(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂との混合樹脂のいずれかである、請求項2に記載の抗菌フィルム。
前記支持層に、さらに耐ピンホール性樹脂層、酸素バリア性樹脂層、光沢性樹脂層、水蒸気バリア性樹脂層、および耐レトルト性樹脂層の少なくともいずれかの機能性層が積層されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の抗菌フィルム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開平05−000074号公報に記載の容器に用いられているキトサンは水溶性である。このため、散布手段によりキトサンを表面に保持させたフィルムは抗菌効果が高いものの、接触する食品中にキトサンを溶出させる性質がある。つまり、キトサンを表面に保持させたフィルムは、食品にとって無用の添加剤を添加するものとなる点で問題となる。一方で、キトサンが層の中に包含されている場合には抗菌効果に問題がある。
【0006】
国際公開第2008/139593号パンフレットに記載の包装容器用プラスチックシートは、ほとんどの抗菌剤がポリエチレンフィルムの中に包含されているため、抗菌効果に問題がある。
【0007】
そこで本発明の目的は、抗菌性が高く、且つ食品に対する安全性の高い抗菌フィルムおよび包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)
一局面に従う抗菌フィルムは、少なくとも、シーラント層と、シーラント層に接触して積層された支持層とを含む。シーラント層には、抗菌粒子が埋め込まれている。抗菌粒子の表面の一部は、シーラント層の、支持層と反対側の面から露出している。抗菌粒子の露出の程度としては、抗菌粒子が埋め込まれていない場合のシーラント層の当該反対側の面の面積に対する、露出した抗菌粒子の表面の一部の面積およびシーラント層の当該反対側の面の面積の和(露出した抗菌粒子の表面の一部の面積およびシーラント層の当該反対側の面の面積の和/抗菌粒子が埋め込まれていない場合のシーラント層の当該反対側の面の面積)が、1.005以上である。
【0009】
本発明における抗菌粒子は、水に対して不溶性である。水に対して不溶性であるとは、25℃の水に対する溶解度が100ppm以下であることを意味する。このため、本発明の抗菌フィルムが食品包装に用いられる場合において、食品に対する安全性が高い。
【0010】
このように、本発明の抗菌フィルムは、抗菌粒子の表面の一部がある程度確実に露出しているため、本発明の抗菌フィルムは抗菌性に優れる。さらに、当該抗菌性は即効性を示す。その即効性は、JISZ2801に準拠したプラスチックフィルムの抗菌試験を行った場合、好気性菌であるシュードモナスおよび嫌気性である乳酸菌のいずれに対しても、10000個程度植菌後6時間経過時の残菌数がたとえば2個未満となる程度で達成可能である。
【0011】
さらに、抗菌粒子の表面の一部が露出する側と反対側に、支持層が直接的に積層されているため、外観性にも優れる。
【0012】
(2)
本発明においては、支持層を構成する樹脂およびシーラント層を構成する樹脂が、ポリオレフィン系樹脂であってよい。
【0013】
このように、支持層を構成する樹脂とシーラント層を構成する樹脂とが同類であることにより、フローマークの発生、および支持層とシーラント層との間の界面荒れによる曇度低下を抑制できるため、外観性に優れる。
なお、支持層を構成する樹脂とシーラント層を構成する樹脂とは、上述の樹脂であれば、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0014】
(3)
本発明においては、ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂との混合樹脂のいずれかであってよい。
【0015】
これによって、本発明の抗菌フィルムの製造時(たとえば、成形時、製袋時等)の取扱性に優れる。取扱性としては、滑り性、シール性その他の取扱容易性が挙げられる。
【0016】
(4)
本発明においては、抗菌粒子が無機系抗菌剤であってよい。
【0017】
これによって、本発明の抗菌フィルムは、抗菌粒子自身が抗菌対象へ移行することを抑制できるため、安全性が高いものとなる。
【0018】
(5)
本発明においては、抗菌粒子が、2μm以上10μm以下の平均粒子径を有するものであってよい。
【0019】
これによって、本発明の抗菌フィルムが製膜安定性に優れ、且つ、シーラント層内の光分散の抑制作用により透明性にも優れる。
【0020】
(6)
本発明においては、シーラント層が、抗菌粒子の平均粒子径の50%以上300%以下の層厚を有するものであってよい。
【0021】
これによって、シーラント層から抗菌粒子が好ましく露出し、本発明の抗菌フィルムがより抗菌性に優れたものとなる。
なお、シーラント層の厚みとは、シーラント層を構成する樹脂の部分だけではなく、シーラント層を構成する樹脂からはみ出た抗菌粒子のはみ出し部分も考慮した、平均厚みを意味する。
【0022】
(7)
本発明においては、支持層に、さらに耐ピンホール性樹脂層、酸素バリア性樹脂層、光沢性樹脂層、水蒸気バリア性樹脂層、および耐レトルト性樹脂層の少なくともいずれかの機能性層が積層されていてよい。
【0023】
これによって、本発明の抗菌フィルムが外観性を担保しつつ、耐ピンホール性、酸素バリア性、光沢性、水蒸気バリア性、および耐レトルト性の少なくともいずれかの機能が付与される。なお、機能性層の積層態様としては、支持層に接して直接的に積層される場合と、他の層(たとえば接着性層)を介して間接的に積層される場合との両方の態様がある。
【0024】
(8)
他の局面に従う包装体は、(1)から(7)のいずれかに記載の抗菌フィルムを含む。
【0025】
