(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガラス板上の定められた位置において、前記鋸歯付罫書きホイールが前記定められた位置から平行移動されて離れた後の一時に前記罫書き線が前記中央領域にかけて延び広がることを特徴とする請求項1または3に記載の方法。
前記鋸歯付罫書きホイールが前記定められた位置から平行移動されて離れた後に、前記定められた位置を囲む前記中央領域内の応力場が緩和して、前記罫書き線に前記中央領域にかけて延び広がらせることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
機械罫書きによって強化ガラス板を分割する方法の、それらの例が添付図面に示される、実施形態をここで詳細に参照する。可能であれば必ず、全図面にわたり同じ参照数字が同じかまたは同様の要素を指して用いられる。機械罫書きによって強化ガラスを分割する方法の一実施形態が
図1及び2に示される。機械式スクライバー、ここでは鋸歯付罫書きホイールが初めに強化ガラスの縁端から離れた位置に配置され、クラック開始部を形成する縁端衝突モードでガラス板に向けて平行移動される。機械式スクライバーは強化ガラス板に沿って加速されて平行移動され、ガラス板の第2の縁端に達する前に停止させられる。機械式スクライバーが強化ガラス板に沿って平行移動すると、機械式スクライバーはガラスの厚さにかけてメジアンクラック距離に延びる罫書き線を形成する。罫書き線はガラス板の厚さにかけて延び広がり続けて貫通クラックを形成し、ガラス板のいくらかの構造一体性を維持する未分離領域も残す。機械式スクライバーは次いで、第1の方向を横切る第2の方向に強化ガラス板を罫書くための位置に配置され、クロスカット罫書き線を形成して、クロスカット罫書き線がガラス板の厚さにかけて延び広がって強化ガラス板を複数のガラス品に分ける。強化ガラスを分割する方法は添付図面を特に参照して本開示でさらに詳細に説明される。
【0013】
本開示に用いられるように、語句「破断深さ」は、力をさらに加えずともガラスを非常の多くの小片に効果的に分裂させ得る欠陥がガラス板に延び込む深さを指す。
【0014】
化学的強化ガラスは基本的にその厚さにかけて応力プロファイルがつくり込まれたガラス基板であり、化学的強化プロセスにおいて、ガラス板の表面領域には高レベルの圧縮応力が生じ、内部領域には引張応力が生じている。LCDディスプレイ基板に対して用いられる手法のような大寸ガラス板分割のために開発された手法を用いる、そのようなガラスの罫書きは一般にガラスにひびを入れる。理論によれば、イオン交換化学的強化ガラス品に、表面圧縮応力に打ち勝つ罫書き力を印加して、ガラス品の引張応力がかかっている内部に延び込むメジアンクラックを形成し始めると、クラックは制御不能な態様で広がり、ガラス品の自発的破壊をおこさせる。しかし、本明細書に開示される実施形態にしたがえば、望ましくないガラス板の分裂または破断をおこさずに残留表面圧縮応力に打ち勝つ、制御された機械的損傷を形成し始めるに適する形状寸法を有する鋸歯付罫書きホイールが用いられる。
【0015】
図1をここで参照すれば、強化ガラス板90が支持台80の上に配置される。強化ガラス板90は支持台80と実質的に接触していることができる。しかし、ガラス板90の偏差により、ガラス板90には支持台80から隔てられた領域があり得る。罫書き機構100が第1の方向91に延びる複数本の罫書き線92を形成するようにガラス板90に近接して配置されているとして、罫書き機構100が示される。ガラス板90に第1の方向で複数本の罫書き線92が形成された後、
図2に示されるように、罫書き機構100は第1の方向91を横切る第2の方向93に複数本のクロスカット罫書き線を形成するために配置される。
【0016】
