(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなホームドアの設置に際しては、通常、ホームドアが設置されるプラットホームが数週間、工事中となる。この工事期間中、毎日、たとえば鉄道の営業時間外に、数個(たとえば、3個)のホームドアが設置される。そして、固定柵が設置された箇所は、ドアが動作しない状態で、鉄道車両に対する乗客の乗降に用いられる。
【0006】
このため、乗客の乗降時において、固定柵と鉄道車両との間に乗客が挾まれる可能性がゼロとはいえない。固定柵と鉄道車両との間に乗客が挟まった場合、乗客が挟まれた状態から抜け出す手間がかかってしまう。このような手間を省くためには、いくつかの固定柵ごとに監視員を配置し、乗客が固定柵と鉄道車両との間に挟まらないように監視することが考えられる。しかしながら、この場合、ホームドアの設置工事期間中に、複数の監視員をプラットホームに配置しなければならず、多くのコスト(人件費)がかかってしまう。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、ホームドアの設置にかかるコストをより低減することのできる、ホームドアユニットの設置方法、ホームドアユニットをプラットホームに設置する際に用いられる端子装置、および、ホームドアシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記目的を達成するための本発明のある局面にかかるホームドアユニットの設置方法は、固定柵、および、この固定柵に対して開閉可能な扉を有するホームドアユニットを複数プラットホームに設置するための、ホームドアユニットの設置方法であって、複数の前記ホームドアユニットのうちの一部を前記プラットホームに設置することで、前記プラットホームに設置された前記ホームドアユニットとしての設置済ホームドアユニットを設ける、ホームドアユニット設置ステップと、前記プラットホームに未だ設置されていない前記ホームドアユニットとしての未設置ホームドアユニットおよび前記設置済ホームドアユニットの双方が前記プラットホームに設置された場合における、各前記ホームドアユニットからホーム制御装置へ与えられる所定の信号に対応する所定の仮信号に基づいて、前記ホーム制御装置が前記設置済みホームドアユニットを監視するための設定を行う、設定ステップと、を含んでいる。
【0009】
この構成によると、未設置ホームドアユニットおよび設置済ホームドアユニットの双方がプラットホームに設置された場合における、各ホームドアユニットからホーム制御装置へ与えられる所定の信号に対応する所定の仮信号に基づいて、ホーム制御装置は、設置済みホームドアユニットを監視する。このような構成であれば、プラットホーム上でのホームドアユニットの設置工事の最中でも、設置済ホームドアユニットの監視を、ホーム制御装置によって行わせることができる。よって、設置済みホームドアユニットの乗降口を通過する乗客の安全を監視するための監視員は、不要となる。これにより、ホームドアユニットの設置にかかるコストをより低減することができる。
【0010】
(2)好ましくは、前記仮信号は、前記設置済ホームドアユニットに設けられたセンサのセンサ検出信号を含む。
【0011】
この構成によると、ホーム制御装置は、設置済ホームドアユニットからのセンサ検出信号を用いて設置済ホームドアユニットを監視できる。
【0012】
(3)より好ましくは、前記センサ検出信号は、前記設置済ホームドアユニットの前記扉の閉状態を示す信号を含む。
【0013】
この構成によると、設置済みホームドアユニットから閉状態を示す信号がホーム制御装置に与えられるときに、未設置ホームドアユニットも閉状態であることを示す信号が、ホーム制御装置に与えられることとなる。その結果、ホーム制御装置は、未設置ホームドアユニットがプラットホームに設置されない状態でも、設置済ホームドアユニットの監視を行うことができる。
【0014】
(4)好ましくは、前記設定ステップは、前記設置済みホームドアユニットに所定の端子装置を接続する、端子接続ステップを含み、前記端子装置は、前記設置済みホームドアユニットと前記ホーム制御装置との間で電気回路を形成するように構成されている。
【0015】
この構成によると、端子装置は、設置済ホームドアユニットからの信号をホーム制御装置へ出力できる。
【0016】
(5)より好ましくは、前記端子装置は、ターミナル装置であり、前記ターミナル装置は、複数の前記設置済みホームドアユニットのうち末端の前記設置済みホームドアユニットに接続され、且つ、末端の前記設置済みホームドアユニットからの前記仮信号を前記ホーム制御装置へ出力するように構成されている。
