(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248192
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】電動式背もたれ調節装置及びこのような背もたれ調節装置を有する車両座席
(51)【国際特許分類】
B60N 2/22 20060101AFI20171204BHJP
A47C 1/025 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
B60N2/22
A47C1/025
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-525586(P2016-525586)
(86)(22)【出願日】2014年10月17日
(65)【公表番号】特表2016-533944(P2016-533944A)
(43)【公表日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】EP2014072340
(87)【国際公開番号】WO2015059053
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2016年6月20日
(31)【優先権主張番号】102013221568.1
(32)【優先日】2013年10月23日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102014208076.2
(32)【優先日】2014年4月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511007886
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ コンポーネンツ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】マーケル、 クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】クリストッフェル、 トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、 ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】ヘーグ、 ノルベルト
【審査官】
渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−082241(JP,A)
【文献】
特開2010−000116(JP,A)
【文献】
特開平03−279033(JP,A)
【文献】
特開平9−193696(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102010048682(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00− 2/72
A47C 1/00− 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部(3.1)及び前記座部に対して調節可能な背もたれ(3.2)を有する車両座席(3)用の電動式背もたれ調節装置(1)であって、第1及び第2の取り付け側を備え、
前記取り付け側の各々が、前記背もたれに固定される取り付け上部(B1)、及び前記座部に固定される取り付け下部(B2)を備え、
前記第1の取り付け側が、前記背もたれ(3.2)の傾斜を調節するための取り付け具(2)を備え、
前記第2の取り付け側が、電気駆動装置(6’)を取り付けるための回転軸受け(7)を備え、
前記取り付け具(2)及び前記回転軸受け(7)は、前記取り付け上部(B1)と前記取り付け下部(B2)との間に配置され、前記第1及び第2の取り付け側は、トランスミッションロッド(5)によって互いに結合され、
前記電気駆動装置(6’)が前記第2の取り付け側に設けられ、前記電気駆動装置は、関係付けられる取り付け下部(B2)の外側に配置され且つ前記トランスミッションロッド(5)を駆動するために前記トランスミッションロッド(5)に結合され、
