(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
送信手段と、前記送信手段からの通信信号を受信する受信手段と、バッテリの一方の電極及び負荷間に接続された電源ラインと、前記送信手段からの通信信号を前記電源ラインに重畳する変調手段と、前記電源ラインに重畳された通信信号を復調して、前記受信手段に供給する復調手段と、を備え、
前記変調手段が前記電源ライン上の前記バッテリ側に、前記復調手段が前記電源ライン上の負荷側に設けられ、前記変調手段が、前記電源ラインの当該変調手段よりも前記負荷側に前記通信信号を重畳し、
前記変調手段が、制御端子に前記送信手段からの通信信号が入力される半導体トランジスタで構成され、
前記バッテリと他のバッテリとの間に設けられ、前記バッテリ及び前記他のバッテリとの接続をオンオフする切替用半導体トランジスタをさらに備え、
前記変調手段を構成する半導体トランジスタとして、前記切替用半導体トランジスタを用いることを特徴とする通信システム。
前記復調手段が、前記通信信号が重畳された前記電源ライン上の電源を微分するハイパスフィルタと、前記微分した電圧と基準電圧とを比較して、その比較結果を復調した前記通信信号として出力する比較手段と、を備えた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態における本発明の通信システムについて
図1及び
図2を参照して説明する。同図に示す通信システム1は、車両に搭載されている。同図に示すように、通信システム1は、マスタ制御手段、送信手段としてのマスタ制御装置2と、マスタ制御装置2からの通信信号を受信し、受信した通信信号に応じて負荷31、32を制御するスレーブ制御手段、受信手段としてのスレーブ制御装置4と、バッテリBの正極側及び負荷31、32間に接続された電源ラインL1〜L3と、負荷31、32を駆動する駆動装置51、52と、マスタ制御装置2からの通信信号を電源ラインL2及びL3に重畳する変調部6と、電源ラインL2に重畳された通信信号を復調してスレーブ制御装置4に供給する復調部7と、を備えている。
【0020】
マスタ制御装置2及びスレーブ制御装置4は、周知のCPU、ROM、RAMから成るマイコンから構成されている。電源ラインL1は、バッテリBの正極側及び変調部6間を接続するラインである。電源ラインL2は、変調部6及び復調部7間を接続するラインである。電源ラインL3は、一端が復調部7に接続され、他端が複数分岐され、複数の駆動装置51、52に接続されるラインである。駆動装置51、52は、スレーブ制御装置4により制御され、電源ラインL3から供給される電源電圧を駆動電圧に変換して負荷31、32に供給する。
【0021】
変調部6は電源ラインL1〜L3上のバッテリB側に、復調部7は電源ラインL1〜L3上の負荷31、32側に設けられ、互いに直列接続されている。
【0022】
変調部6は、
図2に示すように、nチャンネルのFETQ1(半導体トランジスタ)から構成されている。このFETQ1のソースは電源ラインL1に接続され、ドレインは電源ラインL2に接続されている。即ち、FETQ1の寄生ダイオードD1の順方向が負荷31、32側に向くように設けられている。また、FETQ1のゲート(制御端子)には、マスタ制御装置2からの例えば10kHz程度のパルス状の通信信号が入力されている。
【0023】
以上の構成によれば、通信信号がHレベルのときは、FETQ1がオンするため、電源ラインL2にはバッテリBの正極側の電位である電源電圧Vbが出力される。一方、通信信号がLレベルのときは、FETQ1がオフするため、電源ラインL2には電源電圧VbからFETQ1の寄生ダイオードD1による電圧降下Vf分だけ下がった電圧が出力される。これにより、変調部6は、負荷31、32側の電源ラインL2及びL3によって供給される電源電圧Vbに通信信号を重畳する。バッテリB側の電源ラインL1には通信信号は重畳していない。
【0024】
復調部7は、
図2に示すように、ローパスフィルタF1と、分圧抵抗R11及びR12と、コンパレータCP1と、から構成されている。ローパスフィルタF1は、抵抗R13及びコンデンサC1から構成され、電源ラインL2から供給された電圧から遮断周波数よりも高周波の通信信号を除去して、電源電圧Vbのみを出力する。分圧抵抗R11及びR12は、ローパスフィルタF1から出力された電源電圧Vbを分圧して基準電圧としてコンパレータCP1に入力する。
【0025】
