特許第6248212号(P6248212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248212
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】ОNOスタックの形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/11575 20170101AFI20171204BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20171204BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20171204BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20171204BHJP
   H01L 27/11536 20170101ALI20171204BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20171204BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20171204BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   H01L27/11575
   H01L29/78 371
   H01L27/11536
   H01L27/088 A
   H01L21/316 M
【請求項の数】16
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-568437(P2016-568437)
(86)(22)【出願日】2015年11月24日
(65)【公表番号】特表2017-523595(P2017-523595A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】US2015062490
(87)【国際公開番号】WO2016144397
(87)【国際公開日】20160915
【審査請求日】2017年1月25日
(31)【優先権主張番号】62/130,106
(32)【優先日】2015年3月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/745,217
(32)【優先日】2015年6月19日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507364997
【氏名又は名称】サイプレス セミコンダクター コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】100203264
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 未久
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナスワミー ラムクマー
【審査官】 小山 満
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0041881(US,A1)
【文献】 特開2005−129711(JP,A)
【文献】 特開2004−260173(JP,A)
【文献】 特表2008−504679(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0210209(US,A1)
【文献】 米国特許第06946349(US,B1)
【文献】 米国特許第08993457(US,B1)
【文献】 米国特許第06828201(US,B1)
【文献】 特開2002−324860(JP,A)
【文献】 特表2007−506265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/115−27/11597
H01L 21/316
H01L 21/336
H01L 21/8234
H01L 27/088
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハ上に誘電体スタックを形成するステップであって、前記誘電体スタックは、ウェハ上のトンネル誘電体層と、電荷トラップ層と、該電荷トラップ層を覆うキャップ層とを含む、誘電体スタックの形成ステップと、
前記ウェハの第2の領域における前記誘電体スタックを同時に除去しつつ、前記ウェハの第1の領域に不揮発性メモリ(NVM)トランジスタの不揮発性(NV)ゲートスタックを形成するために前記誘電体スタックをパターニングするステップと、
前記NVゲートスタックの前記キャップ層の少なくとも第1の部分を同時に酸化して、ブロッキング酸化物層を形成し、且つ前記第2の領域における少なくとも1つの金属−酸化物−半導体(MOS)トランジスタのゲート酸化物層を形成するために、2段階のゲートの酸化プロセスを実行するステップと、を含み、
前記ゲート酸化プロセスの第1の酸化工程は、高速熱酸化(RTO)プロセスを含み、前記ゲート酸化プロセスの第2酸化工程は、ウェット・インサンチュ蒸気生成(ISSG)プロセスを含み、
前記少なくとも1つのMOSトランジスタの前記ゲート酸化物層は、前記2段階のゲート酸化プロセスの第1の酸化工程と第2の酸化工程の2つの工程で形成され、
前記ブロッキング酸化物層は、前記第2の酸化工程で形成される、方法。
【請求項2】
前記2段階のゲート酸化プロセスを実行するステップの後に、前記NVゲートスタックの前記ブロッキング酸化物層の厚さと、前記少なくとも1つのMOSトランジスタの前記ゲート酸化物層との間の厚さの比は、おおよそ、1:2.33〜1:6.67の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ゲート酸化プロセスの前記第2の酸化工程は、前記第1の酸化工程の後、直ぐに実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ゲート酸化プロセスの前記第1の酸化工程中、前記NVゲートスタックの前記キャップ層の前記少なくとも第1の部分は、化学量論的及び化学的の両方で実質的に変化しないままである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ゲート酸化プロセスの前記第1の酸化工程の後、前記少なくとも1つのMOSトランジスタの前記ゲート酸化物層は、第1の厚さに成長し、
前記ゲート酸化プロセスの前記第2の酸化工程中、前記ゲート酸化物層は、第2の厚さまで成長し続け、前記第2の厚さは前記第1の厚さよりも大きい、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1及び第2の酸化工程の少なくとも1つは、シングルウェハ処理チャンバ又はバッチウェハ処理チャンバ内で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ゲート酸化プロセスの前記第1及び第2の酸化工程の完了後、前記NVMトランジスタの前記ブロッキング酸化物層はおおよそ30Å〜45Åの範囲内の厚さに達し、一方で、前記少なくとも1つのMOSトランジスタの前記ゲート酸化物層は、おおよそ105Å〜200Åの範囲内の前記第2の厚さに達する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記誘電体スタックは、前記キャップ層の頂部に堆積される犠牲酸化物層をさらに備え、
前記キャップ層は、窒化物又は酸窒化物層を含み、前記第1の部分と第2の部分とに分けられ、
前記第2の部分は、前記第1の部分の上に堆積され、
前記NVゲートスタックの前記ブロッキング酸化物層は、前記キャップ層の少なくとも前記第1の部分を消費することで形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記2段階のゲート酸化プロセスを実行するステップの前に、本方法は、
前記ウェハの表面上に残存する酸化物を同時に除去して、前記第2の領域の前記ウェハの前記表面を露出させながら、前記NVゲートスタックの前記キャップ層の前記犠牲酸化物層及び少なくとも前記第2の部分を除去するために、ゲート酸化物(GOX)前洗浄プロセスを実行するステップをさらに含み、
