特許第6248405号(P6248405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248405
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】媒体処理装置及び媒体収納カセット
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
   G07D9/00 408E
【請求項の数】11
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2013-81221(P2013-81221)
(22)【出願日】2013年4月9日
(65)【公開番号】特開2014-6884(P2014-6884A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2016年2月16日
(31)【優先権主張番号】特願2012-120891(P2012-120891)
(32)【優先日】2012年5月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082740
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 恵基
(72)【発明者】
【氏名】小松 広和
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】大原 慎司
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−051844(JP,U)
【文献】 国際公開第2011/036806(WO,A1)
【文献】 特開2005−353103(JP,A)
【文献】 特開2001−236542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送路と、
上記搬送路と接続され、当該搬送路を介して搬送される媒体を収納する媒体収納カセットと、
上記媒体収納カセットを着脱可能なスロットと、
上記スロットを複数有する媒体貯蔵部と
を備え、
上記搬送路は、上記媒体貯蔵部の上方に設けられ、
上記媒体収納カセットとして、底部を有する上側用媒体収納カセットと、天板部を有する下側用媒体収納カセットとがあり、
上記複数のスロットのそれぞれには、上記上側用媒体収納カセットと上記下側用媒体収納カセットとが上下方向に重ねて装填され、
上記複数のスロットのそれぞれに装填されている上記上側用媒体収納カセットと上記搬送路との間で前記媒体を搬送することが可能であり、
上記上側用媒体収納カセットは、上記下側用媒体収納カセットとともに上記スロットに装填される際、上記下側用媒体収納カセットにより支持され、
上記スロットに上下方向に重ねて装填された上記上側用媒体収納カセットと上記下側用媒体収納カセットとの間で前記媒体を搬送することが可能な媒体処理装置。
【請求項2】
上記上側用媒体収納カセットは天板部と底部とを有するカセットであって、当該天板部と当該底部の両方に媒体入出口が設けられていると共に、当該上側用媒体収納カセット内部に、天板部の媒体入出口と底部の媒体入出口とを繋ぐカセット内搬送路が設けられている
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
記上側用媒体収納カセット及び上記下側用媒体収納カセットは天板部と底部とを有するカセットであって、
上記上側用媒体収納カセットには、天板部と底部の両方に媒体入出口が設けられていると共に、当該上側用媒体収納カセット内部に、天板部の媒体入出口と底部の媒体入出口とを繋ぐカセット内搬送路が設けられ、
上記下側用媒体収納カセットには、天板部に媒体入出口が設けられ、
上記上側用媒体収納カセットの天板部の媒体入出口と上記搬送路とが接続されると共に、上記上側用媒体収納カセットの底部の媒体入出口と上記下側用媒体収納カセットの天板部の媒体入出口とが接続される
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
上記上側用媒体収納カセットの内部には、1個の媒体収納庫が設けられ、
さらに上記上側用媒体収納カセットのカセット内搬送路は、媒体の搬送方向を、天板部の媒体入出口側、底部の媒体入出口側、及び媒体収納庫側のいずれかに切り替える切替器が設けられ、当該切替器によって媒体の搬送方向を分岐させる
請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
上記上側用媒体収納カセットの内部には、複数の媒体収納庫が設けられていると共に、天板部の媒体入出口から搬入される媒体を、複数の媒体収納庫のうちの任意の媒体収納庫に振り分ける振分機構が設けられている
請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
媒体を搬送する搬送路と、
上記搬送路と接続され、当該搬送路を介して搬送される媒体を収納する媒体収納カセットと、
上記媒体収納カセットを着脱可能なスロットと、
上記スロットを1個以上有する媒体貯蔵部と
を備え、
上記媒体収納カセットとして、底部を有する上側用媒体収納カセットと、天板部を有する下側用媒体収納カセットとがあり、
上記スロットには、上記上側用媒体収納カセットと上記下側用媒体収納カセットとが上下方向に重ねて装填され、
上記上側用媒体収納カセットは、上記下側用媒体収納カセットとともに上記スロットに装填される際、上記下側用媒体収納カセットにより支持され、
上記スロットに上下方向に重ねて装填された上記上側用媒体収納カセットと上記下側用媒体収納カセットとの間で前記媒体を搬送することが可能であり、
上記スロットの底部には、上記下側用媒体収納カセットと接続可能なスロット側コネクタが設けられ、
上記下側用媒体収納カセットは天板部と底部を有するカセットであって、当該底部には、上記スロットの底部に設けられたスロット側コネクタと接続するカセット側コネクタが設けられ、
さらに上記スロットの内壁の上部には、溝が形成されるとともに、この溝内に上記上側用媒体収納カセットと接続可能なスロット側コネクタが設けられ、
上記上側用媒体収納カセットの、上記溝と対向する側面部には、上記溝に嵌合する突部が設けられ、さらに当該突部に上記溝内のスロット側コネクタと接続するカセット側コネクタが設けられている
体処理装置。
【請求項7】
媒体を搬送する搬送路と、
上記搬送路と接続され、当該搬送路を介して搬送される媒体を収納する媒体収納カセットと、
上記媒体収納カセットを着脱可能なスロットと、
上記スロットを1個以上有する媒体貯蔵部と
を備え、
上記媒体収納カセットとして、底部を有する上側用媒体収納カセットと、天板部を有する下側用媒体収納カセットとがあり、
上記スロットには、上記上側用媒体収納カセットと上記下側用媒体収納カセットとが上下方向に重ねて装填され、
上記上側用媒体収納カセットは、上記下側用媒体収納カセットとともに上記スロットに装填される際、上記下側用媒体収納カセットにより支持され、
上記スロットに上下方向に重ねて装填された上記上側用媒体収納カセットと上記下側用媒体収納カセットとの間で前記媒体を搬送することが可能であり、
上記スロットの底部には、上記下側用媒体収納カセットと電気的に接続可能なスロット側コネクタが設けられ、
上記下側用媒体収納カセットは天板部と底部を有するカセットであって、当該底部には、上記スロットの底部に設けられたスロット側コネクタと接続するカセット側コネクタが設けられ、
さらに上側用媒体収納カセットは上記下側用媒体収納カセットと電気的に接続される
体処理装置。
【請求項8】
媒体を搬送する搬送路と、
上記搬送路と接続され、当該搬送路を介して搬送される媒体を収納する媒体収納カセットと、
上記媒体収納カセットを着脱可能なスロットと、
上記スロットを1個以上有する媒体貯蔵部と
を備え、
上記媒体収納カセットとして、底部を有する上側用媒体収納カセットと、天板部を有する下側用媒体収納カセットとがあり、
上記スロットには、上記上側用媒体収納カセットと上記下側用媒体収納カセットとが上下方向に重ねて装填され、
上記上側用媒体収納カセットは、上記下側用媒体収納カセットとともに上記スロットに装填される際、上記下側用媒体収納カセットにより支持され、
上記スロットに上下方向に重ねて装填された上記上側用媒体収納カセットと上記下側用媒体収納カセットとの間で前記媒体を搬送することが可能であり、
上記スロットには、上記下側用媒体収納カセットの未装填時に、上記上側用媒体収納カセットを上記スロットの上部に保持するための保持部が設けられる
体処理装置
【請求項9】
上記保持部は、
上記スロットに回動自在に設けられ、上記スロットに上記上側用媒体収納カセットのみを装填するときには、上記上側用媒体収納カセットの底部と当接して支持する位置に回動させられ、上記下側用媒体収納カセットを装填するときには、当該下側用媒体収納カセットと干渉しない位置に回動させられる
請求項に記載の媒体処理装置。
【請求項10】
上記保持部は、
上記上側用媒体収納カセットの底部と当接して支持するときに、当該上側用媒体収納カセットの底部の媒体入出口を塞ぐ
請求項9に記載の媒体処理装置。
【請求項11】
上記上側用媒体収納カセットは、
上記保持部が上記上側用媒体収納カセットの底部に当接していることを検知すると、搬送方向が底部の媒体入出口側には切り替わらないようにする
請求項10に記載の媒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置及び媒体収納カセットに関するもので、例えば、媒体として紙幣を扱う現金自動預払機に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
図18に従来の現金自動預払機の構成を示す。従来の現金自動預払機内に設けられる紙幣入出金機200は、上部筐体201と下部筐体202とで構成されている。上部筐体201には、紙幣の投入口及び受取口となる入出金口部203と、紙幣の金種及び真偽などを鑑別する鑑別部204と、紙幣を一時的に収納する一時保留部205が設けられている。
【0003】
また、下部筐体202には、紙幣を金種ごとに保管する複数の紙幣収納カセット206、及びリジェクト紙幣などを保管するリジェクト庫207を有する紙幣貯蔵部208が設けられている。
【0004】
さらに、これら上部筐体201及び下部筐体202には、入出金口部203、鑑別部204、一時保留部205、複数の紙幣収納カセット206、及びリジェクト庫207を繋ぐ搬送路209が設けられている。
【0005】
このような従来の紙幣入出金機200は、特定の国(ここでは日本とする)においての使用を前提としていて、日本の紙幣の金種に合わせて、例えば5個の紙幣収納カセット206が下部筐体202内に前後方向に並べて配置されている。また、これら複数の紙幣収納カセット206は、それぞれ個別に下部筐体202から取り外すことでメンテナンスできるようになっている。
