特許第6248467号(P6248467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ノーリツの特許一覧

<>
  • 特許6248467-潜熱回収式熱源機 図000002
  • 特許6248467-潜熱回収式熱源機 図000003
  • 特許6248467-潜熱回収式熱源機 図000004
  • 特許6248467-潜熱回収式熱源機 図000005
  • 特許6248467-潜熱回収式熱源機 図000006
  • 特許6248467-潜熱回収式熱源機 図000007
  • 特許6248467-潜熱回収式熱源機 図000008
  • 特許6248467-潜熱回収式熱源機 図000009
  • 特許6248467-潜熱回収式熱源機 図000010
  • 特許6248467-潜熱回収式熱源機 図000011
  • 特許6248467-潜熱回収式熱源機 図000012
  • 特許6248467-潜熱回収式熱源機 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248467
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】潜熱回収式熱源機
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/16 20060101AFI20171211BHJP
   F24H 9/00 20060101ALI20171211BHJP
   F24H 1/14 20060101ALI20171211BHJP
   F24H 8/00 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   F24H9/16 E
   F24H9/00 B
   F24H1/14 B
   F24H8/00
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-172945(P2013-172945)
(22)【出願日】2013年8月23日
(65)【公開番号】特開2015-40669(P2015-40669A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五島 大輔
(72)【発明者】
【氏名】米多 恵梨
(72)【発明者】
【氏名】井上 晴喜
(72)【発明者】
【氏名】跡部 嘉史
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−112763(JP,A)
【文献】 特開2010−025398(JP,A)
【文献】 特開2005−055117(JP,A)
【文献】 特開平04−332337(JP,A)
【文献】 特開2012−112593(JP,A)
【文献】 特開平09−026291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/16
F24H 1/14
F24H 9/00
F24H 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレンを貯留するためのドレンタンクと、
前記ドレンタンク内における前記ドレンの水位を検知するための水位検知手段と、
前記ドレンを前記ドレンタンクから排出するための排出管と、
前記排出管の途中に接続されたドレン排出ポンプと、
前記ドレン排出ポンプを加熱するための加熱手段とを備え、
前記水位検知手段が前記ドレンの所定以上の水位を検知して、前記ドレン排出ポンプを駆動するよう制御してから所定時間内に前記ドレン排出ポンプの駆動を検知しなければ、前記ドレン排出ポンプを駆動する制御を中止し、前記加熱手段を所定時間作動して前記ドレン排出ポンプを加熱し、
前記水位検知手段は、前記ドレンタンク内における前記ドレンの水位が少なくとも高位および低位のいずれかにあることを検知可能であり、
前記水位検知手段が前記ドレンの水位が前記高位よりも前記低位側にあることを検知したときに前記ドレン排出ポンプを駆動するように制御し、
前記潜熱回収式熱源機の運転を終了した後に再び前記潜熱回収式熱源機の運転を開始してから、前記水位検知手段が前記ドレンの水位が前記高位よりも前記低位側にあることを検知したときに前記ドレン排出ポンプを駆動するように制御する、潜熱回収式熱源機。
【請求項2】
前記ドレンの温度を検知するための温度検知手段をさらに備え、
