(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
なお、本明細書において、パチンコ機Pに設けられた各構成部品についての、前後(正面背面)、左右(側面)、上下(平面底面)の方向は、各構成部品をパチンコ機Pに固定した状態でパチンコ機Pを正面視したときの方向を示すものとする。
【0012】
(パチンコ機Pの外部構成)
本形態に係る遊技機は、遊技媒体として遊技球を使用するパチンコ機Pである。特に図示していないが、一般的に、パチンコ機Pが設置される遊技場においては、島と呼ばれる遊技機の設置領域に、複数台のパチンコ機Pが並べて配設されるとともに、遊技球を貸し出すための遊技球貸出装置(特に図示しておらず)が各パチンコ機Pに隣接して設置される。また、各パチンコ機Pは対応する遊技球貸出装置に接続されている。
遊技球貸出装置は、紙幣の投入や遊技球の貸し出しに必要な価値情報が記憶される記憶媒体(カード)の挿入が可能となっている。そして、遊技球貸出装置に紙幣を投入(又は、カードを挿入)した上で、パチンコ機Pに対して所定の操作を行うことにより、遊技球貸出装置Rから遊技球の貸し出しを受けることができるようになっている。
【0013】
本形態に係るパチンコ機Pは、
図1又は
図2に示すように、島に固定される四角形状の枠体であって、中空部(特に図示しておらず)を有する機枠F1と、この機枠F1にヒンジ機構(特に図示しておらず)により開閉自在に取り付けられる四角形状の枠体であって、中空部(特に図示しておらず)を有する本体枠F2と、この本体枠F2にヒンジ機構(特に図示しておらず)により開閉自在に取り付けられ、正面に開口部(特に図示しておらず)が形成された前扉Dと、を備えている。
【0014】
機枠F1の左下部には、
図2に示すように、下スピーカSP2が設けられている。また、本体枠F2の中空部には、透明なアクリル板からなる遊技盤110と、遊技盤110の後方に配置されるセット板100が収容されている(
図3参照)。なお、
図2及び
図3においては、遊技盤110の盤面の構成を省略している。セット板100は、前後方向に貫通する開口部を有する箱形の部材であり、セット板100の背面部には、パチンコ機Pの作動を制御する制御装置(特に図示しておらず)や、画像を表示するための液晶表示装置200が取り付けられるとともに、セット板100の正面側の開口部内には、遊技に伴う演出を行うための演出役物装置1が配置されている。この演出役物装置1の詳細については後述する。
【0015】
また、
図1に示すように、前扉Dには、開口部を覆う透明板400と、透明板400の下方に位置し遊技球を受容可能な上皿600及び受皿700と、受皿700の右方に取り付けられ遊技球の発射操作を行うための操作ハンドル500と、透明板400の左右上方にそれぞれ1個ずつ取り付けられた上スピーカSP1と、が設けられている。また、前扉Dの外周には、種々の色や発光パターンで発光することにより演出を行う演出ランプ230が設けられている。なお、この演出ランプ230は、特に図示していないが、複数色の発光が可能なLEDにより構成されている。
【0016】
そして、パチンコ機Pでは、機枠F1に対して本体枠F2を閉じ、さらに、前扉Dを閉じると、遊技盤110の前方に透明板400が位置することとなる。これにより、透明板400を介して、後方に位置する遊技盤110を視認することができるとともに、遊技盤110のさらに後方に位置する演出役物装置1および液晶表示装置200の表示画面210を、透明な遊技盤110越しに視認することができるようになっている。
【0017】
また、上皿600には、遊技球貸出装置により貸し出される遊技球や、パチンコ機Pから払い出される賞球が導かれるようになっている。上皿600は、所定量の遊技球を受容可能となっているが、この上皿600が遊技球で一杯になると、その後に貸し出されたり、払い出されたりする遊技球は受皿700に導かれるようになっている。また、受皿700の底面には、特に図示していないが、貯留されている遊技球を排出するための排出孔と、排出孔を開閉可能な開閉板と、が設けられている。常態において、排出孔は開閉板により閉じられているものの、開閉板と一体に取り付けられた開閉レバー800(
図1参照)を横方向に移動させることで、開閉板も同方向に移動し、排出孔が開放される。これにより、遊技球を排出孔から落下させて、受皿700の外に排出することができるようになっている。
【0018】
前記操作ハンドル500は、遊技球を打ち出すためのものであり、遊技者が回転操作可能に形成されている。ここで、上皿600は、図示しない遊技球の発射装置に遊技球を供給する供給通路(図示せず)を備えており、上皿600の遊技球が供給通路から発射装置に供給された状態で遊技者が操作ハンドル500を回転させて発射操作を行うと、当該操作ハンドル500の回転角度に応じた強度で、図示しない発射機構によって遊技球が発射される。
【0019】
遊技盤110の盤面には、
図3及び
図4に示すように、金属製の外レールR1及び内レールR2からなるガイドレールRが設けられている。そしてこのガイドレールRによって略円形状に仕切られた領域が、遊技領域120を形成する。また、遊技領域120の左側方の領域において、外レールR1と内レールR2との間には、遊技球の発射通路が形成されており、発射機構から発射された遊技球は、発射強度が十分な場合に発射通路内を外レールR1に沿って上り、遊技領域120の左上部から遊技領域120内に放出される。
【0020】
遊技領域120は、
