(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記粘着クリーナーは、前記水性固形屑サンプルが付着した該粘着クリーナーを5cmの高さから硬質表面に落下させる水性固形屑脱落試験において、水性固形屑サンプル脱落率ADが50%未満を示す、請求項1に記載の粘着クリーナー。
前記固形屑捕捉部は、シート状の支持基材と、該支持基材の一方の表面に配置されて前記粘着性表面を構成する前記粘着剤層と、を備える片面粘着シートとして構成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着クリーナー。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。
【0020】
<粘着クリーナーの除去対象>
ここに開示される粘着クリーナーの除去対象は特に限定されず、塵埃や屑等の種々の異物が除去対象となり得る。ここに開示される粘着クリーナーは、水分を表面に有する固形屑(水性固形屑)の捕捉性に優れるので、水性固形屑を除去するために使用される粘着クリーナーとして好ましく用いられる。かかる場合、その適用領域は、水性固形屑が存在するところであればよく、その限りにおいて特に制限はない。
【0021】
水性固形屑の具体例としては、例えば、キッチンのシンク内に存在する野菜の切れ端のように、水分が表面に付着しているような固形屑が挙げられる。また、固形の具と水分とを含む料理がガラス等の容器とともに床に落下し、ガラス破片と具とが水分が付着した状態で散在しているような場合、水性固形屑の捕捉性に加えて安全性の観点からも、ここに開示される粘着クリーナーが好ましく用いられ得る。上記のような水性固形屑が存在する領域としては、床やカーペット、車内空間等が挙げられる。キッチンのシンク内も上記適用領域の好適例の一つとして挙げることができる。ここに開示される粘着クリーナーは上記のような領域に用いる粘着クリーナーとして好ましい。
【0022】
<粘着クリーナーの構造例>
以下、一実施形態に係る粘着クリーナーについて図面を参照しながら説明する。
図1,2に示すように、粘着クリーナー(以下、単にクリーナーともいう。)10は、粘着シートロール30を備える。クリーナー10はまた、粘着シートロール30を保持する保持部材(巻芯)20を備えており、粘着シートロール30は、円筒状の保持部材20の外周面に保持されることで、保持部材20と一体となっている。クリーナー10はさらに、クリーナー主部材15を備えており、このクリーナー主部材15は、円柱状の転動部材40と、転動部材40を回転自在に支持する棒状の把持部材50と、を備える。転動部材40には、保持部材20が着脱自在に固定されており、転動部材40の回転とともに保持部材20と粘着シートロール30も連動してロール周方向に沿って回転するように構成されている。
【0023】
粘着シートロール30は、固形屑捕捉部となる粘着シート31を巻回することによって形成されている。具体的には、粘着シート(固形屑捕捉部)31は、
図3に示すように長尺シート状(帯状)の支持基材36と、該支持基材36の一方の面36Aに配置された粘着剤層32とを備える片面粘着シート31として構成されている。片面粘着シート31は、その粘着剤層32が外側となるように巻回されることによって粘着シートロール30として形成されている。なお、特に限定するものではないが、円筒状の粘着シートロールのサイズは、直径(未使用時の直径(外径)をいう。以下同じ。)10〜200mm(例えば30〜100mm、典型的には40〜60mm)程度、幅50〜700mm(例えば60〜350mm、典型的には80〜160mm)程度である。
【0024】
クリーナー主部材15を構成する転動部材40には、具体的には、その円筒の中心軸となる位置に中心孔(図示せず)が形成されている。この中心孔に把持部材50の端部(一端)を挿通することによって、転動部材40は周方向に回転自在となるよう把持部材50に取り付けられている。また、把持部材50の他端には、クリーナー主部材15を構成する部材としての取っ手52が取り付けられている。なお、保持部材の材質は特に限定されず、ポリオレフィン系やポリエステル系その他の合成樹脂製や紙製のものを好ましく使用することができる。また、転動部材、把持部材、取っ手の材質も特に限定されず、例えば、ポリオレフィン系やポリエステル系その他の合成樹脂製、ステンレス鋼等の金属製のものを採用することができる。
【0025】
上記のような構成を有するクリーナー10は、例えば床やカーペット等の被クリーニング領域に存在する水性固形屑を含む汚れ(異物)を除去するために使用され得る。その好適な使用態様は以下のとおりである。すなわち、作業者は、被クリーニング領域にクリーナー10の粘着シートロール30部分を配置し、取っ手52を把持してクリーナー10に所定の外力を加える。すると、当該外力は把持部材50から転動部材40に伝わり、転動部材40は転動する。これにより、転動部材40の外周面に配置されている粘着シートロール30の粘着剤層32は転動部材40の転動とともに被クリーニング領域上を移動する。このようにして、被クリーニング領域上の水性固形屑を含む異物は、粘着剤層32の表面(粘着性表面)32Aに捕捉されて、被クリーニング領域からの異物の除去が実現され得る。
【0026】
また、粘着シートロールにおいて、粘着シートはほぼ一周長毎に切断用の切れ目(図示せず)が設けられていることが好ましい。この切れ目は、クリーナーを何度か使用した後にクリーニング(汚れ除去)性能が低下した粘着剤層表面(固形屑捕捉部の外表面)を更新することを効率的に行うための切断手段である。例えば、長孔や波形のスリットを並べたもの、ミシン目等の間欠スリット等であり得る。上記切れ目は粘着シートを幅方向(長手方向と直交する方向)に横断するように設けられることが好ましい。なお、固形屑捕捉部の外周面の更新は上記切断手段に限られない。例えば、ミシン目等の間欠スリットを粘着シートロールのシート巻き取り方向に対して交差する方向(典型的には上記幅方向に対して30〜60°の角度で交わる方向)に螺旋状に形成しておいてもよい。あるいはまた、ミシン目等の間欠スリットに代えて粘着シートロールを構成する粘着シートに所定間隔でスリット(連続した切れ目)を入れておいてもよい。 この形態では、粘着シートロールを構成する粘着シートは、予めロール巻き取り方向に外周1周分ごとにミシン目による間欠スリットが形成されているので、上記スリットごとに粘着シートロールの外表面を剥ぎ取ることができ、容易に当該外表面を更新することができる。上記更新を繰り返した結果、粘着シートロールを使いきった後には、例えば
図1,2に示す保持部材20を転動部材40から取り外して、新しい粘着シートロールに交換することにより再びクリーニングに供すればよい。
【0027】
