(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
信号光とモニタ光に分岐される光導波路と、モニタ光の前記光導波路の途中位置に設けられ、当該光導波路から出射する光が底面で反射する反射溝、を有し、電気光学効果を有する基板と、
前記反射溝の上で前記基板に固定される受光素子と、
前記反射溝の周囲を囲むように設けられ、前記基板に前記受光素子を固定する接着剤が、前記反射溝内の空間において前記光が通過する部分へ流れ込むのを防ぐ反射溝保護用凸部と、
前記受光素子に電気的に接続される受光素子用電気配線と前記接着剤による接着箇所との間に、前記接着剤が前記受光素子用電気配線へ流れ出すのを防ぐ配線保護用凸部と、を有し、
前記光導波路から前記反射溝内へ出射する光が、前記反射溝内の空間を通過する途中で前記反射溝の底面で反射して前記受光素子へ入射し、
前記光導波路から光が出射する前記反射溝の端面は、前記光導波路から出射する光が前記反射溝の底面へ向かうように屈折させる傾斜面になっており、前記傾斜面は、前記基板の厚さ方向に対して、前記光導波路内を進む光が前記傾斜面で全反射する角度よりも小さい角度をなし、
前記配線保護用凸部の前記基板の表面からの高さが前記反射溝保護用凸部の前記基板の表面からの高さよりも高いことを特徴とする光デバイス。
信号光とモニタ光に分岐される光導波路と、モニタ光の前記光導波路の途中位置に設けられ、当該光導波路から出射する光が底面で反射する反射溝、を有し、電気光学効果を有する基板と、前記反射溝の上で前記基板に固定される受光素子と、前記反射溝の周囲を囲むように設けられ、前記基板に前記受光素子を固定する接着剤が、前記反射溝内の空間において前記光が通過する部分へ流れ込むのを防ぐ反射溝保護用凸部と、前記受光素子に電気的に接続される受光素子用電気配線と前記接着剤による接着箇所との間に、前記接着剤が前記受光素子用電気配線へ流れ出すのを防ぐ配線保護用凸部と、を備え、前記光導波路から前記反射溝内へ出射する光が、前記反射溝内の空間を通過する途中で前記反射溝の底面で反射して前記受光素子へ入射する光デバイスを製造するにあたって、
前記基板に前記光導波路を形成し、
モニタ用の前記光導波路の途中位置に前記反射溝を形成し、
前記反射溝の周囲を囲むように前記反射溝保護用凸部を形成し、
前記反射溝保護用凸部の外周を囲み、前記基板の表面からの高さが前記反射溝保護用凸部の前記基板の表面からの高さよりも高く前記配線保護用凸部を形成し、
前記基板の表面に電極及び電気配線を形成し、
前記基板を切断してチップにし、
前記チップの前記反射溝の上に前記受光素子を固定し、
前記受光素子と前記チップの受光素子用電気配線とを電気的に接続することを特徴とする光デバイスの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この光デバイス及び光デバイスの製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。以下の各実施例の説明においては、同様の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0012】
・光デバイスの一例
図1は、実施の形態にかかる光デバイスの一例を示す図である。
図1に示すように、光デバイスは、基板1に、光を導く光導波路2、及び光が反射する反射溝3を有する。基板1は、電気光学効果を有する。LiNbO
3(以下、LNと略す)またはLiTaO
2などの例えばZ−カットの結晶基板は、電気光学効果を有する基板1の一例である。
【0013】
反射溝3は、光導波路2の一部に設けられている。反射溝3は、光導波路2から出射する光が反射する底面4を有する。受光素子5は、反射溝3の上で基板1に固定されている。例えばフォトダイオード(Photodiode、PD)は、受光素子5の一例である。
【0014】
図1に示す光デバイスにおいて、光導波路2内を進んできた光の少なくとも一部の光6aは、反射溝3の端面において、光導波路2の媒質と反射溝3内の空間7の媒質とによって決まる屈折角で屈折して、反射溝3内へ出射する。反射溝3内へ入射した光6bは、反射溝3の底面4へ向かって進み、反射溝3内の空間7を通過する途中で反射溝3の底面4で反射する。
【0015】
反射溝3の底面4で反射した光6cは、上方へ向かって進む。
図1に示す例では、受光素子5は、例えば裏面入射型の素子であるため、反射溝3の底面4で反射した光6cは、受光素子5の裏面において、反射溝3内の空間7の媒質と受光素子5の媒質とによって決まる屈折角で屈折して、受光素子5へ入射する。受光素子5へ入射した光6dは、受光素子5の受光部8へ入射する。
【0016】
図1に示す光デバイスによれば、光導波路2から出射した光を反射溝3の底面4で反射させて上方へ向かわせるため、光導波路2の中を進む光を、基板1の表面に固定された受光素子5で受光することができる。
【0017】
図1に示す光デバイスは、例えばLiNbO
3外部変調器(以下、LN変調器と称する)、ポリマ材料やInPやSiなどの半導体材料を用いた光変調器、またはPLC(Planar Lightwave Circuit、平面光回路)で形成されるマッハツェンダ型の可変光アッテネータなどの光デバイスに適用することができる。以下に、