前記電気駆動装置(6’)の構成要素は、前記取り付け下部(B2)の外側に配置される内側筐体部(6.4)と外側筐体部(6.8)との間に配置される、電動式背もたれ調節装置(1)。
【請求項2】
前記電気駆動装置(6’)の前記構成要素は、前記取り付け具(2)を解除又はロックするための作動装置(6.1)及びアクチュエータ(6.6)、前記トランスミッションロッド(5)を駆動するモーター(6.5)、及び前記作動装置(6.1)の位置を決定するためのスイッチ要素(6.7)を含む、請求項1に記載の電動式背もたれ調節装置(1)。
【請求項3】
前記第2の取り付け側の前記取り付け下部(B2)にアクチュエータ(6.6)が配置され、前記アクチュエータは前記取り付け具(2)を解除又はロックするために作動装置(6.1)のレバー要素(6.1.1)に動作可能に接続される、請求項1又は2に記載の電動式背もたれ調節装置(1)。
【請求項4】
前記第2の取り付け側の前記取り付け下部(B2)にスイッチ要素(6.7)が配置され、前記スイッチ要素は、前記レバー要素(6.1.1)の位置を決定するために前記レバー要素(6.1.1)に動作可能に接続される、請求項3に記載の電動式背もたれ調節装置(1)。
【請求項5】
前スイッチ要素は、マイクロスイッチ又は位置指示器である、請求項4に記載の電動式背もたれ調節装置(1)。
【請求項6】
前記電気駆動装置(6’)は、回転が固定されるように前記取り付け上部(B1)及び前記トランスミッションロッド(5)に接続されるストップ要素(8)と係合するピニオン(6.3)を有する駆動シャフト(6.2)を備える、請求項1〜5の何れか1項に記載の電動式背もたれ調節装置(1)。
【請求項7】
前記取り付け下部(B2)の各々は、前記取り付け下部が、インターロック式、非ポジティブ式及び/又は一体結合式で、フロアに固定される前記座部(3.1)の構成要素に及び/又は下部構造に固定されるように構成される、請求項1〜6の何れか1項に記載の電動式背もたれ調節装置(1)。
【請求項8】
前記取り付け上部(B1)の各々は、前記取り付け上部が、インターロック式、非ポジティブ式及び/又は一体結合式で、前記背もたれ(3.2)のフレーム構造又はフレーム部(RT)に固定されるように構成される、請求項1〜7の何れか1項に記載の電動式背もたれ調節装置(1)。
【請求項9】
請求項1に記載の構成部品を少なくとも備える製造前設置装置(M,M’)を特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の電動式背もたれ調節装置(1)。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の電動式背もたれ調節装置(1)を有する、車両座席(3)。
【請求項11】
2つの取り付け上部(B1)及びそれらを接続するトランスミッションロッド(5)を組み合わせるステップであって、前記トランスミッションロッド(5)の第1の端部は回転軸受け(7)を有しているステップと、
前記取り付け上部(B1)から外に突出する前記トランスミッションロッド(5)の第2の端部に取り付け具(2)を配置して固定するステップと、
前記取り付け具(2)から外に突出する前記トランスミッションロッド(5)の第1及び第2の端部に前記取り付け下部(B2)を置いて回転可能に配置するステップと、
前記回転軸受け(7)の外側において取り付け下部(B2)に作動装置(6.1)を置いて固定するステップと、
前記第2の端部の側における前記取り付け下部(B2)の外側に電気駆動装置(6’)の内側筐体部(6.4)を配置するステップと、
前記内側筐体部(6.4)にピニオン(6.3)を有する駆動シャフト(6.2)を取り付けるステップと、
前記内側筐体部(6.4)と外側筐体部(6.8)との間に電気駆動装置(6’)の構成要素を取り付けて固定するステップであって、前記構成要素は、モーター(6.5)、アクチュエータ(6.6)、スイッチ要素(6.7)を含むステップと
