(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記帰還体(21)に配置される前記内側帰還電極(RE1、RE2、RE3、RE4)が、前記アクチュエータ(11、12、13)に配置される前記内側始動電極(E1、E2、E3、E4)と同じ数、形状、位置で形成される請求項1に記載のアクチュエータ装置(AV)。
アクチュエータ接続コーティング(31a、32a、33a)をさらに備え、アクチュエータ接続コーティング(31a、32a、33a)が前記複数のアクチュエータの前記アクチュエータ(11、12、13)の各自の第1の内側始動電極(E1、E3)に電気的に接続され、前記アクチュエータ(11、12、13)の個別始動のために前記アクチュエータ装置の複数の電気的接続柱のうちの第1の電気的接続柱にそれぞれ接続される請求項1または2に記載のアクチュエータ装置(AV)。
前記外側帰還接続層(5)が、前記帰還部面(26a)に配置される前記帰還体のフェース側面層部(24)から構成される請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(AV)。
前記後側層(4)が、前記上部構造体(10b)の領域よりも前記本体(10)の前記基部体(10a)の領域において前記奥行き方向(Z)に大きな厚さ(dv)を有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(AV)。
前記基部体(10a)と前記上部構造体(10b)とを有する前記本体(10)が前記アクチュエータ(11、12、13)を形成するアクチュエータ体(11a、12a、13a)を備え、一体形本体を形成する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(AV)。
前記本体(10)の前記基部体(10a)と前記上部構造体(10b)がそれぞれ個々の部分体として形成される請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(AV)。
前記基部体(10a)と前記上部構造体(10b)がそれぞれ異なる材料から製造され、前記基部体(10a)が非圧電性材料または非電歪性材料から製造される請求項7に記載のアクチュエータ装置(AV)。
前記基部体(10a)に少なくとも1つの板状収縮適合電極(80、90)が配置され、製造中に前記基部体(10a)の局所収縮挙動のバランスをとるため、少なくとも1つの収縮適合電極(80、90)が、その縁部が2つの帰還部表面(26a、26a−2)のそれぞれに配置されるように前記基部(10a)に位置する請求項1乃至10のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(AV)。
前記奥行き方向(Z)から見て前記帰還部表面(26a、26a−2)に接する収縮適合電極(80、90)が、前記後側(2)から接続片(23)の領域内へ延在する請求項11に記載のアクチュエータ装置(AV)。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るアクチュエータ装置の第1の実施形態を後側から見た斜視図であり、アクチュエータ装置は主に基部体と上部構造体とを備える本体を有し、上部構造体は、アクチュエータ接続コーティングをそれぞれ有するアクチュエータ体またはアクチュエータと、帰還体接続コーティングを有する帰還体とを備える。
【
図1a】本発明に係るアクチュエータ装置の1実施形態全体を非常に概略的に示す斜視図である。
【
図2】アクチュエータ装置の長手方向で後側の反対に位置する前側から見た
図1に示す本発明に係るアクチュエータ装置の第1の実施形態の一部を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示すように本発明に係るアクチュエータ装置の第1の実施形態に基づく別の実施形態の一部を示す斜視図であり、帰還部分片において、前側または後側から、対向する後側または前側まで距離をおいて延在する帰還電極が挿入され、帰還電極は後側と前側間の電気的接続を実現しない。
【
図4】前側から見た本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、
図3に示す実施形態と比較して、アクチュエータ装置の別の実施形態がアクチュエータ装置の後側の領域のアクチュエータ溝によって分割されるコーティングを上側に有する。
【
図5】前側から見た本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、
図4に示す実施形態と比較して、アクチュエータ装置が上側にアクチュエータ装置の前側の領域のアクチュエータ溝によって分割されるコーティングを有する。
【
図6】後側から見た本発明に係るアクチュエータ装置の第2の実施形態の一部を示す斜視図であり、アクチュエータ装置の実施形態が、後側とフェース側面にコーティングを有し、該コーティングは下側SLに隣接する下側領域で厚さが大きい。
【
図7】前側から見た本発明に係るアクチュエータ装置の
図5に示す実施形態の一部を示す斜視図である。
【
図8】
図7に示すように
図5に示す本発明に係るアクチュエータ装置の実施形態に基づく別の実施形態の一部を示す斜視図であり、帰還部分片において、前側または後側から、対向する後側または前側まで距離をおいて延在する帰還電極が挿入され、帰還電極は後側と前側間の電気的接続を実現しない。
【
図9】後側から見た本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、アクチュエータ装置の実施形態はベース状の本体端部片を有する。
【
図10】前側から見た
図9に示す本発明に係るアクチュエータ装置の実施形態を示す斜視図である。
【
図11】
図10に示すように
図9に示す本発明に係るアクチュエータ装置の実施形態に基づく別の実施形態の一部を示す斜視図であり、帰還部分片において、前側または後側から、対向する後側または前側まで距離をおいて延在する帰還電極が挿入され、帰還電極は後側と前側間の電気的接続を実現しない。
【
図12】
図9に示すように
図9の実施形態に基づく本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、帰還部分片が帰還電極を有さず、本体が本体端部片を有する。
【
図13】アクチュエータ装置の長手方向で後側の反対に位置する前側から見た
図12に示すアクチュエータ装置の実施形態の一部を示す斜視図である。
【
図14】
図13に示すように
図13の実施形態に基づく本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、帰還部分片が帰還電極を有する。
【
図15】
図12に示すように
図12の実施形態に基づく本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、本体端部片が後側でコーティングされる。
【
図15a】
図15に示す実施形態に基づくアクチュエータ装置の1実施形態の一部を示す斜視図であり、
図15の実施形態と比較して前側にさらにコーティングを有する。
【
図16】前側から見た
図15の実施形態に基づくアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図である。
【
図16a】前側から見た
図15aの実施形態に基づくアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図である。
【
図17】
図16に示すように
図15に示す本発明に係るアクチュエータ装置の実施形態に基づく別の実施形態の一部の斜視図であり、帰還部分片が帰還電極を有する。
【
図18】
図15に示すように
図15に示す本発明に係るアクチュエータ装置の実施形態に基づく別の実施形態の一部を示す斜視図であり、アクチュエータ装置がアクチュエータ装置の後側に追加の第2の本体端部片を有する。
【
図19】
図1に示すような本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、
図1に示す実施形態と比較して、帰還部分片が別の形で埋め込まれており、その支持部が低い高さで埋め込まれている。
【
図20】
図19に示すアクチュエータ装置に基づく本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、
図19の実施形態と比較して、アクチュエータ装置の別の実施形態はアクチュエータ装置の後側の領域のアクチュエータ溝によって分割されるアクチュエータ体の上側コーティングを有する。
【
図21】
図20に示すアクチュエータ装置に基づく本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、上側の上側導電層がアクチュエータ装置の前側の領域のアクチュエータ溝によって分割される。
【
図22】
図1に示すような本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、
