特許第6248601号(P6248601)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248601
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】内燃機関用スパークプラグ
(51)【国際特許分類】
   H01T 13/20 20060101AFI20171211BHJP
   H01T 13/34 20060101ALI20171211BHJP
   H01T 13/36 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   H01T13/20 B
   H01T13/34
   H01T13/36
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-259190(P2013-259190)
(22)【出願日】2013年12月16日
(65)【公開番号】特開2015-99765(P2015-99765A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2016年8月10日
(31)【優先権主張番号】特願2013-215297(P2013-215297)
(32)【優先日】2013年10月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 健二
【審査官】 山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−154584(JP,A)
【文献】 特開2013−051196(JP,A)
【文献】 実開平02−016594(JP,U)
【文献】 特開平02−165587(JP,A)
【文献】 特開平09−291327(JP,A)
【文献】 特開昭60−225389(JP,A)
【文献】 実公昭34−016210(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 13/20
H01T 13/34
H01T 13/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心電極(2)と、
該中心電極(2)を内側に挿通保持する絶縁碍子(6)と、
該絶縁碍子(6)の基端側の一部を露出させつつ、該絶縁碍子(6)を内側に挿通保持するハウジング(7)と、
該ハウジング(7)に接合されて上記中心電極(2)との間に火花放電ギャップを形成する接地電極(71)とを有しており、
少なくとも上記中心電極(2)における上記絶縁碍子(6)の内側に配された挿通部位(21)の表面には、該挿通部位(21)の表面における仕事関数よりも大きな仕事関数を有する材料からなる被覆層(5)が形成されており、
上記被覆層(5)の表面粗さが、上記挿通部位(21)の表面粗さよりも小さいことを特徴とする内燃機関用スパークプラグ(1)。
【請求項2】
上記ハウジング(7)の内周面には、上記絶縁碍子(6)の外周面に外側に向かって突出した被係合部(65)と係合される係合部(72)が内側に向かって突出しており、少なくとも上記中心電極(2)における上記係合部(72)の内側に配された部位には、上記被覆層(5)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用スパークプラグ(1)。
【請求項3】
上記中心電極(2)における基端部には、該中心電極(2)の軸方向から見た外形が先端側よりも大きい大径部(23)が形成されており、少なくとも該大径部(23)の表面に上記被覆層(5)が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関用スパークプラグ(1)。
【請求項4】
上記絶縁碍子(6)において、上記挿通部位(21)と対向する内周面の少なくとも一部には、上記挿通部位(21)の表面における仕事関数よりも大きな仕事関数を有する材料からなる碍子側被覆層(67)が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関用スパークプラグ(1)。
【請求項5】
上記ハウジング(7)の内周面には、上記絶縁碍子(6)の外周面から外側に向かって突出した被係合部(65)と係合される係合部(72)が内側に向かって突出しており、少なくとも上記係合部(72)の内側における上記絶縁碍子(6)の内周面には、上記碍子側被覆層(67)が形成されていることを特徴とする請求項に記載の内燃機関用スパークプラグ(1)。
【請求項6】
上記中心電極(2)における基端部には、該中心電極(2)の軸方向から見た外形が先端側よりも大きい大径部(23)が形成されており、上記絶縁碍子(6)の内周面における少なくとも上記大径部(23)と対向する部位の表面に、上記碍子側被覆層(67)が形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の内燃機関用スパークプラグ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用スパークプラグに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の内燃機関には、着火手段としてスパークプラグが用いられている。スパークプラグは、中心電極を内側に挿通保持する絶縁碍子と、絶縁碍子の先端側を内側に挿通保持するハウジングと、ハウジングに接合されて中心電極との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを有している。スパークプラグにおいては、点火コイルから高電圧を印加することにより、中心電極と接地電極との間において、火花放電ギャップの絶縁を破壊し放電火花を発生させる。