を含む、請求項1〜10の何れか1項に記載の電動式背もたれ調節装置(1)を設置する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両座席の背もたれの電動式調節のための背もたれ調節装置、このような電動式背もたれ調節装置を有する車両座席、及びこのような背もたれ調節装置を設置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、車両座席の背もたれの手動又は電動式調節のための取り付け具を有する様々な背もたれ調節装置が、背もたれの様々な快適性又は使用位置又は車両の2列目の座席へのイージーエントリを可能にするイージーエントリシステムと共に又はそれ無しで知られている。取り付け具は、慣習的に車両座席の背もたれ上に配置される解除レバーにより作動可能であり、その結果として、車両座席の背もたれは快適位置に又はエントリ領域から枢動する。車両座席がレール上に配置されている場合、車両座席は解除レバーが作動されるとエントリ領域から進行方向に更に移動可能であり得る。
【発明の概要】
【0003】
背もたれが電動式で調節される取り付け具を備えた改良型背もたれ調節装置、及び改良型背もたれ調節装置を備えた車両座席を特定することが本発明の目的である。更に、このような背もたれ調節装置を設置するための方法を特定することが本発明の目的である。
【0004】
背もたれ調節装置に関しては、請求項1に記載の特徴によってこの目的が達成される。車両座席に関しては、請求項9に記載の特徴による本発明によってこの目的が達成される。このような背もたれ調節装置を設置するための方法に関しては、請求項10に記載の特徴によってこの目的が達成される。
【0005】
本発明の有利な発展が、従属項の主題である。
【0006】
座部及び前記座部に対して調節可能な背もたれを有する車両座席用の本発明による電動式背もたれ調節装置は、2つの取り付け側を備え、前記取り付け側の各々が、前記背もたれに固定される取り付け上部、及び下部構造に固定される又は前記座部に固定される取り付け下部を備え、前記取り付け側の少なくとも1つが、前記背もたれの傾斜を調節するための取り付け具を備え、前記取り付け具は、前記取り付け上部と前記取り付け下部との間に配置され、前記取り付け側は、トランスミッションロッドによって互いに結合され、電気駆動装置が前記取り付け側の一方に設けられ、前記電気駆動装置は、関係付けられる取り付け下部の外側に配置され且つ前記トランスミッションロッドにそれを駆動するために結合される。
【0007】
本発明は、特に部品点数が少ない単純な構造の電動式背もたれ調節装置を可能にし、車両座席の基本的なタイプに関わらず部品の多くが様々な車両座席に使用され得る同一の部品である。これは、特に費用効果の高い電動式背もたれ調節装置を可能にする。更に、電動式背もたれ調節装置は、既存の車両座席の組み立て又はそれへの設置に適した製造前設置装置として設計され得る。
【0008】
本発明の改良では、取り付け具は回転式及び/又はラッチ式取り付け具として設計される。従って、背もたれの様々な快適性若しくは使用位置又は車両の後部領域に容易に入ることが可能である。
【0009】
単純な実施形態では、駆動側の取り付け側の前記取り付け下部は、前記取り付け下部が前記電気駆動装置用の筐体を形成するように設計される。代替的に、追加的な筐体部、特に電気駆動装置用の筐体ベース又は筐体カバーが、取り付け下部に配置され得る。
【0010】
発展では、駆動側の取り付け側の前記取り付け下部にアクチュエータ、特に作動要素、特にサーボ駆動が配置され、前記アクチュエータは前記取り付け具を解除又はロックするために作動装置に、特にレバー要素に動作可能に接続される。
【0011】
更に、駆動側の取り付け側の前記取り付け下部にスイッチ要素、特にマイクロスイッチ又は位置指示器が配置され、前記スイッチ要素は、その位置を決定するために前記レバー要素に動作可能に接続される。
【0012】
可能な実施形態では、電気駆動装置は、駆動シャフト、及び駆動シャフトに配置されるピニオン、特に、ストップ要素と係合する駆動輪、特に、取り付け上部に及び回転が固定されるようにトランスミッションロッドに接続される出力輪を有するモーターを備える。ピニオン及びストップ要素は、歯車対又は遊星歯車装置等の別の歯車装置に関してもよい。