図3及び4を次に参照すれば、罫書き機構100の一部が示されている。罫書き機構100は罫書きヘッド120の支持構造体122から遠位に延びるように配置された鋸歯付罫書きホイール110を有する。鋸歯付罫書きホイール110は接触面112から内向きに伸びる複数の鋸歯114を有する。接触面112はホイール先端角118をなして収斂する2つの周縁面116,117で形成される。鋸歯付罫書きホイール111はガラス板90に欠陥を形成するに適する様々な材料でつくることができる。そのような材料の例には、限定ではなく、炭化タングステン及び焼結合成ダイヤモンドがある。
【0017】
罫書き線92及びクロスカット罫書き線94を形成するには、ガラス板90の組成及び強度に基づく、様々な形状の鋸歯付罫書きホイール110が適し得る。そのような鋸歯付罫書きホイール110は市場で入手することができ、限定ではなく例としては、日本国大阪の三星ダイヤモンド工業(株)の「Micro Penett」系列のホイールがある。一実施形態例において、鋸歯付罫書きホイール110は多結晶ダイヤモンドでつくられ、接触面に沿って見積もって、約2mmの外径、約110°のホイール先端角、及び外径を巡って約360枚の鋸歯を有し、鋸歯114の底辺と接触面114の頂点の間の径方向距離は約3μmである。
【0018】
図3をまた参照すれば、罫書き機構100はガントリー装置124に沿って配置された罫書きヘッド120を有する。罫書きヘッド120は、鋸歯付罫書きホイール110がガラス板90に接触するように、鋸歯付罫書きホイール110をガラス板90に近接させて位置決めする。鋸歯付罫書きホイール110は、鋸歯付罫書きホイール110の接触面がガラス板90に接触している間、鋸歯付罫書きホイール110がその中心線の周りで自由に回転できるように、罫書きヘッド120内に取り付けられる。罫書きヘッド120は、鋸歯付罫書きホイール110がガラス板90に突き当てられる力を制御する力印加機構126を有する。力印加機構126は、1本の罫書き線92を形成している間、鋸歯ホイール110に印加される力を変えることができる。力印加機構126は鋸歯付罫書きホイール110に印加される力を制御するための、技術上既知の、空気圧式アクチュエータ、バネ式張力印加機構及びサーボアクチュエータを含む様々な力印加方法を用いることができる。
【0019】
罫書き機構100のガントリー装置124はガラス板90に罫書き線92及びクロスカット罫書き線94を形成するような速度及びガラス板90に沿う方向で罫書きヘッド120を平行移動させる。ガントリー装置124が罫書きヘッド120を平行移動させる速度は、1本の罫書き線92を形成するために罫書きヘッド120を平行移動させ続けながら、速くするかまたは遅くすることができる。
【0020】
図5〜9を次に参照すれば、罫書き線92を形成するために罫書き機構100の鋸歯付罫書きホイール100を用いるプロセスが示されている。本明細書に説明される機械罫書き方法は強化ガラスでつくられたガラス板90を罫書くために用いられる。ガラス板90は、いずれにも内部圧縮応力がかかる第1の強化表面142及び第2の強化表面144をつくるため、イオン交換プロセスによって化学的に強化することができる。第1及び第2の強化表面142,144は、内部引張応力がかかる中央領域146によって相互に隔てられる。第1及び第2の強化表面142,144は層深さDOLまで延びる。説明の目的のため、本明細書に説明されるガラス板90は、第2の強化表面144が作業台80に接触し、第1の強化表面142が上面96として配置されるように、配置される。
【0021】
図5を参照すれば、時刻t
0において鋸歯付罫書きホイール110がガラス板90から罫書き方向128にオフセットされるように、罫書きヘッド120が配置されている。鋸歯付罫書きホイール110はガラス板90の上面96から垂直方向にもオフセットされている。鋸歯付罫書きホイール110の最下面とガラス板90の上面96の間の垂直方向距離は切込み深さ140と定義される。いくつかの実施形態において、切込み深さ140はガラス板90の厚さの約20%〜約25%に設定される。例えば、厚さが約0.5mmのガラス板90を罫書く場合、鋸歯付罫書きホイール110は、鋸歯ホイール110の最も下の位置にある接触面112がガラス板90の上面96より約0.1mm〜約0.125mm下になるように配置される。