上記のような粘着クリーナーは、従来公知の手法を適宜採用することにより作製することができる。例えばクリーナーの粘着シートロールは、従来のロール形状クリーナーと同様の手法で作製することができる。すなわち、従来公知の種々のコーティング手段により長尺シート状の支持基材の表面上に粘着剤組成物を塗付し、次いで乾燥処理等を行うことによって粘着剤層を形成する。そして、粘着剤層が外周面となるように粘着シートを保持部材に巻回することによって、ロール状の粘着シートロールを形成する。さらに、保持部材を転動部材に取り付けることによりクリーナーは構築される。なお、保持部材の転動部材への取付け構造やクリーナー主部材の構造は従来のロール形状クリーナーと同様の構造でよく、本発明を特徴づけるものではないため詳細な説明は省略する。
【0028】
なお、粘着クリーナーは上記実施形態のものに限定されない。粘着クリーナーは、例えば固形屑捕捉部のみから構成されたものであってもよい。また、上記実施形態では、固形屑捕捉部は支持基材と粘着剤層とから構成されていたが、これに限定されない。例えば、固形屑捕捉部は粘着剤のみから形成されたもの(例えば基材レス粘着剤)であってもよい。あるいは、固形屑捕捉部が支持基材を有する場合、該支持基材の形状等は特に限定されない。例えば、固形捕捉部は、円筒形状の支持基材の外表面に粘着剤層が形成されたものであってもよい。さらに、上記実施形態では粘着シートロールは転動部材を介して把持部材に回転自在に取り付けられるものであったが、これに限定されない。例えば、把持部材は上記固形屑捕捉部に直接的または間接的に接続(連結または着脱可能に接続)されるものであり得る。そのような粘着クリーナーとしては、例えば棒状の把持部材の一端に円柱状や直方体状の粘着体が固定されたものが挙げられる。
【0029】
<粘着クリーナーの特性>
ここに開示される粘着クリーナーは、当該粘着クリーナーの粘着性表面への水性固形屑サンプルの付着量を測定する水性固形屑付着試験において、粘着性表面1m
2当たりの水性固形屑サンプル付着量A
Cが190g/m
2以上を示すことが好ましい。この特性を満たす粘着クリーナーは、水性固形屑の捕捉性に優れる。上記付着量A
Cは、より好ましくは250g/m
2以上であり、さらに好ましくは300g/m
2以上であり、特に好ましくは350g/m
2以上(典型的には400g/m
2以上)である。上記の水性固形屑付着試験は下記のようにして行えばよい。
【0030】
[水性固形屑付着試験]
試験に供する水性固形屑サンプルを用意する。水性固形屑サンプルとしては、骨材と、界面活性剤を水に溶解した水溶液とからなるものを用いる。具体的には、水性固形屑サンプルは、骨材に界面活性剤を5重量%含む水溶液を添加したものであり、この水溶液の骨材への添加量は骨材100重量部に対して20重量部である。骨材としては、ふるい分け試験方法による中心粒径が1.20〜1.50mmの範囲にあるものを使用する。骨材として珪砂を使用することが好ましい。界面活性剤水溶液を添加した珪砂は、例えばビニル袋内でよく振る等して水分が全体に均一に行き渡るようにしたものを水性固形屑サンプルとして用いればよい。用意した水性固形屑サンプルは、底面が平坦なトレイ(例えば240mm×320mmのステンレス製のトレイ)の底面全体に広がるように配置する。ここに粘着クリーナーの粘着性表面をその全体が水性固形屑サンプルと接触するように押し当てて、粘着クリーナーの粘着性表面に水性固形屑サンプルを付着させる。水性固形屑サンプルの使用量は200g程度とすればよい。そして、水性固形屑サンプルを付着させた後の粘着クリーナーの重量W1(g)を測定し、予め測定しておいた水性固形屑サンプル付着前の粘着クリーナーの初期重量W0(g)との差から水性固形屑サンプル付着量W2(W2(g)=W1−W0)を求める。このW2(g)を粘着クリーナーの粘着性表面の面積(m
2)で除すことにより、粘着性表面1m
2当たりの水性固形屑サンプル付着量A
C(g/m
2)を求める。
なお、上記試験で用いる珪砂としては、シントーカラーサンド34シリーズ(新東陶料社製のカラー骨材(珪砂(天然珪石、コランダム、玄武岩、砂岩、火山灰軽石等)の表面に陶磁器用無機顔料を焼成溶着したもの。)中心粒径1.20〜1.50mm、粒度規格0.5〜2.4mm)を用いることができる。水は、蒸留水または脱イオン水(イオン交換水)を用いればよい。界面活性剤としては、40%ラウリル硫酸トリエタノールアミン溶液(和光純薬工業社製)を用いることができる。
【0031】
また、粘着クリーナーの固形屑捕捉部が、シート状の支持基材と、該支持基材の一方の表面に配置されて粘着性表面を構成する粘着剤層と、を備える片面粘着シートの場合、以下のようにして水性固形屑付着試験を実施することが望ましい。
測定対象である粘着クリーナーの固形屑捕捉部(片面粘着シート)を150mm×150mmの大きさにカットして試験用サンプルを作成し、
図1,2に示す粘着クリーナー10の粘着シートロール(直径(外径)48mm、幅160mm)30の外表面(外周面)の全体に、試験用サンプルをその粘着性表面が外側となるように貼り付けることにより、試験用クリーナーを作製する。次いで、200gの上記水性固形屑サンプルを、底面が平坦なトレイ(240mm×320mmのステンレス製のトレイ)の底面全体に広がるように配置する。ここに、
図4に示すように、作製した試験用クリーナー10’の粘着性表面32Aを接触させて転がし、トレイTの長手方向の一端から他端までの範囲を2往復移動させることで、粘着性表面32Aに水性固形屑サンプル100を付着させる。水性固形屑サンプル100を付着させた後の試験用クリーナー10’の重量W1(g)を測定し、予め測定しておいた水性固形屑サンプル付着前の試験用クリーナー10’の初期重量W0(g)との差から水性固形屑サンプル付着量W2(W2(g)=W1−W0)を求める。このW2(g)を試験用サンプルの露出した粘着性表面32Aの面積(m
2)で除すことにより、粘着性表面1m
2当たりの水性固形屑サンプル付着量A
C(g/m
2)を求める。
測定に用いる試験用クリーナーとしては、特に限定されるものではないが、例えば総重量が凡そ100〜500gで、粘着シートロール重量が凡そ10〜250gで、転動部材重量が凡そ10〜50gのものを用いるとよい。水性固形屑サンプルとしては上記のものを用いればよい。水性固形屑付着試験は、より具体的には、後述の実施例に記載の測定方法によって行われ得る。なお、上記水性固形屑サンプル付着量A
Cに関する特徴は、本発明を特定する一つの好適な特徴として把握されるのであって、本発明に必須の構成というわけではない。したがって、上記水性固形屑サンプル付着量A
Cに関する特徴の限定のない構成も本発明に包含される。
【0032】
ここに開示される粘着クリーナーは、上記水性固形屑サンプルが付着した該粘着クリーナー(典型的には、上記水性固形屑付着試験の方法で水性固形屑サンプルを付着させた粘着クリーナー)を5cmの高さから硬質表面に落下させる水性固形屑脱落試験において、水性固形屑サンプル脱落率A
Dが50%未満を示すことが好ましい。この特性を満たす粘着クリーナーは、所定の衝撃を加えても水性固形屑サンプルの脱落量が抑制されているので、水性固形屑の保持性に優れる。上記脱落率A
