(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。なお、以下の実施形態で用いる図面において、同一符号を付した部分は、特に断らない限り、同一若しくは同様の部分を表す。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る無線通信システムとしての無線アドホックネットワークの一例を模式的に示す図である。
図1に示す無線アドホックネットワークは、例示的に、無線基地局の一例に相当するGW10と、当該GW10の周囲に位置する複数の無線端末20と、を備える。
【0016】
GW10の通信範囲10a内に位置する無線端末20(以下、単に「端末20」ともいう。)が、GW10と通信することができる。GW10の通信範囲10aは、例示的に、方向別にセクタ化されている。
図1に示す例では、通信範囲10aは、8つのセクタに分割されている。
【0017】
8つのセクタのうち、例示的に、4つのセクタA〜Dに対してそれぞれタイムスロット#1〜#4が割り当てられる。したがって、セクタAに位置する端末20はタイムスロット#1を用いて、セクタBに位置する端末20はタイムスロット#2を用いて、それぞれGW10と通信する。同様に、セクタCに位置する端末20はタイムスロット#3を用いて、セクタDに位置する端末20はタイムスロット#4を用いて、それぞれGW10と通信する。
【0018】
ここで、セクタA及びBはGW10を挟んで互いに対向する位置関係にあるため、セクタA及びBに位置する端末20の数がそれぞれ増加すると、隠れ端末数が増加する。そこで、GW10は、対向関係にあるセクタA及びBに対して異なるタイムスロット#1及び#2をそれぞれ割り当てる。すなわち、例えば
図2に示すように、GW10から見て対面の関係にある、Aの方向及びBの方向に位置する端末群に対しては時間が重ならないように同期させてタイムスロットを割り当てる。
【0019】
同様に、
図1に示すように、セクタC及びDも、GW10を挟んで互いに対向する位置関係にあるため、GW10は、対向関係にあるセクタC及びDに対して異なるタイムスロット#3及び#4をそれぞれ割り当てる。すなわち、例えば
図2に示すように、GW10から見て対面の関係にある、Cの方向及びDの方向に位置する端末群に対して時間が重ならないように同期させてタイムスロットを割り当てる。
【0020】
ここで、GW10を挟んで対向関係にないセクタに位置する端末については、隠れ端末の関係にないので、割り当てるタイムスロットは非同期としてよい。例えば
図3に示すように、タイムスロット#1及び/又は#2は、タイムスロット#3及び/又は#4とは非同期の関係としてよい。
【0021】
具体的に、GW10は、例えば
図4(A)に模式的に示すように、指向性アンテナの指向性を変えながら(回転させながら)端末20と通信することで、端末20が存在する方向を識別(判定)する。そして、GW10は、通信範囲10aをセクタに分類し、対面の関係にあるセクタに位置する端末20の数が所定の閾値を超えた場合に、
図2及び
図3により上述したタイムスロット割当を実施する(
図4(B)参照)。
【0022】
割り当てたタイムスロットの情報は、例示的に、ビーコン信号等に付加されてGW10から端末20に配信(ブロードキャスト)される。当該配信は、例示的に、GW10において無指向性のオムニアンテナを用いて実施することができる。端末20は、GW10から指示されたタイムスロットを用いて通信を行なう。
【0023】
以下、このようなタイムスロット割当を実現するGW10及び端末20の構成例について
図5〜
図8を用いて説明する。
図5は、GW10のハードウェア構成例を示す図であり、
図6は、GW10の機能的な構成例を示すブロック図である。また、
図7は、端末20のハードウェア構成例を示す図であり、
図8は、端末20の機能的な構成例を示すブロック図である。
【0024】
図5に示すように、GW10は、例示的に、アンテナ部11、アンテナ切り替えスイッチ(アンテナ命令部)12、RFチップ13、CPU14、及び、メモリ15を備える。
【0025】
アンテナ部11は、例示的に、指向性アンテナとしての機能と無指向性のオムニアンテナとしての機能とを具備し、アンテナ切り替えスイッチ12からの制御に応じて両機能が切り替えられる。
【0026】
RFチップ13は、無線回路の一例であり、無線信号の送受信処理を実施する。
【0027】
