(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、
図1に示すように上下・左右を定義する。
≪第1実施形態≫
<冷蔵庫の構成>
図1は、第1実施形態に係る冷蔵庫100の正面図である。
【0014】
冷蔵庫100は、食品等を低温で保存するものである。冷蔵庫100の内部には、上から順に、冷蔵室R1と、左右に並ぶ製氷室R2・上段冷凍室R3と、下段冷凍室R4と、野菜室R5と、が設けられている。そして、前記した各室(貯蔵室)を区画する形状の断熱箱体10と、この断熱箱体10に設置される各扉(冷蔵室扉11,12等)と、によって、冷蔵庫100の庫内/庫外が隔てられている。
【0015】
冷蔵庫100は、断熱箱体10とともに冷蔵室R1を形成するフレンチ型(いわゆる観音開き型)の冷蔵室扉11,12を備えている。この冷蔵室扉11,12は、上ヒンジFa及び下ヒンジFbを軸として正面側(紙面手前側)に回動するようになっている。
【0016】
図2は、冷蔵庫100の縦断面図である。
【0017】
冷蔵庫100は、断熱箱体10とともに野菜室R5を形成する引出し型の野菜室扉51を備えている。野菜室扉51には、上段容器52及び下段容器53が設置され、野菜室扉51とともに各容器52,53も前後方向に移動するようになっている。その他、冷蔵庫100は、引出し型の製氷室扉21(
図1参照)、上段冷凍室扉31、及び下段冷凍室扉41を備えている。
【0018】
また、冷蔵庫100は、圧縮機61と、凝縮器(図示せず)と、減圧装置(図示せず)と、冷却器62(蒸発器)と、が配管を介して環状に順次接続されてなる冷凍装置を備えている。そして、この冷凍装置において周知のヒートポンプサイクルで冷媒を循環させ、冷却器62で放熱して冷やされた空気を各室に送り込むようになっている。
【0019】
なお、圧縮機61が収容される機械室R61は、野菜室R5の背面側に配置され、冷却器62が収容される冷却器収容室R62(収容室)は、下段冷凍室R4の背面側に配置されている。
【0020】
また、冷却器収容室R62において冷却器62の上方には、各室に冷気を送り込んで循環させる送風機7が設置されている。
【0021】
図2に示すように、冷蔵庫100は、冷却器収容室R62から冷蔵室R1に冷気を供給するための冷蔵室送風ダクトD1と、この冷蔵室送風ダクトD1を介した冷気の供給/遮断を切り替える冷蔵室ダンパP1と、を備えている。冷蔵室送風ダクトD1には複数の吹出孔h1が設けられ、この吹出孔h1を介して冷蔵室R1に冷気が送り込まれる。
【0022】
また、冷蔵庫100は、冷却器収容室R62から製氷室R2(
図1参照)、上段冷凍室R3、及び下段冷凍室R4に冷気を供給するための冷凍室送風ダクトD2と、この冷凍室送風ダクトD2を介した冷気の供給/遮断を切り替える冷凍室ダンパP2と、を備えている。冷凍室送風ダクトD2には、製氷室R2(
図1参照)、上段冷凍室R3、及び下段冷凍室R4に臨む吹出孔h2が設けられ、この吹出孔h2を介して各室に冷気が送り込まれる。
【0023】
また、冷蔵庫100は、冷却器収容室R62から野菜室R5に冷気を供給するための冷気供給流路h5と、この冷気供給流路h5を介した冷気の供給/遮断を切り替える野菜室ダンパP5(開閉装置)と、を備えている。冷気供給流路h5は、
図2ではその一部を示しており、実際は送風機7の下流(
図2では送風機7の上側であって、冷蔵室ダンパP1と並列位置、下流位置又は上流位置のいずれか)に連結している。より詳しくは、送風機7によって昇圧された冷気が、冷却器収容室R62から送風機7下流に流れて、その後に冷気供給流路h5及び野菜室ダンパP5を介して野菜室R5に至る。
【0024】
なお、野菜室R5に冷気を供給する冷気供給流路h5は、この構成に限らず、冷蔵室R1に供給された後の冷気が冷気供給流路h5に導かれて、野菜室R5に供給される構成であってもよい。
【0025】
冷気供給流路h5の一部は、野菜室R5と冷却器収容室R62とを隔てる断熱仕切部10bに形成され、その下流端付近に野菜室ダンパP5が設置されている。
【0026】
野菜室ダンパP5は、後記する制御装置8からの指令に従って開閉し、開状態において野菜室R5と冷却器収容室R62を連通させ、閉状態において野菜室R5と冷却器収容室R62とを遮断するようになっている。
【0027】
なお、野菜室R5に供給された冷気を冷却器収容室R62に戻すための冷気戻り流路h6は、下段冷凍室R4と野菜室R5とを隔てる断熱仕切部10bに形成されている。
【0028】
冷蔵庫100は、冷蔵室R1の温度を検出する冷蔵室温度センサS1と、下段冷凍室R4等の温度を検出する冷凍室温度センサS4と、野菜室R5の野菜室温度センサS5(貯蔵室温度検出手段)と、を備えている。また、冷蔵庫100は、外気の温度を検出する外気温度センサ(外気温度検出手段:図示せず)を備えている。各センサは、その検出値を、後記する制御装置8に所定時間ごとに出力するようになっている。
【0029】
さらに冷蔵庫100は、各機器を制御する制御装置8を備えている。制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェースなどの電子回路を含んで構成され、設定されたプログラムに従って各種処理を実行する。
【0030】
制御装置8は、例えば、冷蔵庫100の上部に設置され、前記した各センサの検出値に応じて、圧縮機61、送風機7、各ダンパP1,P2,P5等を制御する。なお、制御装置8が実行する処理については後記する。
<野菜室の冷却について>
