特許第6248392号(P6248392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248392
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20171211BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   H01L29/78 652N
   H01L29/78 652P
   H01L29/78 652Q
   H01L29/78 653A
   H01L29/06 301F
   H01L29/06 301G
   H01L29/06 301V
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-6170(P2013-6170)
(22)【出願日】2013年1月17日
(65)【公開番号】特開2014-138090(P2014-138090A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161562
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 朗
(72)【発明者】
【氏名】島藤 貴行
【審査官】 棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−148659(JP,A)
【文献】 特開2004−158844(JP,A)
【文献】 特開昭52−156555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/86−96
H01L 29/78
H01L 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子活性部と前記素子活性部の外周に素子周縁部を備えた半導体装置であって、
前記素子活性部は、
半導体基板の第1主面側の第1導電型の半導体層に形成された第2導電型のベース領域と、
前記ベース領域に形成された第1導電型のソース領域と、
前記半導体層と前記ソース領域との間の前記ベース領域の前記半導体基板の表面上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に形成され前記ベース領域、及び前記ソース領域と接続されたソース電極と、
前記層間絶縁膜上に前記ソース電極を囲むように形成され前記ゲート電極と電気的に接続された環状のゲート金属配線とを備え、
前記素子周縁部は、
前記半導体層に離間して形成された第2導電型の少なくとも2つ以上のガードリングと、
前記半導体基板の前記第1主面上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成された前記層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に前記素子活性部を囲むように形成され前記ガードリングと電気的に接続された少なくとも1つ以上の環状のフィールドプレート電極と、
前記半導体基板の第1主面側の上面を覆い、前記ゲート金属配線を部分的に露出する第1開口部、および前記ソース電極を部分的に露出する第2開口部を備え、前記層間絶縁膜に接する有機保護膜と、
前記ソース電極の開口端から前記ゲート金属配線の前記素子周縁部側端部に亘って、前記ソース電極と前記有機保護膜との間、前記層間絶縁膜と前記有機保護膜との間および前記ゲート金属配線と前記有機保護膜との間に連続して形成された第1無機保護膜と、
を備えることを特徴とした半導体装置。
【請求項2】
前記第1無機保護膜は、前記ゲート金属配線の前記素子周縁部側の側面に形成された前記第1無機保護膜より外周には形成されていないことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1無機保護膜は、前記ゲート金属配線の前記素子周縁部側の側面に形成された前記第1無機保護膜と前記素子周縁部の最外周の前記フィールドプレート電極の側面との間には形成されておらず、
前記素子周縁部の最外周には、
前記半導体層の表面層に形成された第2導電型領域と、
前記層間絶縁膜上に形成され前記半導体層、又は前記第2導電型領域と電気的に接続された環状のチャネルストッパー電極とを備え、
前記チャネルストッパー電極と前記有機保護膜との間に第2無機保護膜を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1開口部には前記ゲート金属配線を部分的に露出したゲート電極パッドを備え、
前記第2開口部には前記ソース電極を部分的に露出したソース電極パッドを備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1無機保護膜は、酸化シリコン膜、又は窒化シリコン膜とすることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記有機保護膜は、ポリベンゾオキサゾール、又はポリイミドとすることを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ゲート金属配線は、アルミニウムを含む合金であることを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子活性部と素子周縁部を備えた半導体装置の保護膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では図14のように、半導体基板100上面に形成された金属材料からなるゲート金属配線31、チャネルストッパー電極32、ソース電極33、フィールドプレート電極12上に無機保護膜10として酸化シリコン膜、又は窒化シリコン膜のような無機絶縁膜が形成されている。さらにその上面には有機保護膜としてポリベンゾオキサゾール、又はポリイミドのような有機絶縁膜が形成されている。
【0003】
