(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来では、ブロック信号の中に一定数のパルス信号を入れているため、上記のようにマスク処理を行っても、人体検出や尿流検出の判定の精度に大きな影響はなかった。一方で、ブロック信号1つあたりの時間が長いため、人体検出や尿流検出の判定を行うまでに時間がかかるという問題があった。
【0007】
そこで、ブロック信号の中のパルス信号数を減らしブロック信号1つあたりの時間を短くすることで人体検出や尿流検出の判定を行うまでの時間を短縮する方法が考えられる。しかしながら、ブロック信号の中のパルス信号数を減らしブロック信号1つあたりの時間を短くしているため、上記のようにマスク処理を行うと、人体検出や尿流検出の判定の精度に大きな影響がある。
【0008】
この問題を解決するために、ブロック信号間の間隔の変動幅を小さくすることで、立ち上がりの電圧ばらつきの影響を無視できるレベルまで抑えるという方法が考えられる。
【0009】
しかしながら、上記の方法では、ランダムにブロック信号間の間隔を決定する場合、ブロック信号間の間隔の変動幅を小さくしようとするとランダム変動量が小さくなるため、電波干渉の頻度が上がってしまうという問題があった。
【0010】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであって、間欠駆動の周期が同一の人体検知センサが組み込まれた給水装置が複数設置されている場合において、電波干渉による誤動作を抑制することができる人体検知センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る人体検知センサは、所定の吐水先に水を供給するための給水装置に組み込まれる人体検知センサであって、測定対象物に向けて電波を送信し、当該送信した電波が反射された反射波を受信してドップラ信号を生成する信号生成手段と、前記信号生成手段を間欠駆動させるセンサ駆動手段と、前記信号生成手段が出力するドップラ信号に基づいて前記測定対象物の動きを判定する判定手段と、を備え、前記センサ駆動手段は、前記間欠駆動の周期が一定である複数のパルスを有する予め定められたブロック信号同士が、予め設定された所定の時間間隔となるように、前記信号生成手段を駆動させるとともに、前記所定の時間間隔を設定可能であ
り、前記給水装置は、リモートコントローラにより操作可能であり、前記センサ駆動手段は、前記リモートコントローラの操作に基づいて、前記所定の時間間隔を設定することを特徴とする。これにより、間欠駆動の周期が同一の人体検知センサが組み込まれた給水装置が複数設置されている場合に、電波干渉による誤動作を抑制することができる。
【0012】
また、本発明に係る人体検知センサにおいては、好ましくは、前記給水装置は、リモートコントローラにより操作可能であり、前記センサ駆動手段は、ペアリングIDに基づいて、前記所定の時間間隔を設定することを特徴とする。これにより、ペアリングが隣接するブロック信号間の時間間隔の設定を兼ねることで、隣接するブロック信号間の時間間隔の設定の手間を減らすことができる。
【0013】
また、本発明に係る人体検知センサにおいては、好ましくは、前記センサ駆動手段は、電波干渉が発生した場合に、前記所定の時間間隔を変更することを特徴とする。これにより、センサ駆動手段の発振子のばらつきにより電波干渉が生じた場合にも、隣接するブロック信号間の時間間隔を変更することで電波干渉による誤動作を抑制することができる。
【0014】
また、本発明に係る人体検知センサにおいては、好ましくは、前記センサ駆動手段は、所定の期間が経過した場合に、前記所定の時間間隔を変更することを特徴とする。これにより、周囲の環境変化によって発振子にばらつきが生じる場合であっても、電波干渉の発生の有無に関わらず所定期間経過後に隣接するブロック信号間の時間間隔を変更するため、電波干渉の発生を未然に防止することができる。
【0015】
