特許第6248099号(P6248099)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248099
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】吸水処理材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/24 20060101AFI20171204BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20171204BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20171204BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20171204BHJP
   B07B 1/24 20060101ALI20171204BHJP
   B07B 1/46 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   B01J20/24 B
   B09B3/00 ZZAB
   B09B5/00 Z
   B01J20/30
   B07B1/24
   B07B1/46 K
【請求項の数】21
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-515756(P2015-515756)
(86)(22)【出願日】2013年5月10日
(86)【国際出願番号】JP2013063179
(87)【国際公開番号】WO2014181468
(87)【国際公開日】20141113
【審査請求日】2015年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148977
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100148518
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【審査官】 高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−039023(JP,A)
【文献】 特開平08−117688(JP,A)
【文献】 特開平06−285431(JP,A)
【文献】 特開平06−230606(JP,A)
【文献】 特開2000−350944(JP,A)
【文献】 特開2010−247013(JP,A)
【文献】 特開2003−219746(JP,A)
【文献】 特開2006−333773(JP,A)
【文献】 特開2003−200147(JP,A)
【文献】 特表平02−500496(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/123807(WO,A1)
【文献】 米国特許第2721035(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0186661(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00 − 20/34
B07B 1/22 − 1/26、
1/46、
9/00 − 9/02
B02C 17/00 − 17/24、
19/00 − 19/22、
23/00 − 23/40
A01K 1/015
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
B09B 1/00 − 5/00
B29B 17/00 − 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア部と、前記コア部を覆う表層部とを備える吸水処理材の製造方法であって、
衛生用品に由来する、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーを取得する取得工程と、
前記取得工程において取得された前記フラッフパルプ及び前記吸水性ポリマーを材料として、前記表層部を形成する形成工程と、を含み、
前記取得工程においては、分離装置を用いて、前記衛生用品から前記フラッフパルプ及び前記吸水性ポリマーを分離し、
前記分離装置は、
前記衛生用品を細断する第1の細断部と、
前記第1の細断部によって細断された前記衛生用品に含まれるプラスチックを通過させずに前記フラッフパルプ及び前記吸水性ポリマーを通過させる多数の第1の孔が形成された第1の筒状部を有し、前記第1の細断部によって細断された前記衛生用品が収容された状態で前記第1の筒状部を回転させることにより、当該衛生用品から前記第1の孔を通過した、前記フラッフパルプ及び前記吸水性ポリマーを分離する第1の分離部と、
前記第1の筒状部の内周面上に設けられ、当該第1の筒状部の中心軸方向に延在する第1の突条と、
前記第1の細断部によって細断された前記衛生用品を、風圧によって前記第1の分離部に向けて移送するための第1の通風管と、を有し、
前記第1の筒状部の内部には、
当該第1の筒状部の中心軸に一致する中心軸周りに回転可能な回転ロッドと、
前記回転ロッドの周囲に螺旋を描くように設けられ、複数の歯が形成されたスクリュー部材と、が設けられており、
前記第1の通風管は、第1の方向に延びる第1の部分と、前記第1の部分の下流において当該第1の部分に連結され、前記第1の方向と略直交する第2の方向に延びる第2の部分とを有することを特徴とする吸水処理材の製造方法。
【請求項2】
請求項に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第1の突条はp本(p:3以上5以下の整数)存在し、当該p本の第1の突条は、前記第1の筒状部の前記内周面上に等間隔で配設されている吸水処理材の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記分離装置は、
前記第1の通風管における前記第1の部分と前記第2の部分との連結部分に存在し、前記第1の部分を通って移送されてきた前記衛生用品が衝突する第1の凹凸面を有する吸水処理材の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第1の通風管は、前記第2の部分の下流において当該第2の部分に連結され、前記第2の方向と略直交する第3の方向に延びる第3の部分を有する吸水処理材の製造方法。
【請求項5】
請求項に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記分離装置は、
前記第1の通風管における前記第2の部分と前記第3の部分との連結部分に存在し、前記第2の部分を通って移送されてきた前記衛生用品が衝突する第2の凹凸面を有する吸水処理材の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記分離装置は、
