(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
本発明の一実施の形態に係る連結ふうせんは、内部に空気が充填されて筒状に形成された本体10と、本体10を横断する狭窄部32と、他のふうせんの狭窄部32を挟み込む1つの開放端部22と、を有し、狭窄部32は、本体10を構成するフィルムにおける対向する部分を溶着したシール部34を有すると共に、他のふうせんの開放端部22によって挟み込むことが可能な厚さであることを特徴とする。
【0015】
1.第1の実施の形態
1.1.連結ふうせん
まず、
図1及び
図2を用いて、第1の実施の形態に係る連結ふうせん1の構成について説明する。
図1は連結ふうせん1の正面図であり、
図2は連結ふうせん1の側面図である。
【0016】
図1及び
図2に示すように、連結ふうせん1は、内部に空気が充填されて筒状に形成された本体10と、本体10を横断する狭窄部32と、他のふうせんの狭窄部32を挟み込む1つの開放端部22と、を有する。
【0017】
本体10は、開放端部22及び狭窄部32を除いて、内部に空気が充填されることで横断面が略円筒状に形成されている。本体10は、その両端部24,26が開放端部22で接触した状態で、本体10によって囲まれた貫通孔80を有する環状に形成されている。
【0018】
環状の本体10は、平行に配置された直線状の胴部40、50と、胴部40,50を繋ぐ円弧状の第1円弧部20及び第2円弧部30と、を有する。
【0019】
第1円弧部20には開放端部22が形成され、第2円弧部30には狭窄部32が形成されている。
【0020】
狭窄部32は、本体10を構成するフィルムにおける対向する部分を溶着したシール部34を有し、他のふうせんの開放端部22によって挟み込むことが可能な厚さに形成されている。また、狭窄部32は、狭窄部32を挟んだ両側にある本体10の内部を結ぶ通気孔36を有する。シール部34は、狭窄部32に複数例えば2つの通気孔36を挟んで3箇所設けることができる。通気孔36は、本体10の内部が第1の端部24から第2の端部26まで連通するためのものであり、狭窄部32の厚さにほとんど影響を与えない程度の幅であることが好ましい。
【0021】
開放端部22は、筒状の本体10の両端部である第1の端部24と第2の端部26とが向かい合って接触している。第1の端部24は空気供給弁28を有し、空気供給弁28は本体10内へ空気を供給する際に用いられ、膨らんだ状態では本体10の表面に例えば両面テープで接着されている。空気供給弁28は、逆止弁であり、本体10が膨らんだ状態で本体10の内部の空気が外部へ漏れないようにシールする。また、空気供給弁28は、本体10を膨らませた後は、逆止弁の機能を有する部分だけを残して切除してもよい。
【0022】
開放端部22は、使用者が第1の端部24と第2の端部26を
図1の矢印OP,OPの方向へ移動することで、第1の端部24と第2の端部26とが離れるように開くことができる。そして、使用者が手を離すと、開放端部22は第1の端部24と第2の端部26とが接触するように本体10の内部の空気圧によって自動的に閉じる。
【0023】
本体10は、2枚の薄い合成樹脂製のフィルムを重ね合わせ、内周縁部60と外周縁部70とを溶着することによって本体10の内部を気密にシールする。
【0024】
狭窄部32の構造について、
図3及び
図4を用いてさらに詳細に説明する。
図3は、
図1における連結ふうせん1のA−A断面図であり、
図4は、
図1における連結ふうせん1のB−B断面の一部拡大図である。
【0025】
図3に示すように、本体10は、内部の空気圧によって膨らんで略円形の断面を有し、第2円弧部30の中央にある狭窄部32向けて図の左右両側から徐々に厚さを減じて窄まっている。したがって、狭窄部32は、図の左右両側に形成される2つの谷部の底に形成される。
【0026】
図4に示すように、狭窄部32は、1つ以上(
図4では2つ)の細い通気孔36を挟んで3つのシール部34を有している。通気孔36は、狭窄部32の両側の本体10の内部を連通して空気の移動を許容する。シール部34は、2枚のフィルムを重ね合わせた状態で溶着されて一体化しており、フィルム2枚分の厚さを有している。なお、通気孔36の数は、これに限らず連結ふうせん1のサイズ及び用途などに応じて適宜設定することができる。
【0027】
なお、本実施の形態において、本体10は、円筒状としたが、これに限らず、略楕円状の断面や略多角形の断面を有する筒状等の断面形状を適宜採用することができる。また、狭窄部32は、第2円弧部30の中央に設けたが、これに限らず、開放端部22以外であれば本体10のどこにもうけてもよく、複数の狭窄部32を設けてもよい。さらに、本体10の内部には空気を充填した例について説明したが、これに限らず、ヘリウムガス等の他の気体や水等の液体を充填してもよい。
