(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248324
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】浴室用液晶テレビ装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20171211BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20171211BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20171211BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
G09G3/20 691G
G09G3/20 611A
G09G3/20 612G
H04N5/64 501Z
G09G3/36
G02F1/133 580
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-249556(P2012-249556)
(22)【出願日】2012年11月13日
(65)【公開番号】特開2014-98761(P2014-98761A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2015年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】高間 司
【審査官】
武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−288259(JP,A)
【文献】
特開2007−171538(JP,A)
【文献】
特開平7−294844(JP,A)
【文献】
鶴見 辰吾,画像ラボ,日本,日本工業出版株式会社,2011年 9月10日,第22巻, 第9号,第47−51頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 − 3/38
G02F 1/133
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示部を備え、浴室の壁面に固定される浴室用液晶テレビであって、液晶表示部に表示されるテレビ画像を鑑賞する鑑賞者の顔を撮像するカメラを備え、このカメラで撮像した画像から鑑賞者の顔を認識する顔認識手段と、顔認識手段により認識された顔の位置と液晶表示部との相対位置を求め、その相対位置に応じて液晶表示部の視野角補正を行う視野角補正手段とを備え、更に、上記顔認識手段は鑑賞者の目が開いているか否かを検知し、目が閉じられている時間が所定時間継続すると上記液晶表示部のテレビ画像の表示を停止するものにおいて、目が閉じられている時間がこの所定時間を超えて継続した場合に、上記鑑賞者に対する呼び掛け音声を発音することを特徴とする浴室用液晶テレビ装置。
【請求項2】
上記呼び掛け音声を発音した場合であって、目が閉じられている状態が更に継続した場合には、別途設けたスピーカから浴室外に報知音声を流すことを特徴とする請求項1に記載の浴室用液晶テレビ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の壁面に固定して使用される浴室用液晶テレビ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室内で入浴中などにテレビ鑑賞をしたいというニーズは以前からあり、ブラウン管式のテレビ装置の時代から浴室でテレビ画像を鑑賞する浴室用テレビ装置が多数発明されてきた。近年ではブラウン管に変わって液晶表示ユニットが用いられ、テレビ装置のハウジング自体が防水構造となり、浴室の壁面に直接取り付けることができるようになった。
【0003】
但し、液晶表示ユニットはその構造上、視野角に制限が生じてしまう。液晶表示ユニットを正面から鑑賞する場合には問題は生じないが、上下方向の一方から斜めに鑑賞する場合には画面が全体に白くなり、逆方向である他方から斜めに鑑賞すると逆に画面が黒くなるという特性がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−281622号公報(段落0005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
浴室の壁面には給湯装置の作動を制御するリモコンが取り付けられており、浴室用テレビを後から取り付ける場合にはリモコンを避ける必要があるため、所定の取付位置から上下にずれた位置に取り付けざるを得ない場合が生じる。また、所定の位置に取り付けることができたとしても、鑑賞する入浴者の姿勢が変わることにより目の高さが上下する。
【0006】
浴室用テレビ装置は壁面に固定するため、画面の仰角を自由に変更することができないので、液晶表示ユニットの正面から目が上下にずれた位置で画面を鑑賞すると、上述のように画面全体が白くなり、あるいは黒くなる場合が生じる。
【0007】
