特許第6248537号(P6248537)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248537
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/03 20060101AFI20171211BHJP
   B60C 11/00 20060101ALI20171211BHJP
   B60C 11/12 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   B60C11/03 C
   B60C11/00 D
   B60C11/12 C
【請求項の数】28
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-221462(P2013-221462)
(22)【出願日】2013年10月24日
(65)【公開番号】特開2015-81076(P2015-81076A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年10月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】三好 雅章
(72)【発明者】
【氏名】甲田 啓
【審査官】 増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−156528(JP,A)
【文献】 特開平04−043105(JP,A)
【文献】 特開2000−108615(JP,A)
【文献】 特開2013−057041(JP,A)
【文献】 特開2011−012111(JP,A)
【文献】 特開平04−050006(JP,A)
【文献】 実開平05−093909(JP,U)
【文献】 特開2013−119306(JP,A)
【文献】 特開昭62−283001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/03
B60C 11/00
B60C 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向に凸となるV字形状を有すると共にタイヤ幅方向にトレッド部を横断して左右のトレッド端部に開口するV字横断溝を備え、複数の前記V字横断溝がV字形状の向きを揃えつつタイヤ周方向に所定間隔で配列された空気入りタイヤであって、
トレッド部センター領域および左右のトレッド部ショルダー領域が、タイヤ接地領域をタイヤ幅方向に三等分した各領域として定義され、
トレッド部ショルダー領域にて、タイヤ周方向に隣り合う一対の前記V字横断溝の間に配置されると共に前記トレッド端部からタイヤ赤道面に向かって延在し、トレッド部センター領域にて、前記一対のV字横断溝のうち前記V字形状の凸側にある一方の前記V字横断溝に連通すると共に他方の前記V字横断溝に連通しない連通横溝と、
前記トレッド部ショルダー領域に配置されると共に、タイヤ周方向に延在して前記V字横断溝および前記連通横溝に連通する周方向溝とを備え、且つ、
前記V字横断溝あるいは前記連通横溝が、前記周方向溝上に、タイヤ赤道面側に向かって前記V字横断溝のV字形状の凸側に屈曲する屈曲部を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記V字横断溝、前記連通横溝および前記周方向溝に区画されると共に前記周方向溝からタイヤ赤道面を越える位置まで連続して延在する長尺ブロックを備える請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
タイヤ周方向に連続して延在する周方向主溝を、前記周方向溝よりもタイヤ幅方向内側の領域に有さない請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
タイヤ赤道面におけるブロックの配置数が、タイヤ接地端におけるブロックの配置数よりも少ない請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記連通横溝が、前記周方向溝上に、タイヤ赤道面側に向かって前記V字横断溝のV字形状の凸側に屈曲する屈曲部を有する請求項1〜のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記周方向溝の溝幅が、3[mm]以上である請求項1〜5のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記周方向溝の溝深さが、前記V字横断溝の溝深さに対して50[%]以上80[%]以下の範囲内にある請求項1〜のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記周方向溝が、タイヤ周方向に連結された複数の傾斜溝部から成ると共に、前記傾斜溝部のタイヤ赤道面に対する傾斜角が、−15[deg]<0あるいは0<15[deg]の範囲内にある」請求項1〜9のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】
第一の前記V字横断溝と、
前記第一のV字横断溝のV字形状の凸側かつタイヤ赤道面を境界とする一方の領域に配置される第一の前記連通横溝と、
前記第一のV字横断溝との間に前記第一の連通横溝を挟んで配置される第二の前記V字横断溝と、
前記第二のV字横断溝のV字形状の凸側かつタイヤ赤道面を境界とする他方の領域に配置される第二の前記連通横溝とを、タイヤ周方向に繰り返し配置して成るトレッドパターンを備える請求項1〜のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項10】
前記第一のV字横断溝と前記第一の連通横溝とに区画されると共にタイヤ赤道面を境界とする前記一方の領域にてトレッド部ショルダー領域からタイヤ赤道面を越える位置まで連続して延在する第一の長尺ブロックと、
前記第二のV字横断溝と前記第二の連通横溝とに区画されると共にタイヤ赤道面を境界とする前記他方の領域にてトレッド部ショルダー領域からタイヤ赤道面を越える位置まで連続して延在する第二の長尺ブロックとを備え、且つ、
前記第一の長尺ブロックと前記第二の長尺ブロックとが、タイヤ赤道面上にてタイヤ周方向に交互に配置される請求項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項11】
タイヤ全周にかかるタイヤ幅方向に対するスノートラクションインデックスSTIが、160≦STI≦240の範囲にある請求項1〜10のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項12】
20[℃]におけるキャップトレッドゴムのJIS−A硬度が、50以上70以下の範囲内にある請求項1〜11のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項13】
少なくとも2本の前記連通横溝が、1本の前記V字横断溝に対して連通する請求項1〜12のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項14】
前記V字横断溝のV字形状の頂部と、タイヤ赤道面とが所定間隔をあけて配置される請求項1〜13のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項15】
前記V字横断溝のV字形状の頂部が、トレッド部センター領域に配置される請求項1〜14のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項16】
