特許第6248043号(P6248043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6248043再生可能なソースからのエネルギー生産のためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248043
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】再生可能なソースからのエネルギー生産のためのシステム
(51)【国際特許分類】
   F03D 80/00 20160101AFI20171204BHJP
   F03D 3/04 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   F03D80/00
   F03D3/04 A
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-542949(P2014-542949)
(86)(22)【出願日】2012年11月26日
(65)【公表番号】特表2015-503053(P2015-503053A)
(43)【公表日】2015年1月29日
(86)【国際出願番号】IB2012002492
(87)【国際公開番号】WO2013076573
(87)【国際公開日】20130530
【審査請求日】2015年11月20日
(31)【優先権主張番号】BG2011A000048
(32)【優先日】2011年11月25日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517058691
【氏名又は名称】レム テック ソチエタ ア リスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(72)【発明者】
【氏名】アンゴリ ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】パルマ パオロ
(72)【発明者】
【氏名】ギデシ ジアンカルロ
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−012583(JP,A)
【文献】 特開2007−194178(JP,A)
【文献】 特開2000−008407(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3121915(JP,U)
【文献】 特表2005−516159(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/103378(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/111415(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 80/00
F03D 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能なソースからのエネルギー生産のためのシステムであって、垂直に配置された第1のポール及び第2のポールと、前記第1のポールに配置された軸線が垂直な風力発電装置及び前記第2のポールに配置された軸線が垂直な風力発電装置とを備えた支持構造体を備え、前記第1のポール及び前記第2のポールは、各々、それらの上端に配置された連結要素を備え、前記連結要素は、前記第1のポール及び前記第2のポールに固定される下側部分を備え、前記連結要素は、中間部分と上側部分を備え、第1のケーブルのための第1の受け部が、前記下側部分と前記中間部分との間に配置され、第2のケーブルのための第2の受け部が、前記中間部分と前記上側部分との間に配置され、前記第1のケーブルと前記第2のケーブルは、互いに垂直に配置され、前記第1のケーブルの端部及び前記第2のケーブルの端部は、地中に固定された杭によって地面に固定され、前記第1のポール及び前記第2のポールは、各々、地中に固定された杭に蝶番によって固定され、前記風力発電装置は、前記第1のポール及び前記第2のポールに取り付けることができるよう、長手方向の中心貫通孔を有しており、前記風力発電装置は、前記風力発電装置のための下側の第1の固定リングと、前記風力発電装置のための上側の第2の固定リングを備えており、前記風力発電装置が回転できるようにするため、それぞれの軸受けが前記第1の固定リングに及び前記第2の固定リングに連結され、前記第1の固定リング及び前記第2の固定リングは、前記支持ポールの外径よりも僅かに大きい直径のリングを形成して前記支持ポールのあらゆる非直線性を補償できるようにすることを特徴とするシステム。
【請求項2】
