特許第6248325号(P6248325)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248325
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】直流給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/16 20060101AFI20171211BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   H02H3/16 A
   H02J1/00 309S
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-28061(P2013-28061)
(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公開番号】特開2014-158364(P2014-158364A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2016年2月9日
【審判番号】不服-3257(P-3257/J1)
【審判請求日】2017年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】篠木 秀友
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 剛
【合議体】
【審判長】 中川 真一
【審判官】 堀川 一郎
【審判官】 遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−223801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に対して正負の直流電圧を各母線により供給すると共に前記負荷側には前記各母線とグランドとの間に雑音を除去するための第1のコンデンサが設けられている直流給電システムにおいて、
前記正負の直流電圧の出力側の間に2つの第2のコンデンサが直列に接続され、前記2つの第2のコンデンサの接続点が抵抗を介在して前記グランドに接続されている第1の直列回路と、
前記正負の直流電圧の出力側の間に2つの抵抗が直列に接続され、前記2つの抵抗の接続点がグランドに接続されている第2の直列回路と、
を備え、
前記第2の直列回路が並列に接続されている第1の直列回路では、前記第2のコンデンサの接続点がゼロ電圧であり、
前記母線に漏電が発生したときに、前記各第1のコンデンサの充放電で発生するアンバランスであって、前記第1の直列回路の各第2のコンデンサと前記第2の直列回路の各抵抗とで形成されるブリッジ回路のアンバランスにより発生する、前記第2のコンデンサの接続点の電圧変化に基づき漏電を検出する、
ことを特徴とする直流給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、直流電圧を装置に供給する際の異常を検出する直流給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
直流給電として高電圧直流給電(HVDC:High Voltage Direct Current)がある。例えば多数のサーバーを収容するデータセンターの場合、交流電源を各サーバーに供給する代わりに、高電圧直流給電により、直流高電圧を各サーバーに供給する。こうした直流給電によれば、各サーバーでの交流から直流への変換を不要にするので、電気の効率的な利用が行われる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この高電圧直流給電を行うための給電システムの一例を図3に示す。この給電システムは、電源装置110と母線120A、120Bと漏電検出器130と検出装置140とを備え、直流高電圧を電子装置200に供給する。直流高電圧の中点電位は、高抵抗を介してグランドに接続されている。電源装置110は、交流電源等から直流高電圧を生成し、この直流高電圧を母線120A、120Bに出力する。母線120A、120Bは、直流高電圧を電子装置200に送る。
【0004】
電子装置200の入力側には、雑音を抑えるためのYコンデンサ(Yコン)として、コンデンサC211、C212が設けられている。コンデンサC211は、直流高電圧を送るための正側の母線120A側とグランドとの間に接続され、コンデンサC212は、直流高電圧を送るための負側の母線120B側とグランドとの間に接続されている。電子装置では、雑音等が除去された正負の直流高電圧が電子装置本体210に加えられる。なお、給電システムが例えばデータセンターに設置されている場合には、電子装置200はサーバー等の機器である。そして、図示を省略しているが、複数の電子装置200が母線120A、120Bに対して並列に接続されて、それぞれに直流高電圧が供給されている。
【0005】