前記V字横断溝が、V字形状の頂部からトレッド端部に向かってタイヤ周方向に対する傾斜角を増加させた形状を有する請求項1〜15のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項17】
前記V字横断溝が、V字形状の頂部から左右のトレッド端部までの間に屈曲部をそれぞれ有し、且つ、左右の前記屈曲部が、タイヤ周方向に相互に所定間隔をあけて配置される請求項1〜16のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項18】
隣り合う前記V字横断溝が、タイヤ周方向に相互にラップして配置される請求項1〜17のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項19】
タイヤ赤道面に最も近い位置における前記連通横溝のタイヤ赤道面に対する傾斜角αが、0[deg]≦α≦30[deg]の範囲内にある請求項1〜18のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項20】
前記連通横溝と前記V字横断溝との交差角βが、20[deg]≦β≦60[deg]の範囲内にある請求項1〜19のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項21】
前記連通横溝と前記V字横断溝とが、トレッド部センター領域にて連通する請求項1〜20のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項22】
前記連通横溝が、少なくとも1本の前記V字横断溝のV字形状の頂部に連通する請求項1〜21のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項23】
前記V字横断溝と、前記連通横溝とに区画されて成るブロックを備え、且つ、
前記ブロックが、前記V字横断溝および前記連通横溝の少なくとも1本に開口する補助溝を有する請求項1〜22のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項24】
前記補助溝の開口位置における前記V字横断溝あるいは前記連通横溝のタイヤ周方向に対する傾斜方向と、前記補助溝の傾斜方向とが、相互に逆方向である請求項23に記載の空気入りタイヤ。
【請求項25】
前記V字横断溝と、前記連通横溝とに区画されて成るブロックを備え、且つ、
前記ブロックが、複数のサイプを有する請求項1〜24のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項26】
前記V字横断溝のV字形状の凸側をタイヤ回転方向として指定するマークあるいは凹凸を備える請求項1〜25のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項27】
タイヤ周方向に凸となるV字形状を有すると共にタイヤ幅方向にトレッド部を横断して左右のトレッド端部に開口するV字横断溝を備え、複数の前記V字横断溝がV字形状の向きを揃えつつタイヤ周方向に所定間隔で配列された空気入りタイヤであって、
トレッド部センター領域および左右のトレッド部ショルダー領域が、タイヤ接地領域をタイヤ幅方向に三等分した各領域として定義され、
トレッド部ショルダー領域にて、タイヤ周方向に隣り合う一対の前記V字横断溝の間に配置されると共に前記トレッド端部からタイヤ赤道面に向かって延在し、トレッド部センター領域にて、前記一対のV字横断溝のうち前記V字形状の凸側にある一方の前記V字横断溝に連通すると共に他方の前記V字横断溝に連通しない連通横溝と、
前記トレッド部ショルダー領域に配置されると共に、タイヤ周方向に延在して前記V字横断溝および前記連通横溝に連通する周方向溝とを備え、且つ、
前記V字横断溝が、V字形状の頂部から左右のトレッド端部までの間に屈曲部をそれぞれ有し、且つ、左右の前記屈曲部が、タイヤ周方向に相互に所定間隔をあけて配置されることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項28】
タイヤ周方向に凸となるV字形状を有すると共にタイヤ幅方向にトレッド部を横断して左右のトレッド端部に開口するV字横断溝を備え、複数の前記V字横断溝がV字形状の向きを揃えつつタイヤ周方向に所定間隔で配列された空気入りタイヤであって、
トレッド部センター領域および左右のトレッド部ショルダー領域が、タイヤ接地領域をタイヤ幅方向に三等分した各領域として定義され、
トレッド部ショルダー領域にて、タイヤ周方向に隣り合う一対の前記V字横断溝の間に配置されると共に前記トレッド端部からタイヤ赤道面に向かって延在し、トレッド部センター領域にて、前記一対のV字横断溝のうち前記V字形状の凸側にある一方の前記V字横断溝に連通すると共に他方の前記V字横断溝に連通しない連通横溝と、
前記トレッド部ショルダー領域に配置されると共に、タイヤ周方向に延在して前記V字横断溝および前記連通横溝に連通する周方向溝とを備え、且つ、
隣り合う前記V字横断溝が、タイヤ周方向に相互にラップして配置されることを特徴とする空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、スノー制動性能およびウェット性能を向上できる空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のウインタータイヤでは、スノー制動性能に加えて、高いウェット性能(ウェット制動性能およびウェット操安性能)が要求されている。この点において、複数のV字横断溝をタイヤ周方向に配列して成るトレッドパターンが開発されている。かかる構成を採用する従来の空気入りタイヤとして、特許文献1〜5に記載される技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010−513117号公報
【特許文献2】特開平10−324116号公報
【特許文献3】特開平9−058218号公報
【特許文献4】特開2003−182312号公報
【特許文献5】特開2012−096784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、スノー制動性能およびウェット性能を向上できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ周方向に凸となるV字形状を有すると共にタイヤ幅方向にトレッド部を横断して左右のトレッド端部に開口するV字横断溝を備え、複数の前記V字横断溝がV字形状の向きを揃えつつタイヤ周方向に所定間隔で配列された空気入りタイヤであって、トレッド部センター領域および左右のトレッド部ショルダー領域が、タイヤ接地領域をタイヤ幅方向に三等分した各領域として定義され、トレッド部ショルダー領域にて、タイヤ周方向に隣り合う一対の前記V字横断溝の間に配置されると共に前記トレッド端部からタイヤ赤道面に向かって延在し、トレッド部センター領域にて、前記一対のV字横断溝のうち前記V字形状の凸側にある一方の前記V字横断溝に連通すると共に他方の前記V字横断溝に連通しない連通横溝と、前記トレッド部ショルダー領域に配置されると共に、タイヤ周方向に延在して前記V字横断溝および前記連通横溝に連通する周方向溝とを備え、且つ、前記V字横断溝あるいは前記連通横溝が、前記周方向溝上に、タイヤ赤道面側に向かって前記V字横断溝のV字形状の凸側に屈曲する屈曲部を有することを特徴とする。