所定の間隔をおいて前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルに圧着された固定スリーブを備え、前記第1の受け部及び前記第2の受け部が、前記固定スリーブを保持することができることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のポール及び前記第2のポールに軸線を同じくして固定された前記風力発電装置に接続された発電手段を、備えていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
軸線を中心にして回転することのできる耐荷重性の水平な主管体を備え、前記主管体の端部が、前記第1のポールの上端及び前記第2のポールの上端に連結され、複数の2次管体が、主管体に垂直に可動の態様で固定され、それら自身の軸線を中心にして回転することができ、太陽エネルギー捕集パネルが、各々の前記2次管体に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記蝶番が、前記第1のポール及び前記第2のポールの各々に固定された穴のあいたプレートと、地中に固定された前記杭に固定された穴のあいたプレートを備え、ピンが、前記穴のあいたプレート両方の穴に挿通されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のポール及び前記第2のポールは、3mよりも大きな高さを有していることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記連結要素は、前記主管体を固定するための第1の側部部分と、存在することのある更に別の主管体を固定するための第2の側部部分を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記主管体は、主管体が伸長できるようにする摺動可能な継ぎ手を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の固定リング及び前記第2の固定リングは、各々、前記第1のポール及び前記第2のポールに固定される2個の2分割フランジを備えていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能なソースからのエネルギー生産のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、再生可能なエネルギー源であると考えられているのは、水力、太陽、風力、海洋、及び地熱エネルギーである。言い換えれば、それらのエネルギー源の現在の使用は、それらのエネルギー源の将来の利用可能性を毀損するものではない。
【0003】
最も一般に使用されている再生可能なエネルギー源は、太陽エネルギーと風力エネルギーである。
【0004】
太陽光発電プラントは、太陽エネルギーを利用して、光起電力効果によって電気エネルギーを生産する電力システムである。
【0005】
太陽追跡装置は、太陽光線に対して、光起電性パネル、太陽熱パネル又は太陽集光器を都合よく方向付けする電子的に制御される機械的システムである。
【0006】
風力発電プラントは、垂直軸又は水平軸のタービンを使用することにより、風の運動エネルギーを、電気エネルギーに変換する。
【0007】
有意義な電気エネルギー生産を達成するためには、前記のプラントは、相当な規模のものでなければならない。
【0008】
このことは、斯かるシステムは、厳しい気候条件に耐えられなくてはならないので、特に風力に耐えなければならないので、強靱な支持体及び非常に大きな土台を意味するものである。
【0009】
その結果、構造体の重量が莫大で、土台がかなりの大きさとなり、設置に時間と特殊な技能が必要となる。
【0010】
更に、斯かるプラントが、農地に配置されると、その土地で作業するのにかなりの制約が課せられ、その結果、斯かる作業に対する障害や妨害となる。
【0011】
国際出願公開第WO2010/103378号文書は、留め具のネットワークにより支持された太陽エネルギー捕集システムを、記述している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、下にある土地を全面的に利用可能にすることのできる再生可能なソースからのエネルギー生産のためのシステムを提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、容易に構築される支持構造を有する再生可能なソースからのエネルギー生産のためのシステムを提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、設置と撤去をするのが容易なシステムを提供することである。
【0015】
