特許第6248023号(P6248023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248023
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】バッテリ充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20171204BHJP
   H02J 7/14 20060101ALI20171204BHJP
   H02P 9/04 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   H02M7/12 G
   H02J7/14 P
   H02P9/04 M
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-217303(P2014-217303)
(22)【出願日】2014年10月24日
(65)【公開番号】特開2016-86515(P2016-86515A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001340
【氏名又は名称】マーレエレクトリックドライブズジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100099612
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100073450
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】勝間田 昴
(72)【発明者】
【氏名】村松 秀一
(72)【発明者】
【氏名】浅利 真樹
(72)【発明者】
【氏名】玉川 智也
(72)【発明者】
【氏名】植木 昭成
【審査官】 麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−198426(JP,A)
【文献】 実開昭63−172241(JP,U)
【文献】 米国特許第3936723(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
H02J 7/14
H02P 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相交流発電機と、上辺及び下辺の一方及び他方がそれぞれサイリスタ及びダイオードからなるレグを三相分有する混合ブリッジ回路からなっていて前記三相交流発電機の出力を整流してバッテリに供給するフルブリッジ型の制御整流回路と、前記制御整流回路の三相のレグにそれぞれ設けられている三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を前記バッテリの端子電圧に応じて制御するコントローラとを備えたバッテリ充電装置において、
前記コントローラは、前記バッテリの端子電圧が設定電圧以下であることが検出されたときに前記三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与え、前記バッテリの端子電圧が前記設定電圧を超えたことが検出されたときには、該バッテリの端子電圧が前記設定電圧を超えた後一定のトリガ停止猶予期間が経過した時に前記三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を停止するように構成されていること、
を特徴とするバッテリ充電装置。
【請求項2】
三相交流発電機と、上辺及び下辺の一方及び他方がそれぞれサイリスタ及びダイオードからなるレグを三相分有する混合ブリッジ回路からなっていて前記三相交流発電機の出力を整流してバッテリに供給するフルブリッジ型の制御整流回路と、前記制御整流回路の三相のレグにそれぞれ設けられている三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を前記バッテリの端子電圧に応じて制御するコントローラとを備えたバッテリ充電装置において、
前記コントローラは、
前記バッテリの端子電圧を検出するバッテリ電圧検出回路と、
前記バッテリ電圧検出回路により検出されたバッテリの端子電圧が設定電圧以下であるときにトリガ指令信号を発生し、前記バッテリ電圧検出回路により検出されたバッテリの端子電圧が前記設定電圧を超えたときに前記トリガ指令信号を消滅させるトリガ指令発生手段と、
前記トリガ指令発生手段がトリガ指令信号を発生したときに前記三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与え、前記トリガ指令信号が消滅したときには、一定のトリガ停止猶予期間が経過するのを待ってから前記三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を停止するように構成されたタイマ機能付サイリスタトリガ回路と、
を備えていることを特徴とするバッテリ充電装置。
【請求項3】
前記タイマ機能付サイリスタトリガ回路は、
前記三相のサイリスタのそれぞれのゲートカソード間に限流素子を通して並列に接続されて、前記トリガ指令信号が発生した時に該トリガ指令信号により放電阻止用ダイオードを通して充電されるタイマコンデンサを備え、
前記トリガ指令信号が消滅したときに前記タイマコンデンサに蓄積された電荷が前記限流素子と各サイリスタのゲートカソード間とを通して一定の時定数で放電することにより各サイリスタのゲートカソード間を通して閾値以上の電流が流れる期間が前記トリガ停止猶予期間となるように構成されていること、
を特徴とする請求項2に記載のバッテリ充電装置。
【請求項4】
三相交流発電機と、上辺及び下辺の一方及び他方がそれぞれサイリスタ及びダイオードからなるレグを三相分有する混合ブリッジ回路からなっていて前記三相交流発電機の出力を整流してバッテリに供給するフルブリッジ型の制御整流回路と、前記制御整流回路の三相のレグにそれぞれ設けられている三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を前記バッテリの端子電圧に応じて制御するコントローラとを備えたバッテリ充電装置において、
前記コントローラは、前記バッテリの端子電圧が設定電圧以下であることが検出されたときに前記三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与え、前記バッテリの端子電圧が前記設定電圧を超えたことが検出され、かつ前記三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与えた時刻から設定されたトリガ停止猶予期間が既に経過していることが確認されたときに前記三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を停止するように構成されていること、
を特徴とするバッテリ充電装置。
【請求項5】
三相交流発電機と、上辺及び下辺の一方及び他方がそれぞれサイリスタ及びダイオードからなるレグを三相分有する混合ブリッジ回路からなっていて前記三相交流発電機の出力を整流してバッテリに供給するフルブリッジ型の制御整流回路と、前記制御整流回路の三相のレグにそれぞれ設けられている三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を前記バッテリの端子電圧に応じて制御するコントローラとを備えたバッテリ充電装置において、
前記コントローラは、
前記バッテリの端子電圧を検出するバッテリ電圧検出手段と、
前記サイリスタのトリガを停止するのを猶予するために前記三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与えた時刻の直後に設定されるトリガ停止猶予期間を決定する猶予期間決定手段と、