【0017】
この構成によると、たとえば、複数の設置済ホームドアユニット同士がデイジーチェーン接続されている場合において、端子装置は、全てのホームドアユニットの設置が完了している場合の信号と同様の仮信号を、ホーム制御装置に出力できる。このように、末端の設置済ホームドアユニットに端子装置を設置するという簡易な作業で、設置済ホームドアユニットの信号を用いた監視を実現できる。
【0018】
(6)好ましくは、前記端子装置は、ターミナル装置であり、前記ターミナル装置は、複数の前記設置済みホームドアユニットのうち末端の前記設置済みホームドアユニットに接続され、且つ、前記設置済みホームドアユニットからの信号が出力されることに合わせて前記未設置ホームドアユニットから信号が出力されていることを擬似的に示す疑似信号を出力するように構成されている。
【0019】
この構成によると、端子装置は、疑似信号を出力することにより、全てのホームドアユニットの設置が完了している場合の信号と同様の仮信号を、ホーム制御装置に出力できる。このように、末端の設置済ホームドアユニットに端子装置を設置するという簡易な作業で、設置済ホームドアユニットの信号を用いた監視を実現できる。
【0020】
(7)より好ましくは、前記端子装置は、前記設置済みホームドアユニットの前記扉の閉状態を示すセンサ検出信号が前記仮信号として前記設置済みホームドアユニットから出力されたことに応じて、前記センサ検出信号に対応する疑似センサ検出信号を前記ホーム制御装置へ出力するように構成されている。
【0021】
この構成によると、ホーム制御装置は、未設置ホームドアユニットがプラットホームに設置されたときと同一の信号に基づいて、設置済ホームドアユニットの監視を行うことができる。
【0022】
(8)好ましくは、前記端子装置は、ターミナル装置であり、前記ターミナル装置は、鉄道車両からの扉開指令信号を前記ホーム制御装置が受信したことを示す応答信号を、前記仮信号として前記ホーム制御装置へ出力するように構成されている。
【0023】
この構成によると、鉄道車両からの扉開指令信号に対する応答信号に基づいて、ホーム制御装置が設置済ホームドアユニットを監視できる。
【0024】
(9)上記目的を達成するための本発明のある局面にかかる端子装置は、固定柵、および、この固定柵に対して開閉可能な扉を有するホームドアユニットを複数プラットホームに設置する際に用いられる端子装置であって、複数の前記ホームドアユニットのうちの前記プラットホームに設置された設置済みホームドアユニットの末端に接続される接続部を含み、前記端子装置は、前記プラットホームに未だ設置されていない前記ホームドアユニットとしての未設置ホームドアユニットおよび前記設置済ホームドアユニットの双方が前記プラットホームに設置された場合における、各前記ホームドアユニットからホーム制御装置へ与えられる所定の信号に対応する所定の仮信号を前記ホーム制御装置へ出力可能に構成されている。
【0025】
この構成によると、未設置ホームドアユニットおよび設置済ホームドアユニットの双方がプラットホームに設置された場合における、各ホームドアユニットからホーム制御装置へ与えられる所定の信号に対応する所定の仮信号に基づいて、ホーム制御装置は、設置済みホームドアユニットを監視する。このような構成であれば、プラットホーム上でのホームドアユニットの設置工事の最中でも、設置済ホームドアユニットの監視を、ホーム制御装置によって行わせることができる。よって、設置済みホームドアユニットの乗降口を通過する乗客の安全を監視するための監視員は、不要となる。これにより、ホームドアユニットの設置にかかるコストをより低減することができる。
【0026】
(10)上記目的を達成するための本発明のある局面にかかるホームドアシステムは、前記端子装置を備えるホームドアシステムである。
【0027】
この構成によると、未設置ホームドアユニットおよび設置済ホームドアユニットの双方がプラットホームに設置された場合における、各ホームドアユニットからホーム制御装置へ与えられる所定の信号に対応する所定の仮信号に基づいて、ホーム制御装置は、設置済みホームドアユニットを監視する。このような構成であれば、プラットホーム上でのホームドアユニットの設置工事の最中でも、設置済ホームドアユニットの監視を、ホーム制御装置によって行わせることができる。よって、設置済みホームドアユニットの乗降口を通過する乗客の安全を監視するための監視員は、不要となる。これにより、ホームドアユニットの設置にかかるコストをより低減することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、ホームドアの設置にかかるコストをより低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、ホームドアユニットの設置方法などとして、広く適用することができる。