近年、内燃機関の小型化等のため、スパークプラグにおいては、小型化の要望があり、絶縁碍子の小径化が必要となり、中心電極とハウジングとの間における耐電圧の向上が望まれている。
【0003】
このようなスパークプラグとしては、特許文献1に示されたものがある。特許文献1のスパークプラグは、絶縁碍子を形成するアルミナを微粒化することにより絶縁碍子における耐電圧性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−208901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されたスパークプラグには以下の課題がある。
特許文献1のスパークプラグにおいて、アルミナ粒径が小さいほど絶縁碍子の耐電圧性が向上するが、アルミナの微粒化には限界がある。そのため、アルミナの微粒化によって得られる絶縁碍子の耐電圧性向上効果にも限界があり、より耐電圧性を向上することができる構造が望まれている。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、絶縁碍子における耐電圧性の低下を防止し、優れた絶縁性を得ることができる内燃機関用スパークプラグを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、中心電極と、
該中心電極を内側に挿通保持する絶縁碍子と、
該絶縁碍子の基端側の一部を露出させつつ、該絶縁碍子を内側に挿通保持するハウジングと、
該ハウジングに接合されて上記中心電極との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを有しており、
少なくとも上記中心電極における上記絶縁碍子の内側に配された挿通部位表面には、該挿通部位の表面における仕事関数よりも大きな仕事関数を有する材料からなる被覆層が形成されており、
上記被覆層の表面粗さが、上記挿通部位の表面粗さよりも小さいことを特徴とする内燃機関用スパークプラグにある。
【発明の効果】
【0008】
内燃機関用スパークプラグ(以下、適宜スパークプラグと記す)は、燃料の燃焼及び放電電流の流通等により、その先端部近傍が高温となる。このとき、高温に加熱された中心電極においては、中心電極表面から熱励起された電子が放出される熱電子放出が生じる。中心電極から放出された電子が、絶縁碍子の内部へと侵入することにより、絶縁碍子における絶縁破壊を助長すると考えられている。
【0009】
上記スパークプラグにおいては、上記中心電極の表面に、該中心電極の表面における仕事関数よりも大きな仕事関数を有する材料からなる上記被覆層が形成されている。熱電子放出は、部材の表面において発生するため、上記中心電極の表面に上記被覆層を形成することで熱電子放出を防止することができる。これにより、上記絶縁碍子に電子が侵入することを防止し、上記絶縁碍子における耐電圧性の低下を防止することができる。それゆえ、上記スパークプラグにおける絶縁破壊の発生を抑制することができる。
【0010】
以上のごとく、上記内燃機関用スパークプラグによれば、絶縁碍子における耐電圧性の低下を防止し、優れた絶縁性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1における、内燃機関用スパークプラグを示す断面図。
図2】実施例1における、内燃機関用スパークプラグを示す部分拡大断面図。
図3】実施例1における、中心電極の断面図。
図4】実施例2における、内燃機関用スパークプラグを示す部分拡大断面図。
図5】実施例2における、中心電極の断面図。
図6】実施例3における、内燃機関用スパークプラグを示す部分拡大断面図。
図7】実施例4における、内燃機関用スパークプラグを示す部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記内燃機関用スパークプラグにおいて、上記ハウジングの内周面には、上記絶縁碍子の外周面から外側に向かって突出した被係合部と係合される係合部が内側に向かって突出しており、少なくとも上記中心電極における上記係合部の内側に配された部位には、上記被覆層が形成されていることが好ましい。上記係合部と上記中心電極との間において、両者の間隔が小さくなるため、この部位においては、耐電圧性が低下しやすい。したがって、上記係合部の内側に上記被覆層を形成し、中心電極からの熱電子放出を防止することにより、絶縁碍子における耐電圧性の低下を抑制することができる。
【0013】
また、上記絶縁碍子において、上記挿通部位と対向する内周面の少なくとも一部には、上記挿通部位の表面における仕事関数よりも大きな仕事関数を有する材料からなる碍子側被覆層が形成されていることが好ましい。この場合には、上記被覆層に加えて、上記碍子側被覆層によっても上記中心電極からの熱電子放出の防止効果を得ることができる。これにより、上記絶縁碍子における耐電圧性の低下をより効果的に抑制することができる。
【実施例】
【0014】
(実施例1)
上記内燃機関用スパークプラグにかかる実施例について、図1図3を参照して説明する。
図1に示すごとく、内燃機関用スパークプラグ1は、中心電極2と、中心電極2を内側に挿通保持する絶縁碍子6と、絶縁碍子6の基端側の一部を露出させつつ、絶縁碍子6を内側に挿通保持するハウジング7と、ハウジング7に接合されて中心電極2との間に火花放電ギャップGを形成する接地電極71とを有している。