【0028】
1.2.連結ふうせんの製造方法
次に、連結ふうせん1の製造方法について説明する。
図5は、第1の実施の形態に係る連結ふうせん1の製造工程を説明する側面図(a)及び膨らます前の連結ふうせん1の正
面図(b)である。
【0029】
図5の(a)に示すように、合成樹脂製のフィルム3の上に合成樹脂製のフィルム2を重ね合わせ、
図5の(b)に示すように、フィルム2,3を内周縁部60及び外周縁部70に沿って切断すると共に内周縁部60及び外周縁部70を溶着し、さらに、所定領域例えば狭窄部32のシール部34等を溶着する。連結ふうせん1の製造方法は、これに限らず、他の方法を採用してもよい。
【0030】
フィルム2,3の材質としては、公知の合成樹脂製のふうせんに用いられている材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、塩化ビニル等を適宜採用することができる。また、フィルム2,3は、アルミニウムなどの金属を蒸着したものやガスバリア性に優れたエチレンビニルアルコール共重合体などの樹脂を使用したものが好ましい。
【0031】
溶着の方法としては、公知の方法を用いることができ、高周波溶着、熱溶着、超音波溶着、熱溶断等を採用することができる。溶着された部分は、2枚のフィルムが一体化し、気密性を確保することができる。
【0032】
このようにして、
図5の(b)に示すように、2枚のフィルム2,3が溶着によって貼り合わされて略C字状の連結ふうせん1が得られる。
【0033】
空気を充填する前の連結ふうせん1は、開放端部22が開放した状態、すなわち、第1の端部24と第2の端部26とが離間した状態である。このように第1の端部24と第2の端部26とが離間するような形状とすることで、本体10内に空気を充填したときに、第1の端部24と第2の端部26とが密着するように本体10が変形する。この離間距離をどの程度にするかは連結ふうせん1の大きさなどによって適宜設定することができる。
【0034】
第1の端部24は空気供給弁28を一体に有している。本体10を膨らませた後、空気供給弁28は、逆止弁としての機能を有する図の網掛けの部分だけを残して本体10から除去してもよい。
【0035】
狭窄部32は、例えば1〜10mm程度の幅を有し、本体10を横断して内周縁部60から外周縁部70まで延びている。狭窄部32の幅は、本体10の太さすなわち開放端部22の太さに応じて適宜設定することができる。開放端部22が狭窄部32を挟み込むためである。
【0036】
図5の(b)において、溶着されたシール部34は、網掛けで示している。通気孔36は、溶着しないことによって形成される。すなわち、網掛けで示したシール部34だけを溶着すれば通気孔36が形成される。
【0037】
1.3.連結ふうせんの連結方法
次に、
図6を用いて、複数の連結ふうせん1を連結する方法について説明する。
図6は、連結ふうせん1を複数連結した一態様を示す斜視図であり、
図7は、
図6における連結ふうせん1のC−C断面図である。
【0038】
図6に示すように、連結ふうせん1aの狭窄部32aを上下から連結ふうせん1bの開放端部22bが挟み込み、連結ふうせん1bの狭窄部32bを左右から連結ふうせん1cの開放端部22cが挟み込み、連結ふうせん1cの狭窄部32cを上下から連結ふうせん1dの開放端部22dが挟み込み、連結ふうせん1dの狭窄部32dを左右から連結ふうせん1eの開放端部22eが挟み込んでいる。連結ふうせん1a〜1eのそれぞれの構成
は、
図1〜
図4において説明した連結ふうせん1と同じであるが、説明の便宜のため、各部の符号として連結ふうせん1a〜1eに合わせてa〜eを付している。
【0039】
開放端部22b〜22eが狭窄部32a〜32dを挟む力は弱いので、それぞれの連結部分で他の結合手段を用いて連結を補助することが好ましい。このような結合手段としては、両面テープや本体10に設けた紐を用いることができる。両面テープは、連結部分において本体同士が接触する面に貼り付けて両者を固定することができる。
【0040】
図7に示すように、連結ふうせん1aと連結ふうせん1bとは、連結ふうせん1aの狭窄部32aの括れた部分に、連結ふうせん1bの第1の端部24bと第2の端部26bが入り込み、狭窄部32aを上下から挟み込んで連結している。本体10a,10bは、内部の空気圧によって膨らんでいるだけであるので、狭窄部32a及び開放端部22a付近で互いに変形しながら密着している。
【0041】
このように、狭窄部32a〜32dに開放端部22b〜22dが入り込んで連結することによって、各連結ふうせん1a〜1eの環状の外観に影響を与えないで連結することができる。
