267465(JP,A)
【文献】 特開2004−092865(JP,A)
【文献】 特開2011−179648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/027
F16H 57/031
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速機内部に設けられたブリーザ室と、
前記ブリーザ室と外表面とを連通する連通孔が形成されるとともに、一端が該連通孔につながれ、該連通孔からブリーザ出口にかけて外表面に溝部が形成された変速機ケースと、
前記変速機ケースに形成された前記連通孔および溝部を覆うように、前記変速機ケースに被せられたカバーと、を備え、
前記溝部と前記カバーとによって、ブリーザガスを通すブリーザ通路が画成されており、
前記カバーは、前記変速機ケース側から見て順に積層された防水層、および吸音層を有して形成されていることを特徴とする変速機のブリーザ装置。
【請求項2】
前記ブリーザ通路は、前記変速機ケースに形成された接続孔を通して、前記ブリーザ出口に連通されていることを特徴とする請求項1に記載の変速機のブリーザ装置。
【請求項3】
前記ブリーザ通路は、前記カバーを貫通するように形成された接続孔を通して、前記ブリーザ出口に連通されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の変速機のブリーザ装置。
【請求項4】
前記ブリーザ出口は、前記変速機ケースの高さ方向において、前記連通孔が形成されている位置よりも高い位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の変速機のブリーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機のブリーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジン等からの駆動力を変換して駆動輪に伝達する変速機は、走行時に発熱して高温になり、変速機ケース内の内圧が上昇する(正圧になる)。一方、変速機が、例えば被水した場合には、変速機が冷却されることにより、変速機ケース内の内圧が低下する(負圧になる)。
【0003】
このような変速機ケース内の内圧上昇によるシール部からのオイル漏れや、内圧低下に起因するシール部からの浸水等を防止するため、一般的に、変速機には、内圧を一定に保つブリーザ装置が設けられている。そして、内圧と大気圧との差圧により、内圧が高い場合はブリーザ装置から変速機内のブリーザガスを変速機外に排出し、内圧が低い場合は外気を内部に取入れることで内圧を一定に保つようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−170647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したブリーザ装置では、例えば、車両が水溜りに進入した場合等において、飛散した水がブリーザ出口の開口部から侵入して変速機ケース内に侵入することを防止するために、ブリーザ室から、被水し難い位置に設けられたブリーザ出口までを、ブリーザホースで接続する必要があった。そのため、部品点数の増加や組み付け工数の増加、ひいてはコストアップを招く要因となっていた。
【0006】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、部品点数の削減、組み付け工数の低減、およびコストダウンを図ることが可能な変速機のブリーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る変速機のブリーザ装置は、変速機内部に設けられたブリーザ室と、ブリーザ室と外表面とを連通する連通孔が形成されるとともに、一端が該連通孔につながれ、該連通孔からブリーザ出口にかけて外表面に溝部が形成された変速機ケースと、変速機ケースに形成された連通孔および溝部を覆うように、変速機ケースに被せられたカバーとを備え、上記溝部とカバーとによって、ブリーザガスを通すブリーザ通路が画成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る変速機のブリーザ装置によれば、変速機ケースの外表面に形成された溝部と、該溝部を覆うカバーとによって、連通孔からブリーザ出口にかけてブリーザ通路が画成される。そのため、ブリーザホースを廃止又は短縮することができる。その結果、ブリーザ装置の部品点数の削減、組み付け工数の低減、およびコストダウンを図ることが可能となる。
【0009】
本発明に係る変速機のブリーザ装置では、上記カバーが防水性を有していることが好ましい。
【0010】
この場合、カバーが防水性を有しているため、例えばブリーザガスに含まれることがあるオイルミストなどを吸収することなく排出することが可能となる。
【0011】
また、本発明に係る変速機のブリーザ装置では、上記カバーが、変速機ケース側から見て順に積層された、防水層、および吸音層を有して形成されていることが好ましい。
【0012】
この場合、カバーが防水層および吸音層を有して形成されているため、防水性に加えて吸音性をも兼ね備えることができる。
