(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の教示は、添付の図面に関連して以下の詳細な記載を考慮することで、容易に理解され得る。
【0011】
当然に、図面は、本発明の概念を表すためのものであって、必ずしも本発明を表す可能な構成のみを表しているわけではない。理解を容易にするよう、同一の参照番号が、必要に応じて、図面において共通する同一の要素を示すために使用されている。
【0012】
本発明は、有利に、ダウンリンクデータチャネルのための色メタデータを決定し且つ提供する方法及びシステムを提供する。本発明は、主としてHDMI TMDSダウンリンクデータチャネルという脈絡の中で記載されるが、本発明の特定の実施例は、本発明の適用範囲を限定するよう扱われるべきではない。当業者によって明らかであり且つ本発明の教示によって知られるように、本発明の概念は、有利に、より広い色域マッピングを可能にするよう実質的に如何なるダウンリンクデータチャネルにも色メタデータを提供するために適用され得る。
【0013】
更に、本発明は、主として特定の比色分析及び色空間インジケータの脈絡の中で記載されるが、本発明の特定の実施例は、本発明の適用範囲を限定するよう扱われるべきではない。当業者によって明らかであり且つ本発明の教示によって知られるように、本発明の概念は、有利に、既知又は未知のいずれであっても、実質的に如何なる比色分析及び色空間インジケータも用いて適用され得る。
【0014】
本発明は、主としてHDMI TMDSダウンリンクデータチャネルのための色メタデータという脈絡の中で記載されるが、コンテンツ信号の比色分析が既に、使用される色空間によって定められているので、色管理の原理は、ここでは全く論じられない。
【0015】
本発明の色メタデータに関する動機付けは、現在の色域マッピング方法の使用において、色が、HDMIシンクの色域の外にあって、色域マッピングをされる必要があることである。しかし、ダウンリンクメタデータは、HDMIシンクの自然の特性をカバーすることができない。加えて、本発明の色メタデータは、色域マッピングがHDMIシンクの特性に依存するために、色域マッピング処理をカバーすることができない。代わりに、本発明のダウンリンク色メタデータは、HDMIソースの特性に対処する。
【0016】
図1は、本発明の実施例が適用され得る色域マッピングシステム100のハイレベルのブロック図を表す。より具体的には、
図1に表されるように、元のメディアコンテンツ102は、本発明に従って、色メタデータ104とともに下流に伝えられる。メディアコンテンツ102、色メタデータ104及びディスプレイ106の特性は全て、色域マッピングのために使用される。本発明では、色域マッピング及びディスプレイ特性は扱われない。すなわち、色域マッピングは、科学文献(Morovic J.及びLuo M.R.著、「色域マッピングの原理:調査」、Journal of Imaging Science and Technology、45/3、238〜290頁、2001年)によって明らかにされているように、当該技術においてよく知られた話題である。
【0017】
先に述べたように、シンクのプロファイルは、使用される色によって予め知られ、本発明のメタデータに含まれる必要がない。しかし、色空間によって定められる色域は、特に、幅広い色域空間の場合には、非常に大きくなりうる。使用される色空間の色域が画像コンテンツの色域よりもはるかに大きい場合には、色域マッピングはそれほど有効でないことがある。
【0018】
図2(a)は、色空間域全体(大きい長方形)がHDMIシンク色域(三角形)の色域上にマッピングされ得る色域マッピングの先行技術の例を表す。このようなマッピングは、HDMIシンクの色域よりも小さい色域(点線の楕円)を有する画像へと、色空間域よりも小さい色域(楕円)を有する画像コンテンツを圧縮する。しかし、このような色域マッピングを使用する場合に、画像は彩度及びコントラストを失い、シンクの性質は活用されない。
【0019】
図2(b)は、HDMIシンクの色域の記述(「ソース色域」長方形)が色域マッピングを達成するために使用されるところの本発明の実施例に従う提案される色域マッピングアプローチを表す。
図2(b)の色域マッピングで、マッピングはそれほど強くなく、メディアコンテンツの色域はより良く保たれる。すなわち、本発明に従う送信されるHDMIソース色域によって定められる色域マッピングは、彩度及びコントラストを保ち且つシンクの性質を十分に活用する適応マッピングを可能にする。
【0020】
本発明の一実施例で、本発明の色メタデータのためのシンク色域境界記述子の必要条件は、(1)高い正確さ、(2)簡潔な表現、並びに(3)高い処理速度及び低い処理の複雑性、を含む。
【0021】
例えば、第1の必要条件は高い正確さである。この必要条件は、どのようにソース色域境界記述子(GBD)が(HDMIの適用範囲外で)計算されるのかと、(HDMIの適用範囲内の)色空間精度とに依存する。ソースGBDの計算のために、2つの場合が以下のように区別され得る。