また、本発明に係る人体検知センサは、所定の吐水先に水を供給するための給水装置に組み込まれる人体検知センサであって、測定対象物に向けて電波を送信し、当該送信した電波が反射された反射波を受信してドップラ信号を生成する信号生成手段と、前記信号生成手段で間欠駆動させるセンサ駆動手段と、前記信号生成手段が出力するドップラ信号に基づいて前記測定対象物の動きを判定する判定手段と、商用電源の位相成分を検出する同期検波器とを備え、前記センサ駆動手段は、前記間欠駆動の周期が一定である複数のパルスを、前記同期検波器で検出した基準点より予め設定された所定の時間だけ遅れた時間より前記信号生成手段を駆動させるとともに、前記所定の時間を設定可能であ
り、前記給水装置は、リモートコントローラにより操作可能であり、前記センサ駆動手段は、前記リモートコントローラの操作に基づいて、前記所定の時間間隔を設定することを特徴とする。これにより、前記センサ駆動手段は、全てのセンサに共通である商用電源周波数の位相を基準にして、各センサでそれぞれ異なるオフセット時間を設定し、異なるオフセット時間だけ遅れた時間より等間隔の周期で間欠動作を行うので、各センサのパルスは重なることがなく、電波干渉による誤動作を抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、間欠駆動の周期が同一の人体検知センサが組み込まれた給水装置が複数設置されている場合において、電波干渉による誤動作を抑制することができる人体検知センサを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態にかかる人体検知センサについて図面に基づいて説明する。本実施形態では電波については、マイクロ波を使用した人体検知センサについて記載しているが、マイクロ波とは電波の周波数による分類の一つである。一般的には波長100マイクロメートル〜1メートル、周波数300メガヘルツ〜3テラヘルツの電波(電磁波)を指し、この範囲には、デシメートル波(UHF)、センチメートル波(SHF)、ミリメートル波(EHF)、サブミリ波が含まれる。
【0019】
図1は、本実施形態に係る人体検知センサが組み込まれた小便器洗浄装置が連接されたトイレルームを示す図である。
【0020】
本実施形態においては、人体検知センサが組み込まれた給水装置のうち、
図1に示すように、トイレルーム(化粧室)内に、人体検知センサAを用いて人体検出や尿流検出を行う小便器洗浄装置100(給水装置)を複数隣接させて設置した場合に関して説明する。
図2は、本実施形態に係る人体検知センサAが組み込まれた小便器洗浄装置の概略構成図である。
【0021】
図2に示すように、本実施形態における小便器洗浄装置100は、小便器110と、ボール部120と、給水路130の中途部に設けられ、小便器110のボール部120内へ洗浄水を供給する給水バルブ140と、ボール部120の底部に配置され、小便器110のボール部120内の汚水を排水する排水路150と、この排水路150に連通するトラップ管路160と、人体検知センサA(信号生成手段170、センサ駆動手段180、判定手段190)と、人体検知センサAの人体検出や尿流検出の結果に応じて給水バルブ140を制御し、ボール部2内に洗浄水を供給する給水制御手段141と、を有している。なお、給水バルブ140は、電磁弁などから構成される。
【0022】
信号生成手段170は、小便器110の上部背面側に配置され、ボール部120を含む斜め下前方に向けて電波を放射して送信し、この電波の反射波を受信してドップラ信号を生成するものである。なお、信号生成手段170は、
図2に示す位置に限られず、例えば
図10に示す位置に設けられていることも好ましい。
図10に示す位置に信号生成手段170を設け、図中射線を付した領域に電波を放射することで、尿流や人体近接や人体離反をより的確に検知することができる。
【0023】
信号生成手段170は、小便器110のボール部120に尿が流れたこと(尿流)のほか、小便器110に人体が近づいてきたこと(人体近接)や小便器110から人体が遠ざかったこと(人体離反)を検出するために用いられるものである。