半導体装置の特性の安定化を図るとともに耐圧を向上させるため、エミッタ電極とゲート電極を跨ぐように第1の絶縁層が形成され、第1絶縁層の上面と側面に第2絶縁層が形成されている。ゲート電極は第1の絶縁層に部分的に覆われている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、外部電荷の影響を小さくするために半導体素子の終端領域のガードリング電極とソース電極が窒化シリコン又はポリイミド等の保護膜で覆われている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに外部電荷の影響を小さくして、素子周縁部を高耐圧化するために、半導体素子の終端領域のフィールドプレート電極が分離用酸化膜又は層間絶縁膜で覆われている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
導電層上にパッシベーション層として無機材料と有機材料からなる誘電層を複数重ねることで、パッシベーション層を開口するためのドライエッチング工程の時間短縮や、窒化シリコン層に加わる機械的応力を緩和している(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
また、パッシベーション膜としてシリコン窒化膜上にポリイミド膜を形成し、パッシベーション膜の開口部にある露出した金属配線部の腐食を防ぎ、ポリイミドとモールド樹脂の密着性を向上させるため、ポリイミド膜表面にアッシングを行っている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−161240号公報
【特許文献2】特開2008−227236号公報
【特許文献3】特開2011−204710号公報
【特許文献4】特開2001−230505号公報
【特許文献5】特開平8−293492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図14に示す従来技術の保護膜は、半導体基板100表面上に無機保護膜、さらにその上に有機保護膜を形成した2層構造であり、半導体装置の素子周縁部Yの表面に異物、又はモールド樹脂中のフィラーによるフィラーアタックからの保護に加え、モールド樹脂中のイオン、及び外部からの水分の侵入を防ぐため、保護膜を形成している。この保護膜は素子周縁部Yの電界分布を保持し、耐圧劣化を防止する役割をしている。
【0010】
しかしながら、組立工程において半導体装置に加えられる応力により素子周縁部Yの無機保護膜にクラックが発生する場合がある。
素子周縁部Yの無機保護膜にクラックが発生した場合、THB試験(Temperature,Humidity,Bias Test)のような高温、高湿雰囲気中での信頼性試験でクラック発生箇所に局所的に電界が集中し、ドレイン電極とソース電極との間に局所的な耐圧低下が起こり、リーク不良が発生する。
【0011】
また、クラック発生の原因となる無機保護膜を形成せずに、有機保護膜のみを形成するとクラックの発生は防ぐことができるが、保護膜と金属配線との界面、及び保護膜との金属電極の界面にTHB試験のような高温、高湿雰囲気中での信頼性試験において水分やモールド樹脂中のイオンが侵入するため、ゲート電極とソース電極との間でリーク不良が発生する。また、ソース電極にグランド電圧が印加されドレイン電極にマイナスの電圧が印加されている場合は、ゲート電極とドレイン電極との間でリーク不良が発生する。
【0012】
本発明は、信頼性の高い半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
素子活性部Xの半導体基板100の第1導電型のドリフト領域15には、pベース領域14、n型ソース領域16が形成され、素子活性部X側の半導体基板100上面にはゲート絶縁膜4を介してゲート電極5が形成される。
【0014】
素子周縁部Yの半導体基板100の第1導電型のドリフト領域15には、少なくとも2つ以上のガードリング11が形成され、最外周には環状にp表面領域13が形成される。また、素子周縁部Y側の半導体基板100上面には、絶縁膜7が形成されている。
【0015】
さらに、素子活性部X、及び素子周縁部Yの上面には、層間絶縁膜6が形成され、素子活性部X側の層間絶縁膜6上面には、pベース領域15とn型ソース領域16に接続されたソース電極33と、ソース電極33を囲むように環状にゲート金属配線31が形成され、ゲート金属配線31はゲート電極5と接続されている。
【0016】
素子周縁部Y側の層間絶縁膜6上面には、少なくとも1つ以上の環状のフィールドプレート電極12と、環状のチャネルストッパー電極32が形成され、フィールドプレート電極12はガードリング11と接続されている。また、チャネルストッパー電極32はp型表面領域13に接続されている。
【0017】
半導体基板100の第1主面側の上面には開口部を備えた有機保護膜2が形成され、開口部はゲート金属配線31を部分的に露出したゲート電極パッド41部と、ソース電極33を部分的に露出したソース電極パッド42部となる。
【0018】
ソース電極30と有機保護膜2との間、層間絶縁膜6と有機保護膜2との間、およびゲート金属配線31と有機保護膜2との間には、連続して無機保護膜1が形成される
【発明の効果】
【0019】
本発明では、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明実施の形態1を示す平面図でする。
図2】本発明実施の形態1の図1のA−A’断面図である。
図3】本発明実施の形態1の図1のB−B’断面図である。
図4】本発明実施の形態1の図1のC−C’断面図である。
図5】本発明実施の形態2の図1のA−A’断面図である。
図6】本発明実施の形態2の図5のD部拡大図である。
図7】本発明実施の形態3の図1のA−A’断面図である。
図8】本発明実施の形態4の図1のA−A’断面図である。
図9】本発明実施の形態5の図1のA−A’断面図である。
図10】本発明実施の形態6の図1のA−A’断面図である。