中心電極2における絶縁碍子6の内側に配された挿通部位21の表面には、挿通部位21の表面における仕事関数よりも大きな仕事関数を有する材料からなる被覆層5が形成されている。
【0015】
以下、さらに詳細に説明する。
図1に示すごとく、本例のスパークプラグ1は、内燃機関において、混合気の着火をするためのものである。軸方向において、スパークプラグ1の一端は、点火コイル(図示略)と接続され、反対側の他端は、内燃機関の燃焼室(図示略)内に配される。尚、本例においては、軸方向における点火コイルと接続される側を基端側とし、燃焼室内に配される側を先端側として説明する。
【0016】
図1及び図2に示すごとく、スパークプラグ1は、筒状の絶縁碍子6と、絶縁碍子6を内側に保持する筒状のハウジング7と、先端部が突出するように絶縁碍子6の内側に保持された中心電極2と、中心電極2の基端側に配されたステム8と、ハウジング7と接続された接地電極71とを備えている。
【0017】
ハウジング7は、略円筒形状に形成されており、その内側に絶縁碍子6を挿通保持している。ハウジング7は、絶縁碍子6における基端側を露出させると共に、絶縁碍子6の先端側を覆っている。ハウジング7の内周面には、同一円周上において内側に向かって環状に突出した係合部72が形成されており、絶縁碍子6の被係合部65と係合可能に構成されている。また、ハウジング7の外周側面には、内燃機関のシリンダヘッド(図示略)と螺号するためのネジ山が形成されておりハウジング7の先端面には、接地電極71が配されている。
接地電極71は、ハウジング7の先端面の一部から、先端側に延びる延設部711と、延設部711の先端から径方向内側に向かって、軸方向と直角に屈曲した対向部712とを有している。対向部712と中心電極2との間には、火花放電ギャップGが形成されている。
【0018】
図1及び図2に示すごとく、絶縁碍子6は、アルミナを略円筒形状に形成してなり、その内側に中心電極2とステム8とを保持するように形成されている。絶縁碍子6は、基端側において円筒状に形成された基端円筒部61と、基端円筒部61の先端側に形成された碍子大径部62と、碍子大径部62の先端側に形成された碍子小径部63と、碍子小径部63の先端側に形成されたテーパ部64とを有している。尚、碍子小径部63とテーパ部64との間には、両者を繋ぐように段差が形成されており、この段差が、ハウジング7の係合部72と係合する被係合部65をなしている。
【0019】
絶縁碍子6の内側には、点火コイルと接続されるステム8と、ステム8の先端側に接続された中心電極2とが挿通配置されている。
ステム8は、絶縁碍子6の内側に挿通保持されるステム本体81と、ステム本体81の基端側において絶縁碍子6から露出し点火コイルと接続されたターミナル82とを有している。
また、ステム8と中心電極2との間には、レジスター9が配されている。このレジスター9は、スパークプラグ1における点火ノイズを抑制するためのものである。
【0020】
図2及び図3に示すごとく、レジスター9を介してステム8と接続された中心電極2は、電極母材3と、電極母材3の先端に接合された放電チップ4とを有している。電極母材3は、銅合金からなる芯材31と、ニッケル合金からなり芯材31を覆う表面層32とを有している。
芯材31は、基端側に形成された円筒状の芯材大径部311と、軸方向から見た際の直径が芯材大径部311よりも小さい円筒状の芯材小径部312とを有している。芯材小径部312の先端には、軸方向と直交した方向から見たとき、先端側に向かって円弧状に縮径する芯材縮径部313が形成されている。
【0021】
図2及び図3に示すごとく、表面層32は、芯材31の表面を覆うように形成されている。表面層32は、芯材小径部312及び芯材大径部311の表面には一定の厚さで形成されている。また、芯材縮径部313には、芯材小径部312の外周面に形成された表面層における外径と同一の外径を有する円筒形状となるように、表面層32が形成されている。つまり、中心電極2は、芯材小径部312、芯材縮径部313及び表面層32によって形成された電極小径部22と、芯材大径部311と表面層32とによって形成され軸方向から見た外径が電極小径部22よりも大きい電極大径部23とを有している。尚、芯材小径部313の先端形状は、先端側に向かって縮径するテーパ形状をなしている。
【0022】
放電チップ4は、絶縁碍子6の先端から露出するように芯材小径部313の先端に接合されている。放電チップ4の材料には、イリジウム、白金、ロジウム等の貴金属又はその合金等が用いられる。なお、放電チップ4は、必ずしも貴金属である必要がなく、例えば、タングステン、レニウム、タンタル、ニオブ又はその合金からなる高融点の材料であってもよい。
【0023】
中心電極2の表面には、表面層32の材料の仕事関数よりも大きい仕事関数を有する材料からなる被覆層5が形成されている。本例において、被覆層5は、白金のメッキ被膜からなり中心電極2表面の全体に形成されている。また、被覆層5における表面粗さは、表面層32における表面粗さよりも小さく設定されている。尚、表面層32は、メッキの他にも例えば、溶射、蒸着、スパッタ等によって形成することができる。
【0024】
次に、本例の作用効果について説明する。