図1に示す光デバイスを、例えば偏波多重機能を有するコヒーレント通信用のLN変調器に適用する場合について説明する。
【0018】
・LN変調器の第1の例
図2は、実施の形態にかかるLN変調器の第1の例を示す図である。
図3は、
図2の切断線A−A’における基板厚さ方向の断面を示す図である。切断線A−A’は、受光素子5の近傍部分において、受光素子5を通り、かつLN変調器へ入力する光の入力方向またはLN変調器から出力される信号光の出力方向に平行な方向へ伸びる。従って、
図3には、受光素子5の近傍部分を、受光素子5を通り、かつLN変調器へ入力する光の入力方向またはLN変調器から出力される信号光の出力方向に平行な方向に切断した断面が示されている。
【0019】
図2及び
図3に示すように、LN変調器は、基板1に、例えばX偏波IQ変調部用光導波路11及びY偏波IQ変調部用光導波路12を有する。X偏波IQ変調部用光導波路11及びY偏波IQ変調部用光導波路12の上には、それぞれ図示省略する変調用の電極が設けられている。X偏波IQ変調部用光導波路11からは、X偏波信号光が出力される。Y偏波IQ変調部用光導波路12からは、Y偏波信号光が出力される。LN変調域から出力されたX偏波信号光及びY偏波信号光は、例えば図示しない偏波多重部において多重されてもよい。
【0020】
モニタ用の受光素子5は、X偏波IQ変調部用光導波路11からモニタ用に分岐する光導波路2、及びY偏波IQ変調部用光導波路12からモニタ用に分岐する光導波路2のそれぞれに設けられている。
【0021】
反射溝3は、モニタ用の光導波路2において、受光素子5の下に形成されている。反射溝3は、光導波路2の厚さよりも浅く形成されていてもよいし、光導波路2の厚さと同じ深さまで形成されていてもよい。反射溝3の深さは、例えば1〜15μm程度であってもよい。反射溝3の深さが1〜15μm程度であれば、光導波路2内を進んできた光の少なくとも一部の光6aが反射溝3内へ出射する。反射溝3内の空間7において光が通過する部分は、空気で満たされていてもよい。
【0022】
反射溝3において、光導波路2から光が出射する端面は、光導波路2から出射する光を反射溝3の底面4へ向かうように屈折させる傾斜面13になっている。それによって、光導波路2から出射して反射溝3内へ入射した光6bを、反射溝3の底面4へ向かって進ませることができる。
【0023】
この傾斜面13は、基板1の厚さ方向に対して、光導波路2内を進む光6aが傾斜面13で全反射する角度よりも小さい角度をなす。例えば、反射溝3内の空間7において光が通過する部分が空気で満たされている場合、LiNbO
3の屈折率が2.2であり、空気の屈折率が1であるため、両屈折率の差により、光導波路2内を進む光6aが傾斜面13で全反射する角度は、基板1の厚さ方向に対して27.85°である。
【0024】
従って、傾斜面13が基板1の厚さ方向に対してなす角度は、27.85°よりも小さくてもよい。傾斜面13が基板1の厚さ方向に対して27.85°よりも小さい角度で傾いていれば、光導波路2内を進む光6aが傾斜面13で全反射するのを防いで、光導波路2内を進む光6aを反射溝3内へ出射させることができる。
【0025】
傾斜面13が基板1の厚さ方向に対してなす角度を、例えば5°以上20°以下に設定してもよい。このようにすれば、反射溝3を製造する際の誤差によって傾斜面13の傾きが設定値からずれても、傾斜面13が基板1の厚さ方向に対してなす角度を全反射が起こる角度、すなわち27.85°よりも小さい角度にすることができる。
【0026】
反射溝3において、光導波路2から光が出射する傾斜面13を除いて、内側の面には、反射膜14が設けられている。反射膜14によって反射溝3の底面4での反射率が改善されるため、反射溝3の底面4で反射した光6cの光量を増やすことができる。反射膜14は、例えばAu(金)などの金属でできていてもよい。
【0027】
また、反射膜14は、反射溝3の底面4から反射溝3内への光の入射を遮る遮光膜となっている。それによって、光導波路2内を進んできた光6aのうち、反射溝3の傾斜面13から出射せずに光導波路2内を進む光が、反射溝3の底面4から反射溝3内へ染み出すのを防ぐことができる。
【0028】
基板1の表面には、バッファ層及びSi層15が設けられていてもよい。バッファ層及びSi層15のうち、バッファ層によって、例えば基板表面に設けられる電極や電気配線による光の吸収損失を防いだり、インピーダンス整合を取ることができる。Si層によって、例えば温度ドリフトを抑圧することができる。受光素子5は、バッファ層及びSi層15に例えば接着剤16によって受光素子5の裏面が接着されることによって、基板1に固定されていてもよい。
【0029】
基板1の表面、厳密にはバッファ層及びSi層15の表面には、受光素子用電気配線17,18、並びにX偏波IQ変調部用光導波路11及びY偏波IQ変調部用光導波路12のそれぞれの上の図示省略する変調用の電極が設けられている。受光素子用電気配線17,18には、金属製のワイヤ19の一端がワイヤボンディングによって接続されている。このワイヤ19の他端は、受光素子5のアノードまたはカソードの電極20にワイヤボンディングによって接続されている。つまり、受光素子用電気配線17,18と受光素子5とは、ワイヤ19によって電気的に接続されている。受光素子用電気配線17,18は、LN変調器を収納するパッケージの端子に電気的に接続されている。