図11】本発明実施の形態7の図1のA−A’断面図である。
図12】本発明実施の形態8の図1のA−A’断面図である。
図13】本発明実施の形態9の図1のA−A’断面図である。
図14】従来技術の図1のA−A’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明の実施の形態に基づいて説明する。
以下の実施の形態では、半導体装置として主にMOSFET(Matal Oxide Semicondouctor Field Effect Transistor)について説明するが、MOSFETに限定されるものではなく、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)としてもよい。
【0022】
また、以下の実施の形態は組み合わせて実施しても良く、実施の形態に限定されない。
(実施の形態1)
図1図2図3、及び図4は、本発明の第1の実施の形態の構成図である。図1は本発明実施の形態1の平面図であり、有機保護膜2が形成されていない場合を示す。図2は有機保護膜2が形成された場合の図1のA−A’断面図、図3は有機保護膜2が形成された場合の図1のB−B’断面図、図4は有機保護膜2が形成された場合の図1のC−C’断面図である。
【0023】
図1に示すように半導体装置101は、ソース電極33の一部に形成されたソース電極パッド42とソース電極33を囲むように形成された環状のゲート金属配線31の一部が張り出して形成されたゲート電極パッド41があり、ソース電極パッド42とゲート電極パッド41はソース電極33とゲート金属配線31の表面が露出している。ゲート金属配線31の外周の素子周縁部Yには、フィールドプレート電極12とチャネルストッパー電極32が環状に形成されている。
【0024】
図2に示すように、素子活性部Xの半導体基板100の第1主面の第1導電型のドリフト領域15には、pベース領域14が形成され、pベース領域14内に、n型ソース領域16が形成されている。ドリフト領域15とn型ソース領域16との間のpベース領域14の表面上にはゲート絶縁膜4を介してゲート電極5が形成されている。
【0025】
素子周縁部Yの半導体基板100の第1主面の第1導電型のドリフト領域15には、少なくとも2つ以上のガードリング11が形成され、最外周にはp表面領域13が形成される。また、素子周縁部Y側の半導体基板100の第1主面の上面には、絶縁膜7が形成されている。
【0026】
さらに、半導体基板100の第1主面側の上面には、層間絶縁膜6が形成され、素子活性部X側の層間絶縁膜6上面には、ゲート金属配線31とソース電極33が形成され、図4に示すようにゲート金属配線31はゲート電極5と接続され、ソース電極は図2に示すようにpベース領域14とn型ソース領域16に接続されている。
【0027】
素子周縁部Y側の層間絶縁膜6上面には、少なくとも1つ以上のフィールドプレート電極12と、チャネルストッパー電極32が形成され、フィールドプレート電極12はガードリング11と接続されている。また、チャネルストッパー電極32はp型表面領域13に接続されている。
【0028】
なお、チャネルストッパー電極32とp型表面領域13の接続箇所は、図1に示すC−C’断面の位置に限定されるものではなく、素子周縁部Yのいずれの箇所に設けても良い。
【0029】
また、p型表面領域13はn型としても良く、チャネルストッパー電極32はドリフト領域15と電気的に接続しても良い。
ゲート金属配線31は、無機保護膜1が覆うように形成され、図2図3に示すように、ゲート金属配線31とソース電極33の一部を除く半導体基板100の第1主面側の上面には、有機保護膜2が形成される。有機保護膜2が形成されず表面が露出したゲート金属配線31とソース電極33は、ゲート電極パッド41とソース電極パッド42となる。
【0030】
半導体基板100の第2主面側には、ドレイン領域21が形成され、ドレイン領域22の上面には、ドレイン電極22が形成されている。
ゲート金属配線31、チャネルストッパー電極32、ソース電極33、ソース電極パッド42、及びフィールドプレート電極12は金属材料であり、導電性の良いAl−Si、Al−Si−Cuなどのアルミニウムを含む合金であることが望ましい。
【0031】
無機保護膜1は、金属材料との密着性の良い酸化シリコン膜、又は窒化シリコン膜であり、厚さはゲート金属配線31、チャネルストッパー電極32、ソース電極33、ソース電極パッド42、及びフィールドプレート電極12の金属材料で形成された電極を覆うように形成するため、例えば金属材料で形成された電極の厚さが3〜5μmである場合は、0.5〜1.0μm程度とすることが望ましい。
【0032】
半導体基板100の第1主面側の上面には半導体装置101を異物やモールド樹脂中のフィラーによるフィラーアタックから保護するために有機保護膜2が形成され、ポリベンゾオキサゾール、又はポリイミドであることが望ましい。
【0033】
絶縁膜7は、熱酸化によって形成された酸化シリコン膜である。層間絶縁膜6は、CVD(chemical vapor deposition)法によって形成されたBPSG膜(Boron Phosphorus Silicon Glass)で形成したがこれに限らず、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜またはこれらの積層膜としてもよい。
【0034】
ゲート金属配線31、ゲート電極パッド41、ソース電極33、ソース電極パッド42、フィールドプレート電極12、及びチャネルストッパー電極32は、スパッタリングによって半導体基板100の第1主面の全面に形成され、レジストでパターニングした後、ドライエッチング、又はウエットエッチングを行い、ゲート金属配線31、ゲート電極パッド41、ソース電極33、ソース電極パッド42、フィールドプレート電極12、及びチャネルストッパー電極32以外の金属材料膜を除去し、レジストを除去する。
【0035】
