【課題を解決するための手段】
【0010】
この問題によりよく対処するために、本発明の第1の態様は画像処理装置を提供し、該画像処理装置は、符号化機能(encoding function)を使用して時系列の3次元[3D]画像を単一の3D画像へと組み合わせるプロセッサを備える。符号化機能は、単一の3D画像のボクセルにおいて、時系列の3D画像のそれぞれの同じ場所に配置されたボクセルの経時的な変化を符号化するように構成される。画像処理装置は、プロセッサを使用してそれぞれ第1及び第2の3D画像を生成するために第1及び第2の時系列の3D画像を取得するための入力部と、第1及び第2の時系列の3D画像の経時的な変化の比較表示を可能にするために共通視点から第1及び第2の3D画像を出力画像にレンダリングするためのレンダラとを備える。
【0011】
本発明の更なる態様では、上記の画像処理装置を含むワークステーション及び画像化装置が提供される。
【0012】
本発明の更なる態様では、方法が提供される。この方法は、符号化機能を使用して時系列の3次元[3D]画像を単一の3D画像へと組み合わせるためにプロセッサを使用するステップを含む。符号化機能は、単一の3D画像のボクセルにおいて、時系列の3D画像のそれぞれの同じ場所に配置されたボクセルの経時的な変化を符号化するように構成される。本方法は、プロセッサを使用してそれぞれの第1及び第2の3D画像を生成するために第1及び第2の時系列の3D画像を取得するステップと、第1及び第2の時系列の3D画像の経時的な変化の比較表示を可能にするために共通視点から第1及び第2の3D画像を出力画像にレンダリングするステップとを含む。
【0013】
本発明の更なる態様では、上記の方法をプロセッサ・システムに実行させる命令を含むコンピュータ・プログラム製品が提供される。
【0014】
プロセッサは、時系列の3D画像を単一の3D画像へと組み合わせるように構成される。ここで、3D画像という用語は、例えば立体(volumetric)画像要素、すなわち、いわゆるボクセルからなる立体画像、又は立体画像として解釈され得る3D画像、例えば一緒に立体画像を構成するか若しくは立体画像として解釈され得るピクセルからなる2Dスライスのスタックを意味する。時系列の3D画像を単一の3D画像へと組み合わせるために、符号化機能が使用される。符号化機能は、3D画像の時系列の各々の所与のボクセルで生じる経時的な変化が単一の3D画像の同じ場所に配置されたボクセルでどのように表現されるべきかを表現する。したがって、時系列の3D画像の所与の空間位置における経時的な値の変化が、単一の3D画像の同じ空間位置の値として表現される。
【0015】
入力部が、第1の時系列の3D画像及び第2の時系列の3D画像を取得する。次いで、プロセッサを使用して、第1の時系列の3D画像から第1の3D画像を生成する。したがって、プロセッサは第1の時系列の3D画像を組み合わせて第1の3D画像にする。さらに、プロセッサを使用して、第2の時系列の3D画像を組み合わせて第2の3D画像にする。次に、レンダラは、第1の3D画像及び第2の3D画像のボリュームレンダリングを行う。その結果、双方の3D画像のボリュームレンダリングを含む出力画像が得られる。双方の3D画像のボリュームレンダリングは、同じ視点からのものであり、すなわち、仮想カメラが同じ位置に位置付けられていることを要する。したがって、第1及び第2の3D画像の同じ一部分が出力画像に示される。
【0016】
その結果、出力画像が同じ視点からの双方の3D画像のボリュームレンダリングを含むことにより、第1及び第2の時系列の3D画像の経時的な変化に関して変化の比較表示を行う出力画像が得られる。したがって、ユーザは、出力画像を見ることによって、第1の時系列の3D画像と第2の時系列の3D画像の経時的な変化の間の差を直接決定することができる。
【0017】
本発明は、時系列の3D画像によって構成される実に多くの視覚情報のために、ユーザがいくつかの時系列の3D画像から関連情報を得るのに困惑するという認識に部分的に基づいている。しかし、発明者等は、ユーザに関連する情報は、典型的に、例えば時系列の3D画像の各々の経時的な変化それ自体ではなく時系列の3D画像の各々の経時的な変化の間の差に関連することを認識している。