【0030】
受光素子5の電極20の少なくとも一部が接着剤16の上に載り、接着剤16が受光素子5の電極20を下から支えるようになっていてもよい。そうすれば、受光素子5の電極20の下が中空である場合に比べて、ワイヤボンディング時に受光素子5の電極20に超音波をより強く作用させることができるため、ワイヤボンディングによるワイヤ19の接合強度をあげることができる。
【0031】
図2及び
図3に示すLN変調器によれば、光導波路2から出射して反射溝3内へ入射した光6bを反射溝3の底面4の反射膜14で反射させて上方へ向かわせるため、光導波路2の中を進む光を、基板1の表面に固定された受光素子5で受光することができる。また、
図2及び
図3に示すLN変調器によれば、反射溝3内の空間7において光が通過する部分が空気で満たされていることによって、光が通過する部分に、例えば接着剤中の気泡などのような光の乱反射の原因となるものがない。従って、反射溝3内の空間7を通過する光が乱反射することなく受光素子5へ入射するため、受光素子5が受光する光量を増やすことができる。
【0032】
例えば、光導波路から染み出す光を受光素子で受光する場合のモニタ用の光の受光感度がおおよそ50mA/Wであるのに対して、
図2及び
図3に示すLN変調器によれば、受光素子5が受光する光量が増えるため、モニタ用の光の受光感度がおおよそ200mA/Wに改善される。また、
図2及び
図3に示すLN変調器によれば、受光素子5が基板1の表面に設けられているため、受光素子5を基板1の外に設ける場合よりも、LN変調器を収納するパッケージを小型化することができる。
【0033】
・LN変調器の第2の例
図4は、実施の形態にかかるLN変調器の第2の例を示す図である。
図5は、
図4の切断線B−B’における基板厚さ方向の断面を示す図である。切断線B−B’は、上述した切断線A−A’と同様である。従って、
図5には、
図3と同様の断面が示されている。
【0034】
図4及び
図5に示すように、LN変調器の第2の例では、受光素子5は、受光部8を反射溝3の底面4に臨ませ、フリップチップボンディングによる接合によって受光素子5の電極20と受光素子用電気配線17,18とが電気的に接続された状態で、基板1に固定されている。受光素子5の電極20と受光素子用電気配線17,18との接合箇所にアンダーフィル剤が充填されていてもよい。そうすれば、受光素子5の電極20と受光素子用電気配線17,18との接合強度が増すため、基板1に対して受光素子5を強固に固定することができる。
【0035】
この場合、反射溝3内の空間7において光が通過する部分にアンダーフィル剤が流れ込んでいると、アンダーフィル剤中の気泡によって光が乱反射するおそれがある。従って、反射溝3内の空間7において光が通過する部分には、アンダーフィル剤が流れ込んでいないのが好ましい。
【0036】
また、受光素子5に、受光素子用電気配線17,18との接合に用いられる電極20以外のダミーの電極が設けられており、このダミーの電極がフリップチップボンディングによって基板1に接合されていてもよい。このようにすることによっても、基板1に対して受光素子5を強固に固定することができる。また、ダミーの電極を設けることによって接合強度を高める場合、アンダーフィル剤を用いずに済むため、反射溝3内の空間7において光が通過する部分にアンダーフィル剤が流れ込むのを回避することができる。
【0037】
その他の構成については、
図2及び
図3に示すLN変調器の第1の例と同様である。従って、重複する説明を省略する。
【0038】
図4及び
図5に示すLN変調器によれば、受光素子5が基板1の表面にフリップチップボンディングによって固定される場合でも、光導波路2の中を進む光を受光素子5で受光することができる。また、
図4及び
図5に示すLN変調器によれば、フリップチップボンディングによって受光素子5の実装面積を小さくすることができるため、LN変調器を小型化することができる。従って、
図4及び
図5に示すLN変調器は、より小型化が要求される用途に適している。
【0039】
・LN変調器の第3の例
図6は、実施の形態にかかるLN変調器の第3の例を示す図である。
図7は、
図6の切断線C−C’における基板厚さ方向の断面を示す図である。切断線C−C’は、上述した切断線A−A’と同様である。従って、
図7には、
図3と同様の断面が示されている。
【0040】
図6及び
図7に示すように、LN変調器の第3の例は、反射溝3の周囲に反射溝保護用凸部21を有する。反射溝保護用凸部21は、基板1の表面から例えば堤防状に突出し、接着剤16による接着箇所の内側で反射溝3を囲んでいてもよい。反射溝保護用凸部21は、例えば受光素子用電気配線17,18、またはX偏波IQ変調部用光導波路11及びY偏波IQ変調部用光導波路12のそれぞれの上の変調用の電極と同じ材料でできていてもよい。例えば、反射溝保護用凸部21は、Auなどの金属でできていてもよい。
【0041】