無機保護膜1はCVD法によって半導体基板100の第1主面の全面に形成され、レジストでパターニングした後、ドライエッチングを行い、ゲート金属配線31の側面、及び上面以外の無機保護膜1を除去する。レジスト除去後、CVD法により半導体基板100の第1主面側の上面全体に有機保護膜2を形成する。
【0036】
ゲート金属配線31の側面と上面が金属材料との密着性が良い無機保護膜1で覆うことで、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、ゲート金属配線31と無機保護膜1との界面の剥離を抑制し、ゲート金属配線31とソース電極33との間のリーク不良を抑制することができる。また、ソース電極42にグランド電圧が印加されドレイン電極22にマイナスの電圧が印加された場合には、ゲート金属配線31とドレイン電極22との間のリーク不良を抑制することができる。
【0037】
無機保護膜1はゲート金属配線31の側面、及び上面にのみ形成することで、組立工程で半導体装置101に加えられる応力により、図14に示した従来技術において素子周縁部Yの無機保護膜10に発生していたクラックを防ぐことができる。このクラックの発生を防ぐことで、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、クラックの発生箇所に局所的なモールド樹脂中のイオン、及び水分の侵入がなくなり、ドレイン電極22とソース電極33との間の局所的な耐圧低下を抑制することができ、リーク不良を抑制することができる。
(実施の形態2)
図5、及び図6は本件発明の第2の実施の形態の構成図である。図5は、図1のA−A’断面図であり、図6は、図5のD部の拡大図である。
【0038】
第1の実施の形態と異なる点は、ソース電極33と有機保護膜2との間に無機保護膜1aをさらに備えている点である。他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
図5に示すように、無機保護膜1aはソース電極33上面と側面に形成され、無機保護膜1bはゲート金属配線31の上面と側面を覆うように形成される。ゲート金属配線31とソース電極33の一部を露出させて形成するゲート電極パッド31部とソース電極バッド42部を除く半導体基板100の第1主面側の上面には、有機保護膜2が形成される。
【0039】
なお、ソース電極パッド42部の無機保護膜1aと有機保護膜2の端部は、図6(a)に示すように無機保護膜1aの端面を覆うように有機保護膜2が形成されているが、図6(b)に示すように無機保護膜1aと有機保護膜2の端面が同じ面になるように形成されても良い。また、ゲート電極パッド31も同様に形成することができる。
【0040】
無機保護膜1a、1bは、金属材料との密着性の良い酸化シリコン膜、又は窒化シリコン膜であり、厚さはゲート金属配線31、チャネルストッパー電極32、ソース電極33、ソース電極パッド42、及びフィールドプレート電極12の金属材料で形成された電極を覆うように形成するため、例えば金属材料で形成された電極の厚さが3〜5μmである場合は、0.5〜1.0μm程度とすることが望ましい。
【0041】
無機保護膜1a、1bはCVD法によって半導体基板100の第1主面の全面に形成され、レジストでパターニングした後、ドライエッチングを行い、ゲート金属配線31、及びソース電極33の側面、及び上面以外の無機保護膜を除去することで形成する。
【0042】
ゲート金属配線31の側面と上面が金属材料との密着性が良い無機保護膜1bで覆うことで、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、ゲート金属配線31と無機保護膜1bとの界面の剥離を抑制し、ゲート金属配線31とソース電極33との間のリーク不良を抑制することができる。また、ソース電極33にグランド電圧が印加されドレイン電極22にマイナスの電圧が印加された場合には、ゲート金属配線31とドレイン電極22との間のリーク不良を抑制することができる。
【0043】
ソース電極33に金属材料と密着性の良い無機保護膜1aを設けることで、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、ソース電極パッド42からのモールド樹脂中のイオンや水分の浸入を抑制することができる。ソース電極33と無機保護膜1aの界面からのモールド樹脂中のイオンや水分の浸入を防ぐことで、ゲート金属配線31と無機保護膜1bとの界面の剥離を抑制し、ゲート金属配線31とソース電極33との間、及びゲート金属配線31とドレイン電極22との間のリーク不良を抑制する。
【0044】
ゲート金属配線31とソース電極33の側面と上面のみに無機保護膜1a、1bを形成することで、組立工程で半導体装置101に加えられる応力により、図14に示した従来技術において素子周縁部Yの無機保護膜10に発生していたクラックを防ぐことができる。
【0045】
このクラックの発生を防ぐことで、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、クラックの発生箇所に局所的なモールド樹脂中のイオン、及び水分の侵入がなくなり、ドレイン電極22とソース電極33との間の局所的な耐圧低下を抑制することができ、リーク不良を抑制することができる。
(実施の形態3)
図7は本件発明の第3の実施の形態の構成図であり、図1のA−A’断面図である。
【0046】
第1の実施の形態と異なる点は、チャネルストッパー電極32と有機保護膜2との間に無機保護膜1dをさらに備えている点である。他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0047】
図7に示すように、無機保護膜1cはゲート金属配線31の側面、及び上面を覆うように形成され、無機保護膜1dはチャネルストッパー電極32の側面、及び上面に形成されている。
ゲート金属配線31とソース電極33の一部を露出させて形成するゲート電極パッド31部とソース電極バッド42部を除く半導体基板100の第1主面側の上面には、有機保護膜2が形成される。