本発明の更に別の目的は、モジュール構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のこれらの目的及び更なる目的は、本発明により、再生可能なソースからのエネルギー生産のためのシステムであって、垂直に配置された第1のポール及び第2のポールと、前記第1のポールに配置された軸線が垂直な風力発電装置及び前記第2のポールに配置された軸線が垂直な風力発電装置とを備えた支持構造体を備え、前記第1のポール及び前記第2のポールは、各々、それらの上端に配置された連結要素を備え、前記連結要素は、前記第1のポール又は前記第2のポールに固定される下側部分を備え、前記連結要素は、中間部分と上側部分を備え、第1のケーブルのための第1の受け部が、前記下側部分と前記中間部分との間に配置され、第2のケーブルのための第2の受け部が、前記中間部分と前記上側部分との間に配置され、前記第1のケーブルと前記第2のケーブルは、互いに垂直に配置され、前記第1のケーブルの端部及び前記第2のケーブルの端部は、地中に固定された杭によって地面に固定され、前記第1のポール及び前記第2のポールは、各々、地中に固定された杭に蝶番によって固定され、前記風力発電装置は、前記第1のポール及び前記第2のポールに取り付けることができるよう、長手方向の中心貫通孔を有しており、前記風力発電装置は、前記風力発電装置のための下側の第1の固定リングと、前記風力発電装置のための上側の第2の固定リングを備えており、前記風力発電装置が回転できるようにするため、それぞれの軸受けが前記第1のリングに及び前記第2のリングに連結されていることを特徴とするシステムによって達成される。
【0017】
本発明の更なる特徴は、従属形式の請求項に記載されている。
【0018】
本発明によれば、土地をその本来の耕作の目的に適した状態に維持しながら、農地に大きなプラントを建てることができる。
【0019】
この点で、風力発電装置は、要求の多い耐力構造を用いることなしに、地面から或る高さに配置することができる。この解決策は、約5〜6mの高さで留め具によって所定の位置に維持される非常に細いポールを使用している。ポールと留め具が連結される基礎は、コンクリートの杭になり、できるだけ大きな農作物のためのスペースを残している。
【0020】
このようにして、約4.5mの通路間隔を有する杭の列が、地面に形成される。これが、農業用車両が動き回るための下にある土地の全面的な利用を、又はこの構造体が道路上に構築された場合には、道路を使用する車両のための申し分のない通路を、保証する。
【0021】
風力発電装置は、一般的には、ポールごとに個々に地面に固定される。対照的に、本願出願人は、幾つかのポールに関して共通の固定システムを用いることにより、システムをより軽くでき、下にある農作物の邪魔になる必要にせまられた大きい基礎を不要にできることを実現した。
【0022】
加えて、有益な実施の形態では、太陽光発電プラントの構造体が、風力発電装置を設置するのにも相乗的に利用されている。
【0023】
本発明の特徴及び利点は、添付図面に非限定の例示として示されている実施の形態の以下の詳細な説明により、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明による2個の要素を有する再生可能なソースからのエネルギー生産のためのシステムを示す図である。
図2】本発明による個の要素を有する再生可能なソースからのエネルギー生産のためのシステムを示す図である。
図3】本発明による支持ポール及び留め具を地面に固定するための構造を示す図である。
図4】本発明に従い支持ポールに取り付けられた風力発電装置の正面図である。
図5】本発明に従い支持ポールに取り付けられた風力発電装置の斜視図である。
図6】本発明による風力発電装置の2分割フランジを示す図である。
図7】本発明によるシステムのケーブル連結システムの詳細の分解図である。
図8】本発明によるシステムの摺動可能な伸縮継ぎ手の詳細の分解図である。
図9】組み合わされた風力及び太陽光を利用したエネルギー生産システムを示す図である。
図10】タービン固定システムの断面図である。
図11】発電手段を含むタービン固定システムの断面図である。
図12】ウインドブレードを支持ポールに固定するためのシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付図面を参照すると、本発明による再生可能なソースからのエネルギー生産のためのシステムが、張設構造体によって支持された、特に垂直軸線を持つ複数の風力発電装置10を備えている。
【0026】
各風力発電装置10は、直径が約10〜12cmで、肉厚が3〜4mmの鉄製支持ポール11によって支持されている。
【0027】
支持ポール11は、留め具のネットワークによって所定の位置に維持されている。
【0028】
支持ポール11及び留め具は、好ましくは地中に据えられた杭12によって、地面に固定されている。杭12は、地中に打ち込まれた、長さが2〜3mで、約30cmの直径のコンクリート管体からなっている。
【0029】
支持ポール11は、支持ポールの下端部に配置された連結ポイント13によって杭12に固定されている。
【0030】
基礎は、地中に打ち込まれた杭12からなっており、又は現場で形成されるマイクロパイル、即ち実質的に地中の或る深さで形成されたコンクリートのプラグからなっており、好都合である。