これによって、本発明の包装体は、安全性、抗菌性および外観性に優れる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によって、安全性、抗菌性および外観性に優れた抗菌フィルムおよび包装体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の要素には同一の符号を付しており、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0029】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態にかかる抗菌フィルムの一例を示す模式的断面図である。
図2は、
図1の一部拡大図である。なお、以下において、説明の便宜上、
図1および
図2の上側への方向を上、下側への方向を下と記載する場合があるが、それらの方向が、製造時および使用時における絶対的方向を指すものでははい。
【0030】
[抗菌フィルム]
図1に示すように、抗菌フィルム100は、シーラント層210と、支持層220と、抗菌粒子230と、中間層300と、外層400と、接着層510,520を含む。
支持層220は、シーラント層210上に接触して設けられる。中間層300は、支持層220上に、接着層510を介して設けられる。さらに外層400は、中間層300上に、接着層520を介して設けられる。
【0031】
図2に示すように、シーラント層210には、抗菌粒子230が埋め込まれている。さらに、埋め込まれた抗菌粒子230の表面の一部231は、支持層220と反対側の面211からはみ出して露出する。露出する抗菌粒子230の表面の一部231の面積(露出面積)と、抗菌粒子230が露出していない面211の面積との和は、抗菌粒子230が埋め込まれていない場合のシーラント層210の仮想面211Vの面積の1.005倍、好ましくは1.01倍である。抗菌性は、抗菌粒子230の露出面積をある程度確保することで頭打ちとなるため、当該露出面積の範囲内の上限値は特に限定されない。一方、透明性確保の観点からは、当該露出面積の範囲内の上限値はたとえば1.1倍である。
【0032】
抗菌フィルム100は、抗菌粒子230が上述のとおり露出しているため、たとえば、JISZ2801に準拠した抗菌性試験にて定義されている、抗菌効果の判断基準「菌活性値2.0以上」を達成できる。
【0033】
抗菌粒子230の平均粒子径は、たとえば、2μm以上10μm以下、好ましくは2.5μm以上8μm以下である。平均粒子径が2μm以上であることで、抗菌粒子が露出しやすく、且つ、シーラント層内の光の分散を抑制することができる。また、平均粒子径が10μm以下であることで、製膜安定性に優れる。
なお、平均粒子径とは、レーザー回折散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
【0034】
シーラント層210の厚みT1(
図1参照)は、の抗菌粒子230の粒径に近い厚みで設計されることが好ましい。具体的には、抗菌粒子230の平均粒子径のたとえば50%以上300%以下である。さらに、シーラント層210の厚みT1の範囲は、60%,70%,80%,90%,100%,110%,150%,200%,250%のいずれか2つの数値を上下限値とする範囲であってもよい。より具体的には、シーラント層210の厚みT1の範囲は、たとえば、3μm以上15μm以下、好ましくは3.5μm以上12.5μm以下である。
厚みT1が、抗菌粒子230の平均粒子径の50%以上であることにより、透明性が良好となり、300%以下であることにより、抗菌粒子230が露出しやすくなり、抗菌性が担保されやすい。
【0035】
ここで、本発明においては、
図1に示すシーラント層210の厚みT1、後述の支持層220の厚みT2および抗菌フィルム100の総厚T4を規定する面211Mおよび/または面212Mは、抗菌粒子230がシーラント層210の面211,212(
図2参照)からはみ出した面を考慮して平均化された面である。したがって、
図1に示すシーラント層210の厚みT1、後述の支持層220の厚みT2および抗菌フィルム100の総厚T4は、抗菌粒子230のはみ出しを考慮した平均厚みを意味する。
【0036】
シーラント層210の厚みT1が抗菌粒子230に近い薄厚で構成されるため、
図2に示すように、抗菌粒子230の中には、他の表面の一部232が支持層220側の面212からはみ出すものがあってもよい。したがってこの場合、シーラント層210の面212は表面平滑性に乏しい。シーラント層210の面212の表面非平滑性を緩衝するため、支持層220が設けられる。具体的には、シーラント層210の面212からはみ出した抗菌粒子230の他の表面の一部232が、支持層220内に嵌入することによって、シーラント層210の面212の表面非平滑性を緩衝する。これによって、支持層220の、シーラント層210と反対側の面222は平滑となる。
【0037】
支持層220の厚みT2は、上述の緩衝機能を確保するために、たとえば抗菌粒子230の平均粒子径の300%以上、好ましくは400%以上とすることができる。上記範囲を下回ると、シーラント層210の面212の表面非平滑性の緩衝が不十分となり、外観性に悪影響を与える傾向がある。当該厚みにT2の範囲内の上限値は特に限定されるものではないが、例えば4700%、好ましくは4000%である。上記範囲を上回ると、抗菌フィルム100全体の薄膜化が困難になる場合がある。
【0038】
抗菌フィルム100の総厚T4は、40μm以上300μm以下、一例として100μmである。また、抗菌フィルム100の曇度は、40%以下、好ましくは30%以下である。
【0039】
[シーラント層]
シーラント層210を構成する樹脂は、熱可塑性透明樹脂であることが多い。好ましくは、ポリオレフィン系樹脂である。ポリオレフィン系樹脂としては、たとえば炭素数2以上12以下、好ましくは2以上6以下のα−オレフィンの単独重合体または共重合体が挙げられる。
【0040】
共重合体の場合、共重合様式としては、交互共重合、ランダム共重合およびブロック共重合を問わない。たとえば、エチレンモノマーまたはプロピレンモノマーと、他のα−オレフィンモノマーとのランダムおよび/またはブロック共重合体、具体的にはポリプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1ペンテン共重合体、及びポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリブテン−1などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で、または複数種の組み合わせで用いることができる。