【0042】
従来は、環状のふうせんを連結する場合には、チェーン状に連結するものしかなかったが、本実施の形態によれば、このような従来にはない連結形態を達成することができ、ふうせんによる斬新な装飾的効果を得ることができる。
【0043】
また、
図8を用いて、他の連結方法について説明する。
図8は、連結ふうせん1を複数連結した他の態様を示す正面図である。
【0044】
図8に示すように、8個4組の連結ふうせん1a〜1hが連結されている。1組の連結ふうせん1a,1bについて説明すると、狭窄部32aは開放端部22bに挟み込まれ、狭窄部32bは開放端部22aに挟み込まれるように連結される。
【0045】
そして、1組の連結ふうせん1a,1bの一方の端部に、別の1組の連結ふうせん1c、1dが紐などの結合手段を用いて連結し、同様にして、さらに2組の連結ふうせん1e〜1hが連結される。
【0046】
このように、本実施の形態によれば、従来にはないユニークな連結形態を達成することができ、ふうせんによる斬新な装飾的効果を得ることができる。
【0047】
2.第2の実施の形態
図9を用いて、第2の実施の形態に係る連結ふうせん100について説明する。
図9は、第2の実施の形態に係る連結ふうせん100の正面図である。
【0048】
連結ふうせん100は、上記1.1で説明した連結ふうせん1とは狭窄部32,320,322が3箇所に設けられている点で異なる。連結ふうせん100の狭窄部32,320,322は、連結ふうせん1の第2円弧部30に設けられた狭窄部32に加えて、胴部40,50の途中に2箇所設けられる。その他の点については、第1の実施の形態に係る連結ふうせん1と同様であるので、同じ符号を用いて示し、説明は省略する。
【0049】
狭窄部32,320,322の基本的な形状は3箇所とも同じである。
【0050】
このような連結ふうせん100を用いることにより、様々な連結形態を達成することができる。例えば、
図6で示した連結形態において、連結ふうせん1eの代わりに連結ふう
せん100を用いれば、さらに連結ふうせん100の胴部40,50の狭窄部320,322に他の連結ふうせん1を連結することができ、連結ふうせん1a〜1dの連結方向に直交する方向にふうせんの連結を延ばすことができる。また、
図6で示した連結ふうせん1a〜1eを全て連結ふうせん100に置き換えれば、いずれのふうせんの位置からでもこの連結方向に直交する方向にふうせんの連結を延ばすことができる。
【0051】
このように、連結ふうせん100を用いることによって、従来のチェーンの連結方法だけでは得ることができない様々な連結形態を達成することにより、ふうせんを用いた斬新で自由度の高い装飾を得ることができる。
【0052】
なお、本実施の形態においては、狭窄部32を胴部40,50の延びる方向に垂直な方向に形成したが、これに限らず、
図9に破線で示すように斜めに設けてもよい。そのようにすることで、さらに連結形態の自由度を向上させることができる。
【0053】
3.第3の実施の形態
図10を用いて、第3の実施の形態に係る連結ふうせん110について説明する。
図10は、第3の実施の形態に係る連結ふうせん110の正面図である。
【0054】
連結ふうせん110は、基本的な構成は第1の実施の形態に係る連結ふうせん1と同じであるが、正面から見た本体10の外観が略三角形状である。本体10の三角形状の一つの頂点96に狭窄部32を設け、頂点96に対向する第1の辺90の中央に開放端部22が設けられている。開放端部22は、使用者が矢印OPの方向に第1の端部24と第2の端部26とを移動することで、開放することができる。
【0055】
連結ふうせん110は、他の連結ふうせん110と連結することによって、三角形のふうせんが複数つながった状態の連結形態を達成することができ、従来にはない優れた装飾効果を得ることができる。
【0056】
なお、本体10を他の多角形に形成してもよく、狭窄部32を形成する位置は頂部に限らず、第2の辺92や第3の辺94に設けてもよく、開放端部22も頂部に設けてもよい。
【0057】
4.第4の実施の形態
図11を用いて、第4の実施の形態に係る連結ふうせん111について説明する。
図11は、第4の実施の形態に係る連結ふうせん111の膨らます前の正面図である。
【0058】
連結ふうせん111は、基本的な構成は第1の実施の形態に係る連結ふうせん1と同じであるので、同じ構成については同じ符号を用いて説明し、重複する説明は省略する。連結ふうせん111は、本体10の外周縁部70及び内周縁部60の少なくとも一方から突出し、内部に空気が充填されない紐29a〜29fを2つ以上有することができる。
【0059】