前記第1の分離部によって前記第1の孔を通過した前記フラッフパルプ及び前記吸水性ポリマーが分離された前記衛生用品を、風圧によって移送するための第2の通風管を有し、
前記第2の通風管は、第1の方向に延びる第1の部分と、前記第1の部分の下流において当該第1の部分に連結され、前記第1の方向と略直交する第2の方向に延びる第2の部分とを有する吸水処理材の製造方法。
【請求項7】
請求項に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記分離装置は、
前記第2の通風管における前記第1の部分と前記第2の部分との連結部分に存在し、前記第1の部分を通って移送されてきた前記衛生用品が衝突する第3の凹凸面を有する吸水処理材の製造方法。
【請求項8】
請求項又はに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第2の通風管は、前記第2の部分の下流において当該第2の部分に連結され、前記第2の方向と略直交する第3の方向に延びる第3の部分を有する吸水処理材の製造方法。
【請求項9】
請求項に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記分離装置は、
前記第2の通風管における前記第2の部分と前記第3の部分との連結部分に存在し、前記第2の部分を通って移送されてきた前記衛生用品が衝突する第4の凹凸面を有する吸水処理材の製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記分離装置は、
前記第1の分離部によって前記第1の孔を通過した前記フラッフパルプ及び前記吸水性ポリマーが分離された前記衛生用品を細断する第2の細断部と、
前記第2の細断部によって細断された前記衛生用品に含まれる前記プラスチックを通過させずに前記フラッフパルプ及び前記吸水性ポリマーを通過させる多数の第2の孔が形成された第2の筒状部を有し、前記第2の細断部によって細断された前記衛生用品が収容された状態で前記第2の筒状部を回転させることにより、当該衛生用品から前記第2の孔を通過した前記フラッフパルプ及び前記吸水性ポリマーを分離する第2の分離部と、を有する吸水処理材の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第2の孔の平面視での面積は、前記第1の孔の平面視での面積よりも小さい吸水処理材の製造方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記分離装置は、
前記第2の筒状部の内周面上に設けられ、当該第2の筒状部の中心軸方向に延在する第2の突条を有する吸水処理材の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第2の突条はq本(q:3以上5以下の整数)存在し、当該q本の第2の突条は、前記第2の筒状部の前記内周面上に等間隔で配設されている吸水処理材の製造方法。
【請求項14】
請求項10乃至13の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記分離装置は、
前記第2の細断部によって細断された前記衛生用品を、風圧によって前記第2の分離部に向けて移送するための第3の通風管を有し、
前記第3の通風管は、第1の方向に延びる第1の部分と、前記第1の部分の下流において当該第1の部分に連結され、前記第1の方向と略直交する第2の方向に延びる第2の部分とを有する吸水処理材の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記分離装置は、
前記第3の通風管における前記第1の部分と前記第2の部分との連結部分に存在し、前記第1の部分を通って移送されてきた前記衛生用品が衝突する第5の凹凸面を有する吸水処理材の製造方法。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第3の通風管は、前記第2の部分の下流において当該第2の部分に連結され、前記第2の方向と略直交する第3の方向に延びる第3の部分を有する吸水処理材の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記分離装置は、
前記第3の通風管における前記第2の部分と前記第3の部分との連結部分に存在し、前記第2の部分を通って移送されてきた前記衛生用品が衝突する第6の凹凸面を有する吸水処理材の製造方法。
【請求項18】
請求項1乃至17の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記取得工程において取得された前記フラッフパルプを穴径0.5mm以下のスクリーンを有する粉砕機により粉砕するフラッフ粉砕工程を含み、
前記形成工程においては、前記フラッフ粉砕工程において粉砕された前記フラッフパルプを材料として用いる吸水処理材の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記粉砕機は、穴径0.3mm以下のスクリーンを有する吸水処理材の製造方法。
【請求項20】
請求項1乃至19の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記取得工程において取得された前記吸水性ポリマーを50μm以下の粒度に粉砕するポリマー粉砕工程を含み、
前記形成工程においては、前記ポリマー粉砕工程において粉砕された前記吸水性ポリマーを材料として用いる吸水処理材の製造方法。
【請求項21】
請求項20に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記ポリマー粉砕工程においては、前記取得工程において取得された前記吸水性ポリマーを25μm以下の粒度に粉砕する吸水処理材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人又は動物の排泄物等の液体を吸収する吸水処理材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸水処理材の一種である排泄物処理材が記載されている。この排泄物処理材においては、コア部と、それを覆う表層部とが設けられている。表層部は、使用時に尿等の液体を吸収した排泄物処理材どうしを付着させて塊状にする機能を有する。
【特許文献1】特開2006−333773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かかる塊状化機能をもたせるため、表層部には、吸水性材料の他に、接着性材料をも含有させることが好ましい。それにより、吸水機能及び塊状化機能の何れにも優れた吸水処理材が得られる。しかしながら、このように吸水性材料及び接着性材料の双方を表層部に含有させることは、材料の調達コストの増大、ひいては吸水処理材の製造コストの増大を招いてしまう。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、吸水機能及び塊状化機能に優れるとともに、低コストで製造することが可能な吸水処理材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による吸水処理材は、コア部と、上記コア部を覆う表層部とを備え、上記表層部は、衛生用品に由来する、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーを含有していることを特徴とする。