Dは、より好ましくは40%以下であり、さらに好ましく30%以下であり、特に好ましくは20%以下である。上記の水性固形屑脱落試験は下記のようにして行えばよい。
【0033】
[水性固形屑脱落試験]
上述の水性固形屑付着試験を行った後、連続して水性固形屑脱落試験を行うとよい。硬質表面(典型的には、金属、プラスチックまたは木材からなる硬質平坦面)上にて、粘着クリーナーを固形屑捕捉部の最下部が上記硬質表面から5cmの高さとなるよう配置する。そして、この高さから粘着クリーナーを落下させ、落下後の粘着クリーナーの重量W4(g)を測定し、予め測定しておいた落下前の粘着クリーナーの重量W3(g)(W1でもあり得る。)との差から上記落下後の水性固形屑サンプル脱落量W5(W5(g)=W3−W4)を求める。そして、式:A
D(%)=W5/(W3−W0)×100;から、水性固形屑サンプル脱落率A
D(%)を求める。なお、上式中、W0は水性固形屑サンプル付着前の粘着クリーナーの初期重量(g)である。
【0034】
また、粘着クリーナーの固形屑捕捉部が、シート状の支持基材と、該支持基材の一方の表面に配置されて粘着性表面を構成する粘着剤層と、を備える片面粘着シートの場合、片面粘着シートを用いての水性固形屑付着試験の後、連続して以下のようにして水性固形屑脱落試験を実施することが望ましい。
図5の(a)に示すように、硬質平坦面G上にて、試験用クリーナー10’の粘着シートロール30をその円筒軸方向を垂直とし、かつ粘着シートロール30の下端が上記硬質平坦面Gから5cmの高さ(
図5の(a)中の符号hで示す高さ)となるように、把持部材50の取っ手52側の端部を治具Jに上下方向に回動自在となるように固定する。粘着シートロール30の下端と硬質平坦面Gとの間には、スペーサ(図示せず)を配置する等して試験用クリーナー10’を上記の高さに保持してもよい。そして、上記スペーサを抜く等して、
図5の(b)に示すように試験用クリーナー10’の粘着シートロール30側を落下させる。落下後の試験用クリーナー10’の重量W4(g)を測定し、予め測定しておいた落下前の試験用クリーナー10’の重量W3(g)(W1でもあり得る。)との差から上記落下後の水性固形屑サンプル脱落量W5(W5(g)=W3−W4)を求める。そして、式:A
D(%)=W5/(W3−W0)×100;から、水性固形屑サンプル脱落率A
D(%)を求める。測定に用いる試験用クリーナーとしては、特に限定されるものではないが、例えば総重量が凡そ100〜500gで、粘着シートロール重量が凡そ10〜250gで、転動部材重量が凡そ10〜50gのものを用いるとよい。水性固形屑サンプルとしては上記のものを用いればよい。水性固形屑脱落試験は、より具体的には、後述の実施例に記載の測定方法によって行われ得る。
【0035】
ここに開示される粘着クリーナーの粘着性表面は、14N/20mm未満(例えば10N/20mm未満、典型的には8N/20mm未満)の180度剥離強度を示すことが好ましい。上記のように剥離強度が所定値以下に抑制された粘着クリーナーは、クリーニング作業性に優れる。上記180度剥離強度は、JIS Z0237に規定するステンレス鋼(SUS304)板に対する180度剥離試験に基づく測定値である。上記180度剥離強度の下限値は、固形屑捕捉性の観点から、3N/20mm以上(例えば5N/20mm以上)とすることが好ましい。
【0036】
上記剥離強度の測定は、具体的には下記の手順で行われる。固形屑捕捉部(典型的には粘着シート)を長方形シート状にカットした試験片を用意する。試験片は長さ100〜200mm程度とすることが好ましく、幅は15〜30mm程度とすることが好ましい。幅が20mmでない場合、実際の幅と基準幅20mmとの比から[N/20mm]を算出(換算)すればよい。厚さは特に限定されない。得られた試験片の粘着性表面(例えば粘着剤層側表面)をステンレス鋼(SUS304)板に2kgのローラーを一往復させて貼り付ける。試験片が両面粘着シート等の両面に粘着性を有するものの場合、測定面とは反対側の表面に対して厚さ25μm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを裏打ちすることが好ましい。これを23℃、RH50%の環境下に30分間保持した後、引張試験機を用い、JIS Z0237に準拠して、23℃、RH50%の環境下、剥離角度180度、引張速度300mm/分の条件にて、180度剥離強度(対SUS粘着力[N/20mm]を測定する。引張試験機は特に限定されず、従来公知の引張試験機を用いることができる。例えば、島津製作所社製の「テンシロン」を用いて測定することができる。
【0037】
また、ここに開示される粘着クリーナーが粘着シートロールを有する場合、粘着シートロールは、被クリーニング領域(例えば床やカーペット)上におけるレール引き現象の発生が抑止されるように、粘着力(典型的には上記180度剥離強度)と巻戻し力とが調和されていることが好ましい。ここで巻戻し力とは、粘着シートを粘着シートロールから引き出すために要する力(すなわち巻戻しに対する抵抗力、粘着シートの裏面(典型的には支持基材の背面)に対する粘着力としても把握される。)をいう。例えば、粘着力に比べて巻戻し力が低すぎる設定であると、粘着シートロールを被クリーニング領域上で転がす際に巻戻し力が粘着シート(典型的には粘着剤層)と上記表面との間の粘着力に負けてレール引き現象を生じさせる虞がある。他方、巻戻し力が高すぎる場合には、粘着シートがスムーズに引き出されない傾向がある。
【0038】
巻戻し力は次のようにして評価することができる。すなわち、粘着シートロールを所定の引張試験機にセットし、温度23℃、RH50%の環境下において、巻回された粘着シートの外周側先端を試験機のチャックに装着して300mm/分の速度で引っ張ることによって粘着シートロールを接線方向に巻き戻し、このときの巻戻し力を、例えば粘着シートの粘着剤層の幅(例えば150mm)あたりの値(N/150mm)に換算することにより求めることができる。例えば巻戻し力が0.5〜2.5N/150mm程度のものが好ましい。
【0039】
<粘着剤>
ここに開示される固形屑捕捉部(例えば粘着シート)を構成する粘着剤(例えば粘着剤層)は、特に限定されず、例えば、水溶性粘着剤組成物や水分散型粘着剤組成物等の水系粘着剤組成物、あるいは溶剤型粘着剤組成物等の粘着剤組成物から形成された粘着剤であり得る。また、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から形成された無溶剤型粘着剤も好ましく用いられ得る。なかでも、水系粘着剤組成物が好ましく、水溶性粘着剤組成物がより好ましい。
【0040】
上記粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が挙げられる。粘着性能やコストの観点から、ゴム系粘着剤またはアクリル系粘着剤を好ましく採用し得る。なかでも、アクリル系粘着剤が特に好ましい。
【0041】