【0041】
本発明においては、ポリオレフィン系樹脂が、エチレンの単独重合体および共重合体(ポリエチレン系樹脂)、プロピレンの単独重合体および共重合体(ポリプロピレン系樹脂)、ならびにポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂との混合樹脂から選択されることが好ましい。
【0042】
ポリエチレン系樹脂のうち、エチレン単独重合樹脂は、実質的にエチレンモノマーのみから構成される分岐状ポリエチレンである。透明性の観点から、エチレン単独重合樹脂の密度は、910kg/m
3以上930kg/m
3未満であることが好ましい。このような分岐状ポリエチレンの好ましい例として、低密度ポリエチレン(LDPE)が挙げられる。
【0043】
ポリエチレン系樹脂のうち、エチレン共重合樹脂は、エチレンモノマーと、その他のコモノマーとから構成される樹脂である。好ましくは、ポリエチレンの直鎖を主鎖として、コモノマーに由来する側鎖を有する直鎖系エチレン共重合樹脂である。また、エチレン共重合樹脂は、下記の樹脂を単独でまたは複数種の混合態様で用いてもよい。
【0044】
エチレン共重合樹脂のコモノマーとしては、α−オレフィン、ビニル化合物、およびアクリルアミド系化合物の少なくともいずれかが挙げられる。
【0045】
コモノマーとしてのα−オレフィンは、炭素数3以上20以下、好ましくは3以上12以下、より好ましくは4以上8以下である。より具体的には、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等が挙げられる。これらα−オレフィンは、1種または2種以上が組み合わされて用いられてよい。
【0046】
α−オレフィンをコモノマーとするエチレン共重合樹脂のより具体的な例としては、直鎖低密度ポリエチレン(L−LDPE) 、中密度ポリエチレン(MDPE)および高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。
【0047】
コモノマーとしてのビニル化合物は、たとえば、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどの不飽和エーテルなどであってよい。これらビニル化合物は、1種または2種以上が組み合わされて用いられてよい。
【0048】
コモノマーとしてのアクリルアミド系化合物は、たとえば、N−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N−アルキルメタアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタアクリルアミドなどであってよい。これらアクリルアミド系化合物は、1種または2種以上が組み合わされて用いられてよい。
【0049】
ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン系樹脂であってよい。また、ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンと他の少量のコモノマーであるα−オレフィンとのランダムおよび/またはブロック共重合体であってもよい。コモノマーとしてのα−オレフィンは、エチレンまたは炭素数4以上20以下、好ましくは3以上12以下、より好ましくは4以上8以下である。より具体的には、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等が挙げられる。これらα−オレフィンは、1種または2種以上が組み合わされて用いられてよい。
より具体的には、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、及びポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリブテン−1などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で、または複数種の組み合わせで用いることができる。
【0050】
[抗菌粒子]
抗菌粒子230は、抗菌性物質と、抗菌性物質を担持する担体とを含む。
本発明における抗菌粒子230は、抗菌性物質を有する不溶性の粒子である。好ましくは、抗菌性物質が無機系抗菌物質の無機系抗菌剤である。無機系抗菌剤には、抗菌粒子自体の移行が抑制されるため安全性の高いものが多く、特に、抗菌フィルム100を食品包装に適用する場合に有用である。
【0051】
無機系抗菌物質としては、銀、銅、および亜鉛が挙げられる。この中でも、銀が抗菌効果および安全性の観点から好ましい。担体としては、ゼオライト(結晶性アルミノケイ酸塩)、シリカゲル、粘土鉱物などのケイ酸塩系担体、リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウムなどのリン酸塩系担体、溶解性ガラス、活性炭、金属担体、有機金属などが挙げられる。
【0052】
なお、本発明は、抗菌粒子230として、抗菌性物質を有する不溶性の粒子である限り、抗菌性物質が有機系抗菌物質である有機系抗菌剤を除外するものではない。有機系抗菌物質としては、安全性の観点から当業者が適宜選択することができ、たとえば、イソチオシアン酸アリル、ヒノキチオールなどのテルペン類が挙げられる。
【0053】
[支持層]
支持層220は、実質的に抗菌粒子230を含まない層である。実質的に抗菌粒子230を含まないとは、
図2で説明したように、シーラント層210の面212からはみ出した抗菌粒子230の他の表面の一部232が嵌入している部分を除いて、抗菌粒子230を含んでいないことをいう。
【0054】
支持層220を構成する樹脂は、可撓性を有する透明樹脂である。好ましくは、支持層220を構成する樹脂は、ポリオレフィン系樹脂である。ポリオレフィン系樹脂としては、シーラント層210を構成する樹脂として例示したものが挙げられる。
【0055】