前記トリガ停止猶予期間を計測するための計測値がセットされたときに該計測値の計測を開始するタイマと、
前記バッテリ電圧検出手段により検出されたバッテリの端子電圧が設定電圧以下であるときにトリガ指令を発生し、前記バッテリ電圧検出手段により検出されたバッテリの端子電圧が設定電圧を超えているときにトリガ停止指令を発生するトリガ指令・トリガ停止指令発生手段と、
前記トリガ指令が発生したときに前記タイマにトリガ停止猶予期間を計測するための計測値をセットして該計測値の計測を開始させるタイマセット手段と、
前記トリガ指令が発生したときに前記三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与え、前記トリガ停止指令が発生し、かつ前記タイマが前記トリガ停止猶予期間を計測するための計測値の計測を完了していることが確認されたときに前記三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を停止するトリガ信号供給回路と、
を具備したことを特徴とするバッテリ充電装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記発電機の回転速度を検出する回転速度検出手段を更に備え、
前記猶予期間決定手段は、前記回転速度検出手段により検出された回転速度に応じて前記トリガ停止猶予期間を設定するように構成されていること、
を特徴とする請求項5に記載のバッテリ充電装置。
【請求項7】
前記猶予期間決定手段は、前記回転速度検出手段により検出された回転速度が設定速度未満のときに前記トリガ停止猶予期間を第1のトリガ停止猶予期間とし、前記回転速度検出手段により検出された回転速度が設定速度以上であるときに前記トリガ停止猶予期間を前記第1のトリガ停止猶予期間よりも長い第2のトリガ停止猶予期間とするように構成されていること、
を特徴とする請求項6に記載のバッテリ充電装置。
【請求項8】
前記トリガ停止猶予期間は、前記三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与えて前記三相のサイリスタをオン状態にした際に生じる前記発電機の過渡状態が収まるのに要する時間以上に設定されていること、
を特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載のバッテリ充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三相交流発電機の出力でバッテリを充電するバッテリ充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されているように、車両等に搭載されたエンジンなどの原動機により駆動される三相交流発電機の出力でバッテリを充電する装置として、発電機から制御整流回路を通してバッテリに充電電流を供給するオープン式のバッテリ充電装置が広く用いられている。制御整流回路としては、上辺及び下辺の一方及び他方がそれぞれサイリスタ及び帰還ダイオードからなるレグを三相分備えた混合ブリッジ回路により構成されたフルブリッジ型の制御整流回路が多く用いられている。オープン式のバッテリ充電装置においては、バッテリの端子電圧が設定電圧以下のときに制御整流回路の三相のサイリスタをオン状態にすることにより、発電機から制御整流回路を通してバッテリに充電電流を流し、バッテリの端子電圧が設定電圧を超えたときに三相のサイリスタをオフ状態にして、発電機の出力端子間をオープン状態にすることにより、バッテリへの充電電流の供給を停止する。
【0003】
オープン式のバッテリ充電装置において、制御整流回路のサイリスタをオンオフ制御する方法としては、特許文献1に示されているように、バッテリの端子電圧が設定電圧以下になったときにU,V,W三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与え、バッテリの端子電圧が設定電圧を超えたときに三相のサイリスタに与えていたトリガ信号を同時に除去する方法が広く採用されている。
【0004】
オープン式のバッテリ充電装置において、バッテリの電圧が設定電圧以下になった時に三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与えると、各サイリスタがそのアノードカソード間に順方向電圧が印加された時にターンオンしてバッテリに充電電流が供給される。バッテリに充電電流を流し始めた直後には、図9の左端に示すように、発電機の三相の交流出力電流Iu,Iv及びIw の正負の半波の波高値がアンバランスになる過渡状態が生じるが、この過渡状態は時間tの経過に伴って収まっていく。
【0005】
バッテリの電圧が設定電圧を超えた時に三相のサイリスタに与えていたトリガ信号を同時に除去すると、トリガ信号を除去した時点でオフ状態にあったサイリスタは再トリガされることがなくなるが、トリガ信号を除去した時点でオン状態にあるサイリスタは、そのままオン状態を保持し、そのアノード電流が保持電流未満になった時点でターンオフする。またサイリスタが再トリガされることがない相の電流は、帰還ダイオードを通して流れる負の半波の電流が零になった時点で零になる。例えば、図10に示すように、U相の電流Iuが正の半波にある期間のタイミングtaで三相のサイリスタに与えていたトリガ信号を同時に除去すると、V相及びW相のサイリスタは再トリガされることはないが、U相のサイリスタはオン状態を保持するため、U相の電流Iuの正の半波が流れ続ける。V相の電流Iv及びW相の電流Iwは、V相のサイリスタ及びW相のサイリスタにそれぞれ直列に接続されているV相及びW相の帰還ダイオードを通して流れていた負の半波の電流が零になった時点で消滅する。
【0006】
三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を停止した後にU相のサイリスタを通して流れる電流Iuの正の半波の波形は、V相の帰還ダイオードを通して流れていたV相の電流Ivの負の半波が零になった時点で三相交流波形から単相交流波形に切り替る。この単相交流波形の電流Iuは、W相の帰還ダイオードを通して流れていた電流Iwの負の半波が零になるまで流れ続ける。電流Iuの波形が三相交流波形のままであったとした場合、電流Iuは、図10に破線で示した軌跡をたどって変化し、W相の電流Iuの負の半波が零になる前に零になるが、実際には、単相交流波形に切り替った後W相の帰還ダイオードを通して流れていた電流Iwの負の半波が零になるまで流れ続ける。そのため、電流Iuが零になるタイミングは、電流Iuの波形が三相交流波形のままであった場合に比べて、一定の遅延時間tdだけ遅れ、この遅延時間tdの分だけ、サイリスタの転流余裕時間(サイリスタを流れていた電流が零になった後、該サイリスタに再び順方向電圧が印加されるまでの時間)が短くなる。三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を停止した際にオン状態にあったサイリスタをターンオフして、バッテリへの充電電流の供給を停止させるためには、転流余裕時間がサイリスタのターンオフ時間(サイリスタをオン状態からオフ状態にするまでに要する時間)よりも長い必要がある。
【0007】