図3は、下段容器53と、野菜室R5を構成する内箱10aと、を分離した状態の斜視図である。なお、下段容器53に固定される野菜室扉51(
図2参照)や、下段容器53の上側に重ねられる上段容器52(
図2参照)については、
図3では図示を省略した。
【0031】
図3に示すように、内箱10aの側壁には、前後方向に延びる引出しレールK1,K2が形成されている。そして、下段容器53の側壁に設置されたローラ(図示せず)が引出しレールK1を転がることで、野菜室扉51(
図2参照)とともに下段容器53が前後方向で移動可能になっている。また、上段容器52(
図2参照)の側壁に設置されたローラ(図示せず)が引出しレールK2を転がることで、下段容器53が引き出された状態で上段容器52を前方に押してスライドできるようになっている。
【0032】
図3に示すように、野菜室R5と冷却器収容室R62(
図2参照)とを連通/遮断する野菜室ダンパP5は、内箱10aの右壁の奥側上端付近に設置されている。野菜室ダンパP5が開かれると、冷却器62(
図2参照)で冷やされた空気が冷気供給流路h5(
図2参照)を介して下降し、野菜室R5に流入する(
図3の矢印を参照)。
【0033】
ちなみに、野菜室R5とは、内箱10a、野菜室扉51(
図2参照)、及び断熱仕切部10b(
図2参照)で囲まれる空間であり、上段容器52及び下段容器53の内部に限定されない。
【0034】
また、
図3に示すように、内箱10aの後壁の左下付近に野菜室温度センサS5が設置されている。
【0035】
ところで、乾いた冷気が野菜等に直接的に吹き付けられると、野菜等の蒸散が促進され乾燥が進み、鮮度が落ちてしまう。したがって、野菜室ダンパP5は、下段容器53を介して野菜等を間接的に冷却するように配置されている。つまり、野菜室ダンパP5を介して下降する冷気が、内箱10aと下段容器53との隙間を介して下段容器53を包み込むように吹き抜けることで(
図2の矢印を参照)、各容器52,53内の野菜等を間接的に冷却するようになっている。
【0036】
また、野菜室ダンパP5の真下の領域Xは、野菜室ダンパP5から低温の冷気が吹き下ろされ、他の領域と比較して低温になっている。したがって、各容器52,53内においても、領域X付近は局所的に低温になりやすく、結露しやすい。したがって、本実施形態では、野菜室ダンパP5の開閉によって、野菜室R5での局所的な温度低下を抑制するようにした。
<野菜室ダンパについて>
図4(a)は、
図2に示す野菜室ダンパP5付近の部分拡大図であり、野菜室ダンパP5が開いた状態を示している。なお、
図4(a)、(b)では、野菜室ダンパP5を模式的に図示したが、野菜室ダンパP5は、例えば、断熱仕切部10bに形成された冷気供給流路h5に少なくとも一部を嵌め込んだ状態で固定されている。
【0037】
また、
図4では、冷却器収容室R62から直接野菜室ダンパP5を介して野菜室R5へ流入するように示しているが、これは模式的に示したためである。実際の冷気供給流路h5は、冷却器2の上方に位置する送風機7下流側(
図2で送風機7の上方)に連結している。
【0038】
野菜室ダンパP5は、フラッパP51と、軸部材P52と、電動機(図示せず)と、ダンパケース(図示せず)と、を備えている。フラッパP51は、軸部材P52の回転によって回動する板状部材であり、回動することで冷却器収容室R62と野菜室R5とを連通/遮断するように配置されている。軸部材P52は、フラッパP51の回動軸となる端部に固定され、電動機の駆動軸と一体で回転する。
【0039】
電動機(図示せず)は、例えば、ステッピングモータであり、制御装置8(
図2参照)からの指令に従って回転する。ダンパケース(図示せず)は、電動機等を収容するものであり、冷気供給流路h5の下流端付近に設置されている。
【0040】
制御装置8から開指令が入力されると、電動機(図示せず)が開方向に回転し、これに伴ってフラッパP51が回動することで野菜室ダンパP5が開かれる(
図4(a)参照)。その結果、冷却器62で冷やされた空気が冷気供給流路h5を介して野菜室R5に供給される。
【0041】
また、制御装置8から閉指令が入力されると、電動機が閉方向に回転し、これに伴ってフラッパP51が回動することで野菜室ダンパP5が閉じられる(
図4(b)参照)。その結果、野菜室R5への冷気の供給が停止される。
<制御装置の処理>
図2に示す制御装置8は、各センサの検出値に基づいて圧縮機61等を駆動し、冷却器62で冷やされた空気を各室に送り込む。例えば、制御装置8は、圧縮機61の駆動/停止を所定周期で行い、圧縮機61の駆動期間の前半で冷蔵室R1及び野菜室R5を冷やし、後半で製氷室R2、上段冷凍室R3、及び下段冷凍室R4を冷やす。
【0042】
なお、圧縮機61を駆動/停止する期間は、外気温度や冷却器62における除霜の要否(除霜時には圧縮機61を停止)に基づいて設定される。
【0043】
図5は、制御装置8が実行する処理のフローチャートである。なお、
図5に示す「START」時において、野菜室ダンパP5は閉じているものとする。また、送風機7(
図2参照)は継続的に駆動しているものとする。
【0044】
ステップS101において制御装置8は、冷気供給条件が成立しているか否かを判定する。ここで「冷気供給条件」とは、野菜室R5への冷気の供給によって野菜室R5を所定の温度範囲(例えば、3〜5℃)で保つための条件であり、予め設定されている。
【0045】
ちなみに、「野菜室R5への冷気の供給」は、野菜室R5に継続的に冷気を供給する場合に限定されず、野菜室ダンパP5の開閉を繰り返すことで野菜室R5に断続的に冷気を供給する場合も含まれる。
