(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
NMDA拮抗薬、抗菌薬、抗ヒスタミン薬、充血除去剤、抗炎症剤、抗寄生虫薬、縮瞳薬、交感神経作動薬、抗コリン薬、アドレナリン作動薬、抗ウイルス薬、局所麻酔剤、抗真菌剤、殺アメーバ薬、殺トリコモナス薬、鎮痛薬、散瞳薬、抗緑内障薬、炭酸脱水酵素阻害剤、眼科用診断薬、手術において助剤として使用される眼科用薬剤、キレート化剤、抗腫瘍薬、抗高血圧薬、筋弛緩剤、診断薬、アドレナリン作動性麻酔薬、β−遮断薬、α−2−アゴニスト、毛様麻痺薬、プロスタグランジンから成るグループから選択される治療薬を、更に、含む請求項1に記載の眼科用ビヒクル。
【背景技術】
【0002】
ハーダー腺は、瞬膜を有する脊椎動物(爬虫類、両生類、鳥類、哺乳類)で発生する眼窩内に見出される腺である。腺は、動物の異なるグループ間で変化する流体(粘膜、漿液または脂質)を分泌する。各種爬虫類、鳥類、及び、サメ並びにラクダやホッキョクグマなどの哺乳動物は、完全な瞬膜を有している。それは、多くの場合、第三の瞼と呼ばれている。多くの哺乳動物では、眼の隅に存在する瞬膜の小さな痕跡の名残がある。いくつかの動物では、それは、瞬膜の動きを引き起こす流体を分泌する涙腺への付属品として機能する。腺は、光防護器官の腺、免疫応答部位、体温調節性脂質の供給源、フェロモンの供給源、唾液の供給源、及び/または、浸透圧調節部位を含む、いくつか他の機能を有してもよい。
【0003】
ウサギのハーダー腺は、瞬膜(nictitating membrane)(ラテン語の“nictare”は、瞬くことである)に関連し、それは、眼の保護のために、また、視認性を維持しながら、目を湿らせるために、目を横断して張ることができる、いくつかの動物に存在する透明または半透明の第三の眼瞼である。ウサギ、齧歯類では、ハーダー腺は、涙腺の涙と混合して眼の表面付近の非極性脂質を分泌する。ウサギはヒトのように、「ドライアイ」に悩まされない。「ドライアイ」と「ドライアイ」に関連する疾患にヒトがより影響を受けやすいことは、ハーダー腺の保護流体の欠如であると考えられている。
【0004】
ヒトは、不十分な涙、または涙の中の不十分な潤滑性物質の結果として、角膜及び結膜の損傷が進展してしまう。これは、年齢と共に増加し、男性よりも女性に顕著な共通の問題である。様々な湿潤剤、及び「人工涙液」として公知の溶液は、「ドライアイ」を有する患者の組織を保護するのに部分的にのみ効果的である。涙膜の変質、不足、または欠如は、難治性角膜上皮乾燥、角膜の潰瘍、穿孔、感染症の発生率の上昇、及び最終的に、重度の視覚障害や失明につながる可能性がある。
【0005】
ドライアイは、涙の疾患及び眼表面の疾患であり、不快感の症状、視覚障害、及び眼表面に潜在的に損傷を与える状態である、目の保護が不十分な涙膜に起因する。角結膜炎は、角膜や結膜の炎症である。乾性角結膜炎(KCS)は、不十分な涙膜に基づく、両側の結膜及び角膜の慢性的な乾燥である。
【0006】
涙膜の機能不全を患っている個体は、乾性角結膜炎(KCS)、例えば、シェーグレン症候群、または単に「ドライアイ」と診断される。これらの涙腺異常は4つの一般的なカテゴリ:
1.自己免疫疾患、先天性無涙症、麻痺性分泌不全または排泄管閉塞などの涙腺障害に由来する、最も高頻度にドライアイの状態の原因となる涙液不足;
2.トラコーマ、熱傷及び化学熱傷、ビタミンA欠乏症に関連した状態に観察されるムチン欠乏症;
3.脂質異常;
4.瞼機能の低下;
に、細分化される(参照:US6107289)。
【0007】
蒸発による乾性角結膜炎は、涙の水性膜の表面に及ぼす不適切な油膜の結果である異常に急速な蒸発に起因する涙膜の損失により引き起こされる。症状は、涙膜の異常な油に起因する可能性がある。
【0008】
涙液減少性の乾性角結膜炎は、不十分な涙液量により引き起こされるが、一方、蒸発性の乾性角結膜炎(より一般的には)は、涙の質の不十分さに起因した涙の蒸発により引き起こされる。涙液減少性の乾性角結膜炎は、最も一般的には、閉経後の女性に単独の特発性の病態である。それは、また、一般的に、シェーグレン症候群の部分である。それは、トラコーマに起因する涙腺管を傷つける他の病態に対しては二次的なものである。これは、損傷または、機能不全の涙腺、HIV(びまん性浸潤リンパ球症候群)、局所放射線療法、または家族性自律神経失調症に起因する可能性がある。乾燥状態の症状の一部は、シェーグレン症候群として表現され、これは、既知の「乾燥症候群」でもあり、そして、免疫細胞が涙や唾液を生成する外分泌腺を攻撃し、破壊する全身性自己免疫疾患である。シェーグレンは、女性と男性の両方ですべての年齢層で発生するが、シェーグレンの患者の10分の9は女性であり、そして発症の平均年齢は、40代後半である。これは、米国で2番目に一般的な、自己免疫リウマチ性疾患である。自己免疫性リウマチ性疾患は、関節リウマチAを含む。
【0009】
ドライアイに罹患している患者は、かゆみ;ヒリヒリ;ザラザラ、引張り、または異物感;または羞明を報告している。鋭く刺すような痛み、目の疲れ及び疲労、並びに視力障害も発生することがあり得る。一部の患者は、重度の刺激後の涙があふれると指摘する。
【0010】
人工涙液は、ドライアイ、時には鼻涙開口部を遮断することに伴う不快感の症状を一時的に緩和するために使用される。理想的には人工涙または潤滑剤は、涙膜へ潤滑と水分を提供し、眼表面を保護する必要がある。
【0011】
目に薬剤を投与するのに有用な従来技術の組成物は、一般的に有効であるが、多くは、頻繁な投与を必要とするという欠点を有し、そして、多くの場合、迅速に、眼の自然プロセスにより洗い流される。KCSを管理する現在の規定の治療アプローチは、前側の眼の表面を潤滑にするための人工の涙代用品の頻繁な適用である。頻繁な人工涙液及び潤滑剤は、視覚のぼやけを引き起こし、眼表面及び眼表面上の涙膜の化学的性質を変化させる。
【0012】
眼の刺激に対して使用される低張性溶液は、眼表面を水であふれさせ、細胞に進入し、そして、低張性人工涙を生成させ、少量の水のみ眼表面に残し、溶液の適用以前よりも刺激となるかもしれない。グリセロールは、一般的な浸透圧剤、保湿剤及び眼科的潤滑剤である。それは、刺激を緩和するために、約1%の濃度で眼表面に適用される。ヒトの目にグリセロールを過剰に添加することは、眼の潤滑のための拡大した利点を提供することはできない。長期間の眼科用潤滑剤またはビヒクルが、涙膜を保護するために、眼表面に必要とされる。本発明は、ハーダー腺の分泌物中に存在する化合物で「ドライアイ」を治療する方法を開示する。
【発明の概要】
【0013】
ハーダー腺の分泌物中に存在する化合物を利用する新規組成物、及びハーダー腺の分泌物に存在する化合物の有効量を、眼科的に投与することを含み、それを必要とするヒトのドライアイを治療する方法が本明細書に開示される。
【0014】
特に、本発明は、ウサギのハーダー腺分泌物中に存在する化合物の有効量を眼科的に投与することを含むみ、それを必要とするヒトのドライアイを治療する方法に関する。
【0015】
概して、本発明は、ハーダー腺の分泌物に見出される化合物を含む医薬組成物、有効量の化合物、例えば、ハーダー腺の分泌物に見出される脂質化合物、該脂質化合物を特徴的な化学データ及び質量スペクトルで同定した通りの該脂質化合物、本質的に純粋な形態での該脂質化合物を含む医薬組成物、並びに、治療薬、及び、ハーダー腺の分泌物に存在する化合物、例えば、ウサギのハーダー腺の分泌物に見出される脂質化合物を含む眼科用ビヒクルの有効量を眼に投与することを含む、ヒトのドライアイを治療する方法を対象とする。