【0022】
罫書き機構100の(
図5〜9には示されていない)ガントリー装置124は、罫書きヘッド120を、
図6に示されるように、鋸歯付罫書きホイール110が、時刻t
0に続く時刻t
1においてガラス板90の第1の縁端98に接触するように、ガラス板90に向けて平行移動させる。鋸歯付罫書きホイール110の接触面112がガラス板90の第1の縁端98に接触し、ガラス板90の上面96に沿って平行移動されるにつれて、鋸歯ホイール110が切込み深さ140からガラス板の上面96に向けて垂直方向に平行移動するように、力が力印加機構126によって印加される。いくつかの実施形態において、鋸歯付罫書きホイール110に印加される垂直力は力印加機構126によって罫書きプロセス中一定に保たれる。例えば、垂直力は約3ニュートン(N)〜約6Nに保つことができる。
【0023】
罫書きヘッド120はガラス板90の上面96に横方向に沿う罫書き方向128に初期速度で係合距離129だけ平行移動する(
図7)。初期速度は、以下でさらに詳細に説明されるように、罫書き速度より遅い。いくつかの実施形態において、罫書きヘッド120は毎秒鋸歯付罫書きホイール110の直径の約2倍から毎秒鋸歯付罫書きホイール110の直径の約10倍までの速度で平行移動する。例えば、直径が約3mmの鋸歯付罫書きホイール110に対し、罫書きヘッド120は毎秒約6mmから毎秒約30mmの初期速度で平行移動する。いくつかの実施形態において、係合距離129は鋸歯付罫書きホイール110の直径の約2倍から鋸歯付罫書きホイール110の直径の約4倍までである。例えば、直径が約3mmの鋸歯付罫書きホイール110を用いる場合、係合距離129は約6mm〜約12mmである。
【0024】
鋸歯付罫書きホイール110をガラス板の第1の縁端98に平行移動させ、接触面112がガラス板90の上面96に接触するように鋸歯付罫書きホイール110を垂直上方に平行移動させることは、本明細書において、ガラス板902内へのクラックを始めさせる「縁端衝突」モードと称される。縁端衝突モードはガラス板90の上面96にクラック開始部130を形成する。
【0025】
図7を次に参照すれば、時刻t
1に続く時刻t
2において、鋸歯付罫書きホイール110がガラス板90の上面96に接触していて、ガラス板の第1の縁端98から隔てられているような位置にある罫書きヘッド120が示されている。図示されるように、第1の縁端98に近接するガラス板98の領域は第1の縁端98及び上面96のいずれにも延び広がるクラック開始部130を示す。このクラック開始部130は上面96に近接するガラス板90の第1の強化層にかけて延び広がる。接触面112がガラス板90の上面96に接触するように鋸歯付罫書きホイール110が垂直位置に平行移動されてしまえば(
図3を見よ)罫書きヘッド120は、縁端衝突モードにおいて示された初期速度から罫書き速度まで加速される。いくつかの実施形態において、罫書き速度は毎秒鋸歯付罫書きホイール110の直径の約50倍から毎秒鋸歯付罫書きホイール110の直径の約100倍である。例えば、直径が約3mmの鋸歯付罫書きホイール110に対し、罫書き速度は毎秒約150mm〜約300mmである。罫書きヘッド120は鋸歯付罫書きホイール110を加速させて、鋸歯付罫書きホイールが罫書き線95を形成するようにガラス板90に沿って鋸歯付罫書きホイール110を平行移動させる。罫書き線92はメジアンクラック深さ148までガラス板90に延び込み、メジアンクラック深さ148はガラス板90の層深さより大きい。鋸歯付罫書きホイール110が与えられた固定位置、すなわち「目的の局所領域」に近接して配置される期間内には、罫書き線92のメジアンクラック深さ148はガラス板90の、ガラス板90が自発的に破断することができ、罫書き線92から様々な方位で細かく割れ易くなる深さである、破断深さより小さい。