前記温度検知手段が前記ドレンの温度が所定温度以下であることを検知したときのみ、前記加熱手段を作動する、請求項1に記載の潜熱回収式熱源機。
【請求項3】
前記ドレン排出ポンプの回転駆動を検知するための回転センサをさらに備え、
前記回転センサが前記ドレン排出ポンプの回転駆動を検知しなければ、前記ドレン排出ポンプの駆動を中止する、請求項1または2に記載の潜熱回収式熱源機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜熱回収式熱源機に関し、特に、ドレン排出ポンプを備えた潜熱回収式熱源機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱源機の一例として、熱効率を高めるために、燃焼排気ガスの顕熱および潜熱(燃焼排気ガス中の水蒸気が保有している潜熱)を回収する熱交換器を備えたものが実用化されている。この潜熱回収可能な熱交換器を用いた場合、燃焼排気ガス中の水蒸気は潜熱を奪われることにより凝縮して結露するため、熱交換器に多量のドレン(結露水)が発生する。このドレンはドレンタンクに溜められた後にドレン排出ポンプにより適時に排出される。
【0003】
ところで長期旅行などの際に熱源機の電源が切られる場合がある。この場合、帰宅後に熱源機の電源を再び入れても、冬場などにはドレンが凍結しているため、ドレンを機外に排出できないことがある。そして、ドレンが凍結した状態で熱源機を使用しようとすると、ドレン排出ポンプに負荷がかかるおそれがある。
【0004】
このようなドレンの凍結を防止する技術が、たとえば特開2006−112763号公報(特許文献1)および特開平9−26291号公報(特許文献2)に記載されている。特開2006−112763号公報には、ドレン温度に関係する部位の温度を検出する温度検出手段が所定温度以下を検出した場合にドレンを加熱し、ドレンタンクの水位を検出する水位検出手段が所定水位以上であることを検出している場合に、ポンプを駆動してドレンタンクのドレンをドレン回路に強制排水することが記載されている。
【0005】
また特開平9−26291号公報には、ドレン容器の温度を検知する温度検知手段が設定温度以下を検知すると、ドレン容器に添設されたヒータを作動させてドレン容器内のドレンの凍結を防止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−112763号公報
【特許文献2】特開平9−26291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記公報のいずれも温度検知手段の測定誤差によって実際にはドレンが凍結しているにも関わらずドレンを排出しようとしてドレン排出ポンプを作動させることがある。この場合、ドレン排出ポンプを無理に駆動させることになるため、ドレン排出ポンプに負担がかかり、ドレン排出ポンプが破損するという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ドレンが凍結した後に使用してもドレン排出ポンプの破損を抑制できる潜熱回収式熱源機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の潜熱回収式熱源機は、ドレンタンクと、水位検知手段と、排出管と、ドレン排出ポンプと、加熱手段とを備えている。ドレンタンクはドレンを貯留するためのものである。水位検知手段はドレンタンク内におけるドレンの水位を検知するためのものである。排出管はドレンをドレンタンクから排出するためのものである。ドレン排出ポンプは排出管の途中に接続されている。加熱手段はドレン排出ポンプを加熱するためのものである。潜熱回収式熱源機は、水位検知手段がドレンの所定以上の水位を検知して、ドレン排出ポンプを駆動するよう制御してから所定時間内にドレン排出ポンプの駆動を検知しなければ、ドレン排出ポンプを駆動する制御を中止し、加熱手段を所定時間作動してドレン排出ポンプを加熱する。
【0010】
本発明の潜熱回収式熱源機は、ドレン排出ポンプを駆動するよう制御してから所定時間内にドレン排出ポンプの駆動を検知しなければ、ドレン排出ポンプを駆動する制御を中止する。このため、ドレン排出ポンプの負担が抑制される。そして、加熱手段を所定時間作動することによって凍結したドレンを解凍することができる。凍結したドレンを解凍した後にドレン排出ポンプを駆動することによってドレン排出ポンプに負担をかけないようにすることができる。これにより、ドレンが凍結した後に使用してもドレン排出ポンプの破損を抑制することができる。