【0031】
[ホームドアシステムの構成]
図1は、ホームドアシステム1の概略構成を示すブロック図である。
図2は、ホームドアシステム1などの主要部の模式的な平面図である。
図3は、1つのホームドアユニット2の側面図である。
図1〜
図3を参照して、ホームドアシステム1は、複数のホームドアユニット2を有している。これらホームドアユニット2は、鉄道駅のプラットホーム3の上り線および下り線にそれぞれ設けられる。
【0032】
複数のホームドアユニット2は、プラットホーム3の所定の停車位置に鉄道車両100が停止したときにおける、鉄道車両100の各車両ドア101に対応する位置に配置されている。すなわち、ホームドアユニット2は、プラットホーム3の縁部において、鉄道車両100の進行方向X1に沿って並んで配置されている。本実施形態では、各ホームドアユニット2は、両開きのドアであり、一対の扉8が開閉動作するように構成されている。
【0033】
各ホームドアユニット2は、ホームドア装置5と、個別制御装置6とを有している。
【0034】
各ホームドア装置5は、一対の固定柵7と、一対の扉8とを有している。
【0035】
一対の固定柵7は、それぞれ、戸袋であり、プラットホーム3に固定される壁状の部分として設けられる。一対の固定柵7は、進行方向X1に間隔(乗降口12)をあけて配置されている。各固定柵7は、ベースプレート9を介して、プラットホーム3の床に固定されている。より具体的には、プラットホーム3の床には、固定ボルト10用の孔部11が形成されている。固定ボルト10は、進行方向X1に離隔した複数の箇所で、固定柵7の下部、および、ベースプレート9を貫通し、孔部11に固定されている。本実施形態では、各固定柵7は、戸袋であり、対応する扉8を収納するための内部空間を有している。
【0036】
一対の扉8は、一対の固定柵7間の乗降口12を開閉するために設けられている。各扉8は、対応する固定柵7によって、進行方向X1に変位可能に支持されており、対応する固定柵7に収容された状態と、対応する固定柵7から突出した状態とに変位可能である。一対の扉8の戸先同士が接触することで、乗降口12が閉じられる。一方、一対の扉8が対応する固定柵7にそれぞれ収納されることで、乗降口12が開かれる。一対の扉8は、一対の扉駆動用モータ13の動作によって、進行方向X1(乗客からみて左右方向)に変位される。
【0037】
各扉駆動用モータ13の出力は、図示しない伝達機構を介して、対応する扉8に伝達される。これにより、扉8は、進行方向X1に変位する。扉8は、ホームドア装置5に接続された個別制御装置6によって開閉制御される。すなわち、個別制御装置6は、ホームドア装置5を監視、および、制御する。
【0038】
各個別制御装置6(個別制御盤)は、たとえば、プラットホーム3に設けられている1つのホーム制御装置14(ホーム制御盤)に接続されている。多重伝送信号線15を介して、ホーム制御装置14と各個別制御装置6とが全体としてループを形成している。また、ホーム制御装置14と各個別制御装置6とは、リレー信号線16を介してループを形成している。ホーム制御装置14と各個別制御装置6とは、多重伝送信号線15を介して相互に通信可能である。
【0039】
より具体的には、多重伝送信号線15は、プラットホーム3の上り線側のホームドア群18と、下り線側のホームドア群19とで、別個の系統として設けられ、それぞれの系統が、ホーム制御装置14に接続されている。同様に、リレー信号線16は、プラットホーム3の上り線側のホームドア群18と、下り線側のホームドア群19とで、別個の系統として設けられ、それぞれの系統が、ホーム制御装置14に接続されている。なお、ホームドア群18の構成とホームドア群19の構成は同様である。よって、本実施形態では、ホームドア群18の構成を主に説明し、ホームドア群19の詳細な説明は省略する。
【0040】
ホームドア群18においては、多重伝送信号線15を用いたデイジーチェーン方式によって、ホーム制御装置14および各個別制御装置6が接続されている。具体的には、多重伝送信号線15は、ホーム制御装置14と、当該ホーム制御装置14に最も近い位置の個別制御装置6とを接続している。また、多重伝送信号線15は、進行方向X1に隣り合う個別制御装置6同士を接続している。
【0041】
