(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248021
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】鞍乗型車両のテールライト装置
(51)【国際特許分類】
B62J 6/04 20060101AFI20171204BHJP
B62J 23/00 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
B62J6/04
B62J23/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-198838(P2014-198838)
(22)【出願日】2014年9月29日
(65)【公開番号】特開2016-68698(P2016-68698A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2016年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093115
【弁理士】
【氏名又は名称】佐渡 昇
(72)【発明者】
【氏名】小宮 功士
(72)【発明者】
【氏名】土屋 洋介
【審査官】
岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−244760(JP,A)
【文献】
特開2008−126708(JP,A)
【文献】
特開2012−094380(JP,A)
【文献】
実開昭52−119378(JP,U)
【文献】
特開2008−238830(JP,A)
【文献】
特表2013−503454(JP,A)
【文献】
実開平03−030303(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 6/04,23/00,99/0
B60Q 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が跨がるシート(3)の後方に配置され、後方に向けて赤色に点灯するテールライト(20)と、
このテールライト(20)の下方に配置されたライセンスプレート(30)と、
前記テールライト(20)の少なくとも下方を覆うボディカバー(40)と、
を備えた鞍乗型車両のテールライト装置であって、
前記テールライト(20)は、後方に向けて点灯する赤色点灯部(21)と、この赤色点灯部(21)の下部に遮光部(22)を介して設けられた白色光源(23w)と透明レンズ(24)とによるライセンスプレート照射部(25)を備え、
このライセンスプレート照射部(25)の少なくとも後部(25r)および側部(25f)を不透明のボディカバー(40)で覆い、
前記遮光部(22)は、赤色点灯部(21)とライセンスプレート照射部(25)との間を仕切るように配置された基板(26)を有し、この基板(26)の上面に赤色点灯部用LED(23r)が実装され、該基板(26)の下面にライセンスプレート照射部用LED(23w)が実装され、
前記基板(26)と、前記ボディカバー(40)におけるライセンスプレート照射部(25)の下面を覆う部位(41)とは、いずれも車両後方に行くにしたがって斜め上方に向かう傾斜状に配置され、ボディカバー(40)の後端(42)は基板(26)の後端(26r)より後方かつ上方まで延びていることを特徴とする鞍乗型車両のテールライト装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ボディカバー(40)は、ライセンスプレート照射部(25)によるライセンスプレート(30)の照射を妨げない範囲で、前記ライセンスプレート照射部(25)の下面および前後左右面を覆ったことを特徴とする鞍乗型車両のテールライト装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記基板(26)と、その後方に延びる赤色点灯部(21)とは、その上面(26s、21s)がほぼ連続した一つの面となっていることを特徴とする鞍乗型車両のテールライト装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項において、
前記ボディカバー(40)には、ライセンスプレート照射部(25)によるライセンスプレート照射用の開口(43)が設けられ、この開口(43)の周囲には、前記透明レンズ(24)に向かって該透明レンズ(24)近くまで延びるフランジ部(44)が設けられていることを特徴とする鞍乗型車両のテールライト装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記フランジ部(44)のうち車両前側(44f)は、側面視で垂直よりも後斜め上方に延びていることを特徴とする鞍乗型車両のテールライト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両のテールライト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に見られるように、運転者が跨がるシートの後方に配置され、後方に向けて赤色に点灯するストップランプ(14)と、このストップランプ(14)の下方に配置されたライセンスプレート(18)と、前記ストップランプ(14)の少なくとも下方を覆うボディカバー(13A)とを備え、ストップランプ(14)内に、上方からライセンスプレート(18)を照らすライセンスライト(33)が配設された鞍乗型車両のテールライト装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−056902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1では、ストップランプ(14)とライセンスライト(33)との間の光の混合に関する記述はなされていない。
レンズ全体が透明で、光源を赤色光/白色光としてテールライト/ライセンスライトを使い分ける場合、この二色の光をしっかり分けられずに一部でも混合してしまうと、商品性が著しく落ちてしまう。光源を白色光のみとし、レンズを赤着色/透明とする場合でも、二色のレンズが隣り合っていると、その境界部では光が混合してしまい、同様の結果となる。