上記のように、三相のトリガ信号を消滅させたときにオン状態にあったサイリスタ(上記の例ではU相のサイリスタ)をターンオフさせる際には、その転流余裕時間が短くなるが、三相の交流出力電流の正負の半波の波高値がアンバランスになる過渡状態が発電機に生じていないときには、該サイリスタのターンオフを支障なく行わせることができる。図11は、タイミングtaで三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を停止した後、トリガ信号の供給を停止した際にオン状態にあったU相のサイリスタのターンオフに成功した場合の三相の電流Iu,Iv,Iwの波形を示している。バッテリ電圧が設定電圧を超えたことが検出されて、三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を停止した際に、図11のように、最後にオン状態にあったサイリスタのターンオフを支障なく行わせることができた場合には、以後バッテリの端子電圧が再度設定電圧以下になるまでの間バッテリへの充電電流の供給が停止されるため、バッテリが過充電状態になることはない。
【0008】
これに対し、バッテリへの充電電流の供給を開始した後、発電機の過渡状態が収まっていない状態でバッテリ電圧が設定電圧を超えたことが検出されて、三相のサイリスタへのトリガ信号の供給が停止した場合には、図12に示すように、タイミングtaで三相のサイリスタへのトリガ信号の供給が停止した後、最後にターンオフすべきサイリスタ(この例ではU相のサイリスタ)がターンオフすることができなくなって、トリガ信号の供給を停止した後もバッテリに充電電流が流れ続け、バッテリが過充電状態になることがある。このような状態は、特に発電機が高速回転しているときに起こり易い。
【0009】
上記のような問題が生じないようにするため、特許文献2に示されているように、サイリスタをトリガする位相を制御することにより、バッテリの充電を開始する際に生じる三相の出力電流のアンバランスを抑制するようにしたバッテリ充電装置が提案されている。このバッテリ充電装置によれば、バッテリの充電を開始する際に発電機の三相の出力電流にアンバランスが生じるのを抑制することができるため、バッテリの充電を開始した後、すぐにバッテリの電圧が設定電圧を超える状態が生じたときに、サイリスタのターンオフに失敗するのを防いで、バッテリの過充電を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開昭63−172241号公報
【特許文献2】特開2007−60857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2に示された発明によった場合には、バッテリの過充電を防ぐことはできるが、制御整流回路のサイリスタを特定の位相でしかターンオンさせないようにしているため、三相交流発電機から最大出力を取り出すことができないという問題があり、サイリスタをトリガする位相を制御しない場合に比べて、発電機から取り出し得る出力が低下してしまうという問題があった。発電機から取り出すことができる出力が制限されると、同じバッテリを充電する場合に、より大形の発電機を用意することが必要になって、コストの上昇や装置の大型化を招くため、好ましくない。
【0012】
本発明の目的は、バッテリ電圧が設定電圧以下になってバッテリの充電が開始された際に生じた発電機の過渡状態が収まる前にバッテリ電圧が設定電圧を超えて、三相のサイリスタのトリガが停止した場合でも、サイリスタのターンオフを確実に行わせることができるようにして、過渡状態が生じるのを抑制するための位相制御を行わなう必要性をなくし、以て、発電機の出力の低下を招くことなく、バッテリの過充電を防ぐことができるようにしたバッテリ充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、三相交流発電機と、上辺及び下辺の一方及び他方がそれぞれサイリスタ及びダイオードからなるレグを三相分有する混合ブリッジ回路からなっていて、三相交流発電機の出力を整流してバッテリに供給するフルブリッジ型の制御整流回路と、制御整流回路の三相のレグにそれぞれ設けられている三相のサイリスタへのトリガ信号の供給をバッテリの端子電圧に応じて制御するコントローラとを備えたバッテリ充電装置に適用する。本明細書には、前記の目的を達成するために、少なくとも以下に示す第1の発明ないし第8の発明が開示される。
【0014】
第1の発明
本明細書に開示された第1の発明においては、上記コントローラを、バッテリの端子電圧が設定電圧以下であることを検出したときに三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与え、バッテリの端子電圧が設定電圧を超えたことを検出したときには、該バッテリの端子電圧が設定電圧を超えた後一定のトリガ停止猶予期間が経過した時に三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を停止するように構成する。
【0015】
上記のようにコントローラを構成しておくと、トリガ停止猶予期間を適正な長さに設定しておくことにより、発電機の過渡状態が収まっていない状態でサイリスタへのトリガ信号の供給が停止されるのを防いで、サイリスタのターンオフを確実に行わせることができる。従って、バッテリの充電開始時に過渡状態が生じるのを抑制するための位相制御を行わなくてもサイリスタのターンオフを確実に行わせることができ、発電機の出力の低下を招くことなく、バッテリの過充電を防ぐことができる。
【0016】
第2の発明
本明細書に開示された第2の発明においては、上記コントローラが、バッテリの端子電圧を検出するバッテリ電圧検出回路と、バッテリ電圧検出回路により検出されたバッテリの端子電圧が設定電圧以下であるときにトリガ指令信号を発生し、バッテリ電圧検出回路により検出されたバッテリの端子電圧が設定電圧を超えたときにトリガ指令信号を消滅させるトリガ指令発生手段と、トリガ指令発生手段がトリガ指令信号を発生したときに三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与え、トリガ指令信号が消滅したときには、一定のトリガ停止猶予期間が経過するのを待ってから前記三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を停止するように構成されたタイマ機能付サイリスタトリガ回路とを備えている。
【0017】
第3の発明
第3の発明は第2の発明に適用される。本発明においては、上記タイマ機能付サイリスタトリガ回路が、三相のサイリスタのそれぞれのゲートカソード間に限流素子を通して並列に接続されて、トリガ指令信号により放電阻止用ダイオードを通して充電されるタイマコンデンサを備えており、トリガ指令信号が消滅したときにタイマコンデンサに蓄積された電荷が限流素子と各サイリスタのゲートカソード間とを通して一定の時定数で放電することにより各サイリスタのゲートカソード間を通して閾値以上の電流が流れる期間が前記トリガ停止猶予期間となるように構成される。
【0018】
第4の発明
第4の発明においては、上記コントローラが、バッテリの端子電圧が設定電圧以下であることが検出されたときに三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与え、バッテリの端子電圧が設定電圧を超えたことが検出され、かつ三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与えた時刻から設定されたトリガ停止猶予期間が既に経過していることが確認されたときに三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を停止するように構成される。
【0019】
上記のように構成した場合も、トリガ停止猶予期間を適正な長さに設定しておくことにより、発電機の過渡状態が収まっていない状態でサイリスタへのトリガ信号の供給が停止されるのを防いで、サイリスタのターンオフを確実に行わせることができる。
【0020】