図1に示す実施形態と比較して、帰還部分片が別の方法で埋め込まれ、フェース面に支持部とコーティングが存在しない。
【
図23】
図22に示すアクチュエータ装置に基づく本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、
図22の実施形態と比較して、アクチュエータ装置の別の実施形態は、アクチュエータ体の上側に、アクチュエータ装置の後側の領域でアクチュエータ溝によって分割されるコーティングが存在する。
【
図24】
図22に示すアクチュエータ装置に基づく本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、アクチュエータ体の上側のコーティングが、アクチュエータ装置の前側の領域のアクチュエータ溝によって分割される。
【
図25】
図19に示すように
図19の実施形態に基づく本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、帰還部分片が別の種類のコーティングを有する。
【
図26】
図25に示すアクチュエータ装置に基づく本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、
図25の実施形態と比較して、アクチュエータ装置の別の実施形態は、アクチュエータ装置の後側の領域のアクチュエータ溝によって分割されるアクチュエータ体の上側コーティングを有する。
【
図27】
図25に示すアクチュエータ装置に基づく本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、
図26に示す実施形態と比較して、アクチュエータ体の上側コーティングはアクチュエータ装置の前側の領域で分割される。
【
図28】
図25に示すように
図25の実施形態に基づく本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、
図22の実施形態と比較して、帰還部分片がフェース側面のコーティングを含まない。
【
図29】
図28に示すアクチュエータ装置に基づく本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、
図28の実施形態と比較して、アクチュエータ装置の別の実施形態はアクチュエータ装置の後側の領域のアクチュエータ溝によって分割されるアクチュエータ体の上側コーティングを有する。
【
図30】
図28に示すアクチュエータ装置に基づく本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、
図29に示す実施形態と比較して、アクチュエータ体の上側コーティングがアクチュエータ装置の前側の領域のアクチュエータ溝によって分割される。
【
図31】
図1に示すような本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、
図1に示す実施形態と比較して、アクチュエータ装置の後側上のコレクタ電極が内側電極として配置される。
【
図32】
図31に示すように
図31の実施形態に基づく本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、
図31に示す実施形態と比較して、帰還部分片が支持部を有していない。
【
図33】
図1に示すように本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、
図1に示す実施形態と比較して、基部体収縮適合電極が内側電極として配置される。
【
図34】
図1〜33に示す実施形態のうちの一つを製造するための本体中間製品の1実施形態を示す図であり、中間製品は一体ブロックである。
【
図35】
図34の処理に従う中間製品とは別の中間製品の1実施形態を示す図である。
【
図36】
図34および35に示す本発明に係るアクチュエータ装置の製造用の本体中間製品の1実施形態の製造方法を示す図であり、中間製品は帰還体を固定することのできる一体ブロックである。
【
図37】
図36に示す中間製品とは別の中間製品を示す図であり、
図37に示す中間製品は帰還体を有する。
【
図38】本発明に係るアクチュエータ装置の製造のための上部構造体中間製品の1実施形態を示す図であり、本体が
図38に示す基部体中間製品と上側体中間製品の個々の部品から構成される。
【
図39】本発明に係るアクチュエータ装置の製造のための本体中間製品の1実施形態を示す図であり、本体中間製品が別々の中間製品である
図38に示す上側体中間製品と基部体中間製品とから成る。
【
図40】
図39に示す本体中間製品から形成される別の中間製品の1実施形態を示す図であり、複数のアクチュエータ体と帰還体の支持部とが上側体中間製品から形成される。
【
図41】アクチュエータ体と帰還体の支持部とが別の形で形成されることによって、
図40に示す中間製品の実施形態とは異なって形成される別の中間製品の1実施形態を示す図である。
【
図42】アクチュエータ体と帰還体の支持部とが別の形で形成されることによって、
図40に示す中間製品の実施形態とは異なって形成される別の中間製品の1実施形態を示す図である。
【
図43】中間製品の帰還体が別個の中間製品として形成されることによって、
図40に示す中間製品の実施形態とは異なって形成される別の中間製品の1実施形態を示す図である。
【
図44】中間製品の帰還体が支持部を有していないことによって、
図40に示す中間製品の実施形態とは異なって形成される別の中間製品の1実施形態を示す図である。
【
図45】
図44に示すアクチュエータ装置に基づく本発明に係るアクチュエータ装置の別の中間製品の一部を示す斜視図であり、例示の実施形態では、帰還部分片は
図1に示す支持部よりも高さが低く、
図40の実施形態と比較して、アクチュエータ装置の別の実施形態はアクチュエータ装置の後側の領域に上側アクチュエータ溝を有する。
【
図46】
図44に示すアクチュエータ装置に基づく本発明に係るアクチュエータ装置の別の中間製品の一部を示す斜視図であり、例示の実施形態では、帰還部分片は
図1に示す支持部の実施形態よりも高さが低く、
図44の実施形態と比較して、アクチュエータ装置の別の実施形態はアクチュエータ装置の前側の領域に上側アクチュエータ溝を有する。
【
図47】本体中間製品の別の実施形態を示す図であり、
図39に示す本体中間製品の実施形態と比較して、基部体中間製品は第1の本体端部片と第2の本体端部片とを有する。
【
図48】
図47に示す本体中間製品から形成される別の中間製品の1実施形態を示す図であり、複数のアクチュエータ体と支持部を備える帰還体とが中間製品から形成される。
【
図49】
図48に示すアクチュエータ装置に基づく本発明に係るアクチュエータ装置の別の中間製品の一部を示す斜視図であり、
図48の実施形態と比較して、アクチュエータ装置の別の実施形態はアクチュエータ装置の後側の領域に上側アクチュエータ溝を有する。
【
図50】
図48に示すアクチュエータ装置に基づく本発明に係るアクチュエータ装置の別の中間製品の一部を示す斜視図であり、例示の実施形態では、
図48の実施形態と比較して、アクチュエータ装置の前側の領域に上側アクチュエータ溝が存在する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るアクチュエータ装置AVは複数のアクチュエータを有しており、図面では分かりやすくするために3つのアクチュエータ11、12、13のみを概略的に示す。本発明に係るアクチュエータ装置AVはたとえば100〜500個の複数のアクチュエータを有すると考えられる。また、本発明に係るアクチュエータ装置は2つのみのアクチュエータを有することも考えられる。アクチュエータ11、12、13は電極以外は圧電性または電歪性材料から形成される、あるいは圧電性または電歪性材料から成る。アクチュエータ11、12、13は、アクチュエータ11、12、13の電極と電気的に接続される図示しない電気始動装置を用いて個別に電気的に始動することができる。本発明に係るアクチュエータ装置AVを説明するため、図面には座標系が導入され、本発明に係るアクチュエータ装置AVの長手部分LであるX方向に、アクチュエータ11、12、13が相互に隣接して配置される。Y方向は本発明に係るアクチュエータ装置AVの厚さ方向または垂直方向を指し、Z方向は本発明に係るアクチュエータ装置AVの奥行き方向または幅方向を指す。
【0019】
アクチュエータ装置AVは主に、基部体10aと上部構造体10bとを備えるアクチュエータ装置本体10(略称本体10)を有し、上部構造体10bはアクチュエータ接続コーティング31a、32a、33aをそれぞれ有するアクチュエータ11、12、13と、帰還接続層5を有する帰還体21とを有する。
【0020】
図15の実施形態では、表面29aがコーティングされていない。本実施形態では、
図15aおよび16aに示すように表面29aをコーティングすることもできる。表面29aは層29hでコーティングされ、表面29iはフェース側面SLの一部を成す。