【0018】
第1の時系列の3D画像を第1の3D画像へと組み合わせ、第2の時系列の3D画像を第2の3D画像へと組み合わせることによって、各時系列の経時的な変化が、2つのそれぞれの単一の3D画像において視覚化される。単一の3D画像の双方を出力画像にレンダリングすることによって、及びレンダリングに共通視点を使用することによって、各時系列の経時的な変化を同時に及び共通視点から示す、単一の出力画像が得られる。したがって、ユーザは、単一の出力画像を見ることによって経時的な変化の間の差を容易に得ることができる。
【0019】
有利には、ユーザは、第1及び第2の時系列の3D画像に含まれる関連情報をより容易に識別することが可能である。有利には、第1及び第2の時系列の3D画像を視覚的に検査又は比較するのに、時間がかからない。
【0020】
オプションとして、プロセッサは、追加の符号化機能を使用するように構成される。追加の符号化機能は、時系列の3D画像のそれぞれの同じ場所に配置されたボクセルの経時的な前記変化を異なるように符号化するために、上記符号化機能とは異なる。プロセッサは、符号化機能を使用して、第1の時系列の3D画像から第1の中間3D画像を、第2の時系列の3D画像から第2の中間3D画像を生成し、追加の符号化機能を使用して、第1の時系列の3D画像から第3の中間3D画像を、第2の時系列の3D画像から第4の中間3D画像を生成し、第1の中間3D画像、第2の中間3D画像、第3の中間3D画像及び第4の中間3D画像に応じて、第1及び第2の3D画像を生成するように構成される。
【0021】
プロセッサは、追加の符号化機能を使用して、時系列の3D画像のそれぞれの同じ場所に配置されたボクセルの経時的な前記変化の異なる態様を符号化する。例えば符号化機能は、経時的な変化のレート(rate)を符号化してよく、追加の符号化機能は、経時的な変化の大きさ(magnitude)を符号化してよい。符号化機能及び追加の符号化機能を使用して、第1の時系列の3D画像からそれぞれ第1及び第3の中間3D画像を生成し、第2の時系列の3D画像からそれぞれ第2及び第4の中間3D画像を生成する。したがって、時系列の3D画像の各々について、時系列の3D画像の各々の経時的な変化の異なる符号化を表す2つの中間3D画像が得られる。次に、4つの中間3D画像が全て、第1及び第2の3D画像の生成に使用され、第1及び第2の3D画像は、引き続いて、共通視点から出力画像にレンダリングされる。
【0022】
その結果、第1及び第2の時系列の3D画像の経時的な変化の2つの異なる態様の比較表示を可能にする出力画像が得られる。例えばユーザは、単一の出力画像を見ることによって経時的な変化のレートと大きさとの差を得ることができる。有利には、符号化機能に加えて追加の符号化機能を使用することによって、第1及び第2の時系列の3D画像の経時的な変化の間の差のより良い表示が出力画像において得られる。有利には、符号化機能及び追加の符号化機能は一緒に、経時的な変化をより確実に符号化する。
【0023】
オプションとして、プロセッサは、(i)第1の3D画像を第1の中間3D画像と第2の中間3D画像との間の差として生成し、(ii)第2の3D画像を第3の中間3D画像と第4の中間3D画像との間の差として生成するように構成される。したがって、第1の3D画像は、第1及び第2の時系列の3D画像の経時的な変化の間の第1の態様の差を直接的に示し、第2の3D画像は、その経時的な変化の間の第2の態様の差を直接的に示す。上述の第1及び第2の3D画像を出力画像にレンダリングすることによって、ユーザは、中間の視覚的解釈ステップを必要とすることなく前記差を直接見ることができる。有利には、ユーザは、第1及び第2の時系列の3D画像に含まれる関連情報を、より容易に見分けることができる。有利には、前記時系列の3D画像を視覚的に検査するのに、時間がかからない。
【0024】
