(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248351
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】挟角可変の扁平ディスク面を有する閉鎖栓
(51)【国際特許分類】
A61F 2/02 20060101AFI20171211BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20171211BHJP
A61B 17/12 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
A61F2/02
A61B17/00 500
A61B17/12
【請求項の数】22
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-555567(P2015-555567)
(86)(22)【出願日】2014年1月20日
(65)【公表番号】特表2016-504941(P2016-504941A)
(43)【公表日】2016年2月18日
(86)【国際出願番号】CN2014070929
(87)【国際公開番号】WO2014117661
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2015年10月19日
(31)【優先権主張番号】201310043462.7
(32)【優先日】2013年2月4日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515213733
【氏名又は名称】先健科技(深▲せん▼)有限公司
【氏名又は名称原語表記】LIFETECH SCIENTIFIC(SHENZHEN)CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100200528
【弁理士】
【氏名又は名称】水村 香穂里
(72)【発明者】
【氏名】庄少春
【審査官】
川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2006/0217760(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第102440810(CN,A)
【文献】
特開2009−000497(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0062844(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0200196(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/02
A61B 17/00
A61B 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単層ディスクと栓体を含む閉鎖栓であって、前記単層ディスク及び前記栓体を連結する腰部をさらに含み、前記単層ディスクは、弾性編組線が編組されてなる、連動機構と放射状に配置された複数の支持棒とを含み、
前記連動機構は、前記複数の支持棒の弾性編組線が前記単層ディスクの中央を周回して編組されてなり、前記複数の支持棒は、前記連動機構によって一体に連結され、
前記単層ディスクの最大厚さは、編組される前記弾性編組線の直径の和と同じであることを特徴とする、閉鎖栓。
【請求項2】
前記単層ディスクの中央付近に接近する領域で、前記複数の支持棒の1つ支持棒の各編組線は他の複数の支持棒の複数の編組線と順次重なり合って前記連動機構を形成することを特徴とする請求項1に記載の閉鎖栓。
【請求項3】
各前記支持棒の横断面は、1組の2本から8本の弾性編組線を含むことを特徴とする請求項1に記載の閉鎖栓。
【請求項4】
前記単層ディスクの複数の支持棒は、対をなすように配置され、各対の支持棒は、単層ディスクの同一直径に位置することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の閉鎖栓。
【請求項5】
各対の前記支持棒の各組の弾性編組線は2つのサブグループに分けられ、前記2つのサブグループの弾性編組線はそれぞれ前記連動機構の中心点の両側から前記中心点を迂回することを特徴とする請求項4に記載の閉鎖栓。
【請求項6】
前記支持棒は、L字状、S字状または円弧状に折り曲げられることを特徴とする請求項1に記載の閉鎖栓。
【請求項7】
前記支持棒の端部に接近する一端はばね状に設置されることを特徴とする請求項1に記載の閉鎖栓。
【請求項8】
各前記支持棒の端部には鈍化部が設けられ、前記鈍化部は、前記編組線の端部を覆うことを特徴とする請求項1に記載の閉鎖栓。
【請求項9】
前記単層ディスクの縁部と前記栓体の距離は、前記栓体の中心と前記単層ディスクの間の距離より短いことを特徴とする請求項1に記載の閉鎖栓。
【請求項10】
前記単層ディスクは、M字状の縦断面を有して中央が突出する構造であり、前記連動機構は前記栓体に向かって突出し、前記支持棒の端部は、前記栓体に向かって折り曲げられることを特徴とする請求項1に記載の閉鎖栓。
【請求項11】
前記単層ディスクは、流れ阻止膜をさらに含み、前記流れ阻止膜は、前記支持棒及び前記連動機構を覆うことを特徴とする請求項1に記載の閉鎖栓。
【請求項12】
前記栓体には、1つの固定装置が設置され、前記栓体の弾性編組線の端部は、前記固定装置により固定されることを特徴とする請求項1に記載の閉鎖栓。
【請求項13】
前記固定装置には、前記閉鎖栓に連結するかまたは連結解除するためのねじ溝が設置されることを特徴とする請求項12に記載の閉鎖栓。
【請求項14】
前記栓体は、1つの内側網及び1つの外側網を含み、前記内側網及び外側網は、共通の弾性編組線から編組されてなり、前記内側網は、前記単層ディスクと前記外側網との間に位置し、前記内側網は前記単層ディスクに面し、前記腰部は前記内側網に連結され、前記固定装置は前記外側網に設置されることを特徴とする請求項12に記載の閉鎖栓。
【請求項15】
前記単層ディスクは独立した腰部を通じて前記栓体に連結されることを特徴とする請求項1に記載の閉鎖栓。
【請求項16】
前記腰部は、少なくとも1本の連結線を含み、前記連結線は、前記単層ディスク及び前記栓体を連結することを特徴とする請求項15に記載の閉鎖栓。
【請求項17】
前記腰部は、少なくとも1本の連結線により形成された閉ループを含むことを特徴とする請求項15に記載の閉鎖栓。
【請求項18】
前記腰部は複数の閉ループを含み、各前記閉ループは独立した1本の連結線により構成され、または前記腰部は、1本の連結線が単層ディスクと前記栓体を繰り返して貫通することにより構成されたマルチターンの閉コイルである、ことを特徴とする請求項1に記載の閉鎖栓。
【請求項19】
前記閉ループまたはマルチターンの閉コイルが最長に伸張された場合、各閉ループまたはマルチターンの閉コイルの長軸は2〜10mmであることを特徴とする請求項18に記載の閉鎖栓。
【請求項20】
前記腰部は、少なくとも1本の連結線を含み、前記連結線の直径は0.3mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の閉鎖栓。