同様に、ホームドア群18においては、リレー信号線16を用いたデイジーチェーン方式によって、ホーム制御装置14および各個別制御装置6が接続されている。具体的には、リレー信号線16は、ホーム制御装置14と、当該ホーム制御装置14に最も近い位置の個別制御装置6とを接続している。また、リレー信号線16は、進行方向X1に隣り合う個別制御装置6同士を接続している。
【0042】
以上の構成において、鉄道車両100が、たとえば、上り線側のプラットホーム3の停車位置に到達したとき、鉄道車両100の乗務員は、鉄道車両100のドア操作部(図示せず)を操作することで、ホームドア群18の全てのホームドアユニット2の扉8を開く開指示を与える。これにより、開指示信号は、鉄道車両100から、地上子21、および、車両情報伝送装置22を介してホーム制御装置14に与えられる。これに伴い、ホーム制御装置14は、上り線の各個別制御装置6に開信号を供給する。上り線の各個別制御装置6は、この開信号に応動して、対応する扉8を開く。そして、開確認信号を、ホーム制御装置14に送る。
【0043】
ホーム制御装置14は、上り線側の全ての個別制御装置6から開確認信号を受けると、全開確認信号を、車両情報伝送装置22、および、地上子21を介して鉄道車両100に送る。鉄道車両100の乗務員は、この全開確認信号を受けると、車両ドア101を開く。これにより、乗客は、乗降口12を通って、鉄道車両100を乗降できる。
【0044】
一方、鉄道車両100が上り線のプラットホーム3から出発するとき、鉄道車両100の乗務員は、車両ドア101および各ホームドアユニット2を閉じるために、上記の操作部を操作する。これにより、閉信号は、鉄道車両100から、地上子21、および、車両情報伝送装置22を介してホーム制御装置14に供給される。これに伴い、ホーム制御装置14は、上り線の各個別制御装置6に閉信号を供給する。上り線の各個別制御装置6は、この閉信号に応動して、対応する扉8を閉じ、閉確認信号をホーム制御装置14に送る。
【0045】
ホーム制御装置14は、上り線の全ての個別制御装置6(扉閉位置センサ32)から閉確認信号を受けると、全閉確認信号を、車両情報伝送装置22、および、地上子21を介して鉄道車両100に送る。鉄道車両100の乗務員は、この全閉確認信号を受けると、車両ドア101を閉じる操作を行う。
【0046】
ホーム制御装置14は、駅務室に設けられている駅務室表示装置23、および、駅とは離れた場所に設けられている総合司令室の総合司令室表示装置24にも接続されている。
【0047】
ホームドア装置5は、扉開位置センサ31と、扉閉位置センサ32と、戸先センサ33と、支障物センサ34と、を有している。
【0048】
扉開位置センサ31は、対応する扉8が開位置に位置しているか否かを検出するように構成されている。扉閉位置センサ32は、対応する扉8が閉位置に位置しているか否かを検出するように構成されている。これらセンサ31,32として、たとえば、光電センサを例示することができる。
【0049】
戸先センサ33は、扉8の戸先に設けられた戸挟み検知用安全センサであり、乗降客が扉8に接触しているか否かを検出するように構成されている。戸先センサ33としては、たとえばバンパースイッチを例示することができる。支障物センサ34は、扉8が開閉する際の扉8の通路に障害物が存在しているか否かを検出するために設けられている。支障物センサ34としては、複数の光電センサを例示できる。
【0050】
各センサ31〜34からの信号は、個別制御装置6へ出力される。また、個別制御装置6は、ホーム制御装置14から開信号や閉信号も与えられる。個別制御装置6は、これら開信号や閉信号を受けたとき、前述したように、扉8を開閉する。個別制御装置6は、たとえば、コンピュータであり、CPU、ROM、RAM、および、EEPROMなどを用いて構成されている。
【0051】
ホーム制御装置14は、車両情報伝送装置22と通信を行うと共に、駅務室表示装置23、総合司令室表示装置24、および、各個別制御装置6と多重伝送によって通信を行うように構成されている。このホーム制御装置14は、CPU、RAM、ROMなどを用いて構成されている。
【0052】
駅務室表示装置23は、駅の駅務室に配置されたパーソナルコンピュータなどであり、上り線および下り線のドアの状態及び故障内容を表示する。総合司令室表示装置24は、パーソナルコンピュータなどによって構成され、全ての駅の扉8の状態を表示する。
【0053】
以上が、ホームドアシステム1の概略構成である。次に、ホームドアシステム1の各ホームドアユニット2がプラットホーム3に設置される際の設置作業の一例を説明する。すなわち、以下では、ホームドアシステム1の製造方法(組立方法)を説明する。