【0013】
更に、一実施形態では、前記取り付け下部の各々は、前記取り付け下部が、インターロック式、非ポジティブ式及び/又は一体結合式で、フロアに固定される前記座部の構成要素に及び/又は下部構造に固定されるように設計される。これに対応するやり方で、前記取り付け上部の各々は、前記取り付け上部が、インターロック式、非ポジティブ式及び/又は一体結合式で、前記背もたれのフレーム構造に固定されるように設計される。取り付け具が解除されると、取り付け上部及び取り付け下部は、互いに対して移動可能、特に回転可能になり、このため、取り付け具はギア式接続として、特に歯車装置及び/又は遊星歯車装置として設計される。
【0014】
好ましい実施形態では、電動式背もたれ調節装置は、少なくとも以下の構成要素を備える製造前設置装置として設計される。即ち、2つの取り付け側を備え、これらの各々が、取り付け上部及び取り付け下部を備え、これらの少なくとも1つが、前記背もたれの傾斜を調節するための取り付け具を備え、前記取り付け具は、前記取り付け上部と前記取り付け下部との間に配置され、取り付け側はトランスミッションロッドによって互いに結合され、電気駆動装置が前記取り付け側の一方に設けられ、前記電気駆動装置は、関係付けられる取り付け下部の外側に配置され且つ前記トランスミッションロッドにそれを駆動するために結合される。
【0015】
傾斜調節可能且つ自由枢動可能な背もたれを有する本発明による車両座席は、特に既存の車両座席の組み立て又はそれへの設置に適した製造前設置装置として設計され得る上記の電動式背もたれ調節装置を有する。
【0016】
電動式背もたれ調節装置を設置するための本発明による方法は、少なくとも以下のステップを含む。即ち、2つの取り付け上部及びそれらを接続するトランスミッションロッドを組み合わせるステップ、当該の取り付け上部から外に突出する前記トランスミッションロッドの端部において取り付け側の一方において少なくとも1つの取り付け具を配置して固定するステップ、前記取り付け具から外に突出する前記トランスミッションロッドの端部に前記取り付け下部を置いて配置するステップ、前記取り付け側の一方の外側において取り付け下部に作動装置を置いて固定するステップ、前記作動装置が固定される前記取り付け下部にピニオン7を有する駆動シャフトを取り付けるステップ、当該の取り付け下部B2の外側に電気駆動装置を取り付け且つ固定するステップであって、特に、モーター、アクチュエータ、スイッチ要素等の関係付けられる構成要素を取り付けて配置するステップを含む。
【0017】
この目的は、背もたれの電動式調節のための取り付け具を有する背もたれ調節装置により本発明によって更に達成され、ここで、取り付け具は背もたれに配置される取り付け上部及び下部構造に固定される取り付け下部から形成される。ここで、このような取り付け具は、いずれも車両座席の片側に配置されてもよい。ここで、取り付け具は、車両座席の背もたれをイージーエントリ位置に配置するため、少なくとも1つの快適性又は座席位置に背もたれを配置するための統合された快適性ロックのため、及びイージーエントリ位置を超えて積荷フロア位置に背もたれを配置するための拡張快適性機能のために提供される。本発明による取り付け具は、快適性レバーと係合する少なくとも1つの取り付け部及びドライバを備え、イージーエントリ位置における背もたれの枢動範囲は少なくとも1つの取り付け部に係合するイージーエントリ爪によって制限され、ドライバは取り付け部を解除するために解除レバーに結合可能であり、イージーエントリ位置を超えて積荷フロア位置に背もたれを調節するために、解除レバーから分離可能であり、ドライバ及び解除レバーの分離状態において、それは、作動されると、イージーエントリ爪を運ぶ。
【0018】
以下、本発明の例示の実施形態が概略図を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】片側で電気作動される背もたれ調節装置の例示の実施形態及び車両座席における背もたれ調節装置を設置するシーケンス図を概略的に示す。