【0024】
また、センサ駆動手段180は、この信号生成手段170を間欠動作させるものであり、判定手段190は、信号生成手段170から出力されるドップラ信号に基づいて人体検出や尿流検出を行うものである。
【0025】
本実施形態に係る人体検知センサAの構成について、
図3を用いて説明する。
図3は、
図2に示す人体検知センサAの概略構成図である。
【0026】
人体検知センサAは、大きく分けて、小便器110のボール部120に向けて電波を送信し、その反射波を受信してドップラ信号を生成する信号生成手段170と、この信号生成手段170を間欠動作させるセンサ駆動手段180と、信号生成手段170から出力されるドップラ信号に基づいて人体検出や尿流検出を行う判定手段190の3つにより構成されている。
【0027】
信号生成手段170は、小便器110の上部背面側のから正面側のボール部120に向けて電波を送信するために24GHzの電気信号である送信信号S1を生成する発振回路171と、発振回路171から出力される送信信号S1を空間へ送信する送信手段172と、送信手段172から送信されたマイクロ波が検出対象物によって反射され、その反射波である受信信号S2を受信する受信手段173と、送信信号S1の周波数と受信信号S2の周波数との差分信号であるドップラ信号S3を出力する差分検出手段174から構成される。
【0028】
この信号生成手段170は、ドップラ効果を利用して以下の式(1)に基づいて検出対象物の動きを検出するために用いられるものである。
【0029】
基本式:ΔF=FS―Fb=2×FS×ν/c ・・・(1)
ΔF:ドップラ 周波数(ドップラ信号S3の周波数)
FS:送信周波数(送信信号S1の周波数)
Fb:反射周波数(受信信号S2の周波数)
ν:検出対象物の移動速度
c:光速(300×106 m/s)
【0030】
すなわち、送信手段172から送信された周波数FSのマイクロ波は、速度νで移動している測定対象物(人体または尿)に反射する。この反射波は、相対運動によるドップラ周波数シフトを受けているためその周波数はFbとなり、受信手段173によって受信される。そして、差分検出手段174によって、送信波と反射波の周波数差ΔFであるドップラ信号S3が検出信号として取り出され、このドップラ信号S3に基づいて、人体検出(人体接近検出や人体離反検出)及び尿流検出が行われる。
【0031】
判定手段190は、入力されたドップラ信号S3に基づいて、人体検出や尿流検出の有無を判定する。判定手段190により、人体検出や尿流検出が判定されると、給水制御手段141は所定の条件に従い給水バルブ140を制御して、ボール部120内に洗浄水を供給する。
【0032】
ここで、本実施形態においては、人体として検出するためのドップラ信号を40〜100(Hz)とし、尿流として検出するためのドップラ信号を180〜400(Hz)としている。なお、40〜100(Hz)のドップラ信号は、検出対象物の速度νが約0.2〜0.6(m/s)の速度であるときに信号生成手段170から出力され、180〜400(Hz)のドップラ信号は、検出対象物の速度νが約1.1〜2.5(m/s)の速度のときに信号生成手段170から出力されるものである。
【0033】
信号生成手段170から40〜100(Hz)の所定閾値以上のドップラ信号S3が所定期間連続して出力されると、判定手段190は人体接近を検出したと判定する。このように人体が接近したことが検出されると、給水制御手段141は給水バルブ140を制御して、ボール部120内に所定量の洗浄水を供給する。その後、信号生成手段170から180〜400(Hz)の所定閾値以上のドップラ信号S3が所定期間連続して出力されると、判定手段190は尿流を検出したと判定する。その後更に、信号生成手段170から40〜100(Hz)のドップラ信号S3が所定期間連続して出力されると、判定手段190は人体離反を検出したと判定する。このように尿流検出後、人体離反検出が行われると給水制御手段141は、給水バルブ140を制御して、ボール部120内に所定量の洗浄水を供給して、小便器110の洗浄を行う。