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ周方向に凸となるV字形状を有すると共にタイヤ幅方向にトレッド部を横断して左右のトレッド端部に開口するV字横断溝を備え、複数の前記V字横断溝がV字形状の向きを揃えつつタイヤ周方向に所定間隔で配列された空気入りタイヤであって、トレッド部センター領域および左右のトレッド部ショルダー領域が、タイヤ接地領域をタイヤ幅方向に三等分した各領域として定義され、トレッド部ショルダー領域にて、タイヤ周方向に隣り合う一対の前記V字横断溝の間に配置されると共に前記トレッド端部からタイヤ赤道面に向かって延在し、トレッド部センター領域にて、前記一対のV字横断溝のうち前記V字形状の凸側にある一方の前記V字横断溝に連通すると共に他方の前記V字横断溝に連通しない連通横溝と、前記トレッド部ショルダー領域に配置されると共に、タイヤ周方向に延在して前記V字横断溝および前記連通横溝に連通する周方向溝とを備え、且つ、前記V字横断溝が、V字形状の頂部から左右のトレッド端部までの間に屈曲部をそれぞれ有し、且つ、左右の前記屈曲部が、タイヤ周方向に相互に所定間隔をあけて配置されることを特徴とする。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ周方向に凸となるV字形状を有すると共にタイヤ幅方向にトレッド部を横断して左右のトレッド端部に開口するV字横断溝を備え、複数の前記V字横断溝がV字形状の向きを揃えつつタイヤ周方向に所定間隔で配列された空気入りタイヤであって、トレッド部センター領域および左右のトレッド部ショルダー領域が、タイヤ接地領域をタイヤ幅方向に三等分した各領域として定義され、トレッド部ショルダー領域にて、タイヤ周方向に隣り合う一対の前記V字横断溝の間に配置されると共に前記トレッド端部からタイヤ赤道面に向かって延在し、トレッド部センター領域にて、前記一対のV字横断溝のうち前記V字形状の凸側にある一方の前記V字横断溝に連通すると共に他方の前記V字横断溝に連通しない連通横溝と、前記トレッド部ショルダー領域に配置されると共に、タイヤ周方向に延在して前記V字横断溝および前記連通横溝に連通する周方向溝とを備え、且つ、隣り合う前記V字横断溝が、タイヤ周方向に相互にラップして配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明にかかる空気入りタイヤでは、連通横溝が一対のV字横断溝のうちV字形状の凸側にある一方のV字横断溝にのみ連通して、他方のV字横断溝に連通しないので、連通横溝と他方のV字横断溝との間のブロックの剛性が確保される。これにより、連通横溝が一対のV字横断溝の双方に対して連通する構成と比較して、タイヤのスノー制動性能およびウェット性能が向上する利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。
図2図2は、図1に記載した空気入りタイヤのトレッド面を示す平面図である。
図3図3は、図2に記載した空気入りタイヤのトレッド面を示す拡大図である。
図4図4は、図2に記載した空気入りタイヤのトレッドパターンを示す説明図である。
図5図5は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
図6図6は、従来例の空気入りタイヤを示すトレッド平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0009】
[空気入りタイヤ]
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。同図は、タイヤ径方向の片側領域を示している。また、同図は、空気入りタイヤの一例として、乗用車用ラジアルタイヤを示している。なお、符号CLは、タイヤ赤道面である。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸(図示省略)に平行な方向をいい、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向をいう。
【0010】
この空気入りタイヤ1は、タイヤ回転軸を中心とする環状構造を有し、一対のビードコア11、11と、一対のビードフィラー12、12と、カーカス層13と、ベルト層14と、トレッドゴム15と、一対のサイドウォールゴム16、16と、一対のリムクッションゴム17、17とを備える(図1参照)。
【0011】
一対のビードコア11、11は、環状構造を有し、左右のビード部のコアを構成する。一対のビードフィラー12、12は、一対のビードコア11、11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置されてビード部を補強する。
【0012】
カーカス層13は、左右のビードコア11、11間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層13の両端部は、ビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側に巻き返されて係止される。また、カーカス層13は、スチールあるいは有機繊維材(例えば、アラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなど)から成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で85[deg]以上95[deg]以下のカーカス角度(タイヤ周方向に対するカーカスコードの繊維方向の傾斜角)を有する。
【0013】
ベルト層14は、一対の交差ベルト141、142と、ベルトカバー143とを積層して成り、カーカス層13の外周に掛け廻されて配置される。一対の交差ベルト141、142は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で10[deg]以上30[deg]以下のベルト角度を有する。また、一対の交差ベルト141、142は、相互に異符号のベルト角度(タイヤ周方向に対するベルトコードの繊維方向の傾斜角)を有し、ベルトコードの繊維方向を相互に交差させて積層される(クロスプライ構造)。ベルトカバー143は、コートゴムで被覆されたスチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードを圧延加工して構成され、絶対値で10[deg]以上45[deg]以下のベルト角度を有する。また、ベルトカバー143は、交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側に積層されて配置される。
【0014】
トレッドゴム15は、カーカス層13およびベルト層14のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。一対のサイドウォールゴム16、16は、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて左右のサイドウォール部を構成する。一対のリムクッションゴム17、17は、左右のビードコア11、11およびビードフィラー12、12のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて、左右のビード部を構成する。
【0015】
[トレッドパターン]
図2は、図1に記載した空気入りタイヤのトレッド面を示す平面図である。同図は、ウインタータイヤのトレッドパターンを示している。なお、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸周りの方向をいう。
【0016】
特に、ウインタータイヤでは、スノー制動性能に加えて、高いウェット性能(排水性能)が要求される。そこで、この空気入りタイヤ1は、スノー制動性能およびウェット性能を向上するために、溝の配置および形状を工夫した以下の構成を採用している。
【0017】