【0016】
従って、本発明は、ハーダー腺の分泌物中に見出されるか、または存在する脂質化合物の有効量を眼科的に投与することを含む、ヒトのドライアイを治療する方法を含む。
【0017】
本発明は、更に、ハーダー腺、例えば、ウサギのハーダー腺分泌物において同定された脂質化合物を含む医薬組成物を含む。
【0018】
本発明は、更に、本質的に純粋な形態でハーダー腺の分泌物に見出される、脂質化合物の特定の特徴的な化学データ及び質量スペクトルにより同定された化合物を含む。
【0019】
本発明は、更に、該ハーダー腺脂質化合物を含む眼科用ビヒクルを含む。
【0020】
本発明の更なる実施形態は、「ドライアイ」及び関連した眼疾患を患う患者を治療する方法に関し、該医薬組成物またはビヒクルで該患者の涙膜の安定性の向上をもたらす。
【0021】
本発明は、ハーダー腺の分泌物に関連する新規組成物、及び眼疾患または眼病を患っている患者の眼に治療成分を効果的に投与するための係る組成物の使用方法を開示する。
【0022】
本発明は、眼疾患または状態を予防または軽減するため、目の角膜に組成物を投与し、例えば、眼の角膜に組成物を接触させることを含む方法で使用することができる。
【0023】
本発明は、送達ビヒクルとして有効なハーダー腺の分泌物からの1つ若しくはそれ以上の脂質化合物を含み、「ドライアイ」症状を有するヒトの涙液と目の上で混合されたとき、涙膜を改善することにより、ヒトの目への薬物投与を向上させる。
【0024】
或いは、脂質化合物は、組成物をヒトに眼科的に投与した後、ヒトの眼の瞼の皮膚部分を濡らすために使用してもよい。例えば、本発明の組成物は、結膜粘膜組織、及び眼瞼の皮膚との間の接合部である瞼の一部を湿潤するのに有効であり得る。
【0025】
ヒトの涙の分泌物に比べてウサギのハーダー腺の涙分泌物からの全体として高分子量を有する脂質化合物は、例えば、角膜上及び眼内への治療成分の高い保持をもたらす。
【0026】
ハーダー腺の分泌物から得られた各々の脂質化合物は、該脂質化合物に存在する飽和または不飽和アルキルまたはアルケニル鎖の変化から生じる異なった分子量を有する。脂質化合物の複数のアルキル及びアルケニル鎖の化学的性質は、例えば、5〜30個の炭素原子を有する一つ若しくはそれ以上の構成成分の部分を含む。本発明の脂質組成物の成分である、同定した飽和及び不飽和化合物の平均分子量は、約500原子質量単位(amu)若しくはそれ以下であり得る。
【0027】
一つの非常に有用な実施形態において、脂質化合物は、第一の分子量を有する第一のエーテルエステル成分部分、及び第二の異なる分子量を有する第二のエーテルエステル成分を含む。好ましくは、脂質化合物は、異なる分子量を有する5個のエーテルエステル成分部分を含む。都合よく、各々のエーテルエステル成分部分は、例えば、脂質化合物を含まない実質的に同一の組成物に比較して患者の角膜に投与したとき、患者への治療成分の強化した送達を有する医薬組成物を提供するのに有効な量で存在し得る。
【0028】
任意の適切なハーダー腺脂質化合物は、本発明に従って使用することができる。係る脂質化合物は、本発明に従い患者の目に、及びそれ以外の様式で投与される場合、患者への治療成分の投与を容易にするために、眼科的に妥当な濃度で、眼科的に許容される組成物の他の成分との適合性があり、かつ効果的である必要がある。
【0029】
別の有用な実施形態において、本発明の脂質化合物は、任意の適切な治療成分のための送達ビヒクルとして使用することができる。
【0030】
都合よく、本発明のハーダー腺脂質化合物を含むビヒクル内の治療成分は、眼組織と適合可能で、及び眼科的に許容可能である。
【0031】
治療成分は、本発明の組成物が投与されるヒトまたは動物の眼、及び/または、他の身体の部分、及び/または、全身に亘って、望ましい治療効果を提供するように選択される。
【0032】
更に、脂質化合物は、眼科的に投与される治療薬のためのビヒクルを提供するため、眼の自然プロセスにより洗い流されるよりむしろ、角膜に実際に通過または浸透する。本発明の組成物は、ハーダー腺脂質化合物を有さない実質的に同一の組成物に対して、所定の治療効果を得るために、組成物中に治療成分の量を減少させてもよい。一般的に、本発明の組成物は、ハーダー腺分泌化合物を有さない実質的に同一の組成物に対して、治療成分の効率的な利用をもたらす。ビヒクルまたは担体成分は、眼科的に許容可能であり、そして、このような眼科的に許容可能であること、及び/または、それ以外の場合は、組成物、及び/または、組成物が投与される眼、及び/または、その眼組成物が投与される患者の眼に利益を提供することに有効である1つ若しくはそれ以上の脂質成分を含んでもよい。
【0033】
患者の目に、または患者の眼を通して患者に、治療成分を投与するのに有用であることに加えて、本発明の組成物は、眼科的に投与された場合に、眼に潤滑性を提供するために、治療成分が入っていないとき、例えば、人工涙液としてヒトまたは動物に眼科的に投与された場合でも有効であり得る。
【0034】
本発明の組成物を製造する方法は、治療成分を、眼科的に許容される担体成分とハーダー腺分泌物、及び/または、脂質化合物を眼科的に許容可能な担体成分、及び所望であれば、治療成分と組み合わせることを含む。
【0035】
本発明は、眼への治療薬剤の有効量を送達するために、眼科的に許容可能なビヒクル成分としてハーダー腺脂質化合物を含む。本発明は、ハーダー腺分泌化合物の治療量を含有する組成物の眼への局所適用による、乾性角結膜炎(KCS)、ドライアイ、またはシェーグレン症候群を管理するための新しいアプローチを提供することを特徴とする。
【0036】
軟膏、ゲル、クリーム、乳液等の他の形態も採用することができるが、本発明の組成物は、溶液であり得る。
【0037】
従って、いくつかの実施形態において、本発明は、ハーダー腺の分泌物で見出される化合物の有効量を眼科的に投与することを含み、それを必要とするヒトのドライアイを治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、化合物は脂質化合物である。いくつかの実施形態では、脂質化合物は、エーテルエステル化合物である。
【0038】
いくつかの実施形態において、化合物は、式:
【0040】
を有し、式中、
R
1は、無置換アルキルまたはアルケニルであり;
R
2は、無置換のアルキルであり;
L
1は、−L
2−C(O)−L
3−、または、−CH(−L
4−R
3)−L
3−であり;
L
2は、単結合であり、または無置換のアルキレンであり;
L
3及びL
4は、独立して、無置換のアルキレンであり;
R
3は、ヒドロキシル、または、−O−C(O)−R
4であり;及び
R
4は、無置換のアルキルである。
【0041】
いくつかの実施形態において、化合物は、式:
【0043】
を有する。
いくつかの実施形態において、化合物は、式:
【0045】
を有する。上記の構造に関して、いくつかの実施形態において、R
1は、無置換のC
6−C
30アルキルまたはアルケニルであり;R
2は、無置換の C
5−C
31アルキルであり;及び、R
4は、無置換のC
5−C
31アルキルである。いくつかの実施形態において、R
1は、無置換のC
14−C
22アルキルまたはアルケニルであり;R
2は、無置換のC
13−C
17アルキルであり;及びR
4は、無置換のC
13−C