【0021】
本発明に係るアクチュエータ装置AVでは、アクチュエータ11、12、13は、電気アクチュエータ装置の始動により、すなわち、電圧の作用により厚さ方向Yに拡張または収縮させることができる。このように、これらのアクチュエータは例えば、移動させることができる、あるいは形状を変化させることができるアプリケーションコンポーネントの部品または一部に作用することができる。
【0022】
本発明に係るアクチュエータ装置AVはたとえばピエゾモータとして具体化することができる。また、本発明に係るアクチュエータ装置AVは超音波トランスデューサ、特に超音波アレイまたはリニアアレイとして具体化することができる。さらに、本発明の適用に際し、アプリケーションコンポーネントは、印刷手段のコンテナ装置や、プリンタ、特に形状を変更可能な複数の個々の部分的コンテナを備えたインクジェットプリンタの供給装置とすることができ、本発明に係るアクチュエータによる部分的コンテナの形状変化を通じて、インクジェットプリンタの場合のように含まれる印刷手段では、インクをノズルを通じて変位させることができる。他のアプリケーションコンポーネントはエンジンの注入装置とすることができ、部分的コンテナは部分的にコンテナに接して配置される本発明に係るアクチュエータによって燃料を収容および注入するコンテナとすることができる。
【0023】
上述の用途は、電圧印加によってアクチュエータまたはアクチュエータ部品が変形されるいわゆる逆圧電効果を利用する。しかしながら、同様に本発明に係るアクチュエータ装置を使用して、圧電効果をセンサの形状で利用することも考えられる。複数のアクチュエータを使用するとき、たとえば位置検出センサが考えられる。
【0024】
アクチュエータ装置AVは、前側1と、アクチュエータ装置AVの長手方向Xで前側1と反対側に位置する後側2とをさらに有し、下側SLが負のY方向を向き、上側SUは正のY方向を向く。前側1は、長手方向Xから見て、アクチュエータ11、12、13の部位に関して、後側2と反対に位置する。したがって、前側1はアクチュエータ11、12、13に関して後側2の反対側に位置する。本体10の後側2は、均等な、具体的には平坦な表面を構成する表面2aから成る。このコンテキストで「均等な」とは、表面がX方向に沿って延在することを意味すると理解される。具体的には、表面2aが全体にわたって均等な湾曲を有する、すなわち、山や谷を有していないと定めることができる。
【0025】
本体10は、基部体10aと、基部体10aから厚さ方向Yに外側に延在するアクチュエータ体11a、12a、13aを備えた上部構造体10bとを有し、上部構造体10bからアクチュエータ体のアクチュエータ11、12、13が形成される。アクチュエータ体11a、12a、13aはPZTなどの圧電性または電歪性材料から成り、少なくとも一部に、アクチュエータ装置によって始動可能な始動電極が配置される。始動電極を配置したアクチュエータ体11a、12a、13aはそれぞれアクチュエータ11、12、13を形成する。各アクチュエータ体11a、12a、13aは、上側SUの一部を成す上側表面11e、12e、13eをそれぞれ有する。
【0026】
本発明に係るアクチュエータ装置AVのアクチュエータ体11a、12a、13aのX方向に延びる幅bとZ方向に延びる長さまたは奥行きt0は均等なサイズとすることができる。
【0027】
本発明に係るアクチュエータ装置AVの例示の実施形態では、アクチュエータ11、12、13は、2つのアクチュエータ間、たとえばアクチュエータ11、12、13間に、X方向に延在する幅DS1またはDS2とY方向を向く表面41、42とを有する凹部S1、S2が形成されるように、相互に隣接して配置される、あるいはX方向に並んで配置される。したがって、凹部S1とS2は、表面41または42、および隣接アクチュエータ11と12または12と13の対向する側面AS1、AS2によって画定される。X方向に隣接して配置されるアクチュエータ(たとえば、アクチュエータ11、12)間でX方向に延在する幅(たとえば、DS1、DS2)は均等なサイズにすることができる。もしくは、異なる幅も提供することができる。また、アクチュエータ11と帰還体21間には、X方向に延びる幅DS0とY方向に向く表面40とを有する凹部S0が配置される。具体的には、X方向に隣接する2つのアクチュエータ間の幅DS1、DS2は、帰還体21と隣接アクチュエータ11間の幅DS0に一致すると定めることができる。
【0028】
Y方向から見て凹部S0、S1、S2の表面40、41、42まで延在する本体10の部分が基部体10aを形成する。
図1は、たとえば、凹部S3の高さh43を示す。したがって、基部体10aは高さh43を有する。
【0029】
好ましくは、本体10はブロックとして形成されるため、基材から均質に形成されると定められる。また、ここでは、本体10の外側表面で形成される外形が立方体形状を成すと定めることができる。本体10の仮想上の上側は部分的には、表面40、41、42とそれらの間を接続する仮想上の接続面とから成る。仮想上の接続面は、各接続面から見て表面40、41、42間でできる限り小さな湾曲を有するように画定することができる。アクチュエータ11、12、13は好ましくは、本体10に一体的に接続され、本体10との各自の接続領域において面状に確実に接続されるため、アクチュエータ11、12、13全体も各アクチュエータ11、12、13の部分も本体10に対する自由度を有していない。
【0030】
本体10または上部構造体10bのアクチュエータ体11a、12a、13aは、本発
明に係るアクチュエータ装置AVのアクチュエータ体11a、12a、13aのサイズと同一の高さでY方向に基部体10aから延在する。
図1では、たとえばアクチュエータ体13aの高さh13aが入力される。
【0031】
アクチュエータ11、12、13はそれぞれ複数のアクチュエータに配置される少なくとも2つの内側始動電極を有し、そのうち少なくとも1つの第1の内側始動電極E1、E3はアクチュエータ装置AVの前側1から後側2までの距離a2をおいて延在し、少なくとも1つの第2の内側始動電極E2、E4は後側2から前側1までの距離a1をおいて延在する。少なくとも1つの第1の内側始動電極E1、E3と少なくとも1つの第2の内側始動電極E2、E4を、始動電極に接続されるアクチュエータ装置を通じて相互に反対の極性で電気的に始動すると、2つの電極間に配置される圧電性または電歪性材料製のアクチュエータはそれらが位置するY方向に拡張または収縮する。
【0032】
Y方向に向く、本発明に係るアクチュエータ装置AVの1実施形態の表面は、
図1に示すように導電層を備えたアクチュエータ11、12、13の領域に設けることができる。本実施形態では、X方向を向くアクチュエータ11、12、13の表面11e、12e、13eと側壁、および凹部S2、S3の表面41、42はコーティングされない。
【0033】
アクチュエータ装置は、前側1で第1の電極E1、E3に第1の
電気的接続柱を接続することができる。このため、始動される各アクチュエータ11、12、13は、第1の内側始動電極E1、E3と電気的に接続される、特に直接接続されることによりアクチュエータ装置AVの第1の
電気的接続柱を形成することのできる、導電性材料、特に金属材料の直接接続コーティング、第1の接続層、またはアクチュエータ接続コーティング31a、32a、33aを有することができる。アクチュエータ接続コーティング31a、32a、33aは、負のZ方向を向く各アクチュエータ11、12、13の側面またはフェース面11c、12c、13cに配置される導電性材料、特に金属材料の層31a、32c、33cから形成される。層31c、32c、33cは第1の内側始動電極E1、E3と電気的に接続し、直接接続される。
【0034】
アクチュエータ装置AVの例示の実施形態では、各アクチュエータ体11a、12a、13aはZ方向に延在する階段状または舌状接続片または舌状拡張部11b、12b、13bを有するため、アクチュエータ体始動片BとZ方向に延びる奥行きまたは長さt30の接続片11b、12b、13bとから形成される。接続片11b、12b、13bはY方向に向く表面において、導電性材料、特に金属材料のアクチュエータ接続コーティング31a、32a、33aでコーティングされる。したがって、本実施形態では、アクチュエータ接続コーティング31a、32a、33aは、アクチュエータ体始動片Bの側面に配置される部分層、または厚さd31c、d32c、d33cを有する始動片接続層31c、32c、33cと厚さd31b、d32b、d33bを有する舌状拡張部31b、32b、33bに配置されるアクチュエータ接続コーティングによって形成される。さらに、負のZ方向を向くアクチュエータ11、12、13の側面11c、12c、13cに配置される部分層31c、32c、33cは始動片接続層31c、32c、33cに接続され、均一な第1の接続層31a、32a、33aを形成するために始動片接続層31c、32c、33cと一体的に形成することができる。このように、アクチュエータ装置の第1の