支持層220を構成する樹脂は、シーラント層210を構成する樹脂と同じであってもよいし、異なっていてもよい。本発明においては、支持層220を構成する樹脂が、シーラント層210を構成する樹脂と同じである場合、両層の境界が不明瞭であっても、シーラント層210と支持層220とは互いに接触して積層された状態であるとする。この場合、露出する抗菌粒子230の表面の一部231の面積(露出面積)と、抗菌粒子230が露出していない面211の面積との和が、抗菌粒子230が埋め込まれていない場合のシーラント層210の仮想面211Vの面積の1.005倍、好ましくは1.01倍であるとともに、シーラント層210と支持層220との層厚の和T3(
図1参照)が抗菌粒子230の平均粒子径の360%以上5000%以下であれば、本発明の構成であると判断することができる。
【0056】
支持層220は、抗菌フィルム100の透明性を好ましく確保するために、内部ヘイズが10%以下であることが好ましい。ここで、支持層220の内部ヘイズとは、支持層220によって発生しうる散乱に起因する曇りの度合である。具体的には、JIS−K−7105に準じてフィルムヘイズを測定するときに、フィルム(抗菌フィルム100)表面の凸凹による光散乱を排除するために、当該フィルムの両面に透明テープを貼ったサンプルを作成し、ヘイズメータを用いて内部ヘイズを測定し、フィルム内部(支持層220)の光散乱のみを抽出したものである。
【0057】
[中間層および外層]
中間層300および外層400は、隣接層の物性、抗菌フィルム100の用途、製法、および/または包装体700(後述)製造時の処理(高温加熱処理等のレトルト処理、低温ボイル処理等)を考慮し、所望する機能に応じて当業者が適宜決定することができる。これらの層に担わせる機能としては、機械的物性(たとえば剛性、耐衝撃性、耐屈曲性および耐ピンホール性など)、耐レトルト性、耐水性、帯電防止性、耐薬品性、保香性、非吸着性、酸素バリア性、水蒸気バリア性、光沢性、ラベル適性(すなわち、ラベルが曲面に追従して貼り付け可能であり、かつ、貼り付け時から長時間経過しても剥がれ落ちにくい特性)等が挙げられる。
【0058】
例えば、耐ピンホール性樹脂層としては、ポリアミド系樹脂の層が挙げられる。ポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリカプラミド(ナイロン−6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン−7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン−9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン−2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン−4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン−6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン−8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン−10,8)、共重合樹脂であるカプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン−6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−6/6,6)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−12/6,6)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−2,6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,12)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,10)等といった結晶性ポリアミド、その主骨格がテレフタル酸およびイソフタル酸のうちの少なくとも一方とヘキサメチレンジアミンとが重合したもの、具体的には、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン−テレフタル酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン−テレフタル酸−ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸の共重合体などといった非晶性のポリアミド系樹脂が用いられる。これらの樹脂は、単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
【0059】
酸素バリア性樹脂層としては、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物(エチレン−ビニルアルコール共重合体;EVOH)の層が挙げられる。EVOHのエチレン共重合比率は、特に限定されないが、24モル%以上44モル%以下であることが好ましい。エチレン共重合比率が24モル%以上であることによって、抗菌フィルム100の加工性に優れ、加熱水または蒸気の影響によって酸素バリア性が低下することを良好に抑制できる。エチレン共重合比率が44モル%以下であることにより、乾燥状況下における酸素バリア性が良好となり、内容物の変質が起こりにくくなる。
【0060】
水蒸気バリア性樹脂層としては、高密度ポリエチレン(HDPE)およびポリプロピレン系樹脂の層が挙げられる。