19アルキルである。いくつかの実施形態において、R
2は、無置換のC
15アルキルである。
いくつかの実施形態において、化合物は、式:
【0047】
を有し、式中:x、y及びzは、独立して、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、または29であり;及び、wは、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28または30である。 いくつかの実施形態において、xは、11、13、または15であり;y及びzは、独立して、11、13、15または17であり;及び、wは、16、18または20である。
いくつかの実施形態において、化合物は:
【0050】
いくつかの実施形態において、化合物は、治療剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、治療剤は、NMDA拮抗薬、抗菌薬、抗ヒスタミン薬、充血緩和剤、抗炎症剤、駆虫薬、縮瞳薬、交感神経作動薬、抗コリン薬、アドレナリン作動薬(syrnpathomimetics)、抗ウイルス剤、局所麻酔剤、抗真菌剤、殺アメーバ薬(amoebicidal)、殺トリコモナス薬、鎮痛剤、散瞳薬、抗緑内障薬、炭酸脱水酵素阻害剤、眼科診断薬、手術で助剤として使用される眼科薬、キレート化剤、抗腫瘍薬、抗高血圧薬、筋弛緩薬、診断薬、アドレナリン作動性麻酔薬、β−遮断薬、α−2−アゴニスト、毛様体筋麻痺薬、プロスタグランジン(postaglandin)、その誘導体、及びその混合物から成るグループから選択される。
【0051】
いくつかの実施形態において、ハーダー腺はウサギハーダー腺である。いくつかの実施形態において、化合物は、局所的に投与される。
【0052】
いくつかの実施形態において、化合物は、質量スペクトル(横軸−質量対電荷比m/z;縦軸−相対強度)で特徴付けられ、
図1Aに示すように、ウサギのハーダー腺分泌物サンプルから検出された成分イオンを示す。いくつかの実施形態において、化合物は、
図2A、B、C、Dで示す通り、m/z=593、791、819、847で、ハーダー腺分泌化合物のHPLCの液体クロマトグラフィーカラム分離物から得られた質量クロマトグラム(横軸−時間(分);縦軸−選択イオンモニタリングのシグナル強度)を提供する。いくつかの実施形態において、化合物は、
図3で示す通り、ハーダー腺分泌物サンプルのHPLC/MS/MSから得られた、m/z=593、791、819、847における、第二の質量分析器からのTICシグナルを示すグラフ(横軸−時間(分);縦軸−シグナル強度)で特徴付けられる。いくつかの実施形態において、ハーダー腺脂質化合物は、
図4で示すHPLC/MS/MSの質量スぺクトルで特徴付けられるが、ここに、親イオン及び複数のフラグメントイオンは、m/z=593、377、338、319、238;m/z=791、551、535、317;m/z=819、579、563、535、479、317;及び、m/z=847、591、563、507、317、297を含むグループから選択されるフラグメントイオンを組み合わせた親イオンの断片化をもたらす。いくつかの実施形態において、化合物は、
図5で示す通り、C39H77O3、C51H99O5、C53H103O5、及びC55H107O5を含むグループに対応する分子式に対応する強シグナルを示す質量スペクトル、及び質量単位の官能基に出現する特定のm/zを有する親イオンを含む。いくつかの実施形態において、化合物は、
図5に示す構造の1つに対応する化学構造を有している。
【0053】
いくつかの実施形態において、本発明は、式:
【0055】
を有する化合物の有効量を眼科的に投与することを含み、それを必要とするヒトにトライアイを治療する方法を提供し、式中、R
1は、無置換のアルキルまたはアルケニルであり;R
2は、無置換のアルキルであり;L
1は、−L
2−C(O)−L
3−、または、−CH(−L
4−R
3)−L
3−であり;L
2は、単結合、または、無置換のアルキレンであり;L
3及びL
4は、独立して、無置換のアルキレンであり;R
3は、ヒドロキシル、または、−O−C(O)−R
4であり;及び R
4は、無置換のアルキルである。いくつかの実施形態において、化合物は、式:
【0057】
である。
いくつかの実施形態において、化合物は、式:
【0060】
いくつかの実施形態において、R
1は、無置換のC
6−C
30アルキルまたはアルケニルであり;R
2は、無置換のC
5−C
31アルキルであり;及びR
4は、無置換のC
5−C
31アルキルである。いくつかの実施形態において、R
1は、無置換のC
14−C
22アルキルまたはアルケニルであり;R
2は、無置換のC
13−C
17アルキルであり;及びR
4は、無置換のC
13−C
19アルキルである。いくつかの実施形態において、R
2は、無置換のC
15アルキルである。いくつかの実施形態において、化合物は、式:
【0062】
を有し、ここに、x、y及びzは、独立して、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27または29であり;及び、wは、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28または30である。いくつかの実施形態において、xは、11、13、または15であり;y及びzは、独立して、11、13、15または17であり;及び、wは、16、18または20である。いくつかの実施形態において、化合物は、以下のグループ:
【0065】
いくつかの実施形態において、本発明は、式:
【0067】
を有する化合物を含む医薬組成物を提供し、式中、R
1は、無置換のアルキルまたはアルケニルであり;R
2は、無置換のアルキルであり;L
1は、−L
2−C(O)−L
3−または−CH(−L
4−R
3)−L
3−であり;L
2は、単結合または無置換のアルキレンであり;L
3及びL
4は、独立して、無置換のアルキレンであり;R
3は、ヒドロキシルまたは、−O−C(O)−R
4であり;及び、R
4は、無置換のアルキルである。いくつかの実施形態において、化合物は、式:
【0069】
である。
いくつかの実施形態において、化合物は、式:
【0071】
である。
いくつかの実施形態において、R
1は、無置換のC
6−C
30アルキルまたはアルケニルであり;R
2は、無置換のC
5−C
31アルキルであり;及び、R
4は、無置換のC
5−C
31アルキルである。いくつかの実施形態において、R
1は、無置換のC
14−C
22アルキルまたはアルケニルであり;R
2は、無置換のC
13−C
17アルキルであり;及び、R
4は、無置換のC
13−C
19アルキルである。いくつかの実施形態において、R
2は、無置換のC
15アルキルである。いくつかの実施形態において、化合物は、式:
【0073】
であり、式中、x、y及びzは、独立して、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27または29であり;及び、wは、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28または30である。いくつかの実施形態において、xは、11、13、または15であり;y及びzは、独立して、11、13、15または17であり;及び、wは、16、18または20である。いくつかの実施形態において、化合物は:
【0075】
から成るグループから選択される。