分圧抵抗R11及びR12は、コンパレータCP1に供給される基準電圧が、電源電圧Vbよりも低く、かつ、電源電圧Vbから電圧降下Vfを差し引いた電圧よりも高くなるようにそれぞれ設定されている。コンパレータCP1には、電源ラインL2から供給される通信信号が重畳された電源電圧Vbがさらに入力され、これと上記基準電圧を比較して、比較結果を通信信号として出力し、スレーブ制御装置4に供給する。
【0026】
以上の構成の通信システム1によれば、マスタ制御装置2が通信信号を送信すると、変調部6がこの通信信号を負荷31、32側の電源ラインL2、L3に重畳する。復調部7が電源ラインL2、L3に重畳した通信信号を復調して、スレーブ制御装置4に出力する。スレーブ制御装置4は、復調部7により復調された通信信号に応じて駆動装置51、52を駆動して、負荷31、32を駆動する。
【0027】
上述した実施形態によれば、変調部6が電源ラインL1〜L3上のバッテリB側に、復調部7が電源ラインL1〜L3上の負荷31、32側に設けられ、変調部6が、電源ラインL1〜L3において当該変調部6よりも負荷31、32側の電源ラインL2、L3に通信信号を重畳する。このため、従来のようにバッテリB側の電源ラインL1に通信信号が重畳されることがなく、電源ラインL1に接続される他の容量性負荷10と通信信号が重畳される電源ラインL2、L3とを切り離すことができ、電源ラインL2、L3に重畳される通信信号の減衰を抑えることができる。
【0028】
また、上述した実施形態によれば、変調部6が、電源ラインL1〜L3上に設けられ、ゲートにマスタ制御装置2からの通信信号が入力されるFETQ1で構成されている。これにより、簡単な構成で変調部6を設けることができる。
【0029】
なお、上述した実施形態によれば、半導体トランジスタとしてFETQ1を用いていたが、これに限ったものではない。例えば、FETQ1の代わりにバイポーラ型のトランジスタを用いてもよい。バイポーラ型のトランジスタは、寄生ダイオードD1がないため、エミッタ−コレクタ間にダイオードを接続すれば、FETQ1と同じように機能する。
【0030】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態における本発明の通信システムについて
図3〜
図5を参照して以下説明する。なお、
図3において、上述した第1実施形態で既に説明した
図2と同等の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。第1実施形態と第2実施形態とで異なる点は、復調部7の構成である。復調部7以外は上述した第1実施形態と同等であるため詳細な説明を省略する。
【0031】
復調部7は、ハイパスフィルタF2と、ローパスフィルタF1と、分圧抵抗R14及びR15と、比較手段としてのコンパレータCP2と、から構成されている。ハイパスフィルタF2は、通信信号が重畳された電源ラインL2上の電圧を微分する1次フィルタF21及び2次フィルタF22と、1次フィルタF21及び2次フィルタF22間に設けられた増幅回路71と、から構成されている。
【0032】
1次フィルタF21は、抵抗R16及びコンデンサC2から構成され、電源ラインL2上の電圧から遮断周波数(例えば5kHz)よりも低周波成分を除去する。増幅回路71は、OPアンプOP1を有し、1次フィルタF21からの出力を増幅して、2次フィルタF22に入力する。2次フィルタF22は、抵抗R17及びコンデンサC3から構成され、増幅回路71の出力から遮断周波数(例えば10kHz)よりも低周波成分を除去して、コンパレータCP2に供給する。
【0033】
即ち、ハイパスフィルタF2からは、
図4に示すように、通信信号が重畳された電源電圧、即ち変調後の通信信号を微分したエッジ検知信号が出力され、コンパレータCP2に入力される。エッジ検知信号は、変調後の通信信号が電源電圧Vbから電圧降下Vf分だけ立ち下がった時に負方向に三角波が出力され、電圧降下Vf分下がった状態から電源電圧Vbに立ち上がった時に正方向に三角波が出力される。
【0034】
ローパスフィルタF1は、第1実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。分圧抵抗R14及びR15は、ローパスフィルタF1から出力された電源電圧Vbを分圧して基準電圧としてコンパレータCP2に入力する。
【0035】
分圧抵抗R14及びR15は、コンパレータCP2に供給される基準電圧が、