【0006】
一方で、この紙幣入出金機200を、他の国(すなわち日本以外の国)に設置して使用する場合、紙幣の金種が日本より多い国においては、紙幣収納カセット206の数が5個では不足してしまうことがある。このとき、従来の紙幣入出金機200をそのまま紙幣の金種が多い他の国では使用することができない。
【0007】
そこで、図19に示すように、紙幣収納カセット206内に設けられていた1個の紙幣収納庫を、紙幣収納カセット206内の上部と下部にそれぞれ1個ずつ、計2個設けるようにしたものがある。このような紙幣収納カセット206内部の紙幣収納庫に紙幣を振り分けることで、1個の紙幣収納カセット206で2つの金種に対応できるようにしたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0008】
これにより、1つの紙幣収納カセット206における金種ごとの集積枚数は減少するものの、下部筐体202のサイズなどはそのままに、扱うことのできる金種を例えば5種類から2倍の10種類にまで増加させることができる。この結果、様々な国の多様な紙幣に対応することが可能な紙幣入出金機を低コストで実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−152430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、1個の紙幣収納カセット206内に2個の紙幣収納庫を設けるようにした場合、次のような問題が生じる。例えば、2個のうちの一方の紙幣収納庫が満杯になるなどして、一方の紙幣収納庫に対してのみメンテナンスが必要になった場合でも、紙幣収納カセット206ごと紙幣入出金機から取り外してメンテナンスしなければならない。
【0011】
このように、1個の紙幣収納カセット206内に2個の紙幣収納庫を設けるようにした場合、多様な紙幣に対応できる反面、メンテナンス性が低下するという問題があった。
【0012】
本発明は以上の点を考慮したもので、メンテナンス性を損なうことなく多様な媒体に対応可能な媒体処理装置及び媒体収納カセットを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するため本発明の媒体処理装置においては、媒体を搬送する搬送路と、搬送路と接続され、当該搬送路を介して搬送される媒体を収納する媒体収納カセットと、媒体収納カセットを着脱可能なスロットと、スロットを複数有する媒体貯蔵部とを備え、搬送路は、媒体貯蔵部の上方に設けられ、媒体収納カセットとして、底部を有する上側用媒体収納カセットと、天板部を有する下側用媒体収納カセットとがあり、複数のスロットのそれぞれには、上側用媒体収納カセットと下側用媒体収納カセットとが上下方向に重ねて装填され、複数のスロットのそれぞれに装填されている上側用媒体収納カセットと搬送路との間で前記媒体を搬送することが可能であり、上側用媒体収納カセットは、下側用媒体収納カセットとともにスロットに装填される際、下側用媒体収納カセットにより支持され、スロットに上下方向に重ねて装填された上側用媒体収納カセットと下側用媒体収納カセットとの間で前記媒体を搬送することが可能とした。また、本発明の媒体処理装置においては、媒体を搬送する搬送路と、搬送路と接続され、当該搬送路を介して搬送される媒体を収納する媒体収納カセットと、媒体収納カセットを着脱可能なスロットと、スロットを1個以上有する媒体貯蔵部とを備え、媒体収納カセットとして、底部を有する上側用媒体収納カセットと、天板部を有する下側用媒体収納カセットとがあり、スロットには、上側用媒体収納カセットと下側用媒体収納カセットとが上下方向に重ねて装填され、上側用媒体収納カセットは、下側用媒体収納カセットとともにスロットに装填される際、下側用媒体収納カセットにより支持され、スロットに上下方向に重ねて装填された上側用媒体収納カセットと下側用媒体収納カセットとの間で前記媒体を搬送することが可能であり、スロットの底部には、下側用媒体収納カセットと接続可能なスロット側コネクタが設けられ、下側用媒体収納カセットは天板部と底部を有するカセットであって、当該底部には、スロットの底部に設けられたスロット側コネクタと接続するカセット側コネクタが設けられ、さらにスロットの内壁の上部には、溝が形成されるとともに、この溝内に上側用媒体収納カセットと接続可能なスロット側コネクタが設けられ、上側用媒体収納カセットの、溝と対向する側面部には、溝に嵌合する突部が設けられ、さらに当該突部に溝内のスロット側コネクタと接続するカセット側コネクタが設けられている。さらに、本発明の媒体処理装置においては、媒体を搬送する搬送路と、搬送路と接続され、当該搬送路を介して搬送される媒体を収納する媒体収納カセットと、媒体収納カセットを着脱可能なスロットと、スロットを1個以上有する媒体貯蔵部とを備え、媒体収納カセットとして、底部を有する上側用媒体収納カセットと、天板部を有する下側用媒体収納カセットとがあり、スロットには、上側用媒体収納カセットと下側用媒体収納カセットとが上下方向に重ねて装填され、上側用媒体収納カセットは、下側用媒体収納カセットとともにスロットに装填される際、下側用媒体収納カセットにより支持され、スロットに上下方向に重ねて装填された上側用媒体収納カセットと下側用媒体収納カセットとの間で前記媒体を搬送することが可能であり、スロットの底部には、下側用媒体収納カセットと電気的に接続可能なスロット側コネクタが設けられ、下側用媒体収納カセットは天板部と底部を有するカセットであって、当該底部には、スロットの底部に設けられたスロット側コネクタと接続するカセット側コネクタが設けられ、さらに上側用媒体収納カセットは下側用媒体収納カセットと電気的に接続されている。さらに、本発明の媒体処理装置においては、媒体を搬送する搬送路と、搬送路と接続され、当該搬送路を介して搬送される媒体を収納する媒体収納カセットと、媒体収納カセットを着脱可能なスロットと、スロットを1個以上有する媒体貯蔵部とを備え、媒体収納カセットとして、底部を有する上側用媒体収納カセットと、天板部を有する下側用媒体収納カセットとがあり、スロットには、上側用媒体収納カセットと下側用媒体収納カセットとが上下方向に重ねて装填され、上側用媒体収納カセットは、下側用媒体収納カセットとともにスロットに装填される際、下側用媒体収納カセットにより支持され、スロットに上下方向に重ねて装填された上側用媒体収納カセットと下側用媒体収納カセットとの間で前記媒体を搬送することが可能であり、スロットには、下側用媒体収納カセットの未装填時に、上側用媒体収納カセットをスロットの上部に保持するための保持部が設けられている。
【0016】
こうすることで、例えば、媒体貯蔵部のスロットの大きさを従来の媒体収納カセット1個分の大きさとすれば、従来の媒体収納カセット1個分のスペースに、複数の媒体収納カセットを装填することができる。また、複数の媒体収納カセットをスロットから着脱可能としたことにより、複数の媒体収納カセットのうち、メンテナンスが必要となった媒体収納カセットを取り外してメンテナンスすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、従来の媒体収納カセット1個分のスペースに、複数の媒体収納カセットを装填でき、また、複数の媒体収納カセットをそれぞれスロットから着脱可能とした。これにより、複数の媒体収納カセットのうち、メンテナンスが必要となった媒体収納カセットを取り外してメンテナンスすることができる。かくして、メンテナンス性を損なうことなく多様な媒体に対応可能な媒体処理装置及び媒体収納カセットを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ATMの外観斜視図である。
図2】紙幣入出金機の内部構成図である。
図3】紙幣貯蔵部のスロットの外観斜視図である。
図4】スロットに上側用小収納カセットのみを装填した状態の内部構成図である。
図5】従来の紙幣貯蔵部のスロットの外観斜視図である。
図6】大収納カセットの構成図である。
図7】下側用小収納カセットの構成図である。
図8】上側用小収納カセットの構成図である。
図9】下側用小収納カセットの上に上側用小収納カセットを重ねた状態の内部構成図である。
図10】紙幣収納カセットの装填の説明にともなう外観斜視図である。
図11】スロットに大収納カセットのみを装填した状態の内部構成図である。
図12】他の実施の形態における上側用小収納カセットの構成図(1)である。
図13】他の実施の形態における紙幣収納カセットを組み合わせた状態の内部構成図(1)である。
図14】他の実施の形態における紙幣収納カセットを組み合わせた状態の内部構成図(2)である。
図15】他の実施の形態における紙幣貯蔵部のスロットの外観斜視図である。
図16】他の実施の形態における上側用小収納カセットの構成図(2)である。
図17】他の実施の形態における小収納カセットを3個重ねた状態の内部構成図である。
図18】従来の紙幣入出金機の内部構成図である。
図19】従来の紙幣収納庫を2個有する紙幣収納カセットの構成を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明を実施するための形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0020】
[1.現金自動預払機の構成]
図1に、現金自動預払機(以下、これをATMとも呼ぶ)1の全体構成の概略を示す。
【0021】
このATM1は、キャッシュカードや紙幣、取引明細票等を取引媒体とし、利用者の操作によって、現金の預け払いや支払い、振り込み等の処理を行うようになっている。
【0022】
このATM1内部の上方には、利用者のキャッシュカード等を処理するカード処理機(図示せず)と、取引明細票(以下、これをレシートとも呼ぶ)を印字して利用者へ発行するレシート印刷機(図示せず)が設けられている。
【0023】
カード処理機は、ATM1の前面(利用者に対向する面)に設けられたカード挿入返却口2に挿入された利用者のキャッシュカードを処理する。レシート印刷機は、ATM1の前面に設けられたレシート発行口3より取引明細票を利用者へ放出する。
【0024】
またATM1内部の下方には、紙幣を処理する紙幣入出金機4が設けられている。この紙幣入出金機4前面の上方には、ATM1の外部に露出するように入出金口シャッタ5が設けられる。この入出金口シャッタ5の開閉に応じて紙幣の入出金が行われる。
【0025】
さらにATM1の前面には、利用者の取引内容を表示すると共に、取引のための様々な情報や項目を入力するための操作表示部6と、暗証番号等を入力するためのテンキー7とが設けられている。
【0026】