【請求項21】
前記腰部には、フレキシブルな繊維が付着されることを特徴とする請求項1に記載の閉鎖栓。
【請求項22】
互いに隣接する2つの支持棒の間の角度は、30°から150°までの間で変化することを特徴とする請求項1に記載の閉鎖栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療器具に関し、具体的には人体の通路、欠損または開口を閉鎖する器具に関し、特に卵円孔開存(PFO)閉鎖栓に適用され、さらに動脈管開存、心房中隔欠損、心室中隔欠損などにも用いられる。
【背景技術】
【0002】
カテーテル挿入による先天性心臓疾患の治療方法は、現在すでに幅広く受け入られている。該方法は従来の外科手術方法に比べて、主に創傷が小さくて、回復が早いという明白な利点を持つ。
【0003】
例えば、カテーテル挿入による心房中隔欠損(ASD)の治療原理は、弾性特性を有する閉鎖器具を、サイズが小さいかまたは細長い構造に圧縮し、カテーテルにより欠損箇所に搬送し、弾性の閉鎖器具が自動的に膨張して予め設定された形状に復帰することである。予め設定された形状は、二つのディスク状構造及び二つのディスク状構造を連結する連結構造を含む。二つのディスク状構造はそれぞれ欠損箇所の両側に配置されて、欠損を閉鎖する。このような閉鎖器具はしばしば閉鎖栓(occluderまたはocclusion device)と称される。
【0004】
初期のディスク状構造は剛性の大きな金属から作られていた。このような構造は心臓内において心拍による周期的な応力を受けて、多くの器具を疲労応力で破断させていた。
【0005】
複数の金属細線が編組された閉鎖栓(以下、編組系閉鎖栓と略称する)は既に開発されている。使用する編組線が細くて柔軟であるため、心拍による変形に伴う応力が小さく、疲労破壊に耐える能力が著しく高まる。一方、複数の編組線から構成されたような閉鎖栓は、たとえそのうちの少本数のワイヤーに割れがあっても、該割れがその他の構成に蔓延しにくいため、全体の耐疲労性に優れる。いくつかの欠点があるが、このような編組系閉鎖栓は心房中隔欠損(ASD)の閉鎖に適用する場合、全体的に良好な臨床症状が見られる。しかし、類似の設計は卵円孔開存(PFO)の閉鎖に適用する場合には、新たな欠点を生じる。心房中隔欠損と卵円孔開存の両者の生理的な構造上の主な違いとしては、心房中隔欠損の場合には形態上明らかに欠損穴または穴状の構造が見られる一方、卵円孔開存の場合には重なる部分が存在する1つの通路のように見られることである。このような特徴のため、卵円孔開存の閉鎖に適用する閉鎖栓に対してより柔軟な連結構造が必要となる。
【0006】
図1は、心臓の四つの部屋の断面を示す図である。PFOの通路は右心房11と左心房12の間に位置し、この場所に1つの閉鎖栓が配置される。卵円孔開存の解剖学的構造は通常の心房中隔欠損と異なる。卵円孔開存は穴状の欠損ではなくて、細長い通路のようであり、左右心房の間の二次中隔1と一次中隔2が部分的に重なり合う。多くの人にとって、成長、発育した後、二次中隔1が一次中隔2と重なり合う位置において、両者が一体に融合されて、左右心房を隔離する。重なり合う部分が融合されない場合には、左右心房を繋ぐ通路が形成される。この通路は卵円孔開存と称される。卵円孔開存の付近の解剖学的構造は人によって大きく異なり、主に心房中隔の厚さ、例えば二次中隔1の厚さが異なる。一部の人にとって、二次中隔1の平均厚さは2mmであるかもしれないが、他の一部のヒト人にとっては、二次中隔1の平均厚さは8mmであるかもしれない。
【0007】
よくある卵円孔開存の閉鎖方法としては、例えば、中国特許出願番号CN97194488.1の公報文献に開示されているように、2つのディスク状の構造(以下、ディスクと略称する)を有する閉鎖栓を埋め込むことである。
図1に示すダブルディスク閉鎖栓3では、第1ディスク31と第2ディスク32が完全に貼り合わせられていない2枚の心房中隔(二次中隔1及び一次中隔2を含む)を挟持し、1つの腰部接続構造22(以下、腰部と略称する)を介してこの2つのディスクが連結されて、心房中隔を貼り合わせている。器具が埋め込まれた後、内皮は徐々に成長し、最終的にダブルディスク閉鎖栓3全体を覆って、完全な閉鎖が形成される。
【0008】
理想的な場合には、閉鎖栓が埋め込まれた後、PFOの両側にそれぞれ配置された第1ディスク31と第2ディスク32はそれぞれ心房中隔の両側の壁面に密着する。心房内において、ディスク上の心房壁に密着する部分はより早く内皮細胞によって覆われる一方、第1ディスク上の突起34及び第2ディスク上の突起35は比較的遅く覆われ、他の部分は完全に内皮によって覆われた後でも血液中に露出することが多い。血液中に露出する突起は、異物として身体の拒否反応を起こし、炎症や血栓形成の重要な要因である。閉鎖栓が内皮細胞によって完全に覆われる前に、患者は抗凝固剤を継続服用する必要があり、そうでない場合に局部に血栓を形成するリスクがある。左心房12内に血栓が形成され、血栓が脱落した後に全身循環に入ると、脳梗塞や急性心筋梗塞などの危険な病気になるおそれがある。そこで、閉鎖栓のディスク、特に左心房12内に配置されたディスク31は、ディスク面に突起がない扁平状構造の特徴を持つべきであり、単層の編組ディスク状構造(以下、単層ディスクと略称する)を持つことが好ましい。第2ディスク32は右心房11内に配置される。右心房内に血栓が形成された場合の危険性は、左心房内に血栓が形成された場合の危険性よりもはるか高い。小さな血栓が肺に入っても明らかな危険や症状を起こすことなく、大きな血栓のみが肺に明らかなダメージを与える。そのため、右心房内に配置された第2ディスク32としては、従来技術による二層の網状編組ディスク(以下、二層ディスクと略称する)を用いてもよい。従来技術による二層ディスクでは、ディスクの外側(腰部33から離れる一方側)に搬送システムに連結するための構造を設けることが多い。この構造は第2ディスク32上の突起35になるが、右心房内の場合、一般的に許容可能な状況と考えられる。
【0009】
また、異なる人の心房中隔の厚さは異なり、一般的に、上側の厚さが比較的厚くて、下側の厚さが比較的薄い。
図1に示すように、二次中隔1の厚さは一次中隔2の厚さよりも明らかに厚い。そのため、閉鎖栓に対して、第1ディスク31と第2ディスク32を一定の角度で相対的に偏向させると同時に、二つのディスクをディスクの接平面方向に相対的に偏向させることを許容可能かつ柔軟な腰部33が必要となる。従来技術を改善すれば、柔軟な腰部33によって閉鎖栓全体の追随性を高めることができて、2つのディスクをより良く心房中隔に貼り合わせることができる。細い腰部33の占める空間は更に小さくて、2つの心房中隔1、2を貼り合わせるのに寄与する。閉鎖栓の腰部の剛性が大きい場合には、2つのディスクの相対位置や相対角度を柔軟に調整することができず、そのうちの1つのディスクの一部のみを心房中隔に貼り合わせ、他の一部のディスク面の内側及び外側を血流内に露出させるおそれがある。例えば、