【0031】
杭12は、その上端に連結ポイント13を備え、穴のあいた垂直なプレート14を備えている。支持ポール11は、下端部が、間隔を空けた2枚の、穴の開いた垂直なプレート15となり、垂直なプレート14と協働しているのが好ましい。穴のあいた垂直なプレート14は、穴のあいた垂直なプレート15の間に挿入される。
【0032】
ピン16が、穴のあいた垂直なプレート14及び15の互いに向き合う穴に挿通され、支持ポール11が、支持ポール11の軸線と垂直な軸線を中心として回転できるようにしている。こうして、連結ポイント13は、蝶番を構成している。
【0033】
各風力発電装置10は、支持ポール11と軸線を同じくして配置された、例えばサボニウス型の、垂直軸のタービン17を備えている。タービン17は、例えば、高さが2mで、1mの直径を有している。
【0034】
タービン17は、支持ポール11に取り付けるための中心長手方向貫通孔を有している。
【0035】
タービンはまた、一端に発電手段19を有している。
【0036】
タービン17を、支持ポール11に固定するため、2対の2分割フランジ9を使用してタービンにねじ止めし、即ち、一方の対が上側にもう一方が下側になってねじ止めされてタービン17を支持ポール11に固定する固定リングを構成する
【0037】
2分割フランジ9の各々の対は、軸受け18の支持体として作用し、軸受け18は、タービン17が回転できるようにしている。3個又は4個の構造体40が、前記軸受け18に固定されて風受け面を形成し、風受け面を所定の位置に維持して、ウインドブレードを構成するのが好ましい。これらの可撓な面は、張力をかけることにより、形状が維持される。
【0038】
こうした張力付与は、ブレード面用に対向する支持構造体の間の距離を、上側から下側の順に変更することによって行われる。張力付与は、中央リングに挿入された適当なねじを調節することにより行われる。
【0039】
2分割フランジ9の各々の対は、支持ポールの外径よりも僅かに大きい直径のリングを形成し、このリングは、少なくとも3個の等距離の半径方向のねじによって固定され、これらのねじは、リングを支持ポールに連結させることを可能にし、支持ポールのあらゆる非直線性を補償できるようにする。
【0040】
このことは、必ずしも完全に直線状でないポールを使用できるようにするため、費用のかかるポールの機械加工を省くことを可能にし、特定の許容範囲内のポールの直線性を確保できるようにする。
【0041】
このようにして固定されたリングは、或る限界内で、支持ポールの直線性とは無関係に、軸線を同じくする固定ポイントが得られるようにするものである。
【0042】
これらのリングの組み立ては、リングの外側に固定された簡単な取り外し可能な支持構造体により簡略化され、この支持構造体は、リングを支持ポールに固定するねじを締める間、それらのリングを軸線が同じであるように維持する。
【0043】
タービン17は、上側又は下側リング9と近接して支持ポール11に直接取り付けられた環状体タイプの発電手段19を備えている。特に、永久磁石41が軸受け18に固定され、ブレードの回転の結果、対応するリング9に接続された固定子の巻線42内に電場を誘発させて、全体として多相リング発電手段を構成している。
【0044】
固定要素(又は連結クラウン)29が、支持ポール11の上端に固定されている。
【0045】
固定要素29は、固定要素を支持ポール11に固定するための下側部分21、中間部分22及び上側部分23を有している。
【0046】
ケーブル24のための受け部が、下側部分21と中間部分22との間に備わっている。
【0047】
中間部分22と上側部分23との間には、ケーブル24と垂直に配置されたケーブル25のための受け部が備わっている。
【0048】
したがって、固定要素29は、固定要素が支持ポール11の上端に取り付けられ、2本の互いに垂直なぴんと張った金属ケーブル24及び25が固定要素を横切ることができるように構成されている。
【0049】
2本のぴんと張った金属ケーブル24及び25は、固定要素29の構成部品に基本的に組み込まれている。
【0050】
下側部分21、中間部分22及び上側部分23は、ねじによって互いに接合されている。
【0051】
設計により計画された寸法決めに従って、(金属ケーブルの直径を増やす)固定スリーブ26が、工場において所定の間隔で高い精度で、ケーブルに予め当てがわれて圧着される。このようにして、これらの固定スリーブは、固定スリーブの位置が、支持ポール11間の距離を、既に高い精度で規定しているので、一種のアセンブリ・テンプレートを構成している。
【0052】
下側部分21、中間部分22及び上側部分23に配置された金属ケーブル24及び25のための受け部は、固定スリーブ26を保持できるように形成されている。
【0053】
したがって、金属ケーブルは、支持ポールを所定の位置に支持するためだけでなく、それらの支持ポールを高い精度で適正な距離を隔てて所定の位置に保持するためにも用いられ、そのため、支持ポールの上端間の距離の調節を不要にしている。
