特許第6248473号(P6248473)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248473
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20171211BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20171211BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   G02B27/01
   G02F1/13357
   B60K35/00
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-176777(P2013-176777)
(22)【出願日】2013年8月28日
(65)【公開番号】特開2015-45735(P2015-45735A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】茂野 孝紀
(72)【発明者】
【氏名】松浦 宗也
【審査官】 山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−219222(JP,A)
【文献】 特開2009−168882(JP,A)
【文献】 特開平09−159986(JP,A)
【文献】 特開2012−203176(JP,A)
【文献】 特開2008−257021(JP,A)
【文献】 米国特許第5729366(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
G02F 1/13357
B60K 35/00
G03B 21/00
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示素子を照明する光を出射する光源と、
前記光源が出射した光を前記液晶表示素子の表示領域に対応するように集光する集光手段と、
前記光源が出射した光を前記液晶表示素子に向けて反射させる反射面を有する反射部と、を備え、
前記液晶表示素子から出射される表示光をコンバイナまたは車両のウインドシールドに投射することで、前記表示光が表す画像を虚像としてユーザに視認させるヘッドアップディスプレイ装置において、
前記反射面が前記光源の光軸に対して傾斜していることで、前記光源から前記液晶表示素子に至る光の光路が前記反射部で折り曲がるように構成され、
前記表示光を前記コンバイナまたは前記ウインドシールドに向けて通過させる出射口を有し、前記液晶表示素子から前記出射口までの前記表示光の光路を取り囲むように形成された筐体をさらに備え、
前記筐体の外側に設けられる前記光源と前記集光手段と前記反射部とは前記筐体とは別部材で構成された保護部材によって覆われている、
ことを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
前記集光手段は、複数のフォーカスレンズから構成され、
前記反射部は、前記複数のフォーカスレンズのうち第1のフォーカスレンズと第2のフォーカスレンズとの間に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
前記光源からの光が入射し、入射した光の照度を略均一化して出射する照度均一化手段をさらに備え、
前記照度均一化手段は、前記光源と前記集光手段の間に位置し、
前記反射部は、前記照度均一化手段よりも前記液晶表示素子側に位置する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の画像を表示する表示器として、液晶表示素子をバックライトで透過照明する構成のものが知られている。特許文献1には、このような構成の表示器を備えた、いわゆるヘッドアップディスプレイ(HUD)装置と呼ばれる表示装置が開示されている。HUD装置は、表示器からの表示光を車両のフロントガラスに投射することで、所定の画像を虚像としてユーザ(主に運転者)に視認させる。
【0003】