図1に示す第1ディスク31と第2ディスク32との間に一定の挟角が形成されずに両者が平行になるように維持する場合には、第1ディスク31の下縁37が心房中隔2に密着したり、第2ディスク32の下縁36が心房中隔2に密着したりできなくなり、心房中隔から離脱する部分が内皮によって覆われにくくて、内皮化の遅延を引き起こすため、抗凝固剤の服用がより長くなる必要があり、且つ局部的血行動態学に影響する。完全に内皮化する前に抗凝固剤の服用を中止すると、血栓を誘発するおそれがある。閉鎖栓の配置に明らかに偏差がある場合、二つのディスクの内側は心房中隔から部分的に離脱して、血栓症のリスクが高くなる。このように、柔軟な腰部33によれば、閉鎖栓全体での性能を高めて、手術後のリスクを抑制することができる。
【0010】
従来技術では、多くの編組系閉鎖栓は二つの重要な特徴である扁平な単層ディスク及び柔軟な腰部を兼ね備えていない。以下、従来技術に係る複数の編組線が編組されている閉鎖栓について簡単に説明する。
【0011】
中国特許出願番号97194488.1の公報文献には
図1に示すダブルディスクの閉鎖栓3が開示されている。該閉鎖栓3は、収縮機能を有する支持網を含む。支持網は該装置の本体構造とされ、それが含む第1ディスク31、第2ディスク32及び腰部33により1つの一体的な編組構造が構成される。支持網の編組線の一端により第1ディスク31が構成され、編組線の中間部分が結集して腰部33を構成し、編組線の他端により第2ディスク32が構成される。その二つのディスクはいずれも二層の編組構造である。実用的な閉鎖効果を達成するために、通常、支持網に編組されるために数十本の弾性編組線が必要である。すべての編組線が密集して腰部33を貫通するため、腰部は剛性が大きくて折り曲げられにくくなる。さらに、2つのディスクの間の角度の調整範囲が小さくなり、2つのディスクをディスク面方向に沿って相対的に偏向させることができないほか、異なる解剖学的構造によく適応することもできなくて、ディスクを壁に不十分に貼り合わせやすい。そして、この閉鎖栓の左心房内に配置された第1ディスク31の外側において、編組線の端点は結集して固定されて、第1ディスク31上の突起34が形成され、これにより左心房側の二層ディスクの扁平機能を破壊する。他の部位に比べて、この突起34では内皮化が遅くて、閉鎖栓が埋め込まれて数年経っても完全に内皮化されないおそれがある。しかし、このような埋め込み手術を受けた患者は抗凝固剤の服用を半年しか続けない。抗凝固剤がない場合、内皮化しない突起は、血栓の形成を誘導する可能性がある。埋め込まれて数年経った後に血栓が突起部に付着される閉鎖栓の一つは、Mohaned EgredらのA late complication of a patent foramen ovale amplatzer occluder deviceという文献に記載されている。
【0012】
中国出願番号200780010436.7の公報文献に開示されている閉鎖栓は、上記の中国出願番号97194488.1の公報文献の発明を基に改善したものと見なしてもよい。その相違点としては、中国出願番号200780010436.7の公報文献に開示されている閉鎖栓の編組線のすべての端部は第2ディスク32上の突起内に固定されるが、第1ディスク31上に編組線の端部を固定させるための突起やディスク面から突出する突起構造が設けられず、第1ディスク31の扁平機能を改善することである。しかし、この閉鎖栓のすべての編組線は腰部33を二回貫通することにより、腰部33の剛性が大きくて、折り曲げられにくくなる。
【0013】
上記説明した従来技術による二種類の閉鎖栓では、編組線から構成された一体的な構造であるという共通点がある。同一の編組線の一部により第1ディスクが構成され、他の一部により第2ディスクが構成され、また別の一部により腰部が構成される。このような設計によれば、必然的に腰部の剛性が大きくなる。従来技術には複数の編組線から構成された分割構造の閉鎖栓もある。この閉鎖栓の特徴としては、第1ディスクを構成する編組線が単独で該ディスクを構成するが、腰部を貫通せずかつ第2ディスクの構成に関与しないことである。こうすることで、腰部の材料を根本的に減らして、腰部の設計を最適化することができる。しかし、従来技術において、開示されている分割構造の閉鎖栓も、扁平な単層ディスクと柔軟な腰部の連結構造との二つの特徴を兼ね備えていない。
【0014】
米国公開特許2004−0143291A1号の文献には中心柱を有する閉鎖栓が開示されている。該閉鎖栓は2つの単層ディスクを含む。各単層ディスクは、放射状に配置された複数の支持棒、及びそれに付着されたフレキシブルな閉塞シートから構成される。支持棒は、複数の編組線が編組されている。2つの単層ディスクを連結するのは、ジョイント付きの中心柱である。中心柱の両端には、単層ディスクを構成する支持棒が貫通されるための複数の径方向孔が軸方向に沿って交互に分布する。単層ディスク上の複数の支持棒は、それぞれ中心柱の異なる径方向孔を通して、交差して配置される。該単層ディスクの縁部における厚さは、支持棒の直径と同じである。単層ディスクの中央における厚さは、複数の支持棒の直径の和と同じである。例えば、単層ディスクが3本の支持棒から構成された場合、単層ディスクの中央部における厚さは、少なくとも3本の支持棒の和と同じであり、このような単層ディスク構造は、良好な扁平機能を有していない。しかし、中心柱がない場合、同一の単層ディスク上の支持棒が緩い状態になり、独立して安定するディスク状構造に構成されない。この閉鎖栓の中心柱は、2つの単層ディスクを連結するとともに腰部を構成する一方、単層ディスクが安定するディスク状構造であるように単層ディスク上の複数の支持棒を規制するという役割を果たす。この文献に開示されている中心柱は、三つの剛性構造がジョイントにより一体に連結して形成され、その柔軟性が弱く、さらに中心柱の端部が単層ディスクの外側から突出するため、さらなる改善が必要となる。
【0015】
上述したように、従来技術による編組類閉鎖栓は、一体的な構造のみならず分割構造も、二つの重要な特徴である扁平な単層ディスク及び柔軟な腰部を兼ね備えていない。従来技術による一体的な構造の閉鎖栓では、第1ディスクを構成するすべての編組線は腰部を貫通して第2ディスクに到達して、腰部の材料を密集させて、腰部の剛性が必然的に過大になる;編組線の端点は一箇所または二箇所に集中して固定され、これらの固定点によってディスク上の突起構成が形成されて、ディスクの扁平機能を破壊する。従来技術による分割構造では、編組線が編組されて複数の支持棒を形成し、支持棒が中心柱に連結して閉鎖栓を構成し、支持棒の重なり合うディスクの中央部における厚さが縁部における厚さよりも明らかに厚くて、ディスクの扁平機能を破壊する。分離した複数の支持棒を固定させるために、中心柱の棒と連結する部分に対して、各棒の位置及び方向を規制するのに十分な剛性が必要となる。こうすることによって、中心柱は、柔軟性が規制され、変形がジョイント位置のみに発生し、患者の特定の生理的な構造に応じて変形して適応することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、二つの重要な臨床要件である扁平な閉塞ディスク及び柔軟且つ簡単な腰部を兼ね備える閉鎖栓を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は上記の目的を達成するために、挟角可変の扁平ディスク面を有する閉鎖栓を提供する。前記閉鎖栓は、1つの単層ディスクと、1つの栓体と、単層ディスク及び栓体を連結する腰部とを含み、前記単層ディスクは、弾性糸が編組されてなり、前記単層ディスクは、放射状に配置された複数の支持棒を含み、前記栓体の表面上には、弾性糸が編組された格子が形成され、前記腰部は、少なくとも1本の連結線を含み、前記単層ディスクの中央には、穴付きの環状連動機構が設置され、前記複数の支持棒は、前記環状連動機構によって扁平且つ一体に連結され、前記腰部の連結線は、前記環状連動機構及び前記栓体の格子に連結される。