電気的接続柱はアクチュエータ接続コーティング31a、32a、33aにそれぞれ接続することができる。
【0035】
本発明に係るアクチュエータ装置AVの別の実施形態では、アクチュエータ接続コーティング31a、32a、33aを備えた舌状接続片または舌状拡張部11b、12b、13bを設けずに、部分層または始動片接続層31c、32c、33cがアクチュエータ装置または第1の
電気的接続柱との電気的接続を形成するように具体化することもできる。
【0036】
本発明に係るアクチュエータ装置AVは、第2の
電気的接続柱の形成のための帰還部分片20を有する。帰還部分片20は帰還体21、負のX方向を向く帰還部表面26aを有する帰還部26、そこからY方向に延在する支持部25を有する。Y方向から見ると、帰還部26は高さh26を有し、支持部25は高さh25を有するため、
図1の実施形態では、帰還体21は高さh21=h26+h25を有する。
【0037】
本発明に係るアクチュエータ装置AVの1実施形態では、アクチュエータ体11a、12a、13aは長手方向またはX方向から見て並んで配置され、帰還体21はX方向から見てアクチュエータ体11a、12a、13aの列の背後に配置される。ここでは、帰還体21の表面
26rと本体10の後側2の表面2aが均等な、特に平坦な表面を形成すると定めることができる。「均等な」とは本
明細書では、表面がX方向に沿って延在することを意味すると理解される。具体的には、表面は全体にわたって均等な湾曲を有する、すなわち、山と谷を持たないと定めることができる。
【0038】
帰還部26が後側2で発生する表面領域には参照符号26rを付す。
図1aでは、本発明に係るアクチュエータ装置AVの1実施形態は、X方向に対向するフェース側面SF1、SF2に帰還部分片20−1、20−2を有する。他の図面では、帰還部分片は参照符号20によって表され、本願に記載の実施形態はフェース側面SF1、SF2のそれぞれに配置することができる。帰還部分片20−1または20−2は上述の実施形態のうちの一つにより構成することができる、具体的には同一に構成することができる。
図1aでは、アクチュエータは、参照符号11iで概略的に提示される個々の線として図示される。
本願で使用する座標系のX座標は、座標系の原点が帰還部表面26aと下側SLとを接続する縁部の中心点に位置するように定義することができる。X座標はここではアクチュエータ11、12、13の長手範囲にわたって横方向に延び、前側1から後側2まで下側SLを終点とする縁部の中心点を通って正のX方向に延在し、具体的には縁部は、Y方向に帰還部表面26aに対向して向く下側SLの面と接続し、下側SLに接する縁部とすることができる。
【0039】
座標系の定義のため、Z軸はアクチュエータ装置AVの2つの最前部、すなわち、帰還部表面26aに位置する下側角の点Z1,Z2を通って延びる。ここでは、点Z1は前側1の下側SLと帰還部表面26aとの交点、点Z2は後側2の下側SLと帰還部表面26aとの交点である。
【0040】
上記の縁部または点Z1またはZ2に関しては、本発明に係るアクチュエータ装置AVの1実施形態または実物において、縁部または点が想定される位置で円形の移行部または円形の角部が存在する場合、理想的な縁部または理想的な点を使用することができる。この場合、本願での定義により、縁部または点は、アクチュエータ装置AVの座標系の位置を定義するため、このために使用される表面または側面、すなわち、帰還部表面26a、前側1、下側SL、帰還部表面26a、または後側2の範囲を拡大することによって形成される。
【0041】
ここでは、縁線または点の定義のために円形面を用い、理想的な縁線または理想的な点は、相互に向かって延びる2つの隣接面の範囲の延長の交点から生じる。ここでの範囲は、各表面が関連し定義する方向に延在する長さの1/10の長さを意味すると理解できる。
【0042】
Y方向に向く帰還体21の表面21aは
図1の実施形態ではコーティングされていないため、帰還体21の表面21aは帰還部分片20の表面21aと同一である。
負の
X方向に向く帰還部表面26aのコーティングの代わりに、またはそれに加えて、本発明に係るアクチュエータ装置AVの実施形態では、正の
X方向に向き、アクチュエータ11に面する帰還部表面26bも導電層でコーティングすることができる。
【0043】
帰還部26は、具体的には支持部として具体化され、負のZ方向から見て接続片11b、12b、13bの領域に配置される帰還追加片または帰還接続片23を有することができる。帰還接続片23は、Y方向から見て表面40にわたって高さh23だけ隆起する。本発明に係るアクチュエータ装置AVの実施形態では、接続片23は導電性、特に金属製の帰還接続コーティングを有する正のY方向を向く表面23d、またはアクチュエータ装置の接続のための第2の
電気的接続柱を形成する厚さd23aの外側接続層23aでコーティングされると定めることができる。
【0044】
本体10の後側2は導電性材料、特に金属材料の後側層4でコーティングされる。後側層4の厚さはX方向およびZ方向に一定とすることができる。また、概して、本発明に係るアクチュエータ装置AVの実施形態では、基部体10aの領域または下側SLに接する基部体10aの領域における後側層4の厚さd4bは上部構造体10bの領域または上側SUに接する上部構造体10bの領域における後側層4の厚さd4aよりも大きい、具体的には厚さd4bが厚さd4aの1.5倍となるように定めることができる。
【0045】
後側層4はアクチュエータ装置AVの第2の内側始動電極E2、E4と電気的に接続され、特に該始動電極に直接接続される。後側層4は帰還外側層5と電気的に接続され、特に帰還外側層5と一体的に形成され、次いで帰還外側層5は帰還接続コーティング23aと接続され、帰還接続コーティング23aと一体的に形成することができる。
【0046】
図1の実施形態では、帰還外側層5は、後側層4の一部である後側層部22と電気的に接続される、表面24aを有するフェース側面層部24から形成される。フェース側面層部24の厚さはY方向およびZ方向で一定である。また、概して本発明に係るアクチュエータ装置AVの実施形態では、下側の領域の厚さd24bが上側SUの領域のフェース側面層部24の厚さd24aよりも大きくなるように、具体的には、厚さd24bが厚さd24aの1.5倍となるように定めることができる。
【0047】
設けられたアクチュエータ11、12、13またはアクチュエータ11、12、13のうちいくつかを個別に始動するため、電気アクチュエータ装置は複数の第1の
電気的接続柱を有することができ、第1の
電気的接続柱のそれぞれに対して異なる制御電圧または制御電流を生成することができるように構成されるため、本実施形態のアクチュエータ装置はアクチュエータ11、12、13を個別に異なって始動することができる。別の実施形態によると、アクチュエータ装置AVのすべてのアクチュエータ11、12、13またはアクチュエータ11、12、13のうちいくつかは、同じように始動されるように単独の第1の
電気的接続柱に接続されると定めることができる。
【0048】
アクチュエータ装置の第2の
電気的接続柱も同様にアクチュエータ装置AVの前側1、
図1に示す実施形態では帰還接続コーティング23aに接続することができる。このため、本発明に係るアクチュエータ装置AVは、好ましくは外側接続層または、後側層4と一体に電気的に接続される帰還接続層5を有する。
【0049】
帰還体21は基部体10aの素子である帰還部26のみから構成することもでき、帰還部26はY方向に配置される支持部25を有していないため(
図19〜30)、帰還体21は、高さh21=h26を有する。
【0050】
本体10またはアクチュエータ装置AVの製造方法に応じて、帰還体21は本体10の
アクチュエータ領域9と一体的に、全体として一体ブロックで構成することができる。これに代わり、本体10またはアクチュエータ領域9を有するアクチュエータ装置AVの別の製造方法によると、帰還体21はアクチュエータ領域9に貼り付けられる別個の片として具体化することができる。この場合の接着層50を
図1および2に示す。
【0051】
帰還体21の実施形態に応じて、接着層50は別の位置に置くことができ、具体的には
図1に示す位置に対してX方向に移動させることができる。ここでは、帰還体21は、凹部40が配置される、Y方向に延在する本体10の領域の一部も形成することができるため、X方向から見て接着層50は凹部40の領域に配置される。接着層50は斜めに延び、ここではたとえばZ方向に沿ってY軸に対して鋭角に延びることができる。
【0052】
帰還部26と支持部25から帰還体21を形成する際、Y方向から見て帰還体21の上側21aがアクチュエータ11、12、13のアクチュエータ体表面11e、12e、13eと同じ高さ、したがってh0=h21に置かれ、形状を変更可能なアプリケーションコンポーネントを本発明に係るアクチュエータ装置AVの上側SU、アクチュエータ11、12、13またはアクチュエータ体11a、12a、13a、表面21aに装着することができると定めることができる。本発明に係るアクチュエータ装置の本実施形態では、支持部25を備えた帰還体21は、このようなアプリケーションコンポーネントの対応部分を収容および支持する支持部25を用いることで、帰還接続層5への電流帰還の機能に加えて支持機能も有する。この場合、