特許文献1に係る表示器では、バックライト用の光源から液晶表示素子に至る光路が一直線になっており、その光路上に調光部材、拡散板が積層状態で配置されることで、液晶表示素子の背後にバックライトユニットが構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−86387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る構造のように、バックライト用の光源から液晶表示素子に至る光路が一直線になっていると、光源と液晶表示素子の間にレンズ等の光学素子を配置したい場合、バックライトユニットが液晶表示素子の背後方向に延びる形状となってしまう。そのため、バックライトユニットが搭載される装置の設計自由度が低くなってしまう場合があった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、搭載される装置の設計自由度を高めることが可能なヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るヘッドアップディスプレイ装置は、
液晶表示素子を照明する光を出射する光源と、
前記光源が出射した光を前記液晶表示素子の表示領域に対応するように集光する集光手段と、
前記光源が出射した光を前記液晶表示素子に向けて反射させる反射面を有する反射部と、を備え、
前記液晶表示素子から出射される表示光をコンバイナまたは車両のウインドシールドに投射することで、前記表示光が表す画像を虚像としてユーザに視認させるヘッドアップディスプレイ装置において、
前記反射面が前記光源の光軸に対して傾斜していることで、前記光源から前記液晶表示素子に至る光の光路が前記反射部で折り曲がるように構成され、
前記表示光を前記コンバイナまたは前記ウインドシールドに向けて通過させる出射口を有し、前記液晶表示素子から前記出射口までの前記表示光の光路を取り囲むように形成された筐体をさらに備え、
前記筐体の外側に設けられる前記光源と前記集光手段と前記反射部とは前記筐体とは別部材で構成された保護部材によって覆われている、
ことを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るヘッドアップディスプレイ装置は、
前記集光手段は、複数のフォーカスレンズから構成され、
前記反射部は、前記複数のフォーカスレンズのうち第1のフォーカスレンズと第2のフォーカスレンズとの間に位置する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、搭載される装置の設計自由度を高めることが可能なヘッドアップディスプレイ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るHUD装置の搭載態様を説明するための模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係るHUD装置の概略断面図である。
図3図2に示すHUD装置の表示器近傍の拡大図である。
図4】本発明の一実施形態に係るバックライトユニットの概略分解斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係るバックライトユニットの機能を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置を、図面を参照して説明する。
【0012】
本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ(HUD)装置100は、図1に示すように車両Cのダッシュボードに埋め込まれるようにして設けられ、図2に示すように、バックライトユニット1及び液晶表示素子2から構成される表示器3と、平面鏡4と、凹面鏡5と、筐体6と、保護部材7と、を備える。
【0013】
HUD装置100は、表示器3から出射される表示光Lを車両CのウインドシールドS(フロントガラス)に投射することで、表示光Lが表す画像を虚像VとしてユーザU(主に運転者)に視認させる。表示器3から出射される表示光Lは、液晶表示素子2がバックライトユニット1からの光で透過照明されることで得られ、所定の画像を表す。
【0014】
バックライトユニット1は、図3に示すように、光源10と、平行光生成手段20と、照度均一化手段30と、レンズアレイ40と、第1のフォーカスレンズ51と、第2のフォーカスレンズ52と、反射部60と、拡散板70と、ケース体80と、カバー部材90と、を備える。
【0015】