前記第1の発明ないし第3の発明の何れかによった場合には、バッテリの端子電圧が設定電圧を超えていることが検出されたときに必ずトリガ停止猶予期間の経過を待ってからサイリスタへのトリガ信号の供給を停止するため、バッテリの端子電圧が設定電圧を超えていることが検出された時点で既に発電機の過渡状態が収まっている場合でも、一定のトリガ停止猶予期間が経過するまでの間はサイリスタへのトリガ信号の供給が継続される。これに対し、第4の発明によった場合には、バッテリの端子電圧が設定電圧を超えていることが検出された時点で既に発電機の過渡状態が収まっている場合に、トリガ停止猶予期間の経過を待つことなく直ちにサイリスタへのトリガ信号の供給を停止することができるため、バッテリの充電が完了した後にサイリスタに無用なトリガ信号が供給されるのを防いで、バッテリの充電制御をより適確に行わせることができる。
【0021】
第5の発明
第5の発明は、第4の発明で用いるコントローラのより具体的な構成を明らかにしたもので、本発明においては、上記コントローラが、バッテリの端子電圧を検出するバッテリ電圧検出手段と、サイリスタのトリガを停止するのを猶予するために三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与えた時刻の直後に設定されるトリガ停止猶予期間を決定する猶予期間決定手段と、トリガ停止猶予期間を計測するための計測値がセットされたときに該計測値の計測を開始するタイマと、バッテリ電圧検出手段により検出されたバッテリの端子電圧が設定電圧以下であるときにトリガ指令を発生し、バッテリ電圧検出手段により検出されたバッテリの端子電圧が設定電圧を超えているときにトリガ停止指令を発生するトリガ指令・トリガ停止指令発生手段と、トリガ指令が発生したときにタイマにトリガ停止猶予期間を計測するための計測値をセットして該計測値の計測を開始させるタイマセット手段と、トリガ指令が発生したときに三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与え、トリガ停止指令が発生し、かつタイマが前記トリガ停止猶予期間を計測するための計測値の計測を完了していることが確認されたときに前記三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を停止するトリガ信号供給回路とを備えることにより構成される。
【0022】
第6の発明
第6の発明は第5の発明に適用されるもので、本発明においては、コントローラが、発電機の回転速度を検出する回転速度検出手段を更に備え、猶予期間決定手段は、回転速度検出手段により検出された回転速度に応じてトリガ停止猶予期間を設定するように構成される。
【0023】
第7の発明
第7の発明は、第6の発明に適用されるもので、本発明においては、回転速度検出手段により検出された回転速度が設定速度未満のときにトリガ停止猶予期間を第1のトリガ停止猶予期間とし、回転速度検出手段により検出された回転速度が設定速度以上であるときにトリガ停止猶予期間を第1のトリガ停止猶予期間よりも長い第2のトリガ停止猶予期間とするように猶予期間決定手段が構成される。
【0024】
第8の発明
第8の発明は第1の発明ないし第7の発明の何れかに適用されるもので、本発明においては、上記トリガ停止猶予期間を、三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与えて三相のサイリスタをオン状態にした際に生じる発電機の過渡状態が収まるのに要する時間以上に設定する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、バッテリの端子電圧が設定電圧以下であることが検出されたときに三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与え、バッテリの端子電圧が設定電圧を超えたことが検出されたときには、該バッテリの端子電圧が設定電圧を超えた後所定のトリガ停止猶予期間が経過した時に三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を停止するようにコントローラを構成したので、トリガ停止猶予期間を適正な長さに設定しておくことにより、バッテリの充電を開始した際に生じた発電機の過渡状態が収まっていない状態でサイリスタのトリガが停止されるのを防いで、サイリスタのターンオフを確実に行わせることができる。従って、バッテリの充電開始時に過渡状態が生じるのを抑制するための位相制御を行うことなく、サイリスタのターンオフを確実に行わせることができ、発電機の出力の低下を招くことなく、バッテリの過充電を防ぐことができる。
【0026】
特に請求項4〜8に記載された発明によれば、バッテリの端子電圧が設定電圧を超えたことが検出されたときに、三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与えた時刻から設定されたトリガ停止猶予期間が既に経過しているか否かを確認して、トリガ停止猶予期間が既に経過していることが確認されたときに三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を停止するので、バッテリの端子電圧が設定電圧を超えていることが検出された時点で既に発電機の過渡状態が収まっている場合には、トリガ停止猶予期間の経過を待つことなく直ちにサイリスタへのトリガ信号の供給を停止することができる。従って、バッテリの充電が完了した後にサイリスタに無用なトリガ信号が供給されるのを防いで、バッテリの充電制御をより適確に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態のハードウェアの構成を主として示した回路図である。
図2】本発明の一実施形態で用いるタイマ機能付サイリスタトリガ回路の構成例を示した回路図である。
図3】本発明の一実施形態の全体的な構成を、ソフトウェア的に実現される構成要素をも含めて示したブロック図である。
図4】本発明の一実施形態で用いるコントローラの構成を示したブロック図である。
図5】本発明の一実施形態において、発電機から制御整流回路を通してバッテリに流れる充電電流の波形と、サイリスタのオンオフ動作と、バッテリ電圧が設定電圧以下であるか設定電圧を超えているかによって異なるレベルを示す調整電圧の波形と、三相のサイリスタのゲートに与えられるトリガ信号の波形とを時間を横軸にとって示した波形図である。
図6】本発明の一実施形態においてコントローラを構成するためにマイクロコンピュータに実行させるプログラムのメインルーチンのアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態において、コントローラに設ける回転速度検出手段を実現するためにマイクロコンピュータに実行させる回転速度演算処理のアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態において、猶予期間決定手段とサイリスタトリガ手段とを実現するためにマイクロコンピュータに実行させるプログラムのアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
図9】オープン式バッテリ充電装置において、バッテリへの充電電流の供給を開始した際に過渡状態が生じる様子と、該過渡状態が収束するまでの様子とを示した波形図である。
図10】制御整流回路の三相のサイリスタに与えていたトリガ信号を除去してサイリスタをターンオフさせる過程での三相の電流波形を示した波形図である。
図11】制御整流回路の三相のサイリスタに与えていたトリガ信号を除去した際にオン状態にあったサイリスタのターンオフに成功した場合の電流波形を示した波形図である。