漏電検出器130は、漏電により母線120A、120Bからグランドに流れる異常電流を検出する。なお、漏電による異常電流は、母線120Aまたは母線120Bに対して導電性の異物等や作業者が接触したときに、母線120A、120Bから異物等や作業者を通ってグランドに流れる電流である。漏電検出器130は抵抗R1〜R5で構成されている。漏電検出器130では、抵抗値の等しい抵抗R1と抵抗R2との直列回路が母線120Aと母線120Bとの間に接続され、同じく、抵抗値の等しい抵抗R3と抵抗R4との直列回路が母線120Aと母線120Bとの間に接続されている。そして、抵抗R1と抵抗R2との接続点131が抵抗R5を経てグランドに接続され、抵抗R3と抵抗R4との接続点132が直接、グランドに接続されている。つまり、抵抗R1〜R4によるブリッジ回路が形成されている。
【0006】
漏電検出器130は、抵抗R1〜R4によるバランスで、抵抗R1と抵抗R2との接続点131がゼロ電圧にされている。この状態で、例えば図4に示すように、正側の母線120Aに、異物による漏電事故が発生し、事故点121からグランドに異常電流が流れる。この異物が持つ抵抗が漏電検出器130の抵抗R3に対して並列に接続される。これにより、漏電検出器130の抵抗R1〜R5によるブリッジ回路がアンバランスになり、ゼロ電圧であった、抵抗R1と抵抗R2との接続点131では、電圧が発生することになる。つまり、漏電事故が発生すると、漏電検出器130がこの漏電事故を検出する。漏電検出器130は、接続点131の電圧を検出信号として、検出装置140に出力する。なお、抵抗R3と抵抗R4の抵抗値が無限大、つまり無くても、異物の抵抗と抵抗R1、R2、R5でブリッジ回路が構成されるので、同様に検出可能である。
【0007】
検出装置140は、漏電事故発生を表す検出信号を漏電検出器130から受け取ると、ブリッジ回路のアンバランスを検出し、例えば警報の出力や直流高電圧の遮断等を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−193614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、先に述べた給電システムには、次の課題がある。この給電システムでは、漏電事故で発生する異常電流に対して、漏電検出器と高抵抗接中点地方式で対応している。つまり、漏電検出器130のブリッジ回路は、母線の正側または負側と対グランド間に抵抗R1〜R4を配置し、バランスを検出している。
【0010】
例えば人体が感電した時には、ブリッジ回路がアンバランスを検出する。しかし、対グランド間に入っているコンデンサC211、C212と事故点121との間の抵抗成分が、他の流路の抵抗成分に比べて、ほぼゼロに等しいので、コンデンサC211の放電電荷とコンデンサC212への充電電荷が電流i121として人体に流れ続ける。そして、電荷が平衡してからアンバランスが検出されるため、ブリッジ回路のアンバランス検出に時間がかかっている。検出までの時間は、異物である人体抵抗と対グランド間のコンデンサ容量の時定数で決まり、対グランド間のコンデンサ容量はサーバーの数に比例して大きくなる。対グランド間のコンデンサ容量が大きいと、検出までの時間が長くなり、人体への悪影響が大きくなるおそれがある。
【0011】
この発明の目的は、前記の課題を解決し、漏電等の事故を検出する時間を短縮することを可能にする直流給電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、負荷に対して正負の直流電圧を各母線により供給すると共に前記負荷側には前記各母線とグランドとの間に雑音を除去するための第1のコンデンサが設けられている直流給電システムにおいて、前記正負の直流電圧の出力側の間に2つの第2のコンデンサが直列に接続され、前記2つの第2のコンデンサの接続点が抵抗を介在して前記グランドに接続されている第1の直列回路と、前記正負の直流電圧の出力側の間に2つの抵抗が直列に接続され、前記2つの抵抗の接続点がグランドに接続されている第2の直列回路と、を備え、前記第2の直列回路が並列に接続されている第1の直列回路では、前記第2のコンデンサの接続点がゼロ電圧であり、前記母線に漏電が発生したときに、前記各第1のコンデンサの充放電で発生するアンバランスであって、前記第1の直列回路の各第2のコンデンサと前記第2の直列回路の各抵抗とで形成されるブリッジ回路のアンバランスにより発生する、前記第2のコンデンサの接続点の電圧変化に基づき漏電を検出する、ことを特徴とする直流給電システムである。
【0013】
請求項1の発明では、負荷に対して直流電圧を供給する直流給電システムにおいて、第1の直列回路の各コンデンサと第2の直列回路の各抵抗とで形成されるブリッジ回路がバランスしている。こうした状態のときに、直流電圧の正側または負側の出力で漏電事故が発生すると、第1の直列回路のコンデンサが充放電を開始する時点で、ブリッジ回路がアンバランスになる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、漏電が発生して、負荷側の第1のコンデンサが電荷の充放電開始直後に、ブリッジ回路がアンバランスになるので、ブリッジ回路のアンバランスを高速で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の実施の形態1による直流給電システムの一例を示す構成図である。