【0011】
上記の潜熱回収式熱源機においては、水位検知手段は、ドレンタンク内におけるドレンの水位が少なくとも高位および低位のいずれかにあることを検知可能である。潜熱回収式熱源機は、水位検知手段がドレンの水位が高位よりも低位側にあることを検知したときにドレン排出ポンプを駆動するように制御する。水位検知手段がドレンの水位が高位よりも低位側にあることを検知したときにドレン排出ポンプが駆動されるため、通常運転とは異なる凍結運転においてドレン排出ポンプを駆動することができる。また、ドレンがドレン排出ポンプ内に入った状態で加熱手段が作動されることによって、ドレンがドレン排出ポンプ内に入っていない状態よりも加熱手段の伝熱効率を高めることができる。
【0012】
上記の潜熱回収式熱源機は、潜熱回収式熱源機の運転を終了した後に再び潜熱回収式熱源機の運転を開始してから、水位検知手段がドレンの水位が高位よりも低位側にあることを検知したときにドレン排出ポンプを駆動するように制御する。このため、潜熱回収式熱源機の運転を終了した後に再び運転を開始したときに加熱手段が作動されることによって、凍結したドレンを解凍することができる。
【0013】
上記の潜熱回収式熱源機は、ドレンの温度を検知するための温度検知手段をさらに備えている。潜熱回収式熱源機は、温度検知手段がドレンの温度が所定温度以下であることを検知したときのみ、加熱手段を作動する。このため、温度検知手段がドレンの温度がドレン凍結温度以下であることを検知したときのみ加熱手段が作動されることによって、凍結したドレンを確実に解凍することができる。
【0014】
上記の潜熱回収式熱源機は、ドレン排出ポンプの回転駆動を検知するための回転センサをさらに備えている。潜熱回収式熱源機は、回転センサがドレン排出ポンプの回転駆動を検知しなければ、ドレン排出ポンプの駆動を中止する。このため、ドレン排出ポンプの回転駆動を回転センサによって検知することでドレン排出ポンプの駆動を検知することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、ドレンが凍結した後に使用してもドレン排出ポンプの破損を抑制できる潜熱回収式熱源機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態1における潜熱回収式熱源機の構成を概略的に示す概略図である。
図2】本発明の実施の形態1における潜熱回収式熱源機の通常運転時におけるドレン排出ポンプ作動開始時の様子を概略的に示す概略図である。
図3】本発明の実施の形態1における潜熱回収式熱源機の通常運転時におけるドレン排出ポンプ停止時の様子を概略的に示す概略図である。
図4】本発明の実施の形態1における潜熱回収式熱源機の凍結運転時におけるドレン排出ポンプ作動開始時の様子を概略的に示す概略図である。
図5】本発明の実施の形態1における潜熱回収式熱源機の凍結運転時におけるドレン排出ポンプ停止時の様子を概略的に示す概略図である。
図6】本発明の実施の形態1における潜熱回収式熱源機のドレンポンプの動作を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施の形態2における潜熱回収式熱源機の構成を概略的に示す概略図である。
図8】本発明の実施の形態2における潜熱回収式熱源機の通常運転時におけるドレン排出ポンプ作動開始時の様子を概略的に示す概略図である。
図9】本発明の実施の形態2における潜熱回収式熱源機の通常運転時におけるドレン排出ポンプ停止時の様子を概略的に示す概略図である。
図10】本発明の実施の形態2における潜熱回収式熱源機の凍結運転時におけるドレン排出ポンプ作動開始時の様子を概略的に示す概略図である。
図11】本発明の実施の形態2における潜熱回収式熱源機の凍結運転時におけるドレン排出ポンプ停止時の様子を概略的に示す概略図である。
図12】本発明の実施の形態2における潜熱回収式熱源機のドレンポンプの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず本発明の実施の形態1の潜熱回収式熱源機の構成について説明する。
【0018】
図1を参照して、本実施の形態の潜熱回収式熱源機は、潜熱回収式の熱源機であり、熱源機で発生したドレンを回収し、排出可能に構成されている。潜熱回収式熱源機は、ドレンタンク1と、水位検知手段2と、排出管3と、ドレン排出ポンプ4と、加熱手段5と、制御部6と、回転センサ7と、中和器8と、逆止弁9と、給湯側熱交換器11と、風呂側熱交換器12と、ドレン受け13と、給湯配管14aと、給水配管14bと、往き配管15aと、戻り配管15bと、燃焼バーナ16と、送風機17とを主に有している。