CPU14は、GW10全体の動作を統括的に制御する演算処理装置の一例であり、メモリ15に記憶された所定のプログラムやデータを適宜に読み取って動作することにより、GW10の動作を制御する。当該制御には、例示的に、アンテナ部11を指向性アンテナ又はオムニアンテナに切り替えるようアンテナ切り替えスイッチ12に指示を与える処理が含まれる。
【0028】
メモリ15は、上記のプログラムやデータを記憶するほか、後述するように端末20の存在方向に関する情報や端末数及び/又は通信量についての閾値を記憶する。
【0029】
次に、
図6を参照してGW10の機能に着目すると、GW10は、例示的に、送受信部131、端末存在方向判定部141、カウント部142、タイムスロット割当部143、及び、端末存在方向記録部151を備える。なお、
図6において、11及び12は、それぞれ、既述のアンテナ部及びアンテナ命令部を表す。
【0030】
送受信部131は、例示的に、既述のRFチップ13により具現され、無線信号の送受信処理を行なう。
【0031】
端末存在方向判定部141は、指向性アンテナの指向性を変えながら端末20と通信することにより、通信できた端末20が位置する方向を判定する。
【0032】
端末存在方向記録部151は、例示的に、既述のメモリ15によって具現され、端末存在方向判定部141による判定結果、すなわち、指向性アンテナの向いた方向ごとに通信できた端末20の情報を記録する。
【0033】
カウント部142は、端末存在方向記録部151に記録された情報を基に、指向性アンテナの向いた方向ごとの端末20の数をカウントする。
【0034】
タイムスロット割当部(タイムスロット割当制御部)143は、カウント部142のカウント結果を基に、GW10を挟んで対向関係にある方向に位置する端末20の数が所定の閾値を超えている場合に、
図2及び
図3により既述のタイムスロット割当を実施する。割り当てたタイムスロットの情報は、送受信部131及びアンテナ部11(オムニアンテナ)を通じて端末20へ通知される。
【0035】
なお、端末存在方向判定部141、カウント部142、及び、タイムスロット割当部143は、例示的に、既述のCPU14がメモリ15から所定のプログラムやデータを読み取って動作することで具現される。
【0036】
一方、
図7に示すように、端末20は、ハードウェアに着目すると、例示的に、アンテナ部21、RFチップ22、センサ23、CPU24、及び、メモリ25を備える。
【0037】
アンテナ部21は、無線信号を送受信する。
【0038】
RFチップ22は、無線回路の一例であり、無線信号の送受信処理を実施する。
【0039】
センサ23は、物理量(例えば、温度、湿度、加速度、照度、風向、風速、地震動、雨量、音の大きさ、水位、電力の使用量、水の使用量、及び、ガスの使用量など)を測定(センシング)する。測定した物理量を表す物理量情報を有する信号は、CPU24へ出力される。この場合、端末20は、無線アドホックネットワークの一例としてのセンサネットワークを形成する。
【0040】
CPU24は、端末20全体の動作を統括的に制御する演算処理装置の一例であり、メモリ25に記憶された所定のプログラムやデータを適宜に読み取って動作することにより、端末20の動作を制御する。
【0041】
メモリ25は、上記のプログラムやデータを記憶するほか、GW10から割り当てられたタイムスロットの情報を記憶する。
【0042】
次に、
図8を参照して端末20の機能に着目すると、端末20は、例示的に、送受信部221、タイムスロット判定部241、情報生成部242、及び、タイムスロット情報記録部251を備える。なお、
図8において、21は既述のアンテナ部を表す。
【0043】
送受信部221は、例示的に、既述のRFチップ22により具現され、無線信号の送受信処理を行なう。
【0044】
タイムスロット情報記録部251は、例示的に、既述のメモリ25によって具現され、GW10から受信したタイムスロットの情報を記録する。
【0045】
タイムスロット判定部241は、タイムスロット情報記録部251に記録されたタイムスロットの情報を基に、現タイミングがGW10から割り当てられたタイムスロットに対応するタイミングであるか否かを判定する。
【0046】
情報生成部242は、通信相手であるGW10や他の端末20宛の情報を生成する。当該情報は、タイムスロット判定部241により現タイミングがGW10から割り当てられたタイムスロットに対応するタイミングであると判定されたときに、送受信部221及びアンテナ部21を通じて送信される。
【0047】