【0018】
好ましくは、前記腰部の連結線は、前記環状連動機構の穴を貫通するとともに、前記栓体のメッシュを貫通する。
【0019】
好ましくは、前記単層ディスクの支持棒は、弾性糸が編組されてなり、各前記支持棒の横断面は、1組の2本から8本の弾性糸を含む。
【0020】
好ましくは、前記単層ディスクの支持棒の数は、4本から8本までである。
【0021】
好ましくは、前記単層ディスクの支持棒は、対をなすように配置され、各対の支持棒は、単層ディスクの同一直径上に位置するとともに同一組の弾性糸が編組されてなり、前記支持棒の弾性糸は共同で編組されて前記環状連動機構が形成される。
【0022】
好ましくは、1対の前記支持棒の1組の弾性糸は2つのサブグループに分けられ、前記2つのサブグループの弾性糸は、それぞれ前記環状連動機構の中心点の両側から前記中心点を迂回する。
【0023】
好ましくは、前記支持棒は、L字状、S字状または円弧状に折り曲げられる。
【0024】
好ましくは、各前記支持棒の端部に接近する一部はばね状に設置される。
【0025】
好ましくは、各前記支持棒の端部には1つの鈍化部が設けられる。
【0026】
好ましくは、前記環状連動機構は中心穴を有する。
【0027】
好ましくは、前記単層ディスクは、M字状の縦断面を有して中央が突出する構造を有し、前記環状連動機構は、前記栓体に向かって突出し、前記支持棒の端部は、前記栓体に向かって折り曲げられる。
【0028】
好ましくは、前記単層ディスクは、第1流れ阻止膜をさらに含み、前記第1流れ阻止膜は、前記支持棒及び前記環状連動機構を覆う。
【0029】
好ましくは、前記栓体には、1つの固定装置が設置され、前記栓体の弾性糸の端部は、前記固定装置に固定される。
【0030】
好ましくは、前記固定装置には、前記閉鎖栓に連結するかまたは連結解除するためのねじ溝が設置される。
【0031】
好ましくは、前記栓体は1つの内側網及び1つの外側網を含み、前記内側網及び外側網は、共通の弾性糸から編組されてなり、前記内側網は、前記単層ディスクと前記外側網との間に位置するとともに、前記単層ディスクに面し、前記腰部の連結線は、前記内側網に連結され、前記固定装置は、前記外側網に設置される。
【0032】
好ましくは、前記内側網は1つの中心メッシュを有する。
【0033】
好ましくは、前記栓体はディスク状または柱状である。
【0034】
好ましくは、前記栓体内には、第2流れ阻止膜が設けられる。
【0035】
好ましくは、前記腰部の連結線は閉ループである。
【0036】
好ましくは、前記腰部の連結線により、互いに独立した閉ループが複数構成される。
【0037】
好ましくは、前記閉ループが伸張された場合、前記閉ループの長軸は2〜10mmである。
【0038】
好ましくは、前記連結線の直径は0.3mm以下である。
【0039】
好ましくは、前記連結線には繊維が付着される。
【発明の効果】
【0040】
従来技術に比べて、本発明は以下の利点を有する。本発明に係る閉鎖栓は扁平な単層ディスクと柔軟な腰部構造との特徴を兼ね備え、且つ単層ディスクが自動的に適応して形態を調節する機能を備えて、異なる生理的な構造に効果的に適応することができると同時に、合併症を減らすことができる。扁平な単層ディスクは、血栓付着のリスクを抑制し、内皮化プロセスを早めるのに有利である。柔軟な腰部は、二つのディスクを心房壁または血管壁によりよく貼り合わせて、血流の乱れを軽減させ、組織の過剰増殖を抑えるのに有利である。自動的に適応して形態を調節する機能を備える単層ディスクは、周囲組織に対する反力を軽減させて、組織損傷のリスクを抑制することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】心臓の四つの部屋の構成を示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る閉鎖栓を示す概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る閉鎖栓の二層ディスクの内側網を示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る閉鎖栓の、放射状に配置された6つの支持棒を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る支持棒の他の実施例を示す図であり、該支持棒の1本の編組線は支持棒の端部に接近する位置においてばね状に設置される。
【
図6】本実施形態に係る支持棒の1本の編組線を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る閉鎖栓の単層ディスクの他の実施例を示す概略図である。
【
図8】本実施形態に係る単層ディスク内における1対の支持棒がM字状に折り曲げられた状態を示す図である。
【
図9】本発明の他の実施形態に係る閉鎖栓を示す側面図である。
【
図10】本実施形態に係る閉鎖栓における、十字状且つ放射状に配置された4つの支持棒を示す図である。
【
図11】本実施形態に係る、各対の支持棒が4本の編組線から構成された状態を示す図である。
【
図12】本実施形態に係る支持棒の他の実施例を示す横断面であり、各対の支持棒が同一の直径の、7本の非常に細い編組線から構成されている。
【
図13】本実施形態に係る閉鎖栓が圧縮された後に搬送シース内に配置された状態を示す図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る閉鎖栓によって大動脈の動脈カテーテルを閉鎖する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明についての特徴、長所が一層明確に理解されるよう、以下に実施形態を例示し、図面を参照しながら、詳細に説明する。本発明の好適な実施例を挙げて説明したが、これは本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0043】