さらにATM1の内部には、ATM1全体を統括的に制御して、上述した各部の制御を行う主制御部8や、ATM1の運用情報などを記憶するためのメモリ部9が設けられている。
【0027】
さらに紙幣入出金機4の内部に、上述した主制御部8及びメモリ部9とは別に、紙幣入出金機4の制御を行う制御部10と、この制御部10の記憶領域となるメモリ部11とが設けられている。
【0028】
[2.紙幣入出金機の構成]
次に、図2を用いて、紙幣入出金機4の内部構成について説明する。
【0029】
この紙幣入出金機4は、入金された紙幣を出金にも利用する所謂リサイクル型の紙幣入出金機である。その内部は、上側の上部筐体12と下側の下部筐体13と、制御部10(図2では省略)とで構成される。
【0030】
上部筐体12には、その前面の上方に紙幣の投入口及び受取口となる入出金口部20が設けられている。また、この入出金口部20には上述した入出金口シャッタ5が設けられている。
【0031】
また、この上部筐体12には、入出金口部20の下方に、紙幣の真偽、正損、金種、搬送状態などを判別するための鑑別部21が配置されている。また、入出金口部20の後方には、紙幣を一時的に保管するための一時保留部22が配置されている。
【0032】
さらに、この上部筐体12には、一時保留部22の下方に隣接する位置にリジェクト庫23が配置されている。
【0033】
さらにこの上部筐体12には、これら入出金口部20、鑑別部21、一時保留部22、リジェクト庫23とを繋ぐ搬送路(この搬送路をここでは上部搬送路と呼ぶ)24が設けられている。
【0034】
具体的にこの上部搬送路24は、入出金口部20内における底面前方と接続され、そこから下方に延存し、途中でさらに下方と後方とに分岐する。この分岐箇所S1から下方に分岐した搬送路は、紙幣入出金機4内下方の下部筐体13と接続される。また、分岐箇所S1から後方に分岐した搬送路は鑑別部21と接続される。
【0035】
また、この分岐箇所S1には、紙幣の搬送方向を、後方(鑑別部21側)及び下方(下部筐体13側)に切り替えることのできる切替器25aが設けられている。
【0036】
さらに、上部搬送路24は鑑別部21を通過し、そこから上方に円弧を描くように折り返されて入出金口部20内における底面後方と接続される。
【0037】
さらに上部搬送路24は、上方に円弧を描くように折り返されている搬送路の中央部分で後方に分岐してリジェクト庫23と接続される。
【0038】
この分岐箇所S2には、紙幣の搬送方向を上方(一時保留部22及び入出金口部20側)、後方(リジェクト庫23側)、下方(鑑別部21側)に切り替えることのできる切替器25bが設けられている。
【0039】
さらに上部搬送路24は、上方に円弧を描くように折り返されている搬送路の上端部分で上方に分岐して一時保留部22と接続される。
【0040】
この分岐箇所S3には、紙幣の搬送方向を上方(一時保留部22側)、前方(入出金口部20側)、後方(リジェクト庫23及び鑑別部21側)に切り替えることのできる切替器25cが設けられている。
【0041】
切替器25a〜25cは、それぞれ制御部10の制御により、適宜、紙幣の搬送先に応じて搬送方向を切り替えるようになっている。
【0042】
一方、下部筐体13は、板厚の鋼板で囲われた金庫筐体26の内側に、紙幣貯蔵部27が設けられた構成となっている。
【0043】
この紙幣貯蔵部27は、例えば保守作業を行う際などに、ATM1の前面から引き出すことができるよう、前後方向にスライド可能となっている。
【0044】
この紙幣貯蔵部27には、複数(例えば5個)の縦長のスロット28(28a〜28e)が前後方向に並べて設けられている。さらに、それぞれのスロット28内に、1個又は2個の紙幣収納カセット29を着脱可能に装填できるようになっている。
【0045】
また、この紙幣貯蔵部27には、最後尾のスロット28eより後方に、リジェクト庫30が配置されている。
【0046】
尚、詳しくは後述するが、各スロット28には、スロット28とほぼ同サイズの縦長の紙幣収納カセット(これを大収納カセットとも呼ぶ)29Lを1個、もしくは縦の長さが大収納カセット29Lの約半分のサイズでなる紙幣収納カセット(これを小収納カセットとも呼ぶ)29Sを1個又は2個装填できるようになっている。
【0047】
ここで、スロット28に小収納カセット29Sを2個装填する場合について説明する。まず、スロット28の下部に下側用小収納カセット(これを下側用媒体収納カセットとも呼ぶ)29Sbを装填する。さらに、この下側用小収納カセット29Sbの上に重ねるようにして、スロット28の上部に上側用小収納カセット(これを上側用媒体収納カセットとも呼ぶ)29Suを装填する。
【0048】
また、詳しくは後述するが、スロット28に小収納カセット29Sを1個だけ装填する場合は、スロット28の下部を空にして、スロット28の上部に上側用小収納カセット29Suを装填する。
【0049】
さらに下部筐体13には、紙幣貯蔵部27の上側に、前後方向に延在する搬送路(この搬送路をここでは下部搬送路と呼ぶ)31が設けられている。
【0050】
この下部搬送路31は、各スロット28に装填されている紙幣収納カセット29及びリジェクト庫30のそれぞれと接続されると共に、搬送路の前端部分が上方に延在して上部搬送路24と接続される。
【0051】
尚、スロット28に2個の小収納カセット29Sが装填されている場合、下側用小収納カセット29Sbは、上側用小収納カセット29Su内に設けられた搬送路(これをカセット内搬送路とも呼ぶ)32を介して下部搬送路31と接続される。
【0052】
また下部搬送路31には、各スロット28及びリジェクト庫30の上方に、それぞれ紙幣の搬送方向を前方(上部搬送路24側)、後方(次のスロット28又はリジェクト庫30側)、下方(スロット28側)に切り替えることのできる切替器33(33a〜33e)が配置されている。これら切替器33は、制御部10の制御により、適宜、紙幣の搬送先に応じて搬送方向を切り替えるようになっている。
【0053】
以上の構成でなる紙幣入出金機4は、制御部10(図2では省略)が、鑑別部21による紙幣の鑑別結果などに基づいて、上部筐体12及び下部筐体13の各部を制御することで、紙幣の入金処理及び出金処理を行うようになっている。
【0054】
すなわち、紙幣入出金機4は、入金取引時、利用者によりATM1にキャッシュカードなどが挿入され、操作表示部6を介して取引項目(この場合、入金)などが入力されると、入出金口シャッタ5を開ける。
【0055】
その後、紙幣入出金機4は、利用者により入出金口部20に紙幣が投入されると、入出金口シャッタ5を閉じ、投入された紙幣を1枚ずつ鑑別部21に搬送する。ここで、入出金口部20から搬送されてくる紙幣が鑑別部21により正常紙幣であると判別されると、この正常紙幣であると判別された紙幣については、一時保留部22に搬送して収納する。一方で、鑑別部21により入金に適さない入金リジェクト紙幣であると判別された紙幣については、入出金口部20へ搬送して、入出金口シャッタ5を開くことで利用者に返却する。
【0056】
その後、利用者の操作により入金金額が確定されると、一時保留部22に収納している紙幣を鑑別部21に搬送して金種を鑑別する。そして、鑑別部21により鑑別された金種に応じて、各スロット28に装填されている各紙幣収納カセット29へ搬送して保管するようになっている。
【0057】
一方、出金取引時において、紙幣入出金機4は、利用者によりATM1にキャッシュカードなどが挿入され、操作表示部6を介して取引項目(この場合、出金)、暗証番号、出金金額などが入力されると、要求金額に応じて必要な金種毎の紙幣枚数を認識する。そして、顧客の要求金額に必要な金種毎の紙幣枚数に応じて各紙幣収納カセット29から紙幣を1枚ずつ繰り出して、鑑別部21に搬送する。
【0058】
ここで、鑑別部21により正常紙幣と判別された紙幣は入出金口部20に搬送する。一方、鑑別部21により出金に適さない出金リジェクト紙幣と判別された紙幣は一時保留部22に搬送して収納する。
【0059】
紙幣入出金機4は、出金金額分の紙幣が入出金口部20へ集積されると、入出金口シャッタ5を開ける。これにより入出金口部20内に集積されている紙幣の受け取りが可能な状態となり、利用者はこの紙幣を受け取る。
【0060】
その後、紙幣入出金機4は、一時保留部22に収納している出金リジェクト紙幣を、リジェクト庫23又は30へと搬送して保管する。
【0061】
このようにして、紙幣入出金機4は、紙幣の入金処理及び出金処理を行うようになっている。
【0062】
[3.紙幣貯蔵部のスロットの構成、及び紙幣収納庫の構成]
次に、紙幣貯蔵部27のスロット28の構成、及びこのスロット28に装填される紙幣収納カセット29の構成について、詳しく説明する。
【0063】
まず図3を用いて、紙幣貯蔵部27のスロット28の構成について説明する。尚、図3では、説明を簡単にする為、紙幣貯蔵部27のスロット28以外の部分については省略している。
【0064】
この図3に示すように、紙幣貯蔵部27には、5個のスロット28(28a〜28e)が前後方向に並設されている。
【0065】
各スロット28は、上側が開口し、底面を有する箱型である。また、左右方向の一端側(図中手前側)の壁部(これを手前側壁部とも呼ぶ)40が、他端側(図中奥側)の壁部(これを奥側壁部とも呼ぶ)41の約半分の高さとなっている。さらに、これに合わせて前後方向の両側の壁部(これを側壁部とも呼ぶ)42の上端が、奥側壁部41の上端から手前側壁部40の上端に架けて傾斜している。
【0066】
すなわち、各スロット28は、手前側壁部40が奥側壁部41より低く、上側の開口部の縁が奥側壁部41から手前側壁部40に架けて下方に傾斜した形状となっている。
【0067】
また、各スロット28の底部の所定位置には、装填された大収納カセット29L又は下側用小収納カセット29Sbと電気的に接続する電気インタフェースのスロット側コネクタ43と、大収納カセット29L又は下側用小収納カセット29Sb内のステージ(後述する)を動作させる駆動力を発生するステージモータ44と、このステージモータ44が発生した駆動力を、大収納カセット29L又は下側用小収納カセット29Sbのステージに伝達するスロット側駆動伝達部45とが設けられている。
【0068】
さらに、各スロット28の手前側壁部40には、その上端部に、横長長方形の孔46が形成され、この孔46に、横長板状のレバー47が自在に回動するように枢支されている。
【0069】
このレバー47は、スロット28に上側用小収納カセット29Suのみを装填するときに、下側用小収納カセット29Sbの代わりに上側用小収納カセット29Suを支持するものである。
【0070】
このレバー47は、一端側を回転軸として手動で回動できるようになっていて、手前側壁部40と平行な状態(これを開状態と呼ぶ)から、奥側壁部41側に突出するように回転することで、手前側壁部40と直行する状態(これを閉状態と呼ぶ)に遷移できるようになっている。