以下、上述のごとく構成されたGW10及び端末20の動作例について、
図9〜
図11を参照して説明する。なお、
図9は、GW10の動作例を示すフローチャート、
図10及び
図11は、端末20の動作例を示すフローチャートである。
【0048】
図9に例示するように、GW10は、アンテナ命令部12によりアンテナ部11を指向性アンテナに制御し、当該指向性アンテナの指向性を変えながら端末20と通信する(処理P11)。そして、GW10は、端末存在方向判定部141により、通信できた端末20が存在する方向を判定し、指向性アンテナが向いた方向ごとに通信できた端末20の情報をメモリ15(端末存在方向記録部151)に記録する(処理P12)。
【0049】
次いで、GW10は、カウント部142により、端末存在方向記録部151に記録された情報を基に、方向別に通信できた端末数をカウントし(処理P13)、方向別にカウントした端末数が所定の閾値を超えているか否かを判定する(処理P14)。カウントした端末数が閾値を超えていなければ、GW10は、処理を終了する(処理P14のNoルート)。
【0050】
一方、カウントした端末数が閾値を超えていれば(処理P14でYesの場合)、カウント部142は、さらに、GW10を挟んで対向関係(対面)にある方向でカウントした端末数が所定の閾値を超えているか否かを判定する(処理P15)。なお、処理P14及びP15での各閾値は同じで構わない。その結果、閾値を超えていなければ、GW10は、処理を終了する(処理P15のNoルート)。
【0051】
これに対し、対面にある方向でカウントした端末数が閾値を超えていれば(処理P15でYesの場合)、GW10は、タイムスロット割当部143により、対面にある方向ごとに割り当てるタイムスロットを決定する(処理P16)。すなわち、タイムスロット割当部143は、
図2及び
図3にて既述のように、GW10から見て対面の関係にある各方向に位置する端末群に対して時間が重ならないように同期させてタイムスロットを割り当てる。
【0052】
割り当てたタイムスロットの情報(タイムスロット割当情報)は、送受信部131を通じてアンテナ部11(オムニアンテナ)により、各方向に位置する端末20に通知される(処理P17)。タイムスロット割当情報は、例示的に、ビーコン信号等のパケットに付加されてブロードキャストされる。なお、アンテナ部11は、例示的に、上述の処理P13以降のタイミングでアンテナ命令部12によりオムニアンテナに切り替えられる。
【0053】
一方、端末20では、
図10に例示するように、アンテナ部21及び送受信部221を通じて、GW10から送信された、タイムスロット割当情報の付加されたパケットを受信する(処理P21)。送受信部221は、受信したタイムスロット割当情報をメモリ25(タイムスロット情報記録部251)に記録する(処理P22)。
【0054】
その後、
図11に例示するように、端末20において、情報生成部242により通信要求が発生する(処理P31)。そうすると、端末20は、タイムスロット判定部241により、タイムスロット情報記録部251に記録されたタイムスロット割当情報を基に、現タイミングが割り当てられたタイムスロットに相当するタイミングであるか否かを判定する(処理P32)。
【0055】
判定の結果、現タイミングが割り当てられたタイムスロットに相当するタイミングでなければ(処理P32でNoの場合)、タイムスロット判定部241は、ランダム時間待機して(処理P34)、処理P32に戻る。
【0056】
一方、現タイミングが割り当てられたタイムスロットに相当するタイミングであれば(処理P32でYesの場合)、タイムスロット判定部241は、情報生成部242に対して通信許可を与え、これにより情報生成部242から送受信部221を通じて通信を開始する(処理P33)。
【0057】
以上のように、上述した実施形態によれば、GW10から見て、一定範囲内の端末数が所定数を超え、その現象がGW10を挟んで向かい合う2方向に存在するとき、それぞれの方向にある端末に対して、方向ごとに異なるタイムスロットを割り当てる。別言すると、GW10周辺の端末20の位置によって、GW10は、端末20が通信可能なタイムスロットの割り当てを変える。
【0058】
したがって、GW10に対する隠れ端末問題の発生頻度を低減することができ、隠れ端末の増加に伴うパケット衝突の発生率を抑制することができる。その結果、GW10と端末20との通信のスループットを向上することができ、また、GW10が収容可能な端末20の数を増やすことができる。
【0059】
なお、
