特許第6248320号(P6248320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248320
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/08 20060101AFI20171211BHJP
   G01D 11/28 20060101ALI20171211BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   G09F13/08
   G01D11/28 B
   B60K35/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-18720(P2014-18720)
(22)【出願日】2014年2月3日
(65)【公開番号】特開2015-145964(P2015-145964A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2017年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(74)【代理人】
【識別番号】100180068
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 怜史
(72)【発明者】
【氏名】桑原 康次
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−309157(JP,A)
【文献】 特開2002−156925(JP,A)
【文献】 実開昭63−120122(JP,U)
【文献】 特開2011−196972(JP,A)
【文献】 特開2010−198008(JP,A)
【文献】 特開2011−170076(JP,A)
【文献】 特開2009−58458(JP,A)
【文献】 実開平5−66520(JP,U)
【文献】 国際公開第2004/101307(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/00−13/46
B60K 35/00−37/06
G01D 11/00−13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過照明が可能な表示部を有する透明な基板材と、
該基板材の裏面側に配設された照明用光源と、を備えた照明装置において、
前記表示部が、前記基板材の手前面側に形成された透光性の照明部と、該照明部の周囲を取り囲む不透光性の縁取部と、を有すると共に、前記表示部の裏側に半透光性の透過反射層が形成され、
更に、前記基板材の裏面側に、不透光性または半透光性の金属調反射層が、前記照明部と対向する光透過部を除いて形成されたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記縁取部が、前記基板材の板厚よりも大きい幅寸法を有することを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の照明装置であって、
前記基板材の手前面または前記透過反射層に、基板材の裏面側へ向けて反射された光を拡散させる光拡散部を設けたことを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車室内に計器装置が設けられている。この計器装置は、夜間照明や加飾照明が可能な照明装置とされている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この照明装置は、少なくとも、透過照明が可能な表示部を有する透明な基板材と、この基板材の裏面側に配設された照明用光源と、を備えたものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−20294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記照明装置には、以下のような問題があった。
即ち、加飾のために、基板材の表示部以外の背景色を金属調にすること(例えば、基板材に金属調の背景印刷を施すこと)が行われている。しかし、このようにした場合でも、昼間は外光によって基板材全体が照らされるため基板材の背景が金属調に見えるものの、夜間照明時には基板材全体を照明する光源が特に存在していないため、基板材の背景が暗くなってしまい、基板材の背景を金属調に見せることはできなかった。
【0006】
そこで、本発明は、上記した問題点を解決することを、主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、
透過照明が可能な表示部を有する透明な基板材と、
該基板材の裏面側に配設された照明用光源と、を備えた照明装置において、
前記表示部が、前記基板材の手前面側に形成された透光性の照明部と、該照明部の周囲を取り囲む不透光性の縁取部と、を有すると共に、前記表示部の裏側に半透光性の透過反射層が形成され、
更に、前記基板材の裏面側に、不透光性または半透光性の金属調反射層が、前記照明部と対向する光透過部を除いて形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。
即ち、照明用光源からの光は、基板材の裏面側に部分的に形成された光透過部を通過し、基板材の内部を通って基板材の手前面側に形成された表示部へ到達する。表示部に到達した直接光は、一部が半透光性の透過反射層および透光性の照明部を通って基板材の手前面側へ抜けると共に、残りが半透光性の透過反射層および不透光性の縁取部によって遮られる。これにより、表示部を、照明部が透過照明されると共に、照明部の周囲を縁取部で縁取ったように見せることができる。
そして、半透光性の透過反射層および不透光性の縁取部で遮られた照明用光源からの光は、裏面側の金属調反射層へ向けて反射され、更に、金属調反射層で手前面側へ反射されて、表示部における縁取部の周囲の部分から基板材の手前面側へ通り抜けることになる。これによって、表示部の縁取部の周囲の部分を金属調に照明することができる。以って、夜間などの照明時においても、背景が金属調であるかのように視認させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例にかかる照明装置の正面図である。
図2図1の断面図である。
図3図1のこの実施例の効果を示す、照明装置の部分拡大正面図である。
図4】光拡散部の一例(レンズ部)を示す部分拡大断面図である。
図5】光拡散部の他の例(マイクロレンズ)を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1図3は、この実施の形態を説明するためのものである。
【実施例1】
【0011】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
自動車などの車両の車室内に計器装置を設ける。この計器装置を、図1の正面図、図2の断面図に示すように、夜間照明や加飾照明が可能な照明装置1とする。
また、上記した照明装置1は、少なくとも、透過照明が可能な表示部2を有する透明な基板材3と、この基板材3の裏面側に配設された照明用光源4と、を備えたものとされる。