【0026】
鋸歯付罫書きホイール110の接触面112はガラス板90の上面96に表面窪み150を生じさせる。接触面112に対応する表面窪み150の大きさ及び間隔は鋸歯付罫書きホイール110の接触面112及び鋸歯114に対応する。鋸歯付罫書きホイール110がガラス板90の上面96に沿って平行移動すると、鋸歯付罫書きホイール110はガラス板90内に応力場を誘起する。応力場はガラス板90の、鋸歯付罫書きホイール110の接触面112に接触する、領域で最も強く(
図3及び4を見よ)、ガラス板90に表面窪み150を生じさせる。応力場は、表面窪み150の間で、ガラス板90の上面96に沿う表面窪み150から隔てられた位置において、及びガラス板90の深さに向けて、消散する。応力場はガラス板90の上面96からメジアンクラック深さまでの罫書き線92の形成をおこさせる。鋸歯付罫書きホイール110をガラス板90の上面96に突き当てる力を制御することによって、罫線92が所望のメジアンクラック深さ148で形成されるように、鋸歯付罫書きホイール110によってつくられる表面窪み150の深さを制御することができる。
【0027】
図8を次に参照すれば、時刻t
2に続く時刻t
3において、罫書きヘッド120は、第1の縁端98の反対側のガラス板90の第2の縁端99に鋸歯付罫書きホイール110が近づくまで、ガラス板90の上面96に沿って鋸歯付罫書きホイール110を平行移動させ続ける。鋸歯付罫書きホイール110が第2の縁端99に近づくと罫書きヘッド120は停止し、力印加機構126は鋸歯付罫書きホイール110にかけていた力を抜く。いくつかの実施形態において、ガラス板90の第2の縁端99と鋸歯付罫書きホイール110の停止点の間の終端距離127(
図9を見よ)は少なくとも鋸歯付罫書きホイール110の1直径である。例えば、直径が約3mmの鋸歯付罫書きホイール110を用いた場合、終端距離127は少なくとも3mmである。ガラス板90への鋸歯付罫書きホイール110の衝突に始まり、終端距離127における鋸歯付罫書きホイール110による力がガラス板90から取り去られたときに終わる、1本の罫書き線92が形成される時間は、罫書き時間と定義される。
【0028】
図9に示されるように、時刻t
3に続く時刻t
4において、罫書きヘッド120は、接触面112がもはやガラス板90とは接触していないように、鋸歯付罫書きホイール110を垂直方向に平行移動させてガラス板90の上面96から離す。ガラス板90の第2の縁端99から隔てられた終端距離127において鋸歯付罫書きホイール110を停止させることにより第2の縁端99近傍のガラス板90の領域は罫書かれないままであり、したがって、第2の縁端99近傍のガラス板90の領域は、ハンドリングまたは以降の罫書き作業のため、構造一体性を維持する。しかし、罫書き線92は罫書き時間後もガラス板90の厚さにかけて延び広がり広がり続ける。
【0029】
鋸歯付罫書きホイール110が平行移動してガラス板90の目的の局所領域から離れると、応力場内の残留応力は、罫書き線92近傍のガラス板90の領域内の応力場が緩和するにつれて時間とともに消散する。応力場の消散は表面窪み150の形成後のガラス板90内の応力の再分布に帰因させることができる。鋸歯付罫書きホイール110が平行移動して目的の局所領域から離れると、罫書き線92がガラス板90の厚さにかけて延び広がり続け、罫書き線92の形成路に沿う貫通クラック95を形成するように、再分布し得る。貫通クラック95はガラス板90の第2の縁端99近傍にあるガラス板90の未分離領域97において終端する。未分離領域97は、上述した罫書き作業において罫書かれていなかった、第2の縁端99近傍にあるガラス板の部分に相当する。
【0030】