図4に示すように、パチンコ機Pに対向する遊技者から見て左側の領域である第1遊技領域121と、パチンコ機Pに対向する遊技者から見て右側の領域である第2遊技領域122とから構成されている。これら2つの遊技領域120は、発射装置の発射強度により、遊技球の進入可能性が異なるようになっている。具体的には、発射装置の発射強度が所定の強度未満(発射装置により発射される遊技球が遊技領域120の最高地点に到達しない程度の強度)の場合には、遊技球は第1遊技領域121に進入する。これに対して、発射装置の発射強度が所定の強度以上(発射装置により発射される遊技球が遊技領域120の最高地点に到達可能な強度)の場合には、遊技球は第2遊技領域121に進入する。
【0021】
また、この遊技領域120内には、
図4に示すように、遊技球の流下方向を不規則にするための風車及び多数の釘と、遊技球が通過可能なゲート130と、遊技球が入球可能な一般入賞口140と、始動領域としての第1始動入賞口150及び第2始動入賞口160と、所定条件を満たすことで作動するアタッカー装置170と、遊技球を遊技領域120外へ導くアウト口190と、が設けられている。また、遊技領域120の中央部には、セット板100に固定された液晶表示装置200の表示画面210が位置しており、透明な遊技盤110を透して表示画面210を視認可能となっている。
【0022】
一般入賞口140は、遊技領域120の下方に複数個設けられている。一般入賞口140の設置個数及び設置位置は図示した態様に限られない。一般入賞口140へ遊技球が入球すると、所定個数の賞球が払い出される。
第1始動入賞口150は、遊技領域120の中央下部に設けられている。本実施の形態では、第1始動入賞口150へは、第1遊技領域121を流下する遊技球を受け入れ可能であり、第2遊技領域122を流下する遊技球は、第1始動入賞口150へは入球できないようになっている。
【0023】
また、第2始動入賞口160は、ゲート130の下方に設けられている。第2始動入賞口160には、
図4に示すように、左右に開閉可能な可動片161が一対設けられており、可動片161が閉じているときには第2始動入賞口160は遊技球を受け入れることができないようになっている。一方、可動片161が開くと、開いた状態の可動片161が第2遊技領域122を流下する遊技球を第2始動入賞口160へ向けて案内するガイド部材として機能することにより、第2始動入賞口160への遊技球の入球が容易となる。
なお、可動片161の構成は特に限定されるものではなく、たとえば、遊技盤110に直交する軸を中心に左右方向に回動して第2始動入賞口160を開閉する一対の羽根部材や、水平な軸を中心に前後方向に回動して第2始動入賞口160を開閉する蓋部材により構成してもよいし、また、上下方向にスライドして第2始動入賞口160を開閉するシャッター部材により構成してもよい。
【0024】
第1始動入賞口150又は第2始動入賞口160へ遊技球が入球すると、所定個数の賞球が払い出されるとともに、大入賞口180が開放される特別遊技を実行するか否かの大当たりの抽選が行われる。また、特別遊技には、大入賞口180の開放回数や開放時間、特別遊技終了後に移行する遊技状態の違いなどがそれぞれ異なる複数種類が設けられており、いずれの特別遊技を実行させるかは、各特別遊技に対応付けられた複数種類の特別図柄の中から一の特別図柄を決定する特別図柄の抽選により決定される。
【0025】
ここで、
図4に示すように、遊技盤11の右下部であって、かつ、遊技領域120の外側には、遊技についての種々の状況を表示するための装置として、第1特別図柄表示装置300、第2特別図柄表示装置310、普通図柄表示装置320、第1特図保留表示装置330、第2特図保留表示装置340、及び普通図柄保留表示装置350が設けられている。
そして、第1始動入賞口150へ遊技球が入球すると、第1特別図柄表示装置300において、所定時間にわたり特別図柄の変動表示が行われ、第2始動入賞口160へ遊技球が入球すると、第2特別図柄表示装置310において、所定時間にわたり特別図柄の変動表示が行われる。また、この間、液晶表示装置200の表示画面210では所定の変動演出が行われる。そして、所定時間の経過後、第1特別図柄表示装置300又は第2特別図柄表示装置310の変動表示が停止し、大当たり抽選の結果を示す特別図柄が停止表示される。所定の特別遊技が当選している場合には当該特別遊技に対応付けられた特別図柄が停止表示され、ハズレの場合にはハズレに対応付けられた所定の図柄が停止表示される。液晶表示装置200においても図柄変動を停止させて、抽選結果に応じた図柄を停止表示させる。特別遊技に対応付けられた特別図柄が停止表示された場合には、特別遊技が開始される。
【0026】
またここで、第1特別図柄表示装置300又は第2特別図柄表示装置310において特別図柄の変動表示が行われている最中、又は特別遊技の実行中に、第1始動入賞口150又は第2始動入賞口160に遊技球が入球した場合には、その旨が記憶(保留)され、第1始動入賞口150への遊技球の入球に基づく記憶数(保留数)は第1特図保留表示装置330に、第2始動入賞口160への遊技球の入球に基づく保留数は第2特図保留表示装置340に、それぞれ表示される。例えば点灯するランプの数により、保留数が報知される。そして、特別図柄の変動表示が終了し又は特別遊技が終了した場合には、保留に基づいて大当たりの抽選及び特別図柄の抽選が行われる。保留は最大4個まですることができ、保留に基づいて大当たりの抽選及び特別図柄の抽選が行われると保留数が減じられ、それに伴い第1特図保留表示装置330、第2特図保留表示装置340の表示も減じられる。