いくつかの実施形態において、本発明は、治療剤と組み合わせてハーダー腺の分泌物から得られたハーダー腺脂質化合物の有効量を含み、それを必要とするヒトのドライアイを治療するための医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、治療成分から成るグループから選択される治療薬は、NMDA拮抗薬、抗菌薬、抗ヒスタミン薬、充血緩和剤、抗炎症剤、駆虫薬、縮瞳薬、交感神経作動薬(syrnpathomimetics)、抗コリン薬、アドレナリン作動薬、抗ウイルス剤、局所麻酔剤、抗真菌剤、殺アメーバ薬(amoebicidal)、殺トリコモナス薬、鎮痛剤、散瞳薬、抗緑内障薬、炭酸脱水酵素阻害剤、眼科診断薬、手術で助剤として使用される眼科薬、キレート化剤、抗腫瘍薬、抗高血圧薬、筋弛緩薬、診断薬、アドレナリン作動性麻酔薬、β−遮断薬、α−2−アゴニスト、毛様麻痺薬、プロスタグランジン、その誘導体、及びその混合物からなるグループから選択される物質を含む。
【0076】
いくつかの実施形態において、本発明は:
(a)ウサギのハーダー腺分泌物サンプルから検出された構成成分イオンを示す質量スペクトル(横軸−質量対電荷比m/z:縦軸−相対強度)(
図1A);
(b)
図2A、B、C、Dで示す通り、m/z=593、791、819、847におけるハーダー腺分泌化合物のHPLCの液体クロマトグラフィーカラム分離物から得られた質量クロマトグラム(横軸−時間(分):縦軸−選択イオンモニタリングシグナル強度);
(c)
図3で示す通り、ハーダー腺分泌物サンプルのHPLC/MS/MSで得られたm/z=593、791、819、847での第二のMS分析器からのTICシグナルを示すグラフ(横軸−時間(分);縦軸−シグナル強度);
(d)
図4で示す、HPLC/MS/MSの質量スペクトル、ここで、親イオン、及び複数のフラグメントイオンは、m/z=593、377、338、319、238;m/z=791、551、535、317;m/z=819、579、563、535、479、317;及び、m/z=847、591、563、507、317、297を含むグループから選択されるフラグメントイオンを組み合わせた親イオンの断片化をもたらす;
(e)質量スペクトル及び質量ユニットの機能に現れる特定m/zを有する親イオンは、
図5で示す通り、C39H77O3、C51H99O5、C53H103O5、及びC55H107O5を含むグループに対応する分子式に対応する強シグナルを示すことになる;
(f)
図5で示す少なくとも1つの構造に対応する化学構造;
の特性を有する脂質化合物からその本質的に純粋な形態を提供する。
【0077】
いくつかの実施形態において、本発明は、式:
【0079】
を有するその本質的に純粋な形態での脂質化合物を提供し、式中、
R
1は、無置換のアルキル、または、アルケニルであり;
R
2は、無置換のアルキルであり;
L
1は、−L
2−C(O)−L
3−、または、−CH(−L
4−R
3)−L
3−であり;
L
2は、単結合、または、無置換のアルキレンであり;
L
3及びL
4は、独立して、無置換のアルキレンであり;
R
3は、ヒドロキシル、または、−O−C(O)−R
4であり;及び
R
4は、無置換のアルキルである。
いくつかの実施形態において、脂質化合物は、式:
【0081】
を有する。
いくつかの実施形態において、脂質化合物は、式:
【0083】
を有する。
いくつかの実施形態において、R
1は、無置換のC
6−C
30アルキルまたはアルケニルであり;R
2は、無置換のC
5−C
31アルキルであり;及び、R
4は、無置換のC
5−C
31アルキルである。いくつかの実施形態において、R
1は、無置換のC
14−C
22アルキルまたはアルケニルであり;R
2は、無置換のC
13−C
17アルキルであり;及び、R
4は、無置換のC
13−C
19アルキルである。
いくつかの実施形態において、R
2は、無置換のC
15アルキルである。いくつかの実施形態において、脂質化合物は、式:
【0085】
を有し、式中、x、y及びzは、独立して、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、または29であり;及び、wは、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、または30である。いくつかの実施形態において、xは、11、13、または15であり;y及びzは、独立して、11、13、15、または17であり;及び、wは、16、18または20である。いくつかの実施形態において、脂質化合物の式は:
【0088】
いくつかの実施形態において、本発明は、ハーダー腺脂質化合物を含む眼科用ビヒクルを提供する。いくつかの実施形態において、ハーダー腺脂質化合物は、エーテルエステル化合物である。いくつかの実施形態において、エーテルエステル化合物は、ジエーテルエステル化合物である。いくつかの実施形態において、ハーダー腺脂質化合物は、式:
【0090】
を有し、式中、R
1は、無置換のアルキルまたはアルケニルであり;R
2は、無置換のアルキルであり;L
1は、−L
2−C(O)−L
3−または、−CH(−L
4−R
3)−L
3−であり;L
2は、単結合、または、無置換のアルキレンであり;L
3及びL
4は、独立して、無置換のアルキレンであり;R
3は、ヒドロキシル または、−O−C(O)−R
4であり;及び、R
4は、無置換のアルキルである。いくつかの実施形態において、ハーダー腺脂質化合物は、式:
【0092】
を有する。
いくつかの実施形態において、ハーダー腺脂質化合物は、式:
【0094】
を有する。
いくつかの実施形態において、R
1は、無置換のC
6−C
30アルキルまたはアルケニルであり;R
2は、無置換のC
5−C
31アルキルであり;及び、R
4は、無置換のC
5−C
31アルキルである。いくつかの実施形態において、R
1は、無置換のC
14−C
22アルキルまたはアルケニルであり;R
2は、無置換のC
13−C
17アルキルであり;及び、R
4は、無置換のC
13−C
19アルキルである。いくつかの実施形態において、R
2は、無置換のC
15アルキルである。いくつかの実施形態において、化合物は、更に:
【0096】
を含み、
を含み、式中、x、y及びzは、独立して、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27または29であり;及び、wは、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、または、30である。いくつかの実施形態において、xは、11、13、または15であり;y及びzは、独立して、11、13、15、または17であり;及び、wは、16、18、または20である。
いくつかの実施形態において、化合物は、式:
【0099】
いくつかの実施形態において、ハーダー腺化合物及び治療剤の組み合わせは、ハーダー腺脂質化合物なしの同一の組成物に対して、ドライアイの症状を緩和するために目に投与されるとき、より効果的である。
【0100】
いくつかの実施形態において、それを必要とするヒトにドライアイを治療するための方法は、そのような改善を必要とするヒトにドライアイを改善するための脂質組成物の有効量を眼科的に投与することを含み、それにより、少なくとも1つの追加の利益を眼に提供する。
【発明を実施するための形態】
【0102】
定義