図4に示すように、エッジ検知信号の最大値よりも低くなるようにそれぞれ設定されている。コンパレータCP2は、上記エッジ検知信号と上記基準電圧とを比較して、比較結果を復調した通信信号として出力し、スレーブ制御装置4に供給する。これにより、復調した通信信号は、変調前の通信信号が立ち上がる毎に、1パルスが出力され、立下りではなにも出力されない波形となる。
【0036】
第1実施形態では、変調後の通信信号そのものと基準電圧とを比較していた。実車の電源電圧は、負荷駆動時の電圧レベルの変動や電源ラインL2へのノイズの重畳などの影響により安定しないことが予測される。そのため、第1実施形態の方法では、通信信号の復調が難しくなる。
【0037】
上述した第2実施形態によれば、変調後の通信信号を微分してエッジ検知信号を出力し、エッジ検知信号と基準電圧とを比較するため、電源電圧やノイズなどの影響を受けにくく、正確に電源ラインL2に重畳された通信信号を復調することができる。
【0038】
しかも、ハイパスフィルタF2にOPアンプOP1を用いている。OPアンプOP1は、広域を通過できないため、自然にローパスフィルタも形成される。このため、
図5に示すように、1次フィルタF21及び2次フィルタF22による低周波ノイズのカットだけでなく、高域波ノイズもカットすることができる。これにより、より一層正確に電源ラインL2に重畳された通信信号を復調することができる。しかも、ハイパスフィルタF2を追加しただけで、ローパスフィルタも追加したのと同等の効果を得ることができる。
【0039】
なお、第2実施形態では、第1実施形態と比べてOPアンプの使用数が1個から2個に増えるが、2個入りのOPアンプを使用するなどの工夫でコストの上限を最低限に抑えることができる。
【0040】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態における本発明の通信システムについて
図6を参照して以下説明する。なお、
図6中、復調部7、スレーブ制御装置4、駆動装置51、52は省略している。第3実施形態の通信システムは、
図6に示すように、2つのバッテリB1、B2が搭載された車両に設けられていることを前提としている。バッテリB1及びB2は異なる定格電圧を有するバッテリである。
【0041】
バッテリB1は、エンジン始動用の例えば鉛バッテリから構成されている。他のバッテリとしてのバッテリB2は、電圧安定化用のリチウムイオンから構成され、バッテリB1に並列接続されている。これらバッテリB1及びB2には、スタータモータMやオルタネータALTや、一般負荷33、34、走行系負荷35が並列接続されている。
【0042】
このように2つのバッテリB1及びB2を搭載している車両においては、バッテリB1及びB2間の接続をオンオフするための切替部11が一般的に設けられている。切替部11は、バッテリB1及びB2間に設けられた2つのnチャンネルのFETQ11及びQ12と、これらFETQ11及びQ12を駆動するゲートドライバ11a及び11bと、ゲートドライバ11a及び11bを制御する切替制御回路11cとを備えている。
【0043】
FETQ11及びQ12は、バッテリB1及びB2間に直列に接続されている。FETQ11及びQ12は、寄生ダイオードD11及びD12が互いに逆向きになるように直列接続されている。これにより、バッテリB1の方がバッテリB2よりも電源電圧が高い場合、バッテリB2の方がバッテリB1よりも電源電圧が高い場合、何れの場合も2つのFETQ11及びQ12をオフさせると、寄生ダイオードD11及びD12を通じて電流が流れることなく、完全にバッテリB1及びB2間を遮断することができる。
【0044】
なお、上記スタータモータM、オルタネータALT及び一般負荷33は、FETQ11及びQ12よりもバッテリB1側に接続されているため、FETQ11及びQ12がオフされると、バッテリB2との接続が遮断される。一方、一般負荷34は、FETQ11及びQ12の間に接続されているため、FETQ11及びQ12がオフすると、双方のバッテリB1及びB2との接続が遮断される。また、走行系負荷35は、FETQ11及びQ12よりもバッテリB2側に接続されているため、FETQ11及びQ12がオフすると、バッテリB1との接続が遮断される。
【0045】
切替制御回路11cは、例えばCPUなどから構成され、上位ユニットからの命令により、FETQ11及びQ12のオンオフを制御して、バッテリB1及びB2間の接続を制御する。
【0046】
第3実施形態では、この切替部11を変調部として用い、FETQ12を変調部を構成するFETとして用いている。即ち、切替制御回路11cが、第1実施形態で説明したマスタ制御装置2に接続され、マスタ制御装置2からの通信信号を受信する。切替制御回路11cは、PLC通信を行うときはFETQ11を常時オンにして、受信した通信信号に応じてFETQ12のオンオフを行う。