また、LN変調器の第3の例は、接着剤16による接着箇所と受光素子用電気配線17,18との間に配線保護用凸部22を有していてもよい。配線保護用凸部22は、基板1の表面から例えば堤防状に突出し、接着剤16による接着箇所の外側で受光素子5を囲んでいてもよい。配線保護用凸部22は、例えば受光素子用電気配線17,18、またはX偏波IQ変調部用光導波路11及びY偏波IQ変調部用光導波路12のそれぞれの上の変調用の電極と同じ材料でできていてもよい。例えば、配線保護用凸部22は、Auなどの金属でできていてもよい。
【0042】
その他の構成については、
図2及び
図3に示すLN変調器の第1の例と同様である。従って、重複する説明を省略する。なお、
図4及び
図5に示すLN変調器の第2の例のように、受光素子5がフリップチップボンディングによって基板1に固定されており、反射溝保護用凸部21がアンダーフィル剤の流れ込みを防いでいてもよい。
【0043】
図6及び
図7に示すLN変調器によれば、反射溝保護用凸部21によって、反射溝3内の空間7において光が通過する部分に接着剤16が流れ込むのを防ぐことができる。そのため、反射溝3内の空間7において光が通過する部分に、例えば接着剤中の気泡などのような光の乱反射の原因となるものがない。従って、反射溝3内の空間7を通過する光が乱反射することなく受光素子5へ入射するため、受光素子5が受光する光量を増やすことができる。また、
図6及び
図7に示すLN変調器によれば、配線保護用凸部22によって、受光素子用電気配線17,18へ接着剤16が流れ出すのを防ぐことができる。また、反射溝保護用凸部21の上に受光素子5が載るため、受光素子5の高さを反射溝保護用凸部21の高さにすることができる。従って、反射溝保護用凸部21の高さを調整することによって、受光素子5の高さを調整することができる。
【0044】
・LN変調器の第4の例
図8は、実施の形態にかかるLN変調器の第4の例を示す図であり、
図6の切断線C−C’における基板厚さ方向の断面を示す図である。
図8には、
図3と同様の断面が示されている。
【0045】
図8に示すように、LN変調器の第4の例は、反射溝3の周囲に反射溝保護用凸部21を多重に有する。
図8に示す例では、受光素子5の下に反射溝保護用凸部21が2重に設けられているが、3重以上設けられていてもよい。多重の反射溝保護用凸部21のうちの一つは、受光素子5の電極20の真下に設けられていてもよい。その他の構成については、
図6及び
図7に示すLN変調器の第3の例と同様である。従って、重複する説明を省略する。
【0046】
図8に示すLN変調器によれば、反射溝保護用凸部21によって、反射溝3内の空間7において光が通過する部分に接着剤16が流れ込むのを防ぐことができるため、
図6及び
図7に示すLN変調器の第3の例と同様に、受光素子5が受光する光量を増やすことができる。また、
図8に示すLN変調器によれば、受光素子5の電極20が、その真下にある反射溝保護用凸部21によって下から支えられるため、受光素子5の電極20の下が中空である場合に比べて、ワイヤボンディング時に受光素子5の電極20に超音波をより強く作用させることができる。従って、ワイヤボンディングによるワイヤ19の接合強度をあげることができる。
【0047】
なお、受光素子5の電極20の真下に、反射溝保護用凸部21を設ける代わりに、受光素子5の電極20を下から支える台座を設けることによって、ワイヤボンディング時に受光素子5の電極20に超音波をより強く作用させるようにしてもよい。このようにしても、受光素子5の電極20の下が中空である場合に比べて、ワイヤボンディングによるワイヤ19の接合強度をあげることができる。
【0048】
なお、
図4及び
図5に示すLN変調器の第2の例のように、受光素子5がフリップチップボンディングによって基板1に固定されている場合において、フリップチップボンディングによる接合箇所の内側に反射溝保護用凸部21が多重に設けられていてもよい。この場合、反射溝保護用凸部21によって、アンダーフィル剤が反射溝3内へ流れ込むのを防ぐことができる。
【0049】
・反射溝保護用凸部及び配線保護用凸部のパターンの第1の例
図9は、実施の形態にかかるLN変調器における反射溝保護用凸部及び配線保護用凸部のパターンの第1の例を示す図である。
図9には、受光素子5が取り付けられる部分が拡大されて示されており、受光素子5、受光素子5の受光部8及び受光素子5の電極20は、仮想線で示されている。
【0050】
図9に示すように、反射溝保護用凸部及び配線保護用凸部のパターンの第1の例では、反射溝保護用凸部21は、受光素子5の内側で反射溝3を囲むように設けられている。また、配線保護用凸部22は、受光素子5の外側で例えば2個の受光素子5を囲むように設けられている。
【0051】
反射溝保護用凸部21は、受光素子5の電極20の真下に設けられており、受光素子5の電極20を下から支える台座を兼ねている。反射溝保護用凸部21または配線保護用凸部22の高さは、特に限定しないが、例えば5μm以上40μm以下であってもよい。そうすれば、反射溝保護用凸部21によって反射溝3内に接着剤16が流れ込むのを防ぐことができる。また、配線保護用凸部22によって受光素子用電気配線17,18へ接着剤16が流れ出すのを防ぐことができる。
図9において、符号23は、LN変調器から出力されるX偏波信号光またはY偏波信号光を導く光導波路である。
