特許第6248613号(P6248613)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6248613-車両下部構造 図000002
  • 特許6248613-車両下部構造 図000003
  • 特許6248613-車両下部構造 図000004
  • 特許6248613-車両下部構造 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248613
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】車両下部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
   B62D25/20 N
   B62D25/20 G
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-266058(P2013-266058)
(22)【出願日】2013年12月24日
(65)【公開番号】特開2015-120451(P2015-120451A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年10月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】杵島 史彦
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−038176(JP,U)
【文献】 特開2012−011854(JP,A)
【文献】 特開平7−215074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00 − 25/08
B62D 25/14 − 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両下部に設けられるフロアと、
前記フロアの車幅方向中央位置に設けられ、車両前部に設けられた開口部と連通したトンネル部と、
前記トンネル部の前端から後端までを含む前記フロアを車両下側から覆い、かつ前記トンネル部の車両下側に開口を有するフロアカバーと、を備え
前記開口として、前記トンネル部内の車両後方側に向けて開口する吸込みダクトと、前記フロアカバーの車両後側に形成され車両外側に開放された後開口部と、前記吸込みダクトよりも車両後方かつ前記後開口部よりも車両前方に形成され前記トンネル部内の車両前方側に向けて開口し前記トンネル部内の空気を車両外側へ排出する前開口部とを有する車両下部構造。
【請求項2】
前記吸込みダクトは、車両後方上側へ傾斜するガイド部を有している請求項に記載の車両下部構造。
【請求項3】
前記前開口部は、ガイド部を有し、
前記ガイド部は、車両前方下向きに凸の湾曲形状とされ、前記トンネル部内に配置されている請求項1又は請求項2に記載の車両下部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両下部を車両前端から車両後端まで覆うフロアカバーが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58−153175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フロントグリル等、車両の前部から車両内側に取り入れられた空気は、エンジンルームを通過し、車両のフロアのトンネル部へと流れる。しかしながら、トンネル部の車両下側はフロアカバーで覆われていて開口がないため、トンネル部の空気の流れが停滞し易い。
【0005】
本発明は、上記の事実を考慮し、フロアカバーで覆われたトンネル部における空気の流れの停滞を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る車両下部構造は、車両下部に設けられるフロアと、前記フロアの車幅方向中央位置に設けられ、車両前部に設けられた開口部と連通したトンネル部と、前記トンネル部の前端から後端までを含む前記フロアを車両下側から覆い、かつ前記トンネル部の車両下側に開口を有するフロアカバーと、を備え、前記開口として、前記トンネル部内の車両後方側に向けて開口する吸込みダクトと、前記フロアカバーの車両後側に形成され車両外側に開放された後開口部と、前記吸込みダクトよりも車両後方かつ前記後開口部よりも車両前方に形成され前記トンネル部内の車両前方側に向けて開口し前記トンネル部内の空気を車両外側へ排出する前開口部とを有している。
【0007】
この車両下部構造によれば、車両前部の開口部から車両内側に取り入れられた空気が、フロアカバーで覆われたトンネル部内を流れる際に、該フロアカバーの開口から車両外側へ排出される。これにより、トンネル部内の圧力が低くなるため、車両前部の開口部から車両内側に取り入れられた空気がトンネル部へ流れ易くなる。このため、フロアカバーで覆われたトンネル部における空気の流れの停滞を抑制することができる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の車両下部構造において、前記吸込みダクトが、車両後方上側へ傾斜するガイド部を有している。
請求項に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両下部構造において、前記前開口部がガイド部を有し、前記ガイド部は、車両前方下向きに凸の湾曲形状とされ、前記トンネル部内に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フロアカバーで覆われたトンネル部における空気の流れの停滞を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車両下部構造を示す面図である。
図2】(A)車両下部構造における空気の流れを示す、図1における2A−2A矢視拡大断面図である。(B)フロアカバーにおける吸込みダクト及び部品逃げ穴を示す、図1における2B−2B矢視拡大断面図である。
図3】フロアカバーの吸込みダクト、部品逃げ穴、第1前開口部、第2前開口部及び後開口部を通じた空気の流れを示す斜視図である。
図4】変形例に係り、フロアカバーの開口を通じた空気の流れを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各図において適宜示す矢印UPを車両上方向、矢印FRを車両前方向、矢印RHを車両右方向、矢印LHを車両左方向、矢印Wを車幅方向とする。
【0011】
図1において、本実施形態に係る車両下部構造10は、フロア12と、トンネル部14(図2)と、フロアカバー16と、を有している。
【0012】
フロア12は、車両下部に設けられる、例えばフロアパネルである。このフロア12は、車両のボディの一部を構成している。
【0013】