図1に示すように、上側21aは導電性材料でコーティングされないと定めることができる。
図1に示す実施形態では、帰還接続層5は後側2の層部22と第1のフェース側面SF1の層部24から形成され、次いで帰還接続コーティング23aと接続される。これらの層は導電性材料から成る。このようにして、本発明に係るアクチュエータ装置AVの簡易で好適な製造方法により非常に有効な電流の流れが確保される。本発明に係るアクチュエータ装置AVの実施形態では、帰還部分片20が負のX方向を向くフェース側面SF1点に形成されるように定めることができる。本発明に係るアクチュエータ装置AVの正のX方向を向くフェース側面(図示せず)にも、本願に記載の1実施形態に係る帰還部分片20を同様に形成することができ、対向フェース側面に位置する帰還部分片20と同一にまたは異なって具体化することができる。それに代わり、正のX方向を向く本発明に係るアクチュエータ装置AVのフェース側面(図示せず)にアクチュエータを配置することもできる。
【0053】
図3はアクチュエータ装置AVの別の実施形態を示し、
図1および2に示す実施形態と比較して、前側1から後側2までの距離c2をおいて正のZ方向に延在する少なくとも1つの第1の内側帰還電極RE1、RE3と、後側2から前側1までの距離c1をおいて負のZ方向に延在する少なくとも1つの第2の内側帰還電極RE2、RE4とを帰還体21に有する。本発明に係るアクチュエータ装置AVの実施形態では通常、帰還電極を設けることができる。
【0054】
図4に示す本発明に係るアクチュエータ装置AVの実施形態では、Y方向に延びる溝151、152、153が各アクチュエータ体11a、12a、13aの上側に導入される。さらに、各アクチュエータ11、12、13は導電層でコーティングされ、各自の溝151、152、153は各自の層の厚さよりも深いため、各アクチュエータ11、12、13は負のZ方向に溝の側方に位置する層(アクチュエータ13では参照符号153−1)と負のZ方向に溝の側方に位置する層(アクチュエータ13では参照符号153−2)とを有する。したがって、アクチュエータ11、12、13の溝に対する2つの対向層は電気的に分離される。例示のため、
図4に、アクチュエータ13の場合の層153−2の厚さd153−2aと溝153の奥行きt153を示す。負のZ方向に溝の側方に位置する層(アクチュエータ13では参照符号153−1)はアクチュエータ接続コーティング31a、32a、33a、特に始動片接続層31c、32c、33cに接続される。さら
に、正のZ方向に溝の側方に位置する層(アクチュエータ13では参照符号153−2)は後側層4に接続される。
【0055】
各アクチュエータに溝と共に層を実現することは、偏向のための始動で、電極E4とアクチュエータ体11a、12a、13aの上側間の領域も各アクチュエータの偏向に寄与できるという利点を備える。
【0056】
図4に示す本発明に係るアクチュエータ装置AVの実施形態では、Y方向に延びる溝120も帰還体21の上側21aに導入されると定めることができる。さらに、帰還体21は導電層でコーティングされ、溝120は各層の厚さよりも深いために、帰還体21が負のZ方向に溝の側方に位置する層(アクチュエータ13では参照符号153−1)と負のZ方向に溝の側方に位置する層(アクチュエータ13では参照符号153−2)とを有する。したがって、帰還体21aの溝に対する2つの対向層は電気的に分離される。例示のため、
図4はアクチュエータ13の場合の層153−2の厚さd153−2aと溝153の奥行きt153を示す。負のZ方向に溝の側方に位置する層(アクチュエータ13では参照符号153−1)はアクチュエータ接続コーティング31a、32a、33a、特に始動片接続層31c、32c、33cに接続される。さらに、正のZ方向に溝の側方に位置する層(アクチュエータ13では参照符号153−2)は後側層4に接続される。
【0057】
各アクチュエータ体11a、12a、13aの溝は、Z方向に延びる各アクチュエータ体11a、12a、13aの長手範囲のX座標に沿った中心線(t1=t2)である中心線M0(例示の実施形態では、アクチュエータ体11a、12a、13aはZ方向に同一の長さを有するため、すべてのアクチュエータ体11a、12a、13aにとって中心線M0は同一である)に対して横方向、すなわち前側1(
図1)が後側2(
図4)のいずれかに近く配置される。具体的には、Y方向に向く表面11f、12f、13fの中心線は、中心線M0から量t1またはt2の50%を超えて側方に配置されると定めることができる。アクチュエータ11、12、13の各自の溝が前側1に近いか後側2に近いかに応じて、各アクチュエータ11、12、13の変形に関して独自の効果が生じる。
【0058】
また、
図4および5を参照して説明したアクチュエータ11、12、13の上側SU、および任意で帰還体21の上側21aに設けられた溝の特徴は、本願に記載および図示する本発明の他の実施形態と組み合わせて本発明により提供することができる。
【0059】
図5に示すアクチュエータ装置AVの実施形態の溝の位置では、最も近い内側電極(参照符号E4)が後側層4で接続され、各層151−1a、152−1a、153−1aが各層31c、32c、33cからa1よりも短い距離延在し、そのために各層151−1a、152−1a、153−1aが最も近い内側電極(参照符号E4)と重複せず、最も近い内側電極(参照符号E4)に対して各層151−1a、152−1a、153−1aの反対極性による電極E4と各層151−1a、152−1a、153−1との電圧の重複領域が生成されないとき、層151−1a、152−1a、153−1aとそれに最も近い内側電極(参照符号E4)間でアクチュエータ体層の追加始動は行われない。
【0060】
最も近い内側電極(参照符号E4)が後側層4に接続され、各層151−1a、152−1a、153−1aが各層31c、32c、33cから見て最も近い内側電極(参照符号E4)に重複し、それによって生じる重複領域で、各層151−1a、152−1a、153−1aと最も近い内側電極(参照符号E4)に関して反対極性が生成されるとき、層151−1a、152−1a、153−1aとそれに最も近い内側電極(参照符号E4)間でアクチュエータ体層の追加始動が行われる。
【0061】
図6は、本発明に係るアクチュエータ装置AVの別の実施形態の一部を示す斜視図であ
る。本実施形態では、負のY方向での後側2の後側層4とフェース側面SFの帰還体側面層24とにおいて厚さ60が階段状に増加する。後側2の階段は参照符号61で示し、フェース側面SFの階段は参照符号62で示す。階段状の側面61aまたは62aもXZ面から斜めに延びることができる。このコンテキストでは、階段60は、Y方向に延びる部分で発生する、d4cまたはd24cの量よりも小さな差d4cまたはd24cの厚さの減少を意味すると理解される。例示の実施形態では、高さh60の下側SLに接する縁部は、Y方向から見て後側2の後側層4とフェース側面層部24の上方の領域よりも厚く具体化される。
【0062】
厚さの変化によって、後側2の後側層4、あるいはフェース側面層部または帰還体側面層24を通じて配給可能な電力を簡易に設定し、各アクチュエータ装置AVの要件に適合させることができる。もう1つの利点は、帰還体側面層、フェース側面層部24、または後側層4の具体例において、帰還体側面層24または後側層4の下側領域に大きな厚さd24cまたはd4cを設けることによって、帰還体21に内側帰還電極(たとえば、RE1、RE2、RE3、RE4)を有さずにアクチュエータ装置AVを具体化することができる点である。
【0063】
アクチュエータ装置AVの本実施形態の変形によると、厚さは、帰還体側面層またはフェース側面層部24でのみ変化し、後側層4では変化しない。
概して、ここでは、Y方向の帰還体側面層24または後側層4の範囲にわたる下側領域の帰還体側面層24または後側層4の平均厚(たとえば、d4bまたはD24b)は、Y方向の帰還体側面層24または後側層4の範囲にわたる階段61または62の上方の領域の帰還体側面層24または後側層4の平均厚(たとえば、d4bまたはd24b)の1.5倍であると定めることができる。
【0064】
図8は本発明に係るアクチュエータ装置AVの別の実施形態を示し、
図6および7に示す実施形態と比較して、前側1から後側2までの距離c2をおいて正のZ方向に延在する少なくとも1つの第1の内側帰還電極RE1、RE3と、後側2から前側1までの距離c1をおいて負のZ方向に延在する少なくとも1つの第2の内側帰還電極RE2、RE4とを帰還体21に有する。
【0065】