【0052】
・反射溝保護用凸部及び配線保護用凸部のパターンの第2の例
図10は、実施の形態にかかるLN変調器における反射溝保護用凸部及び配線保護用凸部のパターンの第2の例を示す図である。
図10には、受光素子5が取り付けられる部分が拡大されて示されており、受光素子5、受光素子5の受光部8及び受光素子5の電極20は、仮想線で示されている。
【0053】
図10に示すように、反射溝保護用凸部及び配線保護用凸部のパターンの第2の例では、反射溝保護用凸部21が2重に設けられている。従って、接着剤16が外側の反射溝保護用凸部21を乗り越えて外側の反射溝保護用凸部21の内側に流れ込んでも、内側の反射溝保護用凸部21によって反射溝3内に接着剤16が流れ込むのを防ぐことができる。
図10に示すパターンは、接着剤16の量が多い場合に適している。反射溝保護用凸部21は、3重以上に設けられていてもよい。
【0054】
また、反射溝保護用凸部21とは別に、受光素子5の電極20の真下に、受光素子5の電極20を下から支える台座24が設けられている。台座24の高さは、反射溝保護用凸部21の高さと同じであってもよい。台座24は、例えば受光素子用電気配線17,18、またはX偏波IQ変調部用光導波路11及びY偏波IQ変調部用光導波路12のそれぞれの上の変調用の電極と同じ材料でできていてもよい。例えば、台座24は、Auなどの金属でできていてもよい。台座24を設けることによって、受光素子5の電極20の下が中空である場合に比べて、ワイヤボンディング時に受光素子5の電極20に超音波をより強く作用させることができるため、ワイヤ19の接合強度をあげることができる。
【0055】
なお、
図10に示す例では、配線保護用凸部22は1重であるが、多重にしてもよい。そうすれば、受光素子用電気配線17,18へ接着剤16が流れ出すのを防ぐ能力を高くすることができる。また、配線保護用凸部22の高さを反射溝保護用凸部21の高さよりも高くしてもよい。そうすることによっても、受光素子用電気配線17,18へ接着剤16が流れ出すのを防ぐ能力を高くすることができる。例えば、反射溝保護用凸部21の高さを5μmとし、配線保護用凸部22の高さを20μmとしてもよい。
【0056】
・反射溝保護用凸部及び配線保護用凸部のパターンの第3の例
図11は、実施の形態にかかるLN変調器における反射溝保護用凸部及び配線保護用凸部のパターンの第3の例を示す図である。
図11には、受光素子5が取り付けられる部分が拡大されて示されており、受光素子5、受光素子5の受光部8及び受光素子5の電極20は、仮想線で示されている。
【0057】
図11に示すように、反射溝保護用凸部及び配線保護用凸部のパターンの第3の例では、反射溝保護用凸部21及び配線保護用凸部22が梯子状に設けられている。配線保護用凸部22は、受光素子用電気配線17,18に沿って伸びるように設けられており、複数の反射溝保護用凸部21が、一対の配線保護用凸部22の間に掛け渡されている。
【0058】
接着剤16による接着箇所と反射溝3との間に複数の反射溝保護用凸部21があり、隣り合う反射溝保護用凸部21の間に接着剤16が流れ込んでも、接着剤16が反射溝保護用凸部21に沿って流れるため、接着剤16が反射溝3内に流れ込むのを防ぐことができる。例えば、反射溝保護用凸部21の高さを5μmとし、配線保護用凸部22の高さを20μmとしてもよい。
【0059】
・反射溝保護用凸部及び配線保護用凸部のパターンの第4の例
図12は、実施の形態にかかるLN変調器における反射溝保護用凸部及び配線保護用凸部のパターンの第4の例を示す図である。
図12には、受光素子5が取り付けられる部分が拡大されて示されており、受光素子5、受光素子5の受光部8及び受光素子5の電極20は、仮想線で示されている。
【0060】
図12に示すように、反射溝保護用凸部及び配線保護用凸部のパターンの第4の例では、反射溝保護用凸部21が反射溝3を2重に囲み、そのうちの外側の反射溝保護用凸部21が受光素子5の電極20を下から支える台座を兼ねている。また、基板1の表面に、接着剤16が塗布される領域を囲む例えば堤防状の凸部25を有する。接着剤16は、この凸部25によって囲まれる閉領域に塗布される。例えば、凸部25は、基板1において、受光素子5の四隅に対応する箇所に設けられている。凸部25の高さ及び材料は、例えば反射溝保護用凸部21と同じであってもよい。
【0061】
図12に示す例において、受光素子用電気配線17,18に近い側の受光素子5に対して、凸部25と凸部25とを接続する凸部26が受光素子用電気配線17,18に対して平行に設けられている。それによって、凸部25によって囲まれる閉領域から接着剤16が流れ出した場合に、流れ出した接着剤16が凸部26に沿って流れるため、流れ出した接着剤16が受光素子用電気配線17,18へ向かって流れるのを防ぐことができる。
【0062】
また、受光素子用電気配線17,18から遠い側の受光素子5に対しては、各凸部25から外向きに凸部27が伸びている。これは、受光素子用電気配線17,18が離れているため、凸部25によって囲まれる閉領域から接着剤16が流れ出した場合に、流れ出した接着剤16を外側へ向かって流してもよいからである。
【0063】