【0013】
本発明に係る変速機のブリーザ装置では、ブリーザ通路が、変速機ケースに形成された接続孔を通して、ブリーザ出口に連通されていることが好ましい。
【0014】
このようにすれば、溝部とカバーとで画成されたブリーザ通路と、ブリーザ出口とを、気密性を保持しつつ接続することができる。特に、この場合には、ブリーザ出口付近で、溝部とカバーとの間の距離が広がってしまう場合(密着し難い場合)であっても、気密性を保持しつつ接続することが可能となる。
【0015】
本発明に係る変速機のブリーザ装置では、ブリーザ通路が、カバーを貫通するように形成された接続孔を通して、ブリーザ出口に連通されていることが好ましい。
【0016】
このようにしても、溝部とカバーとで画成されたブリーザ通路と、ブリーザ出口とを、気密性を保持しつつ接続することができる。特に、この場合には、ブリーザ通路を直接ブリーザ出口に接続することができるため、よりコストダウン等を図ることが可能となる。
【0017】
本発明に係る変速機のブリーザ装置では、ブリーザ出口が、変速機ケースの高さ方向において、連通孔が形成されている位置よりも高い位置に設けられていることが好ましい。
【0018】
このようにすれば、例えば、変速機が被水した場合であっても、ブリーザ出口からの水の侵入を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ブリーザホースを廃止又は短縮することができ、ブリーザ装置の部品点数の削減、組み付け工数の低減、およびコストダウンを図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に係る変速機のブリーザ装置の構成を示す側面図である。
図2】防遮音カバーを外した変速機の構成を示す側面図である。
図3図1のIII−III線に沿った断面図である。
図4】防遮音カバーの層構造を示す図である。
図5】第1実施形態に係る変速機のブリーザ装置のブリーザ出口部分の拡大図である。
図6】第2実施形態に係る変速機のブリーザ装置の構成を示す側面図である。
図7】第2実施形態に係る変速機のブリーザ装置のブリーザ出口部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。また、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0022】
(第1実施形態)
まず、図1図5を併せて用いて、第1実施形態に係る変速機のブリーザ装置1の構成について説明する。図1は、変速機のブリーザ装置1、及び、該ブリーザ装置1が適用された変速機10の構成を示す側面図であり、図2は、防遮音カバー30を外した変速機10の構成を示す側面図である。また、図3は、図1のIII−III線に沿った断面図である。さらに、図4は、防遮音カバー30の層構造を示す図であり、図5は、ブリーザ装置1のブリーザ出口部分の拡大図である。
【0023】
本実施形態では、変速機10として、車両の運転状態に応じて変速比を自動的かつ無段階に変速する無段変速機(CVT)を用いた場合を例にして説明する。無段変速機10は、車両のエンジンルーム内に、車体前後方向に沿って延在されるとともに後部が下方へやや傾斜された状態で搭載される縦置き型の変速機である。
【0024】
無段変速機10は、例えば、入力軸に軸支されるプライマリプーリと、出力軸に軸支されるセカンダリプーリとの間に駆動ベルトを巻装してなるベルト式無段変速機である。無段変速機10の変速機ケース11内には、エンジンの出力軸にトルクコンバータや前後進切換機構等を介して接続されるプライマリプーリ機構、プライマリプーリに駆動ベルトを介して連結されるセカンダリプーリ機構、セカンダリプーリ機構に減速歯車列を介して連結されるディファレンシャル機構等が主として格納されている。
【0025】
また、変速機ケース11内の後方上部には、内圧を一定に保つブリーザ室15が配設されている。変速機ケース11内の内圧と大気圧との差圧により、内圧が高い場合にはブリーザ室15からブリーザガスが変速機外へ排出され、内圧が低い場合には外気が取入れられることで内圧が略一定に保持される。なお、ブリーザ室15には、オイルミストを衝突させて液滴化するための仕切板が適所に配設されている。すなわち、ブリーザ室15は、ラビリンス構造を有し、通過するオイルミストを仕切板に衝突させて液滴化することによって気液分離した後、ブリーザガスを変速機外へ排出する。
【0026】
変速機ケース11には、ブリーザ室15と変速機ケース11の外表面とを連通する連通孔16が形成されている。また、変速機ケース11の外表面には、一端が、連通孔16につながれ、該連通孔16から、前方の変速機ケース11上面に突設されたブリーザニップル40(特許請求の範囲に記載のブリーザ出口に相当)にかけて細長い溝部20が形成されている。
【0027】
溝部20は、変速機ケース11の上面又は上部側面に形成される。その際に、溝部20は、変速機ケース11の後方から前方に行くにしたがって、位置が高くなるように傾斜して形成されることが好ましい。また、溝部20は、図3に示されるように、例えばφ6(mm)のホース程度の断面積を有する断面略半円状に形成される。