【0054】
本発明のシステムは、費用を少なくし、支持ポールの組み立てを簡単にし、高い精度を保証するものである。
【0055】
2本の互いに垂直な金属ケーブル24及び25は、各支持ポール11に達する。外側の支持ポールを取り扱う場合には、ケーブルは、杭12で地面に固定される。中間にある支持ポールを取り扱う場合には、金属ケーブルは、次の支持ポールへと進む。
【0056】
6個の支持ポール11を有するプラントに関しては、直径が18mmのスチール製ケーブルが用いられる。
【0057】
本発明の特に有益な実施の形態では、固定要素29の上側部分23の外側上方には、固定要素を主管体30に固定するねじに必要な幾つかの穴を有する2個のフランジがある。
【0058】
一方のフランジ27は、固定要素29を主管体30に固定する(固定要素29を支持する)ために用いられ、この第1のフランジと対向するもう一方のフランジ28は、固定要素29を第1の主管体30と一直線になった他の隣接した主管体30に固定する(固定要素29を支持する)ために用いられる。このようにして、主管体30の連続した列を構成することができる。
【0059】
水平方向に配置された主管体30は、主管体自体の軸線を中心にして回転することができる。主管体30には、主管体30に垂直に固定された複数の2次管体31が連結され、これらの2次管体31は、軸受けによって、2次管体自体の軸線を中心にして回転することができる。
【0060】
太陽エネルギー捕集パネル32が、各々の2次管体31に固定されている。
【0061】
主管体30は、(軽量)押し出しアルミニウムからなっているのが好ましく、長さが12mで、内部が約30〜40cmの直径を有する中空になっている。
【0062】
2次管体31は、主管体の両側で終了し、太陽エネルギー捕集パネル32をねじによって取り付け及び取り外しできるようにするフランジを有している。
【0063】
主管体30は、その両端において、留め具のネットワークによって所定の位置に維持された2個の支持ポール11に固定されている。
【0064】
2個の互いに整列した主管体30に関しては、2個の外側支持ポール11と1個だけの中間支持ポール11が必要である。
【0065】
主管体30の一端には、適切に主管体に固定されたモーターが備わっており、モーターの歯車は、固定要素29に固定された歯の付いた半円体(又は歯車)と係合する。このモーターは、主管体30を、主管体の軸線を中心にして回転させる。
【0066】
主管体30の更に内側には、2次管体31に固定された軸に固定されたピニオンを回転させるラックを駆動する別のモーターがある。この構造は、主管体30に固定された2次管体の対毎に設けられている。
【0067】
上記の解決策の代替として、歯車を、滑車とベルト(又はチェーン)を有するラックで置き換えてもよい。
【0068】
主管体30の他端には、摺動可能な伸縮継ぎ手33が配置されており、この伸縮継ぎ手は、伸長できるように入れ子式要素を備えた構造になっている。
【0069】
一方の入れ子式要素34が、固定要素29のフランジに固定され、他方の入れ子式要素35が、主管体30に固定されている。2個の入れ子式要素は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)リング36によって隔てられている。
【0070】
組み立て中は、最大伸張及び最大収縮が可能となるよう、摺動可能な端部が、支持構造体に固定される。
【0071】
伸縮継ぎ手33は、主管体30が、固定要素である支持ポイントを圧迫せずに熱膨張によって長くなれるようにする、又は逆に、固定要素が固定ポイントにおいてある程度の運動の弾力性を持てるようにし、このようにして金属ケーブルの弾力性を補償することができる。
【0072】
主管体30は、耐荷重性なので、主管体は、それ自体の重量、内部リンク機構の重量、太陽エネルギー捕集パネルが連結された回転シャフトの重量、及び太陽エネルギー捕集パネルの重量を支える。主管体の機械的特徴は、回転シャフトの位置とは無関係に、風力及び雪の荷重に耐えることである。
【0073】
種々の太陽エネルギー捕集パネル32及び/又はタービン17のための電気接続ケーブルは、主管体30の内側に配置され、太陽エネルギー捕集パネル32及び/又はタービン17によって発生した電流を運んでゆく。
【0074】
太陽追跡装置のための制御システムは、主管体30に組み込まれており、日時、地理的設置座標及び地面に平行な主軸線の北向きの方向付けに基づくアルゴリズムに従う天体力学の予測可能性から導かれる公知の技術により、太陽が太陽エネルギー捕集パネル32の捕集面に対して垂直であるように、太陽エネルギー捕集パネル32が太陽に向かって方向付けされた状態に絶えず維持することができる。
【0075】
各主管体30は、主管体自体に組み込まれた制御システムと、近くの主管体30と通信することのできる送受信装置を備えている。
【0076】