【0027】
ゲート130は、
図4に示すように、第2遊技領域122の上方に設けられている。このゲート130を遊技球が通過すると、上述の第2始動入賞口160に設けられた可動片161を開状態にさせて第2始動入賞口160を開放させるか否かの抽選が行われる。この抽選は、第2始動入賞口160の開放(当たり)、非開放(ハズレ)にそれぞれ対応付けられた複数種類の普通図柄の中から一の普通図柄を決定する普通図柄の抽選として行われる。そして、当該抽選の結果が当たりであった場合、可動片161が所定時間、開状態となり、第2始動入賞口160が開放されるようになっている。
【0028】
また、ゲート130を遊技球が通過すると、
図4に示す普通図柄表示装置320において、所定時間にわたり、普通図柄の変動表示が行われる。そして、変動時間の経過後、普通図柄表示装置320の変動表示が停止し、普通図柄の抽選の結果を示す普通図柄が停止表示される。すなわち、当たりの場合には当該当たりに対応付けられた普通図柄が停止表示され、ハズレの場合にはハズレに対応付けられた所定の図柄が停止表示される。当たりに対応付けられた普通図柄が停止表示されると、第2始動入賞口160が開放される。第2始動入賞口160が開放されている場合には、より多くの遊技球を第2始動入賞口160へ入球させることができ、大当たりの抽選を受ける機会が増え、第2始動入賞口160が開放されていない場合よりも有利な状態とすることができる。
【0029】
ここで、普通図柄表示装置320において普通図柄の変動表示が行われている最中に、ゲート130を遊技球が通過した場合には、上記と同様に最大4個まで保留され、普通図柄保留表示装置350に保留数が表示される。そして、普通図柄の変動表示が終了した場合には、保留に基づいて普通図柄の抽選が行われ、保留数が減じられるとともに普通図柄保留表示装置350の表示が減じられる。
【0030】
アタッカー装置170は、
図4に示すように、第2遊技領域122の右下方に設けられている。このアタッカー装置170は、遊技球が入球可能な大入賞口180と、この大入賞口180を開閉する開閉羽根181と、大入賞口180の近傍を流下する遊技球の流下を妨げない開放位置、及び大入賞口180の近傍を流下する遊技球を大入賞口180へと誘導する誘導位置(
図10参照)に変位可能な誘導羽根182とを備えている。常態においては、開閉羽根181が閉状態となって大入賞口180は閉鎖されているとともに、誘導羽根182が開放位置となっているため、大入賞口180の近傍では遊技球はそのまま流下し、大入賞口180への遊技球の入球は不可能となっている。一方、上述の特別遊技が実行されると、開閉羽根181が開状態(
図10参照)に変位するとともに、誘導羽根182が誘導位置に変位して、誘導羽根182及び開閉羽根181が遊技球を大入賞口180へ導く受皿部材として機能することにより、大入賞口180への遊技球の入球が可能となる。また、当該大入賞口180へ遊技球が入球すると、所定個数の賞球が払い出される。
【0031】
アウト口190は、
図4に示すように、遊技領域120の最下部に設けられており、一般入賞口140、第1始動入賞口150、第2始動入賞口160及び大入賞口180のいずれにも入球しなかった遊技球を受け入れるものである。そして、アウト口190に受け入れられた遊技球は、遊技盤110の背面側に導かれ回収される。
なお、一般入賞口140、第1始動入賞口150、第2始動入賞口160及び大入賞口180に入球した遊技球も、遊技盤110の背面側に導かれ回収される。
【0032】
液晶表示装置200の表示画面210は、
図4に示すように、遊技領域120の略中央に配置されるものとなっており、表示画面210には、背景画像が表示されるほか、所定の演出態様の一部として、演出図柄(ダミー図柄)が変動表示されるようになっている。そして、各演出図柄の停止表示態様により、特別図柄の抽選や普通図柄の抽選の結果が遊技者に報知されることとなる。
なお、遊技盤110の盤面において、大入賞口180の近傍には、基板面に複数のLED(図示せず)が搭載された大入賞口発光部60(
図4参照)が設けられている。大入賞口発光部60は、大入賞口180に遊技球が入球した場合に、発光表示によってその旨を報知するためのものである。また、本実施の形態では、上記以外にも、大入賞口発光部60の発光表示が、以下に述べる演出役物装置1の作動と連動して行われる場合があるようになっているが、これについては後述する。
【0033】
(演出役物装置1)
次に、演出役物装置1の構造について詳述する。
演出役物装置1は、
図3及び
図5示すように、大きく分けて、上可動体20と、下可動体30と、上可動体20を昇降移動させるための上可動体昇降機構40と、下可動体30を昇降移動させるための下可動体昇降機構50と、上可動体20、下可動体30、上可動体昇降機構40及び下可動体昇降機構50を支持固定するベース部材10とから構成されている。
【0034】
(ベース部材10)
ベース部材10は、
図3に示すように、演出役物装置1の左右側に位置する薄板状の部材であり、右側に位置する右ベース板10Rと、左側に位置する左ベース板10Lとから構成されている。
左ベース板10Lの上端付近には、上可動体20を上下方向に揺動可能に軸止する支持軸11が設けられているとともに、右ベース板10R及び左ベース板10Lの正面には、
図3及び
図5に示すように、それぞれ、前方に突出する中固定部12及び表下固定部13が設けられている。中固定部12及び表下固定部13は、下可動体昇降機構50を取り付けるための箱体である。また、右ベース板10Rの背面には、