【0046】
なお、ステップS101の「冷気供給条件」として、例えば、現在時刻が圧縮機61の駆動期間に含まれ、かつ、野菜室温度センサS5の検出値が所定閾値T
Openよりも高いという条件を用いることができる。
【0047】
また、「冷気供給条件」として、圧縮機61の駆動/停止に関わらず、野菜室温度センサS5の検出値が所定閾値T
Openよりも高いという条件を用いてもよい。
【0048】
また、「冷気供給条件」として、野菜室温度センサS5の検出値が所定閾値T
Openよりも高く、かつ、野菜室湿度センサ(図示せず)の湿度が所定閾値H
Openよりも高いという条件を用いてもよい。
【0049】
なお、「冷気供給条件」は、前記した3つの例に限定されず、冷蔵庫100の仕様や用途に基づいて適宜設定される。要するに、野菜室R5に冷気を供給すべきか否かの判定基準となる条件が「冷気供給条件」である。
【0050】
ステップS101で冷気供給条件が成立している場合(S101→Yes)、制御装置8の処理はステップS102に進む。一方、冷気供給条件が成立していない場合(S101→No)、制御装置8はステップS101の処理を繰り返す。
【0051】
ステップS102において制御装置8は、野菜室ダンパP5の開閉繰返し制御を実行する。ここで「開閉繰返し制御」とは、冷気供給条件が成立している時間帯のうち少なくとも一部で野菜室ダンパP5の開閉を繰り返す制御である。
【0052】
図6は、制御装置8が実行する開閉繰返し制御のフローチャートである。
【0053】
ステップS1021において制御装置8は、タイマ(図示せず)によって、開閉繰返し制御の実行時間の計測を開始する。つまり、制御装置8は、所定の制限時間Δt
Limからのカウントダウンを開始する。
【0054】
ステップS1022において制御装置8は、野菜室ダンパP5を開く。野菜室ダンパP5が開かれることで、内箱10aと下段容器53との隙間に冷気が送り込まれる(
図3、
図4(a)参照)。その結果、野菜室温度センサS5の検出値が徐々に低下し、また、下段容器53を介して野菜等が間接的に冷やされる。
【0055】
ステップS1023において制御装置8は、野菜室ダンパP5を開いてから所定時間Δt
Aが経過したか否かを判定する。この所定時間Δt
A(例えば、2分間)は、野菜室ダンパP5を開状態で維持する時間であり、予め設定されている。
【0056】
野菜室ダンパP5を開いてから所定時間Δt
Aが経過した場合(S1023→Yes)、制御装置8の処理はステップS1024に進む。一方、野菜室ダンパP5を開いてから所定時間Δt
Aが経過していない場合(S1023→No)、制御装置8の処理はステップS1022に戻る。
【0057】
ステップS1024において制御装置8は、野菜室ダンパP5を閉じる。野菜室ダンパP5が閉じられることで野菜室R5への冷気の供給が一時的に停止され(
図4(b)参照)、野菜室温度センサS5の検出値が徐々に上昇する。この温度上昇は、外部からの侵入熱の他、野菜室R5において野菜室ダンパP5から比較的遠い領域からの熱伝導や、空気の対流によるものである。その結果、野菜室R5の温度分布が均一化される。
【0058】
このように本実施形態では、野菜室R5の温度が、冷却器収容室R62からの冷気の供給を停止する温度(所定閾値T
Close)に達する前であっても、野菜室ダンパP5の開閉を繰り返すようにした。つまり、従来ならば、野菜室ダンパP5を開けて野菜室R5に冷気を供給し続ける時間帯で、敢えて一時的に野菜室ダンパP5を閉じることによって野菜室R5の温度分布を均一化するようにした。
【0059】
ステップS1025において制御装置8は、野菜室ダンパP5を閉じてから所定時間Δt
Bが経過したか否かを判定する。この所定時間Δt
B(例えば、1分間)は、野菜室ダンパP5を閉状態で維持する時間であり、予め設定されている。
【0060】
野菜室ダンパP5を閉じてから所定時間Δt
Bが経過した場合(S1025→Yes)、制御装置8の処理はステップS1026に進む。一方、野菜室ダンパP5を閉じてから所定時間Δt
Bが経過していない場合(S1025→No)、制御装置8の処理はステップS1024に戻る。
【0061】
ステップS1026において制御装置8は、開閉繰返し制御を開始してから所定の制限時間Δt
Limが経過したか否かを判定する。この制限時間Δt
Lim(例えば、10分間)は、開閉繰返し制御を継続する時間の上限値であり、予め設定されている。
【0062】
このように開閉繰返し制御の制限時間Δt
Limを設け、その後に野菜室ダンパP5を継続的に開くことで(S103:
図5参照)、野菜室温度センサS5の検出値を所定の目標値(例えば、3℃)まで低下させることができる。したがって、各容器52,53に収納された野菜等を適温で冷やすことができる。
【0063】
図7は、冷気供給条件(
図7(a)参照)、開閉繰返し制御の継続時間を計測するタイマの値(
図7(b)参照)、野菜室ダンパP5の開閉状態(
図7(c)参照)、及び野菜室温度センサS5の検出値(
図7(d)参照)の変化を示すタイムチャートである。
【0064】
図7(a)の時刻t1において冷気供給条件が成立した場合(S101→Yes)、タイマによって制限時間Δt
Limからのカウントダウンが開始され(
図7(b)参照)、また、野菜室ダンパP5の開閉繰返し制御が実行される(
図7(c)参照)。
【0065】
開閉繰返し制御の実行中(時刻t1〜t2)、野菜室温度センサS5の検出値は低下・上昇を繰り返し(