【0022】
1.ソースGBDは任意にソース色域よりも大きい。→色再現はわずかに悪化しうるが、GBD精度はそれほど重要でない。
【0023】
2.ソースGBDはソース色域に近い。→最良の色再現だが、GBD精度は最大である必要がある。
【0024】
シンクGBDの計算がHDMIの適用範囲にないので、GBD精度は高くなければならない。GBDの正確さは、信号の色空間の精度に関連付けられる必要がある。色域マッピングは信号に適用されるので、GBD精度は常に、色空間精度よりも低いか又は等しくなりうる。GBD精度は、信号色空間から独立した色空間の選択によって変調され得る。
【0025】
本発明の色メタデータのためのシンク色域境界記述子の第2の必要条件は簡潔な表現である。これは、第1の必要条件とは逆相互関係にある。すなわち、簡潔な表現とは、一般に、データ圧縮の問題である。簡潔なGBDは、HDMIの適用範囲外にあるソース色域の形状に依存する。パラメータ表現は、未知数の原色を有し、未知の色調再現を伴い且つ未知の種類(加法、減法)であるソースがサンプルに含まれる場合には使用され得ない。色域は凸状でさえあり得ない。ソース色域の形状が知られていない場合には、ソースに適合した表現は使用され得ない。代わりに、例えば平滑化及び正則化のような一般条件が適用され得る。ソース色域が平坦である場合には、サンプリングスキームは有効である。ソース色域が左右対称(regular)である場合には、規則的なサンプリングでさえ使用され得る。
【0026】
本発明の色メタデータのためのシンク色域境界記述子の第3の必要条件は、HDMIシンクにおけるGBD処理の高速性及び低い複雑性である。ソースGBDに対してサンプリングスキームを使用する場合に、最も簡単な処理は、ある程度まで規則的であるサンプルに関するものである。第2の必要条件が不規則なサンプリングに基づくより簡潔な表現を要求する場合に、サンプリング順序又はサンプル構成は、処理の速度を上げるために、サンプルに加えられ得る。今日のハードウェアが、例えば、線−面交差(line to surface intersections)のような幾何学演算に対応するので、本発明の一実施例に従って、可能な表現はインデックス付きファセットセットである。
【0027】
ここで、本発明者は、より具体的な例が後に続く本発明に従ってダウンリンクデータチャネルにメタデータを提供する概念の一般的な例を表す。
【0028】
すなわち、以下で記載される本発明の様々な実施例で、色ダウンリンクメタデータは、以下の比色分析の1つを使用する:
・ITU−R BT.601;
・ITU−R BT.709;
・CIE XYZ。
更に、本発明の色ダウンリンクメタデータは、色空間インジケータによって示される4つの色空間のうちの1つを用いてHDMIソース色域を記述する:
・ITU−R BT.709;
・IEC61966−2−4−SD;
・IEC61966−2−4−HD;
・DCI規格V5.1。
【0029】
以下の表1は、本発明の色ダウンリンクメタデータの色空間を定めるための構成表の一般的な例を表す:
【0030】
【表1】
従って、色域境界記述子(GBD)は、本発明に従って、デバイス依存(ITU−R BT.709−4、IEC61966−2−4)又はデバイス非依存(DCI)のいずれか一方でありうる。
【0031】
本発明の色符号化(色空間精度)は、選択された色空間に従って定義される。以下で記載される本発明の実施例と同様に、HDMI1.3の他のパートと一致するよう、色精度は:
・3×8ビット
・3×10ビット
・3×12ビット
のように定義され得る。
【0032】
以下の表2は、本発明の色ダウンリンクメタデータの色精度を定めるための構成表の一般的な例を表す:
【0033】
【表2】
本発明の一実施例で、HDMIソース色域は、表3に表されるような選択された色空間にあるインデックス付きファセットを用いて又は用いずに頂点の組によって記述される。表3は以下の通りである:
【0034】
【表3】
GBDメタデータのGAMUT_VERTICESフィールド及びGAMUT_FACETSフィールドのサイズは、以下の式(1):
【0035】
【数1】
に従って特徴付けられ得る。上記の式(1)で、
【0036】
【数2】
は、次に上位の整数に丸める演算を表す。さらに、式(1)で、“ld”は2を底とする対数を表す。メタデータブロックのサイズを制限するために、制約S<S
maxがN
V及びN
Fの選択に適用され、一方、S
maxは搬送機構に依存する。本発明の典型的な用途では、S
maxのもっともらしい値は40KBである。
【0037】
さらに、本発明の色ダウンリンクメタデータの様々な実施例で、フィールドは、同期のために少なくとも“メタデータパッケージの開始”及び“有効期間(例えば、タイムスタンプ、フレームリファレンス等)”を示すよう含まれる。
【0038】