図3及び
図7に示すように、後方に突出する裏上固定部14及び裏下固定部15が設けられている。裏上固定部14及び裏下固定部15は、上可動体昇降機構40を取り付けるための箱体である。
【0035】
右ベース板10R及び左ベース板10Lの間には、下可動体30が上下方向にスライド可能に取り付けられ、左ベース板10Lの支持軸11には上可動体20の左端部が揺動可能に軸支され、上可動体20の右端部は右ベース板10Rに上下方向にスライド可能に支持される。そして、ベース部材10は、上可動体20、下可動体30、上可動体昇降機構40及び下可動体昇降機構50を取り付けた状態で、セット板100に固定される。
なお、図示した例では、左ベース板10Lが単一の板部材となっているが、左ベース板10Lが、上可動体20を支持する部分と、下可動体30支持する部分とに分割された構造としてもよい。この場合には、左ベース板10Lの無駄な部分を省くことができるので、演出役物装置1をより軽量化することができる。
【0036】
(上可動体20)
上可動体20は、
図5に示すように、正面視すると剣の形をした板状の部材であり、剣の刃の部分に該当する第1部材21と、剣の柄の部分に該当する第2部材22と、から構成されている。
ここで、第1部材21は、
図6(B)に示すように、表板211と裏板212とから構成されており、第2部材22も同様に、表板221と裏板222とから構成されている。そして、第1部材21の表板211と裏板212の間に生じた隙間213に第2部材22の裏板222が挿入されるとともに、第2部材22の表板221と裏板222の間に生じた隙間223に第1部材21の表板211が挿入されて、第1部材21と第2部材22とが合体して上可動体20を構成している。
【0037】
また、
図6(A)に示すように、第2部材22の裏板222の背面には、円柱状のボス22Bが2つ形成されているとともに、第1部材21の裏板212には、前記ボス22Bを嵌入可能な長さ方向の長孔21Bが2つ形成されている。そして、
図6(C)に示すように、長孔21Bの長さの範囲内で第1部材21と第2部材22の長さ方向の位置関係が変動し、上可動体20の全体の長さが伸縮するように形成されている。
また、第1部材21の剣先側(
図5における右側、
図6における左側)の端部には、ピン23を介して、後述する上可動体昇降機構40のスライド部材46を連結するためのピン孔21A(
図6参照)が設けられており、第2部材22の柄本側(
図5における左側、
図6における右側)の端部近傍には、左ベース板10Lの支持軸11を挿通可能な軸孔22A(
図6参照)が設けられている。
【0038】
さらに、第1部材21の正面には、
図5に示すように、第1部材21の長さ方向に長い可動体発光部70が、幅方向に2つ並んで設けられている。各可動体発光部70は、基板面に複数のLED(図示せず)が搭載されたものであり、上可動体20が作動する場合に発光表示されるものである。
なお、図示した例では、第1部材21の正面に可動体発光部70を設けているが、第1部材21の表板211を二重構造にして、表面側の板が中央から幅方向(
図5における上下方向)に分割されるように形成し、表面側の板の下側に可動体発光部70を設けてもよい。そして、第1部材21が分割されたときに可動体発光部70を発光表示させるようにしてもよい。
【0039】
上可動体20は、軸孔22Aに支持軸11を挿通させてその左側(剣の柄側)が左ベース板10Lの上端部に揺動可能に支持されるとともに、その右側(剣の刃先側)には、ピン孔21A及びスライド部材46に設けられたピン孔46A(
図7(B)参照)にピン23を挿通させてスライド部材46が取り付けられる。上可動体20は、スライド部材46に対しても上下方向に揺動可能となる。そして、上可動体昇降機構40のガイドシャフト45に沿ってスライド部材46が上下方向に移動することにより上可動体20の右側が昇降移動し、上可動体20が、
図5に示す水平位置と、
図9に示す傾斜位置との間で変位するものとなる。
【0040】
(下可動体30)
下可動体30は、
図5に示すように、中央部に位置する円板状の装飾板31と、装飾板31から左右に伸びるアーム部32,32と、から構成されている。
装飾板31の正面には、装飾部材が装着されている。装飾部材は、内部に設けられた発光体(LEDなど)の点灯により発光表示されるようにしてもよい。また、装飾板31は、前後方向の回転軸を中心に回転するように形成されていてもよい。
アーム部32,32の端部には、後述する下可動体昇降機構50のスライド部材56,56が固定される。そして、下可動体昇降機構50のガイドシャフト55に沿ってスライド部材56,56が上下方向に移動することにより下可動体30が昇降移動し、下可動体30が、
図5に示す下方位置と、
図8に示す上方位置との間で変位するものとなる。
【0041】
(上可動体昇降機構40)
上可動体昇降機構40は、
図5及び
図7に示すように、右ベース板10Rの裏上固定部14の正面に設けられた駆動モータ41と、裏上固定部14及び裏下固定部15のそれぞれに内蔵されたベルト車42,42と、ベルト車42,42に掛け渡されたベルト44と、裏上固定部14に内蔵されたベルト車42と駆動モータ41とを連結する連結ギア43と、裏上固定部14と裏下固定部15との間に取り付けられた一対のガイドシャフト45,45と、ガイドシャフト45,45に沿って上下動可能なスライド部材46と、を備えている。
【0042】
