(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、医療用デバイスの設計、材料、製造方法、及び使用代替案を提供する。生理学的マッピングデータ表示方法の一例が開示される。前記方法は、三次元位置データ組をメモリに記憶することを含む。前記三次元位置データ組は、体室内の1つ以上の電極の位置に対応する。前記方法は更に、測定値データ組を前記メモリに記憶することを含む。前記測定値データ組は、前記1つ以上の電極によって収集される所定の測定値に対応する。前記方法は更に、心電図データ組を前記メモリに記憶することを含む。前記心電図データ組は、前記1つ以上の電極によって検出された電気活動に対応する。前記方法は更に、前記三次元位置データ組、
前記測定値データ組、及び前記心電図データ組を前記メモリから表示部に出力し、前記三次元位置データ組、
前記測定値データ組、及び前記心電図データ組を前記表示部上に動的表示として表示することと、前記動的表示を経時的に更新して、前記更新された動的表示を動的動画として表示することを含む。
【0005】
上述の実施形態のいずれかの内容に替えて又は加えて、前記動的表示は、前記三次元位置データ組をグラフ表示する第1パネルを含む。
【0006】
上述の実施形態のいずれかの内容に替えて又は加えて、
前記測定値データ組は、前記三次元位置データ組に反映される。
【0007】
上述の実施形態のいずれかの内容に替えて又は加えて、前記測定値データ組は、色付けされ、前記三次元位置データに反映された興奮時間組である。
【0008】
上述の実施形態のいずれかの内容に替えて又は加えて、前記動的表示は、二次元グリッドに反映された前記測定値データ組をグラフ表示する第2パネルを含む。
【0009】
上述の実施形態のいずれかの内容に替えて又は加えて、前記第2パネルは、前記測定値データ組により構成される内挿興奮マップを含む。
【0010】
上述の実施形態のいずれかの内容に替えて又は加えて、前記第2パネルは、伝導速度ベクトル組を含む。
【0011】
上述の実施形態のいずれかの内容に替えて又は加えて、前記所定の測定値は、興奮時間、差分指数、優位周波数、振幅、又はそれらの組み合わせを含む。
【0012】
上述の実施形態のいずれかの内容に替えて又は加えて、前記動的表示は、前記心電図データ組をグラフ表示する第3パネルを含む。
【0013】
上述の実施形態のいずれかの内容に替えて又は加えて、前記第3パネルは、前記心電図データ組の時間−振幅表示を含む。
【0014】
上述の実施形態のいずれかの内容に替えて又は加えて、
前記測定値データ組は、前記時間−振幅表示にグラフ表示される。
【0015】
上述の実施形態のいずれかの内容に替えて又は加えて、前記測定値データ組は、色付けされ、前記時間−振幅表示にマッピングされた興奮時間を含む。
【0016】
上述の実施形態のいずれかの内容に替えて又は加えて、前記動的表示は、更なるデータ組をグラフ表示する1つ以上の更なるパネルを含む。
【0017】
心臓マッピングデータ表示方法の一例が開示される。前記方法は、三次元位置データ組をメモリに記憶することを含む。前記三次元位置データ組は、心室内のコンステレーションカテーテルの1つ以上の電極の位置に対応する。前記方法は更に、測定値データ組を前記メモリに記憶することを含む。前記測定値データ組は、興奮時間、差分指数、優位周波数、振幅の内の1つ以上に対応する。前記方法は更に、心電図データ組を前記メモリに記憶することを含む。前記心電図データ組は、前記1つ以上の電極によって検出された電気活動に対応する。前記方法は更に、前記三次元位置データ組、
前記測定値データ組、及び前記心電図データ組を前記メモリから表示部に出力することと、前記三次元位置データ組、
前記測定値データ組及び、前記心電図データ組を、前記表示部上のそれぞれ異なる領域に同時に表示して動的表示とすることと、前記動的表示を経時的に更新して、少なくとも前記心電図データ組を動的に伝達することを含む。
【0018】