図7(d)参照)、また、野菜室R5は所定の温度範囲(例えば、3〜5℃)で維持される。換言すると、野菜室R5を所定の温度範囲で維持しつつ、野菜室R5の温度分布を均一化するように所定時間Δt
A,Δt
Bが設定されている(
図7(c)参照)。
【0066】
ちなみに、各容器52,53内の野菜等が間接的に冷却されるのに対し、野菜室温度センサS5には冷気が直接的に接触する(
図3参照)。したがって、野菜室温度センサS5の検出値は、各容器52,53内の温度よりも低く、また、野菜室ダンパP5の開閉に伴って大きく変動する。つまり、
図7(b)の時刻t1〜t2において各容器52,53内の温度は、野菜室温度センサS5の検出値よりも若干高い値で略一定に保たれている。
【0068】
ステップS102で開閉繰返し制御を実行した後、制御装置8の処理はステップS103に進む。
【0069】
ステップS103において制御装置8は、野菜室ダンパP5を開く。野菜室ダンパP5が継続的に開かれることで野菜室温度センサS5の検出値は徐々に低下し(
図7(d):時刻t2〜t3を参照)、各容器52,53内の野菜等が適温まで冷やされる。
【0070】
ステップS104において制御装置8は、前記した冷気供給条件が成立しているか否かを判定する。例えば、制御装置8は、野菜室温度センサS5の検出値が所定閾値T
Close(<T
Open)まで低下したか否かを判定する。
【0071】
冷気供給条件が成立している場合(S104→Yes)、制御装置8の処理はステップS103に戻る。一方、冷気供給条件が成立していない場合(S104→No)、制御装置8の処理はステップS105に進む。
【0072】
なお、ステップS101で冷気供給条件が成立した後(S101→Yes)、ステップS104で冷気供給条件が不成立となるまで(S104→No)、冷気供給条件は継続的に成立しているものとする(
図7(a)の時刻t1〜t3を参照)。
【0073】
ステップS105において制御装置8は、野菜室ダンパP5を閉じる。野菜室ダンパP5が閉じられることで、野菜室温度センサS5の検出値は徐々に上昇する(
図7(d)の時刻t3〜t4を参照)。
【0074】
ステップS105の処理を行った後、制御装置8の処理は「START」に戻る(RETURN)。つまり、制御装置8は、次回の冷気供給条件が成立するまで(例えば、野菜室温度センサS5の検出値が所定閾値T
Openよりも高くなるまで)、野菜室ダンパP5を継続的に閉じる。
【0075】
ちなみに、開閉繰返し制御の制限時間Δt
Limが比較的大きな値である場合(例えば、20分間)、開閉繰返し制御の途中で冷気供給条件が不成立となることもある。
図5では図示を省略したが、この場合に制御装置8は、開閉繰返し制御を中断し、野菜室ダンパP5を継続的に開くことなく(つまり、S103の処理を行わずに)、野菜室ダンパP5を閉じるものとする(S105)。
<効果>
本実施形態では、冷気供給条件の成立中、制御装置8によって野菜室ダンパP5の開閉繰返し制御を実行した後(S102)、野菜室ダンパP5を継続的に開くようにした(S103)。したがって、開閉繰返し制御の実行中、野菜室ダンパP5が開いている時間帯では各容器52,53内が間接的に冷やされ、野菜室ダンパP5が閉じている時間帯では各容器52,53内の温度分布が均一化される。
【0076】
仮に、冷気供給条件の成立中、野菜室ダンパP5を閉じることなく開状態を継続させると、野菜室ダンパP5付近の領域X(
図3参照)が局所的に冷やされ、各容器52,53内で結露しやすくなる。その結果、結露水の付着によって野菜等が劣化したり、野菜室R5に溜まった結露水を取り除くために庫内を頻繁に清掃する必要が生じたりしてしまう。
【0077】
これに対して本実施形態では、前記したように、野菜室ダンパP5の開閉を繰り返すことで、各容器52,53内の局所的な温度低下を抑制し、各容器52,53内での結露を抑制できる。
【0078】
また、開閉繰返し制御の制限時間Δt
Limを設け、開閉繰返し制御を行った後は野菜室ダンパP5を継続的に開くことで、野菜室R5を適温まで冷やすことができる。
≪第2実施形態≫
第2実施形態では、冷却器62(
図2参照)に付着した霜の冷熱で野菜室R5を冷やす霜冷運転を行う点が第1実施形態とは異なるが、その他(冷蔵庫100の構成:
図1〜
図4参照)については第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態と異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
<制御装置8の動作>
図8は、制御装置8が実行する処理のフローチャートである。なお、
図8に示す「START」時において、圧縮機61(
図2参照)は停止しているものとする。また、送風機7(
図2参照)は継続的に駆動しているものとする。
【0079】
ステップS201において制御装置8は、圧縮機61の駆動開始時刻になったか否かを判定する。前記したように、所定周期で繰り返される圧縮機61の駆動/停止の各時間は、外気温度等に基づいて設定される。
【0080】
圧縮機61の駆動開始時刻になった場合(S201→Yes)、制御装置8の処理はステップS202に進む。一方、圧縮機61の駆動開始時刻になっていない場合(S201→No)、制御装置8はステップS201の処理を繰り返す。
【0081】
ステップS202において制御装置8は、圧縮機61を駆動する。つまり、制御装置8は、圧縮機61の駆動によって冷熱を生成し、冷却器62での蒸発潜熱で野菜室R5を冷却する「通常運転」を行う。
【0082】
