【実施例】
【0048】
(CO酸化触媒性能評価)(実施例1〜3、比較例1〜5)
脱硫・脱硝後の焼結炉排ガスのモデルガスとして、1.0vol.%のCO、10vol.%のO
2、40ppmのSO
X、40ppmのNO
X、20vol.%の水蒸気の混合ガス(N
2バランス)を空間速度(SV)30,000h
−1で流通させた。粉末の触媒試料を石英管に充填し、この石英管中に上記モデルガスを流通させ、電気炉で加熱することで反応させた。
【0049】
反応温度は、実際にCO酸化触媒を使用する温度条件に対応する250℃及び300℃で一定とした。本評価方法では、CO酸化触媒の評価を一定とするため、電気炉を用いて温度を一定に保った。
反応後のガスを、TCDガスクロマトグラフで分析し、未反応のCO及び生成したCO
2の濃度を分析した。触媒性能をCO転化率(%)として評価し、下記式(4)により計算し、6時間反応後のCO転化率で性能を比較した。
CO転化率=生成CO
2/(未反応CO+生成CO
2)×100・・・・・(4)
また、CO酸化触媒前後におけるガスの昇温量ΔTを調べた。
【0050】
〔比較例1〕
触媒試料として、CuMnO触媒を下記のゾルゲル法により調製した。銅の前駆体として硝酸銅の水溶液を用い、マンガン前駆体として過マンガン酸カリウムの水溶液を用い、これらを室温(25℃)にて混合した。この時、Cu/Mnモル比=1/2となるように、前駆体の混合量を調整した。そこに、ゲル化剤としてマレイン酸を混合し、室温にて1時間撹拌した後、24時間熟成させた。そして、熟成後の沈殿したCuMnO酸化物のろ過・洗浄を、60℃の温水で、5回繰り返した後、得られたCuMnO酸化物を70℃で乾燥、300℃で焼成した。このことにより、比表面積が288m
2/gであり、二次粒子径の平均が300μmのCuMnO触媒試料を得た(Cu含有量:31.4質量%)。
【0051】
このようにして得られた触媒試料を石英管に充填し、上記の空間速度および温度条件でモデルガスを流通させるCO酸化反応試験を行った。その結果、表1に示すように、CO転化率は85%(300℃)、81%(250℃)であった。また、CO酸化触媒前後におけるガスの昇温量ΔTは、38℃(300℃)、37℃(250℃)であった。
【0052】
〔比較例2〕
触媒試料として、下記のゾルゲル法により調製したCuMnAl
2O
4触媒(Cu/Mnモル比=1/8、Cu含有量(CuO換算):8.6質量%)を用いた。
銅の前駆体として硝酸銅の水溶液を用い、マンガン前駆体として過マンガン酸カリウムの水溶液を用い、これらを室温(25℃)にて混合した。この時、Cu/Mnモル比=1/8となるように、前駆体の混合量を調整した。そこに、500μm以下に整粒した粉末アルミナを、触媒試料の完成時に全体の20.7質量%となるように混合した。ゲル化剤としてマレイン酸を混合し、比較例1と同様にして攪拌・熟成・ろ過・洗浄・乾燥・焼成を行った。このことにより、比表面積が206m
2/gであり、二次粒子径の平均が340μmのCuMnAl
2O
4触媒試料を得た(Cu含有量:8.6質量%)。
【0053】
比較例1と同じ反応条件で、CO酸化反応試験を行った。その結果、表1に示すように、CO転化率は81%(300℃)、75%(250℃)であった。また、CO酸化触媒前後におけるガスの昇温量ΔTは、36℃(300℃)、34℃(250℃)であった。
比較例2では、銅の含有率(CuO換算)が少ないにも関わらず、比較例1に迫る性能を発現したことから、アルミナを添加した効果を発揮している。しかし、比較例2では、銅の含有量が小さいため、Cu/Mnモル比が小さく、比較例1よりも性能(CO転化率、ガスの昇温量)が低いと考えられる。
【0054】
〔実施例1〕
触媒試料として、硝酸銅の水溶液と過マンガン酸カリウムの水溶液とをCu/Mnモル比=1/5となるように調製して、500μm以下に整粒した粉末アルミナを触媒試料の完成時に全体の20.7質量%となるように混合したこと以外は、比較例2と同様のゾルゲル法により調製したCuMnAl