オプションとして、レンダラは、(i)画像融合プロセスを使用して、第1及び第2の3D画像を融合3D画像へと組み合わせ、(ii)融合3D画像を出力画像にレンダリングするように構成される。画像融合プロセスを使用して、第1及び第2の3D画像を融合3D画像へと組み合わせることによって、第1及び第2の3D画像は、その後出力画像にレンダリングされる単一の3D画像へとマージされる。したがって、ユーザは、関連情報を単一のボリュームレンダリングから得ることができる。有利には、2つのボリュームレンダリングの比較に必要とされる中間の視覚的解釈ステップが省略されるので、ユーザは第1及び第2の時系列の3D画像の経時的な変化の間の差をより容易に見分けることができる。
【0025】
オプションとして、画像融合プロセスは、(i)第1の3D画像のボクセル値を、融合3D画像のボクセル値の色相、彩度、不透明度のグループのうちの少なくとも1つにマッピングするステップと、(ii)第2の3D画像のボクセル値を前記グループのうちの少なくとも別の1つにマッピングするステップとを含む。第1の3D画像のボクセル値を融合3D画像のボクセル値の一部分又は態様にマッピングすることによって、及び第2の3D画像のボクセル値を融合3D画像のボクセル値の異なる一部分又は態様にマッピングすることによって、第1及び第2の3D画像は融合3D画像において明確に区別可能である。有利には、ユーザは、第1の3D画像によって与えられる情報と第2の3D画像によって与えられる情報との間を出力画像において明確に区別することができる。
【0026】
オプションとして、プロセッサは、第1及び第2の3D画像を互いに位置合わせされた(registered)3D画像として得るために、位置合わせプロセス(registration process)を使用するように構成される。位置合わせプロセスを使用することによって、第1の3D画像によって与えられる情報と第2の3D画像によって与えられる情報との間の空間位置の差が減少又は除去されるので、改善された融合3D画像が得られる。有利には、空間位置の差を補償するために必要な中間の視覚的解釈ステップが省略されるので、ユーザは、出力画像における第1及び第2の時系列の3D画像の経時的な変化の間の差をより容易に知覚することができる。
【0027】
オプションとして、プロセッサは、融合3D画像を出力画像にレンダリングする代わりに、位置合わせプロセスの結果を評価し、位置合わせプロセスが失敗している場合に第1及び第2の3D画像の並列レンダリングを得るために第1及び第2の3D画像を出力画像の別個の表示域にレンダリングするように構成される。
【0028】
位置合わせプロセスが、例えば位置合わせプロセス自体の失敗のために、又は第1及び第2の時系列の3D画像の間の著しい差のために不十分な結果をもたらす場合、不十分な位置合わせ結果は不十分な融合3D画像となり、したがって、不十分な出力画像をもたらすことがあり得るので、融合3D画像のレンダリングは省略される。代わりに、第1及び第2の3D画像は各々個別にレンダリングされ、結果として得られる2つのボリュームレンダリングが出力画像に並列に表示される。ここで、表示域(viewport)という用語は、ボリュームレンダリングを表示するために使用される出力画像の一部分を指す。有利には、ユーザは、位置合わせプロセスが不十分な結果をもたらす場合に出力画像から誤った結論を導き出す可能性が低い。有利には、ユーザは、不十分な結果の原因をより容易に見分けることが可能である。
【0029】
オプションとして、プロセッサは、(i)第1の3D画像を第1の中間3D画像と第3の中間3D画像との組合せとして生成し、(ii)第2の3D画像を第2の中間3D画像と第4の中間3D画像との組合せとして生成するように構成される。したがって、第1の3D画像は、第1の時系列の3D画像の経時的な変化の双方の態様を組み合わせ、第2の3D画像は、第2の時系列の3D画像の経時的な変化の双方の態様を組み合わせる。上述の第1及び第2の3D画像を出力画像にレンダリングすることによって、ユーザは、第2の時系列の3D画像の関連情報とは別個の第1の時系列の3D画像の関連情報を得ることができる。有利には、第1及び第2の時系列の3D画像が本質的に異なる場合、例えば異なる対象である場合に、ユーザが出力画像によって混乱させられることは少ない。
【0030】