上述の実施形態のいずれかの内容に替えて又は加えて、前記動的表示は、
前記三次元位置データ組に反映された前記測定値データ組をグラフ表示する第1領域を含む。
【0019】
上述の実施形態のいずれかの内容に替えて又は加えて、前記動的表示は、前記測定値データ組を内挿興奮マップ又は伝導速度ベクトル組としてグラフ表示する第2領域を含む。
【0020】
上述の実施形態のいずれかの内容に替えて又は加えて、前記動的表示は、前記心電図データ組を時間−振幅表示としてグラフ表示する第3領域を含む。
【0021】
上述の実施形態のいずれかの内容に替えて又は加えて、前記動的表示は、更なるデータ組をグラフ表示する1つ以上の更なる領域を含む。
【0022】
心臓マッピングのシステムの一例が開示される。当該システムは、複数の電極が連結されたカテーテルシャフトを有する。前記カテーテルシャフトにプロセッサが結合される。前記プロセッサは、三次元位置データ組をメモリに記憶することと、測定値データ組を前記メモリに記憶することと、心電図データ組を前記メモリに記憶することと、前記三次元位置データ組、
前記測定値データ組、前記心電図データ組を前記メモリから表示部に出力し、前記三次元位置データ組、
前記測定値データ組、前記心電図データ組を、前記表示部上のそれぞれ異なる領域に同時に表示して動的表示とし、前記動的表示を経時的に更新して、少なくとも前記心電図データ組を動的に伝達することが可能である。前記三次元位置データ組は、心室内の前記複数の電極の位置に対応する。前記測定値データ組は、興奮時間、差分指数、優位周波数、振幅の内の1つ以上に対応する。前記心電図データ組は、前記1つ以上の電極によって検出された電気活動に対応する。
【0023】
上述の実施形態のいずれかの内容に替えて又は加えて、前記動的表示は、
前記三次元位置データ組に反映された前記測定値データ組をグラフ表示する第1領域、前記測定値データ組を内挿興奮マップ及び/又は伝導速度ベクトル組としてグラフ表示する第2領域、及び前記心電図データ組を時間−振幅表示としてグラフ表示する第3領域を含む。
【0024】
いくつかの実施形態の上記の概要は、本開示のそれぞれの開示した実施形態又はそれぞれの実施を記述することを意図していない。以下の図面及び詳細な記載は、更に特定的には、これらの実施形態を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の定義される用語に関して、異なる定義が特許請求の範囲又は本明細書のいずれかの箇所において与えられない限り、これらの定義が適用されるものとする。
【0028】
全ての数値は、明確に示されるかどうかにかかわらず、「約」という用語によって修正されるものとする。「約」という用語は、一般的に、当業者が、記載される値と同等(例えば、同じ機能又は結果を有する)とみなすであろう範囲の数を指す。多くの例において、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められた数を含んでいてもよい。
【0029】
終点による数値範囲の記載は、その範囲内の全ての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。
【0030】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形は、別途文脈で明確に示されない限り、複数の言及物を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「又は」という用語は、一般的に、別途文脈で明確に示されない限り、「及び/又は」を含む意味で採用される。
【0031】
「実施形態」、「一部の実施形態」、「他の実施形態」等への本明細書における言及は、記載される実施形態が、1つ以上の特定の特徴、構造、及び/又は特性を含んでいてもよいことを示すということに留意されたい。しかしながら、かかる記載は、全ての実施形態が、特定の特徴、構造、及び/又は特性を含むということを必ずしも意味しない。加えて、特定の特徴、構造及び/又は特性が一実施形態と関連して説明されるとき、かかる特徴、構造及び/又は特性はまた、明確に矛盾して記載されない限り、他の実施形態と関連して使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0032】