【0006】
この吸水処理材においては、表層部にフラッフパルプ及び吸水性ポリマーが含有されている。フラッフパルプは吸水性材料として機能し、吸水性ポリマーは接着性材料として機能する。これらのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーは、何れも衛生用品(紙おむつ、生理用ナプキン、尿取りパッド等)に由来するものである。ここで、衛生用品に由来するとは、衛生用品の分級時又は製造時に発生するという意味である。
【0007】
これにより、廃棄物としての衛生用品から分離した、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーを表層部の材料として用いることが可能となる。また、衛生用品の製造時に残滓となった、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーを表層部の材料として用いることも可能となる。このため、材料の調達コストを削減し、ひいては吸水処理材の製造コストを削減することができる。
【0008】
また、本発明による吸水処理材の製造方法は、コア部と、上記コア部を覆う表層部とを備える吸水処理材の製造方法であって、衛生用品に由来する、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーを取得する取得工程と、上記取得工程において取得された上記フラッフパルプ及び上記吸水性ポリマーを材料として上記表層部を形成する形成工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
この製造方法においては、表層部の材料として、衛生用品に由来する、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーが用いられる。これにより、廃棄物としての衛生用品から分離した、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーを表層部の材料として用いることが可能となる。また、衛生用品の製造時に残滓となった、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーを表層部の材料として用いることも可能となる。このため、材料の調達コストを削減し、ひいては吸水処理材の製造コストを削減することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、吸水機能及び塊状化機能に優れるとともに、低コストで製造することが可能な吸水処理材及びその製造方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。
図2】分離装置の一実施形態を示す構成図である。
図3図2の分離装置における分離部40を示す側面図である。
図4図3のIV−IV線に沿った断面図である。
図5図2の分離装置における分離部60を示す側面図である。
図6図5のVI−VI線に沿った断面図である。
図7図2の分離装置における移送路76を示す断面図である。
図8図2の分離装置における移送路78を示す断面図である。
図9図2の分離装置における移送路80を示す断面図である。
図10図4に示した突条44の変形例を説明するための断面図である。
図11図7に示した凹凸面77a及び凹凸面77bの変形例を説明するための断面図である。
図12図7に示した凹凸面77a及び凹凸面77bの変形例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。吸水処理材1は、猫や犬等の愛玩動物用の排泄物処理材であって、粒状芯部10(コア部)、及び被覆層部20(表層部)を備えている。
【0014】
被覆層部20は、粒状芯部10を覆っている。被覆層部20は、粒状芯部10の表面全体を覆っていてもよいし、粒状芯部10の表面の一部のみを覆っていてもよい。被覆層部20は、フラッフパルプ及び吸水性ポリマー(高吸水性ポリマーを含む。以下同様。)を含有している。これらのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーは、何れも衛生用品に由来するものである。衛生用品は、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン又は尿取りパッドである。衛生用品としては、廃棄物としての衛生用品を用いることが好ましい。本実施形態において、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーは、後述する分離装置により、衛生用品から分離されたものである。
【0015】
フラッフパルプは主材料として被覆層部20に含有されており、吸水性ポリマーは副材料として被覆層部20に含有されている。ここで、主材料とは、被覆層部20を構成する材料全体の中で占める重量割合が最も高い材料をいう。また、副材料とは、被覆層部20を構成する材料全体の中で占める重量割合が2番目に高い材料をいう。
【0016】
図2は、本実施形態において用いられる分離装置を示す構成図である。分離装置90は、第1の材料及び第2の材料を含む処理対象物を処理することにより、第1の材料と第2の材料とを互いに解離させ、処理対象物から第2の材料を分離するものである。本実施形態においては、処理対象物が衛生用品、第1の材料がプラスチック、第2の材料がフラッフパルプ及び吸水性ポリマーである。
分離装置90は、細断部30(第1の細断部)、分離部40(第1の分離部)、細断部50(第2の細断部)、及び分離部60(第2の分離部)を備えている。
【0017】
細断部30は、衛生用品を細断する。細断部30としては、例えば、破砕機又は粉砕機を用いることができる。例えば衛生用品が紙おむつである場合、細断部30にはスクリーンが設けられていないことが好ましい。
【0018】
図3及び図4を参照しつつ、分離部40の構造を説明する。図3は、分離部40を示す側面図である。図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。分離部40は、ドラム42(第1の筒状部)を有している。ドラム42は、略円筒状をしており、その中心軸周りに回転可能に設けられている。ドラム42の中心軸は、水平である。ドラム42の内径は、例えば、30cm以上50cm以下である。
【0019】