ゴム系粘着剤としては、天然ゴムやその変性物等の天然ゴム系重合体、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体の1種または2種以上をベースポリマーとする粘着剤が挙げられる。なお、ベースポリマーとは、ポリマー成分のなかの主成分、主たる粘着性成分のことを指す。ここに開示される粘着剤におけるベースポリマーの配合割合は固形分基準で凡そ50質量%以上(例えば60質量%以上)であることが好ましく、その配合割合の上限は100質量%以下(例えば90質量%以下)であり得る。
【0042】
アクリル系粘着剤としては、ベースポリマーとしてアクリル系重合体を含有するアクリル系粘着剤が好ましく用いられ得る。アクリル系重合体は、アクリル系モノマーを主モノマーとして含むモノマー原料から合成することができる。ここでアクリル系モノマーとは、1分子中に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーのことを指す。また、主モノマーとは全モノマー成分(モノマー原料)の50質量%以上(例えば70質量%以上、典型的には80質量%以上)を占めるモノマー成分を指す。なお、本明細書においてアクリル系モノマーとは、(メタ)アクリル酸構造や(メタ)アクリル酸エステル構造を有するモノマー、オリゴマーを指すものとする。また、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートを包括的に指す意味である。同様に、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイルおよびメタアクリロイルを、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびメタクリルを、それぞれ包括的に指す意味である。
【0043】
上記アクリル系モノマーを含むモノマー原料としては、アルコキシ基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、アルキル(メタ)アクリレート、酸無水物基含有モノマー、ヒドロキシル基(水酸基)含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、窒素原子含有環を有するモノマー、エポキシ基(グリシジル基)含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、ビニルエステル系モノマー、芳香族ビニル化合物が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
アルコキシ基含有モノマーの具体例としては、例えば、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(より具体的にはアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート);メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシ(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素原子数1〜4(より好ましくは1または2)のアルコキシ基を有するアルコキシ(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
【0045】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和モノカルボン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸等が挙げられる。また、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物も好ましく用いられ得る。
【0046】
(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物としては、具体的には、下式(1):
【化1】
(式(1)中、R
1は水素原子またはメチル基を示し、nは1〜10の範囲にある。)で表わされるカプロラクトン(メタ)アクリレートであることが好ましい。より好ましくは、式(1)中のR
1は水素原子である、また、式(1)中のnは1〜5の範囲にあることがより好ましい。カルボキシル基含有モノマーとして、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物とそれ以外のカルボキシル基含有モノマー(例えばアクリル酸やメタクリル酸)とを併用する場合、カルボキシル基含有モノマーの総量に占める(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物の割合は50質量%以上(例えば70質量%以上、典型的には90質量%以上)とすることが好ましい。カルボキシル基含有モノマーの実質的に全部が(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物であってもよい。換言すると、ここに開示される技術は、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物以外のカルボキシル基含有モノマーを用いない態様で実施され得る。
【0047】
アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここに開示されるアクリル系重合体は、上記アルキル(メタ)アクリレートを含まない組成のモノマー原料を用いて合成したものであってもよい。
【0048】
酸無水物基含有モノマーとしては、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸等の上記エチレン性不飽和ジカルボン酸等の酸無水物等が挙げられる。
ヒドロキシル基(水酸基)含有モノマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等の不飽和アルコール類等が挙げられる。
アミド基含有モノマーとしては、例えば(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アミノ基含有モノマーとしては、例えばアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
窒素原子含有環を有するモノマーとしては、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
エポキシ基(グリシジル基)含有モノマーとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
アルコキシシリル基含有モノマーとしては、例えば3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
スルホン酸基含有モノマーとしては、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