「アルキル」は、一価の直鎖、分枝鎖または環状の、飽和脂肪族炭化水素基を指す。好ましくは、アルキル基は、1〜40個の炭素原子を有する直鎖基である。より好ましくは、5〜31個の炭素原子を有するアルキル基であり、最も好ましくは、13〜17個の炭素原子を有するアルキル基である。一般的なアルキル基は、ペンチル、ヘキシル、トリデカニル、テトラデカニル、ノナデカニル、ドコサニル、トリアコンタニル、ヘントリアコンタニルなどを含む。好ましくは、この用語は、式C
nH
2n+1で表される非環状の炭素または飽和非環状炭素鎖を意味し、ここに、nは、1〜31の整数である。
【0103】
「アルケニル」は、一価で、直鎖、分岐鎖または環状鎖の、一つ若しくはそれ以上、好ましくは、1つの二重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素基を指す。好ましくは、アルケニル基は、2〜40個の炭素原子を有する。より好ましくは、それは、6〜30個の炭素原子、最も好ましくは14〜22個の炭素原子を有するアルケニル基である。一般的なアルケニル基は、ヘキセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ノナデセニル、ドコセニル、トリアコンテニル、ヘントリアコンテニルなどを含む。好ましくは、この用語は、炭素−炭素二重結合を含み、式C
nH
2n−1で表される非環状の炭素鎖を意味し、ここに、nは、2〜40の整数である。
【0104】
「アルキレン」は、二価で、直鎖状、分岐鎖、又は環状の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。好ましくは、アルキレン基は、1〜12個の炭素原子を有する。この用語は、化学式CnH2n−2で表される非環式炭素鎖、または飽和非環状の炭素鎖を意味し、ここに、nは1〜12の整数である。より好ましくは、それは、1〜7個の炭素原子を有し、最も好ましくは1〜4個の炭素原子を有する低級アルキレン、例えば、メチレンである。
【0105】
本明細書で使用される、用語「脂質」は、クロロホルム、エーテル、またはベンゼンなどの非極性溶媒により抽出可能な、細胞に見出される存在している水に不溶性の有機物質を指す。脂質は、一般的に、(1)膜の構造成分として;(2)代謝燃料の細胞内貯蔵物として;(3)代謝燃料の輸送形態として;及び(4)多くの生物の細胞壁の保護成分としての4つの一般的な機能を提供する。天然脂質のいくつかの例としては、長鎖脂肪酸、脂肪酸エステル、アシルグリセロール、ホスホグリセリド、ステロイド、ワックス、テルペン、及び脂溶性ビタミンがある。
【0106】
本明細書で使用される、用語「質量対電荷比」は、質量分析計で検出されたフラグメントの質量と同じ検出フラグメントの電荷の比を意味する。質量対電荷比は、m/zと略される。
【0107】
本明細書で使用する用語MSは、「質量分析(mass spectrometry)」を指し、そして、当業者が、言葉を理解し得る、単語「スペクトロメトリー(spectrometry」に関連する変更もまた適切である。
【0108】
本明細書で使用する用語MWは、「分子量」を指し、当業者が理解し得る他の単位である、質量分析に使用される原子質量単位の関連する変更も適切である。
【0109】
本明細書で使用する用語化学式は、化学的に必ずしも正確な異性体ではない結合の空間的配置に関する情報も含むが、一方、用語分子式は、化合物中の各元素の原子数を指す。
【0110】
本明細書で使用する用語「分析技術」は、特定の物質の特性を決定する(deterring)ための方法を指す。好ましい分析技術は、例えば、質量分析などのイオン化源を有するものが挙げられる。当業者は、他の分析技術も本発明において使用することができることを理解するであろう。
【0111】
液体クロマトグラフィーは、一般に、混合物中の化合物を物理的に分離する手段として使用され、そして、混合物の個々の成分の精製、定量、及び識別のために使用される。約40MPaの高圧高速クロマトグラフィー(HPLC)は、直径約2〜5umの粒子の固定相、高密度に充填した1〜2mmの分離カラム、固定相を通して移動相及び化合物を移動させるポンプ、及び溶出化合物に特徴的な保持時間を提供する検出器を使用する。検出器は、また、紫外−可視スペクトル、蛍光検出、または質量分析計からのデータなどの各化合物の特徴的データを提供する。混合物中の化合物の保持時間は、固定相との相互作用の強さに依存する。
【0112】
順相HPLCは、固定面への吸着に基づき、及び極性により、化合物を分離する方法を指し、ほとんどの非極性化合物は、最初に溶出し、最も極性の高い化合物は、最後に溶出する。非極性、非水性の移動相は、非極性溶媒中の化合物を分離することに機能するが、順相の固定相は極性である。移動相中において、より極性の高い溶媒、または、移動相中の水、メタノール、及びアセトニトリルの混和可能な組み合わせなどの溶媒混合物のグラジエント溶液によって、より疎水性の高い溶媒の使用で保持時間が長くなる化合物の滞留時間は短くなる。
【0113】
液体クロマトグラフィーカラムからの溶出液は、その後、検出することができ、分離された成分を質量分析にかけることもできる。分析は、直接エレクトロスプレーするために、LCカラムから溶出する液体を供給することによるオンラインで、または画分を回収した後にエレクトロスプレー質量分析装置で分析することによるオフラインで実施できる。
【0114】
エレクトロスプレーは、分子をイオン化するための穏やかな技術であり、(準)分子イオンをもたらす。エレクトロスプレーイオン化(ESI)は、イオンを生成するために質量分析において使用される技術である。それは高分子からイオンを生成するのに特に有用である。何故ならばイオン化したときに、フラグメントに対してこれらの分子の性質を克服しているからである。
【0115】
ESI質量分析により観察されたイオンは,プロトン(水素イオン)の添加により[M+H]
+と表示され、他のカチオンのナトリウムイオンなどの添加により[M+Na]
+と表示され、または、プロトンの脱離により[M−H]
−と表示される準分子イオンであってもよい。[M+nH]
n+などの多価イオンもしばしば観察され、ここにnは、整数である。マクロ分子については、多くの電荷状態で存在することができ、特徴的な電荷状態の外殻をもたらす。これらはすべて、偶数の電子イオン種であり;電子は、いくつかの他のイオン源とは異なり、(単独では)追加または除去されない。分析物は、ときには、質量スペクトルの対応するピークのシフトをもたらす電気化学的プロセスに関与している。
【0116】
本明細書で使用する用語「全イオンクロマトグラムまたはTIC」は、グラフ(横軸−時間(分);縦軸−イオンシグナル強度)を指し、質量分析計の検出器によりサンプルに対して得られた全イオンシグナルまたはフルスキャンを示す。本明細書で使用する用語「スキャニング、または、シングルイオンモニタリング」分光計は、質量フィルタの出力ポートに渡す選択された質量対電荷比m/zのイオンを指す。選択されたスキャニング、または単一イオンモニタリングは、特定m/zのイオン、または.m/z範囲のイオンを選択し、ソースにより生成された複数のイオンを形成するために使用してもよく、そして、指定されたm/z範囲内の特定のイオンを探すために、または選択またはシングルイオンモニタリング(SIM)と呼ばれるもので、単一のイオンのm/zを選択するために使用される。一般的には、イオン検出器は、イオンを収集し、コンピュータディスプレイ、一般的に、特定されたシグナルを示すグラフ(横軸−時間(分);縦軸−シグナル強度)など、イオン強度を測定するシグナルに変換する。当業者は、他の分析技術が本発明において使用できることを認識するであろう。