【0048】
無機保護膜1c、1dは、金属材料との密着性の良い酸化シリコン膜、又は窒化シリコン膜であり、厚さはゲート金属配線31、チャネルストッパー電極32、ソース電極33、ソース電極パッド42、及びフィールドプレート電極12の金属材料で形成された電極を覆うように形成するため、例えば金属材料で形成された電極の厚さが3〜5μmである場合は、0.5〜1.0μm程度とすることが望ましい。
【0049】
無機保護膜1c、1dはCVD法によって半導体基板100の第1主面の全面に形成され、レジストでパターニングした後、ドライエッチングを行い、ゲート金属配線31の側面、及び上面とチャネルストッパー電極32の側面と上面以外の無機保護膜を除去することで形成する。
【0050】
ゲート金属配線31が金属材料との密着性が良い無機保護膜1cで覆われることで、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、ゲート金属配線31と無機保護膜1cとの界面の剥離を抑制し、ゲート金属配線31とソース電極33との間のリーク不良を抑制することができる。また、ソース電極42にグランド電圧が印加されドレイン電極22にマイナスの電圧が印加された場合には、ゲート金属配線31とドレイン電極22との間のリーク不良を抑制することができる。
【0051】
また、チャネルストッパー電極32に無機保護膜1dを形成することにより、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、素子周縁部Yの端面からのモールド樹脂中のイオンや水分の侵入を防ぐことができる。
【0052】
ゲート金属配線31とチャネルストッパー電極の側面と上面のみに無機保護膜1c、1dを形成することで、組立工程で半導体装置101に加えられる応力により、図14に示した従来技術において素子周縁部Yの無機保護膜10に発生していたクラックを防ぐことができる。
【0053】
このクラックの発生を防ぐことで、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、クラックの発生箇所に局所的なモールド樹脂中のイオン、及び水分の侵入がなくなり、ドレイン電極22とソース電極33との間の局所的な耐圧低下を抑制することができ、リーク不良を抑制することができる。
(実施の形態4)
図8は本発明の第4の実施の形態の構成図であり、図1のA−A’断面図である。
【0054】
第1の実施の形態と異なる点は、ソース電極33と有機保護膜2との間及びチャネルストッパー電極32と有機保護膜2との間に無機保護膜をさらに備えている点である。他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0055】
図8に示すように、無機保護膜1eはソース電極33の上面と側面に形成され、無機保護膜1fはゲート金属配線31の側面、及び上面を覆うように形成され、無機保護膜1gはチャネルストッパー電極32の側面、及び上面に形成されている。
ゲート金属配線31とソース電極33の一部を露出させて形成するゲート電極パッド31部とソース電極バッド42部を除く半導体基板100の第1主面側の上面には、有機保護膜2が形成される。
【0056】
なお、ゲート電極パッド31部とソース電極パッド42部の無機保護膜1e、有機保護膜2の端部は、図6(b)に示すように無機保護膜1eと有機保護膜2の端面が同じ面となるように形成しても良い。
【0057】
無機保護膜1e、1f、1gは、金属材料との密着性の良い酸化シリコン膜、又は窒化シリコン膜であり、厚さはゲート金属配線31、チャネルストッパー電極32、ソース電極33、ソース電極パッド42、及びフィールドプレート電極12の金属材料で形成された電極を覆うように形成するため、例えば金属材料で形成された電極の厚さが3〜5μmである場合は、0.5〜1.0μm程度とすることが望ましい。
【0058】
無機保護膜1e、1f、1gはCVD法によって半導体基板100の第1主面の全面に形成され、レジストでパターニングした後、ドライエッチングを行い、ソース電極33の上面及び側面と、ゲート金属配線31の側面及び上面と、チャネルストッパー電極32の側面、及び上面以外の無機保護膜を除去することで形成する。
【0059】
ゲート金属配線31が金属材料との密着性が良い無機保護膜1fで覆われることで、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、ゲート金属配線31と無機保護膜1fとの界面の剥離を抑制し、ゲート金属配線31とソース電極33との間のリーク不良を抑制することができる。また、ソース電極42にグランド電圧が印加されドレイン電極22にマイナスの電圧が印加された場合には、ゲート金属配線31とドレイン電極22との間のリーク不良を抑制することができる。
【0060】
ソース電極33に金属材料と密着性の良い無機保護膜1eを設けることで、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、ソース電極33と無機保護膜1eの界面からのモールド樹脂中のイオンや水分の浸入を抑制することができる。ソース電極33と無機保護膜1eの界面からのモールド樹脂中のイオンや水分の浸入を防ぐことで、ゲート金属配線31と無機保護膜1fとの界面の剥離を抑制し、ゲート金属配線31とソース電極33との間、及びゲート金属配線31とドレイン電極22との間のリーク不良を抑制する。
【0061】
さらに、チャネルストッパー電極32に無機保護膜1gを形成することにより、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、素子周縁部Yの端面からのモールド樹脂中のイオンや水分の侵入を防ぐことができる。
【0062】
ソース電極33の上面と側面、ゲート金属配線31とチャネルストッパー電極の側面と上面のみに無機保護膜1e、1f、1gを形成することで、組立工程で半導体装置101に加えられる応力により、図14に示した従来技術において素子周縁部Yの無機保護膜10に発生していたクラックを防ぐことができる。
