特許第6248460号(P6248460)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248460
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】励起光照射装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
   G01N21/64 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-164724(P2013-164724)
(22)【出願日】2013年8月8日
(65)【公開番号】特開2015-34717(P2015-34717A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2016年6月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114030
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿島 義雄
(72)【発明者】
【氏名】平松 崇英
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 康之
【審査官】 吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−240638(JP,A)
【文献】 特開2005−241290(JP,A)
【文献】 特開2006−125940(JP,A)
【文献】 特表2008−518222(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0127450(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/073778(WO,A1)
【文献】 太陽光量と量子効率の測定,センターニュース,日本,九州大学中央分析センター,1999年 9月,Vol.17/No.2,PP.1-8
【文献】 電子管製品,hamahot,日本,浜松ホトニクス株式会社,2013年 1月,Vol.1,PP.1-34
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/62−74
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定試料に波長λの励起光を設定時間、出射するための励起光源および光源部制御部を備える励起光照射装置であって、
記励起光源からの励起光を、前記測定試料に導く照射励起光と、基準励起光とに設定割合で分割するハーフミラーと、
前記照射励起光が前記測定試料を透過した透過光の光量を検知する第一パワーメータと、
前記基準励起光の光量を検知する第二パワーメータと、
測定開始時tに前記第一パワーメータにより測定開始時透過光光量ia0を検知し、測定開始時tに前記第二パワーメータにより測定開始時基準励起光光量ib0を検知し、所定時間間隔Δtごとの時間tに前記第二パワーメータにより基準励起光光量ibtを検知し、
時間tで所定時間間隔Δtの前記測定試料への実際の照射励起光の照射光量を次式(1)に基づいて算出し、前記励起光の波長λに基づいて算出された照射光量から時間tでの所定時間間隔Δtの光子数を算出し、
測定開始時tからtまでの光子数の和を次式(2)で算出する測定部制御部を備えたことを特徴とする励起光照射装置。

a0×(ibtx/ib0) (1)

N=n+n+・・・+n (2)
【請求項2】
前記励起光源は、出射する励起光の波長が調整可能となっており、
前記制御部は、入力された前記設定時間及び前記励起光の波長に基づいて、前記励起光源を制御することを特徴とする請求項1に記載の励起光照射装置。
【請求項3】
光源部用筐体と、測定部用筐体とを備え、
前記光源部用筐体内には、前記励起光源が配置され、
前記測定部用筐体内には、前記測定試料が配置されるセル配置部と前記検知部と前記ハーフミラーとが配置され、
前記光源部用筐体と前記測定部用筐体とは光ファイバを介して取り付け取り外し可能となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の励起光照射装置。
【請求項4】
前記励起光源は、キセノンランプ又は水銀ランプであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の励起光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定試料に励起光を照射する励起光照射装置に関し、特に光化学試料の吸収光子量を正確に計測する励起光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
或る物質を含有する測定試料に、励起光源からの励起光を照射することで、他の物質を生成したり蛍光を出射したりするものがある(例えば、特許文献1参照)。このような測定試料の反応効率(光化学反応の評価指標)は、「量子収率」という値で比較される。「量子収率」は、「測定試料内で生成された物質(原子又は分子)の分子数M/測定試料が吸収した光子数N」で表される。
【0003】
このような「量子収率」を求めるために、光学光量計やパワーメータを用いた測定方法が開示されている。