【0071】
尚、このレバー47は、手前側壁部40と平行な開状態のときには、手前側壁部40よりも奥側壁部41側に突出しないようになっている。
【0072】
スロット28に大収納カセット29L又は上側用小収納カセット29Suと下側用小収納カセット29Sbを装填するときには、レバー47を手前側壁部40に対して平行な開状態とする。
【0073】
これにより、レバー47が、大収納カセット29L又は上側用小収納カセット29Su及び下側用小収納カセット29Sbと物理的に干渉することなく、大収納カセット29L又は上側用小収納カセット29Su及び下側用小収納カセット29Sbを、スロット28に装填できる。
【0074】
これに対して、スロット28に上側用小収納カセット29Suのみを装填するときには、レバー47を手前側壁部40に対して直行する閉状態とする。このとき、このレバー47は、図4に示すように、上側用小収納カセット29Suの底部に当接して支持することで、上側用小収納カセット29Suを、スロット28の上部で保持するようになっている。
【0075】
さらに、各スロット28の奥側壁部41(図3)の内壁には、その上端から中央に架けて下方に延在する溝48が形成されている。この溝48の下端面には、上側用小収納カセット29Suと電気的に接続する電気インタフェースのスロット側コネクタ49が設けられている。
【0076】
このスロット側コネクタ49は、スロット28の上部に上側用小収納カセット29Suを装填したときに、ちょうど上側用小収納カセット29Suのカセット側コネクタ(後述する)と接続されるように、その位置が選定されている。
【0077】
またこの上側用小収納カセット29Su用のスロット側コネクタ49は、奥側壁部41の内壁に形成された溝48内に設けられている。こうすることで、スロット28に大収納カセット29L又は下側用小収納カセット29Sbを装填したときに、上側用小収納カセット29Su用のスロット側コネクタ49と物理的に干渉しないようになっている。
【0078】
ここで、参考までに、従来の紙幣貯蔵部のスロットの構成を図5に示す。図5で示した従来のスロット210(210a〜210e)と図3で示した本実施の形態のスロット28とを比較すると、従来のスロット210からレバー47、奥側壁部41の溝48及びスロット側コネクタ49が省略された構成となっている。
【0079】
すなわち、本実施の形態のスロット28において、紙幣収納カセットを収納するために必要な空間は、従来のスロット210から変化していない。したがって、従来のスロット210に装填される紙幣収納カセットを、本実施の形態のスロット28の大収納カセット29Lとして装填できるようになっている。
【0080】
尚、ここでは、説明を省略したが、リジェクト庫30についても、紙幣収納カセット29と同様、紙幣貯蔵部27から着脱自在なカセット型としてもよい。
【0081】
次に、紙幣収納カセット29の構成について詳しく説明する。まず図6を用いて大収納カセット29Lについて説明する。
【0082】
この大収納カセット29Lは、図5に示した従来のスロット210に装填可能な紙幣収納カセットと同様の構成であり、大収納カセット29L内に搬入された紙幣を集積すると共に、集積されている紙幣を1枚ずつ分離して繰り出す分離集積機能を有している。
【0083】
この大収納カセット29Lは、スロット28とほぼ同じサイズで、縦長直方体の形状で形成されている。また、図6(B)に示すように、大収納カセット29Lの天板部には、大収納カセット29Lを持ち運ぶ為のコの字型の取手60が回動自在に取り付けられている。
【0084】
この取手60は、大収納カセット29Lの天板部と平行な状態から、天板部に対して直立する状態にまで回動できる。これにより、大収納カセット29Lの持ち運び時には、取手60が天板部に対して直立する状態にまで回動させられて、作業員に把持されるようになっている。
【0085】
また、天板部には、後端寄りの所定位置に紙幣入出口61が設けられている。
【0086】
大収納カセット29L内には、紙幣入出口61下方の近傍にフィードローラ62が配置され、さらにこのフィードローラ62の後方にピンチローラ63が対向して配置されている。
【0087】
さらに、このフィードローラ62及びピンチローラ63と、紙幣入出口61までの間の搬送路64上にも、搬送路64を挟んで複数の搬送ローラ65が配置されている。
【0088】
さらにフィードローラ62の下方にゲートローラ66が対向配置されていて、フィードローラ62の前方には、所定の間隔を隔ててピッカローラ67が配置されている。
【0089】
さらに、フィードローラ62の下方には、舌片を有する舌片ローラ68が配置されている。尚、ここでは、フィードローラ62、ピンチローラ63、ゲートローラ66、ピッカローラ67、舌片ローラ68を、まとめて分離集積ローラとも呼ぶ。
【0090】
さらに大収納カセット29L内には、ゲートローラ66より前方且つピッカローラ67より下方のスペースに、大収納カセット29Lの下端近傍まで延在する縦長直方体形状の紙幣収納庫69が配置されている。
【0091】
またこの紙幣収納庫69内には、紙幣収納庫69内を上下方向に移動可能な板状のステージ70が設けられている。紙幣収納庫69は、このステージ70上に紙幣を集積することで紙幣を収納するようになっている。
【0092】
さらに大収納カセット29Lには、紙幣収納庫69の前方の壁部に、扉71が設けられている。この扉71は、例えば、紙幣収納庫69内に集積された紙幣を取り出すときなどに開けられるようになっている。
【0093】
さらに大収納カセット29L内には、所定位置に、搬送ローラ65及び分離集積ローラ62、63、66、67、68を回転させるための動力を発生させるローラモータ(図示せず)が設けられている。
【0094】
さらに、大収納カセット29Lの底部には、スロット28の底部に設けられた電気インタフェースのスロット側コネクタ43と対向する位置に、当該スロット側コネクタ43と接続するカセット側コネクタ72が設けられている。また、スロット28の底部に設けられたステージモータ44と対向する位置に、このステージモータ44が嵌入される凹部73が設けられている。さらに、スロット28の底部に設けられたスロット側駆動伝達部45と対向する位置に、このスロット側駆動伝達部45と接続するカセット側駆動伝達部74が設けられている。
【0095】
尚、カセット側コネクタ72は、ローラモータと接続されていて、ATM1側から供給される電力及び制御信号をローラモータに送るようになっている。またカセット側駆動伝達部74は、ステージ70と接続されていて、ステージモータ44の動力をステージ70に伝達するようになっている。
【0096】
すなわち、大収納カセット29Lは、ATM1側から供給される電力及び制御信号によりローラモータを駆動させて、搬送ローラ65及び分離集積ローラ62、63、66、67、68を回転させる。また、ATM1側から伝達されるステージモータ44の動力によりステージ70を移動させるようになっている。
【0097】
大収納カセット29Lは、このような構成でなり、スロット28に装填されると、底部に設けられたカセット側コネクタ72が、スロット28の底部に設けられたスロット側コネクタ43と接続される。また底部に設けられたカセット側駆動伝達部74が、スロット28の底部に設けられたスロット側駆動伝達部45と接続される。またこのとき紙幣入出口61が下部搬送路31と接続される。
【0098】
実際に紙幣を集積する場合、大収納カセット29Lでは、下部搬送路31から紙幣入出口61を通って大収納カセット29L内に搬入された紙幣が、搬送ローラ65によりフィードローラ62とピンチローラ63の間に送り込まれる。さらにこの紙幣はフィードローラ62とピンチローラ63に挟持されて、フィードローラ62とゲートローラ66の間に送り込まれる。
【0099】
さらにこの紙幣は、フィードローラ62とゲートローラ66の間から紙幣収納庫69内に放出される。
【0100】
紙幣収納庫69内に放出された紙幣は、その後端を舌片ローラ68の舌片により叩き落とされると共に、舌片ローラ68側に引き寄せられて、ステージ70上に集積された1番上の紙幣の上に集積される。
【0101】
このような動作を繰り返すことで、大収納カセット29Lの紙幣収納庫69内に紙幣が集積されていく。
【0102】
尚、このとき大収納カセット29Lでは、常にステージ70の上方に紙幣を集積するスペースが確保されるように、集積されている紙幣の枚数に応じてステージ70が下降するようになっている。
【0103】
これに対して、紙幣を繰り出す場合について説明する。大収納カセット29Lでは、ピッカローラ67によりステージ70上に集積されている1番上の紙幣が押圧される位置まで、ステージ70を上昇させる。
【0104】
そして、ステージ70上に集積されている1番上の紙幣がピッカローラ67により押圧された状態で、ピッカローラ67を回転させる。
【0105】
このとき、ゲートローラ66は停止していて、フィードローラ62のみが回転することにより、ステージ70上に集積されている1番上の紙幣が、2番目以降の紙幣から分離されて、フィードローラ62とゲートローラ66の間に送り込まれる。
【0106】
さらにこの紙幣は、フィードローラ62の回転により、フィードローラ62とピンチローラ63との間に送り込まれる。
【0107】
そして、この紙幣は、フィードローラ62とピンチローラ63の間から送り出され、搬送ローラ65により紙幣入出口61まで搬送され、紙幣入出口61から下部搬送路31へと繰り出される。
【0108】
このような動作を繰り返すことで、大収納カセット29Lの紙幣収納庫69内に集積されている紙幣が1枚ずつ繰り出されていく。
【0109】
このようにして大収納カセット29Lは、紙幣の集積及び繰り出しを行う。
【0110】
次に、下側用小収納カセット29Sbについて、図7を用いて説明する。この下側用小収納カセット29Sbは、縦の長さ(高さ)が上述した大収納カセット29Lの約半分のサイズでなり、それに合わせて、紙幣収納庫69の縦の長さも大収納カセット29Lのものと比べて約半分となっている。
【0111】
それ以外の部分については大収納カセット29Lと同様であるので詳しい説明は省略する。
【0112】
尚、図7(B)に示すように、下側用小収納カセット29Sb内には、紙幣収納庫69と天板部との間に、ローラモータ75が配置されている。
【0113】
最後に、上側用小収納カセット29Suについて、図8を用いて説明する。この上側用小収納カセット29Suも、分離集積機能を有している。
【0114】
この上側用小収納カセット29Suは、縦の長さ(高さ)が大収納カセット29Lの約半分のサイズで形成される。また、図8(A)に示すように、上側用小収納カセット29Suの天板部には、大収納カセット29Lと同様の取手80が回動自在に取り付けられている。
【0115】