以下の発明を実施するための形態は、異なる図面における類似の要素に同じ番号が付される図面を参照して読まれるべきである。図面は、必ずしも縮尺に従っておらず、例示的な実施形態を描写し、本発明の範囲を限定するようには意図されていない。
【0033】
心拍障害の電気生理現象をマッピングすることは多くの場合、コンステレーションカテーテル又は複数の電極及び/又はセンサ(例えば、Boston Scientificから市販されているCONSTELLATION(登録商標))を有する他のマッピング/検出デバイスを心室の中に導入することを含む。センサは、センサ位置における心臓の電気活動を検出する。電気活動を処理して、センサ位置毎の心組織を介した細胞励起を正確に表す心電図信号を得ることが望ましい。その後、処理システムは、この信号を分析し、表示装置に出力してもよい。
【0034】
本稿では、生理学的マッピングデータ及び動的表示の表示方法が開示される。動的表示は、スタティックマップ(例えば、情報内容の瞬間的関係を、色付け時系列表示により伝達し得る)を、統合ディスプレイ上の、電極の三次元位置に組み合わせたものである。更に、例えば心電図データを動的動画として動的に表示するように、動的表示を更新してもよい。本稿では、方法に関するいくつかの追加的詳細が開示される。
【0035】
図1は、診断及び/又は治療の目的のために、身体の対象領域12にアクセスするためのシステム10の概略図である。
図1は、概して、心臓の左心房において展開されるシステム10を示す。あるいは、システム10は、左心室、右心房、又は右心室等の心臓の他の領域において展開することができる。図示される実施形態は、心筋組織をマッピング更に/若しくは切除するために使用されるシステム10を示すが、システム10(及び本明細書に記載の方法)は、前立腺、脳、胆嚢、子宮、神経、血管、又は身体の他の領域の組織をマッピング更に/若しくは切除するための手技等、他の組織マッピング更に/若しくは切除用途に使用するように構成されてもよく、必ずしもカテーテルに基づくものではないシステムを含む。
【0036】
システム10は、マッピングカテーテル14及び切除カテーテル16を含み得る。それぞれのプローブ14/16は、適切な経皮アクセス技術によって静脈又は動脈(例えば、大腿の静脈又は動脈)を介し、対象領域12に個別に導入されてもよい。あるいは、マッピングカテーテル14及び切除カテーテル16は、対象領域12内に同時に導入し展開するために、一体化させた構造に組み立てることができる。
【0037】
マッピングカテーテル14は、カテーテルシャフト18を有してもよい。カテーテルシャフト18の先端には、三次元多電極構造体20が設けられてもよい。構造体20は、複数のストラット22を有するバスケットの形態をとる(
図2を参照)が、他の多電極構造体を使用してもよい。複数のマッピング電極24(
図1には明確に示されていないが、
図2に示す)をストラット22に沿って配置してもよい。各電極24は、解剖領域における固有の生理学的活性を検出するように構成されてもよい。一部の実施形態において、電極24は、解剖学的構造内の固有の生理学的活性の興奮信号(例えば、心臓活動の興奮時間)を検出するように構成されてもよい。
【0038】