図12】制御整流回路の三相のサイリスタに与えていたトリガ信号を除去した際にオン状態にあったサイリスタのターンオフに失敗した場合の電流波形を示した波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下図面を参照して本発明の実施形態につき詳細に説明する。
第1の実施形態
図1は本発明の第1の実施形態のハードウェアの構成を主として示したもので、同図において1は、自動車等の車両に搭載されて、車両の駆動輪を回転させるエンジンにより駆動される三相交流発電機である。三相交流発電機1は、エンジンにより回転させられる磁石回転子などの回転子と、三相の発電コイルLu,Lv及びLwを有する固定子とを備えている。図示の例では、三相の発電コイルLu〜Lwが三相スター結線されて、その非中性点側の端部からU,V,W三相の出力端子1u〜1wが導出されている。
【0029】
図1において、2はフルブリッジ型の制御整流回路、3は三相交流発電機1の出力で制御整流回路2を通して充電されるバッテリ、4はバッテリ3の両端にスイッチ5を介して接続された負荷である。また6はバッテリ3の端子電圧に応じて制御整流回路2を制御するコントローラで、制御整流回路2とコントローラ6とが共通のケースに収容されることにより充電制御ユニット7が構成され、三相交流発電機1と充電制御ユニット7とによりバッテリ充電装置が構成されている。
【0030】
更に詳細に説明すると、制御整流回路2は、上辺及び下辺がそれぞれサイリスタSu及びダイオードDuからなるU相のレグ2uと、上辺及び下辺がそれぞれサイリスタSv及びダイオードDvからなるV相のレグ2vと、上辺及び下辺がそれぞれサイリスタSw及びダイオードDwからなるW相のレグ2wとの三相分のレグを有して、これらのレグを互いに並列接続した構成を有する混合ブリッジ回路からなっている。制御整流回路2の各レグを構成するサイリスタ及びダイオードは、それぞれの順方向を同じ方向に向けた状態で直列に接続されていて、三相のレグ2u〜2wのサイリスタSu〜Swのカソードの共通接続点及びダイオードDu〜Dwのアノードの共通接続点がそれぞれプラス側出力端子及びマイナス側出力端子として充電制御ユニット7の直流出力端子7a及び7bに接続されている。
【0031】
コントローラ6は、バッテリ3の端子電圧が設定電圧以下であることが検出されたときに制御整流回路2の三相のサイリスタSu〜Swに同時にトリガ信号を与え、バッテリ3の端子電圧が設定電圧を超えたことが検出されたときには、該バッテリの端子電圧が設定電圧を超えた後一定のトリガ停止猶予期間が経過した時に三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を停止するように構成されている。本実施形態で用いるコンロローラ6は、タイマ機能付サイリスタトリガ回路6Aと、タイマ付サイリスタトリガ回路6Aを制御する制御部6Bとにより構成されている。
【0032】
タイマ機能付サイリスタトリガ回路6Aは、例えば図2に示すように構成することができる。図2に示されたタイマ機能付サイリスタトリガ回路6Aは、三相のサイリスタSu〜Swのそれぞれのゲートに限流素子としての抵抗器Rt を通して一端が接続されるとともに、他端がサイリスタSu〜Swのそれぞれのカソードに接続された(サイリスタのゲートカソード間に限流素子を通して並列に接続された)タイマコンデンサCtと、タイマコンデンサCt と抵抗器Rt との接続点とトリガ指令入力端子tとの間にアノードをトリガ指令入力端子t側に向けて接続された放電阻止用ダイオードDとにより構成されている。
【0033】
制御部6Bは、例えば、バッテリ3の端子電圧を検出するバッテリ電圧検出回路と、このバッテリ電圧検出回路によりバッテリの端子電圧が設定電圧以下であることが検出されたときにトリガ指令信号を発生し、バッテリの端子電圧が設定電圧を超えたことが検出されたときにトリガ指令信号を消滅させるトリガ指令発生手段とを備えることにより構成される。
【0034】
上記バッテリ電圧検出回路は例えば、バッテリ3の両端の電圧(端子電圧)を分圧する抵抗分圧回路により構成することができる。またトリガ指令発生手段は、バッテリ電圧検出回路により検出された電圧が設定電圧以下になったときに零レベルから高レベルに立ち上がって、バッテリ電圧検出回路により検出された電圧が設定電圧以下になっている間高レベルを保持し、バッテリ電圧検出回路により検出された電圧が設定電圧を超えたときに高レベルから零レベルに低下して、バッテリの端子電圧が設定電圧を超えている間零レベルを保持する矩形波信号を出力する回路により構成することができる。この場合、矩形波信号が高レベルを保持している期間が、トリガ指令信号が発生している期間となり、矩形波信号が零レベルを保持している期間が、トリガ指令信号が消滅している期間となる。
【0035】
図2に示されたタイマ機能付サイリスタトリガ回路6Aにおいては、バッテリ3の端子電圧が設定電圧以下になって、制御部6Bからトリガ指令入力端子tに高レベルのトリガ指令信号が与えられたときに、タイマコンデンサCtがダイオードDtを通して瞬時に充電されるとともに、サイリスタSu〜Swにトリガ信号が与えられる。またバッテリの端子電圧が設定値を超えて、制御部6Bから与えられていたトリガ指令信号が消滅すると、タイマコンデンサCtに蓄積されている電荷が抵抗器RtとサイリスタSu〜Swのゲートカソード間とを通して放電し、この放電により、サイリスタSu〜Swのゲートカソード間を通して閾値以上の電流が流れている間、サイリスタSu〜Swにトリガ信号が与えられた状態が維持される。即ち、タイマコンデンサCtの放電によりサイリスタSu〜Swにトリガ信号が与えられている間、サイリスタSu〜Swのトリガの停止が猶予される。本実施形態では、トリガ指令信号が消滅した後,タイマコンデンサCtに蓄積された電荷が限流素子と各サイリスタのゲートカソード間とを通して一定の時定数で放電することにより各サイリスタのゲートカソード間を通して閾値以上の電流が流れる期間が、トリガ停止猶予期間となる。
【0036】
上記トリガ停止猶予期間は、三相のサイリスタSu〜Swに同時にトリガ信号を与えて三相のサイリスタSu〜Swをオン状態にした際に生じる発電機1の過渡状態が収まるのに要する時間以上に設定するのが好ましい。
【0037】
本実施形態のようにコントローラ6を構成しておくと、トリガ停止猶予期間を適正な長さに設定しておくことにより、発電機1の過渡状態が収まっていない状態でサイリスタSu〜Swへのトリガ信号の供給が停止されるのを防いで、サイリスタSu〜Swのターンオフを確実に行わせることができる。従って、バッテリ3の充電開始時に過渡状態が生じるのを抑制するための位相制御を行わなくても各サイリスタのターンオフを確実に行わせることができ、発電機の出力の低下を招くことなく、バッテリの過充電を防ぐことができる。
【0038】
第2の実施形態
第1の実施形態では,バッテリ3の端子電圧が設定電圧を超えた後一定のトリガ停止猶予期間が経過した時に三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を停止するようにコントローラを構成したが、発電機の過渡状態は、三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与えてバッテリの充電を開始した際に発生するものであるから、サイリスタの転流の失敗を防ぐためにサイリスタのトリガの停止を猶予するのは、三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与えてバッテリの充電を開始した時点から所定のトリガ停止猶予期間(発電機の過渡状態が収まるのに必要な期間)が経過するまでの間だけでよい。バッテリの端子電圧が設定電圧を超えた時点で、発電機の過渡状態が既に収まっている場合には、サイリスタSu〜Swへのトリガ信号の供給を直ちに停止しても何等問題がない。