【0047】
これにより、第1実施形態と同様に、FETQ12がオンのときは電源ラインL2にはバッテリB1の正極側の電位である電源電圧Vbが出力される。一方、FETQ12がオフのときは、電源ラインL2には電源電圧VbからFETQ12の寄生ダイオードD12による電圧降下Vf分だけ下がった電圧が出力される。即ち、切替部11は、点線で示すように走行系負荷35側の電源ラインL2によって供給される電源電圧Vbに通信信号を重畳する。バッテリB1側の電源ラインL1には通信信号は重畳していない。
【0048】
上述した第3実施形態によれば、2つのバッテリB1及びB2間の接続をオンオフする切替用のFETQ12を変調部のFETとして用いている。これにより、これらFETを別々に設ける必要がなく、追加部品を最小限に抑えて変調部を設けることができるため、コストダウンを図ることができる。また、切替部11としては、切替機能に加えて、通信機能が付加されることで、付加価値が上がる。
【0049】
なお、上述した第3実施形態によれば、FETQ11及びQ12は、寄生ダイオードD11及びD12が互いに逆向きになるように直列接続されていたが、これに限ったものではない。例えば、
図7に示すように、寄生ダイオードD11及びD12が互いに同じ方向になるように2つのFETQ11及びQ12を直列接続するものもある。この2つのFETQ11及びQ12は、一般負荷33、34、走行系負荷35に電源を供給するバッテリB1、B2を切り替えるために設けられている。
【0050】
図7に示す場合は、FETQ11及びQ12の両者を変調部を構成するFETとして用いることができる。詳しく説明すると、切替制御回路11cが、第1実施形態で説明したマスタ制御装置2に接続され、マスタ制御装置2からの通信信号を受信する。切替制御回路11cは、PLC通信を行うときは、FETQ11を常時オンにして、受信した通信信号に応じてFETQ12のオンオフを行う。これは
図6で説明した場合と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0051】
また、切替制御回路11cは、FETQ12を常時オンにして、受信した通信信号に応じてFETQ11のオンオフを行うこともできる。これにより、FETQ11がオンのときはFETQ11と一般負荷34との間の電源ラインL2、FETQ12と走行系負荷35との間の電源ラインL2には、バッテリB1の正極側の電位である電源電圧Vbが出力される。一方、FETQ11がオフの時には、FETQ11と一般負荷34との間の電源ラインL2、FETQ12と走行系負荷35との間の電源ラインL2には、電源電圧VbからFETQ11の寄生ダイオードD11による電圧降下Vfだけ下がった電圧が出力される。即ち、切替部11は、一点鎖線で示すように、一般負荷34及び走行系負荷35の双方に供給される電源電圧Vbに通信信号を重畳できる。
【0052】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態における本発明の通信システムについて
図8及び
図9を参照して以下説明する。第4実施形態の通信システムの構成は、
図1に示す第1実施形態の通信システムと同等であるため、ここでは詳細な説明を省略する。第4実施形態と第1実施形態とで大きく異なる点は、FETQ1のゲートに供給する通信信号の波形である。
【0053】
上述した第1実施形態における通信システム1は、電源電圧Vbのレベルを変化させることにより通信信号を重畳している。このため、伝導ノイズの発生が確認された。
【0054】
伝導ノイズの主要因はFETQ1のオンオフ切替時の急峻な電圧変化である。このため、本実施形態においては、
図8に示すように、FETQ1のゲートに、徐々に立ち上がり、かつ、徐々に立ち下がるパルス状の通信信号を入力するようにした。このような通信信号を入力すると、同図に示すように、変調後の通信信号も、電源電圧Vbから(電源電圧Vb−電圧降下Vf)への変動も、(電源電圧Vb−電圧降下Vf)から電源電圧Vbへの変動も緩やかに行われることとなり、伝導ノイズの低減を図ることができる。
【0055】
次に、本発明者らは、FETQ1のゲートに入力する通信信号の立ち上がり時間tr、立下り時間tfを徐々に長くしながらノイズレベルを測定した。結果、
図9に示すように、tr=tf=32μs以上になると電源線伝導エミッション規格(CISPR25 Class5)を満たすことが分かった。