電極24は、処理システム32に電気的に接続されてもよい。信号線(不図示)は、バスケット構造体20上の各電極24に電気的に接続されてもよい。これらの線は、軸18を通じて延び、各電極24を処理システム32の入力に電気的に接続するものであってもよい。電極24は、解剖学的領域(例えば、心筋組織)内の電気活動を検出してもよい。検出された活動(例えば、興奮信号)は、電気活動マップ(例えば、ベクトルフィールドマップ、興奮時間マップ等)を作成することによって、診断処理及び/又は処置処理に適する心臓内の1つ以上の部位を医師が特定するのに役立ち得るように、処理システム32によって処理されてもよい。例えば、処理システム32は、近距離場信号成分(例えば、マッピング電極24に隣接する細胞組織に由来する興奮信号)、又は妨害的な遠距離場信号成分(例えば、隣接しない組織に由来する興奮信号)を特定してもよい。近距離場信号成分は、心房心筋組織に由来する興奮信号を含んでいてもよく、一方、遠距離場信号成分は、心室心筋組織に由来する興奮信号を含んでいてもよい。近距離場興奮信号成分を更に分析し、病変の存在を発見し、その病変を処置するための切除(例えば、切除治療)に適した位置を決定してもよい。
【0039】
処理システム32は、専用回路(例えば、個別論理要素及び1つ以上のマイクロコントローラ、メモリ又は1つ以上のメモリユニット、特定用途向けIC(ASIC)、及び/又は、取得した興奮信号を受信及び/又は処理するための、例えば、プログラマブル論理デバイス(PLD)若しくはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等の特別に構成されたプログラマブルデバイス)を含む。少なくとも一部の実施形態では、処理システム32は、汎用マイクロプロセッサ及び/又は特殊マイクロプロセッサ(例えば、興奮信号を処理するために最適化されていてもよいデジタル信号プロセッサ、すなわちDSP)を含み、このマイクロプロセッサは、受信した興奮信号に関連する情報を受信し、分析し、表示するための命令を実行する。このような実装形態では、処理システム32は、プログラム命令を含んでいてもよく、このプログラム命令を実行するときに、信号処理の一部を行う。プログラム命令は、例えば、マイクロプロセッサ又はマイクロコントローラによって実行されるファームウェア、マイクロコード、又はアプリケーションコードを含んでいてもよい。上述の実装形態は、例示的であるに過ぎない。様々な処理システム32が考えられる。
【0040】
一部の実施形態では、処理システム32は、電極24に隣接する心筋組織内の電気活動を測定するように構成されてもよい。例えば、一部の実施形態では、処理システム32は、マッピングされる解剖学的特徴内の主要な回転子又は多様な興奮パターンと関連する電気活動を検出するように構成されてもよい。回転子及び/又は多様な興奮パターンは、心房細動の開始及び持続に何らかの役割を有している場合があり、回転子の経路、回転子のコア及び/又は多様な焦点の切除が、心房細動を終結させるという点で効果的な場合がある。いずれの状況においても、処理システム32は、検出された興奮信号を処理して、例えば、等時マップ、興奮時間マップ、活動電位持続期間(APD)マップ、ベクトルフィールドマップ、等高線マップ、信頼度マップ、心電図、心臓活動電位等の関連する特徴の表示を作成する。関連する特徴は、切除治療に好適な部位を特定するために医師によって使用されてもよい。
【0041】
切除カテーテル16は、1つ以上の切除電極36を担持する可撓性カテーテル本体34を含み得る。電極36は、電極36に切除用エネルギーを送信するように構成された高周波(RF)発生器37(又はその他適切なエネルギー源)に電気的に接続されてもよい。切除カテーテル16は、処置されるべき解剖学的特徴及び構造体20に対して移動可能であってもよい。例えば、1つ以上の切除電極36が標的領域12に隣接して配置される場合、切除カテーテル16は、構造体20の電極24の間に、又は隣接して配置可能であってもよい。
【0042】
処理システム32は、適切な出力装置又は表示装置40にデータを出力してもよく、出力装置又は表示装置40は、医師のために関連情報を表示してもよい。装置40は、CRT、LED、又はその他種類のディスプレイ、プリンタ等であってもよい。装置40は、医師にとって最も役立つ形式で関連する特徴を提示するために使用されてもよい。加えて、処理システム32は、装置40に表示するための位置を特定する出力を生成してもよく、この出力は、医師が、切除電極36を切除のために特定される部位の組織と接触させるのに役立つ。