【0019】
ドレンタンク1は、潜熱回収式熱源機で発生したドレンを貯留するためのものである。水位検知手段2は、ドレンタンク1内におけるドレンの水位を検知するためのものである。水位検知手段2は、ドレンタンク1内におけるドレンの水位が少なくとも高位および低位のいずれかにあることを検知可能である。この水位検知手段2は、ドレンタンク1内の低水位(L:低位)を検知するための電極部Lと、高水位(H:高位)を検知するための電極部Hとを有している。
【0020】
排出管3は、ドレンをドレンタンク1から排出するためのものであり、ドレンタンク1に接続されている。ドレン排出ポンプ4は、排出管3の途中に接続されている。これにより、排出管3は、ドレンタンク1からドレン排出ポンプ4までを繋ぐ排出管部分3aと、ドレン排出ポンプ4の下流側に接続された排出管部分3bとに分けられている。
【0021】
加熱手段5はドレン排出ポンプ4を加熱するためのものである。加熱手段5はドレン排出ポンプ4内の凍結したドレンを解凍できるように構成されている。加熱手段5はドレン排出ポンプ4に接続されていてもよく、排出管3に接続されていてもよい。加熱手段5としてヒータを用いることができる。
【0022】
制御部6は、水位検知手段2、ドレン排出ポンプ4および加熱手段5の各々に電気的に接続されている。制御部6は水位検知手段2からのドレンの水位が高位以上であることの信号に基づいて、ドレンの水位が低位であることの信号が入力されるまでドレン排出ポンプ4を駆動するよう制御可能に構成されている。
【0023】
また制御部6は回転センサ7に電気的に接続されている。回転センサ7は、ドレン排出ポンプ4の回転駆動を検知するためのものである。回転センサ7はドレン排出ポンプ4の回転駆動を検知すると制御部6に信号を送信できるように構成されている。回転センサはたとえばホール素子であって、ホール素子のONまたはOFFの信号によって回転駆動を検知することができる。
【0024】
この潜熱回収式熱源機は、水位検知手段2がドレンの所定以上の水位を検知して、ドレン排出ポンプ4を駆動するよう制御してから所定時間内にドレン排出ポンプ4の駆動を検知しなければ、ドレン排出ポンプ4を駆動する制御を中止し、加熱手段5を所定時間作動してドレン排出ポンプ4を加熱するように構成されている。また潜熱回収式熱源機は、水位検知手段2がドレンの水位が高位よりも低位側にあることを検知したときにドレン排出ポンプ4を駆動するように制御するように構成されている。
【0025】
具体的には、制御部6は、水位検知手段2からのドレンの水位が低位以上であることの信号に基づいてドレン排出ポンプ4を所定時間継続して駆動するよう制御可能に構成されている。また、制御部6は、ドレン排出ポンプ4を駆動するよう制御してから所定時間内に、回転センサ7がドレン排出ポンプ4の回転駆動を検知しなければ、ドレン排出ポンプ4を駆動する制御を中止するように構成されている。そして、制御部6は加熱手段5を所定時間作動するように構成されている。
【0026】
また潜熱回収式熱源機は、潜熱回収式熱源機の運転を終了した後に再び潜熱回収式熱源機の運転を開始してから、水位検知手段2がドレンの水位が高位よりも低位側にあることを検知したときにドレン排出ポンプ4を駆動するように制御するように構成されている。また潜熱回収式熱源機は、回転センサ7がドレン排出ポンプ4の回転駆動を検知しなければ、ドレン排出ポンプ4の駆動を中止するように構成されている。
【0027】
なおドレン排出ポンプ4の下流側に接続された排出管部分3bの途中には逆止弁9が接続されていてもよい。この逆止弁9は、逆止弁9の上流側から下流側へのドレンの流れを許容し、下流側から上流側へのドレンの流れを許容しないよう構成されている。またドレンの排出先は、たとえば排出管3が接続されている浴室防水パンなどの排出部などである。
【0028】
給湯側熱交換器11および風呂側熱交換器12のそれぞれは、潜熱回収型の熱交換器である。潜熱回収型の熱交換器では、従来排出していた熱交換後のガスが二次熱交換器へ通されることで二次熱交換器内の水が予熱される。この過程で燃焼ガスの温度が60℃程度まで下がることで、燃焼ガス中に含まれる水分が凝縮して潜熱を得ることができる。このため給湯側熱交換器11は、一次熱交換器11aと、二次熱交換器11bとを有している。また風呂側熱交換器12は、一次熱交換器12aと、二次熱交換器12bとを有している。