平行光生成手段20、照度均一化手段30、レンズアレイ40、第1のフォーカスレンズ51、第2のフォーカスレンズ52、反射部60、及び拡散板70は、光源10が出射する光の光路上に配置されている。これらは、光源10から液晶表示素子2に向かって、平行光生成手段20、照度均一化手段30、レンズアレイ40、第1のフォーカスレンズ51、反射部60、第2のフォーカスレンズ52、拡散板70の順で配置されている。
【0016】
光源10は、液晶表示素子2を透過照明する光(以下、照明光Iとも呼ぶ)を発する。光源10は、例えば、2つのLED(Light Emitting Diode)から構成されている。なお、光源10は、1又は3以上のLEDから構成されていてもよい。光源10は、ケース体80に固定された回路基板11(図4参照)に実装されている。回路基板11は、アルミ、樹脂等からなる基材に回路パターンが形成されてなるものであり、後述の制御部(図示せず)と公知の手法で導通接続されている。
【0017】
平行光生成手段20は、光源10からの照明光Iを受け、平行光として出射する。ここでいう平行光は、光源10の光軸AX(図3参照)と略平行(丁度平行も含む)に進む光である。平行光生成手段20は、例えばコンデンサレンズからなる。平行光生成手段20として、コリメートレンズ等の他の公知の光学素子を採用してもよい。
【0018】
照度均一化手段30は、平行光生成手段20によって平行光とされた照明光Iが入射し、出射側の光の照度分布の均一化を図るものである。照度均一化手段30は、例えば、ライトボックスからなる。このライトボックスは、光軸AXを取り囲む角筒状の部材であり、内面(光軸AX側の面)が鏡面となっているものである。照度均一化手段30は、光拡散板、光反射板等を備えた他の公知のライトボックス等であってもよい。
【0019】
レンズアレイ40は、単レンズを縦横に複数配列してなるレンズ体であり、いわゆるフライアイレンズと呼ばれるものである。レンズアレイ40は、例えば、光源10側と液晶表示素子2側との両面が凸となる、いわゆる両凸レンズである。
レンズアレイ40には、照度均一化手段30によって照度が略均一化された照明光Iが入射する。レンズアレイ40は、自身を構成するレンズの数だけ多重像を生じさせるため、1つの光源10の像が、レンズアレイ40のレンズの数だけの多重像となる。これにより、少ない光源10でも均質な光強度分布で液晶表示素子2を照明することができる。
【0020】
第1のフォーカスレンズ51及び第2のフォーカスレンズ52は、液晶表示素子2の表示領域A(図5参照)に対応するように集光する集光手段として機能する。具体的には、第1のフォーカスレンズ51と第2のフォーカスレンズ52とは、協働して、液晶表示素子2の前面(図2及び図3において紙面上方向に向く面)に表示される画像の表示可能範囲(表示領域A)に対応する背面の全面に渡って、レンズアレイ40からの照明光Iを照射させる。これにより、レンズアレイ40で生成された多重像を表す照明光Iを液晶表示素子2の背面の必要な範囲に効率良く照射することができる。
【0021】
第1のフォーカスレンズ51及び第2のフォーカスレンズ52は、例えば、アクリルレンズからなり、両者の少なくとも一方は、トロイダルレンズとして構成されている。つまり、第1のフォーカスレンズ51の両面と第2のフォーカスレンズ52の両面との4面のうち、少なくとも1面は、トロイダル面として構成されている。これにより、第1のフォーカスレンズ51及び第2のフォーカスレンズ52を通過した照明光Iは、長方形形状に配光されるため、一般的に長方形状に形成されることの多い液晶表示素子2の表示領域Aの形状に合わせて、効率良く液晶表示素子2に照射される。
【0022】
反射部60は、第1のフォーカスレンズ51と第2のフォーカスレンズ52の間に配置されている。反射部60は、例えば、樹脂、ガラス等からなる基材にアルミニウム等の金属を蒸着させ反射面61を形成した平面鏡から構成されている。反射部60は、光源10の光軸AXに対して反射面61が傾斜するように配置されている。第1のフォーカスレンズ51からの照明光Iは、この反射面61で反射し、第2のフォーカスレンズ52に入射する。
この実施形態では、図3に示すように、反射部60から液晶表示素子2に至る照明光Iの光路が、光源10の光軸AXに対して略直交となるように反射部60が配置されている。このようにして、反射部60は、照明光Iの光路を変更する。
【0023】
拡散板70は、例えば、少なくとも一方の面に凹凸加工がなされた合成樹脂材からなり、透光性を有する。第2のフォーカスレンズ52からの照明光Iは、拡散板70を通過することで、拡散されて液晶表示素子2の背面に到達する。このように、拡散板70が設けられることで、液晶表示素子2の照明のムラが極力低減される。