【0063】
このクラックの発生を防ぐことで、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、クラックの発生箇所に局所的なモールド樹脂中のイオン、及び水分の侵入がなくなり、ドレイン電極22とソース電極33との間の局所的な耐圧低下を抑制することができ、リーク不良を抑制することができる。
(実施の形態5)
図9は本発明の第5の実施の形態の構成図であり、図1のA−A’断面図である。
【0064】
第1の実施の形態と異なる点は、ソース電極33と有機保護膜2との間からゲート金属配線31に亘って連続した無機保護膜1hを備えている点である。他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0065】
図9に示すように、無機保護膜1hがソース電極33の開口端からゲート金属配線31の素子周縁部Y側端部に亘って連続して形成されている。ゲート金属配線31とソース電極33の一部を露出させて形成するゲート電極パッド41部とソース電極パッド42部を除く半導体基板100の第1主面側の上面には、有機保護膜2が形成される。
【0066】
なお、ゲート電極パッド31部とソース電極パッド42部の無機保護膜1h、有機保護膜2の端部は、図6(b)に示すように無機保護膜1hと有機保護膜2の端面が同じ面となるように形成しても良い。
【0067】
無機保護膜1hは、金属材料との密着性の良い酸化シリコン膜、又は窒化シリコン膜であり、厚さはゲート金属配線31、チャネルストッパー電極32、ソース電極33、ソース電極パッド42、及びフィールドプレート電極12の金属材料で形成された電極を覆うように形成するため、例えば金属材料で形成された電極の厚さが3〜5μmである場合は、0.5〜1.0μm程度とすることが望ましい。
【0068】
無機保護膜1hはCVD法によって半導体基板100の第1主面の全面に形成され、レジストでパターニングした後、ドライエッチングを行い、ソース電極33の開口端からゲート金属配線31の素子周縁部Y側の端部に亘る連続した面以外の無機保護膜を除去することで形成する。
【0069】
ソース電極33の開口端からゲート金属配線31の素子周縁部Y側端部に亘って連続して金属材料との密着性が良い無機保護膜1hで覆われることで、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、ソース電極33と無機保護膜1hの界面からのモールド樹脂中のイオン、及び水分の侵入を防ぐことができ、ゲート金属配線31と無機保護膜1hとの界面の剥離を抑制し、ゲート金属配線31とソース電極33との間のリーク不良を抑制することができる。また、ドレイン電極22にマイナスの電圧が印加された場合には、ゲート金属配線31とドレイン電極22との間のリーク不良を抑制することができる。
【0070】
ソース電極33の開口端からゲート金属配線31の素子周縁部Y側端部に亘る部分にのみ無機保護膜1hを形成することで、組立工程で半導体装置101に加えられる応力により、図14に示した従来技術において素子周縁部Yの無機保護膜10に発生していたクラックを防ぐことができる。このクラックの発生を防ぐことで、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、クラックの発生箇所に局所的なモールド樹脂中のイオン、及び水分の侵入がなくなり、ドレイン電極22とソース電極33との間の局所的な耐圧低下を抑制することができ、リーク不良を抑制することができる。
(実施の形態6)
図10は本発明の第6の実施の形態の構成図であり、図1のA−A’断面図である。
【0071】
第5の実施の形態と異なる点は、チャネルストッパー電極32と有機保護膜2との間に無機保護膜1jをさらに備えている点である。他の構成は、第5の実施の形態と同様である。
【0072】
図10に示すように、無機保護膜1iがソース電極33の開口端からゲート金属配線31とゲート金属配線31の素子周縁部Y側端部に亘って連続して形成され、チャネルストッパー電極32の側面、及び上面にも無機保護膜1jが形成されている。ゲート金属配線31とソース電極33の一部を露出させて形成するゲート電極パッド41部とソース電極パッド42部を除く半導体基板100の第1主面側の上面には、有機保護膜2が形成される。
【0073】
無機保護膜1i、1jは、金属材料との密着性の良い酸化シリコン膜、又は窒化シリコン膜であり、厚さはゲート金属配線31、チャネルストッパー電極32、ソース電極33、ソース電極パッド42、及びフィールドプレート電極12の金属材料で形成された電極を覆うように形成するため、例えば金属材料で形成された電極の厚さが3〜5μmである場合は、0.5〜1.0μm程度とすることが望ましい。
【0074】
無機保護膜1i、1jはCVD法によって半導体基板100の第1主面の全面に形成され、レジストでパターニングした後、ドライエッチングを行い、ソース電極33の開口端からゲート金属配線31の素子周縁部Y側の端部に亘る連続した面とチャネルストッパー電極32の側面、及び上面以外の無機保護膜を除去することで形成する。
【0075】
ソース電極33の開口端からゲート金属配線31の素子周縁部Y側端部に亘って連続して金属材料との密着性が良い無機保護膜1iで覆われることで、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、ソース電極33と無機保護膜1iの界面からのモールド樹脂中のイオン、及び水分の侵入を防ぐことができ、ゲート金属配線31と無機保護膜1iとの界面の剥離を抑制し、ゲート金属配線31とソース電極33との間のリーク不良を抑制することができる。また、ソース電極42にグランド電圧が印加されドレイン電極22にマイナスの電圧が印加された場合には、ゲート金属配線31とドレイン電極22との間のリーク不良を抑制することができる。