【0117】
本明細書で使用する用語「高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析」は、当該分野で公知であり、そして、混合化合物から化合物を分離するために使用される高速液体クロマトグラフィーシステムからサンプルを得ることを含み、質量分析計の入口に液体サンプルを送達する質量分析技術を指す。サンプルは、質量分析計において、イオン化され、第一イオン化プロセスの特定フラグメントを、その後のイオン化プロセスに適用するために、質量分析において2段階でカップリングする。タンデム質量分析法は、最初の分別工程として、イオンの分離を使用することにより機能する。第二の質量分析計に入る前に、最初のMS分析器からのイオン画分は、第二のMS分析器に、断片化を誘導するために、一般的に、中性衝突ガスを通過することにより断片化される。これらのフラグメントイオンは、元の親イオンのサブセットとして存在する。これらのサブセットイオンのm/zスペクトル分析は、他のイオンの画分からの干渉なしに、断片化パターンを決定するために使用される。デバイス処理システムは、コンピュータ制御の指示の下で動作可能に質量分析計に接続される。当業者は、他の分析技術が本発明において使用することができることを理解するであろう。
ハーダー腺脂質化合物は:
【0119】
として表すことができ、式中、
R
1は、無置換のアルキルまたはアルケニルであり;
R
2は、無置換のアルキルであり;
L
1は、−L
2−C(O)−L
3−、または、−CH(−L
4−R
3)−L
3−であり;
L
2は、単結合、または、無置換のアルキレンであり;
L
3及びL
4 は、独立して、無置換のアルキレンであり;
R
3は、ヒドロキシル、または、−O−C(O)−R
4であり;及び
R
4は、無置換のアルキルである。
【0122】
で表される基本化学構造に関連し、式中、R
1は、無置換のC
6−C
30アルキルまたはアルケニルであり;R
2は、無置換のC
5−C
31アルキルであり;及び、R
4は、無置換のC
5−C
31アルキルである。或いは、R
1は、無置換のC
14−C
22アルキルまたはアルケニルであり;R
2は、無置換のC
13−C
17アルキル;及び、R
4は、無置換のC
13−C
19アルキルである。より好ましくは、R
2は、無置換のC
15アルキルである。
式IVの好ましい化合物は:
【0124】
であり、ここでアルキルユニットは、以下の通りである:
x、y及びzは、独立して、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27または29であり;及び、wは、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28または30であり;
或いは、xは、11、13または15であり;y及びzは、独立して、11、13、15または17であり、;及び、wは、16、18または20である。
【0125】
本明細書で使用するこれらの化合物は:
【0128】
上記化合物は、例えば、ハーダー腺分泌物からの脂質成分の溶媒抽出後、所望であれば、該溶媒抽出脂質成分を含む個々の化合物をクロマトグラフィー分離によってハーダー腺分泌物から単離、または当該分野で公知の方法により合成され得る。
【0129】
ハーダー腺脂質化合物は、眼科的に許容可能なビヒクルまたは担体と組み合わせて、ドライアイの治療を必要とする患者に投与することができる。担体成分に含まれているかもしれない他の成分は、緩衝成分、等張化成分、防腐剤成分、pH調整剤、1つ若しくはそれ以上の電解質などの一般的に人工涙液中に見出される成分、及びその混合物を含むが、それらに限定されない。1つの非常に有用な実施形態において、担体成分は、少なくとも一つの下記の成分;有効量の緩衝成分;有効量の張度成分;有効量の保存剤成分;及び水を含む。
【0130】
これらの追加の成分は、好ましくは、眼科的に許容可能であり、眼科用組成物、例えば、ドライアイ症候群に罹患した目を治療するために使用される組成物の人工涙液処方など従来使用されている材料から選択できる。
【0131】
本発明の組成物中のこれらの追加成分について、許容可能で有効な濃度は、当業者には容易に分かるであろう。
【0132】
該化合物は、単独で、または緩衝液、例えば、リン酸塩緩衝生理食塩水、または不活性な担体化合物、グリセロ−ル、鉱物油、または目の眼球表面の類似物質を含む薬学的に許容可能な物質との組み合わせで投与することができる。
【0133】
上記の脂質化合物の投与量は、処方に応じて最適化され、並びに、送達の方法及び投与形態は、従来の手順により決定され、ヒトの「ドライアイ」症状を効果的に治療する。
【0134】
該ハーダー腺脂質化合物は、治療薬剤の局所投与のためのビヒクルとして使用することができる。特に、該ハーダー腺脂質化合物を含むビヒクルは、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗がん剤、抗緑内障剤、抗炎症剤、鎮痛剤、免疫調節剤、高分子、またはその混合物を含む、望ましい治療薬、または治療薬の組み合わせを送達するために使用される。
【0135】
本発明の方法において使用される治療剤は、NMDA拮抗薬、抗ヒスタミン薬、駆虫薬、縮瞳薬、交感神経作動薬、抗コリン薬、局所麻酔薬、殺アメーバ薬(amoebicidal)、殺トリコモナス薬、散瞳薬、炭酸脱水酵素阻害剤、眼科診断薬、手術で助剤として使用される眼科用薬、キレート化剤、抗腫瘍薬、診断薬、アドレナリン作動性麻酔薬、β−遮断薬、α−2−アゴニスト、毛様体筋麻痺薬、プロスタグランジン、ACE阻害剤、内因性サイトカイン、基底膜に影響を及ぼす薬剤、内皮細胞の成長に影響を与える薬剤、アドレナリン作動薬または遮断薬、コリン作動薬または遮断薬、アルドース還元酵素阻害剤、鎮痛薬、麻酔薬、抗アレルギー薬、抗炎症薬、抗高血圧薬、昇圧薬、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原虫薬、抗感染剤、抗腫瘍剤、代謝拮抗剤、抗血管形成剤、チロシンキナーゼ阻害剤、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、及びバンコマイシンなどのアミノグリコシドなどの抗生物質;クロラムフェニコールなどのアンフェニコール;セファゾリン塩酸塩などのセファロスポリン;アンピシリン、ペニシリン、カルベニシリン、オキサシリン(oxycillin)、メチシリンなどのペニシリン;リンコマイシンなどのリンコサミド;ポリミキシン及びバシトラシンなどのポリペプチドの抗生物質;テトラサイクリンなどのテトラサイクリン類;シプロフロキサシンなどのキノロン;クロラミンTなどのスルホンアミド;及び、親水性の物質としてスルファニル酸などのスルホン;抗ウイルス薬、例えば、アシクロビル、ガンシクロビル、ビダラビン、アジドチミジン、ジデオキシイノシン、ジデオキシシトシン、デキサメタゾン、シプロフラキシン;アシクロビル,ガンシクロビル,ビダラビン、アジドチミジン、ジデオキシイノシン、ジデオキシシトシンなどの水溶性抗生物質;エピネフリン;イソフルロフェート(isoflurphate);アドリアマイシン;ブレオマイシン;マイトマイシン;ARA−C(ara−C);アクチノマイシンD;スコポラミンなど