スパークプラグ1においては、中心電極2の表面に、中心電極2の表面における仕事関数よりも大きな仕事関数を有する材料からなる被覆層5が形成されている。熱電子放出は、部材の表面において発生するため、中心電極2の表面に被覆層5を形成することで熱電子放出を防止することができる。これにより、絶縁碍子6に電子が侵入することを防止し、絶縁碍子6における耐電圧性の低下を防止することができる。それゆえ、スパークプラグ1における絶縁破壊の発生を抑制することができる。
【0025】
内燃機関用スパークプラグ1において、ハウジング7の内周面には、絶縁碍子6の外周面から外側に向かって突出した被係合部65と係合される係合部72が内側に向かって突出しており、少なくとも中心電極2における係合部72の内側に配された部位には、被覆層5が形成されている。係合部72と中心電極2との間においては、両者の間隔が小さくなるため、この部位において、耐電圧性が低下しやすい。したがって、係合部72の内側に被覆層5を形成し、中心電極2からの熱電子放出を防止することにより、絶縁碍子6における耐電圧性の低下を抑制することができる。
【0026】
また、中心電極2における基端部には、中心電極2の軸方向から見た外形が先端側よりも大きい電極大径部23が形成されており、少なくとも電極大径部23の表面に被覆層5が形成されている。電極大径部23とハウジング7との間においては、両者の間隔が小さくなるため、この部位において、耐電圧性が低下しやすい。したがって、電極大径部23に被覆層5を形成し、耐電圧性を向上することにより、絶縁碍子6における絶縁破壊の発生を抑制することができる。
【0027】
また、被覆層5の表面粗さが、挿通部位21の表面粗さよりも小さい。そのため、表面粗さを小さくすることにより、被覆層5における仕事関数を大きくすることができる。これにより、絶縁碍子6における絶縁破壊の発生を抑制することができる。
【0028】
以上のごとく、本例の内燃機関用スパークプラグ1によれば、絶縁碍子6における耐電圧性の低下を防止し、優れた絶縁性を得ることができる。
【0029】
尚、被覆層の材料は、白金に限るものではなく、例えば、Ir、Au、Rhなど中心電極の挿通部位における表面の仕事関数よりも大きい仕事関数を有するものであればよい。また、中心電極が複数の材料によって形成されている場合、被覆層が形成される表面側に配された材料よりも仕事関数が大きい材料によって被覆層を形成することが好ましい。
【0030】
(実施例2)
本例は、図4及び図5に示すごとく、実施例1の内燃機関用スパークプラグ1における構成を一部変更した例である。
本例のスパークプラグ1において、被覆層5は、中心電極2におけるハウジング7の係合部72の内側に対向する外周側面と、芯材大径部311の外周側面とにそれぞれ形成されている。
【0031】
尚、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
また、本例においても実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0032】
(実施例3)
本例は、図6に示すごとく、実施例1の内燃機関用スパークプラグ1における構成を一部変更した例である。
本例のスパークプラグ1において、絶縁碍子6の挿通部位21と対向する内周面には、挿通部位21の表面における仕事関数よりも大きな仕事関数を有する材料からなる碍子側被覆層67が形成されている。本例においては、絶縁碍子6の内周面における中心電極2の挿通部位21と対向する範囲の全面に、白金からなる碍子側被覆層67を形成した。尚、碍子側被覆層67の材料は、白金以外にも、中心電極の挿通部位における表面の仕事関数よりも大きい仕事関数を有するものであればよい。碍子側被覆層67の材料としては、例えば、Ir、Au、Rhなどを用いることもできる。
尚、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0033】
本例のスパークプラグ1においては、被覆層5に加えて、碍子側被覆層67によっても中心電極2からの熱電子放出の防止効果を得ることができる。これにより、絶縁碍子6における耐電圧性の低下をより効果的に抑制することができる。
また、本例においても実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0034】
(実施例4)
本例は図7に示すごとく、実施例1の内燃機関用スパークプラグ1の構成を一部変更した例である。
本例のスパークプラグ1において、絶縁碍子6の内周面に形成された碍子側被覆層67は、ハウジング77が有する係合部72の内側に位置する内周面と、中心電極2が有する芯材大径部311と対向する内周面とにそれぞれ形成されている。各碍子側被覆層67は、係合部72及び芯材大径部311と対向する部位をそれぞれ含むように、中心電極2の軸方向において、係合部72及び芯材大径部311の全長よりもそれぞれ広い範囲に形成されている。
尚、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0035】
本例の内燃機関用スパークプラグ1においては、中心電極2とハウジング77との距離が小さくなる部位に碍子側被覆層67を形成することにより、碍子側被覆層67の材料の使用量を低減しながら、中心電極2からの熱電子放出の防止効果を得ることができる。
また、本例においても実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 内燃機関用スパークプラグ
2 中心電極
21 挿通部位
23 大径部
5 被覆層
6 絶縁碍子
65 被係合部
7 ハウジング
71 接地電極
72 係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7