【0076】
さらに、チャネルストッパー電極32の側面、及び上面に無機保護膜1jを形成することでTHB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、素子周縁部Yの端面からのモールド樹脂中のイオンや水分の侵入を防ぐことができる。
【0077】
ソース電極33の開口端からゲート金属配線31の素子周縁部Y側端部に亘って連続して形成された無機保護膜1iとチャネルストッパー電極32の素子活性部X側の側面と上面に形成された無機保護膜1jのみに無機保護膜を形成することで、組立工程で半導体装置101に加えられる応力により、図14に示した従来技術において素子周縁部Yの無機保護膜10に発生していたクラックを防ぐことができる。このクラックの発生を防ぐことで、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、クラックの発生箇所に局所的なモールド樹脂中のイオン、及び水分の侵入がなくなり、ドレイン電極22とソース電極33との間の局所的な耐圧低下を抑制することができ、リーク不良を抑制することができる。
(実施の形態7)
図11は、本発明の第7の実施の形態の構成図であり、図1のA−A’断面図である。
【0078】
第1の実施の形態と異なる点は、半導体基板100の第2主面側にエミッタ領域61を備えIGBTとした点である。他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
図11に示すように、ゲート金属配線31の側面、及び上面には、無機保護膜1kが形成され、ゲート金属配線31とエミッタ電極64の一部を露出させて形成するゲート電極パッド41部とエミッタ電極パッド65部を除く半導体基板100の第1主面側の上面には、有機保護膜2が形成される。
【0079】
半導体基板100の第2主面側には、バッファ領域63が形成され、バッファ領域63の上面にはコレクタ領域61が形成されている。さらにコレクタ領域61の上面にはコレクタ電極62が形成されている。
【0080】
無機保護膜1kは、金属材料との密着性の良い酸化シリコン膜、又は窒化シリコン膜であり、厚さはゲート金属配線31、チャネルストッパー電極32、ソース電極33、ソース電極パッド42、及びフィールドプレート電極12の金属材料で形成された電極を覆うように形成するため、例えば金属材料で形成された電極の厚さが3〜5μmである場合は、0.5〜1.0μm程度とすることが望ましい。
【0081】
無機保護膜1kはCVD法によって半導体基板100の第1主面の全面に形成され、レジストでパターニングした後、ドライエッチングを行い、ゲート金属配線31の側面、及び上面以外の無機保護膜を除去することで形成される。
【0082】
ゲート金属配線31の側面と上面が金属材料との密着性が良い無機保護膜1kで覆うことで、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、ゲート金属配線31と無機保護膜1kとの界面の剥離を抑制し、ゲート金属配線31とエミッタ電極64との間のリーク不良を抑制することができる。
【0083】
なお、エミッタ電極64にグランド電圧が印加されコレクタ電極62にマイナスの電圧が印加された場合には、ゲート金属配線31とコレクタ電極62との間のリーク不良は発生しない。
【0084】
無機保護膜1kはゲート金属配線31の側面、及び上面にのみ形成することで、組立工程で半導体装置101に加えられる応力により、図14に示した従来技術において素子周縁部Yの無機保護膜10に発生していたクラックを防ぐことができる。このクラックの発生を防ぐことで、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、クラックの発生箇所に局所的なモールド樹脂中のイオン、及び水分の侵入がなくなり、コレクタ電極62とエミッタ電極64との間の局所的な耐圧低下を抑制することができ、リーク不良を抑制することができる。
【0085】
図11のようなIGBT構造とすることは実施の形態1から実施の形態6にも適用することができる。
(実施の形態8)
図12は、本発明の第8の実施の形態の構成図であり、図1のA−A’断面図である。
【0086】
第1の実施の形態と異なる点は、素子活性部Xをトレンチ構造とした点である。他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
図12に示すように、素子活性部Xの半導体基板100の第1主面の第1導電型のドリフト領域15には、pベース領域14が形成され、半導体基板100表面からドリフト領域15に達するトレンチ51が形成されている。トレンチ51内にはゲート絶縁膜4を介してゲート電極52が埋め込まれている。ゲート電極52は、不純物がドープされた多結晶シリコンからなり、層間絶縁膜6で覆われている。トレンチ51に隣接してn型ソース領域16が形成され、n型ソース領域16とpベース領域14には、ソース電極33が接続している。
【0087】
ゲート金属配線31の側面、及び上面には、無機保護膜1mが形成され、ゲート金属配線31とソース電極33の一部を露出させて形成するゲート電極パッド41部とソース電極パッド42部を除く半導体基板100の第1主面側の上面には、有機保護膜2が形成される。
【0088】
無機保護膜1mは、金属材料との密着性の良い酸化シリコン膜、又は窒化シリコン膜であり、厚さはゲート金属配線31、チャネルストッパー電極32、ソース電極33、ソース電極パッド42、及びフィールドプレート電極12の金属材料で形成された電極を覆うように形成するため、例えば金属材料で形成された電極の厚さが3〜5μmである場合は、0.5〜1.0μm程度とすることが望ましい。
【0089】
無機保護膜1mはCVD法によって半導体基板100の第1主面の全面に形成され、レジストでパターニングした後、ドライエッチングを行い、ゲート金属配線31の側面、及び上面以外の無機保護膜を除去することで形成される。
【0090】