2O
4触媒(Cu含有量(CuO換算):12.4質量%)を用いた。
調製後の触媒試料は、比表面積が255m
2/gであり、二次粒子径の平均が330μmであった。
【0055】
比較例1〜2と同じ反応条件で、CO酸化反応試験を行った。その結果、表1に示すように、CO転化率は87%(300℃)、85%(250℃)であった。また、CO酸化触媒前後におけるガスの昇温量ΔTは、39℃(300℃)、38℃(250℃)であった。
実施例1では、比較例1〜2よりも高い性能(CO転化率およびガスの昇温量が高い)を発揮しており、アルミナを添加することで、Cu−Mn−Alの複合酸化物を形成し、高活性化につながったと考えられる。
【0056】
〔実施例2〕
触媒試料として、硝酸銅の水溶液と過マンガン酸カリウムの水溶液とをCu/Mnモル比=1/2となるように調製して、粉末アルミナを触媒試料の完成時に全体の16.7質量%となるように混合したこと以外は、実施例1と同様のゾルゲル法により調製したCuMnAl
2O
4触媒(Cu含有量(CuO換算):26.1質量%)を用いた。
調製後の触媒試料は、比表面積が374m
2/gであり、二次粒子径の平均が330μmであった。
【0057】
比較例1〜2、実施例1と同じ反応条件で、CO酸化反応試験を行った。その結果、表1に示すように、CO転化率は100%(300℃)、99%(250℃)であった。また、CO酸化触媒前後におけるガスの昇温量ΔTは、45℃(300℃)、44℃(250℃)であった。
実施例2では、比較例1〜2、実施例1よりも高い性能を発揮している。より詳細には、実施例2では、比較例2および実施例1よりも銅の含有量が大きいため、Cu/Mnモル比が大きく、性能(CO転化率、ガスの昇温量)が高くなったと考えられる。また、実施例2では、アルミナを添加することで、Cu−Mn−Alの複合酸化物が形成され、比表面積も大幅に向上したことから、Cu/Mnモル比が同じである比較例1よりも活性が高くなり、性能が向上したと考えられる。
【0058】
〔実施例3〕
触媒試料として、硝酸銅の水溶液と過マンガン酸カリウムの水溶液とをCu/Mnモル比=1/1となるように調製して、粉末アルミナを触媒試料の完成時に全体の11.7質量%となるように混合したこと以外は、実施例1〜2と同様のゾルゲル法により調製したCuMnAl
2O
4触媒(Cu含有量(CuO換算):48.5質量%)を用いた。
調製後の触媒試料は、比表面積が440m
2/gであり、二次粒子径の平均が330μmであった。
【0059】
比較例1〜2、実施例1〜2と同じ反応条件で、CO酸化反応試験を行った。その結果、表1に示すように、CO転化率は92%(300℃)、89%(250℃)であった。また、CO酸化触媒前後におけるガスの昇温量ΔTは、42℃(300℃)、40℃(250℃)であった。
実施例3では、比較例1〜2よりも高い性能を発揮している。より詳細には、実施例3では、アルミナを添加することで、Cu−Mn−Alの複合酸化物が形成されるとともに、比較例1よりも銅の含有量が大きいため、Cu/Mnモル比が大きく、性能(CO転化率、ガスの昇温量)が高くなったと考えられる。また、実施例3では、実施例1および比較例2よりも銅の含有量が大きいため、Cu/Mnモル比が大きく、性能(CO転化率、ガスの昇温量)が高くなったと考えられる。また、実施例3では、実施例2と比較して銅の含有量が大きいため、Mnが少なくなり、酸化マンガンからの酸素供給が不足して、実施例2よりも性能が低くなったと考えられる。
【0060】
〔比較例3〕
触媒試料として、硝酸銅の水溶液と過マンガン酸カリウムの水溶液とをCu/Mnモル比=2/1となるように調製して、粉末アルミナを触媒試料の完成時に全体の17.2質量%となるように混合したこと以外は、実施例1〜3と同様のゾルゲル法により調製したCuMnAl
2O
4触媒(Cu含有量(CuO換算):53.6質量%)を用いた。
調製後の触媒試料は、比表面積が320m