駆動モータ41は、ベルト車42を回転させるためのステッピングモータであり、連結ギア43は、駆動モータ41の駆動軸の回転をベルト車42に伝達するためのものである。ベルト車42,42はそれぞれ、前後方向に設けられた支持軸を中心に回転可能に取り付けられている。ベルト44は、平ベルトでもVベルトでもよい(下可動体昇降機構50のベルト55において同じ)。また、ベルト44の一カ所は、スライド部材46に設けられたベルト固定部46B(
図7(B)参照)に固定されている。スライド部材46には、ガイドシャフト45,45及びベルト44を貫通させる縦穴が設けられている。そして、ベルト車42が回転することにより掛け渡されたベルト44が循環移動し、ベルト44を固定したスライド部材46がガイドシャフト45,45に沿って上下方向に移動するようになっている。
【0043】
ここで、
図5及び
図7(A)に示すように、右ベース板10Rの正面側上端部には、スライド部材46が裏上固定部14の直下となる最上位置にあるとき、スライド部材46を移動不能にロックするロック機構47が設けられている。ロック機構47は、特に図示していないが、ソレノイドの作動により位置移動する係止部(例えば出没ピンや回動フック)を備えており、スライド部材46が最上位置にあるときには、前記係止部がスライド部材46に設けられた被係止部(例えば孔や突起)と係合して、スライド部材46の下方向への移動を阻止している。そして、ソレノイドが作動すると係止部と被係止部の係合が解除されて、スライド部材46が下方向に移動可能となる。
【0044】
(上可動体20の作動)
上記構成を有する上可動体昇降機構40による上可動体20の作動について説明する。
まず、初期状態においては、
図5に示すように、上可動体20は水平位置にある。このとき、スライド部材46はロック機構47によって最上位置にロックされている。
なお、裏上固定部14には、特に図示していないが、最上位置にあるスライド部材46を検知する上センサが設けられており、初期状態では、この上センサが検知状態となっている。
【0045】
そして、所定の契機でロック機構47のソレノイドが作動しロックが解除されると、スライド部材46は、スライド部材46及び上可動体20の自重によって、ガイドシャフト45,45に沿って下方向に移動(落下)する。このとき、上述の上センサは非検知状態となる。スライド部材46の落下に伴い、上可動体20の右側が下降する。この際、上可動体20は支持軸11を中心に正面視時計回りの方向に回動するが、スライド部材46が下方に移動するにつれ、支持軸11とピン23との距離が広がるので、第1部材21がスライド部材46に引っ張られて、上可動体20は長さ方向に伸びながら回動する。
ここで、
図5及び
図7(B)に示すように、裏下固定部15の上端部には、上面にゴムなどの弾性部材を装着したストッパ16が設けられている。そして、降下したスライド部材46の下面がストッパ16に当接することにより、スライド部材46は裏下固定部15の直上となる最下位置で停止するとともに、上可動体20が
図9に示す傾斜位置で停止する。
【0046】
なお、スライド部材46が落下する際、ベルト固定部46Bに固定されているベルト44が下方に引っ張られてベルト車42,42が回転し、これによって駆動モータ41の駆動軸が回転すると、駆動モータ41の消耗を早めるおそれがある。また、駆動停止している駆動モータ41の駆動軸がロックされている(回転力を与えても回転しない)場合には、スライド部材46の落下を妨げるおそれがある。そこで、例えば、ワンウエイクラッチ等を用いて、ベルト車42がスライド部材46を落下させる方向(
図7(B)に示す時計回り方向)に回転する場合には、連結ギア43がベルト車42の回転を駆動モータ41の駆動軸に伝達しないような構造にしておくと好ましい。あるいは、スライド部材46が落下する際には、ベルト固定部46Bとベルト44の固定が解除されるようにしてもよい。
【0047】
さて、傾斜位置にある上可動体20を水平位置に戻す場合には、駆動モータ41を駆動させて、裏上固定部14に内蔵されたベルト車42を、スライド部材46を上方に移動させる方向(
図7(B)に示す反時計回り方向)に回転させる。ベルト車42の回転に伴うベルト44の循環移動によって、スライド部材46がガイドシャフト45,45に沿って上方に移動する。これにより、上可動体20の右側が上昇する。この際、上可動体20は支持軸11を中心に正面視反時計回りの方向に回動するが、スライド部材46が上方に移動するにつれ、支持軸11とピン23との距離が狭まるので、第1部材21がスライド部材46に押されて、上可動体20は長さ方向に縮みながら回動する。
【0048】
スライド部材46が初期状態の位置(初期位置=最上位置)まで移動すると、上可動体20は水平位置になり、上センサがスライド部材46を検知する。上センサが非検知状態から検知状態になると、駆動モータ41が駆動を停止する。また、スライド部材46が最上位置に移動すると、ロック機構47が自動的にロック状態となり、スライド部材46の下方への移動を阻止する。このようにして、上可動体20は水平位置で固定される。
【0049】
(下可動体昇降機構50)
下可動体昇降機構50は、
図5に示すように、右ベース板10Rに設けられた下可動体昇降機構50Rと、左ベース板10Lに設けられた下可動体昇降機構50Lとから構成される。右側の下可動体昇降機構50Rと左側の下可動体昇降機構50Lは同一の機構的構成を備えている。以下の説明において、単に下可動体昇降機構50というときは、左右の下可動体昇降機構50L、50Rを含むものとする。
下可動体昇降機構50は、
図5及び