【
図2】片側で電気作動される背もたれ調節装置の代替的な例示の実施形態及び車両座席における代替的な背もたれ調節装置を設置するシーケンス図を概略的に示す。
【
図3】
図2による背もたれ調節装置の取り付け下部の外側に配置される電気駆動装置の例示的な実施形態を概略的に示す。
【
図4】取り付け下部の領域において内側から
図3による背もたれ調節装置を概略的に示す。
【
図5】ラッチ式取り付け具として設計される取り付け具の例示的な実施形態の上面図を概略的に示す。
【
図6A】ラッチ式取り付け具として設計される背もたれ調節装置の取り付け具の例示的な実施形態を分解図で概略的に示す。
【
図6B】互いに取り付けられたときの
図6Aによる取り付け具を斜視図で概略的に示す。
【
図7】筐体内にある
図2による背もたれ調節装置の電気駆動装置の配置の例示的な実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
相互に対応する部分は、全ての図面において同じ符号で提供される。
【0021】
図1は、先行技術による車両座席3用の従来の手動作動可能背もたれ調節装置1’を有する部分
図1Aを概略的に示す。
図1は、本発明による背もたれ調節装置1”における電気駆動装置6の設置及び組み込みのためのシーケンス図を有する複数の部分
図1Bから1Eを更に含む。
【0022】
車両座席3は、座席構成要素として、座部3.1及び後者に枢動可能に配置可能な背もたれ3.2を含む。
図1では、座部3.1及び背もたれ3.2が張り物無しで示されており、そのためその構造的要素、特に、フレーム部RTが示されている。
【0023】
図1Bから1Eによる本発明による電動式背もたれ調節装置1”は、座部3.1に対して背もたれ3.2を自由に枢動させるために及び傾斜を調節するために両外側において回転式取り付け具2’として設計される2つの取り付け具を備える。2つの回転式取り付け具2’は、トランスミッションロッド5により互いに回転可能に結合される。代替的に、外側又は取り付け側の一方のみが回転式取り付け具2’を設けられてもよく、反対の取り付け側は回転軸受け7(
図2Aから2Eに示されている)として設計される。
【0024】
座部3.1に対する背もたれ3.2の傾斜の電動式調節のために、背もたれ調節装置1”は、背もたれ調節装置1”の取り付け側の一方の外側においてトランスミッションロッド5上に配置され且つ必要に応じてそれを駆動する電気駆動装置6を備える。
【0025】
図1Aは、先行技術による従来の手動作動可能背もたれ調節装置1’が取り付けられた車両座席3を示す。
【0026】
図1Bは、背もたれ3.2が取り付けられていないが、電動式背もたれ調節装置1”が取り付けられた座部3.1を示す。
【0027】
図1Cは、電動式背もたれ調節装置1”が既に取り付けられている座部3.1に取り付けられる背もたれ3.2を示す。
【0028】
電動式背もたれ調節装置1”は、車両座席3に、特に、
図1Cに示されるように、座部3.1に製造前設置装置Mとして取り付けられ得る。電動式背もたれ調節装置1”の設置装置Mは、背もたれ上に固定される管5.1の両側において、各取り付け上部B1及び取り付け下部B2を備え、その間に回転式取り付け具2’の一方がそれぞれ配置され、この回転式取り付け具はトランスミッションロッド5によって互いに結合される。ここで管5.1は、トランスミッションロッド5のためのケーシングとして機能する。取り付け側の一方において、電気駆動装置6は、関係している取り付け下部B2の外側においてトランスミッションロッド5上に配置される。
【0029】
電気駆動装置6は、少なくともトランスミッションロッド5を直接駆動する電気モータとして設計される。
【0030】
図1Dには、電動式背もたれ調節装置1”の完全に取り付けられた製造前設置装置Mが示されている。
【0031】
図1Eは、電動式背もたれ調節装置1”の製造前設置装置Mを備えた車両座席3を示しており、この設置装置は、取り付けられた背もたれ3.2と共に、座部3.1に取り付けられる。
【0032】
部分