ビニルエステル系モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、置換スチレン(α−メチルスチレン等)、ビニルトルエン等が挙げられる。
【0049】
ここに開示されるアクリル系重合体が、モノマー成分としてアルコキシ基含有モノマーおよび/またはカルボキシル基含有モノマーを含む場合、上記アクリル系重合体におけるアルコキシ基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーの合計共重合割合は、15質量%以上であることが好ましい。これによって、上記重合体に親水性が付与されて水性固形屑の吸着性が向上し、水膨潤性の向上によって捕捉した水性固形屑の保持性が向上する。上記アクリル系重合体におけるアルコキシ基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーの合計共重合割合は、より好ましくは50質量%以上(例えば80質量%以上、典型的には90質量%以上)である。上記アルコキシ基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーの合計共重合割合の上限は特に制限されず、100質量%以下であればよく、例えば95質量%以下(典型的には85質量%以下)であってもよい。なお、この明細書において、重合体における各モノマー成分の共重合割合は、重合体を合成するために用いるモノマー原料中の各モノマー成分の配合割合と対応(一致)するものとする。
【0050】
ここに開示されるアクリル系重合体が、アルコキシ基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーが共重合されているものである場合、アルコキシ基含有モノマー(例えばアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、具体的にはメトキシエチルアクリレート)とカルボキシル基含有モノマー(例えば(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物、具体的にはカプロラクトンアクリレート)との質量比は、特に限定されず、例えば3:7〜8:2(典型的には5:5〜7:3)とすることが好ましい。
【0051】
ここに開示されるアクリル系重合体が、アルコキシ基含有モノマーおよび/またはカルボキシル基含有モノマーが共重合されているものである場合、ここに開示されるアクリル系重合体には、粘着力向上や架橋点導入による凝集力向上等を目的として、上記アルコキシ基含有モノマーおよび/またはカルボキシル基含有モノマーと共重合可能なその他のモノマーが共重合されていてもよい。そのような共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、上述した各種のモノマー(アルキル(メタ)アクリレート、酸無水物基含有モノマー、ヒドロキシル基(水酸基)含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、窒素原子含有環を有するモノマー、エポキシ基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、ビニルエステル系モノマー、芳香族ビニル化合物等)が挙げられる。
【0052】
上記共重合可能なその他のモノマーを用いる場合、それらモノマー成分のアクリル系重合体における共重合割合は、85質量%以下(例えば50質量%以下、典型的には20質量%以下、さらには10質量%以下)程度である。上記共重合割合の下限は、例えば5質量%以上(典型的には15質量%以上)であり得る。ここに開示されるアクリル系重合体は、上記共重合可能な他のモノマーを実質的に含まないモノマー原料を用いて合成されたものであってもよい。
【0053】
上記モノマーまたはその混合物を重合する方法は特に限定されず、従来公知の一般的な重合方法を採用することができる。そのような重合方法としては、例えば溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合が挙げられる。なかでも、溶液重合が好ましい。重合の態様は特に限定されず、従来公知のモノマー供給方法、重合条件(温度、時間、圧力等)、モノマー以外の使用成分(重合開始剤等)を適宜選択して行うことができる。例えばモノマー供給方法としては、全モノマー混合物を一度に反応容器に供給(一括供給)してもよく、徐々に滴下して供給(連続供給)してもよく、何回分かに分割して所定時間ごとに各分量を供給(分割供給)してもよい。上記モノマーまたはその混合物は、一部または全部を、溶媒に溶解させた溶液、もしくは溶媒に乳化させた分散液として供給してもよい。
【0054】
重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物系開始剤、フェニル置換エタン等の置換エタン系開始剤、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムとの組合せ等の過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤等が例示される。重合開始剤の使用量は、重合開始剤の種類やモノマーの種類(モノマー混合物の組成)等に応じて適宜選択できるが、通常は全モノマー成分100質量部に対して、例えば0.005〜1質量部程度の範囲から選択することが適当である。重合温度は、例えば20℃〜100℃(典型的には40℃〜80℃)程度とすることができる。
【0055】
また、粘着剤組成物には架橋剤を配合することが好ましい。例えば、アクリル系粘着剤の架橋剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム等の有機金属塩、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤等が好適例として挙げられる。オキサゾリン系架橋剤やアジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤、メラミン系架橋剤を用いてもよい。これら架橋剤は1種を単独でまたは2種類以上を併用してもよい。なかでも、カルボキシル基と好適に架橋することができ、また良好な操作性(典型的には軽剥離性)が得やすく、さらに耐酸性にも優れることから、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤が好ましく、エポキシ系架橋剤が特に好ましい。
【0056】
エポキシ系架橋剤の具体例としては、分子中に2個以上のエポキシ基(グリシジル基)を有するものが挙げられる。そのようなエポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N′−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。なかでも、架橋後の水膨潤性の観点から、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルが好ましい。