【0034】
センサ駆動手段180は、信号生成手段170を等間隔の間欠駆動周期Ta(サンプリング周期)で間欠駆動させるためのものであり、時間を計測するための時計手段181と、センサ駆動手段180および時計手段181を駆動させるための発信源である発振子182と、を有している。センサ駆動手段180によって信号生成手段170がオンされることで、送信手段172へ送信信号S1が供給され、センサ駆動手段180によって信号生成手段170がオフされることで、送信手段172への送信信号S1の供給が停止する。
【0035】
本実施形態においては、測定対象物検出のために400Hzまでのドップラ信号を得ることができればよいため、サンプリング周波数は、800Hzよりも高い周波数であればよい。
【0036】
ところで、
図1のように、人体検知センサAが組み込まれた給水装置(本実施形態では、小便器洗浄装置100)が複数連接して設置されている場合には、それらが互いに影響しあい、人体や尿流の誤検知を発生する恐れがある。
そこで、本実施形態における人体検知センサAのセンサ駆動手段180は、間欠駆動の周期が一定である複数のパルスを有する予め定められたブロック信号同士が、予め設定された所定の時間間隔Gとなるように、信号生成手段170を駆動させるとともに、所定の時間間隔Gを設定可能であることを特徴としている。
【0037】
センサ駆動手段180は、所定期間T内における所定間欠駆動周期Taでのn回の信号生成手段170の間欠動作を1つの単位ブロック(以下、「間欠動作ブロック」と呼ぶ。)とし、この間欠動作ブロック同士が所定の時間間隔Gとなるように、信号生成手段170を駆動させるとともに、所定の時間間隔Gを設定することができる。
【0038】
図4は、トイレルーム内に小便器洗浄装置100が隣接して3台設置されたときの各人体検知センサの動作状態を示しており、この図では、便宜的にこれらの人体検知センサAをそれぞれセンサA1〜A3として記載している。
【0039】
図4に示す例では、センサA1〜A3までの所定の時間間隔GをそれぞれG1、G2、G3に設定している。ここで、所定の時間間隔G1、G2、G3は、互いに等しくないものである。
【0040】
まず、第1間欠動作ブロック(第1ブロック)T1においては、原点(時刻t0)から動作開始まで時間間隔Gがそれぞれ所定の時間間隔G1、G2、G3となっており、間欠駆動のタイミングが一致せず、センサA1〜A3同士で電波干渉しあわない。また、第2間欠動作ブロック(第2ブロック)T2においても、間欠動作ブロック同士、すなわち、第1間欠動作ブロックと第2間欠動作ブロックの間の間隔を所定の時間間隔G1、G2、G3としているため、間欠駆動のタイミングが一致せず、センサA1〜A3同士で電波干渉しあわない。
【0041】
このように、センサ駆動手段180が間欠動作ブロック同士の所定の時間間隔Gを設定可能であることにより、人体検知センサA同士で電波干渉が発生することを抑制することができる。また、仮に干渉が発生してしまっても、G1,G2,G3は異なる時間間隔に設定されているため、次の間欠動作ブロックにおいて、干渉することがない。よって、連続で電波干渉が発生しないため、人体検知センサAが組み込まれた小便器洗浄装置100が電波干渉により誤動作をしてしまうことを抑制することができる。
【0042】
なお、センサ駆動手段180が所定の時間間隔Gを設定する方法として、小便器洗浄装置100(給水装置)がリモートコントローラ(図示なし)により操作可能である場合には、センサ駆動手段180は、ペアリングIDに基づいて、所定の時間間隔Gを設定することが好ましい。
【0043】
例えば、ペアリングIDを有する給水装置がそのペアリングIDを送信し、リモートコントローラがベアリングIDを受信すると、リモートコントローラが操作可能な給水装置を認識して登録するペアリングを実行する。このペアリングの際に使用するペアリングIDに基づいて、センサ制御手段180が所定の時間間隔Gを設定する、すなわちペアリングが隣接するブロック信号間の時間間隔(所定の時間間隔)Gの設定を兼ねることで、隣接するブロック信号間の時間間隔Gの設定の手間を減らすことができる。ここで、ペアリングIDとは、個体を識別するための情報を含む固有ID信号である。ペアリングIDは、給水装置に予め設定されていてもよいし、リモートコントローラに予め設定されていてもよい。