ここで、左右のタイヤ接地端Tに区画された領域をタイヤ幅方向に3等分して、その中央領域をトレッド部センター領域と呼び、左右の領域をトレッド部ショルダー領域と呼ぶ。
【0018】
タイヤ接地端Tとは、タイヤが規定リムに装着されて規定内圧を付与されると共に静止状態にて平板に対して垂直に置かれて規定荷重に対応する負荷を加えられたときのタイヤと平板との接触面におけるタイヤ軸方向の最大幅位置をいう。
【0019】
また、規定リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、規定荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。ただし、JATMAにおいて、乗用車用タイヤの場合には、規定内圧が空気圧180[kPa]であり、規定荷重が最大負荷能力の88[%]である。
【0020】
この空気入りタイヤ1は、複数のV字横断溝2と、複数の連通横溝3と、左右一対の周方向溝4とを備える(図2参照)。
【0021】
V字横断溝2および連通横溝3は、主溝であり、JATMAに規定するスリップサインの表示義務を有する溝をいう。具体的には、(1)3.0[mm]以上の溝幅を有する溝のうち最大溝深さを有する溝、(2)3.0[mm]以上の溝幅を有する溝のうち(1)の溝の溝深さから1.7[mm]を差し引いた値よりも深い溝深さを有する溝、(3)前記(1)の溝および前記(2)の溝よりも広い溝幅を有する溝のうち前記(1)の溝深さから4.0[mm]を差し引いた値よりも深い溝深さを有する溝が該当する。
【0022】
溝幅は、溝中心線を法線とする断面視にて、トレッド踏面での溝幅の最大値として測定される。また、溝幅は、溝開口部の面取部や切欠部を除外して測定される。
【0023】
溝深さは、トレッドプロファイルから溝底までの距離の最大値として測定される。また、溝深さは、溝底に形成された部分的な底上部を除外して測定される。
【0024】
V字横断溝2は、タイヤ周方向に凸となるV字形状を有する主溝であり、トレッド部をタイヤ幅方向に横断して左右のトレッド端部にそれぞれ開口する。すなわち、V字横断溝2は、トレッド端部に対する左右の開口部を基準として、タイヤ周方向の一方向に突出した単一の頂部21を有する。このため、V字横断溝2は、V字形状の頂部21からタイヤ周方向に向かうに連れてタイヤ赤道面CLから離間し、左右のトレッド端部に向かってタイヤ幅方向に延在する。また、複数のV字横断溝2が、V字形状の向きを揃えつつタイヤ周方向に所定間隔で配列される。
【0025】
トレッド端部とは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態としたときのタイヤのトレッド模様部分の両端部をいう。
【0026】
連通横溝3(例えば、図2における連通横溝3a)は、トレッド部ショルダー領域にて、タイヤ周方向に隣り合う一対のV字横断溝2a、2bの間に配置されて、トレッド端部からタイヤ赤道面CLに向かって延在する。また、1本の連通横溝3a(3b)は、トレッド部センター領域にて、一対のV字横断溝2a、2bのうちV字形状の凸側にある一方のV字横断溝2b(2a)に連通するが、他方のV字横断溝2a(2b)には連通しない。すなわち、連通横溝3a(3b)は、トレッド部センター領域にて、一対のV字横断溝2a、2bのうち連通横溝3a(3b)に対してV字形状の山側を向けるV字横断溝2a(2b)から離隔して配置される。
【0027】
なお、トレッド部センター領域にて、連通横溝3a(3b)とV字横断溝2a(2b)とが連通しないことは、連通横溝3a(3b)とV字横断溝2a(2b)との間に、後述する長尺ブロック51が形成されることを意味する。
【0028】
周方向溝4(例えば、図2における周方向溝4a)は、トレッド部ショルダー領域に配置され、タイヤ周方向に延在してV字横断溝2(2a、2b)および連通横溝3(3a)に連通する。
【0029】
周方向溝4の溝幅は、3[mm]以上であることが好ましい。また、周方向溝4の溝深さは、V字横断溝2の溝深さに対して50[%]以上80[%]以下の範囲内にあることが好ましく、60[%]以上70[%]以下の範囲内にあることがより好ましい。
【0030】
例えば、図2の構成では、V字横断溝2、連通横溝3および周方向溝4が以下のように配置されて、トレッドパターンが構成されている。
【0031】
まず、左右対称な2種類のV字横断溝2a、2bが、V字形状の向きを揃えつつタイヤ周方向に所定間隔で交互に配置されている。また、隣り合う一対のV字横断溝2a、2bの間に、1本の連通横溝3a(3b)が配置されている。また、タイヤ赤道面CLを境界とする一方の領域に配置される連通横溝3aと、他方の領域に配置される連通横溝3bとが、タイヤ周方向に交互に配置されている。このため、タイヤ赤道面CLを境界とする片側領域に着目すると、一対のV字横断溝2a、2bと1本の連通横溝3a(3b)とを一組としたユニットがタイヤ周方向に繰り返し配列されている。また、連通横溝3a、3bが、タイヤ赤道面CLを境界とする左右の領域に、タイヤ周方向に向かって千鳥状に配列されている。また、左右一対の周方向溝4a、4bが、タイヤ左右のショルダー領域にそれぞれ配置されている。これにより、方向性を有する左右非対称なトレッドパターンが形成されている。
【0032】
また、V字横断溝2が、トレッド部のセンター領域にV字形状の頂部21を有し、この頂部21から左右非対称に延在して、左右のトレッド端部に開口している。また、V字横断溝2の頂部21の屈曲角が、90[deg]以上150[deg]以下の範囲内にある。また、連通横溝3a(3b)を挟んで隣り合う一対のV字横断溝2a、2bは、同一の溝幅および同一の溝深さを有し、タイヤ赤道面CLを軸として左右対称な構造を有している。
【0033】
また、V字横断溝2のV字形状の頂部21が、センター領域に配置されている。また、V字横断溝2のV字形状の頂部21と、タイヤ赤道面CLとが所定間隔をあけて配置されている。すなわち、V字横断溝2の頂部21が、タイヤ赤道面CLから外れた位置にある。また、タイヤ周方向に隣り合うV字横断溝2a、2bの頂部21、21が、タイヤ周方向に向かって左右交互に配置されている。これにより、車両旋回時におけるタイヤの排水性能が高められている。
【0034】
また、V字横断溝2が、V字形状の頂部21からトレッド端部に向かってタイヤ周方向に対する傾斜角(0[deg]〜90[deg])を増加させた形状を有している。これにより、V字横断溝2が、V字形状の頂部21からタイヤ周方向に向かうに連れてタイヤ赤道面CLから離間し、左右のトレッド端部に向かってタイヤ幅方向に延在している。
【0035】
また、ショルダー領域におけるV字横断溝2a、2bのタイヤ幅方向に対する傾斜角が、V字形状の凸側を正として−10[deg]以上+20[deg]以下の範囲内にあることが好ましい。すなわち、V字横断溝2は、ショルダー領域にてタイヤ幅方向に略平行となることが好ましい。また、V字横断溝2の傾斜角が−10[deg]以上である場合(図示省略)には、ショルダー領域におけるV字横断溝2の部分が、タイヤ幅方向外側に向かってV字形状の凸側に傾斜する。
【0036】
また、V字横断溝2が、周方向溝4上に、タイヤ赤道面CL側に向かってV字形状の凸側に屈曲する屈曲部22を有している。すなわち、V字横断溝2が、周方向溝4との連通部に屈曲部22を有する。また、屈曲部22が、トレッド部ショルダー領域にある。これにより、この屈曲部22におけるブロックのエッジ成分が増加して、タイヤの雪上性能が高められている。また、屈曲部22がタイヤ左右のショルダー領域に千鳥状に配置されることにより、複数の屈曲部22がタイヤ周方向に分散して配置されて、スノー制動性能が高められている。
