特許第6248519号(P6248519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248519
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】溶接ビード切削装置
(51)【国際特許分類】
   B23C 3/12 20060101AFI20171211BHJP
   B24B 9/04 20060101ALI20171211BHJP
   B24B 49/16 20060101ALI20171211BHJP
   B24B 49/02 20060101ALI20171211BHJP
   B23Q 17/09 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   B23C3/12 A
   B24B9/04 C
   B24B49/16
   B24B49/02 Z
   B23Q17/09 D
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-208071(P2013-208071)
(22)【出願日】2013年10月3日
(65)【公開番号】特開2015-71203(P2015-71203A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2016年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003713
【氏名又は名称】大同特殊鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107700
【弁理士】
【氏名又は名称】守田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】中島 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】徳田 誠
【審査官】 青山 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−126945(JP,A)
【文献】 特開平06−182667(JP,A)
【文献】 特開2008−023558(JP,A)
【文献】 特開平09−131652(JP,A)
【文献】 特開昭58−090440(JP,A)
【文献】 特開昭61−257756(JP,A)
【文献】 特開平06−226589(JP,A)
【文献】 特表2003−500224(JP,A)
【文献】 特開2002−370150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 3/00 − 3/12
B23Q 17/09
B24B 9/00 − 9/04
B24B 49/00 − 49/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームの先端に設けたモータと、当該モータの出力軸に装着されて、出力軸回りに回転させられることにより溶接ビードを切削除去する切削工具と、切削加工時の前記モータの負荷を検出して、当該モータ負荷が所定値を超えた場合には前記モータの回転数を増大させることによって前記モータ負荷を前記所定値以下に低下させるとともに、前記ロボットアームの駆動モータの負荷を検出して、当該駆動モータ負荷が他の所定値を超えた場合には前記切削工具の切削送り速度を低下させることによって前記駆動モータ負荷を前記他の所定値以下に低下させる制御部とを備える溶接ビードの切削装置。
【請求項2】
前記制御部はさらに、前記モータ負荷が所定値を超えた状態で前記モータの回転数が上限に達した場合には、前記切削工具による切削深さを浅くさせることによって前記モータ負荷を前記所定値以下に低下させるように設定されている請求項1に記載の溶接ビードの切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溶接ビードを切削除去する切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アクスルハウジング5は図5に示すように、中央の略円形の本体部54とこれから左右へ収縮しつつ延びる筒状の車軸ケース部55とを備えている。これら本体部54と車軸ケース部55は、その各半部を構成するU字断面の半割体51,52を、互いにその開口側を対向させて衝合し溶接する(溶接部X)ことによって製造されている。また、車軸ケース部55の、本体部54に近い部分では両半割体51,52の間に形成される略三角空間内に三角板53を位置させて、その左右の傾斜辺をそれぞれ半割体51,52の開口縁に衝合し溶接している(溶接部Y)。
【0003】
なお、特許文献1には、アクスルハウジングの胴部構成部材を突合せ溶接する際に未溶接部を残すことなく板厚以上の暑さの突合せ溶接継手を確実に形成する溶接方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−328765
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図5の溶接部X,Yには外方へ盛り上がるビードが生じるため、従来は図5(1)に示すようにフライス加工機の回転ヘッド61で溶接ビードを切削除去しているが、フライス加工機では切削条件が固定されていることから、溶接ビードの高さが変動するのに対して、アクスルハウジング5本体を削り込まないように、ある程度の余裕をもって切削する必要がある。このため、往々にして溶接ビードの切削残部が高く残り、この切削残部を図5(2)に示すように人手でグラインダ62により除去する手間を要するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、溶接ビードの切削残部を可及的に小さくして、溶接ビードの除去作業を効率的に行うことが可能な溶接ビード切削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本第1発明では、ロボットアーム(1)の先端(11)に設けたモータ(3)と、当該モータ(3)の出力軸に装着されて、出力軸回りに回転させられることにより溶接ビードを切削除去する切削工具(4)と、切削加工時の前記モータ(3)の負荷を検出して、当該モータ負荷が所定値を超えた場合には前記モータ(3)の回転数を増大させることによって前記モータ負荷を前記所定値以下に低下させるとともに、前記ロボットアーム(1)の駆動モータの負荷を検出して、当該駆動モータ負荷が他の所定値を超えた場合には前記切削工具(4)の切削送り速度を低下させることによって前記駆動モータ負荷を前記他の所定値以下に低下させる制御部(2)とを備える。