【0024】
ケース体80は、樹脂等から箱状に形成され、内部に、光源10、平行光生成手段20、照度均一化手段30、レンズアレイ40、第1のフォーカスレンズ51、及び反射部60を収容する。ケース体80は、図4に示すように、上部開口部81と側部開口部82とを有している。上部開口部81は、液晶表示素子2側に向かって開口している。側部開口部82は、光源10側に向かって開口している。上部開口部81と側部開口部82とは連通している。側部開口部82を塞ぐように、回路基板11が設けられている。回路基板11は、ビス等の固定手段(図示せず)でケース体80に固定されている。これにより、光源10はケース体80内部に向かって光を出射するように配置される。上部開口部81のうち、光源10とは反対側の端部を覆うようにして、第2のフォーカスレンズ52が設けられている。上部開口部81を塞ぐようにして、カバー部材90が設けられている。
【0025】
カバー部材90は、図4に示すように、樹脂等から板状に形成され、ケース体80の上部開口部81を覆う。カバー部材90は、ビス90b等の固定手段でケース体80に固定されている。カバー部材90には、第2のフォーカスレンズ52を覗かせる開口部91が形成されている。開口部91は、第2のフォーカスレンズ52のレンズ面形状に対応する形状となっている。
【0026】
ケース体80とカバー部材90とで、バックライトユニット1の筐体が構成されている。
以上で説明したように、1つのケース体80内に、照度均一化手段30、第1のフォーカスレンズ51、反射部60等の光学部品を設置する構成としているため、バックライトユニット1の組立も容易となっている。また、カバー部材90が、必要な箇所以外(つまり、第2のフォーカスレンズ52を覗かせる開口部91以外)の箇所を覆っているため、バックライトユニット1外部に照明光Iが不必要に漏れることを防止できる。
【0027】
液晶表示素子2は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)型の液晶パネルの前面及び背面に偏光板を設けることで構成されている。なお、液晶表示素子2を構成する液晶パネルは、パッシブ駆動型のものであってもよい。また、液晶パネルとして、TN(Twisted Nematic)型、VA(Vertical Alignment)型、STN(Super-Twisted Nematic)型、強誘電性型等の様々な型のものが適用可能である。
【0028】
液晶表示素子2は、制御部(図示せず)の制御のもと、各画素を、透過、不透過のいずれかの状態に切り替えることで所定の画像を表示する。例えば、制御部は、車両CのECU(Electronic Control Unit)から通信ラインにより伝送される各種の車両情報を取得し、車両速度や燃費等を示す画像を液晶表示素子2に表示させる。同時に、制御部は、光源10を発光させる。これにより、液晶表示素子2は、バックライトユニット1で生成された照明光Iによって透過照明され、表示画像を表す表示光Lが液晶表示素子2から出射される。
このようにして、バックライトユニット1と液晶表示素子2とから構成される表示器3から表示光Lが出射される。
【0029】
図2に戻って、平面鏡4は、樹脂、ガラス等からなる基材にアルミニウム等の金属を蒸着させ反射面を形成して成る。平面鏡4は、表示器3が発した表示光Lを凹面鏡5に向け反射させる。
【0030】
凹面鏡5は、樹脂、ガラス等からなる基材にアルミニウム等の金属を蒸着させ反射面を形成して成る。凹面鏡5の反射面は、凹面になっており、表示器3からの表示光Lは拡大されてウインドシールドSに投射される。これにより、ユーザUに視認される虚像Vは、表示器3に表示されている画像が拡大された大きさになる。
【0031】
筐体6は、樹脂等から箱状に形成され、内部に、平面鏡4及び凹面鏡5を収容する。平面鏡4及び凹面鏡5は、筐体6の内部に公知の手法により固定されている。
【0032】
筐体6は、図2に示すように、上部開口部6aと下部開口部6bとを有している。上部開口部6aは、ウインドシールドSに向かって開口しており、表示光LをHUD装置100外部に通過させる出射口として機能する。下部開口部6bは、筐体6の上部開口部6aとは反対側に位置し、その下端部(図2の紙面下方向の端部)に液晶表示素子2が配置されている。このようにして、下部開口部6bは、液晶表示素子2の表示面を筐体6内部に向かって覗かせるように形成されている。