【0043】
次に
図2において、マッピングカテーテル14の特徴がいくつか示されている。例えば
図2は、ストラット22が概して周方向に間隔を空けてエンドキャップ42まで延在する構造体20を示している。ストラット22は、弾性不活性材料(例えば、Nitinol、他の金属、シリコーンゴム、適切なポリマー等)から作られ、弾性のあらかじめ張力がかけられた状態でベース領域41と端部キャップ42との間で延在し、これらが接触する組織表面に沿うように曲がる。いくつかの実施形態では、構造体20は8つのストラット22により形成されてもよい。別の実施形態では、ストラット22の数はこれよりも多くても少なくてもよい。図示されるように、各ストラット22は、8個のマッピング電極24を担持してもよい。別の実施形態では、各ストラット22に設けられるマッピング電極24の数はこれよりも多くても少なくてもよい。構造体は様々なサイズであることが考えられる。例えば、構造体20は比較的小さくてもよい(例えば、直径40mm以下)。別の実施形態では、構造体20は、更に小さくても、又は大きくてもよい(例えば、直径40mm以上)。
【0044】
摺動鞘部50は、軸18の主要軸に沿って移動可能であってもよい。鞘部50を軸18の先端側に移動させると、鞘部50が構造体20を覆うように移動し、それによって、構造体20がつぶれ、解剖学的構造(例えば、心臓)の内部空間に入れ、及び/又は内部空間から取り出すのに適した、小型で肉薄の状態となり得る。一方、鞘部50を軸18に対して手前に移動させれば、構造体20が露出し、弾性的に膨張し、
図2に記載のバスケット構成となり得る。
【0045】
信号線(不図示)は、各マッピング電極24に電気的に接続されてもよい。信号線は、マッピングカテーテル20の軸18を通って(又は軸18を他の方法で通るか、及び/又は軸18に沿って)ハンドル54内を延び、ハンドル54で、信号線は、外部コネクタ56に連結され、外部コネクタ56は、複数のピンコネクタであってもよい。コネクタ56は、マッピング電極24を処理システム32に電気的に接続するものであってもよい。上述の内容はほんの一例である。マッピングカテーテルによって作られる信号を処理するためのこれらの例及び他の例のマッピングシステム及び方法に関する更なる詳細のいくつかは、米国特許第6,070,094号、同第6,233,491号及び同第6,735,465号の中に見出すことができ、これらの開示内容は、本明細書に参考として組み込まれる。
【0046】
図3はバスケット構造体20の概略側面図であり、システム10の動作を図示している。図示された実施形態において、バスケット構造体は、64個のマッピング電極24を含む。電極24は、8個それぞれのストラット22(符号A,B,C,D,E,F,G及びHが付されている)の上の8個の電極群に配置されている(符号1,2,3,4,5,6,7及び8が付されている)。64個のマッピング電極24の配置が、バスケット構造体20上に配置されていることが図示されているが、マッピング電極24は、この代わりに、異なる数(もっと多いか、又はもっと少ないスプライン及び/又は電極)、異なる構造体、及び/又は異なる位置で配置されてもよい。これに加えて、同じ解剖学的構造又は異なる解剖学的構造で複数のバスケット構造を展開し、異なる解剖学的構造からの信号を同時に得ることができる。
【0047】
バスケット構造体20が、処置されるべき解剖学的構造(例えば、心臓の左心房、左心室、右心房、又は右心室)に隣接して配置されると処理システム32は、解剖学的構造の生理学的活性に関連する各電極24のチャネルからの興奮信号を記録するように構成されてもよい(例えば、電極24は、解剖学的構造の生理学に関連する電気興奮信号を測定する)。生理学的活性の興奮信号は、固有の生理学的活性に応答して、又は複数の電極24のうちの少なくとも1つによって設けられる既定のペーシングプロトコルに基づいて、検出することができる。