凸部25によって接着剤16の塗布領域が囲まれていることによって、この塗布領域に塗布された接着剤16が反射溝3内へ流れ込むのを防ぐことができる。また、基板1に接着剤16を塗布する際に、凸部25が塗布領域の目印となり、かつ凸部25によって接着剤16を受ける器ができるため、適量の接着剤16を容易に塗布することができる。
【0064】
・反射溝保護用凸部及び配線保護用凸部のパターンの第5の例
図13は、実施の形態にかかるLN変調器における反射溝保護用凸部及び配線保護用凸部のパターンの第5の例を示す図である。
図13には、受光素子5が取り付けられる部分が拡大されて示されており、受光素子5、受光素子5の受光部8及び受光素子5の電極20は、仮想線で示されている。
【0065】
図13に示すように、反射溝保護用凸部及び配線保護用凸部のパターンの第5の例では、接着剤16が塗布される領域において配線保護用凸部22が外側へ張り出している。それによって、接着剤16が塗布される領域が拡大されている。
図13に示すパターンは、接着剤16の量が多い場合に適している。
【0066】
・LN変調器の第5の例
図14は、実施の形態にかかるLN変調器の第5の例を示す図である。
図14に示すように、LN変調器の第5の例は、
図2に示すLN変調器の第1の例において、2個の受光素子5の代わりに、2個の受光部8を有する受光素子28を用いたものである。受光素子28は、LN変調器へ入力する光の入力方向またはLN変調器から出力される信号光の出力方向に対して交差する方向における基板1の幅と同じ長さを有していてもよい。この場合、基板1の側面から接着剤16を塗布することによって、基板1に受光素子28を固定してもよい。
【0067】
その他の構成については、
図2及び
図3に示すLN変調器の第1の例と同様である。従って、重複する説明を省略する。なお、
図4及び
図5に示すLN変調器の第2の例、
図6及び
図7に示すLN変調器の第3の例、または
図8に示すLN変調器の第4の例においても、2個の受光部8を有する受光素子28を用いてもよい。
【0068】
・LN変調器の第6の例
図15は、実施の形態にかかるLN変調器の第6の例を示す図である。
図16は、信号光とモニタ光との位相がずれている状態の波形を示す図である。
図16において、横軸はマッハツェンダ干渉計に印加する電圧であり、縦軸は光出力パワーである。
図15に示すように、LN変調器の第6の例は、
図2に示すLN変調器の第1の例において、受光素子5の直前にガード溝29を有するものである。
【0069】
不要光は、例えば入力光の結合損失成分やカプラの過剰損失成分などに起因して発生することがある。不要光が反射溝3内に入射して受光素子5で受光されると、
図16に示すように、モニタ光の位相がシフトしてしまい、信号光とモニタ光との位相が理想状態、すなわち信号光とモニタ光との位相差が180°である状態からずれることがある。信号光とモニタ光との位相が理想状態からずれると、LN変調器の動作点を制御するのが困難となる。従って、不要光が発生する場合には、反射溝3内に不要光が入射しないようにするのが好ましい。ガード溝29を設けることによって、不要光が反射溝3内に入射するのを抑制することができる。
【0070】
その他の構成については、
図2及び
図3に示すLN変調器の第1の例と同様である。従って、重複する説明を省略する。なお、
図4及び
図5に示すLN変調器の第2の例、
図6及び
図7に示すLN変調器の第3の例、
図8に示すLN変調器の第4の例、または
図14に示すLN変調器の第5の例においても、ガード溝29を設けてもよい。
【0071】
・LN変調器の第7の例
図17は、実施の形態にかかるLN変調器の第7の例を示す図であり、
図2の切断線A−A’における基板厚さ方向の断面を示す図である。
図17には、
図3と同様の断面が示されている。
図17に示すように、LN変調器の第7の例は、
図3に示すLN変調器の第1の例において、反射溝3の空間7が接着剤16で満たされているものである。反射溝3の空間7を接着剤16で満たす場合には、接着剤16には気泡が含まれていないのが好ましい。
【0072】
例えば、反射溝3の深さが3μmである場合、反射溝3の傾斜面13が基板1の厚さ方向に対してなす角度が、10°〜15°の範囲でばらつくとする。このばらついた場合について、傾斜面13の中央部から反射溝3内へ入射した光6bの光路を
図17に二点鎖線で示す。反射溝3の空間7が接着剤16で満たされている場合、傾斜面13の中央部から反射溝3内へ入射した光6bが受光素子5の受光部8に到達するときの到達位置のばらつきは、例えば31μmである。
【0073】
一方、
図3に示すLN変調器の第1の例において、同じようにばらついた場合について、傾斜面13の中央部から反射溝3内へ入射した光6bの光路を
図3に二点鎖線で示す。反射溝3の空間7が空気で満たされている場合、傾斜面13の中央部から反射溝3内へ入射した光6bが受光素子5の受光部8に到達するときの到達位置のばらつきは、例えば13μmである。
【0074】
従って、受光素子5の受光部8が広い場合には、LN変調器の第1の例及びLN変調器の第7の例のいずれも用いることができる。それに対して、受光素子5の受光部8が狭い場合には、LN変調器の第1の例を用いるのがよい。
【0075】
その他の構成については、