図10を次に参照すれば、罫書き機構100は鋸歯付罫書きホイール110をガラス板90に沿って複数回、鋸歯付罫書きホイール110が対応する複数本の罫書き線92を第1の方向91に形成するように、平行移動させる。複数本の罫書き線92は、ガラス板90の未分離領域によって第2の縁端99から隔てられている、対応する複数本の貫通クラック95をそれぞれが形成するように、ガラス板90の厚さにかけて延び広がり続ける。第1の方向91の所望の本数の罫書き線92がガラス板92に形成されると、罫書き機構100は第3の縁端198に近接する位置に鋸歯付罫書きホイール110を移動させる。上述した方法と同様に、ガラス板90の上面96より下の垂直位置に鋸歯付罫書きホイール110が配置される。罫書き機構100は鋸歯付罫書きホイール110を、鋸歯付罫書きホイール110がガラス板90の第3の縁端198に縁端衝突モードで接触して、第3の縁端にクロスカットクラック開始部230を形成し始めるように、ガラス板90に向けて平行移動させる。罫書き機構100は鋸歯付罫書きホイール110を初期クロスカット速度で第3の縁端198に向けて平行移動させる。鋸歯付罫書きホイール110がガラス板90の第3の縁端198に接触すると、鋸歯付罫書きホイール110がガラス板90の上面96に接触するように、鋸歯付罫書きホイール110は垂直上方に平行移動させられ得る。クロスカットクラック開始部230は、
図7及び8に示される表面弯入と同様の、ガラス板90の第1の強化表面層142に延び込む、鋸歯付罫書きホイール110で形成された表面弯入を有する。
【0031】
図10を再び参照すれば、鋸歯付罫書きホイール110がガラス板90の上面96に接触するように罫書きヘッド120が配置されると、鋸歯付罫書きホイール110は、ガラス板90にかけて第4の縁端199に向けてクロスカット罫書き線94を罫書くためのクロスカット罫書き速度まで加速される。クロスカット罫書き線94は、
図7及び8のメジアンクラック深さ148と同様の、ガラス板90の第1の強化表面層142より深いメジアンクロスカットクラック深さまでガラス板90に延び込む。いくつかの実施形態において、クロスカット罫書き線94はガラス板90の一部にかけて延びる。別の実施形態において、クロスカット罫書き線94は、第3の縁端198から第4の縁端199まで、ガラス板90の全体にわたって延びる。最終用途にしたがって、複数本のクロスカット罫線94をガラス板90にかけて形成することができる。
【0032】
図10及び11を次に参照すれば、鋸歯付罫書きホイール110が平行移動されて目的の局所領域から離された後、それぞれのクロスカット罫書き線94は、クロスカット罫書き線94がガラス板90の厚さにわたる貫通クラックを形成するように、ガラス板90の厚さにかけて延び広がり続ける。クロスカット罫書き線94がガラス板の厚さにかけて延びると、ガラス板90は罫書き線92及びクロスカット罫書き線94に対応する位置において貫通クラック95に沿って分離する。上述した方法にしたがってガラス板90を罫書くことにより、ガラス板90は、隣り合う罫書き線92及び隣り合うクロスカット罫書き線94の間隔によって定められる寸法及び形状をそれぞれが有する、複数のガラス品160a〜uに分割される。
【0033】
ガラス品160は、罫書き線92及びクロスカット罫書き線94に沿って分離するためにガラス板90に力をさらに印加することなく、ガラス板90から分離することができる。さらに、ガラス品160はガラス品が罫書かれる順序でガラス板90から順次に分離することができる。例えば、ガラス品160a〜eはガラス品160f〜jの前にガラス板90から分離し、ガラス品160f〜jはガラス品160k〜oの前にガラス板90から分離し、ガラス品160k〜oはガラス品160p〜uの前にガラス板90から分離する。
【0034】
上述した方法は、強化ガラス板90を機械的に罫書くために用いられる。ガラス板90はアルカリアルミノケイ酸ガラス組成物で形成することができる。一実施形態において、アルカリアルミノケイ酸ガラスは、約84モル%〜約68モル%のSiO
2,約12モル%〜約16モル%のNa
2O,約8モル%〜約12モル%のAl
2O
3,0モル%〜約3モル%のB