前記キャップ層の前記第2の部分は、前記キャップ層の前記第2の部分の除去を容易にするために、前記第1の部分に対して酸素リッチな組成を含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記ウェハ上に誘電体スタックを形成するステップの前に、本方法は、
前記NVMトランジスタのチャネルを形成するために、前記ウェハの前記第1の領域に、インジウムをおおよそ5×1011−2〜1×1013cm−2の範囲内のドーズ量で注入するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ゲート酸化プロセスの前記第1及び第2の酸化工程は、ISSG処理チャンバ内で両方とも実行され、且つおおよそ800℃〜1100℃の範囲内の温度に曝され、
前記第1の酸化工程中には、酸素のみが前記ISSG処理チャンバへ導入され、
前記第2の酸化工程中には、酸素と水素の両方が、前記ISSG処理チャンバへ導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1及び第2の酸化工程の両方はISSGプロセスであり、
前記2段階のゲート酸化プロセスを実行するステップにおける、前記第1の酸化工程の実行と前記第2の酸化工程の実行との間に、本方法は、
前記第1の酸化工程中に前記NVゲートスタックの前記キャップ層の前記第1の部分の一部を酸化することで形成された第1のブロッキング酸化物層のみを露出させるために開口部をパターニングするステップと、
前記NVゲートスタックにおける前記第1のブロッキング酸化物層を除去するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ウェハを、複数の第1の領域と複数の第2の領域とに分けるステップと、
前記ウェハに誘電体スタックを形成するステップであって、前記誘電体スタックは、前記ウェハ上の底部の酸化物層と、多層の電荷トラップ膜と、該多層の電荷トラップ膜を覆う底部及び頂部の窒化物キャップ層と、頂部の犠牲酸化物層とを含む、誘電体スタックの形成ステップと、
各前記第2の領域における前記誘電体スタックを同時に除去しつつ、各前記第1の領域にシリコン-酸化物-窒化物-酸化物-シリコン(SONOS)トランジスタの不揮発性(NV)ゲートスタックを形成するために前記誘電体スタックをパターニングするステップと、
ドライRTOプロセス及びウェットラジカルISSGプロセスを含む2段階のゲート酸化プロセスを実行するステップと、
を含む方法であって、
前記ドライRTOプロセスは、各前記第2の領域に、少なくとも1つの金属−酸化物−半導体(MOS)トランジスタの第1のゲート酸化物層を形成し、
前記ウェットラジカルISSGプロセスは、少なくとも前記底部の窒化物のキャップ層を同時に酸化して、各前記第1の領域における前記NVゲートスタックのための頂部の酸化物層を形成するために、前記ドライRTOプロセスの後に直ぐに実行され、且つ各前記第2の領域における前記少なくとも1つの金属−酸化物−半導体(MOS)トランジスタの前記第1のゲート酸化物層上に酸化物層を形成し続け、該酸化物層の厚さを増やす、方法。
【請求項14】
前記2段階のゲート酸化プロセスを実行するステップの後に、前記NVゲートスタックの頂部の酸化物層と前記少なくとも1つのMOSトランジスタの前記第1のゲート酸化物層との間の厚さの比は、おおよそ、1:2.33〜1:6.67の範囲内である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
集積相補型金属-酸化物-半導体(CMOS)プロセスフローにおいてSONOSトランジスタのブロッキング酸化物層の厚さを制御するための方法であって、該方法は、
ウェハを、第1の領域と第2の領域とに分けるステップと、
前記第1の領域に少なくとも1つのSONOSトランジスタを形成するステップであって、各SONOSトランジスタは第1の実用厚さを有する前記ブロッキング酸化物層を含む、SONOSトランジスタの形成ステップと、
前記第2の領域に少なくとも1つのMOSトランジスタを形成するステップであって、該少なくとも1つのMOSトランジスタは、高電圧(HV)MOSトランジスタを含み、該HVMOSトランジスタは、第2の実用厚さを有するゲート酸化物層を含む、MOSトランジスタの形成ステップと、を含み、
前記少なくとも1つのSONOSトランジスタ及び前記少なくとも1つのMOSトランジスタは、同時に形成され、
前記SONOSトランジスタのそれぞれの前記ブロッキング酸化物層及び前記HVMOSトランジスタの前記ゲート酸化物層は、2段階の酸化プロセスにて同時に形成され、該酸化プロセスは、
前記HVMOSトランジスタの前記ゲート酸化物層を第1の厚さに成長させるためのドライRTOプロセスと、
前記少なくとも1つのSONOSトランジスタの前記ブロッキング酸化物層の厚さが前記第1の実用厚さに近い厚さになるまでブロッキング酸化物層同時に形成し、且つ前記HVMOSトランジスタの前記ゲート酸化物層の上に酸化物層を第2の厚さまで成長させ続けるためのウェットラジカルISSGプロセスと、を含み、
前記第2の厚さは、前記第1の厚さよりも大きく、前記HVMOSトランジスタの前記第2の実用厚さに達する、方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのSONOSトランジスタの前記ブロッキング酸化物層の前記第1の実用厚さは、おおよそ30Å〜45Åの範囲内であり、その一方で、前記HVMOSトランジスタの前記ゲート酸化物層の前記第2の実用厚さは、おおよそ105Å〜200Åの範囲内であり、前記ブロッキング酸化物層の前記第1の実用厚さと前記ゲート酸化物層の前記第2の実用厚さとの間の比は、おおよそ1:2.33〜1:6.67の範囲内である、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年6月19日に出願された米国特許出願第14/745,217号の国際出願であり、35 U.S.C. 119(e)の下、2015年3月9日付け出願の米国仮特許出願第62/130,106号の優先権を主張するものであり、これらは全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概して、半導体デバイスに関するものであり、より詳細には、既存の相補型金属酸化物半導体(CMOS)のファウンドリ・ロジック技術への酸化物−窒化物−酸化物(ONO)スタックのような、埋め込み型又は一体形成型の電荷トラップゲートスタックを含むメモリセル及びその製造方法に関するものである。
【0003】
システムオンチップのような多くの用途にとっては、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)及び不揮発性メモリ(NVM)トランジスタに基づく論理デバイス及びインターフェース回路を、単一のチップ又はウェハに集積するのが望ましい。この集積化は、MOSトランジスタ及びNVMトランジスタの製造プロセスの両方に深刻な影響を及ぼす可能性がある。MOSトランジスタは、典型的には、標準的又は基本的な相補型金属酸化物半導体(CMOS)プロセスフローを用いて製造され、CMOSプロセスフローは、導電性材料、半導体材料及び誘電体材料の形成及びパターニングを伴う。これらの材料の組成のほかに、このようなCMOSプロセスフローに用いられる処理試薬の組成や濃度及び温度も、得られるMOSトランジスタが適切に機能することを保証するために、は、工程ごとに厳密に制御される。
【0004】
不揮発性メモリ(NVM)デバイスは、シリコン−酸化物−窒化物−酸化物−シリコン(SONOS)ベースのトランジスタのような不揮発性メモリトランジスタを含み、これらのトランジスタは電荷トラップゲートスタックを含み、電荷トラップゲートスタックに格納又はトラップされる電荷は、情報を論理1又は0として格納するためにNVMトランジスタの閾値電圧を変化させる。電荷トラップゲートスタックの形成は、2つの誘電体層又は酸化物層の間に挟まれる窒化物又は酸窒化物の電荷トラップ層の形成を伴い、電荷トラップ層は、典型的には、基本的なCMOSプロセスフローのそれらとはかなり異なる材料及びプロセスを用いて製造され、MOSトランジスタの製造に悪影響を及ぼしたり、その製造により影響を受けたりする可能性がある。特に、MOSトランジスタのゲート酸化物又は誘電体層を形成することは、電荷トラップ層の厚さ又は組成を変えることによって、先に形成された電荷トラップゲートスタックの性能を、かなり低下させてしまうことがある。加えて、この集積化は、基本的なCMOSプロセスフローに深刻な影響を与えることがあり、また、一般的には、かなりの数のマスクセット及びプロセス工程を必要とし、これによって、デバイス製造の費用が追加され、実用デバイスの歩留まりを低下させる可能性がある。