【0048】
健康な、反応の良い細胞組織に接触する電極24は、伝搬していく細胞興奮波面の電位の変化を検出するだろう。更に、正常に機能する心臓において、系統的な線形の様式で心筋細胞の放電が起こるだろう。従って、脂肪励起波面の非線形伝搬の検出は、異常な様式での細胞発火の指標となるだろう。例えば、回転するパターンでの細胞発火は、主要な回転子及び/又は多様な興奮パターンの存在を示してもよい。更に、異常な細胞発火の存在は、局在化された標的組織領域で起こる場合があるため、疾患細胞組織又は異常細胞組織の中、又はこれらの隣接した周囲に伝搬するときに、電気活動は、形態、強度又は方向を変えることが可能である。局地的な疾患組織又は異常組織を特定することで、治療処理及び/又は診断処理を行う場所が臨床医に伝達され得る。例えば、凹角又は回転子の電流を含む領域の特定は、疾患細胞組織又は異常細胞組織の領域の指標となるだろう。疾患細胞組織又は異常細胞組織は、切除手技の標的となってもよい。
【0049】
図4は、電極24によって検出される興奮時間を示す興奮マップ72の一例を示す。興奮マップ72は、マッピング電極24を視覚的に示す二次元格子を含んでもよい。例えば、興奮マップ72は、コンステレーションカテーテル又は同様の検出デバイスの上の64個の電極を表す64個の電極空間を示す8×8マトリックスを含んでいてもよい。マッピング電極24は、電極番号(例えば、電極1〜8)及びスプライン位置(例えば、スプラインA〜H)によって組織化及び/又は特定されてもよい。電極及び/又はスプラインの他の組み合わせが想定される。
【0050】
電極24の興奮時間は、標的マッピング電極24で検出される興奮「事象」と、参照電極との間に経過した時間として定義されてもよい。例えば、ストラットAの上の電極1を表すマップ72の空間70は、0.101msの興奮時間を示す。しかし、1つ以上の電極24は、興奮時間を検出し、及び/又は集めることができない場合がある。例えば、スプラインHの上の電極1を表す空間71のような1つ以上の空間は、「?」で示される場合がある。「?」は、複数電極構造体20のその位置に対応する特定の電極が、興奮時間を検出することができないことを示すだろう。従って、「?」は、信号データの欠落を表してもよい。信号データの欠落、及び/又は不完全な興奮マップは、疾患細胞組織又は異常細胞組織の特定を妨げる場合がある。
【0051】
いくつかの実施形態は、興奮マップ72に対応するカラーマップを作成することを含んでいてもよい。個別の興奮時間には、それぞれ異なる色が割り当てられてもよい。色に基づく興奮時間マップを作成するときに、種々の色の組み合わせが含まれていてもよいことが想定される。更に、カラーマップが、ディスプレイに表示されてもよい。更に、カラーマップは、細胞発火の伝搬方向を臨床医が特定するのに役立つ場合がある。興奮マップ72は、確認済みの信号の興奮時間又は色を示してもよく、未確認の興奮時間データ及び/又は欠落した興奮時間データの興奮時間又は色を表示しなくてもよい。興奮時間を区別するための色の使用は、ほんの一例である。他の手段を使用し、興奮時間を区別してもよいことが想定される。例えば、区別する特徴として、テクスチャ、記号、数字等を使用してもよい。
【0052】
興奮マップ72の有用性を最大にするために、未確認の興奮時間を追加することが望ましいだろう。従って、ある実施形態において、欠落した信号データの興奮時間を内挿により興奮時間マップ72に追加、更に/若しくは興奮マップ72を埋めることが望ましいだろう。実際に、互いに近接した電極24は、同様の細胞事象(例えば、脱分極)を経験するであろう。例えば、細胞興奮波面が心房表面を伝搬するにつれて、互いに近接する電極24は、同様に、類似した細胞興奮時間を経験するだろう。従って、内挿法を選択するとき、隣接する電極間の相対的な距離を組み込み、未確認のデータ点を推定するアルゴリズムでこれらの距離を利用する方法を選択することが望ましいだろう。