図2は、光学光量計を用いた測定方法について説明するための図である。なお、光学光量計とは、既知の「量子収率」を持つ標準試料(例えば鉄オキサラート等)のことである。
【0004】
このような測定方法によれば、まず、光学光量計S’を作製する。次に、試料測定前(測定試料Sに励起光Lを照射する前、例えば1か月等定期的)に、光学光量計S’を所定位置に配置し、光学光量計S’に励起光源11からの励起光Lを照射する(図2(b)参照)。そして、光学光量計S’に励起光Lを所定時間(例えば1時間)照射した後、光学光量計S’の試料吸光度の変化や、光学光量計S’内で生成された物質(ガス)の分子数Mを得て、「単位時間当たりの照射光量N’」を算出する。その後、測定試料Sを所定位置に配置し、測定試料Sに励起光源11からの励起光Lを照射する(試料測定中、図2(a)参照)。そして、測定試料Sに励起光Lを設定時間(ΔT)照射した後、測定試料Sを、別に準備されたガスクロマトグラフや液体クロマトグラフを用いて測定することで、「測定試料S内で生成された物質の分子数M」を得る。これにより、「単位時間当たりの照射光量N’」と設定時間ΔTと「測定試料S内で生成された物質の分子数M」とを用いて「量子収率」を算出する。
【0005】
一方、図3は、パワーメータを用いた測定方法について説明するための図である。なお、パワーメータは、入射する励起光Lの光量に応じてエネルギ値を出力するものである。
このような測定方法によれば、まず、試料測定前(測定試料Sに励起光を照射する前、例えば1か月等定期的)に、パワーメータP’を所定位置に配置し、パワーメータP’に励起光源11からの励起光Lを照射する(図3(b)参照)。そして、パワーメータP’に励起光Lを所定時間(例えば1時間)照射した後、エネルギ値を得て、「単位時間当たりの照射光量N’」を算出する。その後、測定試料Sを所定位置に配置し、測定試料Sに励起光源11からの励起光Lを照射する(試料測定中、図3(a)参照)。そして、測定試料Sに励起光Lを設定時間(ΔT)照射した後、測定試料Sをガスクロマトグラフや液体クロマトグラフを用いて測定することで、「測定試料S内で生成された物質の分子数M」を得る。これにより、「単位時間当たりの照射光量N’」と設定時間ΔTと「測定試料S内で生成された物質の分子数M」とを用いて「量子収率」を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−192490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、光学光量計S’やパワーメータP’を用いる測定方法では、正確な「量子収率」を算出できないことがあった。
ここで、図4は、励起光源11からの励起光Lの光量の変動例を示すグラフである。縦軸は励起光Lの光量であり、横軸は励起光源11の電源がONとなってからの経過時間t(分)である。図4に示すように励起光Lの光量は、初回電源投入直後から常に下がり続ける。このため一定になることがなく、この変動が正確な測定を阻害している。
【0008】
よって、光学光量計S’やパワーメータP’を用いる測定方法では、試料測定前に「単位時間当たりの照射光量N’」を得て、その後、試料測定中として測定試料Sに励起光Lを照射しているため、試料測定前と試料測定中とで励起光源11からの励起光Lの光量に変動が生じることがあり、その変動を加味できず正確な「量子収率」を算出することができないことがあった。
【0009】
また、光学光量計S’やパワーメータP’を用いる測定方法では、励起光の変動を無視せざるを得ず、また、光学光量計S’を用いる測定方法では、光学光量計Sの作製に非常に手間がかかっていた。
そこで、本発明は、測定試料に照射した励起光の光量を正確に計測することができる励起光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた本発明の励起光照射装置は、測定試料に波長λの励起光を設定時間、出射するための励起光源および光源部制御部を備える励起光照射装置であって、前記励起光源からの励起光を、前記測定試料に導く照射励起光と、基準励起光とに設定割合で分割するハーフミラーと、前記照射励起光が前記測定試料を透過した透過光の光量を検知する第一パワーメータと、前記基準励起光の光量を検知する第二パワーメータと、測定開始時tに前記第一パワーメータにより測定開始時透過光光量ia0を検知し、測定開始時tに前記第二パワーメータにより測定開始時基準励起光光量ib0を検知し、所定時間間隔Δtごとの時間tに前記第二パワーメータにより基準励起光光量ibtを検知し、時間tで所定時間間隔Δtの前記測定試料への実際の照射励起光の照射光量を次式(1)に基づいて算出し、前記励起光の波長λに基づいて算出された照射光量から時間tでの所定時間間隔Δtの光子数を算出し、測定開始時tからtまでの光子数の和を次式(2)で算出する測定部制御部を備えるようにしている。

a0×(ibtx/ib0) (1)

N=n+n+・・・+n (2)
【0011】
ここで、「所定時間間隔Δt」とは、設計者等によって予め決められた任意の時間間隔であり、例えば、測定試料に励起光Lを照射する設定時間ΔTに比べて非常に短い時間「1秒」等となる。
また、「設定割合」とは、設計者等によって予め決められた任意の数値であり、例えば、照射励起光Lと基準励起光Lとを9:1で分割することになる。
【0012】