2O
3,約2モル%〜約5モル%のK
2O,約4モル%〜約6モル%のMgO及び0モル%〜約5モル%のCaOを含み、66モル%≦SiO
2+B
2O
3+CaO≦69モル%,Na
2O+K
2O+B
2O
3+MgO+CaO+SrO>10モル%,5モル%≦MgO+CaO+SrO≦8モル%,(Na
2O+B
2O
3)−Al
2O
3≧2モル%,2モル%≦Na
2O−Al
2O
3≦6モル%及び4モル%≦(Na
2O+K
2O)−Al
2O
3≦10モル%である。
【0035】
別の実施形態において、アルカリアルミノケイ酸ガラスは、約60モル%〜約70モル%のSiO
2,約6モル%〜約14モル%のAl
2O
3,0モル%〜約15モル%のB
2O
3,約0モル%〜約15モル%のLi
2O,0モル%〜約20モル%のNa
2O,0モル%〜約10モル%のK
2O,約4モル%〜約6モル%のMgO,0モル%〜約10モル%のCaO,0モル%〜約5モル%のZrO
2,0モル%〜約1モル%のSnO
2,0モル%〜約1モル%のCeO
2,約50ppm未満のAs
2O
3及び約50ppm未満のSb
2O
3を含み、12モル%≦Li
2O+Na
2O+K
2O≦20モル%及び0モル%≦MgO+CaO≦10モル%である。
【0036】
別の実施形態において、アルカリアルミノケイ酸ガラスはSiO
2及びNa
2Oを含み、ガラスは、ガラスの粘度が35キロポアズ(kpoise)(3.5kPa・秒)になる温度T
35kpを有し、ジルコンが分解してZrO
2及びSiO
2を形成する温度T
分解はT
35kpより高い。いくつかの実施形態において、アルカリアルミノケイ酸ガラスは、約61モル%〜約75モル%のSiO
2,約7モル%〜約15モル%のAl
2O
3,0モル%〜約12モル%のB
2O
3,約9モル%〜約21モル%のNa
2O,0モル%〜約4モル%のK
2O,0モル%〜約7モル%のMgO及び0モル%〜約3モル%のCaOを含む。
【0037】
別の実施形態において、アルカリアルミノケイ酸ガラスは少なくとも50モル%のSiO
2及び、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物からなる群から選ばれる、少なくとも1つの改質剤を含み、ここで、 [Al
2O
3(モル%)+B
2O
3{モル%}]/(Σアルカリ金属改質剤(モル%))>1である。いくつかの実施形態において、アルカリアルミノケイ酸ガラスは、50モル%〜約72モル%のSiO
2,約9モル%〜約17モル%のAl
2O
3,約2モル%〜約12モル%のB
2O
3,約8モル%〜約16モル%のNa
2O及び0モル%〜約4モル%のK
2Oを含む。
【0038】
別の実施形態において、アルカリアルミノケイ酸ガラスは、SiO
2,Al
2O
3,P
2O
5及び少なくとも1つのアルカリ金属酸化物(R
2O)を含み、0.75≦[P
2O
5(モル%)+R
2O(モル%)]/(M
2O
3(モル%))≦1.2である。ここで、M
2O
3=Al
2O
3+B
2O
3である。いくつかの実施形態において、アルカリアルミノケイ酸ガラスは、約40モル%〜約70モル%のSiO
2,0モル%〜約28モル%のB
2O
3,0モル%〜約28モル%のAl
2O
3,約1モル%〜約14モル%のP
2O
5及び約12モル%〜約16モル%のR
2Oを含み、いくつかの実施形態において、約40モル%〜約64モル%のSiO
2,0モル%〜約8モル%のB
2O
3,約16モル%〜約28モル%のAl
2O
3,約2モル%〜約12モル%のP
2O
5及び約12モル%〜約16モル%のR
2Oを含む。
【0039】
また別の実施形態において、アルカリアルミノケイ酸ガラスは少なくとも約4モル%のP
2O
5を含み、(M
2O
3(モル%))/(R
xO(モル%))<1である。ここで、M
2O
3=Al
2O
3+B
2O
3であり、R
xOはアルカリアルミノケイ酸ガラス内に存在する一価及び二価の陽イオン酸化物の和である。いくつかの実施形態において、一価及び二価の陽イオン酸化物は、Li