【0029】
給湯側熱交換器11において、一次熱交換器11aの一方端と二次熱交換器11bの一方端とは互いに接続されている。一次熱交換器11aの他方端には給湯配管14aが接続されており、二次熱交換器11bの他方端には給水配管14bが接続されている。一次熱交換器11aが二次熱交換器12aよりも燃焼バーナ16の近くに配置されている。
【0030】
また風呂側熱交換器12においても、一次熱交換器12aの一方端と二次熱交換器12bの一方端とは互いに接続されている。一次熱交換器12aの他方端には往き配管15aが接続されており、二次熱交換器12bの他方端には戻り配管15bが接続されている。一次熱交換器12aが二次熱交換器12bよりも燃焼バーナ16の近くに配置されている。
【0031】
燃焼バーナ16は、給湯側熱交換器11および風呂側熱交換器12との間で熱交換を行なうための燃焼ガスを発生させるためのものである。送風機17は燃焼バーナ16に対して燃焼に必要な空気を供給するためのものである。
【0032】
潜熱回収式の熱交換器では、上記のとおり燃焼ガスの水蒸気を凝縮させる構造上、凝縮した水(ドレン)が発生するためドレンの排水が必要である。このため、ドレン受け13が、二次熱交換器11b、12bのそれぞれの下側に配置されている。
【0033】
また排気ガス中には窒素酸化物などが含まれるため、これがドレンに溶け込んでドレンは酸性となる。中和器8は、ドレン受け13で受けられた酸性のドレンを中和するためのものである。中和器8は、ドレン受け13およびドレンタンク1に接続されており、ドレン受け13で受けられた酸性のドレンを中和させた後に、ドレンタンク1内にドレンを供給できるよう構成されている。
【0034】
次に、本実施の形態のドレン排出動作について図1図6を用いて説明する。
図1および図6を参照して、まず潜熱回収式熱源機の運転スイッチ(SW)がONか否かが判別される(ステップS1:図6)。そして運転スイッチがONで潜熱回収式熱源機が運転している場合には、水位検知手段2により検出されるドレンタンク1内の水位が高水位(H)以上か否かが判別される(ステップS2)。水位が高水位(H)未満の場合には、引き続き、水位検知手段2により検出されるドレンタンク1内の水位が高水位(H)以上か否かが判別される(ステップS2)。そして水位が高水位(H)以上になった場合には、ドレン排出ポンプ4がONされて(ステップS3)、ドレンタンク1内のドレンが排出される。ドレンタンク1内の水位が高水位(H)以上になった様子を図2に示す。
【0035】
このドレンの排出後、水位検知手段2により検出されるドレンタンク1内の水位が低水位(L)未満か否かが判別される(ステップS4)。水位が低水位(L)以上の場合には、引き続き、水位検知手段2により検出されるドレンタンク1内の水位が低水位(L)未満か否かが判別される(ステップS4)。そして水位が低水位(L)未満になった場合には、ドレン排出ポンプ4がOFFされて(ステップS5)、ドレンタンク1内のドレンの排出が停止される。ドレンタンク1内の水位が低水位(L)になった様子を図3に示す。
【0036】
この後、上記のステップS1〜S5が繰り返されることにより、潜熱回収式熱源機の通常運転時におけるドレンタンク1内の水位が低水位(L)以上、高水位(H)以下に制御される。
【0037】
一方、上記ステップS1において潜熱回収式熱源機の運転スイッチがOFFと判別された場合には、凍結運転(ステップS11)が行われる。具体的には、電源投入初回か否かが判別される(ステップS12)。そして電源投入初回の場合には水位が低水位(L)以上か否かが判別される(ステップS13)。また電源投入初回でない場合にはスタートの状態に戻る。ドレンタンク1内の水位が低水位(L)以上になった様子を図4に示す。水位が低水位(L)以上の場合には、ドレン排出ポンプ4がONされる(ステップS14)。また水位が低水位(L)未満の場合にはスタートの状態に戻る。
【0038】
ドレン排出ポンプ4がONされた後にドレン排出ポンプ4の回転数が回転センサ7によって検知されるか否かが判別される(ステップS15)。ドレン排出ポンプ4の回転数が検知された場合には、ドレンタンク1内のドレンが排出され、ドレンタンク1内の水位が低水位(L)未満か否かが水位検知手段2により判別される(ステップS16)。水位が低水位(L)以上の場合には、引き続き、ドレンタンク1内のドレンが排出され、水位検知手段2によりドレンタンク1内のドレンの水位が低水位(L)未満か否かが判別される。水位が低水位(L)未満になった場合にはドレン排出ポンプ4がOFFされて(ステップS17)、ドレンタンク1内のドレンの排出が停止される。ドレンタンク1内の水位が低水位(L)未満になった様子を図5に示す。