【0044】
なお、センサ駆動手段180が所定の時間間隔Gを設定する方法は、上述した方法に限られず、人体検知センサが組み込まれた給水装置を設置する現場にて、スイッチを操作して設定するなど、手動により所定の時間間隔Gの設定を行ってもよい。
【0045】
次に、
図5および
図6を用いて、電波干渉が発生した場合に、所定の時間間隔Gを変更するセンサ駆動手段180の仕組みを具体的に説明する。
図5は、本実施形態に係るセンサ駆動手段180の他の例を示すフローチャートである。
図6は、
図5に示す電波干渉判定のフローチャートである。
【0046】
図5に示すセンサ駆動手段180のフローチャートでは、電波干渉が発生した場合に所定の時間間隔Gを変更している。以下、具体的に説明する。
【0047】
図5に示すように、まず、センサ駆動手段180は、電波干渉が有るか否かを判定する(S001)。電波干渉なしと判定すると(S001:No)、S001に戻る。すなわち、電波干渉が有ると判定されるまでS001を繰り返す。一方、電波干渉有りと判定すると(S001:Yes)、時計手段181によりタイマをスタートする(S002)。そしてもう一度、電波干渉が有るか否かを判定する(S003)。電波干渉なしと判定すると(S003:No)、S003に戻る。一方、電波干渉有りと判定すると(S003:Yes)、時計手段181によりタイマを停止する(S004)。このように、タイマースタート後は、もう一度電波干渉有りと判定されるまでS003を繰り返し、電波干渉有りと判定されるとタイマを停止することで、電波干渉間隔を計測している。次に、電波干渉間隔、すなわちタイマをスタートしてからタイマを停止するまでの時間が、規定時間よりも長いか否かを判定する。電波干渉間隔が規定時間よりも長い場合には(S005:Yes)、電波干渉の発生確率は低いため、所定の時間間隔Gを変更せずにS001に戻る。一方、電波干渉間隔が規定時間よりも短い場合には(S005:No)、電波干渉の発生確率は高いため、所定の時間間隔Gを変更し、S001に戻る(S006)。
なお、規定時間は、回路の構成に合わせ適宜設定してよい。
【0048】
ここで、
図5に示すS001では、電波干渉があるか否かを判定している。判定の方法としては、まず、信号生成手段170の信号を、ある一定時間毎に、閾値Vを越えていないかどうか確認し、その情報をメモリにセット(格納)しておく。その後、過去数回分のメモリ情報を確認し、閾値Vを超えた回数Nが閾値A以上、且つ閾値B未満であれば、電波干渉であると判断する、という方法がある。この具体的なフローについて以下に説明する。
【0049】
図5に示すS001およびS003では、
図6に示すように、電波干渉判定フローに移る。まず、一定時間経過したか否かを判定する(S101)。一定時間経過していない場合は(S101:No)、S101に戻る。すなわち、一定時間経過したと判定されるまでS101を繰り返す。一方、一定時間経過した場合は(S101:Yes)、一定時間内で閾値Vを超えた信号があるか否かの判定に進む(S102)。一定時間内で閾値Vを超えた信号がある場合は(S102:Yes)、「有り」という情報を図示しないメモリにセットし、S105へ進む(S103)。一定時間内で閾値Vを超えた信号がない場合は(S102:No)、「無し」という情報を図示しないメモリにセットし、S105へ進む(S104)。なお、S103およびS104においては、過去一定回数分の情報もメモリにセットされているものとする。
【0050】
次に、S105では、メモリ内の過去一定回数分の情報を参照し、「有り」情報数が閾値A以上であるか否かを判定する。「有り」情報数が閾値A以上であれば(S105:Yes)、「有り」情報数が閾値B未満であるか否かを判定する(S106)。「有り」情報数が閾値B未満であれば(S106:Yes)、電波干渉有りと判定し、電波干渉判定フローを終了する。