2/gであり、二次粒子径の平均が320μmであった。
【0061】
比較例1〜2、実施例1〜3と同じ反応条件で、CO酸化反応試験を行った。その結果、表1に示すように、CO転化率は84%(300℃)、78%(250℃)であった。また、CO酸化触媒前後におけるガスの昇温量ΔTは、38℃(300℃)、37℃(250℃)であった。
比較例3では、比較例1〜2並みの性能しか発揮できなかった。これは比較例3では、銅の含有量が大き過ぎてCu/Mn比が大きくなり過ぎたため、マンガンの割合が少なくなったことが原因だと考えられる。
【0062】
〔比較例4〕
触媒試料として、従来の含浸法により二酸化マンガンの粉末に銅を担持して調製したCu/MnO
2触媒(Cu含有量:35質量%、比表面積:81m
2/g)を用いる条件以外は、比較例1、実施例1と同様の条件にてCO酸化反応試験を行った。
その結果、表1に示すように、比較例4のCO転化率は60%(300℃)、55%(250℃)であり、ガスの昇温量ΔTは、27℃(300℃)、25℃(250℃)であった。
比較例4では、実施例1〜3と比較して、CO転化率もガスの昇温量も小さい値を示した。
【0063】
〔比較例5〕
触媒試料として、従来の銅マンガン系触媒であるホプカライト(キシダ化学製)(Cu含有量:30質量%、比表面積:34m
2/g)を用いる条件以外は、評価例1、2や実施例1と同様の条件にてCO酸化反応試験を行った。
その結果、表1に示すように、比較例5のCO転化率は1.5%(300℃)、1.0%(250℃)となり、ほぼ活性を失った。また、ガスの昇温量ΔTは0.7℃(300℃)、0.5℃(250℃)であった。
【0064】
【表1】
【0065】
〔比較例6〕
空間速度SVを100,000h
−1としたこと以外は、実施例1〜3、比較例1〜5と同じ条件でモデルガスを流通させるCO酸化反応試験を行った。比較例6の空間速度(SV)は、実施例1〜3、比較例1〜5と比べて、3倍以上の大きさで、触媒劣化を促進する加速試験条件となっている。
触媒試料として、比較例1と同じCuMnO触媒(Cu/Mnモル比=1/2、Cu含有量:31.4質量%)を用いた。その結果、表2に示すように、比較例6のCO転化率は62%(300℃)、55%(250℃)であった。また、ガスの昇温量ΔTは27℃(300℃)、25℃(250℃)であった。
【0066】
〔実施例4〕
触媒試料として、実施例2で使用したCuMnAl
2O
4触媒を用いる以外は、比較例6と同じ反応条件で、CO酸化反応試験を行った。その結果、表2に示すように、実施例4のCO転化率は98%(300℃)、92%(250℃)となり、ガスの昇温量ΔTもそれぞれ43℃(300℃)、42℃(250℃)となった。
実施例4では、比較例6よりも高い性能を発揮しており、アルミナを添加することで、Cu−Mn−Alの複合酸化物が形成され、比表面積も大幅に向上したことから、Cu/Mnモル比が同じである比較例6よりも活性が高くなり、高活性化につながった。また、実施例4では、銅の含有量とCu/Mn比の条件も適正範囲であると考えられる。
【0067】
なお、実施例1、3で使用した触媒を用いて、比較例6と同じ反応条件で、CO酸化反応試験を行った。これらの結果も、比較例6よりも高性能(CO転化率およびガスの昇温量が高い)であった。
【0068】
〔比較例7〕
触媒試料として、従来の排ガス浄化触媒として利用されているPt/Al
2O
3触媒(Pt担持量:1.0質量%、比表面積:170m
2/g)を用いる以外は、比較例6、実施例4と同じ条件で、CO酸化反応試験を行った。その結果、表2に示すように、比較例7のPt/Al
2O
3触媒でのCO転化率は97%(300℃)、92%(250℃)となり、ガスの昇温量ΔTも43℃(300℃)、42℃(250℃)となった。
比較例7の性能は、実施例4とほぼ同じ性能である。しかし、比較例7と比較して、貴金属であるPtを使用しない実施例4の方が、より安価に触媒を製造可能であり、効率的にガスを昇温し、焼結炉排ガスの脱硝反応を行うことが可能である。