図7に示すように、ベース部材10の表下固定部13の裏面に設けられた駆動モータ51と、中固定部12及び表下固定部13のそれぞれに内蔵されたベルト車52,52と、ベルト車52,52に掛け渡されたベルト54と、表下固定部13に内蔵されたベルト車52と駆動モータ51とを連結する連結ギア53と、中固定部12と表下固定部13との間に取り付けられた一対のガイドシャフト55,55と、ガイドシャフト55,55に沿って上下動可能なスライド部材56とを備えている。
【0050】
駆動モータ51は、ベルト車52を回転させるためのステッピングモータであり、連結ギア53は、駆動モータ51の駆動軸の回転をベルト車52に伝達するためのものである。ベルト車52,52はそれぞれ、前後方向に設けられた支持軸を中心に回転可能に取り付けられている。また、ベルト54の一カ所は、スライド部材56に設けられたベルト固定部56A(
図5参照)に固定されている。スライド部材56には、ガイドシャフト55,55及びベルト54を貫通させる縦穴が設けられている。そして、ベルト車52が回転することにより掛け渡されたベルト54が循環移動し、ベルト54を固定したスライド部材56がガイドシャフト55,55に沿って上下方向に移動するようになっている。
【0051】
(下可動体30の作動)
上記構成を有する下可動体昇降機構50による下可動体30の作動について説明する。
まず、初期状態においては、
図5に示すように、下可動体30は下方位置にある。このとき、スライド部材56は表下固定部13の直上に位置する最下位置にある。
ここで、表下固定部13には、特に図示していないが、最下位置にあるスライド部材56を検知する下センサが設けられており、初期状態では、この下センサが検知状態となっている。
【0052】
そして、下方位置にある下可動体30を上方位置に移動させる場合には、左右の駆動モータ51(下可動体駆動機構50Lの駆動モータ51と下可動体昇降機構50Rの駆動モータ51のこと。以下同様)を同時に駆動させて、表下固定部13に内蔵されたベルト車52を、スライド部材56を上昇させる方向(
図5に示す反時計回り方向)に回転させる。ベルト車52の回転に伴うベルト54の循環移動によって、スライド部材56がガイドシャフト55,55に沿って上方向に移動する。このとき、上述の下センサは非検知状態となる。左右のスライド部材56の上方向への移動に伴い、下可動体30が上昇する。そして、駆動モータ51は、下可動体30が
図8に示す上方位置まで上昇することとなる所定ステップ数だけ駆動すると、駆動を停止する。駆動モータ51が駆動を停止すると、駆動軸がロックされて連結ギア53及びベルト車52の回転が阻止され、ベルト54の循環移動が停止する。これにより、左右のスライド部材56が中固定部12の直下に位置する最上位置となり、下可動体30は上方位置で停止する。
【0053】
なお、駆動モータ51を、前記した所定ステップ数よりも少ないステップ数だけ駆動させて、下可動体30を上方位置よりも下側の位置で停止させるようにすることもできる。また、中固定部12に、上方位置にあるスライド部材56を検知するセンサを設け、下可動体30が上昇してスライド部材56が前記センサに検知された場合に、駆動モータ51の駆動を停止させるようにしてもよい。
【0054】
上方位置にある下可動体30を下方位置に戻す場合には、左右の駆動モータ51を同時に逆転駆動させて、表下固定部13に内蔵されたベルト車52を、スライド部材56を下方向に移動させる方向(
図5に示す時計回り方向)に回転させる。ベルト車52の回転に伴うベルト54の循環移動によって、スライド部材56がガイドシャフト55,55に沿って下方向に移動して、下可動体30が下降する。下可動体下センサが最下位置まで移動したスライド部材56を検知すると、駆動モータ51が駆動を停止する。こうして、下可動体30は下方位置に戻る。
【0055】
本実施の形態では、下可動体30の左右両端部をスライド部材56で支持しているので、安定した昇降移動を行わせることができる。
なお、スライド部材56を上方位置に係止するためのロック機構を設けてもよい。また、スライド部材56が最上位置にあるとき(下可動体30が上方位置にあるとき)に駆動モータ51を駆動停止させた場合には、スライド部材56がスライド部材56及び下可動体30の自重によって、ガイドシャフト55,55に沿って落下するようにしてもよい。
【0056】
(演出役物装置1の作動)
演出役物装置1は、遊技状態に応じて、上可動体20、下可動体30のいずれか一方が作動するようになっている。これは、本実施の形態では、演出役物装置1の前後方向の厚さをできるだけ薄くするため、
図7(A)に示すように、上可動体20と下可動体30を同一平面上に配置した関係上、上可動体20が傾斜位置(
図9参照)、下可動体30が上方位置に同時に移動すると、上可動体20と下可動体30とが衝突してしまうことによる。
【0057】
本実施の形態では、上可動体20は、特別遊技の開始時、すなわち大入賞口180が最初に開放される場合に、水平位置から傾斜位置に変位するようになっている。具体的には、パチンコ機Pの制御装置(図示しておらず)が、特別遊技が開始される場合に、上可動体昇降機構40のロック機構47を作動させる。これに基づきスライド部材46が落下して上可動体20の右側が下降して傾斜位置に移動する。上可動体20が傾斜位置に移動すると、
図10に示すように、第1部材21(剣の刃の部分)と第2部材22(剣の柄の部分)の一部が、液晶表示装置200の表示画面210を斜めに横切る位置となる。その後、所定のタイミング、例えば所定時間の経過後に、駆動モータ41を駆動させてスライド部材46を上方向に移動させ、上可動体20を上昇させて水平位置に戻す。