本発明が解決しようとする課題は、テールライト内のスペースを有効利用することができるとともに、テールライトに関する光の混合を防止することができる鞍乗型車両のテールライト装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の鞍乗型車両のテールライト装置は、
運転者が跨がるシートの後方に配置され、後方に向けて赤色に点灯するテールライトと、
このテールライトの下方に配置されたライセンスプレートと、
前記テールライトの少なくとも下方を覆うボディカバーと、
を備えた鞍乗型車両のテールライト装置であって、
前記テールライトは、後方に向けて点灯する赤色点灯部と、この赤色点灯部の下部に遮光部を介して設けられた白色光源と透明レンズとによるライセンスプレート照射部を備え、
このライセンスプレート照射部の少なくとも後部および側部を不透明のボディカバーで覆
い、
前記遮光部は、赤色点灯部とライセンスプレート照射部との間を仕切るように配置された基板を有し、この基板の上面に赤色点灯部用LEDが実装され、該基板の下面にライセンスプレート照射部用LEDが実装され、
前記基板と、前記ボディカバーにおけるライセンスプレート照射部の下面を覆う部位とは、いずれも車両後方に行くにしたがって斜め上方に向かう傾斜状に配置され、ボディカバーの後端は基板の後端より後方かつ上方まで延びていることを特徴とする。
この鞍乗型車両のテールライト装置によれば、テールライト内にライセンスプレート照射部が設けられているので、テールライト内のスペースを有効利用することができる。
そして、テールライトは、後方に向けて点灯する赤色点灯部とライセンスプレート照射部との間に遮光部が介在しているとともに、ライセンスプレート照射部の少なくとも後方および側方が不透明のボディカバーで覆われているので、テールライトの内外いずれにおいても、テールライト用の赤色光とライセンスプレート照射用の白色光とが混合しにくくなる。
以上のように、この鞍乗型車両のテールライト装置によれば、テールライト内のスペースを有効利用してライセンスプレート照射部を設けることができるとともに、テールライト用の赤色光とライセンスプレート照射用の白色光との混合を防止することができる
。
また、前記遮光部は、赤色点灯部とライセンスプレート照射部との間を仕切るように配置された基板を有し、この基板の上面に赤色点灯部用LEDが実装され、該基板の下面にライセンスプレート照射部用LEDが実装されているので、赤色点灯部用の基板とライセンスプレート照射部用の基板とを1枚の基板で構成できるとともに、この基板を遮光部としても活用できるため、テールライト内のスペースを一層有効利用することが可能になる。
また、前記基板と、前記ボディカバーにおけるライセンスプレート照射部の下面を覆う部位とは、いずれも車両後方に行くにしたがって斜め上方に向かう傾斜状に配置され、ボディカバーの後端は基板の後端より後方かつ上方まで延びているので、車両後方から見て基板がボディカバーで覆われた状態となるので、後方への白色光の漏れが、一層生じ難くなる。
この場合、さらに、
前記基板と、その後方に延びる赤色点灯部とは、その上面がほぼ連続した一つの面となっている構成とすることができる。
このように構成すると、基板の後端が後方から見難くなる。
【0006】
この鞍乗型車両のテールライト装置においては、
前記ボディカバーは、ライセンスプレート照射部によるライセンスプレートの照射を妨げない範囲で、前記ライセンスプレート照射部の下面および前後左右面を覆った構成とすることができる。
このように構成すると、ライセンスプレート照射部からの照射がライセンスプレートに向かう方向以外に拡散しにくくなるため、テールライト用の赤色光との混合がより確実に生じ難くなる。
【0009】
この鞍乗型車両のテールライト装置においては、
前記ボディカバーには、ライセンスプレート照射部によるライセンスプレート照射用の開口が設けられ、この開口の周囲には、前記透明レンズに向かって該透明レンズ近くまで延びるフランジ部が設けられている構成とすることができる。
このように構成すると、外部、特に車両後方から開口を通じて透明レンズが見えにくくなる。
この場合、さらに、
前記フランジ部のうち車両前側は、側面視で垂直よりも後斜め上方に延びている構成とすることができる。
このように構成すると、フランジ部で反射される白色光が後方に向かうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る鞍乗型車両のテールライト装置の一実施の形態を適用した鞍乗型車両の一例を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る鞍乗型車両のテールライト装置の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとし、以下の説明において、前後、左右、上下は、操縦者から見た方向に従い、必要に応じて図面に車両の前方をFr、後方をRr、左側をL、右側をR、上方をU、下方をD、として示す。各図において、同一部分ないし相当する部分には、同一の符号を付してある。
【0012】
図1に示す鞍乗型車両1は、車体フレーム2と、運転者が跨がるシート3と、運転者によってハンドル4で操舵される前輪Wfと、エンジン5で駆動される後輪Wrとを備えている。
後輪Wrを覆うリアフェンダ6に、ライセンスプレート30が取り付けられている。
【0013】
テールライト装置10は、運転者が跨がるシート3の後方に配置され、後方に向けて赤色に点灯するテールライト20と、このテールライト20の下方に配置された上記ライセンスプレート30と、テールライト20の少なくとも下方を覆うボディカバー40とを備えている。
【0014】
図2〜
図4(主として
図4)に示すように、テールライト20は、後方に向けて点灯する赤色点灯部21と、この赤色点灯部21の下部に遮光部22を介して設けられた白色光源23wと透明レンズ24とによるライセンスプレート照射部25を備えている。