【0012】
ここで、上記した計器装置は、文字板と、この文字板の表面に沿って回動可能な指針Nとを有するものとされる。上記した照明装置1は、計器装置の文字板を照明するためのもの(文字板照明装置)とされる。そして、上記基板材3は、文字板を構成するもの(文字板基材)とされる。上記表示部2は、目盛や数値などの指標部や、計器装置の種類や表示単位などを示す文字表示(例えば、回転計であることを間接的に示す「×1000r/min」(図3参照))などの表示を行うものとされる。上記した「基板材3」は、樹脂製のものとされる。上記した「照明用光源4」には、LEDなどが使用される。
【0013】
そして、上記構成に対し、この実施例では、以下のようにしている。
【0014】
(1)上記表示部2が、上記基板材3の手前面側に形成された透光性の照明部11と、この照明部11の周囲を取り囲む不透光性の縁取部12と、を有するものとされる。また、表示部2の裏側に半透光性の透過反射層13が形成される。
更に、上記基板材3の裏面側に、不透光性または半透光性の金属調反射層14が、上記照明部11と対向する光透過部15を除いて形成される。
【0015】
ここで、上記した「縁取部12」は、例えば、黒色印刷層などとすることができる。また、上記した「透過反射層13」は、白色印刷層などとすることができる。透過反射層13は、縁取部12からハミ出さないように形成される。透過反射層13と縁取部12とは、基板材3の手前面側に順に形成される。
【0016】
そして、上記した「金属調反射層14」は、主に、シルバー印刷などのミラー印刷層を有するものとされる。金属調反射層14の手前側には、金属面の表面模様(例えば、ヘアーラインやスピン模様など)を模した透明な模様印刷層16を施すことができる。ミラー印刷層の裏面側には、必要に応じて、黒色印刷などの不透過層17を施すことができる。模様印刷層16と金属調反射層14と不透過層17とは、基板材3の裏面側に順に形成される。上記した「光透過部15」は、基本的に、照明部11と同じ大きさにする。但し、照明用光源4からの光Lの光量によって、光透過部15を、照明部11よりも大きくしたり、小さくしたり調整・設定することは可能である。
【0017】
(2)上記縁取部12が、上記基板材3の板厚tよりも広い幅寸法wを有するものとされる(t≦w)。
【0018】
ここで、「基板材3の板厚t」は、概ね、0.5mm〜1.0mm程度のものとされる。ここでは、「よりも広い」は、「同じか、または、それよりも広い」の意味を有するものとする。
【0019】
(3)上記基板材3の手前面または上記透過反射層13に、基板材3の裏面側へ向けて反射された光Lを拡散させる光拡散部31を設けることができる。
【0020】
ここで、光拡散部31は、図4に示すように、基板材3の手前面(における縁取部12の部分)を僅かに凹ませることによってレンズ効果を持たせたレンズ部32とすることができる。レンズ部32は、得ようとする光Lの拡散効果に応じて、その大きさや深さを任意に設定することができる。また、光拡散部31は、図5に示すように、透過反射層13を、表面張力などで半球状とされたマイクロサイズのドットからなるマイクロドット印刷にすることによって形成する(マイクロレンズ33とする)ことができる。
【0021】
<作用効果>この実施例によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0022】
上記した計器装置は、文字板の表面に沿って回動する指針Nが指し示す目盛や数値を読むことにより、運転情報を読み取ることができる。そして、夜間などに照明用光源4を点灯することにより、計器装置の文字板を照明することができる。
【0023】
この際、昼間は外光によって文字板全体が照らされるため、文字板(基板材3の背景)が金属調に見える。
【0024】
また、夜間照明時に照明用光源4を点灯すると、以下のように、基板材3の背景の少なくとも一部を金属調に見せることができる(図3参照)。
【0025】
(1)照明用光源4からの光Lは、基板材3の裏面側に部分的に形成された光透過部15を通過し、基板材3の内部を通って基板材3の手前面側に形成された表示部2へ到達する。表示部2に到達した直接光(光L)は、一部が半透光性の透過反射層13および透光性の照明部11を通って基板材3の手前面側へ抜けると共に、残りが半透光性の透過反射層13および不透光性の縁取部12によって遮られる。これにより、表示部2を、照明部11が透過照明されると共に、照明部11の周囲の部分を縁取部12で縁取ったように見せることができる。
そして、半透光性の透過反射層13および不透光性の縁取部12で遮られた照明用光源4からの光Lは、裏面側の金属調反射層14へ向けて反射され、更に、金属調反射層14で手前面側へ反射されて、表示部2における縁取部12の周囲の部分から基板材3の手前面側へ通り抜けることになる。これによって、表示部2の縁取部12の周囲を金属調に照明することができる。以って、夜間などの照明時においても、背景が金属調であるかのように視認させることができる。
【0026】
(2)縁取部12を、基板材3の板厚tよりも広い幅寸法wにした。これにより、光透過部15を通過した照明用光源4からの直接光(光L)が、基板材3の内部で広がって表示部2に到達しても、縁取部12を直接光(光L)の広がり範囲よりも大きなものとすることができるので、即ち、縁取部12が光透過部15からの直接光(光L)を遮蔽可能な幅寸法wを有するものとなるので、直接光(光L)が縁取部12の周囲を通って基板材3の手前面側へ直接抜けてしまうようなことが有効に防止される。即ち、縁取部12によって、直接光(光L)の光漏れを積極的にカットすることができる。そのため、光漏れによって、金属調の背景や縁取部12の輪郭がボケたり、表示部2の照明が見づらくなったりするようなことが防止でき、例えば、薄暮時のような視認し難い時間帯などであっても、表示部2の照明や輪郭を明瞭に見せることが可能となる。
【0027】
また、縁取部12の幅寸法wを大きくすることにより、縁取部12の裏面側の透過反射層13も大きくすることができるので、より多くの光Lを裏面側の金属調反射層14へ向けて反射することができるようになり、金属調の背景の照明範囲を、より広くしたり明瞭化したりすることができる。
【0028】
(3)基板材3の手前面または透過反射層13に光拡散部31を設けた。これにより、光拡散部31で照明用光源4からの直接光(光L)を拡散させて、(基板材3の裏面側の)金属調反射層14のより広い範囲へ向けて反射させることができる。よって、金属調の背景の照明範囲を、更に広くしたり明瞭化したりすることができる。
【0029】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものである。よって、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例がこの発明のものとして開示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【符号の説明】
【0030】
1 照明装置
2 表示部
3 基板材
4 照明用光源
11 照明部
12 縁取部
13 透過反射層
14 金属調反射層
15 光透過部
31 光拡散部
t 板厚
w 幅寸法
L 光
図1
図2
図3
図4
図5