【0005】
さらに、集積製造プロセスにとっては、特にMOSトランジスタが高電圧入力/出力(HV I/O)トランジスタである場合に、MOSトランジスタのゲート酸化物層の厚さ要件を満足しながら、閾値電圧Vts及び/又は等価酸化物層厚(EOT)の要件といったような、諸要件に、NVMトランジスタの頂部酸化物層の厚さを制御できるようにすることが不可欠である。
【0006】
本開示は、一例として示され、添付図面の図に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】埋め込み型SONOSベースのNVMトランジスタ及びMOSトランジスタを含むメモリセルを製造するための方法の実施形態を示すフローチャートである。
図2図2A〜2Nは、図1の方法に係るメモリセルの製造中のメモリセルの一部の断面をそれぞれ示すブロック図であり、図2Oは、図1及び図2A〜2Nの方法に従って製造される埋め込み型SONOSベースのNVMトランジスタ及びMOSトランジスタベースを含む完成メモリセルの一部の断面を示す代表図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、本発明の幾つかの実施形態の良好な理解を提供するために、特定のシステム、構成要素、方法等の例のような、多くの特定の詳細を述べる。しかしながら、当業者には、少なくとも幾つかの実施形態がこれらの特定の詳細なしで実施可能であることは明らかであろう。他の例では、本明細書で説明する技術を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知の構成要素又は方法は詳細に記載しないか、又は、単純な図形式で提示する。従って、以下で説明する具体的な説明は、単なる例示である。特定の実施形態は、これらの例示的な詳細とは異なるも、依然として、本発明の精神及び範囲内にあると考えられる。
【0009】
埋め込み型の不揮発性メモリ(NVM)トランジスタ及び金属酸化物半導体(MOS)トランジスタを含むメモリセル及びその製造方法の実施形態を、図を参照して本明細書で説明する。しかしながら、特定の実施形態は、これらの特定の詳細のうち1つ以上がなくても実施することができ、又は、他の公知の方法、材料及び装置と組み合わせて実施することもできる。以下の記載では、本発明の完全な理解を提供するために、例えば特定の材料、寸法、濃度及びプロセスパラメータ等といった、多くの特定の詳細が説明される。他の例では、周知の半導体設計及び製造技術は、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるため、特に詳細には記載しない。本明細書で云う、「実施形態」、「一実施形態」、「例示的な実施形態」、「ある実施形態」及び「多様な実施形態」とは、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。さらに、本明細書中の様々な箇所に出現する用語「一実施形態」、「例示的な実施形態」、「ある実施形態」及び「多様な実施形態」とは、必ずしも全てが、本発明の同じ実施形態を指すとは限られない。
【0010】
以下の説明は、詳細な説明の一部を成す添付の図面についての説明を含む。図面は、例示的な実施形態に係る図を示す。本明細書で「例」とも称するこれらの実施形態は、当業者が本明細書に記載の主題の実施形態を実施することができるように十分詳細に説明される。実施形態は組み合わせてもよく、他の実施形態を用いてもよく、又は、構造的、論理的及び電気的な変形を、主張する主題の範囲及び精神を逸脱することなく成してもよい。本明細書に記載される実施形態は、主題の範囲を限定するという意図はなく、当業者が主題を実施、作成及び/又は利用できるようにする意図であることを理解されたい。
【0011】
本明細書で使用されるような用語「上方」、「下方」、「間」及び「上」は、他の層に対する1つの層の相対位置に関するものである。例として、別の層の上方に又は別の層の下方に堆積又は配置される1つの層は、他の層に直接接触してもよいし、又は、一以上の介在層を有してもよい。さらに、層の間に堆積又は配置される1つの層は、層と直接接触してもよいし、1つ以上の介在層を有してもよい。対照的に、第2の層「上」の第1の層は、その第2の層と接触する。加えて、他の層に対する1つの層の相対位置は、ウェハの絶対的な向きを考慮することなく、出発基板に対して膜を堆積し、修正し、且つ除去する工程を想定して提供される。
【0012】
NVMトランジスタは、シリコン−酸化物−窒化物−酸化物−シリコン(SONOS)又はフローティングゲート技術に関連して実装される、メモリトランジスタ又はデバイスを含むことができる。1つ以上のMOSトランジスタを製造するために標準的又は基本的ベースラインCMOSプロセスフローへNVMトランジスタを集積又は埋め込むための方法の実施形態を、図1及び図2A〜2Nを参照して詳細に説明する。図1は、メモリセルを製造するための方法又はプロセスフローの一実施形態を示すフローチャートである。図2A〜2Nは、図1の方法に係るメモリセルの製造中のメモリセルの一部の断面を示すブロック図である。図2Oは、完成したメモリセルの一実施形態の一部の断面を示す代表図である。
【0013】
図1及び図2Aを参照すると、プロセスは、基板又はウェハ204内に多くの分離構造202を形成することから始まる(ステップ102)。分離構造202は、ウェハ204の隣接領域に形成されるメモリセル(図示せず)から、形成されるメモリセルを分離する。場合によってはさらに、分離構造202を組み込むことにより、ウェハ204の第1の領域206内に形成されるNVMトランジスタを、第2の領域208に形成される1つ以上のMOSトランジスタから、分離させることができる。一実施形態では、分離構造202は、酸化物又は窒化物のような誘電体材料を含んでいてもよく、限定はされないが浅溝分離(STI)又は局所酸化シリコン(LOCOS)を含む任意の従来の技術で形成してもよい。ウェハ204は、半導体デバイスの製造に適した任意の単結晶材料から構成されるバルクウェハであってもよく、又は、ウェハ上に形成される適切な材料の上部エピタキシャル層を含むことができる。一実施形態では、ウェハ204のための適切な材料は、限定はされないが、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム又はIII−V族化合物半導体材料を含む。
【0014】
一般的に及び任意的に、図2Bに最も良く示されているように、パッド酸化物層209が、ウェハ204の第1の領域206及び第2の領域208の両方の表面216上に形成される。一実施形態では、パッド酸化物層209は、約10ナノメートル(nm)〜約20nmの厚さを有する二酸化シリコン(SiO)とすることができ、これは、熱酸化プロセス又はISSG(in−situ steam generation)プロセスによって成長させてもよい。
【0015】
次に、図1及び図2Bを参照すると、NVMトランジスタ及び/又はMOSトランジスタが中に形成されるウェル、及びMOSトランジスタのチャネルを形成するために、ドーパントがパッド酸化物層209を通してウェハ204へ注入される(ステップ104)。注入されるドーパントは任意の種類及び濃度であってよく、任意のエネルギーで注入してもよく、任意のエネルギーは、NVMトランジスタ及び/又はMOSトランジスタのウェル又はディープウェルを形成するために及びMOSトランジスタのチャネルを形成するために必要なエネルギーを含む。例示として図2Bに示す特定の実施形態では、MOS入力/出力(I/O)トランジスタのような高電圧(HV)MOSトランジスタ214が上又は内部に形成される、第2の領域208内に、ディープNウェル210を形成するために、適切なイオン種のドーパントが注入される。代替実施形態では、ウェル又はディープウェルは、NVMトランジスタ、及び/又は、MOSトランジスタ212のような標準的なMOSトランジスタ又は低電圧(LV)MOSトランジスタのために、形成することができる。さらに、ウェルは、ウェハ204の表面216上方にフォトレジスト層のようなマスク層を堆積して、パターニングし、且つ、適切なエネルギーで適切なイオン種を適切な濃度で注入することによって、形成されることを理解されたい。