図9および10に示すアクチュエータ装置AVの実施形態は本体端部片29を有する。この本体端部片29は、本願のアクチュエータ装置AVの実施形態に追加して設けることができる。本体端部片29は、下側SLと帰還部26の中央部から負のX方向へと延在する。下側SLから見ると、本体端部片29は高さh29aでY方向に延在し、負のX方向に向く表面29aと、そこから帰還部表面26aに向かって延び奥行きt29aを形成する上側29cとを形成する。この位置に層厚さd24eが存在し、層厚さd24eは厚さd24aと同一にすることも、厚さd24aと異ならせる、具体的には厚さd24aよりも大きくすることができる。アクチュエータ装置AVの後側2で、本体端部片29は表面29dを有する。
図9に示すアクチュエータ装置AVの実施形態では、表面29a、29c、29dはコーティングされていない。アクチュエータ装置AVは同様に、フェース側面SF1に対向する別のフェース側面に本体端部片29(図示せず)を有することもできる。
図9および10に示す本発明に係るアクチュエータ装置AVの実施形態は、帰還部26の帰還体21に内側帰還電極(たとえば、
図3に示すRE1、RE2、RE3、RE4)を有さずに実現される。
【0066】
図9および10に示すアクチュエータ装置AVの実施形態の本体端部片29の利点は、本体端部片29を用いることで、アプリケーションシステムへの設置に対するアクチュエータ装置AVの適合を簡易に実行できる点である。
【0067】
図11は本発明に係るアクチュエータ装置AVの別の実施形態を示し、
図9および10に示す実施形態と比較して、前側1から後側2までの距離c2をおいて正のZ方向に延在する少なくとも1つの第1の内側帰還電極RE1、RE3と、後側2から前側1までの距離c1をおいて負のZ方向に延在する少なくとも1つの第2の内側帰還電極RE2、RE4とを帰還体21に有する。帰還体側面層またはフェース側面層部24と共に帰還電極RE1、RE2、RE3、RE4を通じて、前側1から後側2への最小電力帰還のためにアクチュエータ装置AVを適合させることができる。
【0068】
図12および13に示すアクチュエータ装置AVの実施形態も同様に本体端部片29を有する。本発明に係るアクチュエータ装置AVの本実施形態は、帰還部26の帰還体21に内側帰還電極(たとえば、
図3に示すRE1、RE2、RE3、RE4)を備えずに実現される。本体端部片29の表面29cには、Y方向に向く表面29fを備えた導電層29eが加えられ、それにより後側2への追加電力の帰還が行われる。
【0069】
図14は本発明に係るアクチュエータ装置AVの別の実施形態を示し、
図12および13に示す実施形態と比較して、前側1から後側2までの距離c2をおいて正のZ方向に延在する少なくとも1つの第1の内側帰還電極RE1、RE3と、後側2から前側1までの距離c1をおいて負のZ方向に延在する少なくとも1つの第2の内側帰還電極RE2、RE4とを帰還体21に有する。帰還体側面層24と共に帰還電極RE1、RE2、RE3、RE4を用いて、後側2への追加電力の帰還と、後側への最小電力帰還のためのアクチュエータ装置AVの適合が可能になる。
【0070】
図15および16は本発明に係るアクチュエータ装置AVの別の実施形態を示し、本体端部片29の表面29dも後側層部22の導電層部22dによってコーティングされる。アクチュエータ装置AVは同様に、フェース側面SF1に対向する別のフェース側面に本体端部片29(図示せず)を有することもできる。本発明に係るアクチュエータ装置AVの本実施形態は、帰還体21または帰還部26に内側帰還電極(たとえば、
図3に示すRE1、RE2、RE3、RE4)を有さずに実現される。
【0071】
図17は本発明に係るアクチュエータ装置AVの別の実施形態を示し、
図15および16に示す実施形態と比較して、前側1から後側2までの距離c2をおいて正のZ方向に延在する少なくとも1つの第1の内側帰還電極RE1、RE3と、後側2から前側1までの距離c1をおいて負のZ方向に延在する少なくとも1つの第2の内側帰還電極RE2、RE4とを帰還体21に有する。帰還体側面層24と共に帰還電極RE1、RE2、RE3、RE4を用いて、後側2への追加電力の帰還と、後側への最小電力帰還のためのアクチュエータ装置AVの適合が可能になる。
【0072】
図18に示すアクチュエータ装置AVの実施形態は、本体端部片29または第1の本体端部片29に加えて別のまたは第2の本体端部片28を有する。本体端部片28の表面28cには、Y方向を向く表面28fを備えた導電層28eが加えられ、それにより後側2への追加電力の帰還が行われる。アクチュエータ装置AVは同様に、フェース側面SF1に対向する別のフェース側面にも本体端部片29(図示せず)である上記本体端部片を有することができる。本発明に係るアクチュエータ装置AVの本実施形態は、帰還体21または帰還部26に内側帰還電極(たとえば、
図3に示すRE1、RE2、RE3、RE4)を有さずに実現される。
【0073】
図19に示す本発明に係るアクチュエータ装置の実施形態によると、帰還部26はY方向に延在する支持部25を有さずに構成され、下側SLから高さh43と等しい高さh26(
図1を参照)だけ延在するため、帰還体21aと所与の実施形態では帰還部26とはY方向から見て表面40と同じ高さを有し、X方向から見て表面40に隣接する。したが
って、本実施形態では、帰還部26は支持機能を備えていない。帰還接続片23は帰還部26の要素と理解することができる。本実施形態では、Y方向に向く帰還体21の表面21aは、帰還接続コーティング23aを形成し、後側2で後側層部22、フェース側面SFでフェース側面層部24と電気的に接続され、一体的に実現される厚さd26cの外側層26でコーティングされる。この結果、本発明に係るアクチュエータ装置AVの非常に簡易で好適な製造方法と、後側2へ比較的大きな電流を帰還させることができる非常に有益な解決策とによって、非常に有効な電流の流れが確保される。
【0074】
図20および21は本発明に係るアクチュエータ装置AVの別の実施形態を示し、
図1および2に示す実施形態と比較して、
図4および5を参照して説明したように、アクチュエータ11、12、13の上側と、任意で帰還体21の上側21aにも溝151、152、153を有する。
【0075】
図22に示す本発明に係るアクチュエータ装置の実施形態は
図19に示す実施形態に基づき、第1のフェース側面SF1の帰還部表面26aが導電性材料でコーティングされないため、
図10に示す実施形態と比較して、フェース側面層部24が設けられない。それにより、帰還部表面26aはアプリケーションシステムの接続点または固定装置に適合させることができるため、本発明に係るアクチュエータ装置AVの機械的統合が向上する。
【0076】
図23および24は
図22に示す実施形態に基づく本発明に係るアクチュエータ装置AVの別の実施形態を示し、
図1および2に示す実施形態と比較して、アクチュエータ11、12、13の上側、および任意で帰還体21の上側21aに、
図4および5を参照して機能を説明した溝151、152、153を有する。
【0077】
図25に示す本発明に係るアクチュエータ装置AVの別の実施形態は帰還接続片23と一体的に形成される帰還部26を有し、帰還部26は、
図19に示すアクチュエータ装置AVの実施形態に関してZ方向から見て、アクチュエータ装置AVの奥行き全体にわたって延在し、後側2では高さh25、前側1では高さh21aで凹部表面40から立ち上がり、帰還体21を形成する。本実施形態では、帰還体接続コーティング23aは後側2から前側1まで延在し、後側層4に接続される。
【0078】
図26および27はそれぞれ、各アクチュエータ体11a、12a、13aの上側にY方向に延びる溝151、152、153を有する本発明に係るアクチュエータ装置AVの別の実施形態を示す。さらに、各アクチュエータ11、12、13は導電層でコーティングされ、各自の溝151は各自の層の厚さよりも深いため、各アクチュエータ11、12、13は負のZ方向に溝の側方に位置する層(アクチュエータ13では参照符号153−1)と負のZ方向に溝の側方に位置する層(アクチュエータ13では参照符号153−2)とを有する。したがって、アクチュエータ11、12、13の溝に対する2つの対向層は電気的に分離される。
【0079】
図28に示す本発明に係るアクチュエータ装置AVの別の実施形態は
図25に示す実施形態に基づき、
図28に示す実施形態と比較して、負のX方向を指す帰還部表面26aがコーティングされない。
【0080】
図29および30は本発明に係るアクチュエータ装置AVの別の実施形態を示し、
図25および26に示す実施形態と比較して、各アクチュエータ体11a、12a、13aの上側にY方向に延びる溝151、152、153を有する。さらに、各アクチュエータ11、12、13は導電層でコーティングされ、各自の溝151、152、153は各自の層の厚さよりも深いため、各アクチュエータ11、12、13は負のZ方向で溝の側方に位置する層(アクチュエータ13では参照符号153−1)と、負のZ方向で溝の側方に
位置する層(アクチュエータ13では参照符号153−2)とを有する。したがって、アクチュエータ11、12、13の溝に関する2つの対向層は電気的に分離される。
【0081】
図31に示す本発明に係るアクチュエータ装置の実施形態によると、コレクタ電極70は後側2に配置され、後側層4と接続され、具体的には後側層4に連通する。このように、