図12にシミュレーション計算結果の一例を示す。シミュレーション計算では、
図12(B)に例示するように、GW10の周辺エリアを疎密に分けて、疎密の端末数の比率を保ったまま、端末数を増加させた。各端末20はGW10に対して発信する。通信可能距離以上に離れている端末20どうしが同時に発信を行なおうとした時に、GW10における受信電力差が所要SN比以下となった場合、パケット衝突と判断し、通信に失敗したと判定する。
【0060】
全体の端末数を変えて通信成功パケット数を集計したグラフが
図12(A)に示すグラフである。
図12(A)において、符号100で示すグラフが上述した実施形態によるグラフを表し、符合200で示すグラフが従来方式(Slotted ALOHA)によるグラフを表す。これらのグラフ100及び200を比較して分かるように、上述した実施形態によれば、端末20の数が増加しても、パケット衝突によるスループットの劣化が抑えられるため、スループットが向上する。
【0061】
なお、上述した実施形態によるタイムスロットの割り当てが適用される端末数の閾値は、例示的に、当該適用によって通信成功パケット数が例えば5%以上改善する場合とする。非限定的な一例を挙げると、シミュレーション環境では、GW10の周辺に200台以上の端末20が存在する時に適用すればよいことになる。
図12(B)において、疎:密=1:9の割合で配分した場合、1箇所の密の領域に、(200/4)×0.9=45台の端末20が存在することになる。したがって、端末数の閾値は45に設定することができる。
【0062】
(変形例)
上述した実施形態では、端末数が所定の閾値を超えた場合に方向別のタイムスロット割当を実施したが、端末数に代えて通信量が所定の閾値を超えた場合に、同様のタイムスロット割当を実施するようにしてもよい。
【0063】
その場合のGW10の動作例を
図13に示す。
図13に例示するように、GW10は、アンテナ命令部12によりアンテナ部11を指向性アンテナに制御し、当該指向性アンテナの指向性を変えながら端末20と通信する(処理P11)。そして、GW10は、端末存在方向判定部141により、通信できた端末20が存在する方向を判定し、指向性アンテナが向いた方向ごとに通信できた端末20の情報をメモリ15(端末存在方向記録部151)に記録する(処理P12)。
【0064】
次いで、GW10は、例えばカウント部142により、端末存在方向記録部151に記録された情報を基に、方向別に通信できた端末20の通信量を計測し(処理P13a)、方向別に計測した通信量が所定の閾値を超えているか否かを判定する(処理P14a)。計測した通信量が閾値を超えていなければ、GW10は、処理を終了する(処理P14aのNoルート)。
【0065】
一方、計測した通信量が閾値を超えていれば(処理P14aでYesの場合)、カウント部142は、さらに、GW10を挟んで対向関係(対面)にある方向で計測した通信量が所定の閾値を超えているか否かを判定する(処理P15a)。なお、処理P14a及びP15aでの各閾値は同じで構わない。その結果、閾値を超えていなければ、GW10は、処理を終了する(処理P15aのNoルート)。
【0066】
これに対し、対面にある方向で計測した通信量が閾値を超えていれば(処理P15aでYesの場合)、GW10は、タイムスロット割当部143により、対面にある方向ごとに割り当てるタイムスロットを決定する(処理P16)。すなわち、タイムスロット割当部143は、
図2及び
図3にて既述のように、GW10から見て対面の関係にある各方向に位置する端末群に対して時間が重ならないように同期させてタイムスロットを割り当てる。
【0067】
割り当てたタイムスロットの情報(タイムスロット割当情報)は、送受信部131を通じてアンテナ部11(オムニアンテナ)により、各方向に位置する端末20に通知される(処理P17)。タイムスロット割当情報は、例示的に、ビーコン信号等のパケットに付加されてブロードキャストされる。なお、アンテナ部11は、例示的に、上述の処理P13a以降のタイミングでアンテナ命令部12によりオムニアンテナに切り替えられる。
【0068】
なお、シミュレーションでは、各端末20が1/360の確率でパケットを送信しようとすると設定した。タイムスロットが割り当てられた場合、送信タイミングが半分になるので、端末20は、1/180の確率で送信しようとすると設定した。そのため、既述の実施形態でのシミュレーションと同じ条件の時の空間占有率は、45×(1/180)+5×(1/360)×100=26.4%となる。したがって、最大通信量の26.4%を上述した閾値に用いることができる。