図1B、1D及び1Eに示されるように、トランスミッションロッド5は、保持要素4、特にチャイルドシート用のホルダが設けられる管5.1により取り囲まれ得る。
【0033】
電動式背もたれ調節装置1”のこのような製造前設置装置Mによって、既に存在している車両座席3への組み込みが、単に背もたれ3.2を取り除いて、手動背もたれ調節装置1’を電動式背もたれ調節装置1”の設置装置Mと交換して、座部3.1に背もたれ3.2を再設置することにより可能である。
【0034】
図2は、片側で電気的に作動される背もたれ調節装置の代替的な例示の実施形態を示す。
図2は、車両座席3に代替的な電気駆動装置6を有する代替的な背もたれ調節装置1を組み込む又は設置するためのシーケンス図を示す部分
図2Aから2Eを含む。
【0035】
部分
図2Aは、背もたれ調節装置1を有する従来の車両座席3を示す。外側の1つにおいて、座部3.1及び背もたれ3.2の解放可能なロックのため及び座部3.1に対する背もたれ3.2の傾斜及び自由枢動の調節のために、背もたれ調節装置1は、ラッチ式取り付け具として設計される取り付け具2を備える。反対側において、電動式背もたれ調節装置1は、回転軸受け7を備える。回転軸受け7及び取り付け具2は、トランスミッションロッド5により互いに回転可能に結合される。車両座席3の両側において、各取り付け上部B1及び取り付け下部B2が取り付け側に配置される。
【0036】
背もたれ3.2の電気調節のために、電気駆動装置6は、回転軸受けを有する側において関係する取り付け下部B2上に配置可能、特に取り付け可能又は組み込み可能である。
図2Bによる電気駆動装置6’は、作動装置6.1、取り付け下部B2に配置され且つピニオン6.3を含む駆動シャフト6.2、取り付け下部B2に配置される筐体部6.4、特にカバー、モーター6.5、特に電気モーター、アクチュエータ6.6及びスイッチ要素6.7を備える。電気駆動装置6’は、部分
図2Eにおいて全ての構成要素を備えた組み合わせ状態で示される。
【0037】
取り付け具2、回転軸受け7及び関係する取り付け上部B1及び取り付け下部B2及びトランスミッションロッド5及びこれを取り囲む管5.1は、既に車両座席3に取り付けられており、それぞれ手動作動及び電動式背もたれ調節装置1’及び1用に共に用いられ得る同一部分である。
【0038】
背もたれ調節装置1への電気駆動装置6’の設置又は組み込みのために、以下のステップが行われる。
【0039】
図2Bは、取り付け下部B2の外側に固定され、回転軸受けを有する側、車両座席3の外側、回転軸受け7が配置される側にある、取り付け具2を作動させる、特にロック及び解除する作動装置6.1の設置を示す。ここで、作動装置6.1は、車両座席3の反対の外側に配置された取り付け具2が開放されるようにそれが作動されるとトランスミッションロッド5を回転するように設計される。
【0040】
続いて、
図2Cに示されるように、筐体部6.4、特に電気駆動装置6’用のカバーが、取り付け下部B2の内側に配置される。更に、ピニオン6.3を含む駆動シャフト6.2が、取り付け下部B2に取り付けられる。
【0041】
図2Dは、取り付け下部B2の外側における電気駆動装置6’の更なる構成要素の設置、即ち、モーター6.5、特に電気モーター、アクチュエータ6.6、特にサーボ駆動、スイッチ要素6.7、特にマイクロスイッチ又は位置指示器の設置を示す。
【0042】
図2Dは、電気駆動装置6’と共に、車両座席3に完全に取り付けられた電動式背もたれ調節装置1を示す。
【0043】
車両座席3に電気駆動装置6’の個別構成要素を設置する代わりに、電気駆動装置6’は、設置装置Mとして事前製造されて車両座席1に配置されてもよい。
【0044】