【0058】
また、下可動体30は、上可動体20の作動時以外のタイミングで、下方位置から上方位置に移動するようになっている。具体的には、パチンコ機Pの制御装置は、大当たりの抽選に当選した場合や、遊技中の所定契機で行う演出抽選に当選した場合などに、下可動体昇降機構50の駆動モータ51を駆動させる。これに基づきスライド部材56が上方向に移動して下可動体30が上昇し上方位置に移動する。下可動体30が上方位置に移動すると、
図4において二点鎖線で示すように、装飾板31が液晶表示装置200の表示画面210の略中央部に位置するものとなる。その後、所定のタイミング、例えば所定時間の経過後に、駆動モータ51を逆転駆動させて、下可動体30を下方位置に戻す。上述したように、下可動体30を上方位置に至る前の途中の高さ位置で、下可動体30を停止させるような作動パターンを設けてもよい。
【0059】
なお、遊技盤110の後方に十分なスペースを確保できる場合には、上可動体20と下可動体30を前後方向にずらして配置し、上可動体20と下可動体30が相互に干渉しないようにしてもよい。この場合には、上可動体20と下可動体30を同時に作動させることができるものとなる。
また、上可動体20の可動域と、下可動体30の可動域が重ならない構造とした場合には、各可動体の移動範囲が制限されてしまうものの、上可動体20と下可動体30を同時に作動させることができるものとなる。
さらに、上述した実施の形態では、スライド部材46、スライド部材56を上下動させるためにベルト44、ベルト45を用いていたが、スライド部材56を上下動させる機構として、チェーンとチェーンスプロケットや、ラックギア構造を用いてもよい。
【0060】
(大入賞口発光部60及び可動体発光部70の発光表示)
本実施の形態では、大当たりに当選して上可動体20が作動する場合には、大入賞口発光部60及び可動体発光部70のLEDが点灯して、一体的な発光表示演出である特別遊技役物連動演出が行われるようになっている。具体的には、パチンコ機Pの制御装置は、上可動体20が傾斜位置に移動したタイミングで、可動体発光部70のLEDを点灯させるとともに、大入賞口発光部60のLEDを点灯させる。可動体発光部70のLEDが点灯されると、
図10に示すように、上可動体20の第1部材21(剣の刃の部分)が発光し、遊技盤110(液晶表示装置200の表示画面210)の左上から右下にかけて、直線状の発光領域Xが表示される。また、大入賞口発光部60のLEDが点灯されると、大入賞口180を開いた位置にある開閉羽根181と、遊技球を大入賞口180へと誘導する誘導位置にある誘導羽根182の近傍に、短い右下がりの直線状の発光領域Yが表示される。
【0061】
ここで、大入賞口発光部60は、
図10に示すように、遊技盤110の盤面において、傾斜位置にある上可動体20の可動体発光部70の延長線上に位置しているとともに、傾斜位置となった上可動体20の傾斜角度とほぼ同じ角度で傾斜して設けられている。これにより、大入賞口発光部60による発光領域Yは、可動体発光部70による発光領域Xの延長線上に表示されるものとなり、傾斜位置となった上可動体20の先端(剣先の部分)が、大入賞口180の位置を指し示しているように見えるものとなる。
なお、大入賞口発光部60は、図示するように、傾斜位置に移動した上可動体20の可動体発光部70の発光表示の延長線の直上に配置されていなくてもよく、正面視したとき、発光領域Xと発光領域Yがほぼ一直線に見えるような一体的な演出が実行されていることを確認できる位置に設置されていればよい。
【0062】
さらに、
図10に示すように、開状態の開閉羽根181と誘導位置にある誘導羽根182とが、ほぼ一直線上に並ぶように配置されているとともに、その一直線の傾斜角度が、傾斜位置となった上可動体20の傾斜角度(つまり可動体発光部70による発光領域Xの傾斜角度)とほぼ同じ角度となるように設定されている。すなわち、開閉羽根181が開状態となり誘導羽根182が誘導位置に移動すると、可動体発光部70による直線状の発光表示の延長線に沿った姿勢となる。これにより、大入賞口180の位置をより明確に示唆することができる。
また、可動体発光部70の複数のLEDを順次点滅させて、発光部分が大入賞口180に向かって流れるような点灯パターンとし、大入賞口発光部60もその点灯パターンと連動する点灯パターンとなるように形成すれば、より効果的に大入賞口180の位置を明確に示唆することができる。
なお、既述したように、大入賞口発光部60は、特別遊技中に大入賞口180に遊技球が入球した場合には、上可動体20が作動していなくても発光表示される。
【0063】
(まとめ)
以上のように、本実施の形態における演出役物装置1は、左端部が軸止され右端部が昇降移動することにより揺動する上可動体20及び全体が昇降移動する下可動体30を支持するベース部材10のうち、右側に位置する右ベース板10Rの正面側に下可動体昇降機構50を設けるとともに、背面側に上可動体昇降機構40を設けている。また、左側に位置する左ベース板10Lの正面側には、下可動体昇降機構50Lを設けるとともに、上可動体20を軸止する支持軸11を設けている。すなわち、右ベース板10R及び左ベース板10Lは、上可動体20及び下可動体30の双方を支持する共通支持部として機能している。このように、単一のベース部材10を複数の可動体で共有することにより、部品点数を削減できるとともに前後方向の厚さを極力薄くすることができ、演出役物装置1全体の軽量化及びコンパクト化を図ることができる。また、上可動体昇降機構40と下可動体昇降機構50Rを右ベース板10Rの正面と背面に設けてあるので、上可動体20と下可動体30の可動域を広くすることができ、狭いスペースを有効利用して演出効果を上げることができる。