図2及び
図3に示すLN変調器の第1の例と同様である。従って、重複する説明を省略する。なお、
図4及び
図5に示すLN変調器の第2の例、
図6及び
図7に示すLN変調器の第3の例、
図8に示すLN変調器の第4の例、
図14に示すLN変調器の第5の例、または
図15に示すLN変調器の第6の例においても、反射溝3の空間7を、気泡を含まない接着剤16で満たしてもよい。
【0076】
・光デバイスの製造方法の一例
図18〜
図20は、実施の形態にかかる光デバイスの製造方法の一例を示す図である。
【0077】
図18において、まず、符号101で示すように、基板1を用意する。次いで、符号102で示すように、基板1の表面に例えばTi(チタン)を蒸着して例えば1000Åの厚さのTi膜31を生成する。次いで、符号103で示すように、Ti膜31の上にフォトレジスト32を例えば1μm前後の厚さに塗布し、フォトリソグラフィー法によりフォトレジスト32をパターニングし、ドライエッチングまたはウェットエッチングによってTi膜31をパターン化する。
【0078】
Ti膜31をパターン化するときに、光変調器、光スイッチ、フィルタもしくは可変光アッテネータなどで一般的な方向性結合器や、Y分岐を用いたマッハツェンダ干渉計を形成する。次いで、符号104で示すように、例えば1000℃〜1100℃の温度で基板1内にTiを拡散させて、光導波路2を形成する。光導波路2には、例えば
図2に示すLN変調器のX偏波IQ変調部用光導波路11、Y偏波IQ変調部用光導波路12、及びそれらの光導波路11,12から分岐するモニタ用の光導波路2が含まれる。なお、Tiの代わりにMg(マグネシウム)を用いて光導波路2を形成してもよいし、プロトン交換法によって光導波路2を形成してもよい。
【0079】
次いで、
図19において符号105で示すように、基板1の表面にフォトレジスト33を塗布し、フォトリソグラフィー法によりフォトレジスト33をパターニングして、反射溝3を形成するためのパターンを作成する。次いで、符号106で示すように、ポストベークを行い、パターン化後のフォトレジスト33に残留する溶媒や現像液を除去し、フォトレジスト33と基板1との密着性を高める。
【0080】
次いで、符号107で示すように、パターン化後のフォトレジスト33をマスクにして、例えばRIE(Reactive Ion Etching、反応性イオンエッチング)などのドライエッチングによって、反射溝3を形成する。反射溝3を形成するときに、反射溝3内に不要光が入射するのを抑制するガード溝29を形成してもよい。溝形成後、符号108で示すように、マスクとしたフォトレジスト33を除去する。
【0081】
次いで、
図20において符号109で示すように、例えばスパッタまたはEB(Electron Beam、電子ビーム)蒸着器によって、基板1の表面にバッファ層34を生成する。バッファ層34の厚さは、必要帯域や電気反射量によって最適化されるが、例えば0.5μm〜1.0μm程度であってもよい。
【0082】
次いで、符号110で示すように、例えばスパッタによって、バッファ層34の表面にSi層35を生成する。Si層35の厚さは、例えば0.1μm程度であってもよい。バッファ層34及びSi層35は、例えば
図3に示すLN変調器のバッファ層及びSi層15となる。
【0083】
次いで、符号111で示すように、例えばEB蒸着器によって、Si層35の表面にAuを蒸着して、電気配線や電極の下地となるAu膜を生成する。電極下地用のAu膜を生成するときに、例えば
図3に示すLN変調器の反射膜14を形成してもよい。電極下地用のAu膜の厚さは、例えば0.1μm程度であってもよい。
【0084】
そして、電極下地用のAu膜の上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー法によりフォトレジストをパターニングし、エッチングしてAu膜をパターン化した後、Auメッキを行い、電極下地用のAu膜の上に電極36を形成する。Auメッキの厚さは、必要帯域や電気反射量によって最適化されるが、例えば5μm〜40μm程度であってもよい。電極36には、例えば
図2に示すLN変調器の受光素子用電気配線17,18、X偏波IQ変調部用光導波路11の上の変調用の電極、及びY偏波IQ変調部用光導波路12の上の変調用の電極が含まれる。なお、Auに限らず、Cu(銅)などの他の金属によって、電気配線や電極の下地となる膜、または電極36を形成してもよい。
【0085】
電極36を形成するときに、例えば
図6及び
図7に示すLN変調器の反射溝保護用凸部21及び配線保護用凸部22を形成してもよい。また、電極36を形成するときに、例えば
図10に示すパターンの台座24を形成してもよい。また、電極36を形成するときに、例えば
図12に示すパターンの凸部25〜27を形成してもよい。これら反射溝保護用凸部21、配線保護用凸部22、台座24及び凸部25〜27の厚さは、例えば5μm〜40μm程度であってもよい。
【0086】
次いで、基板1を所望のサイズの光デバイスチップに切断する。次いで、光デバイスチップに受光素子5を、接着剤16を用いたダイボンディング、またはフリップチップボンディングによって固定する。例えば
図6または