このために、例えば、最初に2つの取り付け上部B1及びこれらを接続するトランスミッションロッド5が互いに取り付けられる。続いて、取り付け側の一方にある取り付け具2が、関係する取り付け上部B1から突出するトランスミッションロッド5の一端に配置され、取り付けられ、特にラッチ式/スナップ接続によって固定される。後続のステップにおいて、取り付け下部B2が、取り付け具2又は回転軸受け7から突出するトランスミッションロッド5の端部に配置され且つ取り付けられる。更なるステップにおいて、作動装置6.1が、回転軸受けを有する取り付け側の外側において取り付け下部B2に配置され且つ取り付けられる。更に、ピニオン6.3を有する駆動シャフト6.2が、回転軸受けを有する側においてこの取り付け下部B2に取り付けられる。更なるステップにおいて、電気駆動装置6’が、回転軸受けを有する側である、関係する取り付け下部B2の外側において配置され且つ固定される。特に、モーター6.5、アクチュエータ6.6及びスイッチ要素6.7等の関係する構成要素がここに取り付けられ且つ固定される。
【0045】
図3は、回転軸受けを有する側において、車両座席3上の代替的な設置装置M’として取り付けられ又は組み込まれ得る電気駆動装置6’の例示的な実施形態を概略的に示す。
【0046】
このため、電気駆動装置6’は、背もたれ調節装置1の取り付け下部B2の外側に配置される内側筐体部6.4を少なくとも備える。電気駆動装置6’の構成要素を保護するために内側筐体部6.4上に配置可能な、外側筐体部、特にカバーは、より簡潔にするために図示されていない。
【0047】
作動装置6.1、ピニオン6.3を含む駆動シャフト6.2、モーター6.5、特に電気モーター、アクチュエータ6.6及びスイッチ要素6.7等の構成要素が筐体内に、従って内側筐体部6.4に配置される。
【0048】
インターロック式及び/又は非ポジティブ式でトランスミッションロッド5上に配置される作動装置6.1が、レバー要素6.1.1を含む。レバー要素6.1.1は、反対の取り付け具2がロックされる第1の位置S1と取り付け具2が開放される第2の位置S2との間で調節可能である。
【0049】
取り付け具2を開放するために、作動要素(詳細には図示せず)、例えばトランクコンパートメント又は車両ドアにおけるボタンが作動される。その結果として、アクチュエータ6.6は、制御装置(図示せず)を介して作動され、レバー要素6.1.1が第1の位置S1から第2の位置S2に移動されるようにR方向に延びて、取り付け具2は開放されて開放されたままになる。
【0050】
アクチュエータ6.6は、方向Rとは反対に移動して、後退位置に戻る。
【0051】
例えば、マイクロスイッチ又は位置指示器として設計されるスイッチ要素6.7は、レバー要素6.1.1の位置を参照して取り付け具2が開放されていることを決定して、それが作動され、従って駆動シャフト6.2が回転するようにモーター6.5に制御信号を出力する。
【0052】
図4は、回転軸受けを有する側において内側から背もたれ調節装置1の構成要素を示す。モーター6.5によって駆動される駆動シャフト6.2は、この駆動シャフト上に配置されるピニオン6.3を回転させ、次に、背もたれに固定されるストップ要素8を駆動し、従って、背もたれ3.2は開放された取り付け具2のため枢動される。
【0053】
ここで、ピニオン6.3は、ストップ要素8の外歯部に対応する外歯部を有する。ピニオン6.3及びストップ要素8は、歯車対を形成する。代替的に、このピニオン7及びストップ要素は、別の適切なギア接続を有してもよく、例えば、遊星歯車装置として設計されてもよい。
【0054】
ストップ要素8は、取り付け上部B1に固定的に接続され、例えば、溶接される。
【0055】
ストップ要素8は、共に回転するようにトランスミッションロッド5に結合され、従って、背もたれ3.2が取り付け具2がロックされ且つ背もたれ3.2の更なる枢動が停止される枢動位置に背もたれ3.2が到達するまで回転運動がトランスミッションロッド5に、そして反対の取り付け具2に伝達される。
【0056】
図5は、ラッチ式取り付け具として設計される取り付け具2の例示的な実施形態の上面図を概略的に示す。ここには従来のラッチ式取り付け具が含まれてもよい。
【0057】
図6A及び6Bは、これはそれぞれ分解図で及び組み立てられたときの斜視図で、ラッチ式取り付け具として設計される、取り付け具2の可能な実施形態を示す。
【0058】