図2】漏電が発生した直流給電システムを示す構成図である。
図3】給電システムの一例を示す構成図である。
図4】漏電が発生した流給電システムを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、この発明の各実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0017】
(実施の形態1)
この実施の形態による直流給電システムを図1に示す。なお、この実施の形態では、先に説明した図3および図4と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。図1の直流給電システムは、電源装置110と母線120A、120Bと検出装置140と漏電検出器10とを備え、グランドに対して正負の直流高電圧を負荷である電子装置200に供給する。給電システムが例えばデータセンターに設置されている場合には、電子装置200はサーバー等の機器である。なお、負荷である電子装置200がサーバーである場合、サーバーは、例えば数百ボルトの直流高電圧を母線120A、120Bから受けると、この電圧の降圧を行って、数十ボルト電圧の電源としている。
【0018】
直流給電システムの漏電検出器10は、抵抗R3、R4およびコンデンサC11、C12と、抵抗R11とで構成されている。
【0019】
漏電検出器10のコンデンサC11はコンデンサC12と直列に接続されて直列回路を構成し、この直列回路が母線120Aと母線120Bとの間に接続されている。つまり、コンデンサC11とコンデンサC12との直列回路が、電子装置200のコンデンサC211とコンデンサC212との直列回路に対して、並列に接続されている。これにより、コンデンサC11とコンデンサC12にはコンデンサC211とコンデンサC212に流れる電流を検出できる。コンデンサC11、C12の直列回路では、コンデンサC11、C12の接続点21が高い抵抗値の抵抗R11を介在してグランドに接続されている。
【0020】
漏電検出器10のブリッジ回路のコンデンサC11、C12と抵抗R3、R4とはバランスしている。これにより、コンデンサC11、C12の接続点21がゼロ電圧にされている。
【0021】
ブリッジ回路がバランスしているとき、漏電検出器10は、ゼロ電圧の検出信号を接続点21から検出装置140に送る。また、ブリッジ回路がアンバランスの状態になると、ゼロ電圧であった接続点21には、電圧変化が発生する。これにより、漏電検出器10は、電圧変化を検出信号とし、この検出信号を接続点21から検出装置140に送る。
【0022】
以上が直流給電システムの構成である。次に、この直流給電システムの動作について説明する。通常、電源装置110は、母線120A、120Bを経て、直流高電圧を電子装置200に供給する。このとき、漏電検出器10のブリッジ回路はバランスしているので、漏電検出器10はゼロ電圧の検出信号を検出装置140に送る。
【0023】
ところで、例えば図2に示すように、直流高電圧を供給する正側の母線120Aに作業者が感電する漏電事故が発生すると、先の図4と同様に、対グランド間に入っている、電子装置200のコンデンサC211とコンデンサC11の放電電荷と、コンデンサC12、C212への充電電荷が電流i30として人体に流れようとする。つまり、事故点30との間の抵抗成分が、抵抗R3、R4の抵抗成分に比べて、ほぼゼロに等しいので、コンデンサの電荷が流れようとする。そして、コンデンサの充放電開始直後に、漏電検出器10のブリッジ回路がアンバランスの状態となる。このとき、抵抗R11には感電電流の(C11+C12)/(C11+C12+C211+C212)の分の電流が流れる。
【0024】
この結果、漏電検出器10は、発生した電圧変化を検出信号とし、この検出信号を接続点21から検出装置140に出力する。これにより、検出装置140は、漏電事故発生を表す検出信号を、漏電検出器130から受け取ると、ブリッジ回路のアンバランスを検出し、例えば警報の出力や直流高電圧の遮断等を行う。
【0025】
こうして、この実施の形態によれば、漏電事故が発生して、電子装置200のコンデンサC211、C212が電荷の充放電開始直後に、漏電検出器10のブリッジ回路がアンバランスになる。これに対して従来は、電荷が放電してからアンバランスを検出するので、この実施の形態によれば、ブリッジ回路のアンバランスを高速で検出することができる。
【0026】
(実施の形態2)
この実施の形態では、実施の形態1の電子装置200のコンデンサC211、C212が電子装置本体210に接続されていない状態である。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。
【符号の説明】
【0027】
10 漏電検出器
C11、C12 コンデンサ(第2のコンデンサ)
R11 抵抗
110 電源装置
120A、120B 母線
140 検出装置
200 電子装置
C211、C212 コンデンサ(第1のコンデンサ)
図1
図2
図3
図4