本発明の実施形態に係る閉鎖栓は、複数の編組線から構成された分割構造であって、1つの単層ディスク及び1つの圧縮可能な栓体が1つの独立した腰部によって連結してなることで、扁平な閉塞ディスクと柔軟且つ簡単な腰部との二つの重要な臨床要件を満たす。ここでは、単層ディスクは、放射状に配置された複数の支持棒から構成される。該単層ディスクの中央に接近する箇所には、穴付きの環状連動機構が設けられる。環状連動機構は、支持棒の編組線が単層ディスクの中央を中心として編組されてなり、複数の編組線が単層ディスクの中央に集積して単層ディスクの厚さを倍増することを回避して、非常に扁平した単層ディスク構造が得られる。さらに、環状連動機構によって単層ディスクの支持棒の相対位置が固定され、これにより、単層ディスクは余分な材料または構造によって固定される必要がない場合でも、安定し且つ相対的に独立した個体である。閉鎖栓の栓体に対して異なる実施形態があってもよい。これらの実施形態では、製造方法が類似するが、主に成型用モールドが異なる。例えば、PFO閉鎖栓に対して、栓体が二層ディスクであってもよく、PDA用閉鎖栓に対して、栓体が柱状の栓体であってもよい。二層ディスクは、複数の編組線が編組され且つ形成された網状の二層ディスクである。該二層ディスクは、外側網に1つの固定端が設けられ、内側網に1つの中心穴が設けられ、余分な材料または構造によって規制されなくても安定し且つ独立した個体である。柱状の栓体も複数の編組線から製造され、内側網及び外側網を含む。内側網と外側網の間は柱状の栓体の側面であり、内側網及び外側網はそれぞれ柱状の栓体の底面である。
【0044】
単層ディスク及び栓体は各自の安定し且つ独立した構造を備えるため、腰部は単層ディスク及び栓体の形態を規制することなく、連結機能のみを備えればよい。このように、腰部は、最大限に簡単且つ柔軟な構造に設置できる。本発明に係る閉鎖栓では、単層ディスクと栓体の間の腰部は柔軟な連結線が単層ディスク及び栓体の編組穴をそれぞれ貫通して単層ディスク及び栓体に連結して構成される。
【0045】
本発明に係る閉鎖栓は扁平な単層ディスクと柔軟な腰部との特徴を兼ね備える。以下、いくつかの実施形態を例としてこの閉鎖栓の構成及び異なる人体の臓器欠損に適用する場合の利点について、詳細に説明する。
【0046】
<第一実施形態>
図2は本発明の一実施形態に係る閉鎖栓を示す概略図である。該閉鎖栓は、放射状に配置された6つの支持棒40を有する単層ディスク4、編組された網状二層ディスク6及び柔軟な腰部5を1つずつ含む。二層ディスク6の外側の中央には、1つの固定端64が設けられる。
【0047】
該閉鎖栓の二層ディスク6は、複数の弾性編組線が編組された網状の二層が平行になるディスク状構造であり、平行になった内側網及び外側網を含み、従来技術の編組方法を用いて、対応するモールドによって形成される。この二層ディスク6を構成する編組線の端点は、二層ディスク6の外側網(単層ディスク4から離れる側)の固定端64に結集する。一方、二層ディスク6の内側網(単層ディスク4に連結する側)には、編組線の端点または編組線を固定させるための構造が存在せず、腰部の空間を占用することがない。こうすることで、腰部5を細く、疎ら、且つ柔軟に作り上げることができ、閉鎖栓の汎用性を向上させる。
図3は、二層ディスク6の内側網を示す平面図である。二層ディスク6の内側網には、1つの中心メッシュ61及び複数の一般メッシュ、例えば、メッシュ62,63を含む。これらのメッシュは、腰部5の連結線が貫通するために用いられる。該二層ディスク6の内側網と外側網の間の中間層内には、血流の遮断を補助するフィルム材料が設けられてもよい。
【0048】
該閉鎖栓の腰部5は柔軟な連結線から構成される。連結線は、二つのディスクの間の最大距離を規制すると同時に、二つのディスクの間の角度の変動及びディスク面方向に沿って二つのディスクを相対的に偏向することを許容する。連結線が二層ディスク6の内側網のメッシュを貫通することで、腰部5は二層ディスク6に連結される。例えば、連結線の一端は、二層ディスク6の中心メッシュ61からメッシュ63までに二層ディスク6を貫通した後、連結線の他端に結び合わせて、閉ループを構成する。この閉ループの製造過程において、二層ディスク6の3本の編組線は該閉ループ内に位置するため、二層ディスク6の内側網は閉ループと高強度で連結する。1本の編組線の強度が十分に高い場合、二層ディスク6の1本の編組線を選択して二つのディスクを連結させてもよく、例えば、中心メッシュ61からメッシュ62までに二層ディスク6を貫通し、閉ループ内に二層ディスク6の1本の編組線のみが位置する。このように形成された腰部5はより疎らになる。二層ディスク6のメッシュの選択は上記の方法に限定されず、異なるメッシュの組み合わせを選択してもよい。これらの閉ループは複数であってもよいが、各閉ループが単独の1本の連結線によって実現され、腰部5が十分な柔軟性を維持することが好ましい。特に、ある閉ループが破壊されても、他の独立した閉ループの連結機能に影響を与えず、冗長設計が実現される。1本の連結線は単層ディスク4の穴及び二層ディスク6のメッシュを繰り返して貫通することにより、マルチターンの閉コイルが形成されることも可能である。このような設計は生産効率の向上に有利である。
【0049】
閉鎖栓の単層ディスク4は、
図4に示す、放射状に配置された6つの支持棒を含んでもよい。同一の直径上に配置された2つの支持棒は1対の支持棒を構成し、例えば、支持棒401、404は1対の支持棒を構成する。各対の支持棒は、1組の弾性編組線から構成される。本実施形態において、各対の支持棒は、2本の編組線から構成される。この2本の編組線は、1組の編組線を構成する。例えば、支持棒401、404は1対の支持棒を構成する。この1対の支持棒を構成する1組の編組線は、編組線481、482を含む。支持棒401を例として具体的な製造過程について説明する。支持棒401の端部から出た2本の編組線481、482は互いに編組されて支持棒401を構成し、2本の編組線は単層ディスク4の中央に離間される。編組線481は、支持棒403からの編組線485の上方を跨いでから、支持棒403からの編組線486の下方を跨ぎ、その後、別の支持棒402からの編組線483の上方を跨いでから、支持棒402からの編組線484の下方を跨ぐ。このように、編組線481は、編組線485、486、483、484と順次重なり合う。同様に、編組線482は、支持棒402からの編組線483の下方を跨いでから、支持棒402からの編組線484の上方を跨ぎ、その後、別の支持棒403からの編組線485の上方を跨いでから、支持棒403からの編組線486の下方を跨ぐ。このように、編組線482は、編組線483、484、485、486と順次重なり合う。編組線481、482は、単層ディスク4の中央の両側から中央付近領域を跨いた後に再び結集して互いに編組されて、支持棒404を構成する。
図4に示すように、単層ディスク4の中央付近に接近する環状領域において、各編組線は、他の複数組の編組線からの複数の編組線と順次重なり合って、穴を有する環状連動機構を構成する。順次重なり合う編組線の間には上記の穴が自然に形成され、環状連動機構7の中央には1つの中心穴71が保留されることができる。環状連動機構7により、6つの支持棒は相対的に固定される。余分な材料によって固定される必要がない場合、6つの支持棒は一体化した扁平な単層ディスク4を構成し、且つ環状連動機構7内に複数の穴、例えば、中心穴71、72が保留され、これにより腰部5に連結しやすくなる。単層ディスク4の編組過程において、中心穴71によって編組線が側辺を迂回しやすくて、製造効率の向上に有利である。また、柔軟な編組線を用いる他の実施形態において、単層ディスク4が編組された後に中心穴71が保留されなくてもよいため、中心穴71を貫通する1本の連結線を収容可能になるまで中心穴71の内径が縮小することができる。
【0050】
支持棒の端部、すなわち、編組線の端部に好適な構成が増設されてもよい。例えば、