【0057】
架橋剤の配合量は特に限定されないが、良好な粘着力を得る観点や、架橋後の水膨潤性を良好な範囲として水性固形屑の捕捉性を向上させる観点から、ベースポリマー(例えばアクリル系重合体)100質量部に対し、0.01〜10質量部(例えば0.05〜5質量部、典型的には0.1〜5質量部)程度とすることが好ましい。
【0058】
また、使用する溶剤としては、水;メタノール、エタノール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−メチルシクロヘキシルアルコール、トリデシルアルコール等のアルコール;ヘキサン、ヘプタン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、テトラリン、ジペンテン等の芳香族炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;等が挙げられる。なかでも、水のみからなる水性溶媒、水とメタノール等のアルコールとの混合溶媒等が好ましい。
【0059】
なお、使用(合成)するベースポリマー(例えばアクリル系重合体)の分子量(Mw:重量平均分子量)は、特に限定されないが、概ね30万〜100万程度の重量平均分子量(Mw)を有するポリマー(例えばアクリル系重合体)を好適に使用することができる。
【0060】
ここに開示される技術における粘着剤は、水溶性可塑剤を含むことが好ましい。そのような水溶性可塑剤としては、各種のポリオール(好ましくはポリエーテルポリオール)を用いることができる。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンソルビトールエーテル、ポリグリセリン、ポリオキシエチレングリセリルエーテル等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0061】
水溶性可塑剤の配合量は、特に限定されず、ベースポリマー(例えばアクリル系重合体)100質量部に対して10質量部以上(例えば20質量部以上、典型的には30質量部以上)程度とすることが好ましい。これによって、粘着剤の粘着力が高まり、水性固形屑の捕捉性が向上する傾向がある。また、水溶性可塑剤の配合量の上限は特に限定されないが、せん断力の低下を抑制する観点から、ベースポリマー(例えばアクリル系重合体)100質量部に対して100質量部以下(例えば70質量部以下、典型的には50質量部以下)とすることが好ましい。
【0062】
ここに開示される技術における粘着剤には、必要に応じて粘着付与剤を含ませることができる。粘着付与剤としては、粘着剤の分野において公知の粘着付与樹脂等を用いることができる。例えば、炭化水素系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、ロジン系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂、ポリアミド系粘着付与樹脂、エラストマー系粘着付与樹脂、ケトン系粘着付与樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0063】
炭化水素系粘着付与樹脂の例としては、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂(キシレン樹脂等)、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂(スチレン−オレフィン系共重合体等)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロン−インデン系樹脂等の各種の炭化水素系の樹脂が挙げられる。テルペン系粘着付与樹脂の例としては、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体等のテルペン系樹脂;これらのテルペン系樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性等)した変性テルペン系樹脂(例えば、テルペンフェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂、水素添加テルペンフェノール系樹脂等);等が挙げられる。ロジン系粘着付与樹脂の例としては、ガムロジン、ウッドロジン等の未変性ロジン(生ロジン);これらの未変性ロジンを水添化、不均化、重合等により変性した変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、その他の化学的に修飾されたロジン等);その他の各種ロジン誘導体;等が挙げられる。フェノール系の粘着付与樹脂の例としては、レゾール型またはノボラック型のアルキルフェノール樹脂が挙げられる。これらのうち好ましい粘着付与剤として、テルペン系樹脂、変性テルペン系樹脂およびアルキルフェノール樹脂が挙げられる。
【0064】
粘着付与剤の軟化点は特に限定されないが、粘着力を高めて固形屑捕捉性を得る観点から、160℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましい。また、粘着力の過度な上昇を避ける観点から、60℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。
【0065】
粘着付与剤の配合量は特に限定されないが、粘着力の過度な上昇を避ける観点から、例えばベースポリマー(例えばアクリル系重合体)100質量部に対して50質量部以下とすることができ、通常は40質量部以下が適当であり、30質量部以下が好ましい。また、粘着付与剤の配合による効果をよりよく発揮する観点からは、ベースポリマー100質量部に対する配合量を例えば1質量部以上とすることが適当である。あるいは、このような粘着付与剤を実質的に含有しない粘着剤であってもよい。
【0066】
ここに開示される技術における粘着剤組成物(あるいは粘着剤や粘着剤層)には、その他にも、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の水溶性ポリマー、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料等)等、中和剤(アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、粘着剤の分野において公知の各種添加成分を配合することができる。これら必須成分ではない添加成分の種類や配合量は、この種の粘着剤における通常の種類および配合量と同様とすればよい。
【0067】
<粘着剤層>