【0016】
一実施形態では、1つ以上のMOSトランジスタ214,212のチャネル218が、ウェハ204の第2の領域208に形成される。ウェル注入と同様に、チャネル218は、ウェハ204の表面216上方にフォトレジスト層のようなマスク層を堆積して、パターニングし、且つ、適切なイオン種を適切なエネルギーにて適切な濃度で注入することによって、形成される。例えば、BFを、約10〜約100キロエレクトロンボルト(keV)のエネルギーで、且つ約1×1012cm−2〜約1×1014cm−2のドーズ量で注入して、N型MOS(NMOS)トランジスタを形成することができる。P型MOS(PMOS)トランジスタも同様に、ヒ素又はリンイオンを任意の適切なドーズ量及びエネルギーで注入することで形成することができる。注入プロセスは、MOSトランジスタ214,212の両方のチャネル218を同時に、又は、MOSトランジスタのチャネルの1つをマスクするパターニングされたフォトレジスト層を含む標準的なリソグラフィ技術を用いて別々の時間に形成するために使用され得ることを理解されたい。
【0017】
次に、図1及び図2Cを参照すると、パターニングされたトンネルマスク220が、パッド酸化物層209上に形成され又はパッド酸化物層209を覆い、適切なエネルギー及び濃度の(矢印222で示す)イオンが、NVMトランジスタ226のチャネル224を形成するためにトンネルマスクにおける窓又は開口部を経て注入され、そして、少なくとも第2の領域208におけるトンネルマスク及びパッド酸化物層は除去される(ステップ106)。トンネルマスクは、フォトレジスト層、又は、パターニングされた窒化物又はシリコン窒化物層から形成されるハードマスクを含むことができる。
【0018】
一実施形態では、NVMトランジスタ226のチャネル224は、nチャネルNVMトランジスタを形成するために、インジウム(In)を、約50〜約500キロエレクトロンボルト(keV)のエネルギーで、且つ約5×1011−2〜約1×1013cm−2のドーズ量で注入された深いインジウムドープチャネルである。一実施形態では、NVMトランジスタ226のチャネル224を形成するためにインジウムを注入することは、NVMトランジスタの閾値電圧(V)の均一性を、約150ミリボルト(mV)からのVのシグマから、約70〜80mVに改善する。場合によっては追加的に、浅いドープチャネルが、チャネル24にヒ素を、約20keVのエネルギーで、且つ約5×1011−2〜約1×1013cm−2のドーズ量で注入して形成される。代替的に、BFが、nチャネルNVMトランジスタを形成するために注入されてもよく、又は、ヒ素又はリンがpチャネルNVMトランジスタを形成するために注入されてもよい。一代替実施形態では、NVMトランジスタ226のチャネルは、MOSトランジスタ214,212のチャネル218と同時に形成してもよい。
【0019】
フォトレジストトンネルマスク220は、酸素プラズマを用いて灰化又は剥離することができる。ハードマスクは、ウェット又はドライエッチングプロセスを用いて除去することができる。パッド酸化物層209は、例えば、界面活性剤を含有する10:1の緩衝酸化物エッチング(BOE)を用いるウェット洗浄プロセスで除去される。代替的に、ウェット洗浄プロセスは、20:1のBOEウェットエッチング、50:1のフッ化水素酸(HF)ウェットエッチング、パッドエッチング、又は他の任意の同様のフッ化水素酸系のウェットエッチング化学薬品を用いて、行うことができる。
【0020】
図1及び図2D〜2Fを参照すると、ウェハ204の表面216は洗浄又は前洗浄され、酸化物−窒化物−酸化物(ONO)層又は酸化物−窒化物−酸化物−窒化物−酸化物(ONONO)層のような多くの誘電体層が形成又は堆積され、マスクがこれらの誘電体層上に形成され又はマスクがこれらの誘電体層を覆い、誘電体層はエッチングされて、第1の領域206に誘電体ゲートスタック236を形成する(ステップS108)。前洗浄はウェット又はドライプロセスとすることができ、本実施形態では、前洗浄は、HF又は標準的な洗浄(SC1)及び(SC2)を用いるウェットプロセスであり、これは、ウェハ204の材料に対して選択性が高い。一実施形態では、SC1は、典型的には、約10分間、30〜80℃で、水酸化アンモニウム(NHOH)、過酸化水素水(H)及び水(HO)の1:1:5の水溶液を用いて実行される。別の実施形態では、SC2は、約30〜80℃で、HCl、H及びHOの1:1:10の水溶液に短時間浸すことで実行される。
【0021】
図2Dを参照すると、誘電体(ONO又はONONO)の堆積は、ウェハ204の第1の領域206におけるNVMトランジスタ226の少なくともチャネル224の上にトンネル誘電体層228を形成することで開始し、トンネル誘電体層228は、MOSトランジスタがあるウェハ204の第2の領域208にまで広げることができる。トンネル誘電体層228は、任意の材料であってよく、その厚さは、NVMトランジスタがバイアスされていないとき、リークに対して適切な障壁を維持しつつ、印加ゲートバイアス電圧下で、上にある電荷トラップ層内に電荷キャリアがトンネリングするのに適した任意の厚さとすることができる。特定の実施形態では、トンネル誘電体層228は、二酸化シリコン、シリコン酸窒化物又はそれらの組み合わせであり、これらは、ISSG又はラジカル酸化を用いる熱酸化プロセスにより、成長させることができる。
【0022】
一実施形態では、二酸化シリコンのトンネル誘電体層228は、熱酸化プロセスで熱的に成長させてもよい。例えば、二酸化シリコンの層は、酸素(O)ガスのような酸素を含有するガス又は雰囲気中で、750℃〜800℃で、ドライ酸化を用いて成長させてもよい。熱酸化プロセスは、ウェハの露出した表面の酸化及び消費によって、約1.0ナノメートル(nm)〜約3.0nmまでの厚さを有するトンネル誘電体層228の成長を行うために、約50〜150分の範囲内の時間の間、実行される。
【0023】
別の実施形態では、二酸化シリコンのトンネル誘電体層228は、典型的には、蒸気を形成するためにHとOを熱分解するために用いられる、プラズマの形成といったような、点火事象なしで、互いに約1:1の比率の水素(H)と酸素(O)のガスをプロセスチャンバへ流すことを伴う、ラジカル酸化プロセスで成長させてもよい。代わりに、HとOは、ウェハの表面に、OHラジカル、HOラジカル又はOジラジカル(diradical)のようなラジカルを形成するために、約0.5〜約5Torrの範囲の圧力で、約900℃〜約1000℃の範囲の温度で反応させることができる。ラジカル酸化プロセスは、ウェハの露出した表面の酸化及び消費によって、約1.0ナノメートル(nm)〜約4.0nmまでの厚さを有するトンネル誘電体層228の成長を行うために、約1〜約10分の範囲内の時間の間、実行される。図2D及びこれに続く図において、トンネル誘電体層228の厚さは、パッド酸化物層209に対して、明確性を目的として約7倍の厚さに誇張されていることを理解されたい。一実施形態において、ラジカル酸化プロセスで成長されるトンネル誘電体層228は、ウェット酸化技術で形成されるトンネル誘電体層よりも、厚さは薄くなっていても、より高い密度であり、実質的により少ない水素原子/cmで構成される。特定の実施形態では、ラジカル酸化プロセスは、製造施設が必要とするスループット(ウェハ/時)要求に影響を与えることなく、高品質のトンネル誘電体層228を提供するために、複数のウェハを処理できるバッチ処理チャンバ又は炉内で行われる。
【0024】
別の実施形態では、トンネル誘電体層228は、化学蒸着(CVD)又は原子層堆積により堆積される。また、トンネル誘電体層228は、限定はされないが、二酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、ハフニウムシリケート、ジルコニウムシリケート、酸窒化ハフニウム、酸化ハフニウムジルコニウム及び酸化ランタンを含むことができる誘電体層から構成される。さらなる別の実施形態では、トンネル誘電体層228は、二層の誘電体領域であってもよく、二層誘電体領域は、例えば、限定はされないが、二酸化シリコン又は酸窒化シリコンといった材料の底部層と、限定はされないが、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、ハフニウムシリケート、ジルコニウムシリケート、酸窒化ハフニウム、酸化ハフニウムジルコニウム及び酸化ランタンを含むことができる材料の上部層とを含む。