【0028】
ここで、変速機ケース11はアルミニウムなどの金属からなり、例えば、アルミダイカストによって製造される。溝部20は、アルミダイカストによる鋳造を行う際に、金型の段階で抜くことによって形成される。そのため、溝部20の形成方向は、鋳造時の抜き方向を考慮して設定することが好ましい。
【0029】
変速機ケース11には、変速機ケース11の上面および左右側面を覆うように、防遮音カバー30が被せられている。そのため、変速機ケース11の外表面に形成された連通孔16および溝部20は防遮音カバー30によって覆われている。
【0030】
ここで、防遮音カバー30の構造を図4に示す。図4に示されるように、防遮音カバー30は、変速機ケース11側から見て順に積層された、防水/遮音層30a、および吸音層30b,30cを有して形成されている。防水/遮音層30aは、例えばゴムシートやPEフィルム等からなり、防水性と遮音性とを備え持つ。一方、吸音層30b,30cは、例えば不織布などから形成され、吸音性を備え持つ。そのため、防遮音カバー30は、防水性と防遮音性とを兼ね備えている。
【0031】
防遮音カバー30は、例えば、自己融着性のあるブチルテープなどを用いて変速機ケース11に密着して取り付けられる。そのため、変速機ケース11(溝部20)と防遮音カバー30との間は、気密性と防水性とが確保される。このように、変速機ケース11が防遮音カバー30で覆われることにより、溝部20と防遮音カバー30との間で、ブリーザガスを通す空間(ブリーザ通路2030)が画成される。
【0032】
上述したように、連通孔16から見て前方の変速機ケース11上面には、ブリーザニップル40(ブリーザ出口)が突設されている。ここで、ブリーザニップル40は、変速機ケース11の高さ方向において、連通孔16が形成されている位置よりも高い位置、すなわち被水し難い位置に設けられている。また、図5に拡大して示されるように、変速機ケース11には、ブリーザ通路2030とブリーザニップル40とを連通する接続孔22が形成されている。そのため、ブリーザ通路2030は、変速機ケース11に形成された接続孔22を通して、ブリーザニップル40(ブリーザ出口)に連通される。なお、ブリーザニップル40にブリーザホース42を取り付け、より被水し難い位置に開口を設けるようにしてもよい。
【0033】
上述したように構成されることにより、溝部20と防遮音カバー30とによって、ブリーザガスを通すブリーザ通路2030が画成される。すなわち、ブリーザ室15とブリーザニップル40(ブリーザ出口)とが、連通孔16、ブリーザ通路2030、および接続孔22を介して連通される。そして、変速機ケース11の内圧が高くなると、ブリーザ室15で気液分離されたブリーザガスが、連通孔16、ブリーザ通路2030、および接続孔22を通して、ブリーザニップル40から排出される。一方、内圧が低くなると、接続孔22、ブリーザ通路2030、および連通孔16を通して、外気が内部に取入れられる。その結果、変速機ケース11内の内圧が略一定に保たれるため、変速機ケース11内の内圧上昇によるシール部からのオイル漏れや、内圧低下に起因するシール部からの浸水等が防止される。
【0034】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、変速機ケース11の外表面に形成された溝部20と、該溝部20を覆う防遮音カバー30の内表面とによって、連通孔16からブリーザニップル40(ブリーザ出口)にかけてブリーザ通路2030が画成される。そのため、ブリーザホースを廃止又は短縮することができる。その結果、ブリーザ装置の部品点数の削減、組み付け工数の低減、およびコストダウンを図ることが可能となる。
【0035】
本実施形態によれば、防遮音カバー30(防水/遮音層30a)が防水性を有しているため、例えばブリーザガスに含まれることがあるオイルミストなどを吸収することなく排出することが可能となる。
【0036】
本実施形態によれば、防遮音カバー30が防水/遮音層30aおよび吸音層30b,30cを有して形成されているため、防水性に加えて吸音性をも兼ね備えることができる。
【0037】
本実施形態によれば、ブリーザ通路2030が、変速機ケース11に形成された接続孔22を通して、ブリーザニップル40に連通されている。そのため、溝部20と防遮音カバー30とで画成されたブリーザ通路2030と、ブリーザニップル40(ブリーザ出口)とを、気密性を保持しつつ接続することができる。特に、この場合には、ブリーザ出口付近で、溝部20と防遮音カバー30との隙間が広がってしまう場合(密着し難い場合)であっても、気密性を保持しつつ接続することが可能となる。
【0038】
本実施形態によれば、ブリーザニップル40が、連通孔16が形成されている位置よりも高い位置(すなわち被水し難い位置)に設けられている。そのため、例えば、変速機10が被水した場合であっても、ブリーザニップル40からの水の流入を抑えることが可能となる。
【0039】
(第2実施形態)
上述した第1実施形態では、ブリーザ通路2030とブリーザニップル40(ブリーザ出口)とを、変速機ケース11に形成された接続孔22を介して接続したが、ブリーザ通路とブリーザニップル(ブリーザ出口)とを直接接続する構成とすることもできる。