ステップS203において制御装置8は、野菜室ダンパP5の開閉繰返し制御を実行する。なお、開閉繰返し制御の内容は、第1実施形態で説明したステップS102(
図5、
図6参照)と同様である。すなわち、制御装置8は、所定の制限時間Δt
Limが経過するまで野菜室ダンパP5の開閉を繰り返す。
【0083】
ステップS204において制御装置8は、野菜室ダンパP5を継続的に開く。
【0084】
ステップS205において制御装置8は、野菜室温度センサS5によって検出される温度T(野菜室R5の温度)が所定閾値T
α以下であるか否かを判定する。この所定閾値T
α(例えば、3℃)は、それまで継続的に開いていた野菜室ダンパP5を閉じるか否かの判定基準となる温度閾値であり、予め設定されている。
【0085】
野菜室温度センサS5によって検出される温度Tが所定閾値T
α以下である場合(S205→Yes)、制御装置8の処理はステップS206に進む。一方、野菜室温度センサS5によって検出される温度Tが所定閾値T
αよりも高い場合(S205→No)、制御装置8の処理はステップS204に戻る。
【0086】
ステップS206において制御装置8は、野菜室ダンパP5を閉じる。
【0087】
なお、通常運転中(圧縮機61の駆動中:S201→Yes)における「冷気供給条件」は、野菜室温度センサS5によって検出されるTが所定閾値T
αよりも高い(S205→No)という条件である(
図8参照)。
【0088】
ステップS207において制御装置8は、圧縮機61の駆動終了時刻になったか否かを判定する。圧縮機61の駆動終了時刻になった場合(S207→Yes)、制御装置8の処理はステップS208に進む。一方、圧縮機61の駆動終了時刻になっていない場合(S207→No)、制御装置8はステップS207の処理を繰り返す。
【0089】
ステップS208において制御装置8は、圧縮機61を停止する。
【0090】
図10は、冷蔵庫100の各機器の状態を示すタイムチャートである。
【0091】
図10に示す例では、時刻t1に圧縮機61の駆動が開始され(
図10(a)参照)、時刻t1〜t2において野菜室ダンパP5の開閉が繰り返されることで(
図10(e)参照)、野菜室温度センサS5の検出値がなだらかに変化している(
図10(f)参照)。
【0092】
さらに、開閉繰返し制御を開始してから制限時間Δt
Limが経過した後(
図10(d)参照)、時刻t2から野菜室ダンパP5が継続的に開かれることで(
図10(e)参照)、時刻t3に野菜室温度センサS5の検出値が所定閾値T
αまで低下している(
図10(f)参照)。これによって冷気供給条件が不成立となり(
図10(c)参照)、野菜室ダンパP5が閉じられる(
図10(e)参照)。
【0093】
図8のステップS208で圧縮機61を停止した後、
図9のステップS209において制御装置8は、継続的に開いていた野菜室ダンパP5を閉じるか否かの判定基準となる温度閾値を、所定閾値T
αから所定閾値T
β(ただし、T
α>T
β)に変更する。
【0094】
この所定閾値T
β(例えば、0℃)は、後記する霜冷運転を中断することなく所定の霜冷時間Δt
Fだけ継続するために、非常に低い値で設定されている。なお、
図10(f)に示す例では、時刻t4に閾値が下げられている。
【0095】
ステップS210において制御装置8は、霜冷用タイマ(
図10(b)参照)によって、霜冷時間の計測(カウントダウン)を開始する。前記した霜冷時間とは、霜冷運転を継続する時間であり、予め設定されている。
【0096】
なお、「霜冷運転」とは、圧縮機61を停止し、冷却器収容室R62の内壁面や冷却器62に付着した霜の冷熱で野菜室R5を冷却する運転である。霜冷運転を行うことで、圧縮機61を駆動することなく野菜室R5を冷却できるとともに、冷却器62等に付着した霜を融解させることができる。
【0097】
図9のステップS211において制御装置8は、野菜室ダンパP5の開閉繰返し制御を実行することで、霜冷運転を開始する。なお、開閉繰返し制御の内容は、第1実施形態で説明したステップS102(
図5、
図6参照)と同様である。
【0098】
ステップS212において制御装置8は、野菜室ダンパP5を継続的に開く。
【0099】
ステップS213において制御装置8は、野菜室温度センサS5によって検出される温度Tが、所定閾値T
β以下であるか否かを判定する。この所定閾値T
β(例えば、0℃)は、ステップS209で設定(変更)された閾値である。
【0100】
野菜室温度センサS5によって検出される温度Tが所定閾値T
β以下である場合(S213→Yes)、制御装置8の処理はステップS215に進む。前記したように所定閾値T
βは非常に低いため、通常、霜冷運転中に温度Tが所定閾値T
β以下になることはない。つまり、次のステップS214で説明する霜冷時間Δt
Fだけ霜冷運転が継続される。
【0101】
また、冷却器62等に付着している霜の冷熱で冷却を行うため、所定閾値T
βが非常に低い値でも、野菜等を凍結させるような冷気が野菜室R5に供給されることはない。
【0102】
ステップS214において制御装置8は、霜冷運転を開始してから所定の霜冷時間Δt
Fが経過したか否かを判定する。この霜冷時間Δt
F(例えば、10分間)は、霜冷運転を継続する時間であり、予め設定されている。
【0103】
なお、霜冷運転中(圧縮機61の停止中:S208)における「冷気供給条件」は、霜冷運転を開始してから所定の霜冷時間Δt
Fが経過していない(S214→No)という条件である(
図9参照)。前記したように、通常、
図9に示すステップS213において温度Tが所定閾値T