ここに開示される粘着剤組成物から粘着剤(例えば粘着剤層)を形成する場合、その形成方法は特に限定されない。例えば、ダイコーター、グラビアロールコーター等の従来公知の塗付手段を用いて粘着剤組成物を支持基材に直接付与(典型的には塗付)して乾燥させる方法を適用することができる。また、上記粘着剤組成物を剥離性のよい表面(例えば、剥離ライナーの表面、離型処理された支持基材背面等)に付与して乾燥させることにより該表面上に粘着剤層を形成し、その粘着剤層を支持基材に転写する方法(転写法)を採用してもよい。上記粘着剤組成物を剥離性のよい表面に付与して乾燥させた基材レスタイプの粘着剤層であってもよい。
【0068】
粘着剤層の厚さは、目的に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。十分な水性固形屑捕捉性を得る観点から、粘着剤層の厚さは凡そ5μm以上(例えば10μm以上、典型的には20μm以上)とすることが好ましく、また、300μm以下(例えば150μm以下、典型的には100μm以下、さらには50μm以下)とすることが好ましい。
【0069】
支持基材の表面に粘着剤層を形成する場合、粘着剤層は、支持基材の一方の表面の全範囲に亘って形成されていてもよく、あるいは例えば、支持基材の幅方向の両端に沿って、粘着剤層が形成されていない非粘着部(ドライエッジ)を有してもよい。また、粘着剤層は、典型的には連続的に形成されるが、目的および用途によっては点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成されてもよい。さらに、粘着剤層は2層以上の多層構造からなるものであってもよい。ここに開示される技術における粘着剤層を支持基材の一方の表面に連続的な膜として形成し、その上に従来公知の粘着剤層をストライプ状等に形成してなる2層構造の粘着剤層としてもよい。逆に、従来公知の粘着剤層を支持基材の一方の表面に連続的な膜として形成し、その上に、ここに開示される技術における粘着剤層をストライプ状等に形成してなる2層構造の粘着剤層としてもよい。
【0070】
<支持基材>
ここに開示される固形屑捕捉部が例えば上記実施形態のように支持基材を備えるものである場合、支持基材として、種々の合成樹脂、不織布、あるいは紙で構成される材料を用いることができる。支持基材の材質は、布、ゴムシート、発泡体シート、金属箔、これらの複合体等であってもよい。
【0071】
合成樹脂の例としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。特にポリエチレンテレフタレート(PET)製の支持基材を好適に使用することができる。また、紙としては、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等が例示される。布の例としては、各種繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等が挙げられる。上記繊維状物質としては、綿、スフ、マニラ麻、パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等が例示される。ゴムシートの例としては、天然ゴムシート、ブチルゴムシート等が挙げられる。発泡体シートの例としては、発泡ポリウレタンシート、発泡ポリクロロプレンゴムシート等が挙げられる。金属箔の例としては、アルミニウム箔、銅箔等が挙げられる。支持基材には、必要に応じて、充填剤(無機充填剤、有機充填剤等)、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料等)等の各種添加剤が配合されてもよい。
【0072】
また、固形屑捕捉部として、支持基材の片面に粘着剤層が形成された片面粘着シートを採用する場合、上記支持基材の背面(粘着剤層非形成面)には、シリコーン系剥離剤の塗付等、粘着シートロールの巻戻し力を適切な範囲に調節するための表面処理(典型的には、巻戻し力が高くなりすぎることを防止する剥離処理)が施されていることが好ましい。
【0073】
上記支持基材の厚さは、目的に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。一般的には、上記厚さを凡そ20μm以上(例えば30μm以上、典型的には40μm以上)とすることが好ましく、200μm以下(例えば150μm以下、典型的には100μm以下、さらには70μm以下)程度とすることが適当である。例えば、合成樹脂や不織布、紙製の支持基材に対して上記の厚さを好ましく採用することができる。支持基材が発泡体シートの場合には、その厚さは0.6〜3mm程度(例えば0.6〜2mm程度、典型的には0.8〜1.2mm程度)であることが好ましい。
【0074】
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明中の「部」および「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
【0075】
<例1>
不活性ガス雰囲気下にて、カプロラクトンアクリレート(東亞合成社製の商品名「アロニックスM−5300」、上記式(1)中のnの平均値が約1.8のω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート)24部、2−メトキシエチルアクリレート33部、水酸化カリウム5部(精製水28部に溶解したもの)、スチレンスルホン酸ナトリウム5部(精製水30部に溶解したもの)をメタノール73部に均一に溶解混合し、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を添加して重合反応を行い、アクリル系重合体の溶液を調製した。次いで、アクリル系重合体100部に対し、水溶性可塑剤40部と架橋剤2部とを混合し、アクリル系粘着剤組成物を調製した。
水溶性可塑剤としては、ポリオキシプロピレンソルビトールエーテル(ポリヘキサオール、三洋化成社製の商品名「サンニックスSP750」)を用いた。架橋剤としては、2官能エポキシ化合物(ナガセケムテックス社製の商品名「DENACOLEX−830」、重合度(n)が凡そ9のポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル)を用いた。
上記で得たアクリル系粘着剤組成物を支持基材の一方の表面に塗付した後、110℃で3分間の乾燥処理を行うことにより、厚さ(糊厚)約20μmの粘着剤層が支持基材の片面に形成された片面粘着シートを作製した。支持基材としては、厚さ50μmの紙の他方の表面(粘着剤層が形成される面とは反対側の面、すなわち背面)に、厚さ20μmのポリエチレンフィルムがラミネートされた支持基材を用いた。このポリエチレンフィルムの表面にはシリコーン系剥離剤による剥離処理が施されている。得られた片面粘着シートを紙製の円筒状保持部材の表面に巻回することにより粘着シートロールを形成した。そして、
図1,2に模式的に示すようなクリーナー主部材15を用意し、そのポリプロピレン製の円柱状(中空部分を有する)の転動部材に上記保持部材を装着することにより、例1に係る粘着クリーナーを構築した。