トンネル部14は、フロア12の車幅方向中央位置に設けられ、車両下向きに凹状に形成され、車両前後方向に延びている。このトンネル部14は、車両前部に設けられた開口部18と連通している。開口部18は、図示しないグリル等の空気取入れ口である。
【0014】
フロアカバー16は、トンネル部14の前端から後端までを含むフロア12を車両下側から覆っており、フロア12又は他の部位に対して、ボルト及びナットの締結や、クリップ留め(何れも図示せず)等により取り付けられている。このフロアカバー16は、トンネル部14の車両下側に、開口の一例たる部品逃げ穴20、吸込みダクト22、第1前開口部31、第2前開口部32、及び後開口部34を有している。
【0015】
図2に示されるように、部品逃げ穴20は、排気系部品26との干渉や、排気系部品26の熱の影響を避けるために形成されている。排気系部品26とは、排気管、触媒コンバーター等である。この部品逃げ穴20は、フロアカバー16の車幅方向の中心に対して、左右対称に一対設けられている。各々の部品逃げ穴20は、例えば略矩形に形成されている。
【0016】
吸込みダクト22は、部品逃げ穴20の車幅方向外側に隣接して形成され、トンネル部14内の車両後方側に向けて開口している。吸込みダクト22の車幅方向の幅は、車両後方へ向かって広がっている。また、吸込みダクト22はガイド部24を有している。このガイド部24は、車両後方上側へ傾斜し、水平方向と成す角度が車両前方側から後方側へ向かって大きくなるR状とされている。
【0017】
第2前開口部32は、第1前開口部31の車両後側に隣接して配置されている。第1前開口部31及び第2前開口部32は、車幅方向の中心に対して、左右対称に2つずつ設けられている。2つの第1前開口部31は、車幅方向に互いに離間している。同様に、2つの第2前開口部32は、車幅方向に互いに離間している。
【0018】
第1前開口部31はガイド部41を有し、第2前開口部32はガイド部42を有している。ガイド部41,42は、R状に湾曲する板状とされ、R状の凸面側が前方下向きになるようにトンネル部14内に配置されている。ガイド部41,42は、車両後方下側へ傾斜し、水平方向と成す角度が車両前方側から後方側へ向かって小さくなるR状とされている。
【0019】
ガイド部41,42の車両前側には、トンネル部14内に開口する流入口51,52が形成されている。トンネル部14から流入口51,52へ流入した空気は、ガイド部41,42の下面に沿って流れて、第1前開口部31及び第2前開口部32から車両外側へ排出されるようになっている。
【0020】
フロアカバー16の車両後側は、後開口部34となっている。この後開口部34は、車両外側に開放されており、トンネル部14内のガイド部42の上面に沿って流れる気流が、後開口部34から車外へ排出されるようになっている。
【0021】
この他、フロアカバー16には、小開口部36、第1前開口部61、第2前開口部62が形成されている。小開口部36は、例えば第1開口部31を車幅方向に狭くした構造であり、フロアカバー16の車幅方向の両端部に、夫々車両前後方向に直列に複数配置されている。第1前開口部61及び第2前開口部62は、エンジンルーム(図示せず)の車両下方に配置されている。この第1前開口部61及び第2前開口部62は、第1前開口部31、第2前開口部32よりも車幅方向及び車両前後方向に大きく形成されている。エンジンルーム28内から車両下方に流れる空気の一部は、第1前開口部61及び第2前開口部62を通じて車外へ排出されるようになっている。
【0022】
車両の下部前側には、前アンダーカバー28が配設されている。前アンダーカバー28は、車両のエンジンルーム(不図示)下側を覆うように車両の前端から前輪11の後側まで延出され、車両の底面を形成している。
【0023】
(作用)
本実施形態は上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図2図3において、本実施形態に係る車両下部構造10では、車両前部の開口部18から車両内側に空気が取り入れられ、フロアカバー16で覆われたトンネル部14内を流れる。この際、この空気は、フロアカバー16の開口(第1前開口部31、第2前開口部32、後開口部34等)から車両外側へ排出される。これにより、トンネル部14内の圧力が低くなるため、車両前部の開口部18から車両内側に取り入れられた空気がトンネル部14へ流れ易くなる。このため、フロアカバー16で覆われたトンネル部14における空気の流れの停滞を抑制することができる。
【0024】
具体的には、図2に示されるように、車両走行時におけるフロア12の車両下側の空気は、車両床下に沿って後方へ流れる(気流A1)。トンネル部14内を流れる空気は、ガイド部41,42により車両後方下側へ向かい、気流A4、A5、A6に分かれて、第1前開口部31、第2前開口部32及び後開口部34から各々排出される。したがって、気流A1、A4、A5、A6をスムーズに合流させることができる。このため、気流A1の乱れを抑制できる。
【0025】
また、図3に示されるように、本実施形態では、部品逃げ穴20に隣接した吸込みダクト22を通じて、フロア12の車両下側の空気をトンネル部14内に取り込むことができる(気流A2)。気流A2により生ずる負圧により、部品逃げ穴20からの空気の吹出しを抑制し、該部品逃げ穴20からも空気を取り込むことができる(気流A3)。このため、気流A1の乱れを抑制できる。また、気流A2,A3により、車外の比較的冷たい空気を排気系部品26に当てることができるので、該排気系部品26の冷却効率が向上する。
【0026】
部品逃げ穴20及び吸込みダクト22の車両後方には、第1前開口部31、第2前開口部32及び後開口部34が配置されているので、部品逃げ穴20及び吸込みダクト22から取り込まれた気流A2,A3を、第1前開口部31、第2前開口部32及び後開口部34から気流A4、A5、A6として速やかに排出することができる。
【0027】
なお、フロアカバー16に設けられた他の開口部(小開口部36、第1前開口部61、第2前開口部62)からも、車外への空気の排出を行うことができる。
【0028】
[他の実施形態]
上記実施形態では、部品逃げ穴20と吸込みダクト22とが車幅方向に隣接するものとしたが、図4に示されるように、吸込みダクト22を設け、部品逃げ穴を設けない構成としてもよい。
【0029】
また、第2前開口部32がフロアカバー16の後端に設けられるものとしたが、第2前開口部32がより車両前方側に設けられ、後開口部34と第2前開口部32とが車両前後方向に離間していてもよい。
更に、第1前開口部31及び第2前開口部32のうち、何れかを省略してもよい。
【符号の説明】
【0030】
10 車両下部構造
12 フロア
14 トンネル部
16 フロアカバー
18 開口部
20 部品逃げ穴(開口)
22 吸込みダクト(開口)
24 ガイド部
31 第1前開口部(開口)
32 第2前開口部(開口)
34 後開口部(開口)
41 ガイド部
42 ガイド部
図1
図2
図3
図4