ドラム42には、多数の孔42a(第1の孔)が形成されている。孔42aは、ドラム42の略全体にわたって形成されている。孔42aは、細断部30によって細断された衛生用品に含まれるプラスチックは通過させないが、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーは通過させる。例えば衛生用品が紙おむつである場合、孔42aの径は、10mm以上30mm以下であることが好ましい。分離部40は、細断部30によって細断された衛生用品が収容された状態でドラム42を回転させることにより、衛生用品から、孔42aを通過したフラッフパルプ及び吸水性ポリマーを分離する。
【0020】
ドラム42の内周面上には、突条44(第1の突条)が設けられている。突条44は、ドラム42の中心軸方向に延在している。突条44は、ドラム42の入口側(図3の左側)から出口側(図3の右側)までの経路の略全体にわたって延在している。また、突条44は、断面が略三角形である。突条44の高さ(ドラム42の径方向の長さ)は、例えば、5mm以上2cm以下である。突条44は、p本(p:3以上5以下の整数)設けられることが好ましい。p本の突条44は、ドラム42の内周面上に等間隔で配設されている。すなわち、ドラム42の中心軸に垂直な断面(図4に示す断面)において、1つの突条44と中心軸とを結んだ線分と、その隣の突条44と中心軸とを結んだ線分とのなす角度αは、360°/pに略等しい。本実施形態においては、p=4、α=90°である。
【0021】
ドラム42の内部には、回転ロッド46及びスクリュー部材48が設けられている。回転ロッド46は、略円柱状をしており、その中心軸周りに回転可能に設けられている。回転ロッド46の中心軸は、ドラム42の中心軸に一致する。ただし、回転ロッド46は、ドラム42とは独立して回転する。回転ロッド46の外径は、例えば、15cm以上25cm以下である。
【0022】
回転ロッド46の周囲には、螺旋を描くようにスクリュー部材48が設けられている。スクリュー部材48は、回転ロッド46に固定されており、回転ロッド46と一緒に回転する。スクリュー部材48には、複数の歯49が形成されている。歯49の端部は、正面視(図4参照)で、辺49a及び辺49bによって構成されている。
【0023】
辺49aは、ドラム42及び回転ロッド46の径方向に延びている。辺49aの内端(回転ロッド46に近い方の端)は、回転ロッド46から離間した位置に存在する。同様に、辺49aの外端(ドラム42に近い方の端)は、ドラム42から離間した位置に存在する。辺49aの外端とドラム42の内周面との距離は、突条44の高さよりも大きく、例えば1cm以上3cm以下である。辺49bは、辺49aの外端と、隣の歯49の辺49aの内端とを結んでいる。辺49bは、辺49aよりも長い。辺49bの長さの辺49aの長さに対する比は、例えば、2以上2.5以下である。
【0024】
回転ロッド46及びスクリュー部材48は、図4において左回り(反時計回り)に回転する。つまり、歯49においては、辺49bが回転方向の前方に位置し、辺49aが回転方向の後方に位置している。上述のドラム42の回転方向は、回転ロッド46及びスクリュー部材48の回転方向と同じであってもよいし、反対であってもよい。これらの回転方向が同じである場合、回転ロッド46及びスクリュー部材48の回転速度は、ドラム42の回転速度よりも大きいことが好ましい。
【0025】
細断部50は、分離部40によって孔42aを通過したフラッフパルプ及び吸水性ポリマーが分離された衛生用品を細断する。細断部50としては、例えば、破砕機又は粉砕機を用いることができる。細断部50には、スクリーンが設けられている。例えば衛生用品が紙おむつである場合、スクリーンの穴径は、30mm以上70mm以下であることが好ましい。
【0026】
図5及び図6を参照しつつ、分離部60の構造を説明する。図5は、分離部60を示す側面図である。図6は、図5のVI−VI線に沿った断面図である。分離部60は、ドラム62(第2の筒状部)を有している。ドラム62は、略円筒状をしており、その中心軸周りに回転可能に設けられている。ドラム62の中心軸は、水平である。ドラム62の内径は、例えば、30cm以上50cm以下である。
【0027】
ドラム62には、多数の孔62a(第2の孔)が形成されている。孔62aは、ドラム62の略全体にわたって形成されている。孔62aは、細断部50によって細断された衛生用品に含まれるプラスチックは通過させないが、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーは通過させる。孔62aの平面視での面積は、孔42aの平面視での面積よりも小さい。例えば衛生用品が紙おむつである場合、孔62aの径は、5mm以上20mm以下であることが好ましい。分離部60は、細断部50によって細断された衛生用品が収容された状態でドラム62を回転させることにより、衛生用品から、孔62aを通過したフラッフパルプ及び吸水性ポリマーを分離する。
【0028】
ドラム62の内周面上には、突条64(第2の突条)が設けられている。突条64は、ドラム62の中心軸方向に延在している。突条64は、ドラム62の入口側(図5の左側)から出口側(図5の右側)までの経路の略全体にわたって延在している。また、突条64は、断面が略三角形である。突条64の高さ(ドラム62の径方向の長さ)は、例えば、5mm以上2cm以下である。突条64は、q本(q:3以上5以下の整数)設けられることが好ましい。q本の突条64は、ドラム62の内周面上に等間隔で配設されている。すなわち、ドラム62の中心軸に垂直な断面(図6に示す断面)において、1つの突条64と中心軸とを結んだ線分と、その隣の突条64と中心軸とを結んだ線分とのなす角度βは、360°/qに略等しい。本実施形態においては、q=4、β=90°である。
【0029】
ドラム62の内部には、回転ロッド66及びスクリュー部材68が設けられている。回転ロッド66は、略円柱状をしており、その中心軸周りに回転可能に設けられている。回転ロッド66の中心軸は、ドラム62の中心軸に一致する。ただし、回転ロッド66は、ドラム62とは独立して回転する。回転ロッド66の外径は、例えば、15cm以上25cm以下である。
【0030】
回転ロッド66の周囲には、螺旋を描くようにスクリュー部材68が設けられている。スクリュー部材68は、回転ロッド66に固定されており、回転ロッド66と一緒に回転する。スクリュー部材68には、複数の歯69が形成されている。歯69の端部は、正面視(図6参照)で、辺69a及び辺69bによって構成されている。
【0031】
辺69aは、ドラム62及び回転ロッド66の径方向に延びている。辺69aの内端(回転ロッド66に近い方の端)は、回転ロッド66から離間した位置に存在する。同様に、辺69aの外端(ドラム62に近い方の端)は、ドラム62から離間した位置に存在する。辺69aの外端とドラム62の内周面との距離は、突条64の高さよりも大きく、例えば1cm以上3cm以下である。辺69bは、辺69aの外端と、隣の歯69の辺69aの内端とを結んでいる。辺69bは、辺69aよりも長い。辺69bの長さの辺69aの長さに対する比は、例えば、2以上2.5以下である。