本発明の励起光照射装置によれば、まず、セル配置部に測定試料Sを配置する。つまり、事前に光学光量計S’やパワーメータP’をセル配置部に配置することなく、測定試料Sをいきなりセル配置部に配置する。また、本発明の励起光照射装置では、励起光Lの光量を正確に計測することができるため、従来のように励起光源の電源をONした後に150分経過するまで待機することなく、ある程度安定した状態(100分経過後)になった時点で配置してもよい。
【0013】
そして、例えば9割の励起光(照射励起光L)を測定試料Sに照射するとともに、1割の励起光(基準励起光L)を検知部(第二パワーメータや校正されたPDA)に導く。このとき(測定開始時(t=0))、例えば、測定試料Sを透過した透過光の光量ia0を第一パワーメータや校正されたPDA等で検知する。また、光量ia0を検知すると同時に、基準励起光Lの光量ib0を第二パワーメータで検知する。これにより、セルと溶媒との吸収を加味した本当の測定試料Sが吸収したエネルギ(光量)を測定する。
その後、第二パワーメータは、光量ibtを所定時間間隔Δtで検知していくことになる。つまり、第二パワーメータは、励起光源のエネルギ(光量)の時間変化を監視するために使用される。
制御部は、測定開始時(t=0)の光量ia0に、測定開始時(t=0)の光量ib0と時間tの光量ibtとの比を掛け合わせたものを、時間tでの実際の照射光量とする。そして、制御部は、この時間tでの実際の照射光量をスペクトルごとのエネルギとして算出し、波長別の1光子エネルギで割ることで光子数nを求めていく。
【0014】
そして、測定試料Sに照射励起光Lを設定時間ΔT、照射した後、測定試料Sをガスクロマトグラフや液体クロマトグラフを用いて測定することで、「測定試料S内で生成された物質の分子数M」を得る。これにより、制御部は「測定試料Sが照射された光子数N=n+n+・・・+n」と「測定試料S内で生成された物質の分子数M」とを用いて「量子収率」を算出する。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の励起光照射装置によれば、励起光Lの光量を検知部で常に監視しているため、励起光Lの光量が変動していても測定試料に照射した励起光の光量を正確に計測することができ、その結果、正確な「量子収率」を算出することができる。
【0016】
(他の課題を解決するための手段及び効果)
また、上記の発明において、前記励起光源は、出射する励起光の波長が調整可能となっており、前記制御部は、入力された前記設定時間及び前記励起光の波長に基づいて、前記励起光源を制御するようにしてもよい。
【0017】
そして、上記の発明において、励起光照射装置は、光源部用筐体と、測定部用筐体とを備え、前記光源部用筐体内には、前記励起光源が配置され、前記測定部用筐体内には、前記測定試料が配置されるセル配置部と前記検知部と前記ハーフミラーとが配置され、前記光源部用筐体と前記測定部用筐体とは光ファイバを介して取り付け取り外し可能となっているようにしてもよい。
本発明の励起光照射装置によれば、例えば励起光源としてキセノンランプを有する光源部から水銀ランプを有する光源部に容易に交換することができる。
【0018】
さらに、上記の発明において、前記励起光源は、キセノンランプ又は水銀ランプであるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態である励起光照射装置の一例を示す概略構成図。
図2】光学光量計を用いた測定方法を説明する図。
図3】パワーメータを用いた測定方法を説明する図。
図4】励起光源からの励起光Lの光量の変動例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態である励起光照射装置の一例を示す概略構成図である。励起光照射装置1は、光源部10と、測定部20と、励起光照射装置1全体の制御を行うコンピュータ30とを備える。
【0022】
光源部10は、例えば幅20cm×奥行き30cm×高さ30cmの直方体の光源部用筐体15を備え、光源部用筐体15の内部には300Wキセノンランプ(励起光源)11と出力波長調整機構(例えばバンドパスフィルタ)12と出力光量調整機構13とが配置され、光源部用筐体15の側壁には光ファイバ14が配置されている。
このような光源部10では、300Wキセノンランプ11は、250nm〜1050nmの光を出射することが可能となっており、コンピュータ30によって出力波長調整機構12と出力光量調整機構13とが制御されることで、波長λ、光量I’の励起光Lを光ファイバ14の一端部に向かって設定時間ΔT、出射することが可能となっている。
【0023】
測定部20は、例えば幅42cm×奥行き65cm×高さ25cmの直方体の測定部用筐体25を備え、測定部用筐体25の内部には励起光Lを2方向へ9:1に分割するハーフミラー21と、光量ibtを検知する第二パワーメータ(検知部)22と、測定試料Sが配置されるセル配置部23と、光量iatを検知する第一パワーメータ26とが配置され、測定部用筐体25の側壁には光ファイバ14の他端部が取り付け取り外し可能な取付部24が形成されている。
【0024】
セル配置部23は、測定試料Sが測定者によって配置されるようになっており、セル温調機構(図示せず)とセル内攪拌機構(図示せず)とが設けられている。セル温調機構は、例えば恒温水還流型であり、セル内攪拌機構は、例えばスターラチップによりセル内を攪拌するものである。
【0025】