【0054】
図4は、ホームドアシステム1の設置方法の一例を説明するためのフローチャートである。なお、以下では、フローチャートを参照して説明する場合、フローチャート以外の図も適宜参照する。
【0055】
ホームドアシステム1が設置される場合、ホームドアユニット2の設置に先立って、
図5に示すように、ホーム制御装置14が、プラットホーム3に設置される。なお、本実施形態では、複数のホームドアユニット2のうちの数個(たとえば、2,3個)が、一日毎に設置される。そして、数日間かけて、ホームドア群18の設置が完了する。なお、ホームドアユニット2は、ホーム制御装置14に近い位置から順に設置される。
【0056】
図4を参照して、ホームドア群18の設置に際しては、まず、工事当日に設置されるホームドアユニット2のために、ホーム床に孔部11(
図3参照)が形成される(ステップS101)。次に、ホーム床に、ベースプレート9が設置される(ステップS102)。次いで、複数のホームドアユニット2のうちの一部のホームドアユニット2が設置される(ステップS103)。
【0057】
具体的には、
図6に示すように、工事当日分の固定柵7が、ベースプレート9上においてホーム床に固定される。また、扉8が固定柵7に取り付けられる。さらに、個別制御装置6がプラットホーム3に設置される。これにより、プラットホーム3に設置されたホームドアユニット2としての設置済ホームドアユニット2aが設けられる。
【0058】
なお、ホームドアユニット2の設置に先立ち、ベースプレート9に、ホームドアユニット2の模擬体を設置してもよい。模擬体は、ホームドアユニット2の外形と同様の外形を有し、内部は空洞状に形成された部材である。この模擬体を用いてホームドアユニット2の設置のためのベースプレート9などの位置合わせが行われる。これにより、プラットホーム3の床に凹凸が生じていても、ベースプレート9の設置作業が、より迅速に完了される。
【0059】
上記のステップにより、
図6に示すように、工事当日分のホームドアユニット2(設置済ホームドアユニット2a)の設置が完了する。
【0060】
次に、ホーム制御装置14と、設置済ホームドアユニット2aとが、配線で接続される(ステップS104)。具体的には、まず、ホーム制御装置14と、当該ホーム制御装置14に最も近いホームドアユニット2の個別制御装置6とが、ラック(図示せず)に保持された多重伝送信号線15およびリレー信号線16によって接続される。また、隣り合うホームドアユニット2の個別制御装置6同士が、多重伝送信号線15およびリレー信号線16によって接続される。このように、隣り合う個別制御装置6同士がデイジーチェーン接続される。
【0061】
次に、
図7に示すように、設置済ホームドアユニット2aの末端に、ジョイントボックス40が取り付けられる(ステップS105)。このステップは、本発明の「設定ステップ」の一例であり、「端子接続ステップ」の一例である。
【0062】
なお、末端の設置済ホームドアユニット2aとは、複数の設置済ホームドアユニット2aのうち、ホーム制御装置14から最も離れた位置に配置されているホームドアユニット2をいう。
【0063】
ジョイントボックス40は、本発明の「端子装置」であり、「ターミナル装置」である。ジョイントボックス40は、電気コネクタ装置である。
【0064】
ジョイントボックス40は、入力端子41と、出力端子42と、ハウジング43とを有している。
【0065】
入力端子41、および、出力端子42は、それぞれ、本発明の「接続部」の一例である。入力端子41は、末端の設置済ホームドアユニット2aの出力端子に接続される。出力端子42は、末端の設置済ホームドアユニット2aの入力端子に接続される。入力端子41と出力端子42とは、短絡されている。ハウジング43は、入力端子41および出力端子42を保持する、絶縁性の部材である。
【0066】
上記の構成により、ジョイントボックス40は、複数の設置済ホームドアユニット2aとホーム制御装置14との間で電気回路を形成する。また、ジョイントボックス40は、末端の設置済ホームドアユニット2aからの信号を、仮信号として、ホーム制御装置14へ出力する。仮信号とは、プラットホーム3に未だ設置されていないホームドアユニット2としての未設置ホームドアユニット2b、および、設置済ホームドアユニット2aの双方がプラットホーム3に設置された場合における、各ホームドアユニット2a,2bからホーム制御装置14へ与えられる信号に対応する信号である。ジョイントボックス40が取り付けられる設定は、仮信号に基づいてホーム制御装置14が設置済ホームドアユニット2aを監視するための設定となる。