図4に示すように、支持棒404の端部に1つの鈍化部420が増設される。この鈍化部420は、例えば、1つのフレキシブルなシースを用いて編組線の端部を覆うとともに、柔軟な縫い線を用いてシースを支持棒404の端部に固定させることで形成されてもよいし、ePTFEフィルムを用いて編組線の端部を覆った後に加熱して硬化することで形成されてもよいし、または、鋭利な金属編組線の端部による組織損傷を回避するように、編組線の端部を溶着して滑らかに加工されてもよい。
【0051】
図5に示すように、支持棒40の他の実施例では、支持棒40の1本の編組線451が支持棒40の端部に接近する箇所にばね状、すなわち、
図5に示す端部ばね457のように設置される。同一の支持棒40の他の編組線452の端部は端部ばね457のキャビティ内に規制され、端部ばね457の端部は滑らかな鈍化部420に加工される。具体的には、端部ばね457は、同一の編組線に予め形成されることができる。
図6に示すように、編組線451の両端には、1つの端部ばね457がそれぞれ設けられる。二つの端部ばね457付きの編組線451はさらに他の編組線と共に1対の支持棒(支持棒40を含む)及び環状連動機構7を構成し、これにより、同一組の編組線から構成されたこの1対の支持棒がより優れた構造安定性を有する。
【0052】
さらに、単層ディスク4の各支持棒40の端部には、円周方向に曲がるL字状の湾曲部454が設置されてもよい。
図7に示すように、各L字状の湾曲部454は単層ディスク4とほぼ同一の平面内に位置することが好ましい。また、L字状の湾曲部454は、
図5に示す端部ばね457を形態安定させることで形成されることが好ましい(
図7に図示せず)。このようなL字状の湾曲部454により、支持棒40の端部は径方向の圧力を受けるとより柔軟になる。閉鎖栓が心臓に埋め込まれた後に、心臓の動きによって閉鎖栓、特に単層ディスク4の支持棒40が周囲の組織と互いに作用する。L字状の湾曲部454は、支持ロット40と組織の接触面積を増やし、単層ディスク4が組織に加えた圧力を減らして、組織損傷のリスクを抑制するのに有利である。注意すべきことは、支持棒40は、S字状の湾曲部または円弧の湾曲部を有してもよい。各支持棒40の湾曲部は、端部に設置されるほか、支持棒40全体の任意の位置に設置されてもよく、その効果はL字状の湾曲部454と類似する。
【0053】
好ましくは、上記の単層ディスク4全体は形状記憶材料、例えば、ニチノールから製造されてもよい。さらに、単層ディスク4は、熱固定によって、中央が突出する円盤状、例えば、
図8に示す単層ディスク4の中心軸を貫通するM字状の縦断面になってもよい。すなわち、各対の支持棒はM字状に折り曲げられる。単層ディスク4の縁部455(すなわち、支持棒40の端部)が二層ディスク6(
図8に図示せず)に向かって折り曲げられ、単層ディスク4の中央にある環状連動機構7が二層ディスク6の中央に向かって突出し、且つ、縁部455が環状連動機構7よりも二層ディスク6に接近する。このような形状特徴により、単層ディスク4の縁部455から二層ディスク6までの距離は、2つのディスクの中心の間の距離よりも短い。閉鎖栓は、腰部5(
図8に図示せず)の適切な長さを維持するとともに二つのディスクの縁部の距離を接近させる。その利点としては、適切な長さの腰部5は腰部5の柔軟性の実現に有利であり、且つ二つのディスクをディスク面方向に沿って一定幅で偏向させることを許容する点と、閉鎖栓が取り外された後、単層ディスク4の縁部455が心房中隔を挟持し易くして、単層ディスク4の縁部455と心房中隔の隙間を減らして、血栓のリスクを抑制する点である。
図13に示すように、環状連動機構7が二層ディスク6の中央に突出することは、単層ディスク5を搬送シース80に収容するときの抵抗力を減らすのに有利である。
【0054】
さらに、編組された単層ディスク4に付着したフレキシブルフィルム、例えば、縫合ポリエステル(polyester)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルムは、血流を急速に遮断することができる。
【0055】
<第二実施形態>
図9は、本発明の他の実施形態に係る閉鎖栓を示す側面図である。本実施形態に係る閉鎖栓は、単層ディスク4、二層ディスク6及び腰部5を1つずつ含む。二層ディスク6及び腰部5は、第一実施形態の
図2及び
図3に示す構成と類似する。
【0056】
図9に示す腰部5の連結線は、互いに独立した2つの閉ループであって、第一実施形態の好適な実施例である。腰部5の他の実施例において、連結線の一端は二層ディスク6の内側網の中央付近のみに連結し、その他端は単層ディスク4のみに連結して、無端形状を持つ連結線ではない。二層ディスク6との連結形態としては、連結線の一端が二層ディスク6の内側網の中央付近の複数のメッシュを貫通して二層ディスク6の外側網の固定端64に到達して、二層ディスク6を構成する編組線の端部と固定される。他の連結形態としては、連結線が二層ディスク6の1つまたは複数のメッシュを貫通した後に二層ディスク6の2本の編組線の交差点に結び合わせて固定される。上記の連結線と単層ディスク4の連結形態としては、連結線の一端が単層ディスク4の少なくとも1つのメッシュを貫通するとともに、単層ディスク4の1組の編組線と絡まって単層ディスク4上に固定されてもよいし、連結線の一端が単層ディスク4の1つまたは複数のメッシュを貫通した後に結ばれて、単層ディスク4の編組線の間の開孔のサイズよりも大きい結び目を形成することで単層ディスク4の対応するメッシュから連結線の離脱を防止してもよい。また、連結線は、単層ディスク4の小さなメッシュを複数回貫通し、連結線と単層ディスク4の間の摩擦力も締め付けの補助的な役割を果たす。
【0057】
腰部5は、柔軟、疎ら、調節可能であるという特徴を有する。腰部5の連結線としては、金属材料、例えば、ニチノール、ステンレス、白金などを用いてもよいが、ニチノールを用いることが好ましい。ニチノールの利点としては、形状記憶効果であり、端点が結ばれて固定された後に結び目に熱処理を行うことで、結び目の形状を安定させて、抜け止めしにくくなる。ニチノールが備える超弾性によって、連結線はより柔軟になり、十分な引張抵抗度を有する。連結線は非金属材料、例えば、ナイロンであってもよい。非金属の連結線は金属材料よりも柔軟であることが多い。いずれの連結線は複数の繊維から構成されてもよい。金属製連結線が用いられる場合、優れた柔軟性を持つため、連結線の直径は0.3mm以下であり、0.2mmより小さいことが好ましい。複数の繊維からなる連結線の場合、各繊維の直径は0.12mm以下である。連結線は、相当直径が約015mmであって、直径が0.05mm程度の7本のニチノール線がねじられていることが好ましい。
【0058】
特に、連結線から構成された閉ループまたはコイルは伸張されて変形可能であり、最長に伸張された状態において、各閉ループまたは各コイルが1つの長軸を有する。この長軸は、二層ディスク6または単層ディスク4と垂直で、長さが2〜10mmであり、さらに3〜5mmであることが好ましい。
【0059】