【0069】
【表2】
【0070】
(焼結炉排ガス処理評価)
〔比較例8〕
焼結炉排ガスのモデルガスとして、1.0vol.%のCO、15vol.%のO
2、200ppmのSO
X、200ppmのNO
X、17vol.%の水蒸気の混合ガス(N
2バランス、温度150℃)を使用して、
図1に示す焼結炉排ガス設備を用いて、脱硫・CO酸化・脱硝工程を行った。脱硫工程には湿式脱硫法(石灰石膏法)を用い、脱硝工程にはSCR脱硝法を用いた。また、CO酸化反応装置として、比較例7で使用したPt/Al
2O
3触媒を石英管に充填したものを用いた。CO酸化反応装置には、空間速度SV=30,000h
−1となるようにモデルガスを流通させた。
【0071】
その結果、脱硫設備4から排出された脱硫後のガスは、SO
xが35ppmに低減でき、排ガス温度は約110℃となった。脱硫排ガスは、熱交換器5にて、約230℃まで昇温されてCO酸化反応装置6に導入され、CO酸化反応初期はCO転化率99.0%の反応を経て、排ガス温度は約280℃まで上昇され、排ガス中のCOは100ppmまで低減した。
【0072】
その後、CO酸化反応後の排ガスを脱硝装置7に導入してSCR脱硝反応を行った。脱硝後のガスは、NO
xが20ppmまで低減された。脱硫・CO酸化・脱硝後の排ガスは熱交換器5へと導入され、CO酸化・脱硝前の排ガス温度上昇へ利用され、熱交換器5を通過後のガスは、約160℃まで低下し、煙突9から大気へ放散した。
【0073】
しかし、CO酸化反応時間が500時間を経過した頃から、Pt/Al
2O
3触媒の活性が低下し始め、1000時間が経過する頃には、CO転化率は20%程度に低下し、CO酸化反応後の排ガス温度は約240℃となり、脱硝温度としては低く、CO酸化工程の意味をほとんどなさなくなり、排ガスプロセスが機能しなくなった。
【0074】
〔実施例5〕
CO酸化触媒に実施例2、4のCuMnAl
2O
4触媒を用いる以外は、比較例8と同様の条件で、脱硫・CO酸化・脱硝工程を行った。
その結果、比較例8と同様に、脱硫後のガスは、SO
xが35ppmに低減でき、排ガス温度は約110℃となった。脱硫排ガスは、熱交換器5にて、約230℃まで昇温されてCO酸化反応装置6に導入され、CO転化率99.5%の反応を経て、排ガス温度は約280℃まで上昇され、排ガス中のCOは50ppmまで低減した。
【0075】
その後、CO酸化反応後の排ガスを脱硝装置7に導入してSCR脱硝反応を行った。脱硝後のガスは、NO
xが20ppmまで低減された。脱硫・CO酸化・脱硝後の排ガスは熱交換器5へと導入され、CO酸化・脱硝前の排ガス温度上昇へ利用され、熱交換器5を通過後のガスは、約160℃まで低下し、煙突9から大気へ放散した。
【0076】
本実施例では、CO酸化反応時間が1000時間を経過しても、CO酸化触媒の活性劣化は起こらず、比較例8と比べて、寿命が長いことがわかった。
また、実施例1、3で使用した触媒を用いたこと以外は実施例5と同様にして脱硫・CO酸化・脱硝工程を行った。その結果、実施例1、3で使用した触媒を用いた場合も実施例5と同様に、比較例8と比べ、寿命が長かった。
【0077】
以上のことから、本実施例のCO酸化触媒は、従来のCO酸化触媒(Pt/Al
2O
3触媒)と比べて、耐久性が高いことが分かった。また、本実施例のCuMnAl
2O
4触媒からなるCO酸化触媒は、貴金属を含まず、Pt/Al
2O
3触媒と比較して低コストで製造可能である。
また、CO酸化反応工程において本実施例のCO酸化触媒を用いることにより、従来の脱硫・CO酸化・脱硝工程を行う場合と比較して、CO酸化触媒のランニングコストを低減でき、さらに、脱硝工程前の排ガス温度を効率的に上昇できることから、より安価な脱硫・脱硝プロセスが可能となった。
【0078】
〔比較例9〕
CO酸化触媒に比較例1、6のCuMnO触媒を用いる以外は、比較例8と同様の条件で、脱硫・CO酸化・脱硝工程を行った。