高密度ポリエチレン(HDPE)は、エチレンモノマーが実質的に直鎖状に結合した、密度0.942以上の結晶性ポチエチレンである。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば結晶性ポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。具体的には、結晶性ポリプロピレン系樹脂として、結晶性プロピレン単独重合体、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体、結晶性プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、エチレンおよびα−オレフィンの少なくとも一方とプロピレンとの結晶性ブロック共重合体などが挙げられる。上記のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数4以上10以下のα−オレフィンが挙げられる。なお、これらα−オレフィンは、任意の比率で共重合されてよい。
【0061】
光沢性樹脂層としては、ポリエステル系樹脂の層が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、例えば酸成分としてテレフタル酸などの2価の酸、またはエステル形成能を持つそれらの誘導体を用い、グリコール成分として炭素数2以上10以下のグリコール、その他の2価のアルコールまたはエステル形成能を有するそれらの誘導体などを用いて得られる飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。具体的には、飽和ポリエステル系樹脂として、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリテトラメチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂などのポリアルキレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。これらポリエステル系樹脂により、抗菌フィルム100の見栄えおよび質感の少なくとも一方を向上させることができる。
【0062】
また、ポリエステル系樹脂には、他の成分を共重合させてもよい。共重合させる成分としては、公知の酸成分、アルコール成分、フェノール成分、またはエステル形成能を持つこれらの誘導体、ポリアルキレングリコール成分などが用いられる。
【0063】
共重合させる酸成分としては、例えば、2価以上の炭素数8以上22以下の芳香族カルボン酸、2価以上の炭素数4以上12以下の脂肪族カルボン酸、2価以上の炭素数8以上15以下の脂環式カルボン酸、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体などが用いられる。具体的には、共重合させる酸成分として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボジフェニル)メタンアントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびエステル形成能を有するこれらの誘導体などが挙げられる。これらの酸成分は、単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
【0064】
共重合させるアルコール成分およびフェノール成分としては、例えば、2価以上の炭素数2以上15以下の脂肪族アルコール、2価以上の炭素数6以上20以下の脂環式アルコール、炭素数6以上40以下の2価以上の芳香族アルコール、2価以上のフェノール、またはエステル形成能を有するこれらの誘導体などが挙げられる。具体的には、共重合させるアルコール成分およびフェノール成分として、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の化合物、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体などが挙げられる。
【0065】
共重合させるポリアルキレングリコール成分としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、これらのランダムまたはブロック共重合体、ビスフェノール化合物のアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、これらのランダムまたはブロック共重合体など)付加物などの変性ポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。
【0066】
耐レトルト性樹脂層としては、ポリアミド系樹脂の層と酸素バリア性樹脂層との積層が挙げられる。より具体的には、ポリアミド系樹脂の層、酸素バリア層、およびポリアミド系樹脂の層がこの順で積層されたものが挙げられる。酸素バリア層の両面にそれぞれ接するようにポリアミド系樹脂の層が直接積層されることにより、レトルト処理によって低下する酸素バリア性の回復を助ける。つまり、レトルト処理により吸湿された水分は、酸素バリア性樹脂層に保持されるとともに、酸素バリア層の両面にそれぞれ直接ポリアミド系樹脂の層が積層されることで接着剤層のようなポリオレフィン樹脂の防湿性を有する層を有さないことにより、酸素バリア性樹脂層に吸収された水分が速やかに排出される。これにより、レトルト処理によって低下する酸素バリア性の回復が好ましく助けられると考えられる。ただし、本発明においては、耐レトルト性を発揮するメカニズムは上述に限られるものではない
【0067】
また、耐レトルト性樹脂層の構成層となる酸素バリア性樹脂層は、ポリアミド樹脂とエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)とを含有する樹脂組成物を含むものであってよい。これによって耐熱バリア性を付与することもできる。これにより、レトルト処理により低下した酸素バリア性のより早い回復が可能となる。
【0068】
尚、耐レトルト性樹脂層の構成層となる酸素バリア性樹脂層にポリアミド系樹脂を含む場合、ポリアミド系樹脂の含有量は、5重量%以上、30重量%以下であることが好ましく、15重量%以上、25重量%以下であることがより好ましい。ポリアミド系樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、EVOHの良好な酸素バリア性を保持しつつ、レトルト処理後の酸素バリア性の早い回復が可能となる。
【0069】