ライセンスプレート照射部25の少なくとも後部25rおよび側部25sは、不透明のボディカバー40で覆われている。この実施の形態では、ボディカバー40は、ライセンスプレート照射部25の前部25fも覆っているが、少なくとも後部25rおよび側部25sを覆えば良い。
【0015】
この鞍乗型車両のテールライト装置10によれば、テールライト20内にライセンスプレート照射部25が設けられているので、テールライト20内のスペースを有効利用することができる。
【0016】
そして、テールライト20は、後方に向けて点灯する赤色点灯部21とライセンスプレート照射部25との間に遮光部22が介在しているとともに、ライセンスプレート照射部25の少なくとも後方25rおよび側方25sが不透明のボディカバー40で覆われているので(
図3参照)、テールライト20の内外いずれにおいても、テールライト用の赤色光とライセンスプレート照射用の白色光WL(
図2参照)とが混合しにくくなる。
【0017】
以上のように、この鞍乗型車両のテールライト装置10によれば、テールライト20内のスペースを有効利用してライセンスプレート照射部25を設けることができるとともに、テールライト用の赤色光とライセンスプレート照射用の白色光WLとの混合を防止することができる
【0018】
この実施の形態のボディカバー40は、前述したようにライセンスプレート照射部25の前部25fも覆っている。すなわち、ボディカバー40は、ライセンスプレート照射部25によるライセンスプレート30の照射を妨げない範囲で、ライセンスプレート照射部25の下面および前後左右面を覆っている。
このように構成すると、ライセンスプレート照射部25からの照射がライセンスプレート30に向かう方向(
図2にWLで示す範囲)以外に拡散しにくくなるため、テールライト用の赤色光との混合がより確実に生じ難くなる。
【0019】
図4に示すように、遮光部22は、赤色点灯部21とライセンスプレート照射部25との間を仕切るように配置された基板26を有し、この基板26の上面に赤色点灯部用LED23rが実装され、該基板26の下面に前記白色光源としてのライセンスプレート照射部用LED23wが実装されている。
このように構成すると、赤色点灯部21用の基板とライセンスプレート照射部25用の基板とを1枚の基板26で構成できるとともに、この基板26を遮光部22としても活用できるため、テールライト20内のスペースを一層有効利用することが可能になる。
なお、基板26の上面にはストップランプ用のLED23sも実装されている。
この実施の形態では、レンズ24は全て透明でであり、光源23wが白色光、光源23r、23sが赤色光としている。
【0020】
図2〜
図4(主として
図4)に示すように、基板26と、ボディカバー40におけるライセンスプレート照射部25の下面を覆う部位41とは、いずれも車両後方に行くにしたがって斜め上方に向かう傾斜状に配置され、ボディカバー40の後端42は基板26の後端26rより後方かつ上方まで延びている。
このように構成すると、車両後方から見て基板26がボディカバー40で覆われた状態となるので、後方への白色光WLの漏れが、一層生じ難くなる。
基板26と、その後方に延びる赤色点灯部21とは、その上面26s、21sがほぼ連続した一つの面となっている。
このように構成すると、基板26の後端26rが後方から見難くなる。
【0021】
ボディカバー40には、ライセンスプレート照射部25によるライセンスプレート照射用の開口43が設けられ、この開口43の周囲には、透明レンズ24に向かって該透明レンズ24近くまで延びるフランジ部44が設けられている。
このように構成すると、外部、特に車両後方から開口43を通じて透明レンズ24が見えにくくなる。
図4に示すように、フランジ部44のうち車両前側44fは、側面視で垂直よりも後斜め上方に延びている。
このように構成すると、フランジ部(44f)で反射される白色光WL1(仮想線参照)が後方に向かうことを防止することができる。
【0022】
この実施の形態のテールライト20は、上下左右共に幅狭に造形された車両後部に設けられるため、レンズ24が前後に長くなる。そのためテールライト20の上下左右側面の少なくとも一部とテールライト20のベース部20bをカウルで覆う必要がある。
図2〜
図4に示すように、この実施の形態では、テールライト20の上部をセンターカウル50で覆い、テールライト20の左右を前記ボディカバー40とともにサイドカウル60、60で覆っている。
この発明は、上記のような構成、すなわち、レンズが前後に長くなってカウルやカバーで覆われる領域が大きくなる構成において、該領域を有効利用できるため、有効である。
【0023】
図4において、27はセンターカウル50の取付部であり、テールライト20の上部に設けられている。28はボディカバー40の固定部であり、テールライト20のベース部20bの先端下部に設けられている。
【0024】
テールライト20は、ベース部20bの前部にレンズ24を接合して構成され、ベース部20bには、リフレクタ20rが形成されている。29はシールである。
赤色点灯部用LED23rおよびストップランプ用LED23sは赤色LEDで構成しても良いし、白色LEDで構成しても良い。白色LEDで構成する場合、レンズ24の赤色点灯部21の領域には赤色の着色処理を施す。
【0025】
なお、従来のフィラメント光源によるテールライトは、耐久性向上のためにラバーを用いたフローティングマウントが必要だった。今回のLED光源では、車両の使用条件によってはフローティングを廃止可能となり、レンズ24とフランジ部44の先端との間を隙間なしに設定することが可能になった。
【0026】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【符号の説明】
【0027】
1:鞍乗型車両、3:シート、10:テールライト装置、20:テールライト、21:赤色点灯部、22:遮光部、23w:白色光源(ライセンスプレート照射部用LED)、23r:赤色点灯部用LED、24:透明レンズ、25:ライセンスプレート照射部、25r:後部、25s:側部、26:基板、30:ライセンスプレート、40:ボディカバー、42:後端、43:開口、44:フランジ部。