図7に示すLN変調器の場合、LN変調器チップの所望の位置に、反射溝保護用凸部21及び配線保護用凸部22から接着剤16があふれ出さないように、ディスペンサなどの容量を制御できる器具を用いて接着剤16を塗布する。
【0087】
そして、受光素子用電気配線17,18のパッドの角を基準として、所望の位置に受光素子5の表面のパターンがくるように、カメラで画像を認識しながら受光素子5の位置調整をして受光素子5を配置する。例えば受光素子5の受光部8の中心を、位置合わせ用のパターンとしてもよい。受光素子5を配置した後、紫外線を照射して接着剤16を硬化させてLN変調器チップに受光素子5を固定する。その後、熱処理によってキュアを行う。最後に、ワイヤボンディングを行って、受光素子5の電極20と受光素子用電気配線17,18とを電気的に接続する。
【0088】
図18〜
図20に示す光デバイスの製造方法によれば、光導波路2内を進む光を、基板1の表面に固定された受光素子5で受光することができる光デバイスを製造することができる。また、
図18〜
図20に示す光デバイスの製造方法によれば、電極36を形成するときに反射溝保護用凸部21や配線保護用凸部22や台座24や凸部25〜27も形成されるため、工程を増やさずに済む。また、
図18〜
図20に示す光デバイスの製造方法によれば、電極用の下地を形成するときに反射膜14も形成されるため、工程を増やさずに済む。従って、製造コストが増えるのを抑えることができる。
【0089】
上述した各実施例を含む実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0090】
(付記1)光を導く光導波路、及び前記光導波路から出射する光が底面で反射する反射溝、を有し、電気光学効果を有する基板と、前記反射溝の上で前記基板に固定される受光素子と、を備え、前記光導波路から前記反射溝内へ出射する光が、前記反射溝内の空間を通過する途中で前記反射溝の底面で反射して前記受光素子へ入射することを特徴とする光デバイス。
【0091】
(付記2)前記反射溝内の空間において前記光が通過する部分は、空気で満たされていることを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0092】
(付記3)前記光導波路から光が出射する前記反射溝の端面は、前記光導波路から出射する光が前記反射溝の底面へ向かうように屈折させる傾斜面になっていることを特徴とする付記1または2に記載の光デバイス。
【0093】
(付記4)前記傾斜面は、前記基板の厚さ方向に対して、前記光導波路内を進む光が前記傾斜面で全反射する角度よりも小さい角度をなすことを特徴とする付記3に記載の光デバイス。
【0094】
(付記5)前記反射溝の周囲に、前記基板に前記受光素子を固定する接着剤が、前記反射溝内の空間において前記光が通過する部分へ流れ込むのを防ぐ反射溝保護用凸部を有することを特徴とする付記1乃至4のいずれか一つに記載の光デバイス。
【0095】
(付記6)前記受光素子に電気的に接続される受光素子用電気配線と前記接着剤による接着箇所との間に、前記接着剤が前記受光素子用電気配線へ流れ出すのを防ぐ配線保護用凸部を有し、前記配線保護用凸部の前記基板の表面からの高さが前記反射溝保護用凸部の前記基板の表面からの高さよりも高いことを特徴とする付記5に記載の光デバイス。
【0096】
(付記7)前記接着剤または前記反射溝保護用凸部の上で、前記受光素子にワイヤがワイヤボンディングによって接続されることを特徴とする付記5または6に記載の光デバイス。
【0097】
(付記8)前記受光素子は、前記基板にフリップチップボンディングによって固定されていることを特徴とする付記1乃至6のいずれか一つに記載の光デバイス。
【0098】
(付記9)前記傾斜面は、前記基板の厚さ方向に対して5°以上20°以下の角度をなすことを特徴とする付記3に記載の光デバイス。
【0099】
(付記10)前記反射溝の底面に反射膜を有することを特徴とする付記1乃至9のいずれか一つに記載の光デバイス。
【0100】
(付記11)光を導く光導波路、及び前記光導波路から出射する光が底面で反射する反射溝、を有し、電気光学効果を有する基板と、前記反射溝の上で前記基板に固定される受光素子と、を備え、前記光導波路から前記反射溝内へ出射する光が、前記反射溝内の空間を通過する途中で前記反射溝の底面で反射して前記受光素子へ入射する光デバイスを製造するにあたって、前記基板に前記光導波路を形成し、前記光導波路の一部に前記反射溝を形成し、前記基板の表面に電極及び電気配線を形成し、前記基板を切断してチップにし、前記チップの前記反射溝の上に前記受光素子を固定し、前記受光素子と前記チップの受光素子用電気配線とを電気的に接続することを特徴とする光デバイスの製造方法。
【0101】
(付記12)前記電極を形成するときに、前記反射溝の周囲に、前記基板に前記受光素子を固定する接着剤が、前記反射溝内の空間において前記光が通過する部分へ流れ込むのを防ぐ反射溝保護用凸部を形成することを特徴とする付記11に記載の光デバイスの製造方法。
【0102】
(付記13)前記電極を形成する前に、前記電極の形成箇所に電極用下地を形成するとともに、前記反射溝の底面に反射膜を形成することを特徴とする付記11または12に記載の光デバイスの製造方法。