EVOH樹脂のエチレン共重合比率は、特に限定されないが、20モル%以上、60モル%以下であることが好ましく、25モル%以上50モル%以下であることがより好ましい。エチレン共重合比率を25モル%以上であることにより押出しが容易であり、50モル%以下であることにより酸素バリア性を良好に保つことができる。
【0070】
さらに、抗菌フィルム100で内容物を包装した後の包装体に低温ボイル処理、例えば60℃以上、95℃以下程度の加熱滅菌処理を行う場合、耐熱性の高いポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、融点の高いポリエステル系樹脂などの層であることが好ましい。
【0071】
また、抗菌フィルム100で内容物を包装した後の包装体に加熱滅菌処理を行わない場合、包装体の見栄えおよび手にしたときの質感の少なくとも一方を向上させるために、光沢性または剛性が良好なポリエステル系樹脂、ラベル適性または剛性が良好なEVOH樹脂などであることが好ましい。
【0072】
[接着層]
接着層510,520を構成する樹脂は、支持層220、中間層300および外層400それぞれを構成する樹脂の特性(具体的には、層間の接着強度、層を構成する樹脂の腰の強さ、耐ピンホール性、柔軟性または成形性など)に応じて、当業者が適宜選択することができる。接着層510,520を構成する樹脂は、透明樹脂であり、公知の接着性樹脂、例えば、接着性ポリオレフィン系樹脂などが用いられる。より具体的には、不飽和カルボン酸又は酸誘導体で変性された変性ポリオレフィン系樹脂、ならびに当該変性ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との重合体および混合物が挙げられる。さらに具体的には、エチレン−メタクリレート−グリシジルアクリレート三元共重合体、および、ポリプロピレン等の各種ポリオレフィンに一塩基性不飽和脂肪酸、二塩基性不飽和脂肪酸、もしくはこれらの無水物をグラフトさせたものなどが用いられる。一塩基性不飽和脂肪酸として、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。二塩基性不飽和脂肪酸として、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。したがって、接着性樹脂としては、たとえば、マレイン酸グラフト化エチレン−酢酸ビニル共重合体、マレイン酸グラフト化エチレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられる。
【0073】
[抗菌フィルムの製造]
抗菌フィルム100は、たとえば、抗菌粒子230を分散させたシーラント層210製膜用樹脂組成物と、支持層220製膜用樹脂組成物と、中間層300製膜用樹脂組成物と、外層400製膜用樹脂組成物と、接着層510,520製膜用樹脂組成物を、空冷式または水冷式共押出インフレーション法、もしくは共押出Tダイ法を用いて製膜することができる。共押出Tダイ法を用いる場合、適切なフィードブロックとダイを使用することで製膜することができる。共押出Tダイ法は、抗菌フィルム100の厚さの制御および透明性の点から好ましい。
【0074】
なお、シーラント層210製膜用樹脂組成物に分散する抗菌粒子230の量は、重量基準で、シーラント層210製膜用樹脂組成物中、0.2%以上25%以下、好ましくは0.5%以上20%以下とすることができる。これによって、製膜後において、シーラント層210から抗菌粒子230の表面の一部を好ましく露出させることができる。
【0075】
上記の他、抗菌粒子230を分散させたシーラント層210と、支持層220と、中間層300と、外層400とを予め別々に製膜し、接着層510,520製膜用樹脂組成物を用いてそれぞれの層をラミネーター等により互いに接合する方法によって抗菌フィルム100を製造してもよい。
【0076】
[他の例]
本発明においては、上記の第1実施形態に限らず、所望の抗菌性および外観性を損なわない限り、任意の変更が加えられてよい。
図3から
図6は、第1実施形態にかかる抗菌フィルムの他の例を示す模式的断面図である。
【0077】
上記の第1実施形態においては、支持層220の上にさらに中間層300と外層400とが積層されているが、これらは本発明において必須の構成ではない。例えば
図3に示す抗菌フィルム100aは、外層400を有しない。この場合、たとえば、中間層300自体に、機械的強度とその他の所望の機能性を併せ持つ樹脂を用いることができる。一方、
図4に示す抗菌フィルム100bは、中間層300を有しない。この場合、外層400に所望の機能性とその他機械的強度とを併せ持つ樹脂を用いることができる。その他に、中間層300および外層400の両方を有していなくてもよい。
【0078】
また、上記の第1実施形態においては、中間層300が1層のみ設けられているが、中間層300は複層であってもよい。
図5に示す抗菌フィルム100cは、中間層300cが機能性層310cと機能性層320cとの複層で構成される。機能性層310cと機能性層320cとは、それぞれ、異なる機能を担わせることができる。
【0079】
さらに、
図6に示す抗菌フィルム100dのように、中間層300dが、機能性層310dと機能性層320dとが組み合わされた複層が繰り返し積層されたものであってもよい。
【0080】
上記の第1実施形態および他の例においては、接着層510,520が設けられているが、これらは、積層すべきそれぞれの層を構成する樹脂の特性に応じて、当業者がその要否を容易に決定することができるものである。
【0081】
その他、第1実施形態および他の例においては、酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、樹脂改質剤、安定剤などの添加剤、フッ素樹脂、シリコンゴム等の耐衝撃性付与剤などの添加剤が適宜用いられてもよい。
【0082】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態にかかる包装体の一例を示す模式的断面図である。