【0025】
図2Dを再度参照すると、電荷トラップ層が、トンネル誘電体層228の上に形成され又はトンネル誘電体層228を覆っている。概して、図示の実施形態におけるように、電荷トラップ層は、トンネル誘電体層228により近い下部層又は第1の電荷トラップ層232aと、第1の電荷トラップ層に対して酸素リーンであり、かつ複数の電荷トラップ層に分配される電荷トラップの大部分を含む上部層又は第2の電荷トラップ層230bとを少なくとも含む複数の層から成る多層の電荷トラップ層230である。
【0026】
多層の電荷トラップ層230の第1の電荷トラップ層230aは、窒化シリコン(Si)、シリコンリッチな窒化シリコン又は酸窒化シリコン(SiO(H))層を含むことができる。例えば、第1の電荷トラップ層230aは、酸窒化シリコン層を含むことができ、酸窒化シリコン層は、約2.0nmと約6.0nmとの間の厚さを有し、これは、シリコンリッチで、酸素リッチな酸窒化物層を提供するように調整された比率及び流量でジクロロシラン(DCS)/アンモニア(NH)及び亜酸化窒素(NO)/NHガス混合物を用いるCVDプロセスで形成される。
【0027】
次に、多層の電荷トラップ層230の第2の電荷トラップ層230bが、第1の電荷トラップ層232aの上に、直接的又は間接的に形成される。一実施形態では、第2の電荷トラップ層230bは、第1の電荷トラップ層230aのそれとは異なる、酸素、窒素及び/又はシリコンの化学量論組成を有する窒化シリコン及び酸窒化シリコン層を含むことができる。第2の電荷トラップ層230bは、約2.0nmと約8.0nmとの間の厚さを有する酸窒化シリコン層を含むことができ、第2の電荷トラップ層230bは、シリコンリッチで、酸素リーンの上部窒化物層を提供するよう調整された比率及び流量でDCS/NH及NO/NHガス混合物を含むプロセスガスを用いるCVDプロセスによって形成又は堆積することができる。一代替実施形態では、第1の電荷トラップ層230a及び第2の電荷トラップ層230bの、酸素、窒素及び/又はシリコンの化学量論組成は、互いに同じであってもよいし、又は、近似していてもよい。
【0028】
別の実施形態では、第1の電荷トラップ層230aと第2の電荷トラップ層230bとの間に形成される誘電体層及び又は酸化物層(図示せず)が存在していてもよく、これは、多層の電荷トラップ層230をNONスタックにする。ある実施形態では、多層の電荷トラップ層230は、分割電荷トラップ層であり、これは、第1の(下側の)電荷トラップ層230aと第2の(上側の)電荷トラップ層230bとを分離する、薄い、中間酸化物層(図示せず)をさらに含む。中間酸化物層は、プログラミング中に第2の電荷トラップ層230bの境界部に蓄積する電子電荷が第1の電界トラップ層230a内へとトンネリングする確率を実質的に低減させ、結果的に、従来のメモリデバイスよりもリーク電流が低くなる。一実施形態では、中間酸化物層は、熱的又はラジカル酸化を使用して選択された深さに酸化することで、形成される。ラジカル酸化は、例えば、1000〜1100℃の温度でシングルウェハツールを使用して、又は、800〜900℃でバッチ反応器ツールを使用して、実行することができる。HとOガスの混合物は、シングルウェハツールを使用する場合には、約1:1の比率及び10〜15Torrの圧力で、バッチプロセスの場合には300〜500Torrの圧力で、プロセスチャンバへ導入することができ、HとOガスの導入時間は、シングルウェハツールを使用する場合は1〜2分、バッチプロセスを使用する場合には30分から1時間である。ある実施形態では、ラジカル酸化プロセスは、典型的には、HとOを熱分解して蒸気を形成するのに使用される、プラズマの形成といったような点火事象なしで行う。代わりに、HとOは、OHラジカル、HOラジカル又はOジラジカルのようなラジカルを形成して中間酸化物層を形成するために、第1の電界トラップ層230aの表面で反応させることが可能である。
【0029】
本明細書で用いられるように、用語「酸素リッチ」及び「シリコンリッチ」は、(Si)の組成を有し、かつ屈折率(RI)が約2.0である、当該分野で一般的に使用されている、化学量論的な窒化シリコン又は「窒化物」に関連する。従って、「酸素リッチ」な酸窒化シリコンは、化学量論的なの窒化シリコンからシリコン及び酸素のより高い重量%の方へのシフト(つまり、窒素の還元)を伴う。それゆえ、酸素リッチな酸窒化シリコン膜は、二酸化シリコンによく似ており、RIは、純な二酸化シリコンの1.45RIの方へと低減する。同様に、ここに記載する「シリコンリッチ」のような膜は、化学量論的な窒化シリコンから、「酸素リッチ」な膜よりも酸素の少ないシリコンのより高い重量%の方へのシフトを伴う。従って、シリコンリッチな酸窒化シリコン膜は、シリコンによく似ており、RIは、純なシリコンの3.5RIの方へと増大する。
【0030】
図2Dを再び参照すると、誘電体層の数は、電荷トラップ層230上に形成される又は電荷トラップ層230を覆う、キャップ層232をさらに含む。一実施形態では、キャップ層232は、窒化シリコンを含み、この窒化シリコンの全て又は一部は、その後に酸化されて、電荷トラップ層230を覆うブロッキング酸化物層を形成する。幾つかの実施形態では、キャップ層232は、均一組成を有する窒化物の単一層(図示せず)であってもよいし、化学量論的組成の勾配を有する窒化物の単一層であってもよいし、又は、図示の実施形態のように、第2の電荷トラップ層230bを覆っている下部層又は第1のキャップ層232aと、第1のキャップ層232aを覆っている上部層又は第2のキャップ層232bとを少なくとも含む多層のキャップ層であってもよい。
【0031】
一実施形態では、第1のキャップ層232aは、窒化シリコン、シリコンリッチな窒化シリコン又はシリコンリッチな酸窒化シリコン層を含むことができ、キャップ層232aは、2.0nmと4.0nmとの間の厚さを有し、NO/NHとDCS/NHのガス混合物を用いてCVDプロセスで形成される。同様に、第2のキャップ層232bも、窒化シリコン、シリコンリッチな窒化シリコン又はシリコンリッチな酸窒化シリコン層を含むことができ、これも、2.0nmと4.0nmとの間の厚さを有し、NO/NHとDCS/NHのガス混合物を用いてCVDプロセスで形成される。随意的に、第1のキャップ層232a及び第2のキャップ層232bは、異なる化学量論比を含んでもよい。例えば、第2のキャップ層232bは、第1のキャップ層232aを酸化する前のドライ又はウェット洗浄プロセスにおいて第2のキャップ層の除去を容易にするために、第1のキャップ層232aに対してシリコン又は酸素リッチな組成を含んでいてもよい。代替的に、第1のキャップ層232aは、第1のキャップ層232aの酸化を容易にするために、第2のキャップ層232bに対してシリコン又は酸素リッチな組成を含んでいてもよい。
【0032】
図2Eを参照すると、犠牲酸化物層234が、第2のキャップ層232b上に形成され又は第2のキャップ層232bを覆う。一実施形態では、犠牲酸化物層234は、低圧化学蒸着(LPCVD)チャンバ内で化学蒸着プロセスによって形成又は堆積させてもよい。例えば、犠牲酸化物層234は、シラン又はジクロロシラン(DCS)とO又はNO等のガスを含有する酸素との混合ガスを、二酸化シリコン(SiO)の犠牲酸化物層を提供するよう調整された比率及び流量で、含むプロセスガスを用いてCVDプロセスによって、堆積させてもよい。別の実施形態では、犠牲酸化物層234は、二酸化シリコンの層を含んでいてもよく、この二酸化シリコンの層は、熱酸化処理、ISSG又はラジカル酸化によって成長させることができ、約2.0nmと約4.0nmとの間の厚さを有する。
【0033】
図2Fを参照すると、パターンマスク層(図示せず)が、犠牲酸化物層234上に形成され又は犠牲酸化物層234を覆う。続いて、犠牲酸化物層234と、キャップ層232a及び232bと、電荷トラップ層230a及び230bとがエッチング及びパターンニングされて、NVMトランジスタ226のチャネル224を覆うゲートスタック236が形成され、犠牲酸化物層234と、キャップ層232a及び232bと、電荷トラップ層230a及び230bとがウェハ204の第2の領域208から除去される。一実施形態では、パターンマスク層(図示せず)は、標準的なリソグラフィ技術を使用してパターンニングされるフォトレジスト層を含むことができ、犠牲酸化物層234と、キャップ層232と、電荷トラップ層230は、トンネル誘電体層228又はウェハ204の表面216に近くで止める、1つ以上の別個のステップを含むドライエッチングプロセスを使用して、エッチング又は除去することができる。