【0037】
また、周方向溝4との連通部におけるV字横断溝2の屈曲部22の屈曲角γが、120[deg]≦γ≦160[deg]の範囲内にあることが好ましい(図3参照)。これにより、タイヤのスノー制動性能が効果的に向上する。なお、屈曲角γは、周方向溝4との連通部におけるV字横断溝2の溝中心線を基準として測定される。
【0038】
また、隣り合うV字横断溝2、2が、タイヤ周方向に相互にラップして配置されている。具体的には、一方のV字横断溝2のV字形状の凸部が、他方のV字横断溝2のV字形状の凹部に挿入されて間隔を詰めて配置されることにより、隣り合うV字横断溝2、2がタイヤ周方向に相互に重なり合って配置されている。これにより、タイヤ周方向にかかるV字横断溝2、2の配置密度が高められている。
【0039】
また、1本の連通横溝3が、2本のV字横断溝2、2に連通している。このように、連通横溝3は、少なくとも2本のV字横断溝2に連通することが好ましい。例えば、図2の構成では、上記のように、1本の連通横溝3a(3b)が、タイヤ周方向に隣り合う一対のV字横断溝2a、2b(2b、2a)の間に配置されている。また、タイヤ赤道面CLを境界とする片側領域にて、これらの一対のV字横断溝2a、2bと1本の連通横溝3a(3b)とを一組としたユニットが、タイヤ周方向に繰り返し配列されている。また、連通横溝3a(3b)が、トレッド部ショルダー領域にて、トレッド端部からタイヤ赤道面CLに向かって一対のV字横断溝2a、2bに対して平行に延在し、トレッド部センター領域にて、V字横断溝2のV字形状の凸側に屈曲してタイヤ周方向に延在している。そして、連通横溝3a(3b)が、連通横溝3a(3b)を挟み込む一対のV字横断溝2a、2bのうちV字形状の凸側にある一方のV字横断溝2bをタイヤ周方向に貫通し、さらに、隣のユニットまで延在して隣のユニットのV字横断溝2aに連通している。これにより、1本の連通横溝3aが2本のV字横断溝2b、2aを接続し、また、連通横溝3aがトレッド端部に開口することにより、V字横断溝2b、2aからトレッド端部への排水経路が確保されて、タイヤの排水性能が高められている。
【0040】
なお、連通横溝3は、少なくとも1本のV字横断溝2に連通すれば良い。また、連通横溝3は、図2のようにV字横断溝2で終端しても良いし、ブロック内で終端しても良い(図示省略)。
【0041】
また、連通横溝3が、一方の端部にてトレッド端部に開口し、他方の端部にてトレッド内部で終端している。これにより、トレッド部のエッジ成分が増加して、タイヤのスノー制動性能が高められている。
【0042】
また、連通横溝3が、周方向溝4上に、タイヤ赤道面CL側に向かってV字形状の凸側に屈曲する屈曲部32を有している。すなわち、連通横溝3が、周方向溝4との連通部に屈曲部32を有する。また、屈曲部32が、トレッド部ショルダー領域にある。これにより、この屈曲部32におけるブロックのエッジ成分が増加して、タイヤの雪上性能が高められている。また、屈曲部32がタイヤ左右のショルダー領域に千鳥状に配置されることにより、複数の屈曲部32がタイヤ周方向に分散して配置されて、スノー制動性能が高められている。
【0043】
図3は、図2に記載した空気入りタイヤのトレッド面を示す拡大図である。同図は、タイヤ赤道面CLを境界とする片側領域を示している。
【0044】
図2の構成では、図3に示すように、1本の連通横溝3が、2つの屈曲部31、32を有している。また、連通横溝3が、これらの屈曲部31、32にて屈曲することにより、タイヤ周方向に対する傾斜角(0[deg]〜90[deg])を変化させている。これにより、連通横溝3のタイヤ周方向に対する傾斜角が、タイヤ赤道面CL側からトレッド端部側に向かうに連れて段階的に増加している。
【0045】
また、このとき、左右のショルダー領域では、連通横溝3のタイヤ軸方向に対する傾斜角が、V字横断溝2のV字形状の凸側を正として−10[deg]以上+20[deg]以下の範囲内にあることが好ましい。すなわち、連通横溝3は、ショルダー領域にてタイヤ幅方向に略平行となることが好ましい。
【0046】
また、タイヤ赤道面CLに最も近い位置における連通横溝3のタイヤ赤道面CLに対する傾斜角αが、0[deg]≦α≦30[deg]の範囲内にあることが好ましい。すなわち、連通横溝3は、タイヤ赤道面CLの近傍にて、タイヤ周方向に延在することが好ましい。また、連通横溝3の傾斜角αが、部分的にタイヤ赤道面CLに平行(α=0[deg])となっても良い。なお、傾斜角αは、タイヤ赤道面CLと、連通横溝3の溝中心線とのなす角として測定される。
【0047】
例えば、図3の構成では、連通横溝3が、タイヤ赤道面CLの近傍にて2本のV字横断溝2、2に連通している。また、連通横溝3の傾斜角αが、タイヤ赤道面CLに最も近い部分で最も小さく、タイヤ赤道面CLからトレッド端部に向かうに連れて2つの屈曲部31、32で段階的に増加して、トレッド部ショルダー領域で最も大きくなっている。これにより、トレッド部センター領域での排水性能が高められ、また、ウェット性能が高められている。
【0048】
また、連通横溝3と2本のV字横断溝2、2との交差角β1、β2が、20[deg]≦β1≦60[deg]および20[deg]≦β2≦60[deg]の範囲内にある。これにより、センター領域におけるブロックのエッジ成分が高められている。なお、交差角β1、β2は、連通横溝3とV字横断溝2との連通位置における溝中心線のなす角として測定される。
【0049】
また、図2の構成では、図3の拡大図が示すように、1本の周方向溝4が、タイヤ周方向に連結された複数の傾斜溝部41から構成されている。
【0050】
傾斜溝部41は、タイヤ赤道面CLに対して±15[deg]以下の範囲で傾斜する。また、傾斜溝部41は、トレッド部ショルダー領域に配置されて、タイヤ周方向に隣り合う一対のV字横断溝2、2を連結し、あるいは、タイヤ周方向に隣り合うV字横断溝2と連通横溝3とを連結する。そして、タイヤ周方向に隣り合う傾斜溝部41の開口部が、相互に位置を揃えて配置されることにより、タイヤ周方向に連続する1本の周方向溝4が形成される。
【0051】
また、上記のように、傾斜溝部41がタイヤ周方向に対して傾斜するため、タイヤ周方向に隣り合う傾斜溝部41、41の開口部が若干オフセットして配置される。このため、周方向溝4が、V字横断溝2および連通横溝3との連通部にて小さく屈曲するジグザグ形状を有している。これにより、エッジ成分が増加して、タイヤのウェット性能が高められている。
【0052】
このとき、隣り合う傾斜溝部41、41の開口部のオフセット量gが、1[mm]≦g≦3[mm]の範囲内にあることが好ましい。オフセット量gは、隣り合う傾斜溝部41、41の溝中心線を基準として測定される。
【0053】
また、図2の構成では、図3の拡大図が示すように、空気入りタイヤ1が、複数の傾斜補助溝6を備えている。これらの傾斜補助溝6により、エッジ成分が増加して、タイヤのウェット性能が高められている。
【0054】
傾斜補助溝6は、タイヤ赤道面CLに対して10[deg]以上90[deg]以下の傾斜角をもって傾斜する補助溝である。また、傾斜補助溝6は、3.0[mm]以下の溝幅と、5.0[mm]以下の溝深さとを有する。このため、傾斜補助溝6は、V字横断溝2、連通横溝3および周方向溝4に区画されたブロック51〜53を実質的に分断せず、また、JATMAに規定するスリップサインの表示義務を有さない。
【0055】
また、傾斜補助溝6は、V字横断溝2および連通横溝3の少なくとも一方に開口して配置される。図2の構成では、傾斜補助溝6が、隣り合うV字横断溝2、2同士あるいは隣り合うV字横断溝2と連通横溝3とを連結している。しかし、これに限らず、傾斜補助溝6が、一方の端部にてブロック51〜53内で終端しても良い(図示省略)。