図7に示される包装体700は、底材710と蓋材720とから構成される。底材710には抗菌フィルム100が用いられ、抗菌フィルム100のシーラント層210側が凹となるように成形された凹部と、凹部を取り囲む、当該成形がなされていない辺縁部とから構成される。凹部は、たとえば深絞り成形によって形成される。凹部には、食品、飲料、医薬品等などの内容物(図示せず)が収容される。
【0083】
本実施形態においては、蓋材720にも抗菌フィルム100が用いられる。蓋材720は、シーラント層210が底材710の辺縁部のシーラント層210と接触するように底材710を覆い、互いに接触するシーラント層210同士がシールされている。これによって、底材710の凹部が密閉される。好ましくは、内容物が真空包装されるように密閉される。内容物が真空包装されることにより、シーラント層210に埋め込まれた抗菌粒子230(
図1参照)による抗菌効果が効率的に得られる。
【0084】
[他の例]
上記の第2実施形態では、底材710と蓋材720とのいずれにも抗菌フィルム100が用いられている例を挙げたが、この態様に限定されるものではない。本発明においては、底材710および蓋材720の少なくともいずれかに抗菌フィルム100が用いられればよい。したがって、底材710および蓋材720のいずれか一方には、抗菌フィルム100以外のフィルムが用いられてもよい。
【0085】
抗菌フィルム100以外のフィルムが用いられる場合、本発明の他の構成を有する抗菌フィルムであってもよいし、本発明ではない抗菌フィルム、その他非抗菌フィルムが用いられてもよい。このうち、少なくとも収容物に触れる層が、抗菌フィルム100と同様に、抗菌粒子230が埋め込まれたシーラント層210であることが好ましい。
蓋材720としては、たとえば、2軸延伸したポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)、金属酸化物を蒸着した2軸延伸したポリエチレンテレフタレートフィルム(VM−PETフィルム)およびポリエチレン樹脂を積層したフィルム等が用いられてもよい。
【実施例】
【0086】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0087】
[実施例1]
まず、層構成として、酸素バリア性を有する外層/接着層/支持層/抗菌粒子含有シーラント層を有する抗菌フィルムを作成した。
【0088】
具体的には、酸素バリア性を有する外層を構成する樹脂として、ポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1030B2)を用意し、接着層を構成する樹脂として、接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:NF536)を用意し、支持層を構成する樹脂として、低密度ポリエチレン樹脂(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名:F222NH)を用意した。シーラント層を構成する樹脂として、低密度ポリエチレン樹脂(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名:F222NH)を用意した。抗菌粒子として、銀イオン系抗菌粒子(平均粒子径5μm、富士ケミカル株式会社製、商品名:バクテキラーOM-AJ-203)を用意した。
【0089】
シーラント層を構成する低密度ポリエチレン樹脂に対し、3重量%の抗菌粒子を分散させ、シーラント層用樹脂組成物を調製した。上記のポリアミド樹脂、接着性樹脂、低密度ポリエチレン樹脂およびシーラント層用樹脂組成物を、この順番で積層されるように、フィードブロックおよびダイを用いて共押出した。これによって、抗菌フィルムを作成した。
【0090】
得られた抗菌フィルムの平均厚みは100μm、シーラント層の平均厚みは5μm、支持層の厚みは50μm、外層の厚みは30μmであった。
また、得られた抗菌フィルムの外観(目視)は透明であり、JISK7136に準拠して測定した曇度は、6%であった。なお、曇度は、抗菌フィルムの両面にパイロンクリスタルテープ(株式会社共和製)を貼ったサンプルを作成し、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製、NDH2000)を用いて内部ヘイズを測定し、抗菌フィルムの光散乱のみを抽出したものである。
【0091】
<表面観察>
得られた抗菌フィルムについて、光干渉方式を利用した非接触表面測定装置VertScan(菱化システム社製)を用い、シーラント層表面の観察を行った。具体的には、抗菌粒子が埋め込まれていない場合のシーラント層の表面積に対する、抗菌粒子が埋め込まれた実際のシーラント層の、露出した抗菌粒子の表面を含む表面積の比(以下において、表面積比と記載する。)を導出した。
【0092】
<抗菌試験>
別途、菌液を2種類用意した。一方の菌液には、好気性菌であるシュードモナスを含ませた。他方の菌液には、通性嫌気性菌である乳酸菌を含ませた。上記2菌を選定した理由は、下記記載の保存試験で使用する肉について、腐敗の原因となる菌が上記2菌であることが特定できたためである。
【0093】
JIS Z 2801に準拠して、抗菌試験を行った。具体的には、試験片の表面に菌液を滴下して植菌し、上記得られた抗菌フィルムのシーラント層が菌液に接するように、菌液と抗菌フィルムとを密着させ、35℃±1℃、相対湿度90%以上の環境下で24時間±1時間培養した。その後、試験片を洗い流し、試験片1cm
2あたりの生菌数を測定した。
【0094】
<肉の保存試験>
得られた抗菌フィルムを用いて、豚ロース肉薄切り1枚を三方シール包装した。三方シール包装においては、脱気シールによって真空包装となるようにした。
包装された肉を5℃の冷蔵ショーケースで保管し、外観をモニターした。なお、外観は目視で判断し、判断指標としては、ポークカラースタンダード(PCS)を使用した。
【0095】
[実施例2]
抗菌粒子として、銀イオン系抗菌粒子(平均粒子径2.5μm、シナネンゼオミック社製、商品名:ゼオミックPE系MB)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして抗菌フィルムを作成し、表面観察、抗菌試験、および肉の保存試験を行った。