【0034】
図1を参照すると、ゲート酸化物層又はGOXの前洗浄が行われ、形成された両MOSトランジスタ214,212のゲート酸化物層も前洗浄され、ゲート層が、NVMトランジスタ及び両MOSトランジスタのためのゲートを形成するために、堆積及びパターンニングされる(ステップ110)。図2Gを参照すると、GOX前洗浄プロセス中に、ゲートスタック236の犠牲酸化物層234と、キャップ層232の一部又は多層のキャップ層232における第2のキャップ層232bのような、最上層の実質的に全てとが、高い選択性の洗浄プロセスで、ゲートスタック236から除去される。特定の実施形態では、高い選択性の洗浄プロセスは、第1のキャップ層232aの一部さえも除去することがある。一実施形態では、この洗浄プロセスは、ゲートスタック236の以外の第1の領域206及び第2の領域208に残存している、酸化物のトンネル誘電体層228及びパッド酸化物層209のような、残留酸化物層を、同時に又は一斉に除去して、ゲート酸化物層の成長のためにその領域のウェハ204を調整させることができる。一実施形態では、キャップ層232の厚さは、第2のキャップ層232bの一部又は実質的に全てと、第1のキャップ層232aの一部までも、GOX前洗浄によって消費されることを可能にするよう調整される。一実施形態では、犠牲酸化物層234及び第2のキャップ層232bは、界面活性剤を含有する10:1の緩衝酸化物エッチング(BOE)を用いるウェット洗浄プロセスで除去される。代替的に、ウェット洗浄プロセスは、20:1のBOEウェットエッチング、50:1のフッ化水素酸(HF)ウェットエッチング、パッドエッチング又は他の任意の同様のフッ化水素酸系のウェットエッチング化学薬品を用いて行うことができる。
【0035】
GOX前洗浄のこの実施形態は、前洗浄工程(ステップ110)又はその後の酸化工程(ステップ112)の何れかにおいても、むしろNVMトランジスタ製造の集積化のために使用されるものであって、基本的なCMOSプロセスには実質上影響を及ぼさないので有利である。
【0036】
図2H及び図2Iを参照すると、一実施形態では、少なくとも、キャップ層232の残存する部分又は多層のキャップ層の第1のキャップ層232a、或いは第2の電荷トラップ層230bの一部を酸化して第2の電荷トラップ層230bを覆うブロッキング酸化物層238を形成するために、2段階の酸化プロセスが連続して実行される。一実施形態では、2段階の酸化プロセスは、第2の領域208におけるウェハ204の表面216の少なくとも一部を同時又は一斉に酸化して少なくとも1つのMOSトランジスタの少なくともチャネル218を覆うゲート酸化物層240を形成しながら、第1のキャップ層232aを酸化してブロッキング酸化物層238を形成するのに適用される。よって、一般的には、NVMトランジスタの頂部の酸化物層及びMOSトランジスタ212,214のゲート酸化物層の両方を、それぞれの所望の実用厚さに成長させるために、2段階の酸化プロセスを設定可能にすることが不可欠である。一実施形態では、ゲート酸化物層の厚さは、ONOスタックの信頼性の要求を満たすために、NVMトランジスタ226の最終頂部酸化物層が約30〜40Aの厚さとなるような厚さとする。しかしながら、ある他の実施形態では、MOSトランジスタは、I/Oトランジスタであってもよく、この場合、それらのI/Oゲート酸化物層は、より高いI/O電圧をサポートするために、非常に厚くする必要がある。例えば、一実施形態では、領域208におけるMOSトランジスタの1つは高電圧I/Oトランジスタであり、従って、(100A〜200Aを超える)厚いゲート酸化物層を必要とする。このようなプロセスフローでは、MOSトランジスタのゲート酸化物の酸化中にプロセスフローは同一環境に曝されるため、I/Oゲート酸化物層は必要とされる厚さに達することができるが、NVMトランジスタ226の頂部酸化物層は、厚く成長し過ぎる可能性がある。その結果として、NVMトランジスタ226は、実効酸化膜厚(EOT)及びプログラム/消去Vtsの要件を満たすことができないことがある。代替的に、堆積される頂部酸化物層を保護し、最終的なNVMスタックにおける頂部酸化物層とすることができるが、NVMスタックの信頼性は、低品質の頂部酸化物層によって悪影響を受ける可能性がある。
【0037】
従って、一実施形態では、新規の2段階の酸化プロセスを提案し、NVMトランジスタ226の頂部酸化物層238とMOSトランジスタのゲート酸化物層240の両方の厚さを所望な厚さとすると共に、成長酸化物層の品質を維持する。一実施形態では、第1段階はドライRTO(Rapid thermal oxidation)とし、第2段階はISSGのような、高速でラジカルなウェット酸化とする。図2Hを参照すると、酸化プロセスは、場合によっては、プラズマのような点火事象を用いてバッチ又はシングルウェハ処理チャンバ内で実行されるドライRTOで開始する。例えば、一実施形態では、デバイスは、酸素(O)ガスを処理チャンバ内へ流入させることを伴う、高速熱酸化プロセスを受ける。Oガスは、第1のゲート酸化物の底部層240aを形成するために、約0.5〜5Torrの範囲内の圧力で、約1000〜1100℃の範囲内の温度で反応させる。一実施形態では、第1のゲート酸化物の底部層240aは、シリコンウェハ204の酸化によって、少なくとも1つのMOSトランジスタの少なくともチャネル218を覆う第2の領域208と、ゲートスタック236の以外の第1の領域206とにおけるウェハ204の表面216の少なくとも一部の上に成長する。しかしながら、一実施形態において、ドライRTOプロセスは、窒化物又は酸窒化物である、ONOゲートスタック236の第1のキャップ層232aにはほとんど影響を及ぼさず、実際上、ゲートスタック236の上には成長する酸化物はほとんど成長しない。一代替実施形態では、ドライRTOプロセスは、非ラジカル酸化プロセスである、高速な分子酸化(ドライ又はウェット)に換えてもよい。酸化プロセス中に形成されるラジカルはないから、窒化物又は酸窒化物である第1のキャップ層232aは、実際上、ゲートスタック236の上に成長される酸化物をほとんど有することがない一方で、少なくとも1つのMOSトランジスタの少なくともチャネル218を覆う第2の領域208におけるウェハ204の表面216の少なくとも一部の上には、第1のゲート酸化物の底層240aが形成される。一実施形態では、ドライRTO酸化プロセスの後又はその代替酸化プロセスの後に、第1のゲート酸化物の底部層240aは、約85Aから約95A以上の厚さを有する。
【0038】
第1のゲート酸化物の底部層240aが所望の厚さに成長した後、酸化プロセスは、ISSGのような、第2のウェット高速ラジカル酸化プロセスの別の段階に、直ぐに進んでもよい。図2Iを参照すると、例えば、ウェット高速ラジカル酸化は、場合によっては、プラズマのような、点火事象を用いて、バッチ又はシングルウェハ処理チャンバ内で、実行してもよい。例えば、一実施形態では、ブロッキング酸化物層238及び第1のゲート酸化物の頂部層240bは、さもなければ、蒸気を形成するためにHとOを熱分解するのに用いられることになる、プラズマの形成のような点火事象なしで、水素(H)と酸素(O)のガスを、互いに約1:1の比率でプロセスチャンバへ流すことを伴う、ウェットラジカル酸化プロセスで成長させてもよい。代わりに、HとOは、キャップ層232又は第1のキャップ層232aの表面に、OHラジカル、HOラジカル、Oジラジカルのようなラジカルを形成するために、約0.5〜約10Torrの範囲内の圧力で、約1000℃〜約1100℃の範囲内の温度で反応させることができる。酸化プロセスは、ISSGプロセスを用いて、単一ウェハに対しては約1〜5分の範囲内の期間行うか、又は、バッチ炉プロセスの場合には30〜120分の期間行って、第1のキャップ層232aの酸化及び消費によりブロッキング酸化物層238を成長させ、これを、第2の電荷トラップ層230bの一部としてもよい。この酸化プロセスと同じ期間中に、第1のゲート酸化物の頂部層240bが、少なくとも1つのMOSトランジスタの少なくともチャネル218を覆っている第2の領域208における第1のゲート酸化物の底部層240aの上に成長する。一実施形態では、ISSGのような第2のウェットラジカル酸化プロセスの後に、ブロッキング酸化物層238の厚さは約30A〜45Aとなる。これと同時に、第1のゲート酸化物の頂部層240bが、約105Aから約200Aの厚さに成長してゲート酸化物層240の形成が完了する。代替実施形態では、第2段階のウェット高速ラジカル酸化は、化学蒸着(CVD)のようなプロセスに換えてもよく、又は、酸化物がNVMトランジスタのゲートスタック236とMOSトランジスタの第1のゲート酸化物の底部層240aとの両方の上に同時に成長又は堆積する限り、場合によっては、点火事象を用いてバッチ又はシングルウェハ処理チャンバ内で実行される他のラジカル酸化プロセスに、換えてもよい。一実施形態では、前述のような2段階の酸化プロセスの後、NMVトランジスタの頂部酸化物層238と、少なくとも1つのMOSトランジスタのゲート酸化物層240との間の厚さの比は、おおよそ、1:2.33(105nm/45nm)〜1:6.67(200/30nm)の範囲内となる。