【0067】
次に、設置済ホームドアユニット2aの扉8の動作調整が行われる(ステップS106)。
【0068】
以上のステップS101〜S106のステップによって、ホームドアシステム1の設置工事の際において、一日分の設置済ホームドアユニット2aが設置される。また、ホームドアシステム1の完成までの途中段階の構造としての、ホームドアシステム1’が完成する。ホームドアシステム1’は、ホーム制御装置14と、複数の設置済ホームドアユニット2aと、ジョイントボックス40とを有している。
【0069】
上記の構成により、ホーム制御装置14は、仮信号に基づいて、設置済ホームドアユニット2aを監視および開閉制御する。すなわち、ホーム制御装置14は、設置済ホームドアユニット2aから送信される信号であって、ホームドアシステム1の完成後における各ホームドアユニット2a,2bからの信号と同様の仮信号に基づいて、設置済ホームドアユニット2aの監視および開閉制御を行う。
【0070】
この場合の設置済ホームドアユニット2aの動作は、前述した、ホームドアシステム1の動作と同様である。仮信号は、ホームドアユニット2aに設けられた各種センサ31〜34のセンサ検出信号を含んでいる。すなわち、仮信号は、扉閉位置センサ32からの、ドア閉状態を示す信号が含まれる。これにより、全ての設置済ホームドアユニット2aの扉8が閉であることを確認した上で、ホーム制御装置14がドア閉信号を鉄道車両100へ出力できる。
【0071】
なお、翌日の工事の際には、まず、ジョイントボックス40が、末端の設置済ホームドアユニット2aから取り外される。そして、ステップS101〜S106のステップが再び行われる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態によると、ホームドアユニット2の設置工事において、未設置ホームドアユニット2bおよび設置済ホームドアユニット2aの双方がプラットホーム3に設置された場合における、各ホームドアユニット2からホーム制御装置14へ与えられる所定の信号に対応する所定の仮信号に基づいて、ホーム制御装置14は、設置済ホームドアユニット2aを監視する。このような構成であれば、プラットホーム3上でのホームドアユニット2の設置工事の最中でも、設置済ホームドアユニット2aの監視を、ホーム制御装置14によって行わせることができる。よって、設置済ホームドアユニット2aの乗降口12を通過する乗客の安全を監視するための監視員は、不要となる。これにより、ホームドアユニット2の設置にかかるコストをより低減することができる。
【0073】
また、本実施形態によると、仮信号は、ホームドアユニット2aに設けられた扉閉位置センサ32のセンサ検出信号を含む。この構成によると、ホーム制御装置14は、設置済ホームドアユニット2aからのセンサ検出信号を用いて設置済ホームドアユニット2aを監視できる。
【0074】
また、本実施形態によると、センサ検出信号は、設置済ホームドアユニット2aの扉の閉状態を示す信号を含む。この構成によると、設置済ホームドアユニット2aから閉状態を示す信号がホーム制御装置14に与えられるときに、未設置ホームドアユニット2bも閉状態であることを示す信号が、ホーム制御装置14に与えられることとなる。その結果、ホーム制御装置14は、未設置ホームドアユニット2bがプラットホーム3に設置されない状態でも、設置済ホームドアユニット2aの監視を行うことができる。
【0075】
また、本実施形態によると、ジョイントボックス40は、設置済ホームドアユニット2aとホーム制御装置14との間で電気回路を形成するように構成されている。この構成によると、ジョイントボックス40は、設置済ホームドアユニット2aからの信号をホーム制御装置14へ出力できる。
【0076】
より具体的には、ジョイントボックス40は、末端の設置済ホームドアユニット2aからの仮信号を個別制御装置6を介してホーム制御装置14へ出力するように構成されている。この構成によると、複数の設置済ホームドアユニット2a同士がデイジーチェーン接続されている場合において、ジョイントボックス40は、全てのホームドアユニット2の設置が完了している場合の信号と同様の仮信号を、ホーム制御装置14に出力できる。このように、末端の設置済ホームドアユニット2aにジョイントボックス40を設置するという簡易な作業で、設置済ホームドアユニット2aの信号を用いた監視を実現できる。
【0077】
[第2実施形態]
図8は、本発明の第2実施形態に係るホームドアユニット2の設置工事の主要部を説明するための模式的な平面図である。なお、以下では、第1実施形態と異なる構成について主に説明し、第1実施形態と同様の構成には、図に同様の符号を付して説明を省略する。