2O,Na
2O,K
2O,Rb
2O,Cs
2O,MgO,CaO,SrO,BaO及びZnOからなる群から選ばれる。いくつかの実施形態において、ガラスは0モル%のB
2O
3を含む。
【0040】
また別の実施形態において、アルカリアルミノケイ酸ガラスは、少なくとも約50モル%のSiO
2及び約11モル%のNa
2Oを含み、圧縮応力は少なくとも900MPaである。いくつかの実施形態において、ガラスはAl
2O
3及び、B
2O
3,K
2O,MgO及びZnOの内の少なくとも1つをさらに含み、−340+27.1・Al
2O
3−28.7・B
2O
3+15.6・Na
2O−61.4・K
2O+8.1・(MgO+ZnO)≧0モル%である。特定の実施形態において、ガラスは、約7モル%〜約26モル%のAl
2O
3,0モル%〜約9モル%のB
2O
3,約11モル%〜約25モル%のNa
2O,0モル%〜約2.5モル%のK
2O,0モル%〜約8.5モル%のMgO,及び0モル%〜約1.5モル%のCaOを含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、上述したアルミノケイ酸ガラスに、リチウム、ホウ素、バリウム、ストロンチウム、ビスマス、アンチモン、及びヒ素の内の少なくとも1つは実質的に含まれていない(すなわち、0モル%を含む)。
【0042】
いくつかの実施形態において、上述したアルカリアルミノケイ酸ガラスは、スロットドロー、フュージョンドロー、リドロー、等のような、技術上既知のプロセスによるダウンドローが可能であり、すくなくとも130kpoise(13kPa・秒)の液相粘度を有する。
【0043】
本明細書で先に説明したように、ガラス板90は、一実施形態において、ガラスの表面層内のイオンが、同じ原子価または酸化状態を有するより大径のイオンで置換される、イオン交換プロセスによって化学的に強化される。特定の実施形態の1つにおいて、表面層内のイオン及びより大径のイオンは、(ガラス内に存在すれば)Li
+,Na
+,K
+,Rb
+およびCs
+のような、一価のアルカリ金属陽イオンである。あるいは、表面層内の一価の陽イオンは、Ag
+,Tl
+,Cu
+,等のような、アルカリ金属陽イオン以外の一価の陽イオンで置換され得る。
【0044】
イオン交換プロセスはガラス基板の表面に圧縮応力をつくりだす。そのような圧縮応力はガラス基板の表面下の、層深さと称される、ある深さまで広がる。圧縮応力は、ガラス基板内の正味の応力がゼロであるように(中央張力)と称される引張応力の層と釣り合わされる。ガラス基板の表面における圧縮応力の形成はガラスを強化し、耐機械的損傷性にし、したがって、きずによるガラス基板の破局的破壊を軽減する。きずが層深さにわたって広がることはない。
【0045】
一実施形態において、ガラス板90は、ガラス板90がイオン交換浴に入れられたときに、ガラスの表面近くにある小径のナトリウムイオンが大径のカリウムイオンと交換される、イオン交換によって化学的に強化される。小径ナトリウムインの大径カリウムイオンによる置換はガラス板90の表面に圧縮応力層を発現させる。
【0046】
本明細書に説明される実施形態において、強化によってガラス板90に発現する圧縮応力及び層深さはガラス板90の損傷許容度を改善し、同時にガラス品にきずを入れるリスク無しに(研磨または別の機械加工によるような)以降の処理を容易にするにも、十分である。一実施形態において、圧縮応力は約200MPaから約1000MPaとすることができる。別の実施形態において、圧縮応力は約500MPaから約800MPaとすることができる。また別の実施形態において、圧縮応力は約650MPaから約900MPaとすることができる。一実施形態において、層深さは約10μmから約80μmとすることができる。別の実施形態において、層深さは約30μmから約60μmとすることができる。また別の実施形態において、層深さは約40μmから約60μmとすることができる。