【0096】
得られた抗菌フィルムの平均厚み、シーラント層の平均厚み、支持層の厚み、外層の厚みはいずれも、実施例1と同様である。
【0097】
[実施例3]
抗菌粒子として、銀イオン系抗菌粒子(平均粒子径2μm)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして抗菌フィルムを作成し、表面観察、抗菌試験、および肉の保存試験を行った。
【0098】
得られた抗菌フィルムの平均厚み、シーラント層の平均厚み、支持層の厚み、外層の厚みはいずれも、実施例1と同様である。
【0099】
[実施例4]
抗菌粒子として、銀イオン系抗菌粒子(平均粒子径10μm、富士ケミカル社製、商品名:バクテキラーPE5−30AH1)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして抗菌フィルムを作成し、表面観察、抗菌試験、および肉の保存試験を行った。
【0100】
得られた抗菌フィルムの平均厚み、シーラント層の平均厚み、支持層の厚み、外層の厚みはいずれも、実施例1と同様である。
【0101】
[実施例5]
抗菌粒子として、銀イオン系抗菌粒子(平均粒子径5μm、富士ケミカル社製、商品名:バクテキラーOM−AJ−203)を1重量%用いたことを除いて、実施例1と同様にして抗菌フィルムを作成し、表面観察、抗菌試験、および肉の保存試験を行った。
【0102】
得られた抗菌フィルムの平均厚み、シーラント層の平均厚み、支持層の厚み、外層の厚みはいずれも、実施例1と同様である。
【0103】
[比較例1]
抗菌粒子として、銀イオン系抗菌粒子(平均粒子径0.9μm、東亞合成株式会社製、商品名:ノバロン)を使用したことを除いて、実施例1と同様に、シーラント層の表面観察、抗菌試験、および肉の保存試験を行った。
【0104】
[比較例2]
抗菌粒子を用いなかったことを除いて、実施例1と同様に、シーラント層の表面観察および抗菌試験、および肉の保存試験を行った。
【0105】
<表面観察の総括>
実施例1から実施例5、比較例1および比較例2による表面観察の結果を表1に示す。表1に示すように、実施例1から5の抗菌フィルムは、抗菌粒子による表面拡大率が大きく、かつ、外観性が良好であった。
【0106】
【表1】
【0107】
<抗菌試験の総括>
実施例1から実施例5、比較例1および比較例2による抗菌試験の結果を表2に示す。表2に示すように、実施例1から実施例5の抗菌フィルムは、すでに6時間培養後の時点で優れた抗菌効果(抗菌即効性)を発揮したことが分かった。
【0108】
【表2】
【0109】
<肉の保存試験の総括>
実施例1、比較例1および比較例2による肉の保存試験の結果を、それぞれ、
図8、
図9および
図10に示す。縦軸は、ポークカラースタンダード(PCS)を示す。PCSは、数値が小さいほど肉の劣化が進むことを意味する。横軸は、保存日数(d)を示す。
図8から
図10に示すように、抗菌粒子による表面拡大率が最も大きい実施例1によって、肉の劣化を最も遅らせることができるという結果が得られた。実施例2から5についても実施例1と同様に、肉の劣化を遅らせることができるという結果が得られた。
【0110】
なお、表面積比が1.01、1.02、1.03、1.10である場合についても、良好な抗菌性と良好な外観性(透明性)とが確認された。
【0111】
[実施形態および他の例による効果]
以上のように、抗菌フィルム100,100a,〜,100dは、抗菌粒子230の一部露出によってシーラント層210の表面を0.5%以上拡大するため、即効抗菌性に優れる。さらに、抗菌粒子230の一部が露出する面211とは反対側の面212に支持層220が直接積層されているため、外観性に優れる。
【0112】
抗菌フィルム100,100a,〜,100dは、支持層220を構成する樹脂とシーラント層210を構成する樹脂とがいずれもポリオレフィン系樹脂であるため、抗菌フィルムの製造時(たとえば、成形時および製袋時等の少なくともいずれかの時)の取扱性(たとえば、滑り性およびシール性の少なくともいずれかの特性)に優れる。
【0113】
抗菌フィルム100,100a,〜,100dにおいては、抗菌粒子230が無機系抗菌剤であるため、抗菌粒子230自身が抗菌対象へ移行することを抑制できる。また、抗菌粒子230が2μm以上10μm以下の平均粒子径を有するため、抗菌フィルム100,100a,〜,100dが製膜安定性に優れ、且つ、シーラント層210内の光分散の抑制作用により透明性にも優れる。また、シーラント層210が、抗菌粒子230の平均粒子径の50%以上300%以下の層厚を有するため、抗菌粒子230がシーラント層210から好ましく露出し、抗菌フィルム100,100a,〜,100dの抗菌性に優れる。
【0114】
抗菌フィルム100,100a,〜,100dにおいては、透明樹脂層である中間層300,300c,300d、機能性層310c,310d,320c,320d、外層400、接着層510,520が積層されているため、外観性を担保しつつ、さまざまな機能等が付与される自由度を有する。
【0115】
[実施形態および他の例における各部と請求項の各構成要素との対応関係]
本発明においては、抗菌フィルム100,100a,〜,100dが「抗菌フィルム」に相当し、シーラント層210が「シーラント層」に相当し、支持層220が「支持層」に相当し、抗菌粒子230が「抗菌粒子」に相当し、表面の一部231が「抗菌粒子の表面の一部」に相当し、面211が「支持層と反対側の面」に相当し、仮想面211Vが「抗菌粒子が埋め込まれていない場合のシーラント層の反対側の面」に相当し、中間層300,300c,300d、機能性層310c,310d,320c,320d、外層400、接着層510,520が「透明樹脂層」に相当し、包装体700が「包装体」に相当する。
【0116】
本発明の好ましい実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれらのみに限定されるものではなく、本発明の趣旨と範囲とから逸脱することのない様々な実施形態が他になされる。さらに、本実施形態において述べられる作用および効果は一例であり、本発明を限定するものではない。