β以下になることはないため、「冷気供給条件」は実質的にステップS214の条件のみであると考えてよい。
【0104】
霜冷運転を開始してから霜冷時間Δt
Fが経過した場合(S214→Yes)、制御装置8の処理はステップS215に進む。一方、霜冷運転を開始してから霜冷時間Δt
Fが経過していない場合(S214→No)、制御装置8の処理はステップS212に戻る。
【0105】
ステップS215において制御装置8は、野菜室ダンパP5を閉じて霜冷運転を終了する。
【0106】
ステップS216において制御装置8は、継続的に開いていた野菜室ダンパP5を閉じるか否かの判定基準となる温度閾値を、所定閾値T
βから所定閾値T
αに戻す。
【0107】
ステップS216の処理を行った後、制御装置8の処理は
図8に示す「START」に戻る(RETURN)。このようにして、制御装置8は、前記した通常運転と、霜冷運転と、を交互に繰り返す。
【0108】
図10に示す例では、時刻t4に圧縮機61の駆動が停止され(
図10(a)参照)、時刻t4〜t5において野菜室ダンパP5の開閉が繰り返されることで(
図10(e)参照)、野菜室温度センサS5の検出値がなだらかに変化している(
図10(f)参照)。
【0109】
さらに、開閉繰返し制御を開始してから所定の制限時間Δt
Limが経過した後(
図10(d)参照)、野菜室ダンパP5が継続的に開かれることで(
図10(e)参照)、野菜室R5が冷やされる。そして、霜冷運転の開始から所定の霜冷時間Δt
Fが経過した時刻t6で冷気供給条件が不成立となり(
図10(b)、(c)参照)、野菜室ダンパP5が閉じられる(
図10(e)参照)。
<効果>
本実施形態によれば、冷却器62等に付着した霜の冷熱を利用して霜冷運転を行う分、圧縮機61の停止時間を長くすることができ、冷蔵庫100の消費電力量を低減できる。また、霜冷運転を行うことで冷却器62等に付着した霜を融解させことができ、冷却器62の性能低下を抑制できる。
【0110】
また、通常運転中、及び霜冷運転中のそれぞれにおいて野菜室ダンパP5の開閉繰返し制御を行うことで、野菜室R5の温度分布を均一化し、容器52,53内での結露を防止できる。
≪第3実施形態≫
第3実施形態は、下段容器53がカバー53a(
図11参照)を有し、このカバー53aと対向する位置に水分吸収放出装置9(
図12参照)を設置した点が第1実施形態と異なるが、その他(冷蔵庫100の全体構成、制御装置8の処理内容)については第1実施形態と同様である。したがって、前記したカバー53a及び水分吸収放出装置9について説明し、その他については説明を省略する。
<下段容器の構成>
図11は、冷蔵庫100が備える下段容器53を正面右側から見下ろした斜視図である。
【0111】
下段容器53(収納容器)の背面側の側壁には、カバー53a及び水分吸収放出装置9(
図12参照)を設置するための矩形状の開口(図示せず)が形成されている。この開口は、野菜室ダンパP5(
図3参照)を介して吹き下ろされる冷気が当該開口に向かうように配置されている。これは、野菜室ダンパP5からの乾いた冷気を水分吸収放出装置9に吹き付けることで、下段容器53内の水分を蒸散させるためである。なお、水分吸収放出装置9については後記する。
【0112】
カバー53aは、前記した開口に対応する矩形状を呈しており、この開口を塞ぐように下段容器53の正面側から設置されている。カバー53aには、空気が通り抜ける複数のスリット53h(
図12参照)が設けられている。
<水分吸収放出装置の構成>
図12は、冷蔵庫100が備える下段容器53を背面右側から見下ろした斜視図である。
【0113】
水分吸収放出装置9は、下段容器53内の水蒸気を結露させて液体の水(結露水)とし、さらに当該水を蒸散させて下段容器53の外に放出する装置である。なお、下段容器53には上段容器52が重ねて設置され(
図2参照)、下段容器53内は略密閉されている。
【0114】
図13(a)は、水分吸収放出装置9を開いた状態の斜視図である。
【0115】
水分吸収放出装置9は、金属板91と、第1フレーム92と、第2フレーム93と、水分吸収放出部材94と、枠95と、を備え、前記した開口を下段容器53の外側(背面側)から覆うように設置されている。
【0116】
金属板91(高熱伝導部材)は、下段容器53内の水蒸気を自身の表面に結露させて結露水とするものであり、平板状を呈している。金属板91は、前記した開口に水分吸収放出装置9が取り付けられた状態で、下段容器53の内部に臨んでいる。金属板91は伝熱性が高く冷えやすいため、下段容器53内の水蒸気が金属板91に結露する。このように金属板91に結露させることで、下段容器53の壁面や野菜等の結露を防止しつつ、下段容器53内を適度な湿度に保つことができる。
【0117】
第1フレーム92は、金属板91を固定支持するものであり、四角枠状を呈している。つまり、第1フレーム92は、金属板91の周縁部に設置されている。
【0118】
第2フレーム93は、第1フレーム92とともに水分吸収放出部材94を収容するものであり、平板状を呈している。第2フレーム93には、水分吸収放出部材94から放出される水蒸気を下段容器53の外部に逃がすための通気孔93hが多数設けられている。
【0119】
図13(a)の矢印dで示すように、第1フレーム92と、第2フレーム93と、はヒンジGを回動軸として折畳み可能になっている。第1フレーム92及び第2フレーム93は水分吸収放出部材94(
図13(b)参照)を収容した状態で折り畳まれ、第1フレーム92が正面側(下段容器53の内部)に臨み、第2フレーム93が背面側(下段容器53の外部)に臨むように配置される。