【0064】
また、本実施の形態においては、傾斜位置(移動位置)となった上可動体20の傾斜角度と、大入賞口発光部60の傾斜角度、及び開状態の開閉羽根181と誘導位置に移動した誘導羽根182の傾斜角度をほぼ同一にして、アタッカー装置170の大入賞口180が開放される特別遊技の開始時に上可動体20を傾斜位置に移動させるとともに、傾斜位置に移動した上可動体20の可動体発光部70、及び大入賞口発光部60を発光表示させるようにしている。これにより、可動体発光部70による発光表示の延長線上に大入賞口発光部60による発光表示がされることとなり、大入賞口180の位置を示唆することができる。このように、発光表示する可動役物と連動する発光表示によって大入賞口180の位置を示唆することにより、液晶表示装置200などで特別遊技の開始を報知するのとは異なる演出態様で、特別遊技開始時の祝福感を盛り上げることができる。また、単なる発光表示演出のみで大入賞口180の位置を報知する場合よりも強烈な印象を与えることができる。
【0065】
(変形例)
上述した実施の形態では、下可動体30が、左ベース板10Lと右ベース板10Rの間で両持ち状態で支持されるものとなっていたが、上可動体20又は下可動体30のいずれか一方又は双方が、左ベース板10L又は右ベース板10Rのいずれか一方に、片持ち状態で支持される構造としてもよい。すなわち、上述の実施の形態では、左ベース板10L又は右ベース板10Rの双方が、2つの可動体を支持するための共通支持部として機能していたが、共通支持部は1つであってもよい。また、共通支持部材は、単一の部材でなく、複数の部材から構成されていてもよい。
【0066】
また、上述した実施の形態では、上可動体20の左側が左ベース板10Lに軸止され、右側が上下に移動することにより、支持軸11(軸止部)を中心に揺動する構造となっていたが、左ベース板10Lの背面に上可動体昇降機構40を設けて、上可動体20の全体が上下に移動する構造にしてもよい。この場合、上可動体20と下可動体30の双方が上下に移動する構造としてもよいし、下可動体30が左ベース板10L又は右ベース板10Rのいずれか一方に設けられた軸止部を中心に揺動する構造としてもよい。あるいは、上可動体20と下可動体の双方が、左ベース板10L又は右ベース板10Rのいずれか一方に設けられた軸止部を中心に揺動する構造とし、軸止部が設けられていない方のベース板に、上可動体昇降機構40と下可動体昇降機構50を設けてもよい。
【0067】
また、上述の実施の形態では、上可動体20と下可動体30を設けていたが、ベース部材10として、上側に配置される上ベース板と、下側に配置される下ベース板とを設け、上下のベース板の間に、右側に位置する右可動体と左側に位置する左可動体とを設け、上下のベース板の少なくとも一方を共通支持部にしてもよい。この場合、左右の可動体の双方が左右方向に移動する構造としてもよいし、いずれか一方あるいは双方が、軸止部を中心に揺動する構造としてもよい。
さらに、ベース部材10に支持される可動体は2つに限られない。例えば、上述の実施の形態において、左ベース板10Lの背面に第3の可動体昇降機構を設け、第3の可動体を片持ち支持で取り付けることができる。あるいは、左ベース板10Lの背面に軸止部を設け、第3の可動体を揺動可能に取り付けてもよい。要は、可動体を支持固定する支持体としてのベース部材10が、複数の可動体を移動可能に支持する単一の部材からなる共通支持部を備えていればよい。
【0068】
そして、大入賞口180の位置や、複数の可動体の取り付け構造に応じて、大入賞口発光部60の設置位置や、可動体発光部70を取り付ける可動体や可動体発光部70の設置位置を設計し、可動体の作動と連動した大入賞口発光部60及び可動体発光部70による発光表示演出を行わせることができる。例えば、上述した実施の形態における下可動体30の装飾板31に、直線状に発光表示される可動体発光部70を設け、下可動体30が所定位置に上昇すると、あるいは、上昇した後に装飾板31が所定角度回転すると、可動体発光部70と大入賞口発光部60とがほぼ一直線上に並ぶように形成することができる。要は、大入賞口発光部60が、開閉羽根181の近傍であって、特定の移動位置(必ずしも最大可動位置でなくてもよい)に移動した可動体の可動体発光部70による直線状の発光表示の略延長線上となる位置に配置されていればよい。
【0069】
さらに、可動体発光部70は、直線状の発光表示のみがされるものに限られず、例えば円弧や波線を描く発光表示がなされる部分を含んでいてもよい。例えば、上述した下可動体30の装飾板31に可動体発光部70を設ける例において、可動体発光部70を渦巻き状に配置するとともに、渦巻きの外側端部が直線状になるように配置し、下可動体30を上昇移動させたり回転させたりすることにより下可動体30が特定の移動位置に移動すると、その直線部分と大入賞口発光部60とがほぼ一直線状に並んだ位置となるように形成することができる。要は、可動体発光部70は、可動体が特定位置に移動した場合に大入賞口180に向かって発光表示される部分を含んでいればよく、大入賞口180に向かって発光表示される部分は直線状でなくても、発光表示が大入賞口180の方向に向かっていることが判る形状であればよい。