【0039】
ドレン排出ポンプ4の回転数が検知されない場合には、ドレン排出ポンプ4がOFFされる(ステップ21)。そして、加熱手段(ヒータ)5がONされて(ステップ22)、設定時間経過したか否かが判別される(ステップS23)。設定時間経過するまで加熱手段(ヒータ)5は作動され、設定時間経過すると加熱手段(ヒータ)5はOFFされる(ステップ24)。これにより、ドレン排出ポンプ4内の凍結したドレンを加熱手段(ヒータ)5で解凍することができる。
【0040】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態の潜熱回収式熱源機は、ドレン排出ポンプ4を駆動するよう制御してから所定時間内にドレン排出ポンプ4の駆動を検知しなければ、ドレン排出ポンプ4を駆動する制御を中止する。このため、ドレン排出ポンプ4の負担が抑制される。そして、加熱手段(ヒータ)5を所定時間作動することによって凍結したドレンを解凍することができる。凍結したドレンを解凍した後にドレン排出ポンプ4を駆動することによってドレン排出ポンプ4に負担をかけないようにすることができる。これにより、ドレンが凍結した後に使用してもドレン排出ポンプ4の破損を抑制することができる。
【0041】
また本実施の形態の潜熱回収式熱源機においては、水位検知手段2がドレンの水位が高位よりも低位側にあることを検知したときにドレン排出ポンプ4が駆動されるため、通常運転とは異なる凍結運転においてドレン排出ポンプ4を駆動することができる。また、ドレンがドレン排出ポンプ4内に入った状態で加熱手段(ヒータ)5が作動されることによって、ドレンがドレン排出ポンプ4内に入っていない状態よりも加熱手段(ヒータ)5の伝熱効率を高めることができる。つまり、加熱手段(ヒータ)5で空焚きするよりも伝熱効率を高めることができる。
【0042】
また本実施の形態の潜熱回収式熱源機は、潜熱回収式熱源機の運転を終了した後に再び運転を開始したときに加熱手段(ヒータ)5が作動されることによって、凍結したドレンを解凍することができる。
【0043】
また本実施の形態の潜熱回収式熱源機は、ドレン排出ポンプ4の回転駆動を回転センサ7によって検知することでドレン排出ポンプ4の駆動を検知することができる。
【0044】
(実施の形態2)
図7を参照して、本発明の実施の形態2の構成は、温度検知手段20をさらに備えている点において、図1に示す実施の形態1の構成と異なっている。この温度検知手段20は、ドレンの温度を検知するためのものである。この温度検知手段20は、ドレンタンク1内のドレンの温度を検知するための電極部Tを有している。この電極部Tは、ドレンタンク1の底部に対して、水位検知手段2の電極部Lと同等またはそれ以下の距離に配置されている。この温度検知手段20は制御部6に電気的に接続されている。本実施の形態では、潜熱回収式熱源機は、温度検知手段20がドレンの温度が所定温度以下であることを検知したときのみ、加熱手段(ヒータ)5を作動するよう構成されている。なお、温度検知手段20としてサーミスタを用いることもできる。この場合、ドレンタンク底部近傍に配したサーミスタでドレン温度を検知してもよい。
【0045】
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0046】
次に、本実施の形態のドレン排出動作について図6図12を用いて説明する。
図7および図12を参照して、本実施の形態では、まずドレンの温度が所定温度以上か否かが温度検知手段20によって検知される(ステップS10)。この所定温度はたとえば3℃に設定される。ドレンの温度が所定温度以上と判別された場合には、通常運転が行われる。水位検知手段2により検出されるドレンタンク1内の水位が高水位(H)以上か否かが判別される(ステップS2)。水位が高水位(H)未満の場合には、引き続き、水位検知手段2により検出されるドレンタンク1内の水位が高水位(H)以上か否かが判別される(ステップS2)。そして水位が高水位(H)以上になった場合には、ドレン排出ポンプ4がONされて(ステップS3)、ドレンタンク1内のドレンが排出される。ドレンタンク1内の水位が高水位(H)以上になった様子を図8に示す。
【0047】