オプションとして、プロセッサは、第1の3D画像の生成、及び/又は第2の3D画像の生成に画像融合プロセスを使用するように構成される。画像処理プロセスは、第1の中間3D画像及び第3の中間3D画像を第1の3D画像へと組み合わせ、第2の中間3D画像及び第4の中間3D画像を第2の3D画像へと組み合わせるのにより良く適する。
【0031】
オプションとして、レンダラは、第1及び第2の3D画像の並列レンダリングを得るために、(i)第1の3D画像を出力画像の第1の表示域にレンダリングし、(ii)第2の3D画像を出力画像の第2の表示域にレンダリングするように構成される。第1の3D画像は、出力画像の第1の表示域に、すなわち、第1の3D画像を見るために設けられる出力画像の第1の部分に第1のボリュームレンダリングとしてレンダリングされ、第2の3D画像は、出力画像の第2の表示域に、例えば出力画像の第2の(したがって別個の)部分に第2のボリュームレンダリングとしてレンダリングされる。したがって、第1の3D画像及び第2の3D画像は出力画像に別々に視覚化される。有利には、ユーザは、出力画像における第1及び第2の時系列の3D画像によって与えられる情報を容易に区別することができ、その結果、双方の時系列の3D画像が、例えば本質的に異なり、異なる対象であるか、誤った選択を対象とする場合に混乱が少なくなる。
【0032】
オプションとして、画像処理装置は、ユーザがレンダリングの共通視点を変更できるようにするためのユーザ入力部を更に含む。したがって、ユーザは、レンダリングで使用される視点を変更することによって第1及び第2の3D画像を対話式に見ることができる。有利には、ユーザは、双方の3D画像を同時にナビゲートしてもよく、ナビゲートの間、出力画像において第1及び第2の時系列の3D画像の経時的な変化の比較表示を依然として得ることができる。
【0033】
オプションとして、第1の時系列の3D画像は、ベースライン期日における患者の器官及び/又は組織の灌流を示す患者のベースライン検査を構成し、第2の時系列の3D画像は、ベースライン期日及び追跡期日における灌流の比較表示を可能にするために追跡期日における患者の器官及び/又は組織の灌流を示す患者の追跡検査を構成する。灌流(perfusion)という用語は、比較的短い期間、例えば秒、分、時間にわたる時系列の画像の各々内、すなわち、患者の単一の検査内の血流又は他の流体の流れの経時的な変化を意味する。画像処理装置は、ベースライン期日と追跡期日とにおける灌流の比較表示を可能にする。実際上、その比較表示は、経時的な灌流の変化、すなわち、ベースライン期日と追跡期日との間の変化の表示を行う。しかし、明確さのために、経時的な変化(change over time)という用語は、普通なら、時系列の3D画像の各々内の変化、例えば灌流の変化に対する変化ではなく灌流に対する変化を指すのに使用される。
【0034】
本発明の上述の実施形態、実施態様及び/又は態様の2つ又はそれ以上を、有用と思われる任意の方法で組み合わせてもよいことが当業者には理解されよう。
【0035】
画像処理装置について説明される変更及び変形に対応する変更及び変形が、ワークステーション、画像化装置、方法及び/又はコンピュータ・プログラム製品に対して、本明細書に基づいて当業者によって行われる可能性がある。
【0036】
本方法は、これらに限られないが、標準X線画像化、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像化(MRI)、超音波(US)、陽電子放射断層撮影(PET)、単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)及び核医学(NM)のような、様々な取得手段によって取得される多次元の画像データに適用され得ることが当業者には理解されよう。多次元画像データの次元は、時間に関連する可能性がある。例えば3次元画像は、2次元画像の時間領域系列を含むことができる。
【0037】
本発明は独立請求項において定義される。有利な実施形態は従属請求項において定義される。
【0038】
本発明のこれら及び他の態様は、以下で説明される実施形態から明らかであり、以下で説明される実施形態を参照して明瞭にあるであろう。