【0039】
一実施形態では、時間、温度、圧力、反応物等といった、第1段階のドライRTOプロセス及び第2段階のウェットISSGプロセスにおけるパラメータを制御することで、第1の領域206におけるNVMトランジスタのブロッキング酸化物層238及び第2の領域208における少なくとも1つのMOSトランジスタのゲート酸化物層240の目標とする厚さが達成される。
【0040】
次の表は、提案の2段階の酸化プロセスの実装例を示す:
【表1】
【0041】
この例では、シリコン上に約100Aの酸化物を成長させるドライRTOプロセス(第1の酸化段階)は、ウェハ204上の第2の領域208に約95Aの酸化物を成長させることができ、このプロセスは、窒化物又は酸窒化物である第1のキャップ層232aにはほとんど影響を及ぼさない。シリコン上に通常70Aの酸化物を成長させるウェットISSG(第2の酸化段階)は、ウェハ204上の第2の領域208に、一実施形態ではHV I/Oゲート酸化物の目標とすることができる約115Aまでのゲート酸化物240の厚さを構築する。ONNO又はONONOゲートスタック236の頂部酸化物層は、ウェットISSGプロセス中のみ成長する。シリコン上の70Aの酸化の場合に、約45Aの酸化物は、第1のキャップ層232aにおける窒化物を消費することで成長し、これは、ゲートスタック236の第2の電荷トラップ層230bとすることができる。一実施形態において、SONOSの頂部酸化物の約45Aの目標の厚さは、EOT及びVtsの要件を満たすのに望ましい。他の実施形態では、高速ドライ熱酸化及びラジカルウェット酸化のパラメータを調整して、1つのシングルプロセスでNVMトランジスタ及びMOSトランジスタのための頂部酸化物層を所望の厚さとすることができる。さらに、両方の酸化のために高速熱プロセスを使用することにより、分離構造202における誘電体のようなSTIギャップ充填誘電体とONOスタックとの間の相互作用が最小限に抑えられる。それは、キャップ充填誘電体中の水分が出て、SONOSデバイスのVtsに影響を及ぼす、ONOの厚さに及ぶ影響を最小限に抑える。
【0042】
一実施形態では、2つのゲート酸化工程は、シングルウェハツールで実行される。ドライ熱酸化及びウェットラジカル酸化プロセスは、例えばドライRTOプロセスのための高速熱アニール(RTA)シングルウェハツールと、その後のISSGプロセスのためのISSGシングルウェハツールといった、2つの異なるツールの何れかで行うことができる。代替的に、ドライ及びウェットRTOは、1つのISSGツールにおいて実行してもよい。この特別の実施形態では、酸化は、最初に、ウェハの温度を100〜1100℃の範囲に上昇させ、ドライRTOプロセスを終えるのに必要な時間だけOを流すことによって、実行される。続いて、ISSG酸化を開始するために、Hが導入される。2つの酸化工程の操作温度は、同じ値に維持するのが好適である。
【0043】
一代替実施形態では、ドライRTO及びウェットISSG酸化工程の順序は、逆であってもよい。デバイスは、場合によっては、プラズマのような点火事象を用いて、バッチ又はシングルの何れかのウェハ処理シャンバ内でウェットISSG酸化を受け、ここで、頂部酸化物層238’が、NVMトランジスタのゲートスタック236と、少なくとも1つのMOSトランジスタの少なくともチャネル218を覆っている第2の領域208における第1のゲート酸化物底部層240aとの両方の上に、成長することができる。ウェットISSG酸化は、NVMトランジスタ236の頂部酸化物層238’が所望の厚さに達したときに、終了することができる。続いて、ドライRTO工程が開始し、ゲート酸化物240の複合厚さが所望の値に達するまで、第1のゲート酸化物底部層240a’の上に第1のゲート酸化物頂部層240b’を成長させることができる。ドライRTO工程は、ウェットISSG酸化中に成長した、NVMトランジスタ236の頂部酸化物層238’の厚さにはほとんど影響を及ぼさない。
【0044】
別の代替実施形態では、両方の酸化工程がISSGプロセスで行われるので、両方の酸化工程は、NVMトランジスタのゲートスタック236の第1のキャップ層232aを酸化する。この実施形態では、第1のISSG酸化工程の後に、フォトマスクを適用することで、NVMトランジスタ領域のゲートスタック236のみが、フォトレジストを用いて露出される。このフォトマスクを用いて、HFエッチングが行われ、NVMトランジスタの第1のキャップ層232aの上に成長した酸化物のみを除去して、窒化物の一部を消費する。エッチングプロセスの後、フォトレジストは除去され、ウェハは、第2のウェットISSGプロセスを受けて、MOSトランジスタの残余のゲート酸化物240を形成し、また、所望の厚さに達するまで残余の第1のキャップ層232aを消費することによってNVMトランジスタの頂部酸化物層238も形成する。この特定の実施形態では、追加のフォトマスクを必要とする。
【0045】
ある実施形態では、簡単に上述したように、ドライラジカルRTO工程及び/又はウェットラジカルISSG酸化工程を、バッチ炉で実行してもよい。これらの実施形態では、プロセスフローは同じであるが、各酸化において、ウェハのバッチ(100〜125枚のウェハ)は、同時に酸化される。この実施形態では、ラジカル酸化のための可能なバッチ型ツールが利用可能であると仮定している。このスキームを成功させるためには、分離構造202及びONOスタックの誘電体のような、ギャップ充填誘電体は、含水量がゼロ又は最小限で、高品質である必要がある。
【0046】
一実施形態では、第1の酸化工程中に成長した第1のゲート酸化物の底部層240aと、第2の酸化工程中に成長した第1のゲート酸化物の頂部層240bとを含む、成長ゲート酸化物240は、ゲート酸化物の層240aと240bとの間において、異なる化学量子論比及び/又は構造を、示してもよいし又は示さなくてもよい。
【0047】
ある実施形態では、図2Jから2Nに示すように、本方法は、LV MOSトランジスタ212及びHV MOSトランジスタ214の両方の製造を可能にするデュアルゲート酸化物プロセスフローをさらに含む。図2Jを参照すると、パターニングされたマスク層242が、ウェハ240の第1の領域206及び第2の領域208の上に形成される。パターニングされたマスク層は、標準的なリソグラフィ技術を使用してパターニングされるフォトレジスト層とすることができ、第2の領域208のチャネル218上に少なくとも1つの開口部244を含む。開口部244で露出した領域における第1のゲート酸化物層240は、犠牲酸化物層234の除去に関連して上述したのと同様の条件下で、BOEエッチングを用いることによりエッチングされ、その後、パターニングされたマスク層242は除去される。
【0048】
図2Kを参照すると、ウェハ204は、HV MOSトランジスタの第1のゲート酸化物240及びゲートスタック236のブロッキング酸化物層238を保護するために、酸化物をエッチングしないウェットエッチングを用いて洗浄される。次に、ウェハ204は、例えば約1nmから約3nmまでの適切な厚さを有する薄い第2のゲート酸化物層246を成長させるために、熱酸化プロセスを受ける。ある実施形態では、第2のゲート酸化物層246は、例えばシリコン酸窒化物、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、ハフニウムシリケート、ジルコニウムシリケート、ハフニウム酸窒化物、ハフニウムジルコニウム酸化物及びランタン酸化物のような、堆積層(図示せず)で覆うことができる。