図9は、通信信号をtr=tf=32μsとしたときのノイズレベルピーク値の周波数特性を点線で示し、アベレージ値を実線で示す。同図からもtr=tf=32μsとするとピーク値、アベレージ値共に規格を満足することが分かった。
【0056】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態における本発明の通信システムについて
図10を参照して以下説明する。なお、
図10において、上述した第1実施形態で既に説明した
図1と同等の部分は同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0057】
同図に示すように、通信システム1は、バッテリBの状態を検出して、その検出信号を出力する送信手段としてのバッテリセンサ9と、バッテリセンサ9からの検出信号(通信信号)を受信し、受信した検出信号に応じて負荷36a〜36dを制御する受信手段としてのスマート電源BOX10a〜10dと、バッテリBの正極側及び負荷36a〜36d間に接続された電源ラインL1〜L3と、バッテリセンサ9からの検出信号を電源ラインL2及びL3に重畳する変調部6と、電源ラインL2に重畳された検出信号を復調してスマート電源BOX10a〜10dに供給する復調部7a〜7dと、バッテリセンサ9からの検出信号をスマート電源BOX10a〜10dに伝送するための通信ラインLcと、を備えている。
【0058】
バッテリセンサ9は、バッテリBの残容量や両端電圧などの状態を検出して、その検出信号を通信ラインLc及び電源ラインL2を介してスマート電源BOX10a〜10dに送信する。通信ラインLcを介しての通信方式は周知のLINやCANなどで行う。電源ラインL2を介しての通信は、第1実施形態と同様に行う。
【0059】
スマート電源BOX10a〜10dは、周知のCPU、ROM、RAMから成るマイコンから構成されている。スマート電源BOX10a〜10dは、上述した通信ラインLc経由の検出信号、電源ラインL2経由の検出信号の双方を受信できるように設けられている。
【0060】
電源ラインL1は、第1実施形態と同様に、バッテリBの正極側及び変調部6間を接続するラインである。電源ラインL2は、変調部6及び復調部7a〜7d間を接続するラインである。電源ラインL3は、復調部7a〜7dと負荷36a〜36dとの間をそれぞれ接続するラインである。
【0061】
変調部6及び復調部7a〜7dは、第1実施形態の変調部6及び復調部7と同等であるため、詳細な説明は省略する。スマート電源BOX10a〜10dは、各部が自律してバッテリセンサ9からの検出信号に応じて負荷36a〜36dの制御を行う(例えばバッテリBの残容量が小さい場合には走行に関係しない部分でオーディオ系負荷への電源供給を遮断する)。
【0062】
上述したように第5実施形態においては、バッテリセンサ9からスマート電源BOX10a〜10dへの検出信号の伝送は、通信ラインLc経由と電源ラインL2経由の2通りある。スマート電源BOX10a〜10dは、通常は通信ラインLc経由の検出信号を受信する。スマート電源BOX10a〜10dは、通信ラインLcから検出信号が受信できなくなると通信途絶状態と判断して、復調部7a〜7dで復調された電源ラインL2経由の検出信号を受信する。
【0063】
上述した実施形態によれば、通信ラインLcのバックアップとして、電源ラインL2を用いることにより、部品点数を増やすことなくバックアップを設けることができ、確実にバッテリセンサ9からの検出信号をスマート電源BOX10a〜10dが受信することができる。
【0064】
将来的に、車載バッテリの主流は、鉛からリチウムに変更する可能性が高い。リチウムは、鉛よりもバッテリ管理の要求レベルが高い。また、自動運転化も進んできて通信の信頼性を確保することが必要だか、上述した実施形態のものを用いれば信頼性を確保できる。
【0065】
また、上述した実施形態によれば、スマート電源BOX10a〜10dが自律して各負荷36a〜36dの制御を行っている。これにより、1つのECUなどの制御部が、複数の負荷36a〜36dをまとめて制御する場合に比べて、高機能化を図ることができる。
【0066】
しかも、通信方式も通信ラインLcで行われるLINやCANと別に電源ラインL1〜L3で行われるPLCで別々に持つことになり、同時多重故障の心配を減らすことができる利点もある。
【0067】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。