さらに天板部には、大収納カセット29Lの紙幣入出口61と同様の位置、すなわち後端寄りの所定位置に紙幣入出口(これを上側入出口とも呼ぶ)81が設けられている。また上側用小収納カセット29Suの底部には、後端寄りの所定位置、すなわち上側入出口81の下方に、紙幣入出口(これを下側入出口とも呼ぶ)82が設けられている。
【0116】
この下側入出口82は、上側用小収納カセット29Suを下側用小収納カセット29Sbの上に重ねたときに、下側用小収納カセット29Sbの天板部に設けられた紙幣入出口61と対向するようになっている。
【0117】
上側用小収納カセット29Su内には、上側入出口81と下側入出口82とを繋ぐ直線状のカセット内搬送路32が設けられている。
【0118】
このカセット内搬送路32上には、カセット内搬送路32を挟んで複数の搬送ローラ83が配置されている。
【0119】
さらにこの上側用小収納カセット29Su内には、上側入出口81近傍のカセット内搬送路32より中央寄りの所定位置(すなわち上側入出口81の前方斜め下)に、フィードローラ84が配置されている。さらにこのフィードローラ84の後方には、フィードローラ84と対向するようにピンチローラ85が配置されている。
【0120】
さらにフィードローラ84の下方にゲートローラ86が対向配置されている。また、フィードローラ84の前方には、所定の間隔を隔ててピッカローラ87が配置されている。
【0121】
さらに、フィードローラ84の下方には、舌片を有する舌片ローラ88が配置されている。尚、これら、フィードローラ84、ピンチローラ85、ゲートローラ86、ピッカローラ87、舌片ローラ88を、分離集積ローラとも呼ぶ。
【0122】
さらに上側用小収納カセット29Su内には、ゲートローラ86より前方且つピッカローラ87より下方のスペースに、上側用小収納カセット29Suの下端近傍まで延在する縦長直方体形状の紙幣収納庫89が配置されている。またこの紙幣収納庫89内には、ステージ90が設けられている。
【0123】
さらに上側用小収納カセット29Suには、紙幣収納庫89の前方の壁部に、扉91が設けられている。
【0124】
尚、上側用小収納カセット29Suは、下側用小収納カセット29Sbと比べて、カセット内搬送路32を有している分、紙幣収納庫89の為に確保できるスペースが前後方向に狭くなっている。ゆえに、この上側用小収納カセット29Suの紙幣収納庫89は、下側用小収納カセット29Sbのものよりも前後方向に狭いサイズのものとなっている。
【0125】
またカセット内搬送路32は、上側入出口81近傍で、前方斜め下に分岐して、フィードローラ84及びピンチローラ85の間まで延びている。
【0126】
またこの分岐箇所S5には、紙幣の搬送方向を上方(上側入出口81側)、下方(下側入出口82側)、前方(紙幣収納庫89側)に切り替えることのできる切替器92が配置されている。
【0127】
図8(B)に示すように、さらに上側用小収納カセット29Su内には、例えば、紙幣収納庫89と上側用小収納カセット29Suの天板部との間に、搬送ローラ83を回転させるための動力を発生させる搬送ローラモータ93が設けられている。また、分離集積ローラ84〜88を回転させるための動力を発生させる分離集積ローラモータ94も配置されている。
【0128】
さらに上側用小収納カセット29Su内には、例えば、紙幣収納庫89とカセット内搬送路32との間に、ステージ90を駆動させるための動力を発生させるステージモータ95が配置されている。
【0129】
さらに上側用小収納カセット29Su内には、カセット内搬送路32の分岐箇所S5近傍に、切替器92を動作させるためのアクチュエータとして、スイングセレクタ96が配置されている。
【0130】
さらに、図8(C)に示すように、上側用小収納カセット29Suの側面部のうち、スロット28への装填時にスロット28の奥側壁部41と対向する側面部には、スロット28の奥側壁部41に形成された溝48に嵌合する形状の突部97が形成される。さらに、この突部97の下端面には、スロット28内における奥側壁部41の溝48の下端面に設けられたスロット側コネクタ49と接続するためのカセット側コネクタ98が設けられている。
【0131】
尚、このカセット側コネクタ98は、搬送ローラモータ93、分離集積ローラモータ94、ステージモータ95、スイングセレクタ96と接続されていて、ATM1側からこれらに電力及び制御信号を送るようになっている。
【0132】
すなわち、上側用小収納カセット29Suは、ATM1側から供給される電力及び制御信号により搬送ローラモータ93、分離集積ローラモータ94、ステージモータ95、スイングセレクタ96を駆動させる。それにより、搬送ローラ83及び分離集積ローラ84〜88を回転させ、ステージ90を移動させ、さらに切替器92を動作させるようになっている。
【0133】
このような構成でなる上側用小収納カセット29Suは、スロット28の上部に装填されると、側面部に設けられた突部97が、スロット28の上部の溝48に嵌合する。さらに、上側用小収納カセット29Suの突部97に設けられたカセット側コネクタ98が、スロット28の溝48に設けられたスロット側コネクタ49と接続される。また、このとき上側用小収納カセット29Suの上側入出口81が下部搬送路31と接続される。
【0134】
実際に紙幣を集積する場合について説明する。上側用小収納カセット29Suは、まず切替器92により紙幣の搬送方向を紙幣収納庫89側に切り換える。そして、下部搬送路31から上側入出口81を通って上側用小収納カセット29Su内に搬入した紙幣を、紙幣収納庫89側に搬送する。そして、大収納カセット29Lの動作と同様に、フィードローラ84、ピンチローラ85、ゲートローラ86、舌片ローラ88により、ステージ90上に紙幣を集積する。
【0135】
これに対して、紙幣を繰り出す場合について説明する。上側用小収納カセット29Suは、まず切替器92により搬送方向を上側入出口81側に切り換える。そして、ピッカローラ87、フィードローラ84、ピンチローラ85、ゲートローラ86により、紙幣収納庫89から搬送路へ送り出した紙幣を、上側入出口81へと搬送して、上側入出口81から下部搬送路31へと繰り出す。
【0136】
このようにして上側用小収納カセット29Suは、紙幣の集積及び繰り出しを行う。
【0137】
また、図9で示したように、下側用小収納カセット29Sbの上に上側用小収納カセット29Suが重ねられている状態で、下側用小収納カセット29Sbに紙幣を搬送する場合について説明する。まず、上側用小収納カセット29Suの切替器92により紙幣の搬送方向を下側入出口82側に切り替える。
【0138】
そして、下部搬送路31から上側入出口81を通って上側用小収納カセット29Su内に搬入した紙幣を、搬送ローラ83により、カセット内搬送路32を通して下側入出口82へと搬送し、下側入出口82から繰り出す。
【0139】
このようにして繰り出された紙幣は、下側入出口82と接続されている下側用小収納カセット29Sbの紙幣入出口61から下側用小収納カセット29Sb内に搬入される。
【0140】
さらに、下側用小収納カセット29Sbの上に上側用小収納カセット29Suが重ねられている状態で、下側用小収納カセット29Sbから繰り出された紙幣を、下部搬送路31に搬送する場合について説明する。まず、上側用小収納カセット29Suの切替器92により紙幣の搬送方向を上側入出口81側に切り換える。
【0141】
そして、下側用小収納カセット29Sbの紙幣入出口61から繰り出された紙幣を、下側入出口82から上側用小収納カセット29Su内に搬入する。上側用小収納カセット29Su内に搬入された紙幣を、搬送ローラ83により、カセット内搬送路32を通して上側入出口81へと搬送し、上側入出口81から、下部搬送路31へと繰り出す。
【0142】
このように、上側用小収納カセット29Suは、下部搬送路31と、下側用小収納カセット29Sbとの間を繋ぐ搬送路としても機能する。
【0143】
尚、大収納カセット29L、上側用小収納カセット29Su、および下側用小収納カセット29Sbには、それぞれ個別のID番号が付与されている。これにより、別々の紙幣収納カセット29として制御部10に認識されるようになっている。
【0144】
また、大収納カセット29Lの扉71、上側用小収納カセット29Suの扉91、下側用小収納カセット29Sbの扉71は、それぞれ異なる鍵で施錠するようになっている。これにより、紙幣収納カセット29毎にセキュリティーが確保されるようにもなっている。
【0145】
このように、紙幣入出金機4では、大収納カセット29L、上側用小収納カセット29Su、下側用小収納カセット29Sbを、別々の紙幣収納カセット29として扱うようになっている。
【0146】
ここで、スロット28に対する紙幣収納カセット29の着脱方法についても簡単に説明する。上述したように、スロット28は、手前側壁部40が奥側壁部41より低く、開口部の縁が奥側壁部41から手前側壁部40に架けて下方に傾斜した形状となっている
【0147】
よって、スロット28に紙幣収納カセット29を装填する場合、図10に示すように、紙幣収納カセット29を手前側壁部40の上まで持ち上げた後、手前側壁部40から奥側壁部41へと水平方向に移動させ、奥側壁部41に当接したら、下方に下ろして装填する。
【0148】
こうすることで、数キロ〜数十キログラムにもなる紙幣収納カセット29を、スロット28の真上(すなわち奥側壁部41より上)まで持ち上げる必要がなくなる。これにより、容易に紙幣収納カセット29の装填作業を行うことができる。
【0149】
また、紙幣収納カセット29を、スロット28の側壁部42の間で位置合わせした後、奥側壁部41に当接するまで水平方向に移動させることで、スロット28に装填することができる。これにより、スロット28の真上から下方に下ろして装填する場合と比して、位置合わせが容易となっている。
【0150】
尚、紙幣収納カセット29を取り出す場合には、装填時とは逆の手順によりスロット28から取り出すことができる。
【0151】
[4.効果]
以上の構成において、紙幣入出金機4を国内で使用する場合には、例えば、図11に示すように、従来の紙幣入出金機と同様に、5個のスロットに5個の大収納カセット29Lを装填することができる。この場合、5種類の紙幣に対応でき、従来と同様の運用が可能となる。
【0152】
これに対して、例えば、紙幣入出金機4を国内よりも金種の多い他の国で使用する場合には、図2図4に示したように、使用する国の金種に応じて、各スロットに1個の大収納カセット29L、2個の小収納カセット29S、又は1個の上側用小収納カセット29Suを装填するようにする。
【0153】
こうすることで、スロット28の数及び大きさはそのままに、6種類以上の紙幣に対応することができる。これにより、国内よりも金種の多い他の国での運用が可能となる。
【0154】