取付部24は、光ファイバ14の他端部が使用者によって取り付け取り外し可能となっており、内部に300Wキセノンランプ11が配置された光源部10や、内部に300nm〜440nmの励起光Lを出射することが可能な250W超高圧水銀ランプ(励起光源)が配置された光源部等が取り付けられるようになっている。
【0026】
このような装置の測定部20において、取付部24に光ファイバ14の他端部が取り付けられると、光ファイバ14の他端部から出射された励起光Lは、ハーフミラー21で2方向へ分割される。ハーフミラー21で分割された9割の励起光(照射励起光)Lは、セル配置部23に配置された測定試料Sに設定時間ΔT、照射され、測定試料Sを透過した透過光は、第一パワーメータ26で光量iatが検出されるようになっている。一方、ハーフミラー21で分割された1割の励起光(基準励起光)Lは、第二パワーメータ22で光量ibtが所定時間間隔Δt(例えば1秒間隔)で検出されるようになっている。
【0027】
コンピュータ30は、CPU(制御部)31とメモリ34とを備え、さらにモニタ32と入力装置33とが連結されている。CPU31が処理する機能をブロック化して説明すると、光源部10を制御する光源部制御部31aと、第一パワーメータ26で検出された光量iatと第二パワーメータ22で検出された光量ibtを取得する測定部制御部31bとを有する。
【0028】
光源部制御部31aは、入力装置33を用いて入力された「設定時間ΔT」と「励起光Lの波長λ」と「励起光Lの光量I」とに基づいて、光源部10から波長λ、光量I’(=I×1.1)の励起光Lが設定時間ΔT、出射されるように光源部10を制御する。例えば、測定者が入力装置33を用いて「12h(設定時間ΔT)」と「550nm(励起光Lの波長λ)」と「2.0×1016個/s(励起光Lの光量I)」とを入力すると、光源部制御部31aは、減光フィルタの不均一性などが影響して光源部10から「550nm(励起光の波長λ)」、「2.0×1016個/s(励起光Lの光量I’)」の励起光Lを「12h(設定時間ΔT)」、出射させる制御を行う。
【0029】
測定部制御部31bは、光源部10から励起光Lが出射されると、第二パワーメータ22で検知された光量ibtを所定時間間隔Δtで取得していき、測定試料Sに照射された光子数nを算出して、モニタ32に表示するとともにメモリ34に記憶させる制御を行う。例えば、測定開始時Δtで検知された光量ia0及び光量ib0と第1時間間隔Δtで検知された基準励起光Lの光量ib1とを用いて演算することで、第1時間間隔Δtで測定試料Sに照射された光子数nを算出し、モニタ32に表示するとともにメモリ34に記憶させ、測定開始時Δtで検知された光量ia0及び光量ib0と第2時間間隔Δtで検知された基準励起光Lの光量ib2とを用いて演算することで、第2時間間隔Δtで測定試料Sに照射された光子数nを算出し、モニタ32に表示するとともにメモリ34に記憶させるよう、測定開始時Δtで検知された光量ia0及び光量ib0と第x時間間隔Δtで検知された基準励起光Lの光量ibxとを用いて演算することで、第x時間間隔Δtで測定試料Sに照射された光子数nを算出し、モニタ32に表示するとともにメモリ34に記憶させていく。その結果、メモリ34に「測定試料Sが照射された光子数N=n+n+・・・+n」が記憶される。
【0030】
次に、励起光照射装置1を用いた測定方法について説明する。
まず、測定試料Sをセル配置部23に配置し、測定試料Sに励起光源11からの9割の励起光(照射励起光)Lを照射するとともに、1割の励起光(基準励起光)Lを第二パワーメータ22に導く(試料測定中)。測定開始時Δtには、第一パワーメータ26は、測定試料Sを透過した透過光の光量ia0を検知するとともに、第二パワーメータ22は、基準励起光Lの光量ib0を検知する。
その後、第二パワーメータ22は、基準励起光Lの光量ibtを所定時間間隔Δtで検知していくことになる。これにより、測定部制御部31bは、測定開始時Δtで検知された光量ia0及び光量ib0と所定時間間隔Δtで検知された基準励起光Lの光量ibtとを用いて演算することで、第X時間間隔Δtで測定試料Sに照射された光子数nを算出していく。
【0031】
そして、測定試料Sに照射励起光Lを設定時間ΔT、照射した後、測定試料Sをガスクロマトグラフや液体クロマトグラフを用いて測定することで、「測定試料S内で生成された物質の分子数M」を得る。
これにより、「測定試料Sが照射された光子数N=n+n+・・・+n」と「測定試料S内で生成された物質の分子数M」とを用いて「量子収率」を算出する。
【0032】
以上のように、励起光照射装置1によれば、励起光Lの光量を第二パワーメータ22で常に監視しているため、励起光Lの光量が変動していても測定試料Sに照射した励起光Lの光量を正確に計測することができ、その結果、正確な「量子収率」を算出することができる。
【0033】
<他の実施形態>
上述した励起光照射装置1では、第二パワーメータ22が基準励起光Lの光量ibtを所定時間間隔Δtで検知していく構成を示したが、その他のもので基準励起光Lの光量ibtを所定時間間隔Δtで検知していくような構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、測定試料に励起光を照射する励起光照射装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 励起光照射装置
11 300Wキセノンランプ(励起光源)
21 ハーフミラー
22 第二パワーメータ(検知部)
31 CPU(制御部)
図1
図2
図3
図4