【0056】
なお、1つのブロック51が複数の傾斜補助溝6を有する構成では、図3に示すように、傾斜補助溝6のタイヤ赤道面CLに対する傾斜角が、タイヤ赤道面CL側にある傾斜補助溝6ほど大きい(タイヤ回転軸に平行に近づく)ことが好ましい。これにより、傾斜補助溝6によるエッジ成分がさらに適正化される。
【0057】
また、図2の構成では、図3の拡大図が示すように、空気入りタイヤ1が、複数のサイプ7を備えている。これらのサイプ7により、スノー制動性能が高められている。
【0058】
なお、図3の構成では、サイプ7が、トレッド平面視にてジグザグ形状を有し、且つ、ジグザグ形状の屈曲点に枝部71を有している。また、枝部71が、ジグザグ形状の屈曲点からサイプ7の延在方向に対して直交する方向かつ片側方向に延在して、他のサイプに連通することなく、ブロック51〜53の内部で終端している。かかるサイプにより、スノー制動性能が効果的に高められている。
【0059】
図4は、図2に記載した空気入りタイヤのトレッドパターンを示す説明図である。同図は、トレッドパターンを構成する単位パターンのブロック列を示している。図2のトレッドパターンは、図4のブロック列をタイヤ周方向に繰り返し配置して構成される。なお、図4では、ブロック51〜53の平面形状を見易くするために、傾斜補助溝6およびサイプ7の記載が省略されている。
【0060】
図2の構成では、図4に示すように、空気入りタイヤ1が、3種類のブロック51〜53を配列して成るブロックパターンを有する。
【0061】
第一のブロック51は、周方向溝4から少なくともタイヤ赤道面CLまで連続的に延在する長尺ブロックである。
【0062】
図4の構成では、上記のように、タイヤ赤道面CLを境界とする片側領域にて、1本の連通横溝3a(3b)が、隣り合う一対のV字横断溝2a、2b(2b、2a)の間に配置されている。また、連通横溝3が、トレッド部センター領域に屈曲部31を有し、タイヤ赤道面CL側に向かってV字横断溝2のV字形状の凸側に屈曲している。また、連通横溝3a(3b)が、一方のV字横断溝2b(2a)に連通し、他方のV字横断溝2a(2b)には連通しない。このため、1つの長尺ブロック51が、他方のV字横断溝2a(2b)のV字形状の山側面と、連通横溝3a(3b)の屈曲形状の背側面と、周方向溝4a(4b)の幅方向内側面とに区画されている。そして、長尺ブロック51が、周方向溝4a(4b)からタイヤ赤道面CLを越える位置までタイヤ幅方向に連続的に延在している。また、複数の長尺ブロック51がタイヤ赤道面CLを境界とする左右の領域からタイヤ赤道面CLに向かって交互に延在している。これにより、タイヤ赤道面CL上に、複数の長尺ブロック51から成る1列のブロック列が形成されている。
【0063】
なお、1つの長尺ブロック51は、JATMAに規定するスリップサインの表示義務を有する溝(主溝)により分断されない限り、連続しているといえる。したがって、長尺ブロック51は、上記した傾斜補助溝6、サイプ7、カーフ(図示省略)などを有しても良い。
【0064】
第二のブロック52は、周方向溝4からタイヤ赤道面CLの手前まで連続的に延在する短尺ブロックである。
【0065】
図4の構成では、タイヤ赤道面CLを境界とする片側領域にて、1つの短尺ブロック52が、連通横溝3a(3b)の屈曲形状の腹側面と、V字横断溝2b(2a)のV字形状の谷側面と、周方向溝4a(4b)のタイヤ幅方向内側面とに区画されている。あるいは、1つの短尺ブロック52が、隣り合う一対のV字横断溝2b、2a(2a、2b)と、連通横溝3a(3b)と、周方向溝4a(4b)とに区画されている。また、連通横溝3a(3b)が、トレッド部センター領域に屈曲部31を有し、タイヤ赤道面CLに交差することなくタイヤ周方向に延在している。これにより、短尺ブロック52が、タイヤ赤道面CLに交差することなく、タイヤ赤道面CLから離間して配置されている。
【0066】
第三のブロック53は、周方向溝4のタイヤ幅方向外側に配置されるショルダーブロックである。
【0067】
図4の構成では、複数のショルダーブロック53が、複数のV字横断溝2と、連通横溝3と、周方向溝4のタイヤ幅方向外側面とに区画されている。これにより、タイヤ左右のタイヤ接地端T、T上に、複数のショルダーブロック53から成る1列のブロック列がそれぞれ形成されている。
【0068】
また、図4の構成では、タイヤ赤道面CLにおける長尺ブロック51の配置数が、タイヤ接地端Tにおけるショルダーブロック53の配置数よりも少ない。具体的には、タイヤ赤道面CLにおける長尺ブロック51の配置数と、タイヤ接地端Tにおけるショルダーブロック53の配置数との比が、2:3となっている。
【0069】
なお、この空気入りタイヤ1では、タイヤ全周にかかるタイヤ幅方向に対するスノートラクションインデックスSTI(いわゆる90[deg]スノートラクションインデックス)が、160≦STI≦240の範囲にある。
【0070】
スノートラクションインデックスSTIは、SAE(Society of Automotive Engineers)にて提案されたユニロイヤル社の実験式であり、以下の数式(1)により定義される。同式において、Pgは、溝密度[1/mm]であり、タイヤ接地面におけるタイヤ幅方向に投影したすべての溝(サイプを除くすべての溝)の溝長さと、タイヤ接地面積(タイヤ接地幅とタイヤ周長との積)との比として算出される。また、ρsは、サイプ密度[1/mm]であり、タイヤ接地面におけるタイヤ幅方向に投影したすべてのサイプのサイプ長さと、タイヤ接地面積との比として算出される。また、Dgは、タイヤ接地面におけるタイヤ幅方向に投影したすべての溝の溝深さの平均値である。
【0071】
STI=−6.8+2202×Pg+672×ρs+7.6×Dg ・・・(1)
【0072】
また、この空気入りタイヤ1では、トレッドゴム15が、キャップトレッドゴムおよびアンダートレッドゴムから成り(図示省略)、20[℃]におけるキャップトレッドゴムのJIS−A硬度が、50以上70以下の範囲内にある。ゴム硬度とは、JIS−K6253に準拠したJIS−A硬度をいう。
【0073】
[回転方向の指定]
また、この空気入りタイヤ1は、V字横断溝2のV字形状の凸側をタイヤ回転方向(図2参照)とする指定を有する。タイヤ回転方向とは、タイヤ使用時にて使用頻度が高い回転方向をいい、例えば、車両前進時における回転方向をいう。この回転方向の指定は、例えば、タイヤのサイドウォール部に付されたマークや凹凸によって表示される。
【0074】
[効果]
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に凸となるV字形状を有すると共にタイヤ幅方向にトレッド部を横断して左右のトレッド端部に開口するV字横断溝2を備える(図2参照)。また、複数のV字横断溝2がV字形状の向きを揃えつつタイヤ周方向に所定間隔で配列される。また、空気入りタイヤ1は、連通横溝3と、周方向溝4とを備える。1本の連通横溝3a(3b)は、トレッド部ショルダー領域にて、タイヤ周方向に隣り合う一対のV字横断溝2a、2b(2b、2a)の間に配置されると共にトレッド端部からタイヤ赤道面CLに向かって延在し、トレッド部センター領域にて、一対のV字横断溝2a、2b(2b、2a)のうちV字形状の凸側にある一方のV字横断溝2b(2a)に連通すると共に他方のV字横断溝2a(2b)に連通しない。周方向溝4は、トレッド部ショルダー領域に配置されると共に、タイヤ周方向に延在してV字横断溝2および連通横溝3に連通する。
【0075】