またこのように紙幣収納カセット29の数が増えたことにより、以下のように運用してもよい。例えば、紙幣を痛み具合によってランク分けし、同金種の紙幣をそのランクごとに別々の紙幣収納カセット29に収納するような運用も可能となる。尚、紙幣の痛み具合については、例えば、鑑別部21により判別するようにする。
【0155】
また、図2図4に示したように、この紙幣入出金機4では、5個のスロットに装填する紙幣収納カセット29を、大収納カセット29Lと小収納カセット29Sから任意に選択することができる。したがって、例えば、流通量の多い紙幣は大収納カセット29L、流通量の少ない紙幣は小収納カセット29Sに集積させるなどして、多様な形態での運用が可能となる。
【0156】
また紙幣入出金機4では、上側用小収納カセット29Suと下側用小収納カセット29Sbが独立していて、個別にスロット28から着脱可能となっている。
【0157】
例えば、スロット28に、上側用小収納カセット29Suと下側用小収納カセット29Sbが装填されている時に、上側用小収納カセット29Suのメンテナンスが必要となった場合、この上側用小収納カセット29Suのみをスロット28から取り外してメンテナンスすることができる。
【0158】
下側用小収納カセット29Sbのメンテナンスが必要となった場合は、まず上側用小収納カセット29Suを取り外すことになる。しかし、下側用小収納カセット29Sbを取り外した後、この上側用小収納カセット29Suはスロット28に戻すことができる。こうすることで下側用小収納カセット29Sbのみをメンテナンスすることができる。
【0159】
さらにこの場合、上側用小収納カセット29Suは、下側用小収納カセット29Sbがスロット29に装填されてなくても動作させることができる。そのため、下側用小収納カセット29Sbをメンテナンスしている間、上側用小収納カセット29Suのみで紙幣入出金機4を運用することもできる。
【0160】
以上の構成によれば、紙幣入出金機4は、メンテナンス性を損なうことなく多様な紙幣に対応できる。
【0161】
[5.他の実施の形態]
[5−1.他の実施の形態1]
尚、上述した実施の形態では、小収納カセット29S内に1つの紙幣収納庫69又は89を設けるようにした。
【0162】
これに限らず、小収納カセット29S内に複数の紙幣収納庫を設けるようにしてもよい。一例として、このような複数の紙幣収納庫を有する上側用小収納カセット100を、図12に示す。この上側用小収納カセット100は、集積専用であり繰り出し機能は有していない。
【0163】
尚、図8で示した上側用小収納カセット29Suと同一部分については、図12においても同一の符号を付している。またここでは、同一部分の説明については適宜省略する。
【0164】
上側用小収納カセット100は、上側用小収納カセット29Suと同じサイズでなり、上側用小収納カセット29Suと互換性を有している。
【0165】
この上側用小収納カセット100内には、上側入出口81近傍の、カセット内搬送路32より中央寄りの所定位置(すなわち上側入出口81の前方斜め下)に、フィードローラ101が配置されている。さらにこのフィードローラ101の下方に、ゲートローラ102が対向配置されている。
【0166】
さらにフィードローラ101の下方には、舌片を有する舌片ローラ103が配置されている。尚、これら、フィードローラ101、ゲートローラ102、舌片ローラ103を、集積ローラとも呼ぶ。
【0167】
さらに上側用小収納カセット100内には、フィードローラ101より下方且つゲートローラ102より前方のスペースに、上側用小収納カセット100の上下方向の中央部分まで延在する直方体形状の紙幣収納庫104が配置されている。またこの紙幣収納庫104内には、ステージ105が設けられている。
【0168】
この紙幣収納庫104は、前端側が後端側より下方となるよう傾斜している。これに応じて、ステージ105も、前端側が後端側より下方となるように傾斜している。
【0169】
これにより、紙幣収納庫104内に集積される紙幣の先端が、紙幣収納庫104の前端側の壁面に当接して整列するようになっている。
【0170】
この紙幣収納庫104は、集積専用の収納庫であり、ステージ105がスプリング(図示せず)に固定されている。このスプリングにより、ステージ105は集積された紙幣の重さに応じて、紙幣収納庫104内を下方に移動するようになっている。
【0171】
またカセット内搬送路32は、上側入出口81近傍で前方斜め下方向に分岐して、フィードローラ101及びゲートローラ102の間まで延びている。
【0172】
この分岐箇所S6には、紙幣の搬送方向を上方(上側入出口81側)、下方(下側入出口82側)、前方(紙幣収納庫104側)に切り替えることのできる切替器106が配置されている。
【0173】
ここで、これらフィードローラ101、ゲートローラ102、舌片ローラ103、切替器106からなる機構を、上側振分機構と呼ぶ。また、上側用小収納カセット100内には、この上側振分機構の下方にもう一つ同様の振分機構(これを下側振分機構とも呼ぶ)及び紙幣収納庫104が設けられている。
【0174】
さらに、図12(B)に示すように、この上側用小収納カセット100内には、上側の紙幣収納庫104と天板部との間に、搬送ローラ83及び集積ローラ101〜103を回転させるための動力を発生させるローラモータ107が配置されている。
【0175】
実際に、この上側用小収納カセット100で、上側の紙幣収納庫104に紙幣を収納する場合について説明する。まずATM1側から供給される電力及び制御信号に基づいて、上側振分機構の切替器106を動作させ、紙幣の搬送方向を上側の紙幣収納庫104側に切り換える。そして、上側入出口81を通って上側用小収納カセット100内に搬入された紙幣を、上側の紙幣収納庫104側に搬送して、上側振分機構の集積ローラ101〜103によりステージ105上に集積する。
【0176】
これに対して、下側の紙幣収納庫104に紙幣を収納する場合について説明する。ATM1側から供給される電力及び制御信号に基づいて、上側振分機構の切替器106を動作させ、紙幣の搬送方向を下方に切り替える。それと共に、下側振分機構の切替器106を動作させ、紙幣の搬送方向を下側の紙幣収納庫104側に切り換える。
【0177】
そして、上側入出口81を通って上側用小収納カセット100内に搬入された紙幣を、下側の紙幣収納庫104側に搬送して、下側振分機構の集積ローラ101〜103によりステージ105上に集積する。
【0178】
このように、上側用小収納カセット100では、上側振分機構と下側振分機構により、紙幣を上側と下側の紙幣収納庫104に振り分けて収納することができる。
【0179】
このようにすれば、1つの上側用小収納カセット100で2つの金種の紙幣に対応することができる。したがって、上述した実施の形態と比べて、より多くの金種に対応することができる。
【0180】
またこの上側用小収納カセット100が、上側用小収納カセット29Suと同じサイズとすることで互換性を有している。したがって、図13で示したように、紙幣入出金機4では、この上側用小収納カセット100と上側用小収納カセット29Suとを紙幣貯蔵部27内で混在させて使用することができる。
【0181】
こうすることで、上述した実施の形態と比べて、より多様な形態での運用が可能となる。
【0182】
尚、ここでは、上側用小収納カセット100に、2個の振分機構と紙幣収納庫104を設けるようにした。しかしながら、これに限らず、上側用小収納カセット100内に3個以上の振分機構と紙幣収納庫104とを、上下方向に並設するようにしてもよい。
【0183】
[5−2.他の実施の形態2]
また、上述した実施の形態では、スロット28に上側用小収納カセット29Suのみを装填する場合において、スロット28の手前側壁部40のレバー47を閉状態にすることで、このレバー47を上側用小収納カセット29Suの底部に当接させて上側用小収納カセット29Suを支持するようにした。
【0184】
ここで、レバー47が閉状態のときに、レバー47を上側用小収納カセット29Suの下側入出口82を塞ぐ蓋として機能するようにしてもよい。
【0185】
この場合、例えば、レバー47の上端部の大きさを下側入出口82を十分塞ぐことのできる大きさにすると共に、閉状態のレバー47が下側入出口82の真下にくるように回転軸の位置を調整すればよい。
【0186】
このようにすれば、スロット28に上側用小収納カセット29Suのみを装填している状態で、上側用小収納カセット29Suの下側入出口82から誤って紙幣が放出されることがない。これにより、スロット28の底に紙幣が放置されてしまうような状況を防ぐことができる。
【0187】
またこれに限らず、例えば、上側用小収納カセット29Su底部のレバー47と当接する箇所に、レバー47を検知する検知部を設けるなどしてもよい。この検知部がレバー47を検知している間(すなわちレバー47が閉状態の間)は、上側用小収納カセット29Su内の切替器92が下方(すなわち下側入出口82側)に切り替わらないように制御するなどしてもよい。
【0188】
このようにすれば、スロット28に上側用小収納カセット29Suのみを装填している状態で、誤って上側用小収納カセット29Suの下側入出口82から紙幣が放出されることがない。したがって、レバー47で下側入出口82に蓋をする場合と同様に、スロット28の底に放置されてしまうような状況を防ぐことができる。
【0189】
また誤ってレバー47を閉じずに、上側用小収納カセット29Suのみを装填してしまっているような状況を検知でき、これを作業員に通知するようなこともできる。
【0190】
尚、レバー47を検知する検知部としては、例えば、センサなどのレバー47とは非接触でレバー47を検知できるものでもよい。また、レバー47と接触することでレバー47を検知できるものでもよい。つまり、レバー47が閉状態であることを検知できるものであればよい。
【0191】
また検知結果をもとに制御するだけでなく、上側用小収納カセット29Suがレバー47と接触した部分が、リンク機構により駆動して、上側用小収納カセット29Su内の切替器92を、下方(すなわち下側入出口82側)に切り替わらないように固定するなどしてもよい。
【0192】
[5−3.他の実施の形態3]
さらに、上述した実施の形態では、各スロット28に、縦の長さが大収納カセット29Lの約半分のサイズでなる小収納カセット29Sを最大2個装填できるようにした。
【0193】
これに限らず、図14に示すように、縦の長さが大収納カセット29Lの約1/3のサイズの小収納カセット120S(120Su、120Sm、120Sb)を用いて、各スロット121(121a〜121e)に、小収納カセット120Sを最大3個装填できるようにしてもよい。
【0194】