このように、筐体6は、液晶表示素子2から出射口として機能する上部開口部6aまでの表示光Lの光路を取り囲むように形成されている。
【0033】
図2に示すように、バックライトユニット1は、筐体6の外側であって下部開口部6b側から、筐体6に取り付けられている。例えば、ビス8等の固定手段でケース体80が筐体6に固定されることにより、バックライトユニット1は、筐体6に取り付けられている。この際、ケース体80を覆うカバー部材90の開口部91(図4参照)が、筐体6の下部開口部6b(図2参照)と通じるようにして、バックライトユニット1は取り付けられている。
【0034】
保護部材7は、樹脂等からなり、筐体6に取り付けられたバックライトユニット1を下側(図2の紙面下側)から覆うようにして、筐体6に所定の方法で固定されている。このように設けられた保護部材7は、バックライトユニット1を、塵、振動等から保護する。
【0035】
HUD装置100がユーザUに所定の画像を虚像Vとして視認可能とする機構を簡潔に述べれば、次の(1)、(2)のようになる。
(1)表示器3が画像を表示することで表示光Lが出射される。表示器3からの表示光Lは平面鏡4及び凹面鏡5で反射し、ウインドシールドSに向かう。このようにして、HUD装置100は表示光LをウインドシールドSに向けて出射する。
(2)HUD装置100からの表示光LがウインドシールドSで反射することで、ユーザUから見てウインドシールドSの前方に表示画像の虚像Vが結ばれる。
【0036】
以上に説明したヘッドアップディスプレイ装置100は、液晶表示素子2を照明する光を出射する光源10と、光源10が出射した光を液晶表示素子2の表示領域Aに対応するように集光する集光手段(第1のフォーカスレンズ51及び/又は第2のフォーカスレンズ52)と、光源10が出射した光を液晶表示素子2に向けて反射させる反射面61を有する反射部60と、を備え、反射面61が光源10の光軸AXに対して傾斜していることで、光源10から液晶表示素子2に至る光の光路が反射部60で折り曲がるように構成されている。
この構成により、反射部60が光源10から液晶表示素子2に至る光の光路を折り曲げることができるため、液晶表示素子2の背面側に一直線上に光学部品を配置せずに済む。これにより、バックライトユニット1が液晶表示素子2の背面側に必要以上に突出する構造を避けることができる。よって、バックライトユニット1が搭載される装置(表示器3やHUD装置100(表示装置の一例))の設計自由度を高めることができる。
【0037】
また、ヘッドアップディスプレイ装置100において、前記集光手段は、第1のフォーカスレンズ51と第2のフォーカスレンズ52から構成され、反射部60は、第1のフォーカスレンズ51と第2のフォーカスレンズ52との間に位置する。
液晶表示素子2を照明する光を効率的に配光するには、フォーカスレンズ間の距離をある程度確保する必要がある。このように、光学部品間の距離が長くなる箇所に反射部60を設けて、光源10から液晶表示素子2に至る光の光路を折り曲げることで、バックライトユニット1が液晶表示素子2の背面側に必要以上に突出する構造を、より良好に避けることができる。また、この構成により、集光手段を照度均一化手段30に接近させることが可能であり、効率良く、液晶表示素子2を照明しつつも、集光手段を構成するフォーカスレンズを小型化することができる。
【0038】
また、ヘッドアップディスプレイ装置100は、光源10からの光が入射し、入射した光の照度を略均一化して出射する照度均一化手段30をさらに備え、照度均一化手段30は、光源10と前記集光手段の間に位置し、反射部60は、照度均一化手段30よりも液晶表示素子2側に位置する。
これにより、構成上、光路に沿って延在する形状となる場合が多い照度均一化手段30(ライトボックス)を、液晶表示素子2の背面に一直線上に配置せずに済むため、バックライトユニット1が液晶表示素子2の背面側に必要以上に突出する構造を、より良好に避けることができる。
【0039】
また、HUD装置100(表示装置の一例)は、バックライトユニット1と液晶表示素子2とを備え、液晶表示素子2が光源10からの光(照明光I)で照明されることで発する表示光Lを装置外部に出射し、装置外部の所定位置で表示光Lが表す画像を視認させる。このHUD装置100は、表示光Lを装置外部に通過させる出射口として機能する上部開口部6aを有し、液晶表示素子2から上部開口部6aまでの表示光Lの光路を取り囲むように形成された筐体6をさらに備え、バックライトユニット1は、筐体6の外側に設けられている。