興奮時間を内挿することによって、欠落した電極データを埋める1つの方法は、電極の関係及び/又は確認済みの電極データとの近接さに基づき、欠落した電極データを推定する内挿法を利用する方法である。この方法は、三次元空間での全ての電極24の物理的な位置を特定することと、電極24間の距離を決定することと、欠落した電極値を内挿及び/又は推定することとを含んでいてもよい。次いで、推定された値を使用し、診断表示(例えば、興奮マップ)を追加してもよい。従って、内挿法は、その推定アルゴリズムに隣接する電極情報(例えば、電極間の距離)を組み込んだ任意の内挿法を含んでいてもよい。内挿法の例としては、ラジアルに基づく関数(RBF)及び/又はKriging内挿が挙げられるだろう。上述の内容はほんの一例である。隣接するデータ点の情報を組み込んだ他の内挿法を、本明細書に開示する実施形態と共に利用してもよいことが想定される。
【0053】
本稿記載のように、電極によって収集又は検出されたデータは収集、記憶、又は処理システム32によりその他「処理」されてもよい。これは、データを処理システム32及び/又はシステム10の1つ以上のメモリに記憶することを含む。当該データは、臨床医による患者の評価、診断、及び/又は処置に役立つ。データを効率的に使用するため、データを処理、及び/又は表示装置40に表示してもよい。しかし、三次元表面上の多数の点から集められた時系列情報が、可視化することが困難となる場合もある。従って、時空間情報を統合ディスプレイ(例えば、動的表示)に組み合わせることが望ましい場合がある。当該表示は、例えば電極24の三次元位置、興奮マップ/時間、伝導速度ベクトル、心電図情報等の様々な情報を提供するものである。
【0054】
図5は、動的表示74の一例を概略的に示す。ディスプレイ74は、第1パネル76、第2パネル78、第3パネル80のような複数のパネルを含んでもよい。ディスプレイ74は、出力されてもよいし、臨床医によりそれが視認可能となるよう表示装置40上に「表示」されてもよい。例えば、パネル76/78/80はそれぞれ、臨床医に対して、患者の評価、診断、及び/又は処置に役立ち得る情報を提供してもよい。パネルの数、大きさ、及び/又は形状その他は可変であることが理解されよう。
【0055】
図6は、パネル176/178/180に示すデータのグラフ表示例を含むディスプレイ174の例を示す。各グラフ表示は、電極24(及び/又は電極36)により生理学的パラメータを収集又は検出し、生データ群又は「組」を処理システム32に送信し、メモリ(例えば、処理システム32の一部としてのメモリ)にデータセットを記憶し、所望の通りに利用又は出力可能となるように当該データを処理し、処理されたデータを表示装置40に出力することで形成され得る。動的表示174の各パネル176/178/180上に、多数のデータセットを出力、表示できる。この例では、パネル176は体室(例えば、対象領域12)内の電極24の位置に対応する三次元位置データのグラフ表示を含んでもよい。当該グラフ表示は、電極24がグラフ上の球体として示されている三次元グラフの形態をとる。
【0056】
パネル176に示したグラフ表示は位置データを含んでもよいが、その他データが含まれ、グラフ表示されてもよい。例えば、電極24は測定値データ組のような更なるデータを収集又は検出してもよい。測定値データは、興奮時間、差分指数、優位周波数、振幅等であってもよい。本例では、興奮時間に対応する測定値データをパネル176のグラフ表示に追加又は別の方法でパネル176のグラフ表示に反映してもよい。例えば電極24で検出した興奮時間を、グラフ上の各種球体にカラーコードを付すことで、三次元グラフ上にグラフとして表現できる。即ち、各球体は、電極24の位置のみではなく、各電極24検出した興奮時間に対応する色となるよう、カラーコードが付されてもよい。測定値データを三次元グラフに反映させる方法として、色付けは便利であるが、模様付け、パターン付け等他の方法を利用してもよい。
【0057】