先に述べたように、本発明者は、三原色のメディアコンテンツのための本発明の実施例に従う色ダウンリンクメタデータの具体例を以下で与える。以下の例で、色域は、8ビット色符号化で(HDMI1.3のために2005年にソニー(登録商標)によって提案された)xvYCC空間において記述される。以下:
【0039】
【表4】
表4で表されるGBDは、黒点、白点並びに赤、緑及び青の原色を含む。メタデータブロックの総体的なサイズは示される通りに144ビットである。
【0040】
第2の例は、視認性の閾値において、GDBに関して以下に提示される。GBDはCIE L*a*b*において構成される。色域境界は、4%のL*a*b*空間における最大傾斜を有して平坦であるとする。さらに、視認性の閾値は、以下の式(2):
【0041】
【数3】
に従って特徴付けられるとする。上記の条件を用いて、境界を表すサンプル間の距離はΔE=25よりも小さい必要があるという結論に達する。GBDは、L*、a*、b*の夫々に関し[0,116]、[−200,200]、[−500,500]の制限を有する直方体(cuboid)に設定される。ΔE=25の距離を有するサンプルによってその直方体の表面を覆うために、N
F=3080の三角形が必要とされ、N
V=1540の頂点が必要とされる。10ビットでXYZ空間を選択すると、各頂点は30ビットを要する。各ファセットは更なる36ビットを要する。N
V=1540を用いて、頂点は、12ビットを用いてインデックスを付され得る。このように、このメタデータパケットの総体的なサイズは、以下の表5:
【0042】
【表5】
に表されるように19.1KBである。
【0043】
メタデータは、別個のストリーム上のダウンリンクデータチャネルへ又は代替的に元のメディアコンテンツの一部として提供され得る。本発明の代替の実施例で、本発明の決定されるメタデータは、元のコンテンツの一部として又は別個のストリーム若しくは信号として、例えば光ディスク(例えば、DVD。)のような記録媒体において、ダウンリンクデータチャネル又はデバイスによる使用のために提供され得る。
【0044】
ダウンリンクデータチャネルのための色メタデータを決定し且つ提供するための方法及びシステムに関する好ましい実施形態を記載してきたが(この実施形態は限定ではなく説明を目的としている。)、変形及び改良が上記の教示を鑑みて当業者によって行われ得ることが知られる。従って、当然、変更は、開示される本発明の具体的な実施例において行われ得る。これは、添付の特許請求の範囲に挙げられている本発明の適用範囲及び精神の範囲内にある。上記は本発明の様々な実施例を対象とするが、本発明の他の及び更なる実施例が、その基本的な適用範囲を逸脱することなく想到され得る。このように、本発明の適切な適用範囲は、特許請求の範囲に従って決定されるべきである。
【0045】
以上の実施例に関し、更に、以下の項目を開示する。
【0046】
(付記1)ソースのコンテンツの色域を保つようダウンリンクデータチャネルのための色メタデータを決定する方法であって、
前記ソースの色域により色空間域を定める段階と、
前記定められた色空間域により色域マッピングを行う段階と
を有することを特徴とする方法。
【0047】
(付記2)前記色空間域は、xvYCC空間において定められる、付記1記載の方法。
【0048】
(付記3)前記コンテンツは三原色を有する、付記1記載の方法。
【0049】
(付記4)前記ソースの色域は平坦であり、前記色空間域を定めるようサンプリングスキームが実施される、付記1記載の方法。
【0050】
(付記5)前記ソースの色域は左右対称であり、前記色空間域を定めるようサンプリングスキームが実施される、付記1記載の方法。
【0051】
(付記6)インデックス付きファセットセットは、前記色空間域を定めるよう実施される、付記1記載の方法。
【0052】
(付記7)前記色空間域の定義は、色域境界記述子を有する、付記1記載の方法。
【0053】
(付記8)前記色空間の正確さは、選択された色空間に従って定められる、付記1記載の方法。
【0054】
(付記9)前記色空間の正確さは、3×8ビット、3×10ビット、及び3×12ビットのうちの少なくとも1つによって定められる、付記1記載の方法。
【0055】
(付記10)前記ソースの色域は、選択された色域におけるインデックス付きファセットを伴う頂点の組によって定められる、付記1記載の方法。
【0056】
(付記11)前記色空間域の定義の色域頂点及び色域ファセットフィールドの大きさは、以下の式:
【0058】
【数5】
は、次に上位の整数に丸める演算を表し、ldは、2を底とする対数を表す、付記10記載の方法。
【0059】
(付記12)前記色空間域は、CIE L*a*b*空間において定義される、付記1記載の方法。
【0060】
(付記13)前記色空間域の定義は、色域境界記述子を有する、付記1記載の方法。
【0061】
(付記14)前記色域境界記述子は直方体を有する、付記13記載の方法。