;コデイン、モルヒネ、ケトロラク、ナプロキセンなどの鎮痛剤、麻酔薬、例えば、リドカイン;β−アドレナリン遮断薬、または、β−アドレナリンアゴニスト、例えば、エフェドリン、エピネフリンなど;アルドース還元酵素阻害剤、例えば、エパルレスタット、ポナルレスタット(Ponalrestat)、ソルビニル、トルレスタット;抗アレルギー薬、例えば、クロモリン、ベクロメタゾン、デキサメタゾン、及びフルニソリド;コルヒチン;抗アメーバ薬、例えば、クロロキン及びクロルテトラサイクリン;及び抗真菌剤、例えば、アンホテリシンなど;アネコルタブ酢酸塩などの抗血管新生化合物;ブリモニジン、アセタゾラミド(acetozolamide)、ビマトプロスト、チモロール、メベフノロール(mebefunolol)などの抗緑内障薬;メマンチン;α−2アドレナリン受容体アゴニスト;2ME2;ビンブラスチン、ビンクリスチン、インターフェロンα、β、及びγなどの抗腫瘍薬;葉酸類似体、プリン類似体、ピリミジン類似体などの−代謝拮抗物質;アザチオプリン(azathiprine)、シクロスポリン及びミゾリビンなどの免疫抑制剤;カルバコールなどの縮瞳薬;アトロピンなどの散瞳薬;アプロチニン、カモスタット、ガベキサートなどのプロテアーゼ阻害剤;ブラジキニンなどの血管拡張薬;及び,上皮増殖因子、塩基性線維芽細胞成長因子、神経成長因子などのその誘導体及びその混合物を含めた種々の増殖因子を含むが、それに限定されない。
【0136】
これら及び他の態様、目的及び実施形態は、添付する特定の実施例及び図面により明らかになるであろう。
【実施例】
【0137】
実施例1
ハーダー腺脂質涙分泌物は、生きたウサギから回収され、抽出物は、ウサギのハーダー腺から作られる。コントロールである涙分泌物は、正常なヒト被験者から収集し、ドライアイを患っているヒト被検者の対照とした。これらのサンプルは、ESI−CI/MS/MSにより分析し、
図1Aでハーダー腺サンプルとして、及び、
図1Bでヒト涙サンプルとして表される。
図1A及び
図1Bの質量スペクトルを比較すると、m/z=593のハーダー腺化合物、及び複数の関連化合物は、ヒトスペクトルサンプルでは見出されなかった。
【0138】
脂質は最初にウサギのハーダー腺分泌物から順相HPLCの分離により分離した後、
図2に示すような分離した脂質を、化学イオン化を用いた質量分析(HPLC/ESI−CI/MS/MS)により、直ちに分析した。このプロセスにより、同定された4つの化合物は、ウサギに固有のものであり、そして、ハーダー腺に由来するものと考えられる。そのスペクトルパターンは、更に、MS/MS技術により、
図3〜4で示すように単離される。分離された脂質の質量断片化パターンは、それらが互いに、m/z=593の化学構造に構造的に関連することを示した。
【0139】
m/z=593での化合物の場合には、理論的構造に基づく標準構造を合成し、標準構造の断片化パターンは、ベースとした単離された脂質の理論構造を確認した。
【0140】
準分子イオンは、[M+H]
+と示されるプロトン(水素イオン)の添加、または、[M−H]
−と示される、プロトンの脱離を伴うESI/API−CI/MS/MS法を用いて推測される。[M+nH]
n+などの複数電荷イオンも、しばしば、観察される。これは、質量スペクトルの対応するピークのシフトをもたらす。従って、ウサギのハーダー腺分泌物からのイオンは、水素イオンを含む原子質量単位の範囲内の分子量を有することができる。
図2〜4に示すように、この変数の描写は、分析スキャンの際に検討された。
【0141】
ウサギのハーダー腺分泌物の質量分析は、HPLC/MS/MSの質量スペクトルにより特徴付けられ、ここに、親イオン及び複数のフラグメントイオン、準分子イオン、分子量、及び分子式は、以下の通り:
【0142】
【化30】
【0143】
m/z=791、551、535、317;
MW[M+H]
+=791;
分子式=C51H99O5;
保持時間:22.2分;
【0144】
【化31】
【0145】
m/z=819、579、563、535、479、317;
MW[M+H]
+=891;
分子式=C53H103O5;
HPLCMS保持時間=23.8分;
【0146】
【化32】
【0147】
m/z=847、591、563、507、317、297;
MW[M+H]
+=847;
分子式=C55H107O5;
HPLCMS保持時間=25.4分;
【0148】
【化33】
【0149】
m/z=593、377、338、319、238;
MW[M+H]
+=593;
分子式=C39H77O3;
HPLC保持時間=6.9、16.7、22.2、23.8分;
【0150】
【化34】
【0151】
MW=611;
分子式=C39H79O4;
加水分解生成物のMW=593;
に同定された。
上記の脂質化合物の質量スペクトルは、また、不飽和官能基の、加水分解、脱加水分解、及び/または、転位で現れることがあり得る。例えば、R1がC20アルキル基であり、R2がC13アルキル基である、例えば、m/z=611の不安定なハーダー腺化合物は、化学的にイオン化されたものとして代用的に示されるか、または、MW=593などのその脱水形態であってもよい。また、m/z=593の化合物は、4つのHPLC保持時間を有し、及び、ハーダー腺化合物と共溶出するような代替官能基を有するいくつかの化学構造的に関連した形態を有していた。
【0152】
実施例2
HPLC/MS/MSで同定した、m/z=593の化合物を含むウサギからのハーダー腺分泌物、または涙は、ヒトの「ドライアイ」を治療するのに有効な量で眼科的に投与された。定量化したm/z=593の化合物量は、
図1Bで表されるヒト涙サンプル中の脂質を定量した量と比較可能である。化合物の有効量は、通常の方法で指定され、そして、緩衝溶液、例えば、リン酸塩緩衝生理食塩水、または不活性な担体化合物、グリセロール、鉱物油、または目の眼球表面の類似物質を含む薬学的に許容可能な物質と組み合わせて目の眼球表面に投与された。m/z=593の化合物を含むウサギのハーダー腺分泌物の投与量は、処方に応じて最適化され、そして、送達の方法及び投与形態は、従来の手順により決定され、そして、効果的にヒトの「ドライアイ」症状を治療した。
【0153】
m/z=593の化合物を有するHPLC/MS/MSで同定された化合物を含むウサギからのハーダー腺分泌物または涙を含有する第二の医薬組成物は、ヒトの「ドライアイ」を治療するのに有効な量で眼科的に投与された。
図1Aで同定されて定量した化合物の量は、
図1Bで表される定量したヒト涙サンプル中の脂質の量と比較可能である。化合物の有効量は、通常の方法で指定され、そして、緩衝液、例えば、リン酸塩緩衝生理食塩水、または不活性な担体化合物、グリセロール、鉱物油、または目の眼球表面の類似物質を含む、薬学的に許容可能な物質と組み合わせて目の眼球表面に投与された。m/z=593の化合物を有する同定された化合物を含むウサギハーダー腺分泌物の用量は、処方に応じて最適化され、そして、送達の方法及び投与形態は、従来の手順により決定され、効果的にヒトの「ドライアイ」症状を治療した。
【0154】
同定された代表的なハーダー腺脂質化合物の効果を試験した結果は、すべて、程度は様々であるが、ヒトの「ドライアイ」状態を治療するのに有効であることを示した。
【0155】
実施例3
ハーダー腺の分泌物に関連する新規組成物は、理論構造に基づき合成され、そして、標準構造の断片化パターンは、それが基礎となる単離された脂質m/z=593の理論構造を確認した。