【0069】
なお、上述した端末数に関する閾値と通信量に関する閾値とを組み合わせて、タイムスロット割当の要否を判定するようにしてもよい。例えば、対面にある2方向で端末数が閾値以下であっても、当該2方向で通信量が閾値を超えていれば、上述のタイムスロット割当を実施するようにしてもよい。逆に、対面にある2方向で通信量が閾値以下であっても、当該2方向で端末数が閾値を超えていれば、上述のタイムスロット割当を実施するようにしてもよい。
【0070】
(第2実施形態)
第1実施形態では、GW10が指向性アンテナの指向性を変えながら端末20と通信することにより端末20の存在する方向を判定する態様について説明した。ただし、GW10が指向性アンテナをもたない場合でも、第1実施形態と同様のタイムスロット割当が可能である。すなわち、第2実施形態では、GW10が端末20の位置情報を例えばGPS情報として取得することにより、端末20の存在する方向を判定することができる。GW10は、その判定結果に基づいて、第1実施形態と同様のタイムスロット割当を実施することができる。
【0071】
図14に、第2実施形態に係るGW10の機能ブロック図を示し、
図15に、第2実施形態に係る端末20の機能ブロック図を示す。なお、GW10のハードウェア構成例は、第1実施形態(
図5)において、アンテナ切り替えスイッチ12を削除した構成に相当する。また、端末20のハードウェア構成例は、第1実施形態(
図7)において、GPSセンサ26(
図15参照)を追加的に備えた構成に相当する。
【0072】
図14に示すように、第2実施形態のGW10は、
図6に例示した構成に比して、アンテナ命令部12が削除されている点が異なる。また、当該GW10は、
図6に例示した構成に比して、各部141及び143に代えて端末存在方向判定部141a及びタイムスロット割当部143aが備えられる点が異なる。なお、
図14において、既述の符号と同一符号を付した部分は、特に断らない限り、既述の部分と同一若しくは同様の部分である。
【0073】
端末存在方向判定部141aは、端末20から送信され、アンテナ部11及び送受信部131を通じて受信されるGPS情報に基づいて、当該端末20が存在する方向を計算する。GPS情報は、端末20のGPSセンサ26によって取得され、GW10に通知される。GPSセンサ26は、端末20の位置情報を取得する位置情報取得部の一例である。端末存在方向判定部141aによって計算された各端末20の存在方向は、端末存在方向記録部151に記録される。
【0074】
タイムスロット割当部(タイムスロット割当制御部)143aは、カウント部142のカウント結果を基に、GW10を挟んで対向関係にある方向に位置する端末20の数が所定の閾値を超えている場合に、
図2及び
図3により既述のタイムスロット割当を実施する。また、タイムスロット割当部143aは、端末存在方向記録部151に記録された情報を基に、当該タイムスロットを割り当てる対象の領域を特定する情報(割当領域情報)を生成する。
【0075】
割当領域情報には、例示的に、GW10の位置情報(座標)、
図19に例示するような、タイムスロットを割り当てる領域の左端の方向θ1及び右端の方向θ2等が含まれてよい。割り当てたタイムスロットの情報及び割当領域情報は、送受信部131及びアンテナ部11(オムニアンテナ)を通じて端末20へ通知される。
【0076】
なお、端末存在方向判定部141a及びタイムスロット割当部143aとしての機能は、例示的に、
図5に示すCPU14がメモリ15から所要のプログラムやデータを読み取って動作することにより具現される。
【0077】
一方、
図15に示すように、第2実施形態の端末20は、
図8に例示した構成に比して、GPSセンサ26が備えられる点が異なる。また、当該端末20は、
図8に例示した構成に比して、各部241、242及び251に代えて、タイムスロット判定部241a、情報生成部242a及びタイムスロット/割当領域情報記録部251aを備える点が異なる。
【0078】
情報生成部242aは、例えばGW10宛の送信情報を生成する。当該送信情報には、GPSセンサ26によって取得されたGPS情報が含まれてよい。
【0079】
タイムスロット判定部241aは、GW10からアンテナ部21及び送受信部221を通じて受信されるタイムスロットの情報及び割当領域情報のうち、割当領域情報に基づいて自端末20が割当領域内に位置しているか否かを判定する。なお、自端末20の位置情報は、GPSセンサ26によって取得できる。判定の結果、自端末20が割当領域内に位置していれば、タイムスロット判定部241aは、受信したタイムスロットの情報をタイムスロット/割当領域情報記録部251aに記録する。