ゲート金属配線31の側面と上面が金属材料との密着性が良い無機保護膜1mで覆うことで、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、ゲート金属配線31と無機保護膜1mとの界面の剥離を抑制し、ゲート金属配線31とソース電極33との間のリーク不良を抑制することができる。また、ソース電極42にグランド電圧が印加されドレイン電極22にマイナスの電圧が印加された場合には、ゲート金属配線31とドレイン電極22との間のリーク不良を抑制することができる。
【0091】
無機保護膜1mはゲート金属配線31の側面、及び上面にのみ形成することで、組立工程で半導体装置101に加えられる応力により、図14に示した従来技術において素子周縁部Yの無機保護膜10に発生していたクラックを防ぐことができる。このクラックの発生を防ぐことで、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、クラックの発生箇所に局所的なモールド樹脂中のイオン、及び水分の侵入がなくなり、ドレイン電極22とソース電極33との間の局所的な耐圧低下を抑制することができ、リーク不良を抑制することができる。
【0092】
図12のようにトレンチ構造とすることは、実施の形態1から実施の形態7に適用することができ、同様な効果を得ることができる。
(実施の形態9)
図13は本件発明の第9の実施の形態の構成図であり、図1のA−A’断面図である。
【0093】
第1の実施の形態と異なる点は、ゲート金属配線31を覆う無機保護膜を積層膜とした点である。他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
図13に示すように、ゲート金属配線31の側面、及び上面には、第1の無機保護膜8が形成され、第1の無機保護膜8の上面には第2の無機保護膜9が形成され、ゲート金属配線31とソース電極33の一部を露出させて形成するゲート電極パッド41部とソース電極パッド42部を除く半導体基板100の第1主面側の上面には、有機保護膜2が形成される。
【0094】
第1の無機保護膜8は、金属材料との密着性の良い酸化シリコン膜であり、厚さはゲート金属配線31、チャネルストッパー電極32、ソース電極33、ソース電極パッド42、及びフィールドプレート電極12の金属材料で形成された電極を覆うように形成するため、例えば金属材料で形成された電極の厚さが3〜5μmである場合は、0.5〜1.0μm程度とすることが望ましい。
【0095】
第2の無機保護膜9は、水分の浸入を抑制するため、窒化シリコン膜であり、厚さはゲート金属配線31、チャネルストッパー電極32、ソース電極33、ソース電極パッド42、及びフィールドプレート電極12の金属材料で形成された電極を覆うように形成するため、例えば金属材料で形成された電極の厚さが3〜5μmである場合は、0.5〜1.0μm程度とすることが望ましい。
【0096】
第1の無機保護膜8はCVD法によって半導体基板100の第1主面の全面に形成され、第1の無機保護膜8の上面には第2の無機保護膜9がCVD法によって形成される。レジストでパターニングした後、ドライエッチングを行い、ゲート金属配線31の側面、及び上面以外の第1の無機保護膜8、及び第2の無機保護膜9を除去することで形成される。
【0097】
ゲート金属配線31の側面と上面が金属材料との密着性が良い第1の無機保護膜8で覆うことで、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、ゲート金属配線31と無機保護膜1との界面の剥離を抑制し、ゲート金属配線31とソース電極33との間のリーク不良を抑制することができる。また、ドレイン電極22にマイナスの電圧が印加された場合には、ゲート金属配線31とドレイン電極22との間のリーク不良を抑制することができる。
【0098】
さらに、第1の無機保護膜8の上面を第2の無機保護膜9で覆うことで、第1の無機保護膜8への水分の浸入を抑制することができる。
第1の無機保護膜8、及び第2の無機保護膜9はゲート金属配線31の側面と上面のみに形成することで、組立工程で半導体装置101に加えられる応力により、図14に示した従来技術において素子周縁部Yの無機保護膜10に発生していたクラックを防ぐことができる。このクラックの発生を防ぐことで、THB試験などの高温、高湿雰囲気中の信頼性試験において、クラックの発生箇所に局所的なモールド樹脂中のイオン、及び水分の侵入がなくなり、ドレイン電極22とソース電極33との間の局所的な耐圧低下を抑制することができ、リーク不良を抑制することができる。
【0099】
図13に示すように無機保護膜を酸化シリコン膜の上面に窒化シリコン膜を形成した積層膜とすることは、実施の形態1から実施の形態8に適用することができる。
なお、本実施の形態では第1の無機保護膜8を酸化シリコン膜、第2の無機保護膜9を窒化シリコン膜としたが、第1の無機保護膜8を窒化シリコン膜、第2の無機保護膜9を酸化シリコン膜としても良い。
【符号の説明】
【0100】
1、1a、1b、1c、1d、1e、1g、1h、1i、1j、1k、1m 無機保護膜
2 有機保護膜
4 ゲート絶縁膜
5 ゲート電極
6 層間絶縁膜
7 絶縁膜
8 第1の無機保護膜
9 第2の無機保護膜
10 無機保護膜
11 ガードリング
12 フィールドプレート電極
13 p型表面領域
14 pベース領域
15 ドリフト領域
16 n型ソース領域
21 ドレイン領域
22 ドレイン電極
31 ゲート金属配線
32 チャネルストッパー電極
33 ソース電極
41 ゲート電極パッド
42 ソース電極パッド
51 トレンチ
52 ゲート電極
61 コレクタ領域
62 コレクタ電極
63 バッファ領域
64 エミッタ電極
65 エミッタ電極パッド
66 エミッタ領域
100 半導体基板
101 半導体装置
X 素子活性部
Y 素子周縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14