【0039】
そこで、本発明の第2の実施形態では、バッテリ3の端子電圧が設定電圧以下であることが検出されたときに三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与え、バッテリ3の端子電圧が設定電圧を超えたことが検出され、かつ三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与えた時刻から設定されたトリガ停止猶予期間が既に経過していることが確認されたときに三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を停止するようにコントローラ6を構成する。
【0040】
このように構成すると、バッテリの端子電圧が設定電圧を超えていることが検出された時点で既に発電機の過渡状態が収まっている場合に、トリガ停止猶予期間の経過を待つことなく直ちにサイリスタへのトリガ信号の供給を停止することができるため、バッテリの充電が完了した後にサイリスタに無用なトリガ信号が供給されるのを防いで、バッテリの充電制御をより適確に行わせることができる。
【0041】
本実施形態で用いるコントローラ6も、図1に示したように、タイマ機能付サイリスタトリガ回路6Aと、サイリスタトリガ回路6Aを制御する制御部6Bとにより構成できる。この場合タイマ機能付サイリスタトリガ回路6Aは、トリガ停止猶予期間を計測するタイマを備えていて、トリガ指令が与えられたときには直ちにサイリスタSu〜Swにトリガ信号を与えるが、トリガ指令が消滅したときには、タイマが設定されたトリガ停止猶予期間の計測を完了するのを待ってから、サイリスタSu〜Swへのトリガ信号の供給を停止する。
【0042】
また制御部6Bは、バッテリ3の電圧が設定電圧以下になったことを検出した時に三相のサイリスタSu〜Swをトリガすることを指令するトリガ指令信号をサイリスタトリガ回路6Aに与えるとともに、サイリスタトリガ回路6Aに設けられているタイマにトリガ停止猶予期間を計測させるための計測値をセットしてその計測を開始させる。制御部6Bはまた、バッテリの端子電圧が設定電圧を超えたことを検出した時にタイマ機能付サイリスタトリガ回路6Aへのトリガ指令の供給を停止する。
【0043】
サイリスタトリガ回路6Aは、制御部6Bからトリガ指令信号が与えられた時に三相のサイリスタSu〜Swのゲートに同時にトリガ信号を与える。サイリスタトリガ回路6Aはまた、制御部6Bから与えられていたトリガ指令信号が消滅した時にタイマがトリガ停止猶予期間の計測を完了しているか否かを確認して、タイマがトリガ停止猶予期間の計測を完了していないとき(バッテリの充電が開始された後発電機の過渡状態が収まっていないとき)には、サイリスタSu〜Swにトリガ信号が与えられたままとし、トリガ停止指令が与えらられた時にタイマがトリガ停止猶予期間の計測を既に完了しているときには、直ちにサイリスタSu〜Swへのトリガ信号の供給を停止する。
【0044】
上記制御部6Bは例えば図3に示したように、CPU、RAMやROMなどの記憶装置、タイマの他、所定の入出力インターフェースやA/D変換器等を備えたマイクロコンピュータ601と、バッテリ3の端子電圧を検出してその検出出力をマイクロコンピュータ601のA/D変換器に与えるバッテリ電圧検出回路602と、発電機1の一相の交流出力電圧を検出する出力電圧検出回路603と、出力電圧検出回路603により検出される交流電圧の波形を該交流電圧の零クロス点でレベル変化を生じる矩形波信号に変換して、該矩形波信号をマイクロコンピュータの割込み入力端子INTに与える波形整形回路604とにより構成される。
【0045】
波形整形回路604が出力する矩形波信号は例えば、交流電圧の波形が負の半波から正の半波に移行する際の零クロス点でHレベル(ハイレベル)からLレベル(ローレベル)へのレベル変化を示し,交流電圧の波形が正の半波から負の半波に移行する際の零クロス点でLレベルからHレベルへのレベル変化を示す矩形波信号である。この場合マイクロコンピュータは例えば、割込み入力端子INTに入力された信号がHレベルからLレベルに変化したことを認識する毎に(交流電圧波形が負の半波から正の半波に移行する際の零クロス点を認識する毎に)、発電機の出力電圧の一周期に相当する時間と、発電機の出力電圧の1周期に相当する回転子の回転角度とから発電機の回転速度を演算する割込み処理を実行して、発電機の回転速度を検出する。
【0046】
マイクロコンピュータ601は、バッテリ電圧検出回路602により検出されたバッテリの端子電圧が設定電圧以下のときにトリガ指令を出力し、検出されたバッテリ電圧が設定電圧を超えているときにトリガ停止指令を出力するポートA1と、バッテリ電圧が設定電圧を超えていることが検出された時にサイリスタトリガ回路6Aに設けられているタイマにトリガ停止猶予期間を計測させるために該タイマにセットする計測値を出力するポートA2とを備えている。マイクロコンピュータ601のポートA1から出力されるトリガ指令及びトリガ停止指令と、ポートA2から出力されるタイマの計測値はタイマ機能付サイリスタトリガ手段6Aに入力される。マイクロコンピュータ601は、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより、制御整流回路の三相のサイリスタSu〜Swを制御するために必要な各種の手段を実現する。
【0047】
図4は、タイマ機能付サイリスタトリガ回路6Aの構成と、制御部6Bを構成するためにマイクロコンピュータ601が実現する機能実現手段とを示したものである。図4において、11はバッテリ電圧検出回路602の出力信号を読み込んでバッテリの端子電圧(バッテリ電圧)を検出するバッテリ電圧検出手段、12はバッテリの設定電圧を記憶している設定電圧記憶手段である。定格電圧が12ボルトのバッテリの場合、設定電圧は例えば、14.5ボルトに設定される。
【0048】
また図4において、13はトリガ指令・トリガ停止指令発生手段で、この手段は、バッテリ電圧検出手段11により検出されたバッテリ電圧と設定電圧記憶手段12から読み出した設定電圧とを比較して、バッテリ電圧検出手段により検出されたバッテリの端子電圧が設定電圧以下であるときにトリガ指令を発生し、バッテリ電圧検出手段により検出されたバッテリの端子電圧が設定電圧を超えているときにトリガ停止指令を発生する。トリガ指令は例えばHレベル(ハイレベル)の信号であり、トリガ停止指令は例えばLレベル(ローレベル)の信号である。
【0049】
14は発電機の回転速度を検出する回転速度検出手段で、この回転速度検出手段は、マイクロコンピュータの割込み入力端子INTに発電機の出力電圧の所定の零クロス点を示すレベル変化が入力される毎に、発電機の出力電圧の一周期に相当する時間と、発電機の出力電圧の1周期に相当する回転子の回転角度とから発電機の回転速度を演算して、発電機の回転速度を検出する。
【0050】
15は、サイリスタのトリガを停止するのを猶予するために三相のサイリスタに同時にトリガ信号を与えた時刻の直後に設定するトリガ停止猶予期間を決定する猶予期間決定手段である。本実施形態では、回転速度検出手段14により検出された発電機の回転速度に応じてトリガ停止猶予期間を決定するように猶予期間決定手段15が構成されている。
【0051】
また16はタイマセット手段で、このタイマセット手段16は、バッテリ電圧判定手段13がトリガ指令を発生したときに、猶予期間決定手段15により決定されたトリガ停止猶予期間を計測するための計測値をサイリスタトリガ手段6A内のタイマにセットして、該タイマにその計測を開始させる。
【0052】