【0080】
タイムスロット/割当領域情報記録部251aは、GW10から受信したタイムスロットの情報と割当領域情報とを記録する。
【0081】
なお、タイムスロット判定部241a及び情報生成部242aとしての機能は、例示的に、
図7に示すCPU24がメモリ25から所要のプログラムやデータを読み取って動作することにより具現される。また、タイムスロット/割当領域情報記録部251aは、例示的に、
図7に示すメモリ25によって具現される。
【0082】
以下、上述のごとく構成された第2実施形態に係るGW10及び端末20の動作例について、
図16〜
図18を参照して説明する。なお、
図16及び
図18は、端末20の動作例を示すフローチャート、
図17は、GW10の動作例を示すフローチャートである。
【0083】
まず、
図16に例示するように、端末20は、GPSセンサ26によって端末20の位置情報(GPS情報)取得し(処理P41)、当該GPS情報を送受信部221及びアンテナ部21を通じてGW10へ送信する(処理P42)。
【0084】
一方、GW10は、
図17に例示するように、各端末20から送信されたGPS情報を、アンテナ部11及び送受信部131を通じて受信すると(処理P51)、端末存在方向判定部141aにより、各端末20が存在する方向をそれぞれ計算する(処理P52)。計算した結果は、端末存在方向記録部151に記録される(処理P53)。
【0085】
以降、GW10は、カウント部142及びタイムスロット割当部143aにより、
図9にて既述の処理P13〜P16を実施して、端末20の存在する方向ごとに割り当てるタイムスロットを決定する。また、タイムスロット割当部143aは、割当領域情報を生成する。
【0086】
割り当てたタイムスロットの情報及び割当領域情報は、送受信部131及びアンテナ部11(オムニアンテナ)を通じて、ブロードキャストされる(処理P17a)。
【0087】
端末20は、
図18に例示するように、GW10からタイムスロットの情報と割当領域情報とを、アンテナ部21及び送受信部221を通じて受信すると(処理P61)、タイムスロット判定部241aにより、受信した割当領域情報と自端末20の位置情報とに基づいて、自端末20が割当領域内に位置するか否かを判定する(処理P62及びP63)。
【0088】
判定の結果、自端末20が割当領域内に位置していなければ(処理P63でNoの場合)、端末20は、処理を終了する。一方、自端末20が割当領域内に位置していれば(処理P63でYesの場合)、GW10(タイムスロット判定部241a)は、GW10から受信したタイムスロットの情報をタイムスロット/割当領域情報記録部251aに記録する(処理P64)。
【0089】
以降、端末20は、
図11に例示した通信時の動作と同様の処理(P31〜P34)を実施することにより、割り当てられたタイムスロットで送信を行なう。
【0090】
以上のように、GW10が指向性アンテナを有さない場合であっても、第1実施形態と同様のタイムスロット割当を実施することができる。したがって、GW10に対する隠れ端末問題の発生頻度を低減することができ、隠れ端末の増加に伴うパケット衝突の発生率を抑制することができる。その結果、GW10と端末20との通信のスループットを向上することができ、また、GW10が収容可能な端末20の数を増やすことができる。
【0091】
なお、上述した第2実施形態についても、第1実施形態の変形例と同様に、通信量に応じてタイムスロット割当の要否を判断するようにしてもよい。また、既述のように、端末数と通信量との双方に応じてタイムスロット割当の要否を判断するようにしてもよい。
【0093】
GW10の周辺エリアの分割数(セクタ数)は、分割数が多いほどGW10周辺に位置する端末20の数に対して、上述した対向関係にあるセクタ内に位置する端末20の合計数が占める割合が低くなり、隠れ端末問題の発生頻度を低減する効果が小さくなる。そこで、分割数の非限定的な一例としては、4〜16程度にするのが望ましい。また、GW10から端末20に対して割当領域情報により割り当てる領域の角度は、領域内の端末数又は領域の扇の角度が大きくなるように割り当てるとよい。扇の角度については、上記分割数の目安が4〜16であるとすると、例示的に、22.5度〜90度とするとよい。