腰部5には、フレキシブルな繊維が付着されてもよい。一般的に、重合体繊維、例えば、PETは、連結線に直接に絡まるかまたは編組されてもよい。このような繊維は、修復するヒト組織の充填に寄与し、例えば、卵円孔開存によって形成された通路の血流の遮断を補助し、残留分流を低下させ、閉鎖に必要な時間を短縮する。
【0060】
第一実施形態と異なるのは、単層ディスク4は4つの支持棒、すなわち、2対の支持棒を含んでもよいことである。
図10に示す十字状且つ放射状に配置された4つの支持棒41、42、43、44のそれぞれは2本の編組線は編組されている。単層ディスク4の同一の直径上にあって対向する2つの支持棒41、42(または支持棒43、44)は、共通の1組の編組線から構成される。各組の編組線の端部は、各支持棒41、42、43、44の端部に固定される。そのため、これらの編組線の端部は、対応する鈍化部420の内部に固定されて支持棒41、42、43、44の外部から露出しない。第一実施形態に示す方法と類似して、異なる支持棒41、42、43、44の編組線は、単層ディスク4の中央付近に接近する箇所に順次重なり合って、単層ディスク4の中央付近に1つの環状連動機構7を構成し、これにより、4つの支持棒41、42、43、44の位置を互いに固定させて、非常に平坦化したディスク状構造を形成する。
【0061】
具体的に、同一の直径上に分布する1対の支持棒41、42は、2本の編組線411、412が編組されてなり、他の直径上に分布する1対の支持棒43、44は、他の2本の編組線431、432が編組されている。支持棒41、42を構成する2本の編組線411,412は、1つの支持棒41の先端から、互いに絡まって編組されるとともに直径方向に沿って単層ディスク4の中央に接近し、単層ディスク4の中央に接近する箇所に分離する。2本の編組線411、412は、それぞれ中心点の両側から中心点を迂回した後、支持棒41の所在する直径位置の他端において結集して、再び互いに絡まるとともに、同一の直径の単層ディスク4の中央から離れる方向に延在して、支持棒42を形成する。同様に、第1対の支持棒と垂直になる他の1対の支持棒43、44も1組の編組線431、432が編組されている。単層ディスク4の中央に接近する位置において、4本の編組線が順次重なり合い、各編組線は他の1組の編組線のうちの1本の編組線の上方を跨いで、他の1組の編組線のうちの他の1本の編組線の下方を跨ぎ、例えば、編組線411は、他の1組の編組線のうちの1本の編組線431の上方を跨いで、他の1本の編組線432の下方を跨ぐ。編組線411、412、431、432は単層ディスク4の中央を周回して順次重なり合うことで1つの環状連動機構7を構成するとともに、略円形または略多角形の中心穴71が囲まれる。この環状連動機構7において、編組線411と編組線431とは1つの交差点471を有し、編組線411と編組線432とは1つの交差点472を有し、編組線412と編組線431とは1つの交差点473を有し、編組線412と編組線432とは1つの交差点474を有する。
図10に示すように、交差点471、472、473、474は重ならずに環状連動機構7の中心穴71の周囲に分布する。各交差点471、472、473、474において、単層ディスク4の厚さは、2本の編組線の直径の和と同じであり、単層ディスク4の他の箇所における最大厚さと一致する(支持棒41、42、43、44の直径と略同じである)。そのため、環状連動機構7によって単層ディスク4の厚さを厚くさせることはない。
【0062】
図10に示すように、各対の支持棒を構成する1組の編組線は2本の編組線のみを含み、各組の編組線に含まれる編組線の数が少ないため、単層ディスク4の中央位置に編組された中心穴71が不規則になる。単層ディスク4の異なる実施形態において、各組の編組線の数を増やして、より柔軟な編組線を用いる場合、中心穴71は円形または多角形により接近する。このような環状連動機構7は、構造安定性及び対称性がより優れるようになる。
【0063】
本実施形態において、単層ディスク4の各部分の厚さは均一であり、且つ支持棒41、42、43、44の直径と略同じである。さらに、中央の環状連動機構7の最大厚さも単層ディスク4の最大厚さと略一致するため、ディスク面全体の厚さが均一であり、ディスク面から突出するジョイントがなく、良好な扁平機能を有する。
【0064】
単層ディスクの他の実施形態において、単層ディスク4の各対の支持棒を構成する1組の編組線は2本のみならず、4本、6本またはそれ以上であってもよい。各対の支持棒に一定の剛性が必要な場合、各対の支持棒を構成する編組線の数が多いと、直径の小さい編組線を選択してもよい。こうすることで、支持棒に対して直径を増大させず(単層ディスク4の厚さも増加させず)に耐疲労性を向上させるという利点が得られる。
【0065】
図11は、各対の支持棒が4本の編組線から構成された状態を示す図である。支持棒40を構成する1組の編組線は、そのうちの1つの支持棒の先端から、互いに編組されて1つの支持棒40を構成する。この組の編組線は、単層ディスク4の中央に接近する箇所に2つのサブグループに仕分けられ、各サブグループの編組線は2本の編組線を含む。2つのサブグループの編組線は、それぞれ中心点の両側から中心点を迂回し、支持棒40の所在する直径の他端において結集して、再び互いに絡まるとともに、同一の直径の単層ディスク4の中央から離れる方向に延在して、支持棒40に対応するもう1つの支持棒を形成する。そのため、単層ディスク4の支持棒は、対をなすように編組されることができる。同様に、第1対の支持棒と垂直になるもう1対の支持棒も他の1組の編組線の二つのサブグループから構成される。単層ディスク4の中央に接近する位置において、4つのサブグループの編組線が順次重なり合う。各サブグループの編組線は、もう1組の編組線のうちの1つのサブグループの編組線の上方を跨いでからもう1組の編組線のうちのもう1つのサブグループの編組線の下方を跨いで、4つのサブグループの編組線によって1つの中心穴71が囲まれて、環状連動機構7を形成する。編組線の数が多くて、編組線の間の隙間がより小さいため、環状連動機構7の中心穴71は比較的小さくて、連動効果がより優れる。
【0066】
本実施形態に係る1組の編組線は4本の編組線を含むが、不均一に2つの組に分けられ、例えば、1つのサブグループが1本の編組線を含み、もう1つのサブグループが3本の編組線を含んでもよい。
【0067】
さらに、単層ディスク4を構成する支持棒の数は、6本、8本、10本または他の本数であってもよい。たとえ支持棒の数が異なっても、単層ディスク4の編組過程に本質的な変化はない。
【0068】
複数の編組線から構成された支持棒の編組形態は多様であってもよく、
図11に示す編組形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。複数の編組線を1つの棒状構造または複数の線構造に編組する形態は多様であり且つ公知技術であることを理解すべきである。さらに、各支持棒の編組線の数が多くなるに従い、編組形態がより柔軟になる。編組形態によって支持棒を異なる断面形状にし、支持棒の断面が非回転対称形状である場合、異なる方向にその断面における慣性モーメントが違うため、支持棒の異なる方向における剛性も異なる。
【0069】