【0032】
回転ロッド66及びスクリュー部材68は、図6において左回り(反時計回り)に回転する。つまり、歯69においては、辺69bが回転方向の前方に位置し、辺69aが回転方向の後方に位置している。上述のドラム62の回転方向は、回転ロッド66及びスクリュー部材68の回転方向と同じであってもよいし、反対であってもよい。これらの回転方向が同じである場合、回転ロッド66及びスクリュー部材68の回転速度は、ドラム62の回転速度よりも大きいことが好ましい。
【0033】
分離装置90には、移送路76、移送路78、及び移送路80が更に設けられている(図2参照)。移送路76は、ダクト(第1の通風管)であり、細断部30による細断が行われた後の衛生用品を風圧によって分離部40に向けて移送する。移送路78は、ダクト(第2の通風管)であり、分離部40による分離が行われた後の衛生用品を風圧によって細断部50に向けて移送する。移送路80は、ダクト(第3の通風管)であり、細断部50による細断が行われた後の衛生用品を分離部60に向けて移送する。
【0034】
図7を参照しつつ、移送路76の構造を説明する。図7は、移送路76を示す断面図である。移送路76は、第1の方向に延びる部分76a(第1の部分)、第2の方向に延びる部分76b(第2の部分)、及び第3の方向に延びる部分76c(第3の部分)を有する。本実施形態において、第1の方向は水平方向、第2の方向は鉛直方向、第3の方向は水平方向である。部分76bは、部分76aの下流において部分76aに連結されている。部分76cは、部分76bの下流において部分76bに連結されている。これにより、部分76a、部分76b及び部分76cは、1本のクランク状のダクトを構成している。移送路76の内径は、例えば、10cm以上20cm以下である。
【0035】
部分76aと部分76bとの連結部分には、凹凸面77a(第1の凹凸面)が存在する。凹凸面77aは、部分76aを通って移送されてきた衛生用品が衝突する位置に設けられている。凹凸面77aは、鉛直面に対して略45°の角度をなしている。凹凸面77aとしては、例えば、波型加工又はエンボス加工された板状部材を用いることができる。凹凸面77aの材質は、例えばアルミニウムである。
【0036】
部分76bと部分76cとの連結部分には、凹凸面77b(第2の凹凸面)が存在する。凹凸面77bは、部分76bを通って移送されてきた衛生用品が衝突する位置に設けられている。凹凸面77bは、水平面に対して略45°の角度をなしている。凹凸面77bとしては、例えば、波型加工又はエンボス加工された板状部材を用いることができる。凹凸面77bの材質は、例えばアルミニウムである。
【0037】
図8を参照しつつ、移送路78の構造を説明する。図8は、移送路78を示す断面図である。移送路78は、第1の方向に延びる部分78a(第1の部分)、第2の方向に延びる部分78b(第2の部分)、及び第3の方向に延びる部分78c(第3の部分)を有する。本実施形態において、第1の方向は水平方向、第2の方向は鉛直方向、第3の方向は水平方向である。部分78bは、部分78aの下流において部分78aに連結されている。部分78cは、部分78bの下流において部分78bに連結されている。これにより、部分78a、部分78b及び部分78cは、1本のクランク状のダクトを構成している。移送路78の内径は、例えば、10cm以上20cm以下である。
【0038】
部分78aと部分78bとの連結部分には、凹凸面79a(第3の凹凸面)が存在する。凹凸面79aは、部分78aを通って移送されてきた衛生用品が衝突する位置に設けられている。凹凸面79aは、鉛直面に対して略45°の角度をなしている。凹凸面79aとしては、例えば、波型加工又はエンボス加工された板状部材を用いることができる。凹凸面79aの材質は、例えばアルミニウムである。
【0039】
部分78bと部分78cとの連結部分には、凹凸面79b(第4の凹凸面)が存在する。凹凸面79bは、部分78bを通って移送されてきた衛生用品が衝突する位置に設けられている。凹凸面79bは、水平面に対して略45°の角度をなしている。凹凸面79bとしては、例えば、波型加工又はエンボス加工された板状部材を用いることができる。凹凸面79bの材質は、例えばアルミニウムである。
【0040】
図9を参照しつつ、移送路80の構造を説明する。図9は、移送路80を示す断面図である。移送路80は、第1の方向に延びる部分80a(第1の部分)、第2の方向に延びる部分80b(第2の部分)、及び第3の方向に延びる部分80c(第3の部分)を有する。本実施形態において、第1の方向は水平方向、第2の方向は鉛直方向、第3の方向は水平方向である。部分80bは、部分80aの下流において部分80aに連結されている。部分80cは、部分80bの下流において部分80bに連結されている。これにより、部分80a、部分80b及び部分80cは、1本のクランク状のダクトを構成している。移送路80の内径は、例えば、10cm以上20cm以下である。
【0041】
部分80aと部分80bとの連結部分には、凹凸面81a(第5の凹凸面)が存在する。凹凸面81aは、部分80aを通って移送されてきた衛生用品が衝突する位置に設けられている。凹凸面81aは、鉛直面に対して略45°の角度をなしている。凹凸面81aとしては、例えば、波型加工又はエンボス加工された板状部材を用いることができる。凹凸面81aの材質は、例えばアルミニウムである。
【0042】
部分80bと部分80cとの連結部分には、凹凸面81b(第6の凹凸面)が存在する。凹凸面81bは、部分80bを通って移送されてきた衛生用品が衝突する位置に設けられている。凹凸面81bは、水平面に対して略45°の角度をなしている。凹凸面81bとしては、例えば、波型加工又はエンボス加工された板状部材を用いることができる。凹凸面81bの材質は、例えばアルミニウムである。
【0043】
分離装置90の動作を説明する。処理対象物である衛生用品は、まず、細断部30によって細断される。細断部30によって細断された衛生用品は、移送路76を通じて、分離部40に移送される。分離部40に移送された衛生用品は、回転するスクリュー部材48によって、ドラム42の入口側(図3の左側)から出口側(図3の右側)へと押し出される。その間、ドラム42の回転による遠心力等により、プラスチックから解離したフラッフパルプ及び吸水性ポリマーが孔42aを通じてドラム42の外に排出される。これにより、衛生用品からフラッフパルプの一部及び吸水性ポリマーの一部が分離され、これらを被覆層部20の材料として用いることができる。
【0044】
分離部40による分離が行われた後の衛生用品は、移送路78を通じて、細断部50に移送され、更に細断される。細断部50によって細断された衛生用品は、移送路80を通じて、分離部60に移送される。分離部60に移送された衛生用品は、回転するスクリュー部材68によって、ドラム62の入口側(図5の左側)から出口側(図5の右側)へと押し出される。その間、ドラム62の回転による遠心力等により、プラスチックから解離したフラッフパルプ及び吸水性ポリマーが孔62aを通じてドラム62の外に排出される。これにより、衛生用品から残りのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーが分離され、これらも被覆層部20の材料として用いることができる。