【0008】
本第1発明によれば、高さや幅の異なる溶接ビードを実質的に残部を生じることなく切削する場合に、切削工具回転用のモータの負荷が所定値を超えて過負荷になった場合には、回転数を増大させて過負荷状態を解消しつつ、溶接ビードを、残部を生じることなく切削除去できる。これにより、切削残部を人手でグラインダによって除去する手間が省略される。さらに、ロボットアームの駆動モータが過負荷状態になった場合には、切削工具の切削送り速度を低下させることによって駆動モータの過負荷状態を解消しつつ、溶接ビードを、残部を生じることなく切削除去することができる。
【0009】
本第2発明によれば、前記制御部(2)はさらに、前記モータ負荷が所定値を超えた状態で前記モータの回転数が上限に達した場合には、前記切削工具による切削深さを浅くさせることによって前記モータ負荷を前記所定値以下に低下させるように設定されている。
【0010】
本第2発明によれば、モータ回転数の増大がこれ以上できない場合には、切削工具による切削深さを浅くさせることでモータの過負荷状態を解消する。この場合には、切削深さを浅くするために溶接ビードの残部が生じるが、この残部に対して再度切削を行うことによって溶接ビードを残部を生じることなく切削除去できる。
【0013】
上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の溶接ビード切削装置によれば、溶接ビードの切削残部を可及的に小さくして人手によるグラインダ掛け作業を不要にし、これによって溶接ビードの除去作業を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】溶接ビード切削装置の全体構成を示す斜視図である。
図2】モータ回転数を変更した場合のスピンドルモータの電流の経時変化を示すグラフである。
図3】切削深さを変更した場合のスピンドルモータの電流の経時変化を示すグラフである。
図4】切削送り速度を変更した場合のロボットアームの、サーボモータの電流の経時変化を示すグラフである。
図5】従来の溶接ビード切削工程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
なお、以下に説明する実施形態はあくまで一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が行う種々の設計的改良も本発明の範囲に含まれる。
【0017】
図1には溶接ビード切削装置の構成を示す。溶接ビード切削装置は三次元空間内の任意位置にその先端11を位置決め可能な6軸のロボットアーム1を備えており、ロボットアーム1の各軸の駆動モータたる駆動用ACサーボモータ(図示略)が制御部たる制御装置2に接続されている。ロボットアーム1の先端11には回転数可変のモータたるACスピンドルモータ3が保持されており、当該スピンドルモータ3の出力軸には切削工具4が装着されている。切削工具4は、上記出力軸回りに回転させられることによって被加工物を切削加工するものであり、特にその形状・種類等は限定されない。なお、スピンドルモータはACに限られず、DCでも良い。
【0018】
ロボットアーム1の各軸の位置ないし角度の検出信号が制御装置2に入力しており、制御装置2内に記憶された指令値を順次読み出すことによって当該指令値に追従するように、ロボットアーム先端11の位置および姿勢が駆動制御される。なお、上記各指令値は、制御装置2に接続されたティーチングパネル21によって予めロボットアーム1の先端11を所望の姿勢・軌跡で移動させるティーチングモードによって制御装置2内に記憶される。
【0019】
本実施形態では、ロボットアーム1の先端11にスピンドルモータ3に隣接させて変位センサとしてのライン型レーザセンサ6(図1)が設けられている。そして、当該レーザセンサ6のライン光が溶接部の溶接ビードに交差するように照射されて当該溶接ビードの高さが検出され、高さ検出信号が制御装置2にフィードバックされて、溶接ビードが実質的に全て切削除去されるように切削工具4を位置決めすべく上記指令値が補正されている。また、レーザセンサ6の検出信号より溶接ビードの幅(面積)が検出できることから、これに応じて切削条件を変更することも可能である。なお、変位センサはレーザセンサに限られるものではない。
【0020】
制御装置2においてはさらにロボットアーム1の各軸のサーボモータおよびスピンドルモータ3への供給電流が検出されており、供給電流が許容値を超えた場合にはモータ過負荷として後述のような処理がなされる。
【0021】
本実施形態では、従来技術で説明したアクスルハウジング5を構成する半割体51,52同士の溶接部Xと、半割体51,52と三角板53の溶接部Yに沿った溶接ビードの切削軌跡を、予めロボットアーム先端11の姿勢変更・移動軌跡の指令値として制御装置2に記憶しておく。
【0022】
さて、ロボットアーム先端11のスピンドルモータ3で切削工具4を回転させつつ各溶接部X,Yに沿って溶接ビードの切削除去を行う過程で、図2に示すようにスピンドルモータ3が過負荷になった場合には(図2のA点)、過負荷状態が解消されるようにスピンドルモータ3の回転数を増大(速く)させる。このようにして、スピンドルモータ3の過負荷がその回転数を増大させることによって回避される。なお、図2中、線xはスピンドルモータ3の電流、線yはスピンドルモータ3の回転数、線Th1はスピンドルモータ3の過負荷閾値を示す。
【0023】
回転数を上限まで増大させてもスピンドルモータ3の過負荷状態が解消しない場合には、図3に示すように、切削深さを浅くすることによって過負荷状態を解消する(図3のB点)。切削深さを浅くした場合には、この部分の溶接ビードの切削除去を繰り返すことになる。なお、図3中、線xはスピンドルモータ3の電流、線zは切削深さ、線Th1はスピンドルモータ3の過負荷閾値を示す。
【0024】
ロボットアーム1の各軸のサーボモータの一つが過負荷状態になった場合には(図4のC点)、ロボットアーム1による切削工具の送り速度を低下させることによって、サーボモータの過負荷状態を解消する。なお、図4中、線vはサーボモータの電流、線wは切削送り速度、線Th2はサーボスモータの過負荷閾値を示す。
【0025】
以上のように、スピンドルモータやサーボモータの過負荷状態を回避しつつロボットアームによって切削工具を溶接部に沿って移動させることによって、切削残部を可及的に小さくしつつ溶接ビードを切削除去することができるから、従来のような人手によるグラインダ掛けが不要となり、溶接ビードの切削除去の手間を大幅に軽減することができる。
【符号の説明】
【0026】
1…ロボットアーム、11…先端、2…制御装置(制御部)、3…スピンドルモータ(モータ)、4…切削工具。
図1
図2
図3
図4
図5