図1〜30の実施形態によると、電流はもはや後側層4だけではなくコレクタ電極70も流れないため、後側2での電流の流れがサポートされる。これは、凹部S2、S3の領域での電流の流れをサポートするのに特に有益である。
【0082】
図31に示す実施形態では、帰還部分片20は
図1に示すように形成され、
図31に示す実施形態では、帰還部分片20は
図19に示すように形成される。
図32は
図31に示すように
図31の実施形態に基づく本発明に係るアクチュエータ装置の別の実施形態の一部を示す斜視図であり、
図32に示す実施形態と比較して、帰還部分片20が支持部を備えていない。
【0083】
もしくはまたはさらに、
図31および32に示す実施形態では、同じ技術上の理由により、Z方向から見て後側層4が10bよりも後側2の本体10の基部体10aにより大きな厚さd4bを有し、アクチュエータ11、12、13がアクチュエータ装置AVの後側2に形成される(
図4)と定めることができる。
【0084】
図33に示す本発明に係るアクチュエータ装置AVの実施形態によると、少なくとも1つの収縮適合電極または収縮適合電極80、90が基部体10aに導入される。これらは、特に焼結工程での圧電性または電歪性材料による本体10の製造において、本体10が大きく均一に収縮する収縮作用を達成することができる。
図1〜32に示す実施形態のそれぞれで収縮適合電極80、90をアクチュエータ装置AVに追加して設けることができ、たとえば
図1および2に示す実施形態で例示されたように配置される。
【0085】
概して、収縮適合電極80、90は基部体10aに位置する。これらの実施形態では、基部体10aはY方向から見て凹部表面40、41、42の下に配置される本体10の一部である。アクチュエータ11、12、13の領域では、基部体10aは、Y方向から見て、各アクチュエータの縁線(たとえば、アクチュエータ11の場合は縁線K11−1とK11−2)が各自の接続片(たとえば、アクチュエータ11の場合は接続片11b)と共に位置する接続面によって境界を定められる。帰還体21の領域では、基部体は、縁線40aまたは少なくとも縁線40aの最高点がY方向から見て配置されるXZ面によって正のY方向に境界を定められる。この基部体10aの境界は、本発明に係るアクチュエータ装置AVの個々のまたはすべての実施形態の基部体10aに概して適用することができる。
【0086】
したがって、基部体10aは、概して本体10の一部と理解することができ、そこから上部構造体10bを形成するアクチュエータが、アクチュエータ11b、12b、13cの接続片、該当する場合は帰還部分片20の帰還接続片23、該当する場合は支持部25と共に延在する。
図19〜21は本発明に係るアクチュエータ装置AVの実施形態を示し、アクチュエータ領域9および帰還部26と共に基部体10aから延在する接続片23(
図19〜24)も支持部25(
図1〜18と
図25〜30)も存在しない。もしくは、帰還部26は、凹部表面40の面状範囲の拡張部まで下側SLから延在する領域として定義することができる。本発明に係るアクチュエータ装置AVの実施形態は、凹表面40、41、42が、基部体10aの延在する境界と理解することもできる面または凹面に位置するように構成することができる。
【0087】
したがって、アクチュエータ装置AVは基部体10aを有し、そこからアクチュエータ
11、12、13が延在する。
収縮適合電極80、90は板状であり、ZX面に沿って延在するように具体化され、具体的にはZX面から15度に相当する収縮適合電極の最大偏位角度を提供することができる。収縮適合電極80、90は開始材料、特に各アクチュエータ装置AVの形成用の基部体10aの製造の際に配置される。
【0088】
収縮適合電極80、90は、たとえば
図40〜50に示し、これらの図面を参照して説明したように、アクチュエータ装置AVが別々の素子として、少なくとも部分的に基部体10aを有し、アクチュエータ11、12、13を有していない第1の装置素子と、アクチュエータ11、12、13を有する第1の装置素子とから成るときに設けられる。
【0089】
収縮適合電極80、90または少なくとも1つの収縮適合電極は、アクチュエータ装置AVにおいて様々に構成し配置することができる。好ましくは、収縮適合電極80、90はフェース側面SF1、SF2に配置される。また、少なくとも1つの収縮適合電極は縁部が帰還部表面26aに接して配置されると定めることができる。このように、側面、特に帰還部表面26aが配置される、まさに本発明に係るアクチュエータ装置AVの縁部では、製造工程において縁領域での基部体10aの収縮、ひいてはX軸に沿った(Z軸を中心とする)基部体10aの歪みまたは湾曲が防止される。さらに、少なくとも1つの収縮適合電極は後側層4に接して配置されると定めることができる。さらに、このように配置される上記の収縮適合電極は後側層4と電気的に接続される。
【0090】
少なくとも1つの収縮適合電極80、90は帰還接続層5に接して配置されると定めることができる。具体的には、少なくとも1つの収縮適合電極80、90は、アクチュエータ装置AVの1つ以上の側面、たとえば、少なくとも帰還部表面26aと同時に後側2と後側部26rに接して配置されると定めることができる。
【0091】
さらに、少なくとも1つの収縮適合電極80、90は後側2から前側1までZ方向に延在すると定めることができる。また、各収縮適合電極は2つの側のうち一方、すなわち、後側2または前側1に接して配置されると定めることができる。収縮適合電極80、90は縁部が帰還部表面26aから距離をおいて延在することができる。一方、収縮適合電極は後側から延在し、後側に接して前側1まで、さらに前側に接して配置されると定めることができる。他方、各収縮適合電極は、後側2から延在し、そこから間隔をおいて前側1まで、そしてそこから間隔をおいて配置されると定めることができる。各収縮適合電極と後側2または前側1間の距離は、Z方向に帰還部表面26aの長手範囲の最大20%に設定することができる。
【0092】
概して、収縮適合電極は両フェース側面SF1、SF2または2つのフェース側面SF1、SF2のいずれかの帰還部表面26aに配置させることができる。
また、複数の収縮適合電極の少なくとも1つの層を設けることができる。このコンテキストにおいて、層とは、複数の収縮適合電極が、Z方向に帰還部表面26aの長手範囲の15%の偏位でXZ面に配置されることを意味する。
図33に示す本発明に係るアクチュエータ装置AVの実施形態は、第1のフェース側面SF1に収縮適合電極の第1の層80と第2の層90とを有する。同じアクチュエータ装置AVの第2のフェース側面SF2にも同様に、収縮適合電極を同じまたは別の位置に配置することができる。基本的に、収縮適合電極の単独層または2つ以上の層が基部体10aに配置されると定めることができる。
【0093】
図33に示す収縮適合電極の第1の層80と第2の層90は、後側4で縁部81aまたは82aに配置される、すなわち基部体10aから延在する収縮適合電極81、82を有する。さらに、
図33に示す収縮適合電極の第1の層80と第2の層90は、後側4で縁
部83bまたは93bと、帰還部表面26aで縁部83aまたは93aと共に配置される収縮適合電極83、93を有する。
図33に示す収縮適合電極の第1の層80と第2の層90は、帰還部表面26aで縁部84a、85aまたは94a、95aと共に配置される2つの収縮適合電極84、85または94、95も有する。
【0094】
例示の実施形態では、異なる層の個々の収縮適合電極、すなわち、たとえば収縮適合電極81と91はY方向に並んで配置されると定めることができる。ここでは、重ねて配置される収縮適合電極は同一の形状を有すると定めることができる。図面に示す寸法パラメータでは、本発明に係る用途では、具体的には以下の寸法を提供することができる。
b20 0.05〜5mm
h1 0.5mm〜3mm
h2 0.1mm〜1.5mm
h0 1mm〜2.5mm
d1、d2、d3 薄層(PVD)工程では0.5μm〜1.5μm、化学ガルバニ製造では2μm〜7μm、スクリーン印刷法では10μm〜100μm
h20 1mm〜2.5mm
b1 0.05mm〜2.5mm
b2 0.05mm〜2.5mm、特にb1=b2
a1 0.1mm〜1mm
a2 0.1mm〜1mm、特にa1=a2
DS1 0.02mm〜1mm
DS2 0.02mm〜1mm、特にDS1=DS2
基本的に、本発明によると、帰還体21はアクチュエータ装置AVのフェース側面の一方に配置されることが必須ではなく、2つのアクチュエータ11、12、13間に配置することもできる。
【0095】
概して、本発明に係るアクチュエータ装置は複数の帰還体21を有することもできる。具体的には、ここでは、帰還体21はアクチュエータ装置AVの対向するフェース側面のそれぞれに配置されるため、アクチュエータ11、12、13はこれらの帰還体間に位置すると定めることができる。
【0096】