【0120】
水分吸収放出部材94は、金属板91を伝い落ちる結露水を吸収し、さらに蒸散させて水蒸気とし、この水蒸気を外部に放出させるものである。水分吸収放出部材94は、平板状を呈しており、前後方向において金属板91と第2フレーム93との間に配置されている。なお、水分吸収放出部材94として、PE(Poly Ethylene)繊維、PET(Poly Ethylene Terephtalate)繊維等の樹脂繊維を用いることができる。
【0121】
図13(b)は、水分吸収放出部材94の斜視図である。
【0122】
水分吸収放出部材94は、金属板91を伝い落ちる結露水を吸収する吸収部94aと、吸収部94aによって吸収された結露水を蒸散させて放出する放出部94bと、を備えている。
【0123】
放出部94bは、矩形状を呈しており、金属板91及び第2フレーム93と略平行に延在している。吸収部94aは、放出部94bの下端から正面側(下段容器53の内部側)に延びている。
【0124】
吸収部94aは、水分吸収放出装置9を組み立てた状態で、その上面に金属板91の下端が接触(又は近接)するように配置されている(
図14参照)。つまり、吸収部94aは、金属板91を伝って自重で流れ落ちる結露水を受ける(吸収する)ように配置されている。
【0125】
また、吸収部94aは、後記する枠95の水受け部95a(
図14参照)で受けられた結露水を吸収する吸収片部941aを複数備えている。それぞれの吸収片部941aは、吸収部94aの前端から下方に延びており、その下端が水受け部95a(
図14参照)の凹溝に接触(又は近接)している。
【0126】
放出部94bは、前後方向において金属板91と第2フレーム93との間に配置されている。前記したように、第2フレーム93には多数の通気孔93h(
図13(a)参照)が形成されており、この通気孔93hを介して放出部94bは下段容器53の外部に臨んでいる。放出部94bは、吸収部94aで吸収された水分を毛細管現象によって上方に拡散させ、さらに第2フレーム93の通気孔93h(
図13(a)参照)を介して下段容器53の外部に放出する機能を有している。
【0127】
また、放出部94bには、上下方向に沿うスリット94hが複数形成されている。これによって、野菜室ダンパP5を介して下降する冷気が、スリット94hを介して金属板91に吹き当てられるため、金属板91での結露を促進させることができる。ちなみに、金属板91と放出部94bとの間には、前後方向で所定の隙間が設けられているため(
図14参照)、前記した冷気はスリット94hを介して金属板91の全面(背面)に吹き当てられる。
【0128】
図12に示す枠95は、第1フレーム92と第2フレーム93とが折り畳まれてなる組品を下段容器53の開口(図示せず)に固定支持するものであり、四角枠状を呈している。枠95は、吸収部94aで吸収されなかった水分を貯留する水受け部95a(
図14参照)と、吸収部94aを支持する支持部95b(
図14参照)と、を備えている。
【0129】
水受け部95a(
図14参照)は、枠95の下辺に形成され、縦断面視で凹状を呈している。支持部95b(
図14参照)は、前後方向において水受け部95aの底壁から上方に延びている。支持部95bによって、吸収部94aの前後方向の中間付近が支持される。つまり、上下方向において、吸収部94aと水受け部95aとの間には隙間が設けられ、水受け部95aに結露水が貯留されるようになっている。
<作用>
図14は、冷蔵庫100が備える水分吸収放出装置9付近の空気の流れを示す説明図である。
【0130】
前記したように、水分吸収放出装置9が下段容器53に設置された状態において、金属板91は下段容器53の内部に臨んでいる。したがって、実線矢印で示すように、下段容器53内の空気は、カバー53aのスリット53hを介して金属板91の前面(正面)に接触する。また、破線矢印で示すように、野菜室ダンパP5から吹き下ろされる冷気が、第2フレーム93の通気孔93h(
図13(a)参照)及び水分吸収放出部材94のスリット94h(
図13(b)参照)を介して金属板91の背面に接触する。これによって金属板91が冷やされて結露し、金属板91以外の箇所での結露が抑制される。
【0131】
金属板91に結露した水は、
図14に示す水滴Wとして自重で流れ落ち、水分吸収放出部材94の吸収部94aに到達する。吸収部94aに到達した水滴Wは、毛細管現象によって吸収部94aの全域に拡散するとともに、放出部94bにも拡散して上昇する。また、野菜室ダンパP5を介して供給される冷気が、第2フレーム93の通気孔93hを介して放出部94bに吹き当てられる。これによって放出部94bの水分は蒸散し、外部(下段容器53と内箱10aとの隙間:
図3参照)に放出される。
【0132】
ちなみに、仮に吸収部94aで水分を吸収し切れなかった場合でも、この水分は水受け部95aに貯留される。その後、水分吸収放出部材94が乾いたときに、当該水分が吸収片部941aを介して吸収され、さらに放出部94bを介して蒸散する。したがって、結露水が下段容器53内に漏れ落ちることはない。
【0133】
なお、野菜室ダンパP5は第1実施形態と同様の手順で開閉される。すなわち、所定の冷気供給条件が成立した場合(S101→Yes:
図5参照)、開閉繰返し制御が実行された後(S102)、野菜室ダンパP5が継続的に開かれる(S103)。そして、例えば、野菜室温度センサS5の検出値が所定閾値(例えば、3℃)まで低下し、冷気供給条件が不成立となった場合(S104→No)、野菜室ダンパP5が閉じられる(S105)。