かかる構成では、(1)複数のV字横断溝2が配置されることにより、空気入りタイヤ1がV字横断溝2のV字形状の頂部21をタイヤ回転方向にして車両に装着されたときに(図2参照)、V字横断溝2が排水経路となって、タイヤのウェット性能(ウェット制動性能およびウェット操縦安定性能)が向上する利点がある。
【0076】
また、(2)連通横溝3a(3b)が一方のV字横断溝2b(2a)に連通してトレッド部センター領域からショルダー領域まで延在するので、V字横断溝2b(2a)から連通横溝3a(3b)への排水経路が形成されて、タイヤのウェット性能がさらに向上する利点がある。
【0077】
また、(3)V字横断溝2および連通横溝3により、トレッド部のエッジ成分が増加して、タイヤのスノー制動性能が向上する利点がある。
【0078】
また、(4)連通横溝3a(3b)が一対のV字横断溝2a、2b(2b、2a)のうちV字形状の凸側にある一方のV字横断溝2b(2a)にのみ連通して、他方のV字横断溝2a(2b)に連通しないので、連通横溝3a(3b)と他方のV字横断溝2a(2b)との間の長尺ブロック51の剛性が確保される。これにより、連通横溝が一対のV字横断溝の双方に対して連通する構成(図示省略)と比較して、タイヤのウェット性能が向上する利点がある。
【0079】
また、この空気入りタイヤ1は、V字横断溝2a(2b)、連通横溝3a(3b)および周方向溝4a(4b)に区画されると共に周方向溝4a(4b)からタイヤ赤道面CLを越える位置まで連続して延在する長尺ブロック51を備える(図2参照)。かかる構成では、周方向溝4a(4b)からタイヤ赤道面CLまで連続する長尺ブロック51が配置されることにより、ブロック剛性が確保されて、タイヤのドライ性能が向上する利点がある。
【0080】
また、この空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に連続して延在する周方向主溝(JATMAに規定するスリップサインの表示義務を有する周方向溝)を、周方向溝4よりもタイヤ幅方向内側の領域に有さない(図2参照)。かかる構成では、ハイドロ作用する。これにより、周方向溝よりもタイヤ幅方向内側の領域に配置された構成(例えば、後述する図6の従来例)と比較して、タイヤのウェット性能が向上する利点がある。
【0081】
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ赤道面CLにおける長尺ブロック51の配置数が、タイヤ接地端Tにおけるショルダーブロック53の配置数よりも少ない(図2参照)。かかる構成では、ブロック剛性が確保されて、タイヤのドライ性能が向上する利点がある。
【0082】
また、この空気入りタイヤ1では、V字横断溝2が、周方向溝4上に、タイヤ赤道面CL側に向かってV字横断溝2のV字形状の凸側に屈曲する屈曲部22を有する(図2参照)。かかる構成では、V字横断溝2の屈曲部22により区画されたブロック51〜53のエッジ成分が確保されるので、タイヤのスノー制動性能が向上する利点がある。
【0083】
また、この空気入りタイヤ1では、連通横溝3が、トレッド部センター領域に、タイヤ赤道面CL側に向かってV字横断溝2のV字形状の凸側に屈曲する屈曲部31を有する(図2参照)。かかる構成では、連通横溝3が屈曲部31を有することにより、連通横溝3の傾斜角が屈曲部31の前後で変化する。これにより、連通横溝3の排水性が向上して、タイヤのウェット性能が向上する利点がある。
【0084】
また、この空気入りタイヤ1では、連通横溝3が、周方向溝4上に、タイヤ赤道面CL側に向かってV字横断溝2のV字形状の凸側に屈曲する屈曲部32を有する(図2参照)。かかる構成では、連通横溝3の屈曲部32により区画されたブロック51〜53のエッジ成分が確保されるので、タイヤのスノー制動性能が向上する利点がある。
【0085】
また、この空気入りタイヤ1では、周方向溝4の溝幅が、3[mm]以上である。これにより、周方向溝4の溝幅が確保されて、タイヤのウェット性能が向上する利点がある。
【0086】
また、この空気入りタイヤ1では、周方向溝4の溝深さが、V字横断溝2の溝深さに対して50[%]以上80[%]以下の範囲内にある。これにより、ブロック51〜53の剛性が確保されて、タイヤのウェット性能が向上する利点がある。具体的には、周方向溝4の溝深さが50[%]以上であることにより、タイヤのスノー制動性能が確保され、周方向溝4の溝深さが80[%]以下であることにより、タイヤのウェット性能が向上する。
【0087】
また、この空気入りタイヤ1では、周方向溝4が、タイヤ周方向に連結された複数の傾斜溝部41から成ると共に、傾斜溝部41のタイヤ赤道面CLに対する傾斜角が、±15[deg]の範囲内にある。これにより、傾斜溝部41の傾斜角が適正化されて、タイヤの雪上制動性能が向上する利点がある。
【0088】
また、この空気入りタイヤ1は、第一のV字横断溝2aと、第一のV字横断溝2aのV字形状の凸側かつタイヤ赤道面CLを境界とする一方の領域(例えば、図2の右側領域)に配置される第一の連通横溝3aと、第一のV字横断溝2aとの間に第一の連通横溝3aを挟んで配置される第二のV字横断溝2bと、第二のV字横断溝2bのV字形状の凸側かつタイヤ赤道面CLを境界とする他方の領域(例えば、図2の左側領域)に配置される第二の連通横溝3bとを、タイヤ周方向に繰り返し配置して成るトレッドパターンを備える(図2参照)。これにより、V字横断溝2a、2bおよび連通横溝3a、3bの配置構造が適正化されて、タイヤのウェット性能およびスノー制動性能が向上する利点がある。
【0089】
また、この空気入りタイヤ1では、第一のV字横断溝2aと第一の連通横溝3aとに区画されると共にタイヤ赤道面CLを境界とする一方の領域(例えば、図2の右側領域)にてトレッド部ショルダー領域(図2では、周方向溝4a)からタイヤ赤道面CLを越える位置まで連続して延在する第一の長尺ブロック(図2の右側領域のブロック)51と、第二のV字横断溝2bと第二の連通横溝3bとに区画されると共にタイヤ赤道面CLを境界とする他方の領域(例えば、図2の左側領域)にてトレッド部ショルダー領域(図2では、周方向溝4b)からタイヤ赤道面CLを越える位置まで連続して延在する第二の長尺ブロック(図2の左側領域のブロック)51とを備え、且つ、第一の長尺ブロック51と第二の長尺ブロック51とが、タイヤ赤道面CL上にてタイヤ周方向に交互に配置される(図2および図4参照)。これにより、長尺ブロック51の配列が適正化されて、タイヤのウェット性能およびスノー制動性能が向上する利点がある。
【0090】
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ全周にかかるタイヤ幅方向に対するスノートラクションインデックスSTIが、160≦STI≦240の範囲にある。これにより、スノートラクションインデックスSTIが適正化される利点がある。すなわち、160≦STIであることにより、タイヤのスノー制動性能が確保され、STI≦240であることにより、タイヤのウェット性能が確保される。
【0091】
また、この空気入りタイヤ1では、20[℃]におけるキャップトレッドゴムのJIS−A硬度が、50以上70以下の範囲内にある。これにより、キャップトレッドの硬度が適正化される利点がある。すなわち、キャップトレッドの硬度が50以上であることにより、ブロック剛性が確保されて、タイヤのスノー制動性能が確保される。また、キャップトレッドの硬度が70以下であることにより、タイヤのウェット性能が確保される。
【0092】
また、この空気入りタイヤ1では、少なくとも2本の連通横溝3a、3bが、1本のV字横断溝2a(2b)に対して連通する(図2参照)。これにより、V字横断溝2a(2b)と連通横溝3a、3bとの連通部が増加して、タイヤの排水性能がより向上する利点がある。