図12は、本実施形態に係る支持棒の他の実施例を示す横断面である。各対の支持棒は、7本の同じ直径の非常に細い編組線51から構成され、支持棒の耐疲労性を向上させる。単層ディスク4の中央部分において、支持棒の7本の編組線は2つのサブグループに分けられる。そのうち、1つのサブグループは、3本の編組線を含み、もう1つのサブグループは、4本の編組線を含む。用いられた7本の編組線51の直径は同じであってもよいし、異なってもよい。各支持棒は、6本の編組線が編組されていてもよい。この場合、支持棒の横断面の中央における編組線の直径は、その周囲の残りの5本の編組線の直径よりもやや小さくてもよい。各支持棒は、8本の編組線が編組されてなってもよい。この場合、支持棒の横断面の中央における編組線の直径は、その周囲の残りの7本の編組線の直径よりもやや大きくてもよい。
【0070】
環状連動機構7を有する単層ディスク4上において、支持棒の間の角度は適切な自動適応調整範囲を有してもよい。例えば、
図10に示すように、2つの支持棒42、44の間の角度9は変更可能である。単層ディスク4の輪郭形状は円形から楕円形に調整することができる。このような自動適応変形の特徴は、一部の用途に閉鎖栓の重要な利点になる。ここで、1対の支持棒41、42が固定された場合、支持棒43は円柱方向の付勢力を受ける。この付勢力は、心臓の拍動や血管の変形によって与えられる。付勢力が支持棒43の端部に与えられた場合には、トルクを生成して支持棒43、44を時計回りに回転させる。環状連動機構7において、支持棒43から分けられた2本の編組線431、432が編組線411、412と順次重なり合う交差点471、472、473、474に編組線411、412からの摩擦力を受ける。一般的に、この摩擦力は、支持棒43、44の回転の傾向を規制することができない。そのため、支持棒42、44の間の角度9が小さくなって、単層ディスク4の輪郭は円形対称に維持せずに楕円形になる。単層ディスク4の変形によって、支持棒43、44による心房中隔または血管への反力は小さくなって、心臓損傷や血管損傷のリスクを抑制する。
図10に示す構成に比べて、
図4に示す実施形態に係る支持棒の数が増えて、各支持棒の編組線は数のより多い編組線と順次重なり合うことでより多くの交差点を形成し、各支持棒が受けた、他の支持棒から付勢された摩擦力も増えて、変形に抵抗する能力を高めると同時に、変形の幅も低減させる。支持棒の性能パラメータ及び受けたトルクが略同じの場合、
図4に示す支持棒401、402の間の角度8は、
図10に示す支持棒42、44の間の角度9に比べて変更されにくい。すなわち、6つの支持棒から構成された単層ディスク4はより優れた構造安定性を有する。また、各支持棒の編組線の数を増やすと、環状連動機構における編組線がより密集して、支持棒の間の摩擦力がより大きくなってその可動幅も小さくなる。異なる用途において、必要に応じて編組線の数、支持棒の数及び環状連動機構7の編組密度を選択して、単層ディスク4の変形の自由度を調整する。
【0071】
図13は、本実施形態に係る閉鎖栓が圧縮された後に搬送シース80内に配置された状態を示す図である。単層ディスク4は腰部5を介して二層ディスク6に連結される。搬送ケーブル70は、固定端64を介して二層ディスク6に着脱可能に連結される。搬送ケーブル70を押すことで、閉鎖栓を搬送シース80の外部へ取り外す。そのとき、閉鎖栓は展開して
図2または
図9に示す形状に復帰する。
【0072】
<第三実施形態>
従来技術による動脈管開存(PDA)閉鎖栓の多くは、複数の編組線から構成された一体的な構造であって、大動脈内に位置する厚いディスク状構造を有するが、腰部がなくて、剛性が強い。大動脈と動脈管の間の角度が小さくて、90度に接近しない場合、大動脈内に配置されたディスク状構造は、一辺が起き上がり、血管壁によく貼り合わせることができない。さらに、ディスク状構造は厚さが明らかであり且つ十分に扁平でないことから、血流の乱れを引き起こす。また、大動脈内に配置されたディスク状構造は、変形に自動的に適応されず、壁に貼り合わせる効果に影響を与える。大動脈内に大きい血流の障害物がある場合、高速に流れる血流が障害物に衝突して赤血球の破裂を引き起こして、深刻な合併症を引き起こす恐れもある。
【0073】
上記の第二実施形態において、閉鎖栓の二層ディスク6は、円柱状の柱状栓体16を有するように設置されてもよい。柱状栓体の2つの底面は、それぞれ内側網及び外側網である。柱状栓体16の内部には、血流を遮断するためのフィルムが設置される。単層ディスク4の4つの支持棒は、柱状栓体16を支持して固定させるために用いられる。4つの支持棒は、1枚のフレキシブルフィルムによって覆われてもよい。このような構造の閉鎖栓は、動脈管開存を閉鎖する場合に重要な利点を持つ。
図14に示すように、扁平な単層ディスク4は大動脈10の内壁に密着され、柱状栓体16は閉じられていない動脈管12内に配置される。
図14によれば、動脈管12は大動脈10の軸線と垂直にならず、柔軟な腰部5は閉鎖栓をこの血管構造に適応させることがみられる。一方、環状連動機構の編組線の気密性は選択可能であることから、単層ディスク4の2つの支持棒の間の角度9を30°から150°までの間で変化させる。このような単層ディスク4の輪郭は、最初の円形から楕円形に変化することができる。円形または回転対称形の単層ディスク4に対して、医者は閉鎖栓を配置する場合に閉鎖栓の取り外し角度を考慮しなくてもよく、閉鎖栓が大動脈10の内部に取り外された後、単層ディスク4は大動脈内に配置される。しかし、大動脈の血流の衝撃力が大きくて、フィルムによって覆われる単層ディスク4を動脈管12内に押す。このとき、管状の大動脈10は単層ディスク4を押圧して単層ディスク4を変形させ、支持棒の間の角度9を変化させるが、単層ディスク4はよい扁平形状を保持することができる。
【0074】
たとえ単層ディスク4がフィルムによって覆われなくても、単層ディスク4の支持棒は周囲の血管の形状に自動的に適応することができるほか、扁平に保持することもできる。このとき、動脈管12内に配置された柱状栓体16は血流を遮断すると同時に、大動脈10内における圧力が肺動脈11内における圧力よりも高いため、柱状栓体16は大動脈10から肺動脈11への方向の付勢力を受け、且つ腰部により付勢力を単層ディスク4に伝達して、単層ディスク4が下方に向いて大動脈10の血管壁に密着するような付勢力を受ける。大動脈は、平面構造ではなくて管状構造であるため、単層ディスク4は大動脈10から与えられた、単層ディスク4の平面内に両側から中央へ押圧するような押圧力も受ける。この押圧力により、単層ディスク4の支持棒の間の角度9を変化させ、例えば、予め設定された90°から60°に変化させる。角度9の変化に従い、単層ディスク4は楕円形になり、且つ楕円形の長軸方向は、大動脈10のそこの軸方向の傾向と一致する。このような形態の自動適応調整により、単層ディスク4は大動脈の血管壁によりよく貼り合わされて、血流の乱れを軽減させる。そして、単層ディスク4のような自動適応変形は支持棒による血管への反力を軽減させて、組織損傷を減らす。
【0075】
以上、本発明の好ましい実施形態を挙げて説明したが、これは本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本発明の精神及び範囲を含む各種の変形や修飾などは、本発明の保護を求める範囲内に属するものである。