その結果、比較例8と同様に、脱硫後のガスは、SO
xが35ppmに低減でき、排ガス温度は約110℃となった。脱硫排ガスは、熱交換器5にて、約230℃まで昇温されてCO酸化反応装置6に導入され、反応初期はCO転化率99.0%の反応を経て、排ガス温度は約280℃まで上昇され、排ガス中のCOは100ppmまで低減した。
その後、CO酸化反応後の排ガスを脱硝装置7に導入してSCR脱硝反応を行った。脱硝後のガスは、NO
xが20ppmまで低減された。脱硫・CO酸化・脱硝後の排ガスは熱交換器5へと導入され、CO酸化・脱硝前の排ガス温度上昇へ利用され、熱交換器5を通過後のガスは、約160℃まで低下し、煙突9から大気へ放散した。
【0079】
しかし、本比較例では、CO酸化反応時間600時間程度で、CO転化率は20%程度に低下し、CO酸化反応後の排ガス温度は約240℃となり、脱硝温度としては低く、CO酸化工程の意味をなさなくなり、排ガスプロセスが機能しなくなった。
以上のことから、実施例5において使用したCuMnAl
2O
4触媒の方が、比較例9の触媒と比較して、耐久性が高く、CO酸化触媒のランニングコストを低減でき、さらに、脱硝工程前の排ガス温度を効率的に上昇できることから、より安価に脱硫・脱硝プロセスを実施できることがわかった。
【0080】
〔比較例10〕
焼結炉排ガスのモデルガスとして、比較例8、9、実施例5と同じものを使用し、
図2に示す焼結炉排ガス設備を用いて、脱硫・脱硝・CO酸化工程を行った。なお、
図1に示す焼結炉排ガス設備と同様に、脱硫工程には湿式脱硫法(石灰石膏法)、脱硝工程にはSCR脱硝法を用いた。また、CO酸化反応装置として、比較例7、8で使用したPt/Al
2O
3触媒を石英管に充填したものを用いた。CO酸化反応装置には、空間速度SV=30,000h
−1となるようにモデルガスを流通させた。
【0081】
その結果、脱硫設備13から排出された脱硫後のガスは、SO
xが35ppmに低減でき、排ガス温度は約110℃となった。脱硫排ガスは、熱交換器14にて、約280℃まで昇温され、脱硝装置15に導入してSCR脱硝反応を行った。脱硝後のガスは、NO
xが20ppmまで低減された。その後、脱硫・脱硝後の排ガスをCO酸化反応装置16に導入し、CO酸化反応初期はCO転化率99.0%の反応を経て、排ガス温度は約330℃まで上昇され、排ガス中のCOは100ppmまで低減した。
脱硫・脱硝・CO酸化後の排ガスは熱交換器14へと導入され、脱硝前の排ガス温度上昇へ利用され、熱交換器14を通過後のガスは、約160℃まで低下し、煙突18から大気へ放散した。
【0082】
しかし、CO酸化反応時間が500時間を経過した頃から、Pt/Al
2O
3の活性が低下し始め、1000時間が経過する頃には、CO転化率は20%程度に低下し、CO酸化反応後の排ガス温度は約290℃となり、CO酸化工程の意味をほとんどなさなくなった。この時、熱交換器14を通じて昇温された、脱硫後排ガスは240℃となり、脱硝温度としては低く、排ガスプロセスが機能しなくなった。
【0083】
〔実施例6〕
CO酸化触媒に実施例2、4、5のCuMnAl
2O
4触媒を用いる以外は、比較例10と同様の条件で、脱硫・脱硝・CO酸化工程を行った。
その結果、比較例10と同様に、脱硫後のガスは、SO
xが35ppmに低減でき、排ガス温度は約110℃となった。脱硫排ガスは、熱交換器14にて、約280℃まで昇温され、脱硝装置15に導入してSCR脱硝反応を行った。脱硝後のガスは、NO
xが20ppmまで低減された。その後、脱硫・脱硝後の排ガスをCO酸化反応装置16に導入し、CO転化率99.5%の反応を経て、排ガス温度は約330℃まで上昇され、排ガス中のCOは50ppmまで低減した。
脱硫・脱硝・CO酸化後の排ガスは熱交換器14へと導入され、脱硝前の排ガス温度上昇へ利用され、熱交換器14を通過後のガスは、約160℃まで低下し、煙突18から大気へ放散した。
【0084】