図11に示す例では、外周縁部70から突出する3本の紐29a,29b,29fと、内周縁部60から突出する3本の29c,29d,29eと、を有する。特に、第1の端部24に設けられた紐29b,29cと第2の端部26に設けられた紐29a,29bとは、対向する位置にあり、本体10を膨らませて他の連結ふうせん111と組み合わせた状態で接しあるいは近接する。そのため、紐29aと紐29b又は紐29cと紐29dを結ぶ作業を容易にすることができる。このように結びつけることによって、開放端部22の位置決め、すなわち本体10を膨らませたときに捻じれて第1の端部24と第2の端部26とがずれることを防止できる。特に、連結ふうせん111が比較的大型の場合には開放端部22における紐29a,29b等を結びつけることは環状の形態を維持するために
有利である。
【0060】
紐29a〜29fを有する連結ふうせん111は、例えば、他の連結ふうせん111の紐29a〜29fと結びつけることによって連結ふうせん同士を確実に連結し固定することができる。
【0061】
紐29a〜29fは、本体10と一体であり、紐29a〜29fと外周縁部70又は内周縁部60との連結部分は例えば熱溶着によってシールされたシール部34a〜34fを有する。したがって、本体10の内部空間と紐29a〜29fの内部空間は、シール部34a〜34fによって遮断されており、本体10側にエアを充填しても紐29a〜29fの中には流れ込まず、膨らまない。なお、紐29a〜29fは、紐同士を連結できれば内部に空気が充填される紐であってもよいが、
図11に示す空気が充填されない紐29a〜29fの方が作業性の点で有利であり、好ましい。
【0062】
紐29a〜29fの長さおよび幅は、他の紐と結びつける作業に適当な寸法に設定することができる。紐29a〜29fの厚さは、本体10と共にフィルムから切り出される場合には、本体10と同じ厚さを有している。すなわち、本体10のフィルムを切り出す際に予め
図11に示すように紐29a〜29fを有するように熱溶断によって本体10と一体に切り出すことができる。
【0063】
次に、紐29a〜29fの使用方法について説明する。
【0064】
例えば、
図6に示すような連結構造を構成させる場合には、一方の連結ふうせん111(1b)の紐29c及び/又は紐29dと他方の連結ふうせん111(1a)の紐29fとを結びつけることで隣接する連結ふうせん111同士を確実かつ強固に連結することができる。また、一方の連結ふうせん111(1b)の紐29a及び/又は紐29bと他方の連結ふうせん111(1a)の紐29eとをさらに結びつけてもよい。なお、括弧書きで示した符号は、
図6における符号である。
【0065】
また、例えば、
図8に示すような連結構造を構成させる場合には、組み合わされる連結ふうせん111,111(1a,1b)の紐29a及び/又は紐29bと紐29fとを互いに結びつけて1つの組体を作成し、さらに、隣接する連結ふうせん111,111(1c,1d)からなる別の組体に紐29a,29b,29fの少なくとも1つを用いて確実かつ強固に連結することができる。また、一方の連結ふうせん111(1a)の紐29c及び/又は紐29dと他方の連結ふうせん111(1b)の紐29eとをさらに結びつけてもよい。なお、括弧書きで示した符号は、
図8における符号である。
【0066】
さらに、図示しないが、意匠登録第1353029号の参考図に示されるようなチェーン状の連結構造を構成させる場合には、一方の連結ふうせん111の開放端部22を他方の連結ふうせん111の貫通孔80(
図1を参照)内で紐29a,29bを結びつけることで環状体同士が連結したチェーン状の連結構造を完成させることができる。隣接する連結ふうせん111同士は、紐を用いて結び付けなくてもよいが、ある程度の柔軟性を維持したままチェーン状の連結構造を維持したい場合には、向かい合う位置にある紐29c,29d,29eを結び付ければよい。なお、このようなチェーン状の連結構造の実施形態の場合には、本発明の狭窄部を有さない連結ふうせんであっても適用可能である。
【0067】
紐29a〜29fを結びつける作業は、本体10にエアを充填させる前あるいは後に、作業状態により適宜行うことができる。また、連結作業に使用しない紐や結び付けて余った紐の先端部分は、はさみなどで切除してもよい。紐29a〜29fの位置や突出する方向は、用途に合わせて適宜設計することができる。
【0068】
また、第4の実施の形態では、
図11に示すように、本体10の第2円弧部30の外周縁部70が狭窄部32でわずかに内側に括れている。このように外周縁部70に狭窄部32で括れを予め形成しておくことにより、本体10にエアを充填した際に、滑らかな円弧状に成るという効果を有する。
【0069】
本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含むものである。