【0047】
上述した方法にしたがって処理されたガラス板は機械罫書きプロセスを用いて罫書くことができる。機械罫書きプロセスは、ガラス板にメジアンクラック深さまで伸び込む罫書き線及びクロスカット罫書き線をガラス板に形成するため、鋸歯付罫書きホイールを用いる。鋸歯付罫書きホイールが平行移動されて前進するにつれて、罫書き線はガラスの厚さにかけて延び広がり、これにより、ガラス板の向こう側の縁端には到達しない貫通クラックが形成される。鋸歯付罫書きホイールは第1の方向を横切る第2の方向でガラス板にかけて同様に平行移動された、クロスカット罫書き線を形成する。ガラス板は、力をさらに印加せずとも、隣り合う罫書き線及び隣り合うクロスカット罫書き線の間隔にしたがう寸法につくられた複数のガラス品に分離する。
【実施例】
【0048】
化学的に強化されたガラス板を上述した方法にしたがって機械的に罫書きして分割した。ガラス板は、厚さが0.055mmであり、30μm厚の表面圧縮層及び750MPaの表面圧縮応力レベルを有し、ガラス板中央張力計算値が33MPaの、コーニング(Corning)IOX-FSガラスとした。ガラス板を、それぞれが50mm×50mmの寸法を有する小寸ガラス品に分けた。それぞれの小寸ガラス板を、本明細書に説明される方法にしたがい、市販の研削ガラス切断機、すなわち、独国マインツ(Mainz)のMDI Schott Advanced Processing GmbHから入手した市販品のMPシリーズガラス切断機を用いて機械的に罫書いた。ガラス板の表面を罫書くために用いた鋸歯付罫書きホイールも、MDI Schottからの、Micro Penett 306-3/110°/D2.0 T 0.65 H0.8とした。
【0049】
ガラス板にクラック開始部を設けるため、ガラス板の上面の下0.15mmの切込み深さにおいてガラス板から約5mm離れるように鋸歯付罫書きホイールを配置することで、鋸歯付罫書きホイールを縁端衝突させた。縁端から約5mmの距離からガラス板に縁端衝突させるため、鋸歯付罫書きホイールを毎秒5mmの初期速度で平行移動させた。ガラス板の大半にかけて0.03,0.04,0.05及び0.06MPaの機械圧力で罫書き線を形成するため、鋸歯付罫書きホイールを毎秒約250mmの罫書き速度まで加速させた。機械圧力は、それぞれ3,4,5及び6Nの、ガラス板上に鋸歯付罫書きホイールによってかけられる垂直荷重に相当する。鋸歯付罫書きホイールを縁端から鋸歯付罫書きホイール直径のほぼ3倍、すなわち約6mmにおいて、ガラス板に沿う鋸歯付罫書きホイールの平行移動を終端した。
【0050】
同じ機械及び鋸歯付罫書きホイールを用いてガラス板をクロスカットした。クロスカット罫書き線のためのクロスカット開始部を形成する縁端衝突モードのパラメータは罫書き線のための開始部の形成時のパラメータと一致させた。しかし、クロスカット罫書き速度は罫書き速度の約93%、すなわち毎秒約232mmとした。
【0051】
鋸歯付罫書きホイールに5Nの垂直荷重を印加したときに、機械手罫書きに続くガラス品の自発分離の最適な結果が見られた。
【0052】
語「実質的に」及び「約」は本明細書において、いかなる量的比較、値、測定値またはその他の表示にも帰因させ得る本質的な不確定性の度合いを表すために用いられ得ることに注意されたい。これらの語は本明細書において、対象としている主題の基本機能に変化を生じさせずに、量的表現が言明された基準値から変わり得る度合いを表すためにも用いられる。
【0053】
特定の実施形態を本明細書に示し、説明したが、特許請求される主題の精神及び範囲を逸脱することなく様々な他の変更及び改変がなされ得ることは当然である。さらに、特許請求される主題の様々な態様を本明細書に説明したが、そのような態様が組合せで用いられる必要はない。したがって、添付される特許請求の範囲は、特許請求される主題の範囲内にあるそのような変更及び改変の全てを包含するとされる。