【0076】
<例2>
ベースポリマーとしてのスチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)100部と粘着付与樹脂100部とプロセスオイル100部とを含むゴム系粘着剤組成物を調製した。これを加熱溶融状態で押し出して支持基材の一方の面に塗付して乾燥処理を行うことにより、厚さ(糊厚)約15μmの粘着剤層が支持基材の片面に形成された片面粘着シートを作製した。SISとしては、日本ゼオン社製の商品名「クインタック3520」を使用した。粘着付与樹脂としては、東燃化学社製の商品名「エスコレッツ1310」を使用した。プロセスオイルとしては、ジャパンケムテック社製の商品名「ナイフレックス222B」を使用した。上記の片面粘着シートを用いた他は例1と同様にして例2に係る粘着クリーナーを構築した。
【0077】
<例3>
例2で調製したゴム系粘着剤組成物を加熱溶融状態で押し出して支持基材の一方の面に塗付して乾燥処理を行うことにより、厚さ(糊厚)約20μmのストライプ状(ストライプ幅1.0mm、ピッチ1.0mm)粘着剤層が支持基材の片面に形成された片面粘着シートを作製した。上記の片面粘着シートを用いた他は例1と同様にして例3に係る粘着クリーナーを構築した。
【0078】
[水性固形屑付着試験]
各例に係る片面粘着シートを150mm×150mm(粘着性表面の面積0.0225m
2)の大きさにカットして試験用サンプルを作成した。この試験用サンプルを、
図1,2に示す粘着クリーナー10の粘着シートロール(直径48mm、幅160mm)30の外表面(外周面)の全体にその粘着性表面が外側となるように貼り付けることにより、試験用クリーナーを作製した。この試験用クリーナーは、転動部材(重量26.5g程度)40と取っ手52とがポリプロピレン製で、把持部材50の棒状部分は直径が5mmのステンレス鋼製部材であった。また、試験用クリーナーの全長は凡そ40cm、総重量は約241g、粘着シートロール30の重量は約113g、クリーナー主部材15の重量は約128gであった。粘着シートロール30は、例2に係る片面粘着シートを紙製の円筒状保持部材に厚さ約1cm程度になるまで巻回することにより形成したものである。
また、試験に供する水性固形屑サンプルを用意した。水性固形屑サンプルとしては、骨材としての珪砂に、該珪砂100重量部に対して20重量部の割合で界面活性剤水溶液を添加し、ビニル袋内でよく振って水溶液が珪砂全体に均一に行き渡るようにしたものを用意した。珪砂としては、新東陶料社製のカラー骨材(商品名:シントーカラーサンド34シリーズ、中心粒径1.20〜1.50mm、粒度規格0.5〜2.4mm)を用いた。界面活性剤水溶液としては、5重量%の界面活性剤(40%ラウリル硫酸トリエタノールアミン溶液(和光純薬工業社製))を水(蒸留水)に溶解した水溶液を用いた。
上記で用意した水性固形屑サンプル200gを、トレイ(240mm×320mmのステンレス製のトレイ)の平坦な底面全体に広がるように均一に配置した。
図4に示すように、この水性固形屑サンプル100を配置したトレイTに、作製した試験用クリーナー10’の粘着性表面32Aを接触させて転がし、上記トレイTの長手方向の一端から他端までの範囲を2往復移動させることで、粘着性表面32Aに水性固形屑サンプル100を付着させた。
水性固形屑サンプル100を付着させた後の試験用クリーナー10’の重量W1(g)を測定し、予め測定しておいた試験用クリーナー10’の初期重量W0(g)との差から水性固形屑サンプルの付着量W2(W2(g)=W1−W0)を求め、W2(g)を試験用サンプルの露出した粘着性表面32Aの面積(m
2)で除すことにより、粘着性表面1m
2当たりの水性固形屑サンプル付着量A
C(g/m
2)を求めた。上記試験は各例につき5回行い、その平均値を記録した。結果を表1に示す。また、各例につき、水性固形屑サンプル付着後の状態を撮影した画像を
図6,7,8に示す。
【0079】
[水性固形屑脱落試験]
上述の水性固形屑付着試験を行った後、連続して水性固形屑脱落試験を下記の要領で行った。
図5の(a)に示すように、プラスチックからなる硬質平坦面G上にて、試験用クリーナー10’の粘着シートロール30をその円筒軸方向を垂直とし、かつ粘着シートロール30の下端が上記硬質平坦面Gから5cmの高さ(
図5の(a)中の符号hで示す高さ)となるように、把持部材50の取っ手52側の端部を治具Jに上下方向に回動自在となるように固定した。粘着シートロール30の下端と硬質平坦面Gとの間には、スペーサ(図示せず)を配置し、試験用クリーナー10’を上記の高さに保持した。そして、上記スペーサを粘着シートロール30と硬質平坦面Gとの間から抜きとり、
図5の(b)に示すように、試験用クリーナー10’の粘着シートロール30側を落下させた。より具体的には、
図5の(b)中の矢印A方向に自由落下に近い状態で落下させた。落下後の試験用クリーナー10’の重量W4(g)を測定し、予め測定しておいた落下前の試験用クリーナー10’の重量W3との差から上記落下後の水性固形屑サンプル脱落量W5(W5(g)=W3−W4)を求めた。そして、式:
A
D(%)=W5/(W3−W0)×100
;から、水性固形屑サンプル脱落率A
D(%)を求めた。なお、各例において、W3とW1とは同じ値であった。上記試験は各例につき5回行い、その平均値を記録した。結果を表1に示す。
【0080】
[180度剥離強度]
各例に係る粘着シートを200mm×20mmにカットして長方形状の試験片を用意した。上記試験片の粘着面(粘着性表面)をステンレス鋼(SUS304)板に2kgのローラーを一往復させて貼り付け、これを23℃、RH50%の環境下に30分間保持した後、引張試験機を用い、JIS Z0237に準拠して、23℃、RH50%の環境下、剥離角度180度、引張速度300mm/分の条件にて、対SUS180度剥離強度(N/20mm)を測定した。測定は、島津製作所社製の「テンシロン」を用いて行った。結果を表1に示す。
【0082】
表1、
図6〜8に示されるように、例1では、水性固形屑付着試験における水性固形屑サンプル付着量A
Cが190g/m
2以上(より具体的には400g/m
2以上)を示した。これに対して、例2,3では、上記水性固形屑サンプル付着量A
Cは190g/m
2未満を示した。これらの結果から、例1に係る粘着クリーナーは、水性固形屑の捕捉性に優れることがわかる。また、例1では、水性固形屑脱落試験における水性固形屑サンプル脱落率A
Dが50%未満(より具体的には20%以下)を示した。これに対して、例2,3では、上記水性固形屑サンプル脱落率A
Dは50%以上であった。これらの結果から、例1に係る粘着クリーナーは、捕捉した水性固形屑をしっかりと保持し、上記捕捉された水性固形屑が途中で脱落する等の不都合の発生が抑制または防止され得ることがわかる。
【0083】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。