制御システムには、ジグビータイプのものであるのが好ましい送受信装置が備わっており、この送受信装置により、制御システムは、幾つかの発電装置及び1以上の管理センターからなるネットワーク内で通信することができる。各送受信装置は、ネットワーク内のノードを構成し、このノードは、自身のメッセージを直接伝達すること又は近くのノードから受信したメッセージを再送することができる。送受信装置の活動の半径は、最も近い送受信装置と通信することができるだけでなく、それらの送受信装置のうちの1個以上が故障した場合には、より遠い送受信装置とも通信することができるものでなければならない。この目的で、各送受信装置の活動の半径は、少なくとも主管体30の長さの4倍に等しい。
【0077】
典型的な例が、太陽追跡装置32及びタービン17と組み合わせた構造体の使用であり、この構造体は、12mの間隔をおいた平行な列になった長さが12mの主管体30と高さが5mのポールを有し、主管体30の一方の側に5個のパネル、もう一方の側に、釣り合いの問題を防止するために、一方の側のパネルと向き合う所定の位置に、5個のパネルを備えており、これらのパネルは、大きさが1mx2m(又はそれよりも大きい)で、約1.5m間隔をおいている。この構成を用いると、農作物の種類又はプラントの下を通ることのできる農業機械の大きさに対する制限がない。
【0078】
設備を高く据え付けることにより、発電装置及び電気系統は、地面からかなり離れて保たれるので、従業者の安全レベルが向上し、浸水しやすい土地又は湿地が使用できるようになる。
【0079】
留め具を有する構造体は、地面中に挿入するマイクロパイル又は杭を用いることにより、ほんのわずかな基礎工事で得られ、そのため、地上にある伝統的な太陽追跡装置が必要とする鉄筋コンクリートの基礎工事を課さなくてすむ。
【0080】
杭の列が据え付けられ、杭の列を横切って繋げるケーブルが杭の上端部を通過すると(ケーブルは、次いで、列になった杭の最初と最後で、地面に固定される)、この解決策は、簡単なレバーシステムを用いて支持ポールの下部にある枢軸を中心にして支持ポールを非常に容易に回転させることにより、支持ポールを地面から起こすことができる。支持ポールと基礎との間の接合部は、支持ポールを交換することができるよう引き抜くことができ、プラントの耐用年数の終わりには、構造体を解体できるようにし、基礎を地面から容易に撤去できるようにする枢軸からなっている。基礎は、その端部にある固定されたリングにおいて、基礎を地面から垂直に引き抜く持ち上げシステムに連結される。
【0081】
本発明のプラントは、全ての運動の軸線に沿って釣り合いがとれており、したがって、その運動には、最小限の力が要るだけである。これは、エネルギー消費の減少及び機械的部材の軽量化につながる。
【0082】
本発明の支持構造体は、下にある地面に相当な影響を与える、プラントの動作寿命の終わりに撤去するのが難しい鉄筋コンクリートの基礎を必要としない。
【0083】
上述した本発明のシステムの特徴により、タービンの取り付けが、特に簡単で経済的である。タービンの取り付けは、支持ポールの下部を蝶番でとめることに基づく設置システムによって、支持ポールを、設置中には地面に横たわった状態に維持し、その後に初めて直立位置に据える、新しい構造体を設置する場合と、前記蝶番が、固定リング及びタービンの環状体形状の部品を挿入することができるのに必要な分だけ、支持ポールを蝶番から切り離せるようにする既にある構造体の場合の両方において、完全に地上で行われる。この特徴は、前記タービンを交換するための保全作業、即ち、連続的な張設構造体(そのように呼ばれるのは、この構造体が、支持ポールの上端に配置されたソケットを貫通する連続的なケーブルからなっているからである)を取り外す必要がないので経済的な作業を、保証するのに根本的なものである。
【0084】
上述のように、支持ポールは、ブレードに当たる風及びそれによって支持ポールに伝達されるとてつもない曲げ応力に耐える必要がなく、その結果、寸法が小さいスチール製(又は木製であってもよい)の普通のポールを使用することができる。

【0085】
更に、支持ポールは、回転する必要がなく、代わりに、回転するのは、支持ポール自体に取り付けたタービンであり、そのため、支持ポールはごく普通のポールである。
【0086】
非常に長いポール、例えばこの場合のように約6mのポールに関しては、2個の又は3個ものタービンを、更に多くの固定リング9又は更に多くの軸受け18を用いてポールに上下に連ねて取り付けることができる。
【0087】
用いる材料と寸法は、必要条件と技術水準によって随意に選択することができる。
【0088】
このようにして案出された太陽光追跡装置は、多数の変更及び変更形態が可能であり、これらは全て本発明の概念の範囲に属するものである。更に、個々の部品は、技術的に同等の要素によって、取り替えることができる。
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