このような場合には、画面設定で輝度を増減させたりガンマ補正をすることにより視野角補正をすれば画像は改善されるが、このような画面設定は通常頻繁に行う操作ではないため、階層の深い位置に設定されている場合が多く、使用者は画面設定操作が煩わしいばかりか、そのような画面設定ができることを知らない場合がある。そのため、上記のような、画面が白く、あるいは黒くなった場合にそのまま我慢してテレビ画像を鑑賞し続けることになる。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、視野角補正を自動的に行うことのできる浴室用液晶テレビ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明による浴室用液晶テレビ装置は、液晶表示部を備え、浴室の壁面に固定される浴室用液晶テレビであって、液晶表示部に表示されるテレビ画像を鑑賞する鑑賞者の顔を撮像するカメラを備え、このカメラで撮像した画像から鑑賞者の顔を認識する顔認識手段と、顔認識手段により認識された顔の位置と液晶表示部との相対位置を求め、その相対位置に応じて液晶表示部の視野角補正を行う視野角補正手段とを備え、更に、上記顔認識手段は鑑賞者の目が開いているか否かを検知し、目が閉じられている時間が所定時間継続すると上記液晶表示部のテレビ画像の表示を停止するものにおいて、目が閉じら
れている時間がこの所定時間を超えて継続した場合に、上記鑑賞者に対する呼び掛け音声を発音することを特徴とする。
【0010】
視野角補正を行うためには液晶表示部と鑑賞者の顔との相対的な位置関係を知る必要がある。そこで、上記カメラの撮像画像から鑑賞者の顔を認識してその顔の位置を求めるようにした。
【0011】
なお、音楽番組などでは必ずしも液晶表示部の画像を鑑賞し続ける必要がなく、目を閉じて音声を鑑賞する場合がある。そのような場合には液晶表示部に画像を表示し続ける必要がないので、上記顔認識手段は鑑賞者の目が開いているか否かを検知し、目が閉じられている時間が所定時間継続すると上記液晶表示部のテレビ画像の表示を停止するが、目が閉じられいている時間がこの所定時間を超えて継続した場合に、上記鑑賞者に対する呼び掛け音声を発音するようにした。また、呼び掛け音声を発音した場合であって、目が閉じられている状態が更に継続した場合には、
別途設けたスピーカから浴室外に報知音声を流すようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明は、鑑賞者の顔の位置を検知するので、その顔の位置に応じて適切な視野角補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】浴室用液晶テレビ装置の取り付け状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
1は本発明による浴室用液晶テレビ装置(以下、テレビ装置という)であり、浴室の壁面BWに固定されている。RCは給湯装置のリモコンで有り、通常はテレビ装置1の上下位置に固定されている。このテレビ装置1の画像を鑑賞する際には浴槽BT内に入浴している姿勢で鑑賞する場合が多い。なお、
図1には示していない赤外線のリモコンが有り、テレビ装置1の通常の操作はそのリモコンによって行う。
【0015】
テレビ装置1の取付位置は上記給湯装置用のリモコンRCの取付位置によって変更せざるを得ない場合が有り、その場合には理想的な位置よりも上下に変位した位置に取り付けられる場合がある。また、浴槽BT内で入浴中の鑑賞者の体格の大小や姿勢の変更によって、テレビ装置1と鑑賞者の目との相対的位置が変化する場合が有り、テレビ装置1の正面から鑑賞できない場合には視野角補正を行う必要が生じる場合がある。
【0016】
図2を参照して、テレビ装置1には液晶表示ユニットによる表示部11が正面中央に設けられている。また、この表示部11の上方にはカメラ2が設けられている。このカメラ2はテレビ装置1が作動中は常に撮像し続けるように設定されている。
【0017】
上述のように、表示部11は液晶表示ユニットを用いているので、正面よりも例えば上方から見下ろすように鑑賞すると、画像のコントラストが失われ、全体的に白くなる。逆に下方から見上げるように鑑賞すると、画像は全体的に黒くつぶれてしまい、画像を識別できなくなる。このような場合にはガンマ補正などの視野角補正をすれば、表示される画像の視認性が改善されるが、その視野角補正を行うためには表示部11と鑑賞者の顔の位置との相対的な位置関係を知らなければならない。
【0018】
そこで、上記カメラ2で撮像した画像から鑑賞者の顔を認識するようにした。
図3を参照して、FLは撮像されたカメラ画像のフレームで有り、そのフレームFL内に鑑賞者Pが撮像されていれば鑑賞者Pの顔Fを認識し、その認識した顔Fに認識枠3を設定する。続いて、その認識枠3の位置を求めて、その上下方向の位置から上記視野角補正の程度を決定する。視野角補正の程度が決定されると、テレビ装置1に内蔵されている図示しない制御装置が表示部11の表示画像に対して視野角補正を行う。
【0019】
ところで、顔Fを認識する際に同時に顔Fの目Eを識別し、目Eが開いている状態では表示部11に画像を表示させるが、目Eが閉じられると、閉じられた時点から所定時間(10秒程度)閉じられた状態が維持されると、表示部11の画像表示を停止して消費電力の低減を図るようにした。
【0020】
更に、目を閉じた状態が10分程度継続すると、テレビ装置1より鑑賞者Pに対して呼び掛け音声を発音させ、それでも目Eが開かない場合には、浴室外に図外のスピーカから報知音声が流れるように構成してもよい。
【0021】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0022】
1 テレビ装置
2 カメラ