【0051】
一方、「有り」情報数が閾値A以上でなければ(S105:No)、電波干渉無しと判定し、電波干渉判定フローを終了する。また、「有り」情報数が閾値B未満でなければ(S106:No)、電波干渉無しと判定し、電波干渉判定フローを終了する。
【0052】
なお、閾値Vを超えた回数Nが閾値A未満である場合は、電波干渉していない、或いは電波干渉しても問題のないレベルである。また、閾値Vを超えた回数Nが閾値B以上の場合は、継続して信号が出ているので、電波干渉ではなく測定対象物が存在している。よって、これら以外を指す、閾値Vを超えた回数Nが閾値A以上、且つ閾値B未満の場合は、電波干渉であると判断することができる。
【0053】
なお、S101の一定時間は、上述した所定時間T1とし、間欠動作ブロック毎に閾値Vを超えていないか否かの判定を行ってもよい。また、S102の閾値V、S105およびS106の閾値A、Bは、回路の構成に合わせ適宜設定してよい。
【0054】
周囲の環境や個体差によってセンサ駆動手段180の発振子182の発振周波数に微小な誤差が生じてしまい、間欠駆動周期Taおよび隣接するブロック信号間の時間間隔(所定の時間間隔)Gにも誤差が生じる。これにより、電波干渉が生じることになる。
しかしながら、上述したように、センサ駆動手段180の発振子182のばらつきにより電波干渉が生じた場合にも、隣接するブロック信号間の時間間隔(所定の時間間隔G)を変更することで、電波干渉による誤動作を抑制することができる。
【0055】
図7は、本実施形態に係るセンサ駆動手段180の変形例を示すフローチャートである。
図7に示すセンサ駆動手段180のフローチャートでは、電波干渉が連続で発生した回数が所定回数を超えた場合に所定の時間間隔Gを変更している。以下、具体的に説明する。
図7に示すように、まずセンサ駆動手段180は、電波干渉があるか否かを判定する(S201)。電波干渉なしと判定されると(S201:No)、カウンタをクリアし、S201に戻る。一方、電波干渉ありと判定されると(S201:Yes)、カウンタを1加える。次に、カウンタ値が規定回数を超えたか否かを判定する(S204)。カウンタ値が規定回数を超えたと判定されると(S201:Yes)、センサ駆動手段180は、所定の時間間隔Gを変更する(S205)。カウンタ値が規定回数を超えていないと判定されると(S201:No)、センサ駆動手段180は、所定の時間間隔Gを変更せずに、S201に戻る。そのため、センサ駆動手段180の発振子182のばらつきにより電波干渉が生じた場合にも、
図5で示した例のように、隣接するブロック信号間の時間間隔(所定の時間間隔)Gを変更することで、電波干渉による誤動作を抑制することができる。なお、規定回数は、回路の構成に合わせ適宜設定してよい。また、電波干渉の判定フローは、
図6にて説明したため省略する。
【0056】
図8は、本実施形態に係るセンサ駆動手段180の他の例を示すフローチャートである。
図8に示すセンサ駆動手段180のフローチャートでは、所定の期間が経過した場合に所定の時間間隔Gを変更している。以下、具体的に説明する。
【0057】
図8に示すように、まずセンサ駆動手段180は、所定時間が経過したか否かを判定する(S301)。所定時間経過したと判定された場合は(S301:Yes)、所定の時間間隔Gを変更し、S301に戻る。一方、所定時間経過していないと判定された場合は(S301:No)、所定の時間間隔Gを変更せずにS301に戻る。すなわち、電波干渉が発生していても、発生していなくても、所定時間経過後に所定の時間間隔Gを変更する。そのため、電波干渉の発生を未然に防止することができる。
【0058】
なお、本実施例では、給水装置として小便器洗浄装置の例を示したが、これに限らない。例えば、大便器の上面に設けられ、便蓋および便座の開閉機能やおしり洗浄機能等を有する衛生洗浄装置や、洗面器に取り付けられる自動水栓でもよい。
【0059】
また、
図5および