【0045】
続いて、本発明による吸水処理材の製造方法の一実施形態として、吸水処理材1の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、取得工程、フラッフ粉砕工程、ポリマー粉砕工程、造粒工程、被覆工程(形成工程)、分粒工程、及び乾燥工程を含んでいる。
【0046】
取得工程は、衛生用品に由来する、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーを取得する工程である。本実施形態においては、衛生用品から分離することにより、これらの材料を取得する。
【0047】
取得工程においては、上述の分離装置90が用いられる。すなわち、取得工程においては、まず、細断部30により衛生用品を細断する(第1の細断工程)。次に、分離部40において、細断部30により細断された衛生用品を収容した状態でドラム42を回転させることにより、当該衛生用品から孔42aを通過したフラッフパルプ及び吸水性ポリマーを分離する(第1の分離工程)。
【0048】
その後、第1の分離工程においてフラッフパルプ及び吸水性ポリマーが分離された衛生用品を細断部50により更に細断する(第2の細断工程)。次に、分離部60において、細断部50により細断された衛生用品を収容した状態でドラム62を回転させることにより、当該衛生用品から孔62aを通過したフラッフパルプ及び吸水性ポリマーを分離する(第2の分離工程)。
【0049】
フラッフ粉砕工程は、取得工程において取得されたフラッフパルプを穴径0.5mm以下(好ましくは0.3mm以下)のスクリーンを有する粉砕機により粉砕する工程である。また、ポリマー粉砕工程は、取得工程において取得された吸水性ポリマーを50μm以下(好ましくは25μm以下)の粒度に粉砕する工程である。なお、フラッフ粉砕工程及びポリマー粉砕工程は、省略してもよい。
【0050】
造粒工程は、粒状芯部10を形成する工程である。この工程においては、芯部材料(粒状芯部10を構成する材料)に加水した後、当該芯部材料を造粒機によって押出造粒する。芯部材料としては、例えば、紙類、繊維類、木材類、植物類、プラスチック類、ゴム類又は有機性汚泥材質を用いることができる。これらを2種類以上組み合わせて用いてもよい。これにより、粒状芯部10が得られる。
【0051】
被覆工程は、被覆層部20を形成する工程である。この工程においては、コーティング装置等を用いて、被覆材料(被覆層部20を構成する材料)を粒状芯部10の表面に付着させる。被覆材料の付着は、例えば、散布又は噴霧により行うことができる。これにより、被覆層部20が得られる。
【0052】
被覆材料は、フラッフ粉砕工程において粉砕されたフラッフパルプ、及びポリマー粉砕工程において粉砕された吸水性ポリマーを含有する。被覆材料に用いるフラッフパルプ及び吸水性ポリマーは、上述の第1の分離工程及び第2の分離工程の何れか一方において得られたものであってもよいし、両工程において得られたものであってもよい。また、被覆材料は、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーのみによって構成されてもよいし、これらの材料と他の材料との混合物によって構成されてもよい。
【0053】
分粒工程においては、所定の寸法の篩目を有する篩に、前工程で製造された吸水処理材を通過させることにより、所定の規格を満たす吸水処理材のみを抽出する。
【0054】
乾燥工程においては、前工程で抽出された吸水処理材を乾燥機で乾燥させる。粒状芯部10の含水率を適宜調整することにより、粒状芯部10の水分が被覆層部20に遷移して吸水性能が低下してしまうのを防ぐとともに、吸水処理材1の保存時にカビ等が発生するのを防ぐことができる。以上により、吸水処理材1が得られる。
【0055】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、被覆層部20にフラッフパルプ及び吸水性ポリマーが含有されている。フラッフパルプは吸水性材料として機能し、吸水性ポリマーは接着性材料として機能する。これらのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーは、何れも衛生用品の分級時に発生したものである。
【0056】
これにより、廃棄物としての衛生用品から分離した、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーを被覆層部20の材料として用いることが可能となる。このため、材料の調達コストを削減し、ひいては吸水処理材1の製造コストを削減することができる。よって、吸水機能及び塊状化機能に優れるとともに、低コストで製造することが可能な吸水処理材1及びその製造方法が実現されている。
【0057】
特に、被覆層部20においてフラッフパルプ及び吸水性ポリマーは、それぞれ主材料及び副材料として含有されている。これにより、材料の調達コストの削減効果が顕著となる。
【0058】
本実施形態においては、細断部30による細断及び分離部40による分離の後に、細断部50による細断及び分離部60による分離が行われる。このため、細断及び分離を1回ずつしか行わない場合に比して、分離効率が向上する。ここで、分離効率とは、処理対象物から分離された第2の材料の重量の、処理直前の処理対象物に含まれていた第2の材料の重量に対する割合をいう。
【0059】
ドラム42には、突条44が設けられている。突条44が設けられていない場合、重力の影響により、衛生用品はドラム42の下部に集まりがちになる。これに対し、本実施形態においては、ドラム42内の衛生用品は、突条44により掬い上げられることにより、ドラム42の上部に達し易くなる。これにより、衛生用品は、ドラム42の内周面の広範囲に行き渡るようになるため、分離部40による分離が促進される。また、衛生用品がドラム42の上部から落下する際の衝撃により、プラスチックからのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーの解離が促される。さらに、突条44は衛生用品がスクリュー部材48により前方に押し出される際の障害になるため、衛生用品がドラム42内に滞留する時間が長くなる。これにより、衛生用品から、より多くのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーを分離することができる。
【0060】