【0078】
第2実施形態では、ジョイントボックス40に代えて、ジョイントボックス40Aが用いられる。ジョイントボックス40Aは、本発明の「端子装置」の一例であり、「ターミナル装置」の一例である。ジョイントボックス40Aは、ステップS105において、末端の設置済ホームドアユニット2aに接続される。
【0079】
ジョイントボックス40Aは、入力端子41と、出力端子42と、ハウジング43と、疑似信号生成部44と、を有している。
【0080】
疑似信号生成部44は、設置済ホームドアユニット2aから信号が出力されることに合わせて、未設置ホームドアユニット2bから信号が出力されていることを擬似的に示す疑似信号を出力するように構成されている。疑似信号生成部44は、疑似信号として、未設置ホームドアユニット2bの扉8が閉状態であることを示す疑似信号を生成および出力するように構成されている。
【0081】
この疑似信号は、設置済ホームドアユニット2aの扉閉位置センサ32から、扉8の閉状態を示す信号が出力されたことを受けて生成される信号であり、未設置ホームドアユニット2bの扉閉位置センサ32における扉8の閉状態を擬似的に示す仮信号である。すなわち、疑似信号生成部44は、設置済ホームドアユニット2aからのセンサ検出信号に対応する疑似センサ検出信号をホーム制御装置14へ出力する。
【0082】
なお、疑似信号生成部44は、アナログ回路であってもよいし、デジタル回路であってもよい。疑似信号生成部44がアナログ回路である場合、疑似信号生成部44は、一定の電圧を出力する回路であってもよいし、一定の抵抗を有する回路であってもよい。また、疑似信号生成部44がデジタル回路である場合、疑似信号生成部44は、設置済ホームドアユニット2aから扉閉状態を示す信号を与えられた場合に、当該信号と同じ信号(たとえば、ゼロまたは1の信号)を出力するように構成されている。
【0083】
以上説明したように、第2実施形態によると、ジョイントボックス40Aは、疑似信号を出力することにより、全てのホームドアユニット2の設置が完了している場合の信号と同様の仮信号を、ホーム制御装置14に出力できる。このように、末端の設置済ホームドアユニット2aにジョイントボックス40Aを設置するという簡易な作業で、設置済ホームドアユニット2aの信号を用いた監視を実現できる。
【0084】
すなわち、ホーム制御装置14は、未設置ホームドアユニット2bがプラットホームに設置されたときと同一の信号に基づいて、設置済ホームドアユニット2aの監視を行うことができる。
【0085】
なお、疑似信号生成部44は、鉄道車両100からの扉開指令信号をホーム制御装置14が受信したことを示す応答信号を、仮信号としてホーム制御装置14へ出力してもよい。この場合、鉄道車両100からの扉開指令信号に対する応答信号に基づいて、ホーム制御装置14が設置済ホームドアユニット2aを監視できる。
【0086】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について複数説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限られず、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。例えば、次のような変形例を実施することができる。
【0087】
(1)たとえば、各上記実施形態では、扉の閉状態を示す信号が仮信号として出力される形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、仮信号として出力される信号は、他のセンサからの信号に相当する信号であってもよい。
【0088】
(2)また、各上記実施形態では、ジョイントボックスが疑似信号を出力する形態を例に説明した。この通りでなくてもよい。たとえば、ホーム制御装置に、仮制御モードが設定されてもよい。仮制御モードは、未設置ホームドアユニットがプラットホームに設置されていないことをホーム制御装置が認識しているモードである。この場合、ホーム制御装置は、設置済ホームドアユニットについて、扉の開閉を監視、制御する。
【0089】
(3)また、上記実施形態では、ホームドアユニットの設置工事中において、設置済ホームドアユニットの扉の開閉制御が行われる形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、ホーム制御装置は、上記の工事中において、扉を常時開いた状態にしておき、固定柵と鉄道車両との間に人が挟まれているか否かを監視するようにしてもよい。