図4に示した例では、サイリスタトリガ手段6Aが、トリガ信号供給回路605と、タイマ606とにより構成されている。タイマ606は、タイマセット手段16により計測値がセットされたときに直ちにその計測を開始する。タイマ606は、例えば、セットされた計測値の計測を行っている間その出力端子の電位をHレベル(ハイレベル)に保ち、セットされた計測値の計測を完了した時に出力端子の電位をLレベル(ローレベル)に変化させる。タイマ606がこのように構成され、バッテリ電圧が設定電圧以下の時及び設定電圧を超えた時にそれぞれHレベルのトリガ指令及びLレベルのトリガ停止指令を発生するようにトリガ指令・トリガ停止指令発生手段13が構成されている場合、トリガ信号供給回路605は、トリガ指令・トリガ停止指令発生手段13からトリガ指令及びトリガ停止指令が与えられる入力端子と、タイマ606から信号が与えられる入力端子との2つの入力端子を有するオア回路により構成することができる。
【0053】
上記のように、トリガ信号供給回路605をオア回路により構成した場合、バッテリの端子電圧が設定電圧以下になって、トリガ指令・トリガ停止指令発生手段13がHレベルのトリガ指令を発生した時に、トリガ信号供給回路605から三相のサイリスタSu〜SwにHレベルのトリガ信号が与えられてこれらのサイリスタがトリガされる。
【0054】
またバッテリの端子電圧が設定電圧を超えて、トリガ指令・トリガ停止指令発生手段13がLレベルのトリガ停止指令を発生したときに、タイマ606がトリガ停止猶予期間の計測を既に完了しているときには、タイマ606の出力がLレベルになっていて、オア条件が成立しないため、トリガ信号供給回路605が三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を停止する。
【0055】
またバッテリ電圧が設定電圧を超えて、トリガ指令・トリガ停止指令発生手段13がLレベルのトリガ停止指令を発生したときに、タイマ606が未だトリガ停止猶予期間の計測を完了していない場合(発電機の過渡状態が収まっていない場合)には、タイマ606からトリガ信号供給回路605を構成するオア回路にHレベルの信号が入力されるため、トリガ信号供給回路605が三相のサイリスタSu〜SwにHレベルのトリガ信号を与え続ける。従って、発電機が過渡状態にあるときに三相のサイリスタへのトリガ信号の供給が停止して、サイリスタのターンオフに失敗する事態が生じるのを防ぐことができ、サイリスタのターンオフの失敗によりバッテリに充電電流が流れ続けてバッテリが過充電状態になるのを防ぐことができる。その後タイマ606がトリガ停止猶予期間の計測を完了すると(発電機の過渡状態が収まると)、タイマ606の出力がLレベルになって、トリガ信号供給回路605を構成するオア回路のオア条件が成立しなくなり、サイリスタSu〜Swへのトリガ信号の供給が停止する。このとき発電機の過渡状態は収まっているため、サイリスタSu〜Swを確実にターンオフしてバッテリの過充電を防止することができる。
【0056】
バッテリの端子電圧が設定電圧以下になってサイリスタSu〜Swをトリガしてバッテリに充電電流を供給した直後にバッテリの端子電圧が設定電圧を超える状態が生じた場合の動作を示す波形図を図5に示した。図5(A)は、発電機1の三相の発電コイルに流れる電流Iu〜Iwの波形を示し、(B)〜(D)は三相のサイリスタSu〜Swのオンオフ動作を示している。また図5(E)はトリガ指令・トリガ停止指令発生手段13が出力するトリガ指令及びトリガ停止指令を示し、図5(F)はサイリスタSu〜Swに同時に与えられるトリガ信号を示している。
【0057】
図5に示した例では、タイミング[1]でバッテリ電圧が設定電圧以下になったため、三相のサイリスタにトリガ信号が与えられ、バッテリの充電が開始されている。バッテリの充電が開始された直後は、発電機の三相の発電コイルを流れる電流Iu〜Iwの正の半波と負の半波の波高値がアンバランスになる過渡状態が生じている。図5に示した例では、発電機の過渡状態が生じている期間内のタイミング[2]でバッテリの端子電圧が設定電圧を超えたために、トリガ停止指令が発生している。このタイミング[2]でサイリスタSu〜Swのトリガを停止すると、トリガを停止した時にオン状態にあったサイリスタ(図5に示した例ではサイリスタSuのターンオフに失敗するおそれがあり、万一サイリスタSuのターンオフに失敗すると、バッテリに充電電流が流れ続けてバッテリが過充電状態になる。このような状態は、発電機の回転速度が高い場合に起こり易い。
【0058】
そこで本発明においては、バッテリの充電を開始したタイミング[1]の直後に適正な長さを有するトリガ停止猶予期間Tsを設定して、このトリガ停止猶予期間内にバッテリの端子電圧が設定電圧を超えてトリガ停止指令が発生した場合には、サイリスタSu〜Swのトリガを停止せず、バッテリの充電が開始されたタイミングからトリガ停止猶予期間Tsが経過したタイミング[3]でサイリスタSu〜Swのトリガを停止する(トリガ信号の供給を停止する)。このように構成しておくと、サイリスタSu〜Swのトリガを停止する時点では、発電機の過渡状態が収まっているため、サイリスタのターンオフを確実に行わせることができる。
【0059】
バッテリの充電を開始した後、発電機の過渡状態が収まっている状態でバッテリの端子電圧が設定電圧を超えてトリガ停止指令が発生した場合には、既にトリガ停止猶予期間Tsの計測は完了しているので、サイリスタSu〜Swのトリガは直ちに停止される。
【0060】
本実施形態において、図4に示した各手段を構成するためにマイクロコンピュータ601に実行させる処理のアルゴリズムを示したフローチャートを図6ないし図8に示した。図6はバッテリを充電することを指令するバッテリ充電指令が与えられたときに開始されるメインルーチンを示したものである。
【0061】
このメインルーチンが開始されると、先ずステップS101でマイクロコンピュータの各部の初期化を行い、ステップS102でマイクロコンピュータ内の計時用タイマを起動させる。次いでステップS103で割込みを許可し、ステップS104で充電指令が与えられているか否かを確認する。その結果充電指令が与えられていると判定された場合には、ステップS105でバッテリ電圧検出回路602が検出しているバッテリ電圧を読み込んで記憶させた後、ステップS106で発電機の出力電圧波形の零クロス点が検出されたか否かを判定する。その結果零クロス点が検出されたと判定された場合には、ステップS107に移行して回転速度演算処理を行う。
【0062】
またステップS106で発電機の零クロス点が検出されていないと判定されたときには、ステップS108に進んで、現在のタイミングがタイマ制御処理実行タイミング(タイマ制御処理を実行するタイミング)であるか否かを判定する。その結果、現在のタイミングがタイマ制御処理実行タイミングでないと判定されたときにはステップS104に戻る。ステップS108でタイマ制御処理実行タイミングであると判定された時にはステップS109に進んでタイマ制御処理を実行する。タイマ制御処理実行タイミングは、マイクロコンピュータ内の計時タイマが一定の微小時間を計測する毎に到来するタイミングである。ステップS104で充電指令が与えられていないと判定されたときには、以後何もしないでメインルーチンを終了する。
【0063】
図6のステップS107の回転速度演算処理は、図7に示したアルゴリズムにより行われる。図7に示した回転速度演算処理では、先ずステップS201で計時タイマの計測値txを読み込んで記憶した後、ステップS202で今回読み込んだ計測値txと前回読み込んだ計測値tx′との差Δt=tx−tx′(発電機の出力電圧の1周期の長さ)を演算する。次いでステップS203でΔtと発電機の各相の出力電圧の1周期に相当する回転子の回転角度Δθとから発電機の回転速度を演算して、その演算結果をRAMに記憶し、図6のステップS108に復帰する。