図7で示す例では、センサ駆動手段180は、電波干渉が発生する確率をみて所定の時間間隔Gを変更するため、無駄に所定の時間間隔Gを変更することを防止しているが、電波干渉が発生してすぐに所定の時間間隔Gを変更してもよい。
【0060】
さらに、
図8では、センサ駆動手段180は、所定時間経過すると所定の時間間隔Gを変更する例を示したが、これに限らない。例えば、センサ駆動手段180は、所定時間経過後ではなく、間欠駆動回数が所定回数をすぎると所定の時間間隔Gを変更するように構成されていてもよい。
【0061】
上述した本発明における実施形態では、
図3に示すように、センサ駆動手段180および時計手段181を駆動させるために発信源として発振子182を使用し、それに基づいてセンサ駆動手段180は信号生成手段170を駆動させている例について示したが、発振子182の代わりとして商用電源の周波数成分を検出する同期検波器を用いた場合の実施形態について説明する。
【0062】
図9は、商用電源の位相成分を検出する同期検波器を用いた場合の人体検知センサの間欠駆動開始タイミングを決定する実施形態を示す概略構成図である。
【0063】
図9に示すように、人体検知センサBは、小便器110のボール部120に向けて電波を送信し、その反射波を受信してドップラ信号を生成する信号生成手段170と、この信号生成手段170を間欠動作させるセンサ駆動手段280と、信号生成手段170から出力されるドップラ信号に基づいて人体検出や尿流検出を行う判定手段190の3つにより構成されている。
【0064】
信号生成手段170および判定手段190については、
図3で示したものと同一であるため説明を省略する。
センサ駆動手段280は、信号生成手段170を等間隔の間欠駆動周期Ta(サンプリング周期)で間欠駆動させるためのものであり、時間を計測するための時計手段281と、センサ駆動手段280および時計手段281を駆動させるための発信源である発振子182と、商用電源285の位相成分を検出する同期検波器284と、を有している。なお、位相成分とは、ゼロクロス点やピーク点などから検出されるものである。
【0065】
以下、
図11を用いて説明する。
図11は、
図9に示す人体検知センサと商用電源電圧との動作関係を示す図である。
図11では、人体検知センサBが3つ連接した場合の動作状態を示しており、この図では、便宜的にこれらの人体検知センサBをそれぞれセンサB1〜B3として記載している。
【0066】
同期検波器284は、商用電源285の位相成分(ゼロクロス点またはピーク点)に基づき、基準点t0を決定する。各センサの電源は商用電源を使用しているので、基準点t0の時間位置は各センサに共通の時間位置となる。各センサのセンサ駆動手段280は、基準点t0からオフセット時間(所定の時間)TZだけ遅れた時間より、間欠駆動周期Taでパルス信号が連続して発生するように信号生成手段170を間欠駆動させる。各センサのセンサ駆動手段280は、パルス信号が重なり合わないように、それぞれ異なるオフセット時間TZを設定する。すなわち、
Ta > N・Tp ・・・・・・・・・・・・・・・(2)
TZn − TZn-1 > Tp (n=2、3、・・・、N)・・・(3)
Ta:間欠駆動周期
Tp:パルス時間
TZn:任意のセンサのオフセット時間
N:センサの総数
n:センサ番号
を満たすように設定する。(2)式では、間欠駆動周期Taを各センサのパルスの総時間よりも長く設定することを示し、(3)式では、隣り合う各センサのオフセット時間は、パルス時間Tp以上ずれた値に設定することを示す。
【0067】
これにより、センサ駆動手段280は、全てのセンサに共通である商用電源周波数の位相を基準にして、各センサでそれぞれ異なるオフセット時間を設定し、異なるオフセット時間だけ遅れた時間より間欠駆動周期Taで間欠動作を行うので、各センサのパルスは重なることがなく、電波干渉による誤動作を抑制することができる。
【0068】
以上のように、間欠駆動の周期が同一の給水装置が複数設置されている場合においても、電波干渉による誤動作を抑制することができる。