パネル176/178のような任意のパネルに、その他グラフが追加等されて表示されてもよい場合があることが理解されよう。例えば、いくつかの電極24は、パネル176の三次元グラフ上に「X」と表示されてもよい。これは特定の電極が標的組織に接触しなかったことを示す。同様に、パネル178において、いくつかのボックスの中心に「X」が含まれてよい。これにより、当該ボックス内に示された測定値データ(例えば、興奮時間)が内挿値であることを示してもよい。更に、パネル178内のいくつかのボックスは、中心に「白点」を含んでもよい。これは、電気信号が存在するが、測定値データが抽出されなかったため、当該ボックス内に示される測定値データが内挿値であることを示すものであってもよい。
【0058】
パネル178は、更なるデータのグラフ表示を提供してもよい。例えば、電極24が収集し、パネル178に出力する測定値データ組又はその他データである。この例では、測定値データは興奮時間であってもよく、当該興奮時間は、二次元グリッド又はスパース興奮波前マップに表示されてもよい。スパース興奮波前マップは、所望の情報を臨床医に伝達するよう、色付け、模様付け、パターン付け等されてもよい。
【0059】
パネル180は、電極24で検出された電気活動を、心電図又は心電図データとしてグラフ表示するものであってもよい。パネル180は、心電図データ組の時間−振幅(例えば、時間−電圧)表示を示すものであってもよい。これにより、臨床医が、電極24で検出された経時的な電気的活動を視認できるようになり得る。
【0060】
パネル180に示したグラフ表示は心電図データを含んでもよいが、その他データが含まれ、グラフ表示されてもよい。例えば、電極24は測定値データ組のような更なるデータを収集又は検出してもよい。測定値データは、興奮時間、差分指数、優位周波数、振幅等であってもよい。本例では、興奮時間に対応する測定値データをパネル180のグラフ表示に追加又は別の方法でパネル180のグラフ表示に反映してもよい。例えば、表示上で各時間−振幅トレースを色付けすることで、電極24で検出された興奮時間が、時間−振幅表示としてグラフ表示されてもよい。即ち、各心電図は色付けされてもよい。これにより、電極24の時間−電圧関係が示されるのみでなく、色が各電極24で検出された興奮時間に対応し得るのである。測定値データを時間−振幅表示に反映させる方法として、色付けは便利であるが、他の方法を利用してもよい。
【0061】
総じて、所望の情報を臨床医に伝達するため、表示174がディスプレイ装置40に表示される。パネル176/178/180の内少なくともいくつかは、経時的に動的に更新されてもよい。例えば、少なくともパネル180を動的に更新してもよい。いくつかの実施形態では、リアルタイム情報が表示可能なように、各パネル176/178/180を経時的に更新してもよい。この通りに複数の情報を表示することで、臨床医がより容易に効率的に患者を評価、診断、及び/又は処置することができるようになる。
【0062】
図7は、ディスプレイ174がいかに経時的に更新され、動的動画として表示され得るかを概略的に示す。同図では、動画の第1表示又はフレーム174aは、パネル176/178/180に有用なデータをグラフ表示するものであってもよい。後続の表示又はフレーム174a/174c等は更に、異なる時点での有用なデータをグラフ表示するものであってもよい。ディスプレイ174は、連続的に更新されてもよい。これにより、臨床医に動画による、データのリアルタイムグラフ表示が提供され、患者の評価、診断及び/又は処置がより効率的となる。
【0063】
本開示は、多くの点において、単なる例示であることが理解されるべきである。本発明の範囲を超えることなく、詳細、特に、形状、サイズ及び工程の配置に関して、変更を行ってもよい。これは、適切な範囲で、他の実施形態において使用されている1つの例示的な実施形態の特性のうちのいずれかの使用を含んでもよい。本発明の範囲は、当然のことながら、添付の特許請求の範囲が明示される言語において定義される。