ここで、スロット121に小収納カセット120Sを3個装填する場合について説明する。まず、スロット121の最下部に下側用小収納カセット121Sbを装填する。次に、この下側用小収納カセット121Abの上に重ねるようにして、スロット121の中間部に中間用小収納カセット121Smを装填する。さらに、この中間用小収納カセット121Smの上に重ねるようにして、スロット121の最上部に上側用小収納カセット121Suを装填する。
【0195】
また、スロット121に小収納カセット120Sを2個装填する場合について説明する。まず、スロット121の最下部には下側用小収納カセット121Sbを装填せずに、空の状態にする。次に、スロット121の中間部に中間用小収納カセット121Smを装填する。さらに、この中間用小収納カセット121Smの上に重ねるようにして、スロット121の最上部に上側用小収納カセット121Suを装填する。
【0196】
さらに、スロット121に小収納カセット120Sを1個だけ装填する場合について説明する。まずスロット121の最下部と中間部には小収納カセット120Sを装填せずに、空の状態にする。そしてスロット121の最上部に上側用小収納カセット121Suを装填する。
【0197】
尚、上側用小収納カセット121Suは、下部搬送路31と接続され、中間用小収納カセット121Smは、上側用小収納カセット121Suのカセット内搬送路を介して下部搬送路31と接続される。さらに、下側用小収納カセット121Sbは、中間用小収納カセット121Smのカセット内搬送路と上側用小収納カセット121Suのカセット内搬送路を介して下部搬送路31と接続される。
【0198】
また、各スロット121は、上述した実施の形態の各スロット28と同サイズである。よって、スロット28と同様に、小収納カセット120Sの代わりに、大収納カセット29Lを1個装填できるようにもなっている。
【0199】
次に、紙幣貯蔵部27のスロット121の構成、及びこのスロット121に装填される小収納カセット120Sについて、詳しく説明する。
【0200】
尚、紙幣貯蔵部27のスロット121以外の部分、及び大収納カセット29Lについては、上述した実施の形態のものと同じ構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0201】
まず図15を用いて、スロット121の構成について説明する。この図15に示すように、紙幣貯蔵部27には、5個のスロット121(121a〜121e)が前後方向に並設されている。
【0202】
各スロット121は、上側が開口し、底面を有する箱型である。左右方向の一端側(図中手前側)の手前側壁部130が、他端側(図中奥側)の奥側壁部131の約2/3の高さとなっている。また、これに合わせて前後方向の両側の側壁部132の上端が、奥側壁部131の上端から手前側壁部130の上端に架けて傾斜している。
【0203】
すなわち、各スロット121は、手前側壁部130が奥側壁部131より低く、上側の開口部の縁が奥側壁部131から手前側壁部130に架けて下方に傾斜した形状となっている。
【0204】
また、各スロット121の底部の所定位置には、スロット側コネクタ133と、ステージモータ134と、スロット側駆動伝達部135とが設けられている。スロット側コネクタ133は、各スロット121に装填された大収納カセット29L又は下側用小収納カセット121Sbと電気的に接続するための電気インタフェースである。ステージモータ134は、大収納カセット29L又は下側用小収納カセット121Sb内のステージ(後述する)を動作させるための駆動力を発生させる。スロット側駆動伝達部135は、ステージモータ134が発生させた駆動力を、大収納カセット29L又は下側用小収納カセット121Sbのステージに伝達する。
【0205】
これら、スロット側コネクタ133、ステージモータ134及びスロット側駆動伝達部135は、上述した実施の形態のスロット側コネクタ43、ステージモータ44及びスロット側駆動伝達部45と同一のものである。
【0206】
さらに、各スロット121の手前側壁部130には、その上端部に、横長長方形の孔136が形成される。そして、この孔136に、横長板状の上側レバー137が回動自在に枢支されている。
【0207】
さらに、各スロット121の手前側壁部130には、孔136の下方に同形状の孔138が形成される。この孔138に、上側レバー137と同形状の中間レバー139が回動自在に枢支されている。
【0208】
上側レバー137は、スロット121に上側用小収納カセット120Suのみを装填するときに、中間用小収納カセット121Smの代わりに上側用小収納カセット121Suを支持するものである。
【0209】
この上側レバー137の上面が、上側用小収納カセット120Suの底部に当接して支持するようになっている。また、上側レバー137の上面の位置が、スロット121の中間部に装填された中間用小収納カセット120Smの上面の位置とほぼ等しくなるように、手前側壁部130に設けられている。
【0210】
そして、この上側レバー137は、一端側を回転軸として手動で回動できるようになっている。また、上側レバー137は手前側壁部130と平行な状態(開状態)から、奥側壁部131側に突出するように回転して、手前側壁部130と直行する状態(閉状態)に遷移できるようになっている。
【0211】
尚、この上側レバー137は、手前側壁部130と平行な開状態のときには、手前側壁部130から奥側壁部131側に突出しないようになっている。
【0212】
そして、実際にスロット121に大収納カセット29Lや中間用小収納カセット120Sm、下側用小収納カセット121Sbを装填するときには、上側レバー137を、手前側壁部130と平行な開状態とする。
【0213】
これにより、上側レバー137が、大収納カセット29Lや中間用小収納カセット120Sm、下側用小収納カセット121Sbと物理的に干渉することなく、これらのカセットをスロット121に装填できる。
【0214】
これに対して、スロット121に上側用小収納カセット121Suのみを装填するときには、手前側壁部130と直行する閉状態とする。このとき、図14に示すように、上側レバー137の上面が、上側用小収納カセット120Suの底部に当接して支持することで、上側用小収納カセット120Suを、スロット121の上部に保持するようになっている。
【0215】
一方、中間レバー139(図15)は、スロット121に上側用小収納カセット120Suと中間用小収納カセットSmを装填するときに、下側用小収納カセット121Sbの代わりに中間用小収納カセット121Smを支持するものである。
【0216】
この中間レバー139の上面が、中間用小収納カセット120Smの底部に当接して支持するようになっている。また、中間レバー139の上面の位置が、スロット121の下部に装填された下側用小収納カセット120Sbの上面の位置とほぼ等しくなるように、手前側壁部130に設けられている。
【0217】
この中間レバー139も、上側レバー137と同様、開状態から閉状態に遷移できるようになっている。中間用レバー139は、スロット121に大収納カセット29Lや下側用小収納カセット121Sbを装填するときには、開状態とされ、スロット121に上側用小収納カセット121Suと中間用小収納カセット121Smを装填するときには、閉状態とされる。
【0218】
そして、閉状態のときには、図14に示すように、中間レバー139の上面が、中間用小収納カセット120Smの底部に当接して支持することで、上側用小収納カセット120Su及び中間用小収納カセット120Smを、スロット121の上部及び中間部に保持するようになっている。
【0219】
さらに、各スロット121の奥側壁部131(図15)の内壁には、上下方向の中間部に、奥側に凹んだ中間溝140が形成される。さらにこの中間溝140の上側、すなわち奥側壁部131の内壁の上部には、中間溝140よりさらに奥側に凹んだ上側溝141が形成されている。
【0220】
尚、中間溝140及び上側溝141は、ともに下端面と奥側の面とこれらと接する両側面とで形成された溝となっている。
【0221】
このように、奥側壁部131の内壁には、中間溝140と上側溝141とでなる段差状の溝が形成されている。
【0222】
また、中間溝140の下端面には、中間用小収納カセット120Smと電気的に接続する電気インタフェースのスロット側コネクタ140Cが設けられている。
【0223】
このスロット側コネクタ140Cは、スロット121の中間部に中間用小収納カセット120Smを装填したときに、ちょうど中間用小収納カセット120Smのカセット側コネクタ(後述する)と接続するように、その位置が選定されている。
【0224】
また、上側溝141の下端面には、上側用小収納カセット120Suと電気的に接続する電気インタフェースのスロット側コネクタ141Cが設けられている。
【0225】
このスロット側コネクタ141Cは、スロット121の上部に上側用小収納カセット120Suを装填したときに、ちょうど上側用小収納カセット120Suのカセット側コネクタ(後述する)と接続するように、その位置が選定されている。
【0226】
さらに、これらスロット側コネクタ140C及び141Cは、奥側壁部131の内壁に形成された中間溝140及び上側溝141内に設けられることで、スロット121に大収納カセット29L又は下側用小収納カセット120Sbを装填したときに、これらと物理的に干渉しないようになっている。
【0227】
尚、このスロット121についても、中間レバー139及び上側レバー137、中間溝140及び上側溝141、スロット側コネクタ140C及び141C以外の部分については、従来のスロット210(図5)と同様である。よって、従来のスロット210に装填される紙幣収納カセットをそのまま大収納カセット29Lとして装填できるようになっている。
【0228】
次に、小収納カセット120Sの構成について詳しく説明する。まず上側用小収納カセット120Suについて説明する。
【0229】
図16に示すように、この上側用小収納カセット120Suは、上述した実施の形態の上側用小収納カセット29Suの縦の長さ(高さ)を短くするとともに、側面部に、中間用小収納カセット29Suの突部97よりも側面部からの突出量を大きくした突部142を形成したものである。
【0230】
それ以外の部分については図8に示した上側用小収納カセット29Suと同様であるので詳しい説明は省略する。
【0231】
上側用小収納カセット120Suは、縦の長さが上側用小収納カセット29Suの約2/3のサイズ(大収納カセット29Lの約1/3のサイズ)でなり、それに合わせて、紙幣収納庫89の縦の長さも上側用小収納カセット29Suの約2/3となっている。
【0232】
またこの上側用小収納カセット120Suの突部142は、上側用小収納カセット29Suの突部97の突出量(図中Lで示す)の約2倍の突出量(2L)となっている。
【0233】