【0064】
また図6のステップS109のタイマ制御処理は図8に示したアルゴリズムにより行う。図8に示したタイマ制御処理では、先ずステップS301でバッテリ電圧が設定電圧以下であるか否かを判定する。その結果、バッテリ電圧が設定電圧以下であると判定されたときには、ステップS302に進んでトリガ指令を発生して、該トリガ指令をトリガ信号供給回路605に与えた後、ステップS303で発電機の回転速度が設定速度であるか否かを判定する。設定速度は例えば、5000rpmである。ステップS303で発電機の回転速度が設定速度であるか否かを判定した結果、発電機の回転速度が設定速度を超えていると判定されたときには、ステップS304に進んでタイマ機能付サイリスタトリガ回路のタイマ606に第1のトリガ停止猶予期間T1を計測するための計測値をセットして直ちにその計測を開始させた後、図6のステップS104に復帰する。またステップS303で発電機の回転速度が設定速度以下であると判定されたときには、ステップS305に進んで、タイマ付サイリスタトリガ手段のタイマ606に第2のトリガ停止猶予期間T2を計測するために必要な計測値をセットし、図6のステップS104に復帰する。図8のステップS301でバッテリ電圧が設定電圧を超えていると判定されたときにはステップS306に進んでトリガ停止指令を発生させて、該トリガ停止指令をトリガ信号供給回路605に与えた後、この処理を終了して図6のステップS104に復帰する。第1のトリガ停止猶予期間T1及び第2のトリガ停止猶予期間T2は、三相のサイリスタSu〜Swに同時にトリガ信号を与えて三相のサイリスタをオン状態にした際に生じる発電機の過渡状態が収まるのに要する時間以上に設定するが、これら第1のトリガ停止猶予期間T1及び第2のトリガ停止猶予期間T2は実験的に決定する。例えば、発電機の設定速度が5000rpmである場合、上記第1のトリガ停止猶予期間T1は、100μsec以上の長さに設定され、第2のトリガ停止猶予期間T2は100μse未満の長さに設定される。
【0065】
上記のアルゴリズムによる場合には、図8のステップS301,S302,S306を実行する過程によりトリガ指令・トリガ停止指令発生手段13が構成され、図7のステップS201ないしステップS203を実行する過程により回転速度検出手段14が構成される。また図8のステップS303〜S305を実行する過程により猶予期間決定手段15とタイマセット手段16とが構成される。
【0066】
上記の実施形態のように、バッテリの端子電圧が設定電圧以下であることが検出されたときに三相のサイリスタSu〜Swに同時にトリガ信号を与え、バッテリの端子電圧が設定電圧を超えたことが検出され、かつ三相のサイリスタSu〜Swに同時にトリガ信号を与えた時刻から設定されたトリガ停止猶予期間Tsが既に経過していることが確認されたときに三相のサイリスタへのトリガ信号の供給を同時に停止するようにコントローラを構成した場合も、トリガ停止猶予期間Tsを適正な長さに設定しておくことにより、発電機の過渡状態が収まっていない状態でサイリスタへのトリガ信号の供給が停止されるのを防いで、サイリスタSu〜Swのターンオフを確実に行わせることができる。従って、バッテリの充電開始時に過渡状態が生じるのを抑制するための位相制御を行わなくてもサイリスタのターンオフを確実に行わせることができ、発電機の出力の低下を招くことなく、バッテリの過充電を防ぐことができる。
【0067】
前記第1の実施形態のようにコントローラを構成した場合には、バッテリの端子電圧が設定電圧を超えていることが検出されたときに必ずトリガ停止猶予期間の経過を待ってからサイリスタへのトリガ信号の供給を停止するため、バッテリの端子電圧が設定電圧を超えていることが検出された時点で既に発電機の過渡状態が収まっている場合でも、一定のトリガ停止猶予期間が経過するまでの間はサイリスタへのトリガ信号の供給が継続される。これに対し、本実施形態のようにコントローラを構成した場合には、バッテリの端子電圧が設定電圧を超えていることが検出された時点で既に発電機の過渡状態が収まっている場合に、トリガ停止猶予期間の経過を待つことなく直ちにサイリスタへのトリガ信号の供給を停止することができるため、バッテリの充電が完了した後にサイリスタに無用なトリガ信号が供給されるのを防いで、バッテリの充電制御をより適確に行わせることができる。
【0068】
上記の各実施形態では、制御整流回路2を構成する各レグのサイリスタが各レグの上辺に設けられているが、各レグの下辺にサイリスタを設け、上辺にダイオードを設ける場合にも本発明を適用することができる。
【0069】
上記第2の実施形態では、図4に示されているように、タイマ付サイリスタトリガ手段6Aをトリガ信号供給回路605とタイマ606とにより構成したが、タイマ付サイリスタトリガ手段6Aをマイクロコンピュータによりソフトウェア的に構成するようにしてもよい。
【0070】
上記第2の実施形態では、回転速度検出手段により検出された回転速度が設定速度未満のときにトリガ停止猶予期間を第1のトリガ停止猶予期間T1とし、回転速度検出手段により検出された回転速度が設定速度以上であるときにトリガ停止猶予期間を第1のトリガ停止猶予期間よりも長い第2のトリガ停止猶予期間T2とするように猶予期間決定手段を構成したが、本発明は、猶予期間決定手段をこのように構成する場合に限定されない。例えば、発電機の回転速度とトリガ停止猶予期間の最適な長さとの関係を与える猶予期間演算用テーブルを実験的に作成してメモリに記憶させておいて、回転速度検出手段により検出された回転速度に対してこのテーブルを検索することによりトリガ停止猶予期間を決定するように猶予期間決定手段を構成するようにしてもよい。
【0071】
上記第2の実施形態では、発電機の出力電圧波形の零クロス点が検出される周期から発電機の回転速度を検出するように回転速度検出手段を構成したが、発電機の出力電圧のピーク点を検出する回路を設けて、該ピーク点が検出される周期から発電機の回転速度を検出するように回転速度検出手段を構成してもよい。回転速度検出手段は、発電機の回転速度を検出できるものであればよく、発電機の出力波形から発電機の回転速度を検出する代わりに、発電機の回転速度情報を含む信号を出力するセンサを発電機に取り付けて、このセンサの出力から発電機の回転速度を検出するように構成してもよい。例えば、三相交流発電機1として、磁石式交流発電機を用いる場合には、磁石回転子の磁極の極性を検出するホールICを発電機の固定子側に設けて、該ホールICから得られる矩形波信号の周期から発電機の回転速度を検出するように回転速度検出手段を構成してもよい。また発電機がエンジンにより駆動される場合には、エンジンを制御する制御ユニット内に設けられている回転速度検出手段からエンジンの回転速度情報を取得して、この回転速度情報から発電機の回転速度を検出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 三相交流発電機
2 制御整流回路
3 バッテリ
4 負荷
5 スイッチ
6 コントローラ
6A タイマ付サイリスタトリガ手段
6B 制御部
601 マイクロコンピュータ
602 バッテリ電圧検出回路
603 出力電圧検出回路
604 波形整形回路
605 トリガ信号供給回路
606 タイマ
7 充電制御ユニット
11 バッテリ電圧検出手段
12 設定電圧記憶手段
13 トリガ指令・トリガ停止指令発生手段
14 回転速度検出手段
15 猶予期間決定手段
16 タイマセット手段
図1
図2
図3
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