【0156】
投与された合成化合物の有効量は、通常の方法で指定され、緩衝溶液、例えば、リン酸塩緩衝生理食塩水、または不活性な担体化合物、グリセロール、鉱物油、または目の眼球表面に類似の物質を含む、薬学的に許容可能な物質と組み合わせて目の眼球表面に投与された。合成化合物を含むウサギのハーダー腺分泌物の用量、並びに送達の方法及び投与の様式は、従来の手順により決定され、ヒトの「ドライアイ」症状を効果的に治療した。
【0157】
ハーダー腺分泌物に関連する第二の組成物は、実施例1の複数の脂質化合物を含めて合成した。複数の脂質の有効量は、通常の方法で指定され、そして、緩衝溶液、例えば、リン酸塩緩衝生理食塩水、または不活性な担体化合物、グリセロール、鉱物油、または目の眼球表面に類似の物質を含む薬学的に許容可能な物質と組み合わせて目の眼球表面に投与された。該第二の組成物の投与量は、処方及び送達方法に応じて最適化され、そして、投与様式は、従来の手順により決定され、ヒトの「ドライアイ」症状を効果的に治療した。
【0158】
合成した代表的なハーダー腺化合物の効果を試験した結果は、様々な程度があるが、すべて、ヒトの「ドライアイ」状態を治療するのに有効であることを示した。
【0159】
実施例4
本発明は、更に、1つ若しくはそれ以上の該ハーダー腺脂質化合物を含む眼科用ビヒクルを含有する。ビヒクルは、ハーダー腺分泌物、または、合成されたもののいずれかから、m/z=593を含む化合物、m/z=791、819、847に関連する化合物(
図1A)の定量化された量を含み、そして、ヒトの「ドライアイ」症状を治療するために、
図1Bで表されるヒト涙サンプル中の脂質の定量化された量と比較可能である。
【0160】
ビヒクルとして投与する該ハーダー腺脂質化合物の有効量は、日常的方法により、特定化され、そして、緩衝液、例えば、リン酸塩緩衝生理食塩水、または不活性な担体化合物、グリセロール、鉱物油、または類似の物質を含む、眼科用ビヒクルに使用される薬学的に許容可能な物質と組み合わせることができる。該ハーダー腺脂質化合物の投与量は、処方に応じて最適化され、そして、送達方法及び投与様式は、ヒトの「ドライアイ」症状を効果的に治療するために従来の手順により決定された。
【0161】
該ハーダー腺脂質化合物を含有するビヒクルは、例えば、点眼用として「人工涙液」を提供するために局所的に投与される。
【0162】
該ハーダー腺脂質化合物を含むビヒクルは、「ドライアイ」及び関連する眼疾患を患う患者を治療する方法に使用され、眼疾患の該治療を必要とする患者の涙液膜の安定性を向上させた。
【0163】
該ハーダー腺脂質化合物は、治療薬剤の局所投与のためのビヒクルとして使用することができる。特に、該ハーダー腺脂質化合物を含むビヒクルは、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗がん剤、抗緑内障剤、抗炎症剤、鎮痛剤、免疫調節剤、高分子、またはその混合物を含む、望ましい治療剤、またはその治療剤の組み合わせを送達するために使用される。
【0164】
本発明の方法において使用される治療剤は、NMDA拮抗薬、抗ヒスタミン薬、抗寄生虫薬、縮瞳薬、交感神経作動薬、抗コリン薬、局所麻酔薬、殺アメーバ薬(amoebicidal)、殺トリコモナス薬、散瞳薬、炭酸脱水酵素阻害剤、眼科診断薬、手術で助剤として使用される眼科薬、キレート化剤、抗腫瘍薬、診断薬、アドレナリン作動性麻酔薬、β−遮断薬、α−2−アゴニスト、毛様麻痺薬、プロスタグランジン、ACE阻害剤、内因性サイトカイン、基底膜に影響を及ぼす薬剤、内皮細胞の成長に影響を与える薬剤、アドレナリン作動薬または遮断薬、コリン作動薬または遮断薬、アルドース還元酵素阻害剤、鎮痛薬、麻酔薬、抗アレルギー薬、抗炎症薬、抗高血圧薬、昇圧薬、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原虫薬、抗感染薬、抗腫瘍剤、代謝拮抗剤、抗血管形成剤、チロシンキナーゼ阻害剤、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、及びバンコマイシンなどのアミノグリコシドなどの抗生物質;;クロラムフェニコールなどアンフェニコール;セファゾリン塩酸塩などのセファロスポリン;アンピシリン、ペニシリン、カルベニシリン、オキサシリン(oxycillin)、メチシリンなどのペニシリン;リンコマイシンなどのリンコサミド;ポリミキシン及びバシトラシンなどのポリペプチドの抗生物質;テトラサイクリンなどのテトラサイクリン類;シプロフロキサシンなどのキノロン;クロラミンTなどのスルホンアミド;及び、親水性の物質としてスルファニル酸などのスルホン;抗ウイルス薬、例えば、アシクロビル、ガンシクロビル、ビダラビン、アジドチミジン、ジデオキシイノシン、ジデオキシシトシン、デキサメタゾン、シプロフラキシン;アシクロビル,ガンシクロビル,ビダラビン、アジドチミジン、ジデオキシイノシン、ジデオキシシトシンなどの水溶性抗生物質;エピネフリン;イソフルロフェート(isoflurphate);アドリアマイシン;ブレオマイシン;マイトマイシン;ARA−C(ara−C);アクチノマイシンD;スコポラミン;コデイン、モルヒネ、ケトロラク、ナプロキセンなどの鎮痛剤;麻酔薬、例えば、リドカイン;β−アドレナリン遮断薬、または、β−アドレナリンアゴニスト、例えば、エフェドリン、エピネフリンなど;アルドース還元酵素阻害剤、例えば、エパルレスタット、ポナルレスタット(Ponalrestat)、ソルビニル、トルレスタット;抗アレルギー薬、例えば、クロモリン、ベクロメタゾン、デキサメタゾン、及びフルニソリド;コルヒチン;抗アメーバ薬、例えば、クロロキン及びクロルテトラサイクリン;及び抗真菌剤、例えば、アンホテリシンなど;アネコルタブ酢酸塩などの抗血管新生化合物;ブリモニジン、アセタゾラミド(acetozolamide)、ビマトプロスト、チモロール、メベフノロール(mebefunolol)などの抗緑内障薬;メマンチン;α−2アドレナリン受容体アゴニスト;2ME2;ビンブラスチン、ビンクリスチン、インターフェロンα、β、及びγなどの抗腫瘍薬;葉酸類似体、プリン類似体、ピリミジン類似体などの、代謝拮抗物質;アザチオプリン(azathiprine)、シクロスポリン及びミゾリビンなどの免疫抑制剤;カルバコールなどの縮瞳薬;アトロピンなどの散瞳薬;アプロチニン、カモスタット、ガベキサートなどのプロテアーゼ阻害剤;ブラジキニンなどの血管拡張薬;及び,上皮増殖因子、塩基性線維芽細胞成長因子、神経成長因子などのその誘導体及びその混合物を含めた種々の増殖因子を含むが、それに限定されない。
【0165】
本発明は、単に本発明の特定の態様の実例として意図して示される実施形態により、範囲を限定されるものではない。本発明を有効に使用することができる方法を説明する目的のために、本発明に基づくハーダー腺分泌物から得られた化合物を用いてドライアイを治療する具体的な方法が本明細書に記載されているが、本発明がそれに限定されないことを理解されるであろう。例えば、本発明の方法及び組成物は、上記の通り、ハーダー腺の分泌物に見出される化合物は、治療剤のためのビヒクルとして利用されている場合は、特に、他の眼病及び眼疾患を治療するために使用されてもよい。従って、当業者に発生し得る任意の、及び、全ての変更並びに修正が添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲及び趣旨にあると考えられるべきである。