取り付け具2は、特に歯付きリングとして設計される第1の取り付け部2.1、及び特に歯付きリングとして設計され且つ第1の取り付け部2.1に対して軸周りに回転可能な第2の取り付け部2.2を有する。更に、取り付け具は、軸周りに回転可能に取り付けられる作用可能偏心器(impingeable eccentric)、及び軸に対して半径方向にガイドセグメント2.2.1によって第2の取り付け部2.2により案内され且つ偏心器による影響を受け、半径方向に外に移動可能であり、取り付け具2を固定するために、第1の取り付け部の歯付きリングと半径方向に外側において歯部によって相互作用する、複数のロック部2.4を有する。
【0059】
第1の取り付け部2.1は、背もたれ3.2の構造に、特に取り付け上部B1に、例えば固定的に接続され、従って背もたれに固定される。第2の取り付け部2.2は、座部3.1の構造に、特に取り付け下部B2に固定的に接続され、従って座部に固定される。取り付け部2.1及び2.2の割り当ては入れ替えられてもよい。即ち、第1の取り付け部2.1が座部に対して固定されて、第2の取り付け部2.2が背もたれに対して固定される。
【0060】
軸方向に作用する力を吸収するために、及び取り付け部2.1、2.2を結合するために、留めリング2.3が設けられる。
【0061】
ドライバ2.5が、取り付け部2.1、2.2の間に、取り付け具2の中心に配置される。偏心器2.6が、共に回転するようにドライバ2.5上に配置され、又は目的を遂行するために少なくともそこに結合される。バネ配置2.7、特に螺旋バネが、取り付け部2.1、2.2の一方の、この場合、第2の取り付け部2.2の中央容器に配置される。この場合、バネ配置2.7は、共に回転するようにドライバ2.5の内側に据え付けることにより偏心器2.6に影響を与える。
【0062】
バネ配置2.7により影響を受ける偏心器は、半径方向に可動なロック部2.4に作用してそれらに影響を与える。その結果、それらは、歯付きリングに係合するために半径方向に外側に押圧されて、従って取り付け具2がロックされる。
【0063】
制御ディスク2.8が、構造空間においてロック部2.4と第1の取り付け部2.1との間で軸方向に配置され、共に回転するように偏心器2.6に据え付けられる。
【0064】
取り付け具2は、例えば、背もたれ3.2を座席の使用に適していない自由枢動位置に設定するために、環状自由枢動制御要素2.9、及びトランスミッション要素5を受け入れるための固定要素2.10を選択的に有する。
【0065】
ここで、取り付け具2の構成要素は、慣例的な寸法、例えば、50mmから80mmの特に寸法d1からd3、及び約8、特に10mmから約30mm、特に25mmの幅b1からb2(取り付け具2の深さ)を有する。
【0066】
図7は、筐体内に
図2による背もたれ調節装置1の電気駆動装置6’の配置の例示的な実施形態を概略的に示し、内側筐体部6.4が取り付け下部B2上に配置され、外側筐体部6.8が透明で示されている。電気駆動装置6’の構成要素は、この筐体部6.4及び6.8の間に配置され保護される。ここで、外側筐体部6.8は、回転軸受けを有する側において背もたれ調節装置1のための取り付けスクリーンとして機能するように設計され得る。
【符号の説明】
【0067】
1,1” 電動式背もたれ調節装置
1’ 手動式背もたれ調節装置
2 取り付け具
2’ 回転式取り付け具
2.1 第1の取り付け部
2.2 第2の取り付け部
2.2.1 ガイドセグメント
2.3 留めリング
2.4 ロック部
2.5 ドライバ
2.6 偏心器
2.7 バネ配置
2.8 制御ディスク
2.9 自由枢動制御要素
2.10 固定要素
3 車両座席
3.1 座部
3.2 背もたれ
4 保持要素
5 トランスミッションロッド
5.1 トランスミッション管
6,6’ 電気駆動装置
6.1 作動装置
6.1.1 レバー要素
6.2 駆動シャフト
6.3 ピニオン
6.4 筐体部(内側)
6.5 モーター
6.6 アクチュエータ
6.7 スイッチ要素
6.8 筐体部(外側)
7 回転軸受け
8 ストップ要素
B1 取り付け上部
B2 取り付け下部
b1、b2 幅
d1からd3 直径
M,M’ 設置装置
R 方向
RT フレーム部
S1 第1の位置
S2 第2の位置