【0040】
そこで、次に、図6図7を併せて用いて、第2実施形態に係る変速機のブリーザ装置2の構成について説明する。図6は、変速機のブリーザ装置2、及び、該ブリーザ装置2が適用された無段変速機10Bの構成を示す側面図である。また、図7は、ブリーザ装置2のブリーザ出口部分の拡大図である。なお、図6,7において上記第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
【0041】
本実施形態は、防遮音カバー30に代えて、防遮音カバー31が用いられている点で上述した第1実施形態と異なっている。また、ブリーザニップル41が、防遮音カバー31に突設されており、ブリーザ通路2131が直接ブリーザニップル41と連通されている点で上述した第1実施形態と異なっている。その他の構成は、上述した第1実施形態と同一または同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0042】
防遮音カバー31は、ブリーザ出口(ブリーザニップル41が配設される領域)まで覆うように形成されている。すなわち、防遮音カバー31は、上述した防遮音カバー30と比較して、より前方まで延長されている。また、防遮音カバー31には、ブリーザニップル41が配設される位置に、該防遮音カバー31を貫通する接続孔32が形成されている。なお、その他の構造(層構造等)は、上述した防遮音カバー30と同一であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0043】
防遮音カバー31の延長に合わせて、変速機ケース11Bの外表面に形成される溝部21も、防遮音カバー31に形成された接続孔32(ブリーザニップル41)まで延長されている。なお、その他の構造は、上述した溝部20と同一であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0044】
ブリーザニップル41は、防遮音カバー31に形成された接続孔32に挿入されるとともに、フランジ部41aが接着剤又は熱による接着などによって防遮音カバー31に接着されることにより、防遮音カバー31の上面に突設される。なお、ブリーザニップル41にブリーザホース42を取り付け、より被水し難い位置に開口を設けるようにしてもよい。
【0045】
上述したように構成されることにより、溝部21と防遮音カバー31とによって、ブリーザガスを通すブリーザ通路2131が画成される。すなわち、ブリーザ室15とブリーザニップル41(ブリーザ出口)とが、連通孔16、ブリーザ通路2131によって連通される。そして、変速機ケース11Bの内圧が高くなると、ブリーザ室15で気液分離されたブリーザガスが、連通孔16およびブリーザ通路2131を通して、ブリーザニップル41(ブリーザ出口)から排出される。一方、内圧が低くなると、ブリーザ通路2131および連通孔16を通して、外気が内部に取入れられる。その結果、変速機ケース11B内の内圧が略一定に保たれるため、変速機ケース11B内の内圧上昇によるシール部からのオイル漏れや、内圧低下に起因したシール部からの浸水等が防止される。
【0046】
本実施形態によれば、溝部21と防遮音カバー31(防水/遮音層31a)とで画成されたブリーザ通路2131と、防遮音カバー31に取り付けられたブリーザニップル41とが連通される。そのため、ブリーザ通路2131とブリーザニップル41とを、気密性を保持しつつ接続することができる。特に、この場合には、ブリーザ通路2131をブリーザニップル41に直接接続することができるため、よりコストダウン等を図ることが可能となる。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明を無段変速機(CVT)に適用した場合を例にして説明したが、無段変速機に代えて、例えば、有段自動変速機(AT)や、手動変速機(MT)などにも適用することができる。
【0048】
また、溝部20が形成される変速機ケース11の表面領域は、防遮音カバー30によって覆われている領域であればどこでもよく、上記実施形態には限られない。
【0049】
上記実施形態では、防遮音カバー30(31)として、防水/遮音層30a(31a)、及び吸音層30b,30c(31b,31c)を有して構成されているものを用いたが、吸音層30b,30cは必ずしも必要ではなく、防水/遮音層30a(31a)のみからなるカバーを用いてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1,2 変速機のブリーザ装置
10,10B 無段変速機
11,11B 変速機ケース
15 ブリーザ室
16 連通孔
20,21 溝部
22 接続孔
30,31 防遮音カバー
30a,31a 防水/遮音層
30b,30c,31b,31cb 吸音層
32 接続孔
40,41 ブリーザニップル(ブリーザ出口)
2030,2131 ブリーザ通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7