ドラム42の内部には、スクリュー部材48が設けられている。ドラム42内の衛生用品は、スクリュー部材48によって、叩かれたり、ドラム42の内周面に擦りつけられたりする。その衝撃や摩擦力により、プラスチックからのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーの解離が促される。また、突条44が設けられているため、衛生用品は、突条44に引っ掛かった状態で、スクリュー部材48によって、叩かれたり、ドラム42の内周面に擦りつけられたりする場合がある。その場合、力が逃げにくくなるため、衛生用品が受ける衝撃や摩擦力が増大し、それによりプラスチックからのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーの解離が一層促される。
【0061】
スクリュー部材48は、回転方向(回転ロッド46の接線方向)とのなす角度が略直角である辺49aではなく、その角度が鈍角である辺49bを前方として回転する(図4参照)。これにより、スクリュー部材48の歯49に衛生用品が過度に引っ掛かるのを防ぐことができる。
【0062】
ドラム62には、突条64が設けられている。突条64が設けられていない場合、重力の影響により、衛生用品はドラム62の下部に集まりがちになる。これに対し、本実施形態においては、ドラム62内の衛生用品は、突条64により掬い上げられることにより、ドラム62の上部に達し易くなる。これにより、衛生用品は、ドラム62の内周面の広範囲に行き渡るようになるため、分離部60による分離が促進される。また、衛生用品がドラム62の上部から落下する際の衝撃により、プラスチックからのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーの解離が促される。さらに、突条64は衛生用品がスクリュー部材68により前方に押し出される際の障害になるため、衛生用品がドラム62内に滞留する時間が長くなる。これにより、衛生用品から、より多くのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーを分離することができる。
【0063】
ドラム62の内部には、スクリュー部材68が設けられている。ドラム62内の衛生用品は、スクリュー部材68によって、叩かれたり、ドラム62の内周面に擦りつけられたりする。その衝撃や摩擦力により、プラスチックからのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーの解離が促される。また、突条64が設けられているため、衛生用品は、突条64に引っ掛かった状態で、スクリュー部材68によって、叩かれたり、ドラム62の内周面に擦りつけられたりする場合がある。その場合、力が逃げにくくなるため、衛生用品が受ける衝撃や摩擦力が増大し、それによりプラスチックからのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーの解離が一層促される。
【0064】
スクリュー部材68は、回転方向(回転ロッド66の接線方向)とのなす角度が略直角である辺69aではなく、その角度が鈍角である辺69bを前方として回転する(図6参照)。これにより、スクリュー部材68の歯69に衛生用品が過度に引っ掛かるのを防ぐことができる。
【0065】
移送路76は、互いに直交する部分76a及び部分76bを有する(図7参照)。これにより、風圧によって移送される衛生用品は、部分76aと部分76bとの連結部分において、移送路76の内面に衝突する。その衝撃により、プラスチックからのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーの解離が促される。さらに、移送路76は、部分76bと直交する部分76cを有する。これにより、風圧によって移送される衛生用品は、部分76bと部分76cとの連結部分においても、移送路76の内面に衝突する。その衝撃により、プラスチックからのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーの解離が促される。
【0066】
部分76aと部分76bとの連結部分には、凹凸面77aが存在する。凹凸面77aに衝突した衛生用品は、平坦面に衝突した場合よりも強い衝撃を受ける。このため、プラスチックからのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーの解離が一層促される。さらに、部分76bと部分76cとの連結部分には、凹凸面77bが存在する。凹凸面77bに衝突した衛生用品は、平坦面に衝突した場合よりも強い衝撃を受ける。このため、プラスチックからのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーの解離が一層促される。
【0067】
移送路78は、互いに直交する部分78a及び部分78bを有する(図8参照)。これにより、風圧によって移送される衛生用品は、部分78aと部分78bとの連結部分において、移送路78の内面に衝突する。その衝撃により、プラスチックからのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーの解離が促される。さらに、移送路78は、部分78bと直交する部分78cを有する。これにより、風圧によって移送される衛生用品は、部分78bと部分78cとの連結部分においても、移送路78の内面に衝突する。その衝撃により、プラスチックからのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーの解離が促される。
【0068】
部分78aと部分78bとの連結部分には、凹凸面79aが存在する。凹凸面79aに衝突した衛生用品は、平坦面に衝突した場合よりも強い衝撃を受ける。このため、プラスチックからのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーの解離が一層促される。さらに、部分78bと部分78cとの連結部分には、凹凸面79bが存在する。凹凸面79bに衝突した衛生用品は、平坦面に衝突した場合よりも強い衝撃を受ける。このため、プラスチックからのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーの解離が一層促される。
【0069】
移送路80は、互いに直交する部分80a及び部分80bを有する(図9参照)。これにより、風圧によって移送される衛生用品は、部分80aと部分80bとの連結部分において、移送路80の内面に衝突する。その衝撃により、プラスチックからのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーの解離が促される。さらに、移送路80は、部分80bと直交する部分80cを有する。これにより、風圧によって移送される衛生用品は、部分80bと部分80cとの連結部分においても、移送路80の内面に衝突する。その衝撃により、プラスチックからのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーの解離が促される。
【0070】