本実施例では、CO酸化反応時間が1000時間を経過しても、CO酸化触媒の活性劣化は起こらず、比較例10と比べて、寿命が長いことがわかった。
また、実施例1、3で使用した触媒を用いたこと以外は実施例6と同様にして脱硫・脱硝・CO酸化工程を行った。その結果、実施例1、3で使用した触媒を用いた場合も実施例6と同様に、比較例10と比べて、寿命が長かった。
【0085】
以上のことから、本実施例のCO酸化触媒は、従来のCO酸化触媒(Pt/Al
2O
3触媒)と比べて、耐久性が高いことが分かった。また、本実施例のCuMnAl
2O
4触媒からなるCO酸化触媒は、貴金属を含まず、低コストで製造可能である。
また、CO酸化反応工程において本実施例のCO酸化触媒を用いることにより、従来の脱硫・脱硝・CO酸化工程を行う場合と比較して、CO酸化触媒のランニングコストを低減でき、さらに、脱硝工程前の排ガス温度を効率的に上昇できることから、より安価な脱硫・脱硝プロセスが可能となった。
【0086】
〔比較例11〕
CO酸化触媒に比較例1、6、9のCuMnO触媒を用いる以外は、比較例10と同様の条件で、脱硫・脱硝・CO酸化工程を行った。
その結果、比較例10と同様に、脱硫後のガスは、SO
xが35ppmに低減でき、排ガス温度は約110℃となった。脱硫排ガスは、熱交換器14にて、約280℃まで昇温され、脱硝装置15に導入してSCR脱硝反応を行った。脱硝後のガスは、NO
xが20ppmまで低減された。その後、脱硫・脱硝後の排ガスをCO酸化反応装置16に導入し、反応初期のCO転化率は99.0%の反応を経て、排ガス温度は約330℃まで上昇され、排ガス中のCOは100ppmまで低減した。
脱硫・脱硝・CO酸化後の排ガスは熱交換器14へと導入され、脱硝前の排ガス温度上昇へ利用され、熱交換器14を通過後のガスは、約160℃まで低下し、煙突18から大気へ放散した。
【0087】
しかし、本比較例では、CO酸化反応時間600時間程度で、CO転化率は20%程度に低下し、CO酸化反応後の排ガス温度は約290℃となり、CO酸化工程の意味をほとんどなさなくなった。この時、熱交換器14を通じて昇温された脱硫後排ガスは240℃となり、脱硝温度としては低く、排ガスプロセスが機能しなくなった。
以上のことから、実施例6において使用したCuMnAl
2O
4触媒の方が、比較例11の触媒と比較して、耐久性が高く、CO酸化触媒のランニングコストを低減でき、さらに、脱硝工程前の排ガス温度を効率的に上昇できることから、より安価に脱硫・脱硝プロセスを実施できることがわかった。
【0088】
〔比較例12〕
焼結炉排ガスのモデルガスとして、比較例8〜11、実施例5、6と同じものを使用し、
図3に示す焼結炉排ガス設備を用いて、脱硫・脱硝処理を行った。なお、
図1に示す焼結炉排ガス設備と同様に、脱硫工程には湿式脱硫法(石灰石膏法)、脱硝工程にはSCR脱硝法を用いた。また、脱硝前の排ガスを、COGバーナーを備える再加熱炉24にて加熱した。
【0089】
その結果、脱硫後のガスは、SO
xが35ppmに低減でき、排ガス温度は約110℃となった。脱硫排ガスは、熱交換器23にて、約230℃まで昇温された後、COGガスを利用(
図3において符号Cで示す)する再加熱炉24にて、約280℃まで上昇させた。その後、昇温された排ガスにNH
3添加(
図3において符号Dで示す)し、脱硝装置25に導入してSCR脱硝反応を行った。脱硝後のガスは、NO
xが20ppmまで低減された。
脱硫・脱硝後の排ガスは熱交換器23へと導入され、脱硝前の排ガス温度上昇へ利用され、熱交換器23を通過後のガスは、約160℃まで低下し、煙突27から大気へ放散した。
【0090】
本比較例で排ガスの加熱に使用したCOGは、ランニングコストが高い。一方、実施例1〜6で用いたCuMnAl
2O
4からなるCO酸化反応触媒を用いると、触媒コストがかかるものの、全体のランニングコストを約5〜6割に低減できる。したがって、本発明を用いることで、非常に安価かつ効率的に焼結炉排ガスの脱硫・脱硝反応を行うことが可能であることがわかった。