さらにこの突部142の下端面の奥側(突部97より奥側に突出している部分)に、奥側壁部131の上側溝141の下端面に設けられたスロット側コネクタ141Cと接続するカセット側コネクタ143が設けられている。
【0234】
このカセット側コネクタ143は、搬送ローラモータ93、分離集積ローラモータ94、ステージモータ95、スイングセレクタ96と接続されていて、これらにATM1側から供給される電力及び制御信号を送るようになっている。
【0235】
すなわち、上側用小収納カセット120Suは、ATM1側から供給される電力及び制御信号により搬送ローラモータ93、分離集積ローラモータ94、ステージモータ95、スイングセレクタ96を駆動させて、搬送ローラ83及び分離集積ローラ84〜88を回転させ、ステージ90を移動させ、さらに切替器92を動作させるようになっている。
【0236】
上側用小収納カセット120Suは、このような構成でなり、スロット121の上部に装填されると、側面部に設けられた突部142が、スロット121の上側溝141に嵌合すると共に、突部142に設けられたカセット側コネクタ143が、上側溝141に設けられたスロット側コネクタ141Cと接続される。またこのとき上側入出口81が下部搬送路31と接続される。
【0237】
そして、この上側用小収納カセット120Suも、上述した実施の形態の上側用小収納カセット29Suと同様に動作することにより、紙幣の集積及び繰り出しを行う。また、この上側用小収納カセット120Suは、上側用小収納カセット29Suと同様、下部搬送路31と、中間用小収納カセット120Smとの間を繋ぐ搬送路としても機能する。
【0238】
次に、中間用小収納カセット120Smについて説明する。図17に示すように、中間用小収納カセット120Smは、縦の長さが、上述した実施の形態の上側用小収納カセット29Suの約2/3のサイズ(大収納カセット29Lの約1/3のサイズ)でなり、それに合わせて、紙幣収納庫89の縦の長さも上側用小収納カセット29Suの約2/3となっている。
【0239】
それ以外の部分については図8に示した上側用小収納カセット29Suと同様であるので詳しい説明は省略する。
【0240】
この中間用小収納カセット120Smは、スロット121の中間部に装填されると、側面部に設けられた突部97(図8参照)が、スロット121の中間溝140に嵌合すると共に、突部97に設けられたカセット側コネクタ98が、中間溝140に設けられたスロット側コネクタ140Cと接続される。
【0241】
そして、この中間用小収納カセット120Smも、上述した実施の形態の上側用小収納カセット29Suと同様に動作することにより、紙幣の集積及び繰り出しを行う。また、この中間用小収納カセット120Smは、上側用小収納カセット120Suと、下側用小収納カセット120Sbとの間を繋ぐ搬送路としても機能する。
【0242】
次に、下側用小収納カセット120Sbについて説明する。図17に示すように、下側用小収納カセット120Sbは、縦の長さが、上述した実施の形態の下側用小収納カセット29Sbの約2/3のサイズ(大収納カセット29Lの約1/3のサイズ)でなり、それに合わせて、紙幣収納庫69の縦の長さも下側用小収納カセット29Sbの約2/3となっている。
【0243】
それ以外の部分については図7に示した下側用小収納カセット29Sbと同様であるので詳しい説明は省略する。
【0244】
この下側用小収納カセット120Sbは、スロット121の下部に装填されると、底部に設けられたカセット側コネクタ72が、スロット121の底部に設けられたスロット側コネクタ133と接続される。また、底部に設けられたカセット側駆動伝達部74が、スロット121の底部に設けられたスロット側駆動伝達部135と接続される。
【0245】
そして、この下側用小収納カセット120Sbも、上述した実施の形態の下側用小収納カセット29Sbと同様に動作することにより、上側用小収納カセット120Su及び中間用小収納カセット120Smを介して紙幣の集積及び繰り出しを行う。
【0246】
尚、大収納カセット29L、上側用小収納カセット120Su、中間用小収納カセット120Sm、下側用小収納カセット120Sbは、それぞれ個別のID番号が付与されていて、別々の紙幣収納カセットとして制御部10に認識されるようになっている。
【0247】
また、大収納カセット29Lの扉71、上側用小収納カセット120Suの扉91、中間用小収納カセット120Smの扉91、下側用小収納カセット120Sbの扉71は、別々の鍵で施錠するようになっていて、個別にセキュリティーが確保されるようにもなっている。
【0248】
ここまで説明したように、縦の長さが大収納カセット29Lの約1/3のサイズの小収納カセット120Sを用いて、各スロット121(121a〜121e)に、小収納カセット120Sを最大3個装填できるようにすれば、上述した実施の形態と比べて、小収納カセット1個当たりの紙幣集積量は減るものの、対応可能な紙幣の種類を増やすことができ、一段と多様な運用が可能となる。
【0249】
[5−4.他の実施の形態4]
さらに、上述した実施の形態では、上側用小収納カセット29Suは、側面部に設けられた突部97が、スロット28の上部の溝48に嵌合すると共に、突部97に設けられたカセット側コネクタ98が、溝48に設けられたスロット側コネクタ49と接続されるようにした。
【0250】
これに限らず、スロット28の溝48に設けられていたスロット側コネクタ49を、例えば、下側用小収納カセット29Sbの天板部に設けるようにし、さらに上側用小収納カセット29Suから突部97を取り除く代わりに、底部にカセット側コネクタ98を設けるようにする。
【0251】
尚、下側用小収納カセット29Sbの天板部に設けたスロット側コネクタ49は、下側用小収納カセット29Sbを介して、スロット28の底部に設けられたスロット側コネクタ43と接続されているものとする。
【0252】
そして、上側用小収納カセット29Suを、下側用小収納カセット29Sbの上に装填したときに、上側用小収納カセット29Suの底部に設けられたカセット側コネクタ98が、下側用小収納カセット29Sbの天板部に設けられたスロット側コネクタ49と接続されるようにする。
【0253】
このように上側用小収納カセット29Suの接続方法を変えてもよい。この場合、必ず上側用小収納カセット29Suの下に下側用小収納カセット29Sbが装填されている必要があるが、スロット28に溝48を設ける必要がなくなる。
【0254】
こうすることで、例えば、従来のスロット210にも、そのまま上側用小収納カセット29Suと下側用小収納カセット29Sbを装填して利用できるようになる。
【0255】
[5−5.他の実施の形態5]
さらに、上述した実施の形態では、紙幣貯蔵部27を、複数の縦長のスロット28を前後方向に配置するとともに、紙幣を上下方向に集積する縦長の紙幣収納カセット29を上から各スロット28に装填する縦集積タイプの紙幣貯蔵部とした。
【0256】
これに限らず、紙幣貯蔵部27を、複数の横長のスロットを上下方向に配置するとともに、各スロットに、紙幣を前後方向に集積する横長の紙幣収納カセットを横から各スロットに装填する横集積タイプの紙幣貯蔵部としてもよい。
【0257】
[5−6.他の実施の形態6]
さらに、上述した実施の形態では、スロット28に、上側用小収納カセット29Suのみを装填するときに、上側用小収納カセット29Suをスロット28の上部に保持する保持部としてレバー47を用いるようにした。
【0258】
これに限らず、上側用小収納カセット29Suのみを装填するときに、上側用小収納カセット29Suをスロット28の上部に保持する保持部として機能するものであれば、レバー47以外の機構を用いるようにしてもよい。
【0259】
[5−7.他の実施の形態7]
さらに、上述した実施の形態では、紙幣貯蔵部27が有するスロット28の数を5個としたが、これに限らず、5個未満、もしくは6個以上でも構わない。
【0260】
またこれに限らず、紙幣貯蔵部27のスロット構成を、2個の小収納カセット29Sの装填に対応するスロット28と、1個の紙幣収納カセット29の装填のみに対応する従来のスロット210とを混在した構成としてもよい。
【0261】
[5−8.他の実施の形態8]
さらに、上述した実施の形態では、上側用小収納カセット29Suの紙幣収納庫89を、下側用小収納カセット29Sbの紙幣収納庫69よりも前後方向に狭いサイズのものとした。
【0262】
これに限らず、それぞれのカセット内に収まる範囲であれば、上側用小収納カセット29Suの紙幣収納庫89と、下側用小収納カセット29Sbの紙幣収納庫69とを同サイズにしてもよい。
【0263】
このようにすれば、上側用小収納カセット29Suと下側用小収納カセット29Sbの容量が同一となり、スロット28に、同容量のカセットを上下に重ねて装填できるようになる。
【0264】
[5−9.他の実施の形態9]
さらに、上述した実施の形態では、本発明を、ATM1に設けられた紙幣入出金機4に適用した。しかしながら本発明は、これに限らず、媒体を収納する媒体収納庫を有するカセットを、スロットに着脱自在に装填するものであれば、種々の装置に適用することができる。
【0265】
さらに上述した実施の形態では、本発明を、紙幣処理装置としてのATM1に適用した。しかしながら本発明は、これに限らず、媒体を収納する媒体収納庫を有するカセットをスロットに着脱自在に装填するものであれば、種々の装置に適用することができる。
【0266】
[5−10.他の実施の形態10]
さらに、本発明は、上述した実施の形態と、上述した他の実施の形態とに限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した実施の形態と上述した他の実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0267】
本発明は、紙幣を扱うATMなどの装置で広く利用することができる。
【符号の説明】
【0268】
1……ATM、4、200……紙幣入出金機、27、208……紙幣貯蔵部、28、121、210……スロット、29、206……紙幣収納カセット、29L……大収納カセット、29S、120S……小収納カセット、29Su、100、120Su……上側用小収納カセット、29Sb、120Sb……下側用小収納カセット、43……スロット側コネクタ、47……レバー、48……溝、49、133、140C、141C……スロット側コネクタ、61……紙幣入出口、69、89、104……紙幣収納庫、70、90、105……ステージ、72、98、143……カセット側コネクタ、81……上側入出口、82……下側入出口、97、142……突部、137……上側レバー、139……中間レバー、140……中間溝、141……上側溝。
図1
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