<効果>
本実施形態では、金属板91を冷やすことで下段容器53内の水分を結露させ、金属板91を伝い落ちる結露水を水分吸収放出部材94によって吸収し、さらに吸収した水分を放出する構成とした。これによって、下段容器53に収納された野菜等で結露することを抑制しつつ、下段容器53を適度な湿度で保つことができる。したがって、下段容器53内の野菜の鮮度を維持できるとともに、ユーザが下段容器53内の結露水の除去を行う手間を省くことができる。
【0134】
また、野菜室ダンパP5の開閉を繰り返すことで(S102:
図5参照)、野菜室温度センサS5の検出値が所定閾値(例えば、3℃)まで低下するタイミングを遅らせることができる。
【0135】
仮に、冷気供給条件の成立中、野菜室ダンパP5を閉じることなく開状態を継続させた場合、野菜室温度センサS5の検出値が所定閾値まで急激に低下し、野菜室ダンパP5が早期に閉じられてしまう。この場合、乾いた冷気が水分吸収放出部材94に供給される時間が短くなり、水分吸収放出部材94が乾きにくくなる。その結果、水分吸収放出部材94の蒸散が進まず、水受け部95aに結露水が貯留されたままになる。
【0136】
これに対して本実施形態では、前記したように開閉繰返し制御を行うことで(S102:
図5参照)、冷気供給条件が成立している時間を従来よりも長くすることができる。つまり、水分吸収放出部材94に乾いた冷気を供給する時間が従来よりも長くなり、そのぶん水分吸収放出部材94の蒸散を促進させることができる。また、水受け部95aに結露水が貯留されたとしても、野菜室ダンパP5を継続的に開くことで(S103:
図5参照)、開水分吸収放出部材94によって結露水を吸収し、さらに放出することができる。
≪変形例≫
以上、本発明に係る冷蔵庫100について各実施形態により説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0137】
例えば、各実施形態では、冷気供給条件が成立している時間帯の初期に開閉繰返し制御を行う場合について説明したが(
図7(a)、(c)参照)、これに限らない。すなわち、冷気供給条件が成立している時間帯の中盤又は後半で開閉繰返し制御を行ってもよい。
【0138】
また、例えば、開閉繰返し制御の制限時間Δt
Limを長めに設定し、冷気供給条件が成立している時間帯の全てにおいて開閉繰返し制御を実行するようにしてもよい。この場合、開閉繰返し制御の開閉周期(Δt
A+Δt
B)に占める開時間Δt
Aの割合を大きくすることで、冷気の供給量を多くして野菜室R5を適度に冷やすことが好ましい。
【0139】
また、前記実施形態では、開閉繰返し制御における野菜室ダンパP5の開時間Δt
A及び閉時間Δt
B(
図7(c)参照)が固定値である場合について説明したが、これに限らない。
【0140】
例えば、外気温度センサ(外気温度検出手段:図示せず)によって検出される外気温度が高いほど、開閉繰返し制御の開閉周期(Δt
A+Δt
B)に占める開時間Δt
Aの割合を大きくするようにしてもよい。これによって、外気温が高い環境下では野菜室R5への冷気の供給量を増やし、野菜室R5を適温で維持できる。また、外気温が低い環境下では野菜室R5への冷気の供給量を減らし、野菜室R5での温度分布を均一化できる。
【0141】
また、各実施形態では、開閉繰返し制御を行う際の制限時間Δt
Lim(
図7参照)が固定値である場合について説明したが、これに限らない。例えば、外気温度が比較的高い場合や、野菜室扉51が開かれた場合に、制限時間Δt
Limを短くするようにしてもよい。これによって、その後に野菜室ダンパP5を継続的に開く時間を長くして、野菜室R5を適温まで冷却できる。
【0142】
また、第2実施形態では、開閉繰返し制御を行う際の開時間Δt
A及び閉時間Δt
B(S1023、S1025:
図6参照)が、通常運転時と霜冷運転時とでそれぞれ同一である場合について説明したが、これに限らない。例えば、霜冷運転時には、通常運転時と比較して、開閉繰返し制御の開閉周期(Δt
A+Δt
B)に占める開時間Δt
Aの割合を大きくするようにしてもよい。これによって、冷却器62に付着した霜の融解を促進させることができる。
【0143】
また、第2実施形態では、継続して開いていた野菜室ダンパP5を閉じるか否かの判定基準となる温度閾値として、霜冷運転中は非常に低い所定閾値T
βを用いる場合について説明したが、これに限らない。例えば、
図9に示すステップS209,S213,S216の処理を省略し、霜冷運転の開始から所定の霜冷時間Δt
Fが経過した場合(S214→Yes)、それまで継続的に開いていた野菜室ダンパP5を閉じるようにしてもよい(S215)。
【0144】
また、前記各実施形態は、適宜組み合わせることができる。例えば、第2実施形態を第3実施形態に適用し、水分吸収放出装置9(
図12参照)を備える冷蔵庫100において、通常運転及び霜冷運転それぞれで開閉繰返し制御を行うようにしてもよい。
【0145】
なお、前記実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、前記実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0146】
また、前記した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良い。また、機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。