【0049】
図2Lを参照すると、NVMトランジスタ226のバイアス及びMOSトランジスタ214,212の動作に適応させるのに適した任意の導電性材料又は半導電性材料のゲート層248が、ゲートスタック236、HV MOSトランジスタ214の第1のゲート酸化物層240及びMOSトランジスタ212の第2のゲート酸化物層246の上に形成される。一実施形態では、ゲート層248は、物理的気相成長法によって形成され、金属含有材料から構成され、金属含有材料は、限定はされないが、金属窒化物、金属炭化物、金属シリサイド、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、タンタル、アルミニウム、ルテニウム、パラジウム、白金、コバルト及びニッケルを含むことができる。別の実施形態では、ゲート層は、CVDプロセスで形成され、単一ドープされたポリシリコン層から構成され、これは次に、NVMトランジスタとMOSトランジスタ214,212との制御ゲートを形成するためにパターニングすることができる。
【0050】
図2Mを参照すると、ゲート層248は、マスク層(図示せず)及び標準的なリソグラフィ技術を使用してパターニングされ、ブロッキング酸化物層238、第1のゲート酸化物層240及び第2のゲート酸化物層246の表面でエッチングを停止し、これにより、NVMトランジスタ226のゲートスタック236のためのゲート250、HV MOSトランジスタ214のためのゲート252、及び、MOSトランジスタ212のためのゲート254が形成される。
【0051】
図1及び図2Nを参照すると、MOSトランジスタ212,214のゲート252及び254とNVMトランジスタ226とに隣接する側壁スペーサ256を形成するために、第1のスペーサ層が堆積され、且つエッチングされ、1つ以上の軽ドープドレイン拡張部(LDD258)が、1つ以上のMOSトランジスタ212,214の側壁スペーサ256に隣接し、且つ延在するように注入される(ステップ112)。
【0052】
次に、SONOS LDDマスクがウェハ204の上に形成され、軽ドープドレイン拡張部(LDD260)が、NVMトランジスタ226に隣接して注入される。最後に、第2のスペーサ層が、NVMトランジスタ226のゲートスタック236に隣接する第2の側壁スペーサ262を形成するために、堆積され、且つエッチングされる(ステップ114)。
【0053】
1つ以上の代替実施形態では、図1から図2Nで図示し、説明したような製造ステップは、基本の集積CMOSプロセスにおけるSONOSベースのNVMトランジスタ226ベースの代わりに又はこれに追加して、フローティングゲートベースのNVMトランジスタを製造するように適合又は変更してもよい。
【0054】
図1及び2Oを参照すると、NVMトランジスタ226、HV MOSトランジスタ214及びLV MOSトランジスタ212が実質的に完成する場合、ソース及びドレイン注入が行われて、全てのトランジスタのソース及びドレイン領域264が形成され、さらにシリサイドプロセスが実行される(ステップ114)。図示のように、シリサイド領域266は、露出したゲート250、252及び254と露出したソース及びドレイン領域240との上に形成してもよい。シリサイドプロセスは、典型的には、前洗浄エッチング、コバルト又はニッケル金属堆積、アニール及びウェットストリップを含む、当該技術分野で一般的に用いられるものであってよい。
【0055】
図1及び図2Oを参照すると、埋め込み型又は一体形成型SONOSベースのNVMトランジスタ及びMOSトランジスタを含むメモリセルを製造する方法は、随意的に、応力誘起層又は構造268を形成するステップをさらに含み(ステップ118)、応力誘起層又は構造268は、例えば、データ保持率を高めるため及び/又はプログラミング時間及び効率を改善するために、NVMトランジスタ226のゲートスタック236上の応力誘起窒化物層である。特に、NVMトランジスタ226の電荷トラップ層230内への応力の誘起は、そこに形成される電荷トラップのエネルギーレベルを変化させ、これにより、電荷トラップ層の電荷保持率を高める。加えて、NVMトランジスタ226のチャネル224が形成されるウェハの領域の近く、好適にはその領域を囲む、ウェハ204の表面内又は上に応力誘起構造268を形成することは、バンドギャップを低減させ、歪の種類に応じて、キャリア移動度を高める。例えば、ウェハ204の結晶格子の原子間距離を伸ばす引っ張り歪みは、電子の移動度を高め、N型トランジスタをより高速にする。原子間距離を縮める圧縮歪みは、正孔の移動度を高めることで、P型トランジスタに同様の効果をもたらす。これらの歪み誘発因子の両方、すなわち、バンドギャップの低減及びキャリアの移動度の増大は、結果として、NVMトランジスタ226のプログラミングをより速く、より効率的にする。
【0056】
応力誘起構造268は、高アスペクト比プロセス(HARP(登録商標))酸化プロセスを使用して形成されるプレメタル誘電体(PMD)層、プラズマ強化化学気相成長(PECD)を使用して形成される圧縮又は引っ張り窒化物層、又は、ビス・ターシャル・ブチル・アミノ・シラン(BTBAS)窒化物層を含むことができる。
【0057】
特定の実施形態では、図2Oに示すように、応力誘起構造268は、MOSトランジスタのチャネル内に歪みを誘発するために、1つ以上のMOSトランジスタの上に形成してもよい。
【0058】
最後に、標準的又はベースラインのCMOSプロセスフローは、フロントエンドデバイスの製造が実質的に完了するまで続行し(ステップ120)、図2Oに示す構造を産出する。図2Oは、図1及び図2A〜2Nの方法に従い製造された埋め込み型のSONOSベースのNVMトランジスタ及びMOSトランジスタを含む完成メモリセルの一部の断面を示すブロック図である。
【0059】
従って、埋め込み型又は一体形成型のSONOSベースのNVMトランジスタ及びMOSトランジスタを含むメモリセル及びその製造方法の実施形態を説明した。本開示を特定の例示的な実施形態を参照して説明したが、本開示の精神及び範囲を逸脱することなく、これらの実施形態に多様な修正及び変形を加え得ることが明らかであろう。従って、本明細書及び図面は、制限的な意味というよりむしろ、例示的なものと見なされる。
【0060】
本開示の要約は、読者が技術的な開示の一以上の実施形態の本質を直ぐに把握することを可能にする要約を要求する、37 C.F.R.§1.72(b)に準拠するために提供される。それは、クレームの範囲又は意味の解釈又は制限のために使用されないという理解の下で提供される。加えて、前述の詳細な説明において、開示を合理化する目的で、多様な特徴が単一の実施形態で一緒にグループ化されていることが理解されたい。本開示の方法は、主張する実施形態が、各請求項に記載される表現よりも、多くの特徴を要求するという意図を反映するものと解釈すべきではない。むしろ、次の特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、単一の開示の実施形態の全ての特徴よりも少ないことにある。従って、以下の特許請求の範囲は、各請求項が分離された実施形態として自立して、詳細な説明へ組み込まれる。
【0061】
一実施形態の説明での言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造又は特徴が、回路又は方法の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の多様な箇所での一実施形態との用語の出願は、全て同一の実施形態を示す必要はない。
【0062】
前述の明細書では、発明は、その特定の例示的な実施形態を参照して説明された。しかしながら、多様な修正及び変更が、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の広い精神及び範囲から逸脱することなく、成され得ることが明らかであろう。従って、明細書及び図面は、限定的なものではなく、例示的ものとであると考慮されるべきである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図2L
図2M
図2N
図2O