筐体6内は、表示光Lの光路を確保しなければならないため、その内部にバックライトユニット1を自由にレイアウトすることは困難である。しかし、このように、筐体6の外部にバックライトユニット1を配置することで、設計自由度を高めることが可能である。
【0040】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。以下に変形の一例を示す。
【0041】
(変形例)
以上では、集光手段が2枚のフォーカスレンズで構成される例を説明したが、集光手段は、1枚又は3枚以上のフォーカスレンズで構成されていてもよい。
集光手段をフォーカスレンズ1枚で構成する場合、反射部60は、フォーカスレンズよりも光源10側に配置するほうが、液晶表示素子2への照明光を効率的に配光する観点から好ましい。
集光手段をフォーカスレンズ3枚以上で構成する場合、それらのうち、最も光源10側に位置するフォーカスレンズと、最も液晶表示素子2側に位置するフォーカスレンズとの間に反射部60を設けることが好ましい。これは、前述のように、光学部品間の距離が長くなる箇所に反射部60を設けたほうが、バックライトユニット1が液晶表示素子2の背面側に必要以上に突出する構造を、より良好に避けることができるためである。
【0042】
以上では、反射部60を平面鏡で構成した例を説明したが、これに限られない。反射部60の反射面61を曲面形状、例えば、球面、トロイダル面、コーニック面、自由曲面に形成してもよい。
このようにすれば、反射部60がレンズ効果を発揮し、液晶表示素子2への配光を制御する機能を有することができるため、例えば、集光手段をフォーカスレンズ1枚で構成した場合であっても、精度良く配光を制御できる。また、集光手段をフォーカスレンズ2枚以上で構成した場合は、同様の効果により、フォーカスレンズの枚数を削減することが可能になるため、省スペース化とコスト低減を図ることができる。
【0043】
以上の実施形態では、反射部60から液晶表示素子2に至る照明光Iの光路が、光源10の光軸AXに対して略直交となるように反射部60が配置する例を示したが、これに限られない。所望のレイアウトに応じて、光源10の光軸AXに対して、反射部60の反射面61を傾けて設置することが可能である。
【0044】
また、液晶表示素子2の照明性能を満足する限りにおいては、バックライトユニット1において、レンズ、反射部60以外のリフレクタ等の光学部品を適宜、追加、削除することもできる。
【0045】
また、HUD装置100を、平面鏡4と凹面鏡5とのいずれか一方を用いないで構成することも可能であるし、いずれも用いずに構成することも可能である。
【0046】
また、以上の説明では、表示光Lを車両CのウインドシールドSで反射させることで、表示画像をユーザUに視認させる例を示したが、これに限られない。HUD装置100が専用のコンバイナを備え、コンバイナで表示光Lを反射させることで表示画像を視認させてもよい。
【0047】
また、以上の説明では、表示装置の一例をHUD装置100として説明したが、これに限られない。表示器3からの表示光Lを装置外部に出射し、装置外部の所定位置で表示光Lが表す画像を視認させる表示装置であれば、HUD装置100以外の表示装置であってもよい。
【0048】
また、以上の説明では、HUD装置100が搭載される乗り物の一例を車両Cとしたが、これに限られない。HUD装置100は、オートバイ等の他の車両、建設機械、農耕機械、船舶、航空機等に搭載されるものであってもよい。
【0049】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、実施形態及び図面に変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
100 HUD装置
1 バックライトユニット
10 光源
AX 光軸
20 平行光生成手段
30 照度均一化手段
40 レンズアレイ
51 第1のフォーカスレンズ
52 第2のフォーカスレンズ
60 反射部
70 拡散板
80 ケース体
90 カバー部材
I 照明光
2 液晶表示素子
3 表示器
6 筐体
6a上部開口部(出射口)
L 表示光
V 虚像
U ユーザ
図1
図2
図3
図4
図5