【0093】
また、この空気入りタイヤ1では、V字横断溝2のV字形状の頂部21と、タイヤ赤道面CLとが所定間隔をあけて配置される(図2参照)。これにより、車両旋回時におけるタイヤの排水性能が向上する利点がある。
【0094】
また、この空気入りタイヤ1では、V字横断溝2のV字形状の頂部21が、トレッド部センター領域に配置される(図2参照)。これにより、センター領域からトレッド端部への排水経路が確保されて、タイヤの排水性能が向上する利点がある。
【0095】
また、この空気入りタイヤ1では、V字横断溝2が、V字形状の頂部21からトレッド端部に向かってタイヤ周方向に対する傾斜角を増加させた形状を有する(図2参照)。これにより、タイヤの排水性能が向上する利点がある。
【0096】
また、この空気入りタイヤ1では、V字横断溝2が、V字形状の頂部21から左右のトレッド端部までの間に屈曲部22、22をそれぞれ有し、且つ、左右の屈曲部22、22が、タイヤ周方向に相互に所定間隔をあけて配置される(図2参照)。これにより、屈曲部22、22によるエッジ成分がタイヤ周方向に分散されて、タイヤのスノー制動性能が向上する利点がある。
【0097】
また、この空気入りタイヤ1では、隣り合うV字横断溝2a、2bが、タイヤ周方向に相互にラップして配置される(図2参照)。これにより、V字横断溝2a、2bが密に配置されて、タイヤのウェット性能およびスノー制動性能が向上する利点がある。
【0098】
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ赤道面CLに最も近い位置における連通横溝3のタイヤ赤道面CLに対する傾斜角αが、0[deg]≦α≦30[deg]の範囲内にある(図3参照)。これにより、タイヤの排水性能が向上する利点がある。
【0099】
また、この空気入りタイヤ1では、連通横溝3とV字横断溝2との交差角β(β1、β2)が、20[deg]≦β≦60[deg]の範囲内にある(図3参照)。これにより、連通横溝3とV字横断溝2とに区画されたブロック52の剛性バランスが適正となり、ウェット操縦安定性能が向上する利点がある。
【0100】
また、この空気入りタイヤ1では、連通横溝3とV字横断溝2とが、トレッド部センター領域にて連通する(図2参照)。これにより、タイヤの排水性能が向上する利点がある。
【0101】
また、この空気入りタイヤ1では、連通横溝3が、少なくとも1本のV字横断溝2のV字形状の頂部21に連通する(図2参照)。これにより、複数の排水経路が確保されて、タイヤの排水性能が向上する利点がある。
【0102】
また、この空気入りタイヤ1は、V字横断溝2と、連通横溝3とに区画されて成るブロック51〜53を備える(図3参照)。また、ブロック51〜53が、V字横断溝2および連通横溝3の少なくとも1本に開口する補助溝(例えば、図3の傾斜補助溝6)を有する。これにより、タイヤのウェット性能およびスノー制動性能が向上する利点がある。
【0103】
また、この空気入りタイヤ1は、補助溝(例えば、図3の傾斜補助溝6)の開口位置におけるV字横断溝2あるいは連通横溝3のタイヤ周方向に対する傾斜方向と、補助溝の傾斜方向とが、相互に逆方向である(図3参照)。これにより、タイヤのウェット性能およびスノー制動性能が向上する利点がある。
【0104】
また、この空気入りタイヤ1では、ブロック51〜53が、複数のサイプ7を有する(図3参照)。これにより、タイヤのスノー制動性能が向上する利点がある。
【0105】
[回転方向の指定]
また、この空気入りタイヤ1は、V字横断溝2のV字形状の凸側をタイヤ回転方向(図2参照)として指定するマークあるいは凹凸を備える。タイヤ回転方向とは、タイヤ使用時にて使用頻度が高い回転方向をいい、例えば、車両前進時における回転方向をいう。この回転方向の指定は、例えば、タイヤのサイドウォール部に付される。空気入りタイヤ1が上記のタイヤ回転方向の指定に従って車両に装着されることにより、上記したタイヤのウェット性能およびスノー制動性能が向上する利点がある。
【実施例】
【0106】
図5は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。図6は、従来例の空気入りタイヤを示すトレッド平面図である。
【0107】
この性能試験では、相互に異なる複数の空気入りタイヤについて、(1)スノー制動性能、(2)ウェット制動性能および(3)ウェット操安性能に関する評価が行われた。この性能試験では、タイヤサイズ195/65R15の空気入りタイヤがリムサイズ15×6Jのリムに組み付けられ、この空気入りタイヤに空気圧220[kPa]およびJATMA規定の最大負荷が付与される。また、空気入りタイヤが、試験車両である排気量1500[cc]クラスのFF(front engine front drive)車両に装着される。
【0108】
(1)スノー制動性能に関する評価では、試験車両が雪路試験場のスノー路面を走行し、走行速度40[km/h]からの制動距離が測定される。そして、この測定結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、数値が大きいほど好ましい。
【0109】
(2)ウェット制動性能に関する評価では、試験車両が水深1[mm]で散水したアスファルト路を走行し、走行速度100[km/h]からの制動距離が測定される。そして、この測定結果に基づいて、従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、数値が大きいほど好ましい。
【0110】
(3)ウェット操安性能に関する評価では、試験車両が水深1[mm]で散水したアスファルト路を速度100[km/h]で走行し、テストドライバーが操縦安定性に関する官能評価を行う。この評価は、従来例を基準(100)とした指数評価により行われ、その数値が大きいほど好ましい。
【0111】
従来例の空気入りタイヤは、図6に示すトレッドパターンを備え、トレッド部センター領域に2本の周方向主溝を備え、また、トレッド部ショルダー領域に、2本の周方向細溝を有している。また、従来例の空気入りタイヤは、複数のV字横断溝と、周方向主溝に連通する一方でV字横断溝には連通しないラグ溝を有している。
【0112】
実施例1〜7の空気入りタイヤ1は、図2および図3に示すトレッドパターンを基調として、一部を変更した構成を有している。また、V字横断溝2および連通横溝3が、溝幅5.0[mm]および溝深さ8.5[mm]をそれぞれ有している。また、V字横断溝2の頂部21の屈曲角が100[deg]に設定されている。また、V字横断溝2の傾斜角αが、8[deg]であり、連通横溝3とV字横断溝2との交差角β1、β2が、40[deg]である。また、タイヤ赤道面CLにおける長尺ブロック51の配置数が、44個〜54個であり、タイヤ接地端Tにおけるショルダーブロック53の配置数が、66個〜81個である。
【0113】
試験結果に示すように、実施例1〜7の空気入りタイヤ1では、従来例の空気入りタイヤと比較して、タイヤのスノー制動性能、ウェット制動性能およびウェット操安性能が向上することが分かる。
【符号の説明】
【0114】
1:空気入りタイヤ、2、2a、2b:V字横断溝、22:屈曲部、3、3a、3b:連通横溝、31、32:屈曲部、4、4a、4b:周方向溝、41:傾斜溝部、51:長尺ブロック、52:短尺ブロック、53:ショルダーブロック、6:傾斜補助溝、7:サイプ、11:ビードコア、12:ビードフィラー、13:カーカス層、14:ベルト層、141、142:交差ベルト、143:ベルトカバー、15:トレッドゴム、16:サイドウォールゴム、17:リムクッションゴム
図1
図2
図3
図4
図5
図6