部分80aと部分80bとの連結部分には、凹凸面81aが存在する。凹凸面81aに衝突した衛生用品は、平坦面に衝突した場合よりも強い衝撃を受ける。このため、プラスチックからのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーの解離が一層促される。さらに、部分80bと部分80cとの連結部分には、凹凸面81bが存在する。凹凸面81bに衝突した衛生用品は、平坦面に衝突した場合よりも強い衝撃を受ける。このため、プラスチックからのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーの解離が一層促される。
【0071】
本発明による吸水処理材及びその製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態においては、衛生用品に由来するフラッフパルプ及び吸水性ポリマーが被覆層部20にそれぞれ主材料及び副材料として含まれた例を示した。しかし、衛生用品に由来するフラッフパルプ及び吸水性ポリマーが被覆層部20に含まれている限り、フラッフパルプが主材料として含まれていることは必須ではなし、吸水性ポリマーが副材料として含まれていることも必須ではない。
【0072】
上記実施形態においては、細断及び分離を2回ずつ行う例を示した。しかし、細断及び分離は、1回ずつ行ってもよいし、3回以上ずつ行ってもよい。
【0073】
上記実施形態においては、ドラム42が円筒状である例を示した。しかし、ドラム42は、テーパー状であってもよい。ドラム62についても同様である。
【0074】
上記実施形態においては、ドラム42の中心軸が水平である例を示した。しかし、ドラム42の中心軸は、入口側から出口側に向かって下方に傾いていてもよい。ドラム62についても同様である。
【0075】
上記実施形態においては、孔42aがドラム42の略全体にわたって形成された例を示した。しかし、孔42aは、ドラム42の一部にのみ形成されていてもよい。また、ドラム42の略全体又は一部を網状にすることにより、孔42aを形成してもよい。すなわち、この場合、ドラム42の網目が孔42aに相当する。孔62aについても同様である。
【0076】
上記実施形態においては、突条44がドラム42の入口側から出口側までの経路の略全体にわたって延在している例を示した。しかし、突条44は、ドラム42の入口側から出口側までの経路の一部においてのみ延在していてもよい。突条64についても同様である。
【0077】
上記実施形態においては、略三角形の断面を有する突条44を例示した。しかし、突条44は、図10に示すように、平板状であってもよい。突条64についても同様である。
【0078】
上記実施形態においては、ドラム42の内周面上に突条44が4本設けられた例を示した。しかし、突条44の本数は、1以上の任意の数にすることができる。突条64についても同様である。
【0079】
上記実施形態においては、ドラム42の内周面上に突条44が設けられた例を示した。しかし、突条44を設けることは必須ではない。突条64についても同様である。
【0080】
上記実施形態においては、ドラム42内に回転ロッド46及びスクリュー部材48が設けられた例を示した。しかし、回転ロッド46及びスクリュー部材48を設けることは必須ではない。回転ロッド66及びスクリュー部材68についても同様である。
【0081】
上記実施形態においては、凹凸面77aが鉛直面に対して一定の角度をなしている例を示した。しかし、凹凸面77aは、図11に示すように、鉛直面に沿っていてもよい。また、凹凸面77aは、図12に示すように、移送路76の内面(部分76aを通って移送されてきた衛生用品が衝突する位置)に突起P1を設けたものであってもよい。突起P1の数は1つでもよいし、2つ以上でもよい。凹凸面79a及び凹凸面81aについても同様である。
【0082】
上記実施形態においては、凹凸面77bが水平面に対して一定の角度をなしている例を示した。しかし、凹凸面77bは、図11に示すように、水平面に沿っていてもよい。また、凹凸面77bは、図12に示すように、移送路76の内面(部分76bを通って移送されてきた衛生用品が衝突する位置)に突起P2を設けたものであってもよい。突起P2の数は1つでもよいし、2つ以上でもよい。凹凸面79b及び凹凸面81bについても同様である。
【0083】
上記実施形態においては、凹凸面77aが設けられた例を示した。しかし、凹凸面77aを設けることは必須ではない。凹凸面79a及び凹凸面81aについても同様である。
【0084】
上記実施形態においては、凹凸面77bが設けられた例を示した。しかし、凹凸面77bを設けることは必須ではない。凹凸面79b及び凹凸面81bについても同様である。
【0085】
上記実施形態においては、移送路76が互いに直交する複数の部分によって構成された例を示した(図7参照)。しかし、移送路76は、一直線状のダクトであってもよい。移送路78及び移送路80についても同様である。
【0086】
上記実施形態においては、分離装置90を用いて衛生用品からフラッフパルプ及び吸水性ポリマーを分離する例を示した。しかし、衛生用品からのフラッフパルプ及び吸水性ポリマーの分離は、他の装置・方法により行ってもよい。
【0087】
上記実施形態においては、衛生用品の分級時に発生するフラッフパルプ及び吸水性ポリマーを被覆層部20の材料として用いる例を示した。しかし、かかるフラッフパルプ及び吸水性ポリマーとしては、衛生用品の製造時に発生するものを用いてもよい。さらに、衛生用品の製造時に発生したフラッフパルプから分離した吸水性ポリマーを被覆層部20の材料として用いてもよい。この場合、フラッフパルプには吸水性ポリマーが付着しているが、付着した吸水性ポリマーの当該フラッフパルプに対する重量割合は、3%以下であることが好ましい。
【0088】
上記実施形態においては、吸水処理材が粒状の排泄物処理材である例を示した。しかし、本発明による吸水処理材は、ペットシーツ、止水材、吸水シート等であってもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 吸水処理材
10 粒状芯部
20 被覆層部
30 細断部(第1の細断部)
40 分離部(第1の分離部)
42 ドラム(第1の筒状部)
42a 孔(第1の孔)
44 突条(第1の突条)
46 回転ロッド
48 スクリュー部材
49 歯
50 細断部(第2の細断部)
60 分離部(第2の分離部)
62 ドラム(第2の筒状部)
62a 孔(第2の孔)
64 突条(第2の突条)
66 回転ロッド
68 スクリュー部材
69 歯
76 移送路(第1の通風管)
77a 凹凸面(第1の凹凸面)
77b 凹凸面(第2の凹凸面)
78 移送路(第2の通風管)
79a 凹凸面(第3の凹凸面)
79b 凹凸面(第4の凹凸面)
80 移送路(第3の通風管)
81a 凹凸面(第5の凹凸面)
81b 凹凸面(第6の凹凸面)
90 分離装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12