帰還体21は圧電性または電歪性材料から成り、具体的には基部体10aおよびアクチュエータ11、12、13と一体的に形成することができる。基部体10aとそこから延在するアクチュエータ11、12、13とが異なる材料から製造され、基部体10aが非圧電性材料または非電歪性材料から成る実施形態では、帰還体21も同様に非圧電性材料または非電歪性材料から製造されると定めることができる。別の実施形態によると、帰還体21と基部体10aは一体的に製造されると定めることもできる。
【0097】
アクチュエータ装置AVの1実施形態によると、基部体10aとそこから延在するアクチュエータ11、12、13とは一体に、すなわち、一体から生成され、圧電性または電歪性材料から成る。本実施形態では、基部体10aとそこから延在するアクチュエータ11、12、13とから成る構成要素が作製されて、最初に立方体の形状の圧電性または電歪性材料の開始体が製造され、その後、アクチュエータ11、12、13が凹部S1、S2、S3の生成によって形成される。ここでは、凹部S1、S2、S3は開始体の研削、のこ引き、または研磨などの対応する除去工程によって作製されると定めることができる。
【0098】
図1〜33に示す1実施形態による本体10の本発明に係る製造方法によると、一体ブロック100が、厚さ方向Yに積層される圧電性または電歪性材料の層から第1の中間製品として製造される(
図34)。一体ブロックは垂直方向Yに少なくともh0またはh2
0の高さを有する。一体ブロックには、電極E1、E2、E3、E4が圧電性または電歪性材料の層間にXZ面に沿って面状に延在する層として含まれる。さらなるステップで、全体のコーティング(図示せず)が実行される。すなわち、実施形態に応じて、一体ブロックの外面のコーティングでは、コーティング材料は電導性である。該方法の第1の実施形態によると、一体ブロック100は、アクチュエータ11、12、13または少なくとも1つの帰還部分片20の形成のための次のコーティングが行われる、このアクチュエータ体11a、12a、13aと帰還体21とから形成することができる(
図34)。凹部S0、S1、S2、S3の成型、具体的にはのこ引き、研削、または研磨によって、基部体10aを有する本体10、アクチュエータ体11a、12a、13a、支持部25を有する帰還体21(
図35)が一体ブロックから形成され、帰還体21はアクチュエータ体11a、12a、13aと同じ材料から成る。さらに、帰還体21は、アクチュエータ体11a、12a、13aおよび基部体10aと同じ材料から形成することができる。この方法シーケンスは、帰還体21またはその支持部25が、製造される本体10のアクチュエータ11、12、13と同じ数、形状、位置の電極を含む場合に特に有益である(たとえば、
図3に示す実施形態)。また、ここでは、上側溝の製造のために2つの追加の方法ステップを設けることができる(たとえば、
図4に示す実施形態)。次いで、上側コーティングが最初に生成される。これは全体コーティングの生成ステップで行うことができる。
図1に示す実施形態では、全体コーティングは第1の接続層31a、32a、33a、帰還接続コーティング23a、後側層4、帰還接続層5を備える。次いで、表面溝の作製が行われる。
【0099】
もしくは、表面溝の製造は、一体ブロックの形成後、かつ凹部S0、S1、S2、S3の形成前に行うことができる。しかしながら、ここでは、全体コーティングの作成の際、本発明に係るアクチュエータ装置AVの各自の実施形態ではコーティングされない表面領域の被覆を行わなければならない。
【0100】
これに代わって、一体ブロック200が、そこから帰還体21を除き(
図36)、基部体とアクチュエータ体11a、12a、13aが作製可能である、あるいは作製されるように製造されると定めることができる。この場合、具体的には、最初に凹部S0、S1、S2が成型、特にのこ引きまたは研削によって一体ブロックから作製され、帰還体21の形成のために、凹部40を形成する基部体10aの部分片10c上で、追加ブロックZ−21を一体ブロックに貼り付ける(
図37)。このようにして、基部体、アクチュエータ体11a、12a、13a、帰還体21(ここでは支持部25を有する)を備えた本体10が製造される。この方法シーケンスは、特に、製造される本体10のアクチュエータ11、12、13の場合と同じ数、形状、位置の電極、たとえば、収縮適合電極が帰還体21aに含まれないときに有効である。
【0101】
これに代わり、アクチュエータ装置AVの製造の1実施形態によると、材料ブロック301、具体的には電極E1、E2、E3、E4を埋め込んだ圧電性または電歪性材料性の第1の部分体または一体ブロック301は、本体10の別個の部分として製造される(
図38)。
【0102】
続く方法ステップでは、第1の部分体301は第2の部分体302の表面302aを有する接続層303を介して表面301bと接続され、接続層は好ましくは接着層である。たとえば、半田付けまたは溶接(
図39)など、対応する接続層303との別の種類の接続も考えられる。ここでは、第2の部分体302は圧電性または電歪性材料と非圧電性または非電歪性材料の両方から成ることができる。第2の部分体はAl203を含む、あるいはAl203から成る。
図39に示すように、第1の部分体301はZ方向で第2の部分体302と異なる、たとえば第2の部分体302よりも小さいと定めることができる。同様に、第1の部分体と第2の部分体はZ方向から見て同じ寸法を有すると定めることが
できる。
【0103】
他の方法シーケンスでは、凹部S0、S1、S2の成型、特にのこ引き、研削、研磨によって、基部体10a、アクチュエータ体11a、12a、13a、支持部25を有する帰還体21を備えた本体10が形成されると定めることができる。ここでは、凹部S0、S1、S2は接続層303まで延在する。また、凹部S0、S1、S2の領域で、接続層303が成型工程によって除去されて、凹部が第2の部分体302まで延在すると定めることができる。
【0104】
別の方法では、アクチュエータ体11a、12a、13aまたは支持部25を別体として作製するため、部分体301を
図38に示す方法ステップで個々の部分に分割し、別の方法ステップで、基部体10aを形成する第2の部分体302に個別に配置し、第2の部分体302に実質上接続し、好ましくは貼り付ける(
図40)。
【0105】
図41に示す本発明に係る方法の1実施形態では、中間製品320の形成のため、凹部S0、S1、S2は、第1の部分体301の表面301bから見て、接続層303とは交差しないように接続層303の上方に正のY方向に距離DA1、DA2、DA3をおいて延在すると定めることができる。
【0106】
図42に示す本発明に係る方法の別の実施形態では、別の中間製品330の形成のため、凹部S0、S1、S2は第2の部分体302の表面302aから見て、接続層303と交差するように第2の部分体302へ距離DB1、DB2、DB3分延在すると定めることができる。このように、移行部U1、U2、U3、U21は、基部体302または10aで、厚さ方向Yから見てアクチュエータ体11a、12a、13aにそれぞれ隣接する。したがって、長手方向Xから見て立ち上がった圧電性または電歪性材料製のアクチュエータ体11a、12a、13aは、凹部S1、S2、S3の表面41、42、43と境界を成す下側領域を形成する。
【0107】
さらに、別の中間製品340のため、研磨などの成型が接続層303に精密に行われると定めることができる(
図43)。
図43に示すこの方法に続いて、1つの端部片または2つの端部片が圧力嵌めで接続される素子341または端部片342の対向フェース側面に配置され、これは本発明の1実施形態に係る帰還体21の形成に適する。
【0108】
このようにして中間製品301、302を形成し貼付し、
図19〜24に示す実施形態のアクチュエータ装置AVを製造することができる中間製品350(
図44)が作製される、
図25または26に示す実施形態のアクチュエータ装置AVを製造することができる中間製品360(
図45)が作製される、
図27に示す実施形態のアクチュエータ装置AVを製造することができる中間製品370(
図46)が作製される、
ように成型を実行することができる。
【0109】
さらに、
図9〜17では本体端部片29、
図18では2つの端部片である本体端部片28と29とを備えた本発明に係るアクチュエータ装置AVの1実施形態を形成する際、中間製品400は、電極E1、E2、E3、E4とたとえば
図38の素子301とを有する第1の開始製品401、および第2の開始製品402から本願に記載する方法により圧力嵌めで製造されると定めることができる。開始製品401、402を相互に貼り付け、
図18に示す実施形態のアクチュエータ装置AVを製造することができる中間製品410(
図48)が作製される、
後側2の近くに溝120、151、153をさらに形成した(
図4を参照)本発明に係
るアクチュエータ装置AVの1実施形態が形成される(
図49)、
前側1の近くに溝120、151、153をさらに形成した(
図5を参照)本発明に係るアクチュエータ装置AVの1実施形態が形成される(
図50)、
ように成型を実行することができる。