このドレンの排出後、水位検知手段2により検出されるドレンタンク1内の水位が低水位(L)未満か否かが判別される(ステップS4)。水位が低水位(L)以上の場合には、引き続き、水位検知手段2により検出されるドレンタンク1内の水位が低水位(L)未満か否かが判別される(ステップS4)。そして水位が低水位(L)未満になった場合には、ドレン排出ポンプ4がOFFされて(ステップS5)、ドレンタンク1内のドレンの排出が停止される。ドレンタンク1内の水位が低水位(L)になった様子を図9に示す。
【0048】
この後、上記のステップS10〜S5が繰り返されることにより、潜熱回収式熱源機の通常運転時におけるドレンタンク1内の水位が低水位(L)以上、高水位(H)以下に制御される。
【0049】
一方、上記ステップS10においてドレンの温度が所定温度未満と判別された場合には、凍結運転(ステップS11)が行われる。具体的には、電源投入初回か否かが判別される(ステップS12)。そして電源投入初回の場合には水位が低水位(L)以上か否かが判別される(ステップS13)。また電源投入初回でない場合にはスタートの状態に戻る。ドレンタンク1内の水位が低水位(L)以上になった様子を図10に示す。水位が低水位(L)以上の場合には、ドレン排出ポンプ4がONされる(ステップS14)。また水位が低水位(L)未満の場合にはスタートの状態に戻る。
【0050】
ドレン排出ポンプ4がONされた後にドレン排出ポンプ4の回転数が回転センサ7によって検知されるか否かが判別される(ステップS15)。ドレン排出ポンプ4の回転数が検知された場合には、ドレンタンク1内のドレンが排出され、ドレンタンク1内の水位が低水位(L)未満か否かが水位検知手段2により判別される(ステップS16)。水位が低水位(L)以上の場合には、引き続き、ドレンタンク1内のドレンが排出され、水位検知手段2によりドレンタンク1内のドレンの水位が低水位(L)未満か否かが判別される。水位が低水位(L)未満になった場合にはドレン排出ポンプ4がOFFされて(ステップS17)、ドレンタンク1内のドレンの排出が停止される。ドレンタンク1内の水位が低水位(L)未満になった様子を図11に示す。
【0051】
ドレン排出ポンプ4の回転数が検知されない場合には、ドレン排出ポンプ4がOFFされる(ステップS21)。そして、加熱手段(ヒータ)5がONされて(ステップS22)、設定時間経過したか否かが判別される(ステップS23)。この設定時間はたとえば40分間である。設定時間経過するまで加熱手段(ヒータ)5は作動され、設定時間経過すると加熱手段(ヒータ)5はOFFされる(ステップS24)。これにより、ドレン排出ポンプ4内の凍結したドレンを加熱手段(ヒータ)5で解凍することができる。
【0052】
本実施の形態においては、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
また本実施の形態の潜熱回収式熱源機は、温度検知手段20がドレンの温度がドレン凍結温度以下であることを検知したときのみ加熱手段(ヒータ)5が作動されることによって、凍結したドレンを確実に解凍することができる。
【0053】
上記ではドレン排出ポンプ4の回転数を検知することによって、ドレン排出ポンプ4の駆動を検知したが、ドレン排出ポンプ4の駆動を検知するための構成は上記に限定されない。たとえば、水位検知手段2の低水位を検知するための電極部Lの信号に基づいて、ドレン排出ポンプ4の駆動を検知してもよい。つまり、ドレン排出ポンプ4を駆動するよう制御してから所定時間内に電極部Lの信号が消えなければ水位が変化していないと判別できるためドレン排出ポンプ4が駆動していないと判別することができる。
【0054】
なお、ドレン排出ポンプ4のコイル温度の上昇によってもドレン排出ポンプ4の駆動を検知することができ、またドレン排出ポンプ4の電流値の変化によってもドレン排出ポンプ4の駆動を検知することができる。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
1 ドレンタンク、2 水位検知手段、3 排出管、4 ドレン排出ポンプ、5 加熱手段、6 制御部、7 回転センサ、8 中和器、9 逆止弁、11 給湯側熱交換器、12 風呂側熱交換器、14a 給湯配管、14b 給水配管、15a 往き配管、15b 戻り配管、16 燃焼バーナ、17 送風機、20 温度検知手段。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12